説明

向上した白色度を有するパラジウム−ロジウム層の堆積方法

本発明は、特に、装飾物品上への、プラチナとロジウムの合金を含むコーティングの堆積のための電気化学的プロセスに関する。本発明の方法は、電着層が、予想に反して、銀の外観に極めて近い高い白色度を有するという規定条件が利用されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、装飾物品上への、プラチナとロジウムの合金を含むコーティングの電着法に関する。本発明の方法は、電着層が、予想に反して、銀の外観に極めて近くなった高い白色度を有することを特徴とする。
【0002】
銀製品は、特に時間とともに変色し、見苦しくなることが知られている。従って、銀製品の使用、特に装飾部門での使用は、制限されている。特に、物品の頻繁な洗浄は、その外観及び美観を維持するために重要である。このため、銀製品を、類似の外観を有し且つ支配的条件下で不活性である保護コーティングで被覆可能であることが有利である。これは、特に食器及び宝石のコーティングにとって興味深い。
【0003】
コーティングは種々の方法でかかる物品に適用することができる。電解法によるコーティングは、導電性物品の場合の選択肢の1つである。様々なコーティングプロセスが、通常、被覆される部品の種類及び性質に応じて電気産業で使用されている。これらのプロセスは、とりわけ、利用され得る電流密度の点で異なっている。実質的に3つの異なるコーティングプロセスが記載されている。
1.ばら材料及び大量生産された部品のドラム塗装:
このコーティングプロセスでは、比較的低い作業電流密度が使用される(オーダー単位:0.05〜0.5A/dm
2.個々の部品のラックコーティング:
このコーティングプロセスでは、中程度の作業電流密度が使用される(オーダー単位:0.2〜5A/dm
3.連続プラントでのストリップ及びワイヤの高速コーティング:
このコーティング分野では、非常に高い作業電流密度が使用される(オーダー単位:5〜100A/dm
【0004】
ロジウム及びプラチナによる金属のコーティングは既に先行技術において公知である。DE−B1229816号は、白金族金属の金属合金を含み且つ少なくとも50質量%のプラチナ、少なくとも50質量%のロジウム又はロジウムと一緒に少なくとも50質量%のプラチナをアノードのために含有するコーティングを記載している。この文献は、単に、プラチナ合金が、とりわけ電気めっきによって得られたことを記載しているに過ぎない。この方法で形成されたコーティングは、腐食に対してアノードを保護することを意図している。
【0005】
プラチナ−ロジウム合金の塩基浴からの堆積方法も同様に公知である。米国特許第4427502号では、ポリアミン配位子が、溶液中の貴金属を錯化するために使用されている。他の貴金属と一緒に少なくとも10モル%のプラチナを含有することができる合金、例えば、ロジウムが得られる。GB348919号は、ニトリルイオン、塩化パラジム及び塩化ロジウムを含有するアンモニア電解質からの90質量%のプラチナ及び10質量%のロジウムを含むプラチナ−ロジウム合金の電着を開示している。
【0006】
更に、かかる合金はまた酸性電解質から得ることができる。従って、米国特許第3671408号は、プラチナに富む又はロジウムに富むプラチナとロジウムの合金を、どのように硫酸及びスルファミン酸を含有する浴から遷移金属の上に堆積することができるか記載している。Pt(NH(NO及び硫酸ロジウムからなるプラチナ錯体を含有する酸浴がこのプロセスで使用されている。ロジウムに富む浴は、ここで非常に白い堆積を達成することができるので、特に、銀製品のコーティングに好適であることが述べられている。この方法で堆積した合金は90質量%を上回るロジウムを含有する。堆積は、とりわけ、約10倍過剰のロジウムを含有する浴から行われている。
【0007】
米国特許第3748712号は、1〜50マイクロインチの厚さを有し且つ91〜99質量%のロジウム及び1〜9質量%のプラチナを含有する合金による銀製品のコーティングを記載している。電解浴は、0.5〜20g/lの貴金属の硫酸塩化合物を含有し且つ1〜3.5のpHで操作されると言われている。適用される電流密度は、約0.5〜4.3A/dmであると報告されている。
【0008】
両者の公報に共通していることは、要求されている白色度を達成可能にするために、非常にロジウムに富む合金をコーティングとして提案していることである。しかしながら、ロジウムの価格は、プラチナと比較して法外に高い。残念なことに、ロジウムは、最も白い白金属金属であるだけでなく、最も高価でもある。従って、1グラムのロジウムの費用は、1グラムのプラチナの費用の約5倍である。このため、多くの宝石製造業者は、高価なロジウムを避けて、これをより安価なプラチナに替えることを試みている。しかしながら、これは、規定の銀との色及び光沢の差が明確すぎない場合のみ有効である。
【0009】
