説明

含フッ素化合物およびその含フッ素重合性単量体の製造方法

【課題】フェノール類に含フッ素ケトンを反応させ、パラ位にヒドロキシルフルオロアルキル基が結合した含フッ素化合物を高選択率で得る含フッ素重合性単量体の製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)の化合物に、一般式(2)の含フッ素ケトンを含フッ素酸触媒存在下で反応させ、一般式(3)の含フッ素化合物を得る。


(式中、R〜Rそれぞれ独立に水素原子、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基等を表し、フッ素または酸素原子を有してもよく、RとRは結合してもよく、いずれかはフッ素原子を有し、Xは0〜2、Yは0〜8の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素化合物の製造方法およびその含フッ素重合性単量体の製造方法に関する。本発明の製造方法による含フッ素重合性単量体は、半導体レジストの材料として有用である。
【背景技術】
【0002】
含フッ素化合物は、撥水性、撥油性、低吸水性、耐熱性、耐候性、耐腐食性、透明性、感光性、低屈折率性または低誘電性等の特徴を有することから、機能性材料として幅広い技術分野に使用される。
【0003】
例えば、半導体の分野においては、フォトマスクを形成する際のフォトリソグラフィー法を用いたパターニングの際に、紫外光領域における優れた感光性を有するレジスト材料として、含フッ素レジスト材料が用いられ、パターニング微細化の要求に伴い、より感度向上した含フッ素レジスト材料の研究がされる。
【0004】
現在、波長193nmの紫外光を発振するフッ化アルゴン(以後、ArFと略する)エキシマレーザを光源とするリソグラフィーが本格的に実用化されており、今後はさらに波長の短い波長13.5nmの極紫外光を用いるExtreme Ultra Violet(以後、EUVと略する)リソグラフィーの実用化を目指して、含フッ素レジスト材料の研究が進められている。
【0005】
ますます高度化、多様化する含フッ素レジスト材料に対する要求に対して、透明性、基板密着性およびエッチング耐性等の機能に優れ、これらすべての機能を兼ね備えた含フッ素レジスト材料に用いる含フッ素モノマーが望まれている。今日、さまざまな含フッ素モノマーがレジスト材料用途として研究開発されているが、この中でもシクロヘキサン環、ノルボルネン環、アダマンタン環といった環構造を有する含フッ素モノマーがレジスト用途に頻繁に使用されている。
【0006】
シクロヘキサン環構造を有する含フッ素モノマーから得られる含フッ素レジスト材料は、半導体製造プロセスにおけるパターニングの際のドライエッチング耐性が高いことが報告されている。
【0007】
また、ヒドロキシル基といった高極性の置換基は、レジスト膜の基板への密着性に大きく寄与し、フッ素原子を導入することによりレジスト膜樹脂の透明性を向上させることができる。加えて、含フッ素アルコールは通常のアルコールと比べて酸性度が高く、フォトリソグラフィーにおけるレジスト膜の感光した部位にアルカリ現像液に対する溶解性を付与することができる。例えば、3,5−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキシルトリフルオロメチルアクリレートの製造方法およびそれを用いるレジストポリマーが特許文献1に開示される。
【0008】
3,5−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキシルトリフルオロメチルアクリレートといった重合性基を有するシクロヘキサン環モノマーをレジスト材料として使用する際には、高極性基の導入する部位を重合性基より最も離れている4位(パラ位)に選択的に導入することが望ましい。これは、2位(オルト位)または3位(メタ位)に導入した場合と比べて、パラ位に高極性基を導入すると、ポリマー化した際の立体構造上、高極性基が外側に張り出した構造を取るため、レジスト膜とした際に密着性が向上する。また、パラ位に導入することによりモノマー構造の対称性が高くなり、ポリマーのガラス転移点の向上により、耐熱性が期待される。さらに、アクリル系の重合性基の場合、モノマー分子内に酸素原子を有しているため、パラ位に高極性基を導入することにより、この酸素原子との分子内相互作用を抑えることが可能で、紫外光に対する感度向上の効果がある。
【0009】
パラ位に極性基を導入する方法としては、非特許文献1にBFを酸触媒として、芳香環に対してヒドロキシルフルオロアルキル基を求電子置換反応させるフリーデルクラフツ反応により、フェノールに比較的高い選択性で含フッ素ケトンを導入する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−83900号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】J.Org.Chem.,1965,30(4),1003−1005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
フェノールに極性基を導入した重合性モノマーの合成法として、フリーデルクラフツ反応により、フェノールの芳香環の水素と含フッ素ケトンと置換させ、ヒドロキシルフルオロアルキル基を結合させることで、フェノールに高極性基である含フッ素ケトンを導入し、ヒドロキシルフルオロアルキル基を有するフェノールを合成することができる。次いで、これを水素還元し芳香環を脂環とし、脂環に重合性基を導入することにより、含フッ素重合性単量体が得られる。
【0013】
得られた含フッ素重合性単量体において、パラ位に高極性基である含フッ素ケトンを導入すると、レジスト膜とした際に基板との密着性よく、紫外線に対する感光性が高く、感度よいレジスト材料を与えるレジストモノマーとして使用される。
【0014】
しかしながら、フェノールに含フッ素ケトンを導入する際に、酸を触媒とし含フッ素ケトンの芳香環への置換反応を行うと、電子供与性基であるヒドロキシル基に対し、芳香環のオルト位またはパラ位に含フッ素ケトンが導入された異性体の混合物となり、導入位置の選択性に欠け、所望のパラ位に含フッ素ケトンが導入された含フッ素化合物が得られないという問題があった。
【0015】
例えば、非特許文献1に記載された、BFを酸触媒として用いるフリーデルクラフツ反応により、フェノールに含フッ素ケトンを導入する方法について、発明者らが追試した結果、フェノールのオルト位とパラ位への含フッ素ケトンの導入比は6対4であり、レジスト材料等の原料として有用な、フェノールのパラ位に含フッ素ケトンを導入した、即ち、フェノールのパラ位にヒドロキシルフルオロアルキル基が結合した含フッ素化合物を高い選択率で得ることができないという問題があった(本願明細書の比較例参照)。
【0016】
本発明は、フェノール等の芳香環にOH基が結合した化合物と含フッ素ケトンを反応させ、選択的にOH基を基準とする芳香環のパラ位に選択的に含フッ素ケトンを導入し、パラ位にヒドロキシルフルオロアルキル基が結合した含フッ素化合物を得、当該含フッ素化合物より、レジスト材料として有用な含フッ素重合性単量体を得る製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明者は、上記課題を解決するために、フリーデルクラフツ反応における酸触媒の鋭意検討を行い、酸触媒にフッ酸または含フッ素スルホン酸、特に含フッ素スルホン酸を用いることによって、高い選択性でフェノールのパラ位に含フッ素ケトンを導入することができることを見出した。目的生成物であるパラ位付加体が選択性よく得られたことは、酸触媒である、フッ酸または含フッ素スルホン酸の酸性度が高いためと考えられる。
【0018】
即ち、本発明は、以下、[発明1]〜[発明4]の含フッ素化合物およびその含フッ素重合性単量体の製造方法である。
【0019】
[発明1]
一般式(1):
【化1】

