説明

吐出装置、印刷方法

【課題】吐出の際の遅れ時間が短く、高耐圧で大面積のMOSトランジスタを使用しなくても済む吐出装置と印刷方法を提供する。
【解決手段】電圧制御装置11によって、待機状態では、最小吐出電圧Vtと接地電圧の間の大きさのバイアス電圧Vbを印加し、ヘッド側電極42に、最小吐出電圧Vtよりも大きな吐出電圧Vdを印加して吐出状態にして吐出液を吐出させる。待機状態と吐出状態の間の電圧差が小さいので、電圧切り替えのためのMOSトランジスタは小さくて済む。また、待機状態で吐出液が帯電されているので、吐出に要する遅れ時間が短くて済む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出装置と吐出方法の技術分野に係り、特に、オンデマンド型静電方式の吐出装置と吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷方法には、ドロップオンデマンド型として、サーマルインクジェット方式と、圧電インクジェット方式がある。
サーマルインクジェット方式では、ノズル内に発熱素子が設けられており、この発熱素子に通電して発熱させ、膜沸騰現象により発生した気泡によってインクが押し出されており、圧電インクジェット方式では、圧電素子の変位によって発生した圧力波によって、インクが押し出されている。
コンティニュアス型としてはSweep静電方式がある。
【0003】
この方式では、図9の印刷装置210のように、ノズルヘッド241内部に配置した電極によってノズルヘッド241内のインクを帯電させ、ノズルヘッド241先端から帯電したインク250を連続吐出する、。
帯電したインク250は直進すると回収装置255で回収されるが、偏向電極244間を通過する際に、偏向電極244に印加される電圧によって進行方向が変更されると、基板側電極245に進行するようにされている。
基板側電極245に基板を配置しておくと、インク251は基板に着弾される。
【0004】
回収装置255で回収されたインク252はタンク256に戻され、ポンプ257によってノズルヘッド241に送られ、再使用される。
このような静電型インクジェット方式では、ノズルヘッド241と基板側電極245との距離が大きくなると吐出に要する電圧が高くなり、また、電圧印加開始からインクが帯電して吐出が開始されるまでに要する吐出遅れ時間が長くなる。吐出遅れ時間を短縮するためには、印加電圧を高くする必要がある。
【0005】
次に、図7の印刷装置110は、ドロップオンデマンド型で静電方式の印刷装置であり、この印刷装置110は、ノズルヘッド141内に配置されたヘッド側電極142を、MOSトランジスタ115a、115bを介してそれぞれ接地電位と電源装置112の出力端子に結線されており、インク145を吐出しないときは、MOSトランジスタ115aを導通させてヘッド側電極142を電気的に接地電位に接続し、インク145を吐出するときには、MOSトランジスタ115a、115bを切り替えて導通させ、ヘッド側電極142を電源装置112の出力端子に接続し、インク145を帯電して吐出させている。
吐出されたインク液滴は、接地電位の基板電極124上に配置された基板125に着弾する。
【0006】
図8のグラフは、横軸が経過時間、縦軸がヘッド側電極142と基板電極124との間の電圧であり、ヘッド側電極142へ、吐出電圧Vdの印加を開始した時刻t1後、時刻t2にてインク145が吐出されている。時刻t1、2間が吐出遅れ時間である。時刻t3で吐出電圧Vdの印加が終了されている。
【0007】
符号Vtは、インク145の吐出に必要な最小電圧である最小吐出電圧を示しており、吐出電圧Vdは、絶対値が最小吐出電圧Vtよりも大きく、吐出電圧Vdで帯電したインク145が吐出される電圧である。
このような印刷装置110では、MOSトランジスタ115a、115bによって、接地電位と吐出電圧Vdを切り替えるため、高耐圧対応で高価なMOSトランジスタを使用する必要があり、また、接地電位のインク145を高電圧の吐出電圧Vdで帯電させるため、帯電時間である吐出遅れ時間が長くなるという問題がある。
上記構成によるノズルヘッド141と、最小分解能1msecの計測器を用い、ノズル先端の開口146と基板125間距離と最小吐出電圧Vtとの関係と、距離と吐出遅れ時間が1msecになるときに印加する吐出電圧との関係を測定した。その結果を、図5に示す。