従って、より少ないロジウムを使用して、製造されるべき銀の白色度に匹敵する白色度を有するコーティングを得る方法を開発することが望ましい。これは先行技術から公知の方法よりも優れていなければならない。特に、本発明によって得られるコーティングは、大きく損われていない又は同程度の良好な又は更に改良された付着、変色耐性並びに色及び色安定性を提供するために更に有利でなければならない。
【0010】
先行技術に記載されていないが、当業者によって明らかな方法で認められた、これらの課題及び更なる課題は、現請求項1の特徴を有する方法によって達成される。本発明の方法の有利な実施態様は、請求項1に従属する請求項中に定義されている。
【0011】
述べられた課題は、特に驚いたことに、電解による単純にもかかわらず有利な方式で、特に、装飾物品上へのプラチナとロジウムの合金の電着法において、合金のロジウム含量が少なくとも40質量%から85質量%以下、有利には45質量%から80質量%まで、特に有利には48質量%から70質量%まで、更に一層有利には49質量%から60質量%までの範囲であり、極めて有利には約50質量%であり、
電解が、≦1のpH及び≧2A/dmの電流密度で、電解浴として、
a)0.4〜5.0g/lのプラチナイオン、
b)1.0〜5.0g/lのロジウムイオン及び場合により
c)支持電解質、光沢剤、界面活性剤、湿潤剤、貴金属を錯化する配位子及び安定剤からなる群から選択される1種又は複数種の添加剤
を含む水溶液中で実施される、電着法において達成される。本発明の方法は、プラチナ−ロジウムコーティング中のロジウムを少なくしても、適切な製品及び物品において魅力的であっても銀のように見える、しっかりと付着する安定なコーティングを得ることを可能にする。コーティングは一般的に、純粋なロジウムの割合から理論的に予想されていたものよりも明るい2つの明度ユニット(Cielab system-http://www.cielab.de/による)である。
【0012】
更に、本発明の方法で使用されるプラチナ−ロジウム電解質の均一電着性は特に良好である。電気めっきにおいて、均一電着性とは、不均一な電流分布でも被覆されるべき加工品への向上したコーティング分布を達成する電解質の能力のことである。詳細には、マクロとミクロの間の均一電着性が区別されている。マクロの均一電着性とは、下側領域を含む加工品の全表面にわたってほぼ均一な層厚さを達成する電解浴の能力のことである。ミクロの均一電着性とは、細孔及びスクラッチ中に金属を堆積させる電解浴の能力のことである。
【0013】
本発明の電解質では、堆積されるべき金属ロジウム及びプラチナは、それらのイオンとして溶解した形で存在する。それらは、有利には、ピロリン酸塩、炭酸塩、炭酸水酸化物、炭酸水素塩、亜硫酸塩、硫酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、水酸化酸化物、酸化物及びそれらの混合物からなる群から選択される水溶性塩の形で有利には導入される。金属が、ピロリン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、炭酸水素化物塩、水酸化酸化物、水酸化物及び炭酸水素塩からなる群から選択されるイオンを有する塩の形で使用される、実施態様が更に一層有利である。電解質中に導入される塩の種類及び量は、得られた装飾コーティングの色にとって同じく決定的であり且つ消費者の要求に応じて設定することができる。堆積されるべき金属は、示された通り、宝石、消費者製品及び工業製品への装飾層の適用のためにイオン溶解した形で電解質中に存在する。プラチナのイオン濃度は、0.4〜5.0g/lの電解質、有利には0.5〜4.0g/lの電解質の範囲に設定することができ、ロジウムのイオン濃度は1.0〜5.0g/lの電解質、有利には1.5〜2.5g/lの電解質の範囲に設定することができる。製品の品質向上において、堆積されるべき金属は硫酸塩又はリン酸塩、炭酸塩又は炭酸水素化物として導入することが特に有利であり、その結果、得られるイオン濃度は、それぞれの場合に電解質1リットル当り、0.5〜1.0グラムのプラチナ及び1.0〜2.0グラムのロジウムの範囲である。
【0014】
電解質は示された1種又は複数種の添加剤を含有することができる。