【0020】
(式(1)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜25の直鎖状、炭素数3〜25の分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であって、一部がフッ素原子または酸素原子と置換されていてもよい。Xは0〜2の整数、Yは0〜8の整数。)
で表されるヒドロキシアリール化合物と、
一般式(2):
【化2】

【0021】
(式(2)中、RとRは、それぞれ独立に水素原子または、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状もしくは環状のアルキル基を示し、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されてもよい。また、RとRが結合して、環状化合物を形成してもよい。さらにRとRのどちらかに少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する。)
で表される含フッ素ケトンを含フッ素酸触媒存在下で反応させることを特徴とする
一般式(3):
【化3】

【0022】
(式(3)中、R〜R、XおよびYは上記と同じ。)
で表される含フッ素化合物Aの製造方法。
【0023】
[発明2]
含フッ素酸触媒がフッ酸または含フッ素スルホン酸であることを特徴とする発明1の方法。
【0024】
[発明3]
含フッ素スルホン酸がトリフルオロメタンスルホン酸であることを特徴とする発明2の方法。
【0025】
[発明4]
(発明1〜発明3で得られた)一般式(3):
【化4】

【0026】
(式(3)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜25の直鎖状、炭素数3〜25の分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であって、一部がフッ素原子または酸素原子と置換されていてもよい。RとRは、それぞれ独立に水素原子または、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状もしくは環状のアルキル基を示し、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されてもよい。また、RとRが結合して、環状化合物を形成してもよい。さらにRとRのどちらかに少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する。Xは0〜2の整数を表し、Yは0〜8の整数を表す。)
で表される含フッ素化合物Aを、ルテニウム触媒存在下、水素による還元を行うことにより一般式(4):
【化5】

【0027】
(式(4)中、R〜R、XおよびYは上記と同じ。)
で表される含フッ素化合物Bを合成する工程、
合成されたフッ素化号物Bを、一般式(5):
【化6】

【0028】
(式(5)中、R4は水素原子、C2m+1、またはC2 n + 1(m、nはそれぞれ独立に1〜4の整数)。A はF、Cl、または
一般式(6):
【化7】

【0029】
(式(6)中、R4は水素原子、C2m+1、またはC2 n + 1(m、nはそれぞれ独立に1〜4の整数。)で表される基の何れかを表す。)
で表されるアクリル酸誘導体化合物を反応させて、一般式(7):
【化8】

【0030】
(式(7)中、R〜R、XおよびYは上記と同じ。)
で表される含フッ素重合性単量体を合成する工程、
を含む、含フッ素重合性単量体の製造方法。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、フェノールまたは多価フェノール(多環芳香族フェノール)等、芳香環にOH基が結合した化合物と含フッ素ケトンを反応させ、芳香環にOH基が結合した化合物のパラ位に、高選択率で含フッ素ケトンを導入する含フッ素化合物およびその含フッ素重合性単量体の製造方法が提供された。
【0032】
具体的には、本発明の方法において、フリーデルクラフツ反応における酸触媒の鋭意検討を行い、酸触媒に含フッ素スルホン酸、特にトリフルオロメタンスルホン酸を用いることによって、高選択率で、フェノールのパラ位に選択的に含フッ素ケトン導入する、即ち、選択的にフェノールのパラ位にヒドロキシルフルオロアルキル基を結合させることができた。
【0033】
本発明の方法により、レジスト膜とした際に基板との密着性よく、紫外線に対する感光性が高く、感度よいレジスト材料を与えるレジストモノマーとして使用されるパラ位に高極性基である含フッ素ケトンを導入した含フッ素重合性単量体が、選択性よく、収率よく得られた。
【発明を実施するための形態】
【0034】
1.含フッ素化合物Aの製造方法
本発明は、一般式(1):
【化9】