【0008】
ノズルヘッド141先端と基板125との距離が例えば105μmの場合、最小吐出電圧Vtは400Vであり、吐出遅れ時間が1msecの電圧は、600Vである。
符号L1は最小吐出電圧Vtを結ぶ線分であり、この線分L1よりも下の範囲は、インク145を吐出できない。
符号L2は、吐出遅れ時間が1msecのときにヘッド側電極142へ印加していた吐出電圧Vdを結ぶ線分であり、最小吐出電圧Vtを結ぶ線分L1よりも上の範囲であっても、1msecの吐出電圧Vdを結ぶ線分L2よりも下の範囲では、吐出電圧Vdの印加開始から吐出開始までの吐出遅れ時間が1m秒よりも長いから、実使用に適さない。従って、吐出電圧Vdは、線分L2以上の範囲が望ましい。
【0009】
次に、ノズルヘッド141先端と基板125との間の距離を105μmにした場合において、吐出電圧Vdの印加開始から吐出開始までの遅れ時間を、印加する吐出電圧Vdを変えて測定した。測定結果を、図6に示す。高電圧程吐出遅れ時間は短い。
パルス状の吐出電圧Vdを印加して短時間吐出させる場合、例えば、2500Hzの周波数で吐出電圧Vdを繰り返し印加する場合は、一回の吐出には400μsec当てることができる。
【0010】
インクの滴下量を考えると、吐出遅れ時間はその半分の200μsec以下であることが必要となる。図6のグラフを見ると、遅れ時間が200μsec以下で吐出状態を開始させるためには、700V程度の電圧が必要となることが分かる。
しかし、700Vもの高電圧を、0V〜700Vまで200μsec間隔で印加するためには、価格が高く、体積も大きいMOSFETを使用しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−85131
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、吐出の際の遅れ時間が短く、高耐圧で大面積のMOSトランジスタを使用しなくても済む吐出装置と吐出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するために、ノズルヘッドと、前記ノズルヘッド内に配置されたヘッド側電極と、前記ノズルヘッドの開口と対面する位置に配置され、接地電位にされた基板側電極と、前記ヘッド側電極と前記基板側電極の間に電圧を印加する電圧制御装置と、を有し、前記ヘッド側電極と前記基板側電極の間には、最小吐出電圧よりも絶対値が大きい吐出電圧が印加されると、前記ノズルヘッド内に配置された吐出液が前記ノズルヘッドの開口から吐出される吐出装置であって、前記電圧制御装置は、前記吐出電圧を前記ヘッド側電極に出力する状態と、前記最小吐出電圧よりも絶対値が小さく、接地電位よりも絶対値が大きいバイアス電圧を前記ヘッド側電極に出力する状態とを切り替えるように構成された吐出装置である。
また、本発明は、前記電圧制御装置が有する前記吐出電圧が出力される高電圧端子と前記ヘッド側電極との間は導通したパルス用MOSトランジスタによって接続され、前記バイアス電圧が出力されるバイアス端子との間は、導通したバイアス用MOSトランジスタによって接続される吐出装置である。
また、本発明は、前記ノズルヘッドと前記ヘッド側電極とを複数有する吐出装置である。
また、本発明は、ノズルヘッド内に配置されたヘッド側電極と、前記ノズルヘッドの開口と対面する位置に配置された基板側電極との間に、最小吐出電圧よりも絶対値が大きい吐出電圧を印加して、前記ノズルヘッド内の吐出液を前記開口から吐出させ、印刷対象物に着弾させる印刷方法であって、前記開口から前記吐出液を吐出しない間は、前記ヘッド側電極と前記基板側電極との間に、絶対値が接地電位よりも大きく前記最小吐出電圧よりも小さいバイアス電圧を印加する印刷方法である。
【0014】
本発明は上記のように構成されており、吐出電圧が印加されず、吐出液を吐出しない待機状態では、ヘッド側電極と基板側電極の間には、最小吐出電圧と接地電圧の間の大きさのバイアス電圧が印加されており、待機状態から、絶対値が最小吐出電圧よりも大きな吐出電圧を印加する吐出状態へ変更するときの、ヘッド側電極の電圧変化量が小さくなっている。
待機状態では予め吐出液が帯電されており、吐出状態へ変更されるときのヘッド側電極の電圧変化も小さいから、遅れ時間が小さく、低圧で小型のMOSトランジスタを用いることもできる。