堆積されるべき金属塩とは異なり、更なる添加剤は、支持電解質として作用する有機添加剤(例えば、H/Na/K/NH硫酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩又はそれらの混合物(Handbuch der Galvanotechnik, Carl Hanser Verlag, 1966))、光沢剤(芳香族又は複素環式スルホン酸、亜セレン酸、アルミニウム、マグネシウムを含む(Galvanische Abscheidung der Platinmetalle, reprint by the DGO from Issue No.2 + 4, Volume 91, 2000))、湿潤剤(例えば、ポリフッ化スルホン酸、脂肪族硫酸塩(A. v. Krustenstjern, Edelmetallgalvanotechnik 1970, Eugen G. Leuze Verlag, Saulgau))又は安定剤(例えば、スルホン酸、亜硫酸塩(A. v. Krustenstjern, Edelmetallgalvanotechnik 1970, Eugen G. Leuze Verlag, Saulgau))、貴金属を錯化する配位子(例えば、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩又はそれらの混合物(Edelmetalltaschenbuch Degussa, 2nd edition, 1995, Huethig Verlag, Heidelberg))又は界面活性剤(アニオン、カチオン、非イオン界面活性剤を含む(A. v. Krustenstjern, Edelmetallgalvanotechnik 1970, Eugen G. Leuze Verlag, Saulgau))を含む。
【0015】
光沢剤及び湿潤剤の添加は、堆積されるべき装飾層の外観が特別な要件を満たさなければならない場合にのみ特に有利である。これらは、主に堆積されるべき金属の割合に依存するコーティングの色に加えて(図3)、無光沢のシルクと高光沢のシルクとの間の全ての階調における層の光沢を、調整することが可能である。また、モノカルボン酸及びジカルボン酸、アルカンスルホン酸、ベタイン、スルファミン酸、亜硫酸塩、セレン酸及び芳香族ニトロ化合物からなる群から選択される1種又は複数種の化合物を添加することも有利である。これらの化合物は電解浴の安定剤として又は光沢剤として作用する。シュウ酸、アルカンスルホン酸、特に、メタンスルホン酸、又はニトロベンゾトリアゾール又はそれらの混合物を使用することが特に有利である。好適なアルカンスルホン酸はEP1001054号に見出され得る。可能なカルボン酸は、例えば、クエン酸及びそのNa/K塩(Galvanische Abscheidung der Platinmetalle, reprint by the DGO from Issue No.2 + 4, Volume 91, 2000)である。使用されるべきベタインは、有利にはWO2004/005528号に見出され得るものである。特に、EP636713号に記載されたものを使用することが有利である。この文脈において、1−3(3−スルホプロピル)ピリジニウムベタイン又は1−(3−スルホプロピル)−2−ビニルピリジニウムベタインを使用することが更に一層有利である。
【0016】
更に、本発明の方法において支持電解質を電解質に添加することができる。可能な支持電荷質は、ピロリン酸塩、炭酸塩、炭酸水酸化物、炭酸水素塩、亜硫酸塩、硫酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、水酸化物又はカルボン酸アニオン、ホスホン酸アニオン、スルホン酸アニオンなどのアニオンを有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩である。この文脈では、特に、硫酸及びリン酸が挙げられてよく、これらは、例えば、酸化ロジウム水和物から硫酸ロジウム又はリン酸ロジウムを生成させる反応に過剰に添加されている(Galvanische Abscheidung der Platinmetalle, reprint by the DGO from Issue No.2 + 4, Volume 91, 2000)。
【0017】
また、界面活性剤(例えば、長期間にわたり非常に低いpHに耐性のある、ポリフッ化置換基を有する及び有していない、アニオン、カチオン及び/又は非イオン界面活性剤(electroplating chemicals, TIB Chemicals AG, Mannheim))を添加することもできる。
【0018】
本発明による電解質を使用する装飾物品、消費財及び工業製品へのコーティングの適用は、電気化学的プロセスにおいて、示される通りに実施されている。ここでは、堆積されるべき金属が、電気めっきが連続式又はバッチ式プロセスで行われるかどうかにかかわらず、プロセスの間、常時溶液中に保持されることが重要である。これを確実にするために、本発明による電解質は錯化剤を含有することができる。貴金属を錯化する配位子として、硫黄原子又はリン原子を有するもの、例えば、硫酸及びリン酸が挙げられてよく、これらは、例えば、酸化ロジウム水和物から硫酸ロジウム又はリン酸ロジウムを生成させる反応に過剰に添加されている(Galvanische Abscheidung der Platinmetalle, reprint by the DGO from Issue No.2 + 4, Volume 91, 2000)。
【0019】