【0035】
(式(1)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜25の直鎖状、炭素数3〜25の分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であって、一部がフッ素原子または酸素原子と置換されていてもよい。Xは0〜2の整数、Yは0〜8の整数。)で表されるヒドロキシアリール化合物と、一般式(2):
【化10】

【0036】
(式(2)中、RとRは、それぞれ独立に水素原子または、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状もしくは環状のアルキル基を示し、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されてもよい。また、RとRが結合して、環状化合物を形成してもよい。さらにRとRのどちらかに少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する。)で表される含フッ素ケトンを含フッ素酸触媒存在下で反応させることを特徴とする一般式(3):
【化11】

【0037】
(式(3)中、R〜R、XおよびYは上記と同じ。)で表される含フッ素化合物Aの製造方法である。
【0038】
即ち、本発明の含フッ素化合物Aの製造方法は、一般式(1)で表されるヒドロキシアリール化合物に対し、一般式(2)で表される含フッ素ケトンを反応させ、一般式(3)で表される含フッ素化合物Aを製造する際、酸触媒として、フッ素系酸触媒を用いることにより、高い選択性で芳香環のパラ位に含フッ素ケトンを導入し、即ち、ヒドロキシルフルオロアルキル基を結合させる反応を進行させるものである。フッ素系酸触媒としてはフッ酸が挙げられるが、取り扱いが容易なことより、含フッ素スルホン酸類が好ましく、特にトリフルオロメタンスルホン酸が好ましい。
【0039】
本発明の含フッ素化合物Aの製造方法の反応機構を推察すれば、反応機構にはフッ素が有する大きな電気陰性度が関与していると思われる。フッ素の導入によって、酸触媒の酸性度が飛躍的に向上し、その強い酸性度によりパラ付加体が選択的に得られてきたと考えられる。
【0040】
一般式(1)〜(3)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜25の直鎖状、炭素数3〜25の分岐状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であって、構造中にフッ素原子、酸素原子を含んでもよい。正確には、構造中の酸素原子がフッ素原子に置き換わって、即ち、置換されていてもよく、炭素原子が酸素原子に置き換わって、即ち、置換されていてもよい。R〜Rの構造は、上記範囲の中で特に制限されないが、使用目的によりその構造を選択できる。
【0041】
〜Rに使用できる炭素数1〜25の直鎖状、炭素数3〜25の分岐状もしくは環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−プロピル基、sec−ブチル基、tert-ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、sec−ペンチル基,ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、エチルヘキシル基、ノルボルネル基またはアダマンチル基が挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基またはエチニル基が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ベンジル基または4−メトキシベンジル基が挙げられ、上記官能基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
【0042】
また、酸素原子を含むものとしては、アルコキシカルボニル基、アセタール基またはアシル基が挙げられ、具体例を以下に示す。
【0043】
即ち、アルコキシカルボニル基としては、tert−ブトキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基またはi−プロポキシカルボニル基が挙げられる。
【0044】
また、アセタール基としては、メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエチル基、ベンジルオキシエチル基、フェネチルオキシエチル基、エトキシプロピル基、ベンジルオキシプロピル基、フェネチルオキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシイソブチル基もしくはその鎖状のエーテル、またはテトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基もしくはその環状エーテルが挙げられる。
【0045】
また、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基またはイソニコチノイル基が挙げられる。
【0046】
さらに、本発明の方法において、上記アルコキシカルボニル基、アセタール基またはアシル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたものを使用することができる。
【0047】
また、本発明の方法において、RとRのどちらかには少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する含フッ素ケトンを用いる。
【0048】
反応に使用する含フッ素酸触媒としては、フッ素を有する酸としてトリフルオロメタンスルホン酸に代表される含フッ素スルホン酸類、トリフルオロ酢酸に代表される含フッ素カルボン酸類、またはフッ酸を挙げることができるが、これらの中でも含フッ素スルホン酸類が、反応において、一般式(1)に表されるヒドロキシアリール化合物の芳香環にヒドロキシルフルオロアルキル基を結合させる効果が高く、中でもトリフルオロメタンスルホン酸の効果が高く、本発明の含フッ素化合物Aの製造方法に好適に使用される。
【0049】
これら含フッ素スルホン酸の使用量は特に限定されるものではなく、一般式(1)に表されるヒドロキシアリール化合物1モルに対して0.01モル以上、0.5モル以下の使用量で十分な効果が得られる。0.01モル未満では上述の効果がなく、0.5モルより多く使用する必要はない。過剰使用を防止し、反応速度や副反応を抑制するという観点から、本発明の含フッ素化合物Aの製造方法において、ヒドロキシアリール1モルに対して、含フッ素スルホン酸を0.03モル以上、0.1モル以下に使用することが好適である。
【0050】
本発明の含フッ素化合物Aの製造方法における、一般式(1)に表されるヒドロキシアリール化合物の芳香環にヒドロキシルフルオロアルキル基を結合させる反応において、無溶媒であっても反応は進行するが、作業性、反応温度等の反応条件の制御し易さ等から考えて、有機溶媒を使用することが好ましい。
【0051】
上記反応に使用される有機溶媒は、一般式(1)で表されるヒドロキシアリール化合物、一般式(2)で表される含フッ素ケトン、触媒として用いる含フッ素スルホン酸と反応しなく、析出物等生じることなく安定に溶解する溶媒であれば、特に制限なく使用できるが、これらの化合物の溶解性、本発明の一般式(3)で表される含フッ素化合物Aの製造方法における反応速度の観点から、ベンゼン、トルエンに代表される炭化水素類、クロロホルム、ジクロロエタンに代表されるハロゲン化アルキルが好適に使用される。
【0052】
本発明の含フッ素化合物Aの製造方法において、これらの有機溶媒は単独でも使用しても、2種類以上混合して用いても差し支えない。また、これらの有機溶媒の使用量は特に限定されないが、釜収量や溶解度、反応速度の観点から、一般式(1)で表されるヒドロキシアリール化合物1モルに対して、0.1リットル以上、5リットル以下となるように使用することが好ましい。0.1リットル未満であると、完全に溶解されない懸念があり、5リットルより多くする必要がなく、反応速度が遅くなることが懸念される。特に、好ましくは、0.1リットル以上、3リットル以下である。
【0053】
本発明の含フッ素化合物Aの製造方法における反応条件は、使用する原料、即ち、反応試剤の種類、反応における量または濃度等に応じて、例えばガスクロマトグラフィー等で反応の進行を確認しながら調整する等して、適宜設定すればよい。しかしながら、反応温度および反応時間に関しては、副反応を抑制しながら高い反応速度で反応を行う観点から、0℃以上、150℃以下で、0.5時間以上、24時間以下に反応を行う。また、本発明の含フッ素化合物Aの製造方法における、一般式(1)で表されるヒドロキシアリール化合物のパラ位に含フッ素ケトンを導入し、反応は発熱反応であるため、反応温度を均一にするために攪拌を行うのが好適である。
【0054】
このようにして一般式(1)に表されるヒドロキシアリール化合物の芳香環にヒドロキシルフルオロアルキル基を結合させることにより、使用原料である一般式(1)に表されるヒドロキシアリール化合物の構造に対応した一般式(3)で表される含フッ素化合物Aを得ることができる。
【0055】
具体的には、本発明の含フッ素化合物Aの製造方法において、一般式(1)で表されるヒドロキシアリール化合物としてフェノールを用い、一般式(2)で表される含フッ素ケトンとしてヘキサフルオロアセトンを用い、トリフルオロメタンスルホン酸を用い反応させた場合には、一般式(3)で表される含フッ素化合物Aである4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)フェノールが生成する。
【0056】
また、本発明の含フッ素化合物Aの製造方法により得られた、一般式(3)で表されるフッ素化合物Aの反応液からの回収は、反応液を塩基水溶液で洗浄して含フッ素酸を除去した後、水等で洗浄し、有機層から溶媒を減圧留去して目的生成物である含フッ素化合物Aを分離すればよい。
【0057】
本発明の含フッ素化合物Aの製造方法によれば、このような簡単な分離方法で生成物を分離しても、目的生成物である含フッ素化合物Aの純度は高く、用途によっては特に精製することなく、そのまま使用することもできるが、より高純度の含フッ素化合物Aを得たい場合は、得られる含フッ素化合物Aの性状に応じてカラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶等の方法によって精製を行うことが好ましい。
【0058】
本発明の含フッ素化合物Aの製造方法の代表的な例を示すならば、一般式(1)で表されるヒドロキシアリール化合物に含まれるフェノールと、一般式(2)で表される含フッ素ケトンに含まれるヘキサフルオロアセトンを、含フッ素酸触媒としてのトリフルオロメタンスルホン酸を用い反応させ、一般式(3)で表される含フッ素化合物Aに含まれる4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)フェノールを得る以下の反応を用いた方法である。
【化12】