【発明の効果】
【0015】
MOSトランジスタは、吐出電圧Vdよりも小さな差電圧Va(吐出電圧Vdとバイアス電圧Vbとの差)をスイッチングするだけで済むので高耐圧で大面積のMOSトランジスタを使用しなくても済む。
また、吐出の待機中に吐出液はバイアス電圧Vbで帯電されているので、吐出液を待機状態から吐出状態に変更するための差電圧Vaが小さく、帯電に必要な時間が短縮され、吐出遅れ時間が短くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の吐出装置と吐出方法を説明するための側面図
【図2】本発明の吐出装置と吐出方法を説明するための平面図
【図3】本発明の吐出装置と吐出方法の電圧印加を説明するための図
【図4】電圧印加のタイミングを説明するためのタイミングチャート
【図5】最小吐出電圧と吐出遅れ時間が短い吐出電圧を説明するためのグラフ
【図6】印加電圧と吐出遅れ時間の関係を説明するためのグラフ
【図7】従来技術の吐出装置と吐出方法を説明するための図
【図8】その吐出装置の電圧印加のタイミングを説明するためのタイミングチャート
【図9】Sweep型静電方式の吐出装置と吐出方法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1、2の符号10は、本発明の一例の吐出装置又は印刷装置と呼ばれる装置を示しており、ここでは吐出装置とすると、この吐出装置10は、印刷対象である基板25を配置する配置台20と、配置台20上に設けられた二本のガイドレール21と、ガイドレール21上に乗せられたガントリー30とを有している。
二本のガイドレール21は平行に離間して配置されており、その間には、基板側電極24が配置されている。基板側電極24上には基板25が配置されている。
【0018】
配置台20の外部には、吐出液が蓄液されたタンク38が配置されている。
ガントリー30は、タンク38に接続されて吐出液を吐出する印刷ヘッド31と、印刷ヘッド31を取り付ける取付部32と、取付部32を設ける二本の支柱33とを有している。
支柱33はガイドレール21上にそれぞれ立設されており、取付部32は、両端が二本の支柱33に取り付けられて梁状に配置されている。
【0019】
支柱33の底面はガイドレール21の表面と対面しており、支柱33の底面には、ガイドレール21に向かって圧縮空気を噴出する浮上部34が配置されている。浮上部34から圧縮空気を噴出すると、ガントリー30がガイドレール21上に浮上する。
支柱33は、浮上の際にガイドレール21上から脱落しないように構成されており、ガントリー30は移動装置(不図示)によって、配置台20上をガイドレール21が延びる方向に浮上しながら往復移動できるように構成されている。
【0020】
取付部32にはヘッド用レール35が、ガイドレール21が延びる方向とは垂直な方向に水平に延ばされている。印刷ヘッド31は、ヘッド用レール35に移動可能に取り付けられており、不図示の移動装置によって、取付部32に対して往復移動できるようにされている。
【0021】
印刷ヘッド31の取付部32に対する移動方向は、ガントリー30の配置台20に対する移動方向と垂直である。
印刷ヘッド31を説明すると、この印刷ヘッド31は、一乃至複数台の個別ヘッド40を有している。
複数の個別ヘッド40のうち、一台を図3に示す。
【0022】
個別ヘッド40は、筒状の本体容器であるノズルヘッド41と、ノズルヘッド41の内部に配置されたヘッド側電極42とを有している。ノズルヘッド41はタンク38に接続されており、ノズルヘッド41内部にタンク38から吐出液45が供給されている。ヘッド側電極42は、少なくともその一部がノズルヘッド41内の吐出液45に浸漬されている。吐出液45は非導電性であり、帯電する性質を有している。
【0023】
吐出装置10は電圧制御装置11を有している。電圧制御装置11は、電源装置12と切替装置14とを有しており、電源装置12の内部にはバイアス電源12aとパルス電源12bが配置されている。
バイアス電源12aとパルス電源12bは、バイアス電源12aの負電圧側の出力端子を接地電位に接続して互いに直列接続されており、電源装置12には、バイアス電源12aの出力電圧であるバイアス電圧Vbが出力されるバイアス端子13aと、バイアス電源12aの出力電圧とパルス電源12bの出力電圧とが重畳された電圧である吐出電圧Vdが出力される高電圧端子13bとが設けられている。
