説明

吐瀉物の固化殺菌処理剤

【課題】 細菌、ウイルス等によって汚染された吐瀉物を処理する際に、処理自体の利便性の向上と処理者が感染リスクに晒される危険を解決すること。
【解決手段】 高吸水性ポリマーと無機鉱物質に殺菌剤を配合させることにより、吐瀉物が含む水分と殺菌成分が反応し、細菌、ウイルスに汚染された吐瀉物を殺菌することでこの感染リスクを軽減し、高吸水性ポリマーが水分を固化することで処理作業の利便性を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐瀉物を処理する際に吐瀉物に含まれる水分により高級水性ポリマーが吐瀉物を固形化し、さらに配合された殺菌剤の働きにより、処理作業者の感染リスクを軽減させるものである。
【背景技術】
【0002】
従来吐瀉物の処理剤としては、高級水性ポリマーによって固化する事で作業時の利便性を向上させる方法がある。
【特許文献1】特許公開2005−13948
【特許文献2】特許公開2001−079596
【特許文献3】特許公開平10−244249
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のような高級水性ポリマーによって固形化させるだけでは、ノロウイルスなどのような感染リスクの高い吐瀉物を処理する場合に作業者の安全を保つ事が困難である。本発明が解決しようとする課題は、目に見えない細菌・ウイルスによって汚染された吐瀉物から作業者の安全を守り、かつ簡便な作業性をもたらすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するための請求項1の発明は、高分子ポリマーを主たる成分とする吐瀉物の処理剤に殺菌成分を配合させることで、処理剤を吐瀉物に撒くことにより吐瀉物に含まれる細菌やウイルスに対して殺菌剤が作用し、より安全な処理作業を行うことができる。
【0005】
また、請求項2の発明は、配合された亜塩素酸塩と有機酸が吐瀉物に含まれる水分と反応することで優れた殺菌効果を持つ二酸化塩素を発生させ、その殺菌作用によって細菌やウイルスに汚染された吐瀉物を効果的に殺菌又は不活化させることが可能となる。
【0006】
さらに請求項3の発明は、配合された殺菌剤の成分として次亜塩素酸による殺菌効果をもたらす塩素化イソシアヌル酸を用いることでより安価に課題を解決しうる野処理剤を提供することが可能となる。
【0007】
請求項4の発明は、請求項2、請求項3のように最終的に有機物や細菌、ウイルスなどによって殺菌効果が減弱する殺菌剤の効果を補完し、殺菌効果を維持させることを目的とし、酸化チタンに代表される光触媒作用の持つ殺菌効果を処理剤に付与させることで、継続的に殺菌効果を持続させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は従来の固化処理剤とはその設計思想が根本的に異なっており、単なる作業の利便性の提供にとどまらず、吐瀉物が潜在的に保有している細菌、ウイルスに対する対策を施したところにその先進性がある。この発明により、吐瀉物の処理者は汚染された吐瀉物により感染リスクを最小限に押さえることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
無機鉱物質としてはゼオライト、珪砂、アルミナ、軽石、酸化チタンなど任意の物質を用いて良い。汚物への作業性、流動性の点から粒度は35〜250メッシュ程度の細粒に調整した物を用いることが望ましい。
【0010】
高級水性ポリマーとしては、デンプン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール系などを任意に用いることができる。粒度は前記と同様の理由から35〜250メッシュ程度に調整しておくことが望ましい。
【0011】
殺菌剤としては、塩素化イソシアヌル酸、高度さらし粉など次亜塩素酸を殺菌成分として利用する物質や、亜塩素酸ナトリウムとクエン酸を吐瀉物に含まれる水分によって反応させることで二酸化塩素を発生させる方法を用いることができる。
【0012】
次に具体的実施例に基づいて、本発明による吐瀉物の固化殺菌剤を説明する。
【実施例1】
【0013】
高分子ポリマー50g、酸化アルミナ50g、亜塩素酸ナトリウム2g、クエン酸2g、無水塩化カルシウム2gを混合調整した処理剤を汚水約1Lに投入したところ、約1分ほどで固形化し、その過程において二酸化塩素が発生した結果、汚水自体が黄色に変化し二酸化塩素による刺激臭を感じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高級水性ポリマーおよび粉末又は粒子状の無機鉱物質の混合物に殺菌剤を混合させることを特徴とする汚物の固化殺菌処理剤
【請求項2】
請求項1記載の殺菌剤が亜塩素酸塩および有機酸で構成する汚物の固化殺菌処理剤
【請求項3】
請求項1記載の殺菌剤が塩素化イソシアヌル酸類で構成する汚物の固化殺菌処理剤
【請求項4】
請求項1記載の殺菌剤に加えて、鉱物質として光触媒作用を持つ無機化合物を配合する汚物の固化殺菌処理剤

【公開番号】特開2008−169189(P2008−169189A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28571(P2007−28571)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(302072147)
【Fターム(参考)】