【0059】
また、本発明の方法は、フェノールばかりでなく、α−ナフトールまたはアントラセンのα位にOH基が結合した化合物のパラ位に選択性よく、含フッ素ケトンを導入する際にも応用可能である。特に、反応の容易さ、合成時のハンドリングの観点から、ナフトールに含フッ素ケトンを導入する際にも有効である。
【0060】
2.含フッ素重合性単量体の製造方法
次いで、一般式(3)で表される含フッ素化合物Aを半導体用レジスト材料として有用な、一般式(7)に表される含フッ素重合性単量体(モノマー)であるアクリル酸エステルに導いていく本発明の含フッ素重合性単量体の製造方法について説明する。
【0061】
即ち、本発明の含フッ素重合性単量体の製造方法は、(発明1〜発明3の含フッ素化合物Aの製造方法で得られた)一般式(3):
【化13】

【0062】
(式(3)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜25の直鎖状、炭素数3〜25の分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であって、一部がフッ素原子または酸素原子と置換されていてもよい。RとRは、それぞれ独立に水素原子または、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状もしくは環状のアルキル基を示し、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されてもよい。また、RとRが結合して、環状化合物を形成してもよい。さらにRとRのどちらかに少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する。Xは0〜2の整数を表し、Yは0〜8の整数を表す。)で表される含フッ素化合物Aを、ルテニウム触媒存在下、水素による還元を行うことにより一般式(4):
【化14】

【0063】
(式(4)中、R〜R、XおよびYは上記と同じ。)
で表される含フッ素化合物Bを合成する工程、
合成された含フッ素化合物Bを、一般式(5):
【化15】

【0064】
(式(5)中、R4は水素原子、C2m+1、またはC2 n + 1(m、nはそれぞれ独立に1〜4の整数)。A はF、Cl、または一般式(6):
【化16】