【0024】
高電圧端子13bとバイアス端子13aは、切替装置14を介して、各個別ヘッド40内のヘッド側電極42にそれぞれ接続されている。
バイアス電源12aの負電圧端子は電源装置12の接地端子13cであって接地電位に接続されている。基板側電極24は接地電位に接続されている。
【0025】
切替装置14は、複数のスイッチ回路15を有している。各スイッチ回路15は、個別ヘッド40毎に設けられており、一個の個別ヘッド40に設けられたヘッド側電極42は、別々のスイッチ回路15を介して電源装置12の高電圧端子13bとバイアス端子13aに結線されている。
【0026】
各スイッチ回路15は、バイアス用MOSトランジスタ15aとパルス用MOSトランジスタ15bとを有しており、各個別ヘッド40内のヘッド側電極42は、バイアス用MOSトランジスタ15aを介してバイアス端子13aに結線され、パルス用MOSトランジスタ15bを介して高電圧端子13bに結線されている。
【0027】
従って、バイアス用MOSトランジスタ15aが導通すると、導通したバイアス用MOSトランジスタ15aによって、ヘッド側電極42はバイアス端子13aに電気的に接続され、パルス用MOSトランジスタ15bが導通すると、導通したパルス用MOSトランジスタ15bによって、ヘッド側電極42は高電圧端子13bに電気的に接続される。
【0028】
バイアス用MOSトランジスタ15aが遮断すると、ヘッド側電極42とバイアス端子13aとの間の電気的接続は遮断され、また、パルス用MOSトランジスタ15bが遮断すると、ヘッド側電極42と高電圧端子13bとの間の電気的接続が遮断される。
バイアス用MOSトランジスタ15aとパルス用MOSトランジスタ15bは、いずれか一方が導通し、又は、両方が遮断するように制御されており、従って、ヘッド側電極42には、バイアス電圧Vbと吐出電圧Vdのいずれか一方の電圧が印加される。
【0029】
ノズルヘッド41は絶縁材料で構成されており、その下端は漏斗状に窄まっていて、下端に吐出液45が配置された部分に接続した開口43が形成されている。吐出液45は漏斗下端の開口43の位置まで充填されており、表面張力によって開口43から漏出しないようになっている。
吐出液45が帯電して基板側電極24に引き付けられ、ノズルヘッド41から吐出されるための最小吐出電圧Vtの大きさは開口43と基板側電極24との距離によって決まる。
バイアス電圧Vbは、吐出が可能な最小の電圧である最小吐出電圧Vtよりも絶対値が小さい値にされており、吐出電圧Vdは、最小吐出電圧Vtよりも絶対値が大きい値にされている。
【0030】
従って、スイッチ回路15によって、ヘッド側電極42にバイアス電圧Vbが印加されている間は、吐出液45の帯電圧が最小吐出電圧Vtよりも絶対値で小さく、吐出液45はノズルヘッド41から吐出されない。吐出液45に吐出電圧Vdが印加されると帯電圧は最小吐出電圧Vtよりも絶対値で大きくなり、ノズルヘッド41の開口43から基板側電極24に向かって吐出される。
印刷の際には、予め基板側電極24上に印刷対象物である基板25を配置しておき、先ず、バイアス用MOSトランジスタ15aを導通、パルス用MOSトランジスタ15bを遮断させてヘッド側電極42にバイアス電圧Vbを印加する。
【0031】
図4は、縦軸がヘッド側電極42に印加される電圧の絶対値の大きさであり、横軸が時間である。
0〜電圧印加時刻t1まではヘッド側電極42にバイアス電圧Vbが印加され待機状態であり、ガントリー30の移動と印刷ヘッド31の移動とによって、印刷ヘッド31を基板25の所望位置上に静止させ、次いで、電圧印加時刻t1で導通するMOSトランジスタを、バイアス用MOSトランジスタ15aからパルス用MOSトランジスタ15bに切り替え、ヘッド側電極42に吐出電圧Vdを印加し(吐出状態)、吐出液45を吐出させる。
【0032】
時刻t1から吐出時間Tが経過した後の時刻t2で導通するMOSトランジスタが、パルス用MOSトランジスタ15bからバイアス用MOSトランジスタ15aに切り替えると、ヘッド側電極42にはバイアス電圧Vbが印加され、吐出液45の吐出は停止される。
【0033】