電解質中の貴金属を錯化する化合物の量は、当業者によって目的とされた方法で調整することができる。これは、電解質中の濃度が、十分な程度まで当該効果を得るために、最少量を上回るべきであるという事実によって制限される。
【0020】
電解質のpHは、この電気めっき用途のために要求される≦1の範囲である。電解質が低すぎるpH値では不安定な傾向があるという事実によって下限が設けられている。従って、0〜0.8の範囲、更に一層有利には約0.2が有利である。電解質の酸性化は一般に無機酸を使用して実施することができる。このため、とりわけ、硫酸を使用することが有利である。更に一層有利な実施態様において、100ml/l以下の濃度の硫酸を用いて水性電解浴を酸性化する。
【0021】
本発明の方法は、当業者が一般的な技術的知見に基づいて選択する温度で操作することができる。電解浴が電解の間20〜70℃の範囲に維持されることが有利である。30〜50℃の範囲を選択することが更に有利である。この方法は特に有利には約45℃の温度で実施される。
【0022】
本発明の方法を使用する場合、種々のアノードを使用することが可能である。不溶性のアノードが有利である。不溶性のアノードとして、有利には、プラチナめっきチタン、黒鉛、イリジウム遷移金属混合酸化物及び特定の炭素物質(「ダイヤモンド様炭素」、DLC)又はこれらのアノードの組み合わせからなる群から選択される物質で構成されたアノードが使用される。また、イリジウム−ルテニウム混合酸化物、イリジウム−ルテニウム−チタン混合酸化物又はイリジウム−タンタル混合酸化物から構成された混合酸化物アノード(MMO)も有利である。更なる物質は、Cobley, A.J.ら(The use of insoluble Anodes in Acid Sulphate Copper Electrodeposition Solutions, Trans IMF, 2001 ,79(3), 第113〜114頁)に見出され得る。Platinode(登録商標)177型のMMO(Umicore Galvanotechnik GmbH社から得られる)を使用することが更に一層有利である。
【0023】
合金組成物の堆積が、2A/dmで又はそれを上回る広い電流密度範囲にわたり有意に変化しないことが本発明の重要な利点である(図2)。このため、ラック用途のために比較的高い電流密度でさえも十分に均一であるように見える表面品質も得られる。当業者であれば、最適であると考えられる結果を得るように、経済的且つ技術的な境界条件に基づいて電流密度範囲を選択する。7.0A/dm以下、有利には6.0A/dmの電流密度を選択することが有利であり、電流密度は特に有利には3.0A/dm〜4.0A/dmの範囲である。
【0024】
プラチナイオンはまた、本発明の方法において、従来から錯体の形で使用することができる。この種の商業的に入手可能な化合物は、例えば、プラチナのアンモニア錯体[Pt(NHSO]又は[Pt(NHSO]である。窒素含有配位子は電解質中に存在することができるので、これらは有利には対応するプラチナ錯体の形で電解質中に導入される。従って、プラチナイオンは有利には、アンモニア、モノアミン又はオリゴアミンなどの窒素配位子を有する錯塩の形で使用される。多座配位子、特に、ジアミン、トリアミン又はテトラアミンをベースとした配位子の使用が、ここでは有利である。2〜11個の炭素原子を有する配位子が特に有利である。エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、トリメチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミンからなる群から選択される配位子を使用することが更に一層有利である。このためにエチレンジアミン(EDA)が最も有利である。
【0025】
本発明の方法は、特に、経済的に有利な方法で、銀で作られた装飾金属物品上への白色のプラチナーロジウム層の堆積を可能にする。約50:50の合金の白色度(明度)は、理論的に予想される値に対して有意に向上し、且つ>90%のロジウム金属を含有す合金の値に近づいている(概要1)。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
色及び光学的外観、例えば、層の光沢度は、少なくとも純粋なロジウム層のものよりも著しく不良ではないことが分かった。これによって、劇的な割合の高価なロジウムを節約することができる。これは先行技術から予想されなかったことである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は合金中のロジウムの割合の関数としての明度(白色度)を示す。
【図2】図2は電流密度の関数としての明度(白色度)を示す。
【図3】図3は合金中のロジウムの割合の関数としての明度(白色度)を示す。
【図4】図4は電流密度及び温度の関数としての合金を示す。
【0030】
実施例:
向上した白色度及びこのための電解質を有する電着したプラチナ層
電解質組成物:
プラチナ:0.6g/l
ロジウム:1.5g/l
硫酸濃度:40ml/l(=約70g/l)
総酸:80g/l
【0031】
操作条件:
温度:45℃
pH:0.25(45℃で)又は0.2(25℃で)
密度:1.046g/cm(45℃で)又は1.051g/cm(25℃で)
電流密度:2.0A/dm(0.25〜5.0A/dm
アノード:MMO(Platinode(登録商標)177型;Umicore Galvanotechnik GmbHから市販されている、強酸のロジウム又はプラチナ電解質のための混合金属酸化物で被覆されたチタンアノード)
堆積速度:約0.084μm/分(2.0A/dmで)
堆積収量:約7.1mg/アミン(2.0A/dmで)
合金(約):Pt:Rh=50:50(2.0A/dmで)
【0032】
白色の、光沢のある層は、これらのパラメータで操作される電解質を使用して製造することができる。これらの色(CIELによる)を、Xrite(model SP 62)からの測色計を使用して測定した。ここで、L値は層の明度を決定する(これは層上に入射される光の反射のパーセンテージに相当する。L=0は完全な黒色を意味し、L=100は光の完全な反射を意味する(http://www.cielab.de/)。
【0033】
明度(白色度)の急激な向上は、電流密度が0.25A/dmから約2.0A/dmまで増大する時に顕著である。>2.0A/dmの電流密度では、明度はわずかに向上するか又は一定のままである(図2)。
【0034】
図面の説明:
図1 コーティングの明度(白色度)を、ここでは合金中のロジウムの割合の関数として示す。これにより40%を上回る割合のロジウム、合金の明度が、理論的に予想される値を上回って向上することが分かる。
図2 印加された電流密度が変化する時のコーティングの明度(白色度)は、≧2A/dmの電流密度が選択される限り、ほぼ一定である。
図3 合金の明度(白色度)は、もはや約50%のロジウムの割合を超えて向上しない。従って、この範囲の合金組成における小さな差はほとんど重要ではない。
図4 合金組成は、≧2A/dmの広い電流密度の範囲にわたってほぼ一定のままである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合金のロジウム含量が少なくとも40質量%から85質量%以下までの範囲である、プラチナとロジウムの合金の、特に、装飾物品上への電着法において、
電解が、≦1のpH及び≧2A/dmの電流密度で、電解浴として、
a)0.4〜5.0g/lのプラチナイオン、
b)1.0〜5.0g/lのロジウムイオン及び場合により
c)支持電解質、光沢剤、界面活性剤、湿潤剤、貴金属を錯化する配位子及び安定剤からなる群から選択される1種又は複数種の添加剤
を含む水溶液中で実施されることを特徴とする、電着法。
【請求項2】
水性電解浴が100ml/l以下の濃度の硫酸により酸性化されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
温度が堆積の間20〜70℃の範囲であることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
混合金属酸化物アノードがアノードとして使用されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
電流密度が7.0A/dm以下であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
プラチナイオンが、アンモニア、モノアミン又はオリゴアミンなどの窒素配位子を有する錯塩の形で使用されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−504701(P2012−504701A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529465(P2011−529465)
【出願日】平成21年9月23日(2009.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006874
【国際公開番号】WO2010/037495
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(507237679)ユミコア ガルヴァノテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (10)
【氏名又は名称原語表記】Umicore Galvanotechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Klarenbergstrasse 53−79, 73525 Schwaebisch Gmuend, Germany
【Fターム(参考)】