【0065】
(式(6)中、R4は水素原子、C2m+1 、またはC2 n + 1(m、nはそれぞれ独立に1〜4の整数。)で表される基の何れかを表す。)
で表されるアクリル酸誘導体化合物を反応させて、一般式(7):
【化17】

【0066】
(式(7)中、R〜R、XおよびYは上記と同じ。)
で表される含フッ素重合性単量体を合成する工程
を含む、含フッ素重合性単量体の製造方法である。
【0067】
含フッ素重合性単量体の製造方法の代表的な例を示すならば、一般式(3)で表される含フッ素化合物Aに含まれる4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)フェノールを水素還元反応により、一般式(4)で表される含フッ素化合物Bに含まれる4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキサノールを合成する工程(芳香環への水素添加反応)、および、4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキサノールに対してメタクリロイルエステル化反応を行うことにより、一般式(7)で表される含フッ素重合性単量体に含まれる4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキシルメタクリレートを得る工程(エステル化反応)を含む以下の方法である。
【化18】

【0068】
以下、「芳香環への水素添加反応」を行う工程と「エステル化反応」を行う工程について説明する。
【0069】
2.1 芳香環への水素添加反応
一般式(3)で表される含フッ素化合物Aに対し、ルテニウム触媒下、水素還元反応を行い、芳香環に水素を添加して脂環とし、一般式(4)で表される含フッ素化合物Bを合成できる。含フッ素化合物Bを合成する際、原料化合物として発明1〜3に記載の方法で得られた一般式(3)で表される含フッ素化合物Aを好適に使用することができる。
【0070】
この際、使用されるルテニウム触媒は、ルテニウムを、活性炭、アルミナ、シリカまたはクレーから選ばれた担体に担持したもの、RuCl3 、RuBr3、もしくはRu(NOから選ばれたルテニウム塩、Ru(CO)、Ru(NO)、K[Ru(CN)]、もしくはRu(phen)Clから選ばれたルテニウム錯体、または酸化ルテニウムから選択して用いることが可能である。尚、前記化学式中、phenはフェナントロリンの略である。
【0071】
これらルテニウム触媒の中でも、含フッ素化合物Bを合成する工程においては、特にルテニウムを担体に担持させた固相触媒が高い触媒活性を示し且つ安定性が高く、取扱いが容易であるため、当該触媒を用いることが好ましい。
【0072】
前記触媒はルテニウムを溶液に溶かし、この溶液を担体に含浸させた後、加熱しながら、Hガスで還元処理することで調整できる。特に、ルテニウムカーボン触媒(以下、Ru/Cと略する)、ルテニウム−アルミナ触媒、ルテニウム−シリカ触媒は市販されており、例えば、Ru/Cは、安田薬品株式会社製、5質量%Ruカーボン粉末(含水品)Aタイプ、品番:AC4504等を容易に入手でき、触媒活性も高いことから、含フッ素化合物Bを合成する工程に用いるに好ましい。特に、含水品、例えば、触媒全重量中、50質量%の水を含む製品を使用すると水素還元反応のハンドリングにおいて、取扱いやすい。
【0073】
また、ルテニウム触媒の固体分中のルテニウム含量に特別な制限はないが、2質量%以上、10質量%以下が好ましく、例えば、5質量%の触媒が入手も容易で、且つ安定性も高く、水素還元反応において、取扱いやすいため、本発明の方法において好ましく用いられる。
【0074】
尚、含フッ素化合物Bを合成する工程において、これらルテニウム触媒の複数の種類を共存させて水素還元反応を行うこともできる。しかしながら、組合せることにより特別な作用がない限りは、単独で用いる方が実用的である。
【0075】
水素還元反応に用いるルテニウム触媒の量は、一般式(3)で表される含フッ素化合物Aの1モルあたり、Ru原子換算で通常0.0002モル以上、0.04モル以下であり、ルテニウム触媒が0.0002モルよりも少ないと反応速度が低下し、0.04モルよりも多く使う必要はない。好ましくは、0.0004モル以上、0.02モル以下である。さらに、好ましくは0.001モル以上、0.01モル以下である。
【0076】
含フッ素化合物Bを合成する工程において、一般式(3)で表される含フッ素化合物Aの還元に用いる水素は、常圧(0.1MPa)以上、5MPa以下で反応系に供給することができ、水素を加圧して供給した方が、前記水素還元反応の反応速度が上がり、反応操作も簡便であるため好ましい。具体的には、0.2MPa以上、4MPa以下が好ましい。さらに0.5MPa以上、3MPa以下が好ましい。尚、常圧未満であっても、水素還元反応を行うことはできるが、反応が遅くなることがあり、設備的にも煩雑になるため、実用的ではない。
【0077】
前記水素還元反応において使用するルテニウム触媒は安定性が高く、空気中でも用いることができるが、より高い触媒活性を維持するために、反応基内を水素ガスで置換し、空気を排除した上で反応を行うことが、反応に対する酸素の阻害がなく、特に効果的である。
【0078】
また、水素還元反応において溶媒を使用すると、水素還元反応が特に円滑に進行するため、溶媒を使用することが好ましい。本水素還元反応に使用可能な溶媒の種類に特別な制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびメシチレンからなる群から選ばれた芳香族化合物、ジエチルエーテル、メチル-t -ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルおよびテトラヒドロフランからなる群から選ばれたエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、トリフルオロエタノールおよび1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールからなる群から選ばれたアルコール系溶媒が好ましく、これらは単独で用いても、複数の溶媒を併用してもよい。
【0079】
水素還元反応に使用する溶媒の溶媒量は、一般式(3)で表される含フッ素化合物Aの1gに対して0. 005g以上、100g以下である。0.005gより少ないと溶媒としての用をなさず、100gを超えて加える必要はない。好ましくは、0.01g以上、20g以下であり、さらに、好ましくは、0.1g以上、10g以下である。
【0080】
水素還元反応を実施する際の反応温度は、通常、0℃以上、150℃以下 である。0℃ 未満では反応速度が極めて遅く実用的製造法とはならない。また、150℃ を超える温度に加熱しても反応速度に著しい変化はなく、加熱する必要もない。好ましくは、30℃以上、120℃以下 であり、さらに好ましくは、50℃以上、90℃以下である。
【0081】
水素還元反応を行う反応器は、四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ペルフルオロアルコキシフッ素(以下、PFAと略する)樹脂、ガラス等を反応器の内面にライニングした反応器、グラス製の容器、もしくはステンレス製の容器であってもよい。
【0082】
水素還元反応に要する時間は、反応温度、触媒の種類または触媒の量に依存する。反応基内の圧力等からHの消費状況を随時観察し、Hの消費が事実上完了した段階で反応を終了することが好ましい。
【0083】
含フッ素化合物Bを合成する工程において、一般式(3)で表される含フッ素化合物Aをルテニウム触媒の存在下、水素による還元反応を行うことにより、一般式(4)で表される含フッ素化合物Bを得る。
【0084】