待機状態のときのヘッド側電極42の電圧と吐出状態のときのヘッド側電極42の電圧の差電圧Vaは、吐出電圧Vdとバイアス電圧Vbの差であり、従来技術のように、差電圧Vaが吐出電圧Vdと等しい場合よりも、本発明の方が差電圧Vaの絶対値は小さいので電圧印加から吐出までの遅れ時間が短く、また、バイアス用MOSトランジスタ15aとパルス用MOSトランジスタ15bの両端の電圧変化も差電圧Vaであって小さいから、高耐圧のMOSトランジスタを用いなくても済む。また、体積の小さなMOSトランジスタを用いることもできる。
【0034】
印刷ヘッド31に配置された個別ヘッド40から吐出時間Tの間吐出状態にして吐出液45を吐出させ、基板25上に着弾させた後、印刷ヘッド31を未吐出位置に移動させると共に吐出を開始することを繰り返して印刷を行う。
【0035】
なお、図5、6に示したように、ノズルヘッド41と基板25間の距離が105μmのとき、印加電圧が400Vでは吐出液45は吐出されず、700Vでは遅れ時間1msecで吐出できるから、この場合は、バイアス電源12aの出力電圧を400Vに設定し、300Vをパルス電源12bの出力電圧とすると、バイアス電圧Vbは400V、吐出電圧Vdは700Vとなる。
なお、上記実施例では、バイアス電圧Vbと最小吐出電圧Vtと吐出電圧Vdは正電圧であり、0<Vb<Vt<Vd であったが、負電圧であって、Vd<Vt<Vb<0 の場合も含まれる。
【0036】
また、上記実施例では、基板側電極24の電位を接地電位(=0)として表現しており、基板側電極24に電圧が印加されるときでも、基板側電極24の電位を接地電位として上記不等式で表せる。
なお、上記実施例では、基板25が静止し、ノズルヘッド41が直角二方向に移動したが、ノズルヘッド41が静止して基板25が移動し、又はノズルヘッド41が一方向に移動して基板25がその方向とは直角方向に移動するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0037】
10……吐出装置
11……電圧制御装置
24……基板側電極
25……基板(印刷対象物)
41……ノズルヘッド
42……ヘッド側電極
43……開口
45……吐出液


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルヘッドと、
前記ノズルヘッド内に配置されたヘッド側電極と、
前記ノズルヘッドの開口と対面する位置に配置され、接地電位にされた基板側電極と、
前記ヘッド側電極と前記基板側電極の間に電圧を印加する電圧制御装置と、
を有し、前記ヘッド側電極と前記基板側電極の間には、最小吐出電圧よりも絶対値が大きい吐出電圧が印加されると、前記ノズルヘッド内に配置された吐出液が前記ノズルヘッドの開口から吐出される吐出装置であって、
前記電圧制御装置は、前記吐出電圧を前記ヘッド側電極に出力する状態と、前記最小吐出電圧よりも絶対値が小さく、接地電位よりも絶対値が大きいバイアス電圧を前記ヘッド側電極に出力する状態とを切り替えるように構成された吐出装置。
【請求項2】
前記電圧制御装置が有する前記吐出電圧が出力される高電圧端子と前記ヘッド側電極との間は導通したパルス用MOSトランジスタによって接続され、
前記バイアス電圧が出力されるバイアス端子との間は、導通したバイアス用MOSトランジスタによって接続される請求項1記載の吐出装置。
【請求項3】
前記ノズルヘッドと前記ヘッド側電極とを複数有する請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の吐出装置。
【請求項4】
ノズルヘッド内に配置されたヘッド側電極と、前記ノズルヘッドの開口と対面する位置に配置された基板側電極との間に、最小吐出電圧よりも絶対値が大きい吐出電圧を印加して、前記ノズルヘッド内の吐出液を前記開口から吐出させ、印刷対象物に着弾させる印刷方法であって、
前記開口から前記吐出液を吐出しない間は、前記ヘッド側電極と前記基板側電極との間に、絶対値が接地電位よりも大きく前記最小吐出電圧よりも小さいバイアス電圧を印加する印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−73189(P2011−73189A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224979(P2009−224979)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】