その後、一般式(4)で表される含フッ素化合物Bを、一般式(5)で表されるアクリル酸誘導体と反応させることによって、一般式(7)で表される含フッ素重合性化合物を得ることができる。
【0085】
本発明の方法において、ルテニウム触媒の存在下で水素による還元反応を行う、即ち、芳香環に水素添加し脂環を得る際の対象となる芳香族部位は、フェノールばかりでなく、α−ナフトールまたはアントラセンのα位にOH基が結合した化合物が挙げられる。
【0086】
しかしながら、水素添加し脂環とする反応は、フェノールが容易であり、本発明の方法を用いて得られる4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキシルメタクリレートは、レジスト液とする際の有機溶媒への溶解性、フォトリソグラフィーにおける露光後の現像液溶解性よく、フォトレジスト材料として好適に用いられる。
【0087】
2.2 エステル化反応
一般式(4)で表される含フッ素化合物Bを、一般式(5)で表されるアクリル酸誘導体と反応させることによって、一般式(7)で表される含フッ素重合性単量体を得ることは、一般的なエステル化の手段によって可能である。
【0088】
以下に、前記エステル化反応の好ましい操作方法、反応条件等について、述べる。
【0089】
2.2.1 アクリル酸誘導体がα−置換アクリル酸ハロゲン化物である場合のエステル化反応
一般式(5)で表されるアクリル酸誘導体がα−置換アクリル酸ハロゲン化物である場合、エステル化反応は塩基の共存下に行うことが好ましい。その際の塩基には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、ジメチルアミノピリジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群より選ばれた少なくとも一種以上の塩基が、好適に用いられる。エステル化反応において、これら塩基のうち、ピリジン、2,6−ジメチルピリジンが特に好ましく用いられる。
【0090】
エステル化反応において使用する塩基の量は、一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1モルに対して0.2モル以上、 2.0モル以下である。一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1モルに対して、塩基の量が0.2モル未満では、本反応の選択率および目的生成物の収率が共に低下し、2.0モルを超えると反応に関与しない塩基の量を増加させることにしかならない。好ましくは、0.5モル以上、1.5モル以下であり、さらに、好ましくは、0.9モル以上、1.2モル以下である。
【0091】
本反応において使用する一般式(5)で表されるアクリル酸誘導体としてのα−置換アクリル酸ハロゲン化物の量は、一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1モルに対して0.2モル以上、2.0モル以下である。一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1モルに対してα−置換アクリル酸ハロゲン化物の量が0.2モル未満では、エステル化反応において、目的生成物の選択率および収率共に低下し、2. 0モルを超えると反応に関与しないα−置換アクリル酸ハロゲン化物が増加する。好ましくは、0.5モル以上、1.5モル以下であり、さらに好ましくは、0.9モル以上、1.2モル以下である。
【0092】
エステル化反応において、副生成物として、フッ化水素酸塩、塩酸塩、即ち、塩基のハロゲン化水素酸塩が析出するため、エステル化反応の操作性を改善を目的として、溶媒を使用することが好ましい。使用可能な溶媒の種類に特別な制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはメシチレンに代表される芳香族化合物、ジエチルエーテル、メチル-t -ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルまたはテトラヒドロフランに代表されるエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルムまたは四塩化炭素に代表されるハロゲン系溶媒を用いることが好ましく、これらは単独で用いても、複数の溶媒を併用して用いてもよい。
【0093】
エステル化反応に使用する溶媒の溶媒量は、一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1gに対して0.5g以上、100g以下である。溶媒量が一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1gに対して0.5g未満では、反応中に析出する塩基の塩酸塩のスラリー濃度が高過ぎるため操作性が低下する。100gを超えて用いる必要はない。好ましくは、1.0g以上、20g以下であり、さらに好ましくは、2.0g以上、10g以下である。
【0094】
エステル化反応を実施する際の反応温度は−50℃以上、200℃以下である。−50℃未満では反応速度が極めて遅く実用的製造法とはならない。また、200℃ を超えると原料のα−置換アクリル酸ハロゲン化物もしくは生成物の一般式(7)で表されるエステル化合物が重合することから好ましくない。好ましくは、−20℃以上、150℃以下であり、さらに好ましくは0℃以上、120℃以下である。
【0095】
エステル化反応において、原料のα−置換アクリル酸ハロゲン化物または生成物のエステル化合物の重合を防止することを目的として、重合禁止剤を用いても良い。
【0096】
用いる重合禁止剤は、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、2,5−ビステトラメチルブチルヒドロキノン、ロイコキニザリン、フェノチアジン、テトラエチルチウラムジスルフィド、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジルまたは1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジンから選ばれる少なくとも一種の化合物、あるいは、市販品から、商品名ノンフレックスF、ノンフレックスH、ノンフレックスDCD、ノンフレックスMBPまたはオゾノン35(以上、精工化学株式会社製、)、商品名Q−1300またはQ−1301(和光純薬工業株式会社製)が挙げられ、本発明の方法に使用可能である。
【0097】
本発明に使用する重合禁止剤の量は、原料の一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1モルに対して0.1モル以下である。重合禁止剤の量が、一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1モルに対して0.00001モル未満では効果がなく、0.1モルを超えても、重合を防止する能力に大きな差異はなく、0.1モルを超えて加える必要はない。好ましくは、0.00001モル以上、0.05モル以下であり、さらに好ましくは、0.0001モル以上、0.01モル以下である。
【0098】
エステル化反応を行う反応器は、四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂、ガラスを反応器内面にライニングしたもの、グラス製またはステンレス製の反応器を用いることが好ましい。
【0099】
2.2.2 一般式(5)で表されるアクリル酸誘導体がα−置換アクリル酸無水物である場合のエステル化反応
次に、一般式(5)で表されるアクリル酸誘導体がα−置換アクリル酸無水物である場合の、即ち、一般式(5)におけるAが一般式(6)で表される基である場合の本発明の含フッ素重合性単量体の製造方法におけるエステル化反応について説明する。
【0100】
本発明の含フッ素重合性単量体の製造方法におけるエステル化反応に使用するα−置換アクリル酸無水物の量は、一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1モルに対して、通常、0.5モル以上、5.0モル以下である。一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1モルに対して、α−置換アクリル酸無水物の量が0.5モル未満では、エステル化反応における、目的生成物の転化率および収率が共に十分でなく、5.0モルを超えると反応に関与しないα−置換アクリル酸無水物が増加するのみであり実用的ではない。好ましくは、0.7モル以上、3.0モル以下であり、さらに好ましくは、1.0モル以上、2.0モル以下である。
【0101】
本発明の含フッ素重合性単量体の製造方法において、エステル化反応を促進するための添加剤を添加することができる。使用される添加剤としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p− トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸から選ばれる有機スルホン酸、あるいはルイス酸から選ばれる少なくとも一種の酸が、好適に用いられる。
【0102】
エステル化反応に使用する添加剤の量は、基質の一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1モルに対して、0.01モル以上、2.0モル以下である。基質の一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1モルに対して、添加剤の量が0.01モル未満ではエステル化反応の転化率、目的生成物の収率が共に低下し、2.0モルを超えると反応に関与しない添加剤の量が増加するのみであり、実用的ではない。好ましくは、0.02モル以上、1.8モル以下であり、さらに好ましくは、0.05モル以上、1.5モル以下である。
【0103】
エステル化反応を実施する際の反応温度は、添加剤を添加しない場合、通常、80℃以上、200℃以下である。80℃ 未満では反応速度が極めて遅く、200℃を超えると原料のα−置換アクリル酸無水物もしくは生成物の一般式(7)で表されるエステル化合物が重合することがあるから好ましくない。 好ましくは、100℃以上、180℃以下 、さらに好ましくは、120以上、160℃以下である。
【0104】
一方、添加剤を添加する場合は、0℃以上、80℃ 以下である。0℃ 未満では反応速度が遅く実用的製造法とはならない。また、80℃ を超えると副反応が進行し易くなり、目的物のエステル化合物の選択率が低下することがあり、好ましくない。好ましくは、10℃以上、70℃以下 、さらに好ましくは、20℃以上、60℃以下である。
【0105】
本発明の含フッ素重合性単量体の製造方法におけるエステル化反応においては、添加剤を加えた方が、低い温度でも十分に反応し、選択率が向上する。即ち、本発明の含フッ素重合性単量体の製造方法において、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選ばれる添加剤を、反応系内に共存させ、20℃以上、60℃以下の温度範囲で、エステル化反応を行うことが特に好ましい。
【0106】
エステル反応は、無溶媒でも進行するが、反応の均一性、反応後の処理の操作性を考慮すると、溶媒を使用することが望ましい。エステル化反応において、使用可能な溶媒の種類に特別な制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはメシチレン二代表される芳香族化合物、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルまたはテトラヒドロフランに代表されるエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルムまたは四塩化炭素に代表されるハロゲン系溶媒から選択して使用することが好ましく、これらは単独で用いてもよく、複数の溶媒を併用して用いてもよい。
【0107】
エステル化反応に使用する溶媒の量は、一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1gに対して、通常、0.1g以上、100g以下である。溶媒量が一般式(4)で表される化合物1gに対して、0.1g未満では、反応の均一性、反応後の処理の操作性が容易になる等の、溶媒を使用することの前記メリットを十分でない。100gを超えて使用する必要性はない。好ましくは0.5g以上、50g以下であり、さらに好ましくは、1.0g以上、20以下である。
【0108】
エステル化反応において、α−置換アクリル酸無水物、または目的生成物である含フッ素エステル化合物)が重合することを防止することを目的として、重合禁止剤を存させてもよく、通常は、重合禁止剤を使用する。
【0109】
用いる重合禁止剤は、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、2,5−ビステトラメチルブチルヒドロキノン、ロイコキニザリン、フェノチアジン、テトラエチルチウラムジスルフィド、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジルまたは1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジンから選ばれる少なくとも一種の化合物、あるいは、市販品から、商品名ノンフレックスF、ノンフレックスH、ノンフレックスDCD、ノンフレックスMBPまたはオゾノン35(以上、精工化学株式会社製、)、商品名Q−1300またはQ−1301(和光純薬工業株式会社製)が挙げられ、本発明の方法に使用可能である。
【0110】
本発明に使用する重合禁止剤の量は、原料の一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1モルに対して0.1モル以下である。重合禁止剤の量が、一般式(4)で表される含フッ素化合物Bの1モルに対して0.00001モル未満では効果がなく、0.1モルを超えても、重合を防止する能力に大きな差異はなく、0.1モルを超えて加える必要はない。好ましくは、0.00001モル以上、0.05モル以下であり、さらに好ましくは、0.0001モル以上、0.01モル以下である。
【0111】
エステル化反応に使用される反応器は、四フッ化エチレン樹脂、クロロ−トリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂、ガラスを反応器内面にライニングしたもの、グラス製、またはステンレス製の反応器を用いることが好ましい。
【実施例】
【0112】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【0113】
実施例1
実施例1は、フェノールとヘキサフルオロアセトンを、触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を用い反応させ、4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)フェノールを得、これを水素還元反応により、4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキサノールにし、最終的にメタクリル酸無水物を用いメタクリロイルエステル化反応を行うことにより4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキシルメタクリレートにする以下の反応である。
【化19】

【0114】
[フリーデルクラフツ反応]
フェノール、500g、トルエン、500g、ヘキサフルオロアセトン、974g、およびトリフルオロメタンスルホン酸、40gを、要領3.4Lのステンレス鋼製耐圧容器内に仕込んだ。当該耐圧容器の内温を70℃に保持した状態で、8時間攪拌し、フリーデルクラフツ反応を行った。フリーデルクラフツ反応終了後、ジイソプロピルエーテルを1000g加え、ガスクロマトグラフィーで反応の進行を確認したところ、フェノールに対するヘキサフルオロアセトンのオルト位への付加体とパラ位への付加体である、4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)フェノールが、オルト付加体:パラ付加体=1:9の比率で得られていた。これを重曹水、食塩水にて洗浄し、エパポレーターで濃縮した。得られた固体をトルエン、1320gと、ヘプタン、1320gの混合溶媒中で再結晶させることにより、4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)フェノール、979gを、収率71質量%で得た。
【0115】
1H−NMR(溶媒:重アセトン,基準物質:TMS);δ(ppm)6.96(2H,dt,J=9.2,2.6Hz),7.48(1H,bs),7.61(2H,d,J=9.2Hz),8.67(1H,bs)
19F−NMR(溶媒:重アセトン,基準物質:C6F6);δ(ppm)88.75 (6F,s)
[水素還元反応]
4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)フェノール、300gと、5%ルテニウム−炭素触媒(固形分濃度50質量%の含水品)15gと、ジイソプロピルエーテル、750gを、容量2Lのステンレス鋼製耐圧容器に入れ80℃に加熱した。水素を圧力、2MPaで容器内に圧入し、その後2時間攪拌し水素還元反応を行った。水素還元反応後、反応生成物を濾過することに触媒を除去した後、濾過後の濾液をエバポレーターで濃縮し、得られた固体を、トルエン、390gと、ヘプタン、300gの混合溶媒で再結晶することにより、4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキサノールを299g、収率97質量%で得た。
【0116】
(cis体):
1H−NMR(溶媒:重アセトン,基準物質:TMS);δ(ppm)1.18−2.18(9H,m),3.55(1H,d,J=2.4Hz),3.99(1H,d,J=2.4Hz),6.43(1H,s)
19F−NMR(溶媒:重アセトン,基準物質:C6F6);δ(ppm)91.60 (6F,s)
(trans体):
1H−NMR(溶媒:重アセトン, 基準物質:TMS);δ(ppm)1.18−2.18(9H,m),3.52(1H,m),3.77(1H,d,J=4.4Hz),6.52(1H,s)
19F−NMR(溶媒:重アセトン,基準物質:C6F6);δ(ppm)91.47 (6F,s)
[メタクリロイルエステル化反応]
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた、容量2Lの四つ口フラスコに、4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキサノール300gと、トルエン、600gと、メタンスルホン酸、11gと、メタクリル酸無水物、182gを加え、70℃で4時間攪拌を続け、メタクリロイルエステル化反応を行った。メタクリロイルエステル化反応終了後、反応生成物に、さらに、トルエン、300gを加え、重曹水、イオン交換水の順に洗浄した。洗浄した有機相を濃縮した後、ヘプタン、300gで、再結晶することにより4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキシルメタクリレートを502g、収率92質量%で得た。
【0117】
(cis体):
1H−NMR(溶媒:重アセトン,基準物質:TMS);δ(ppm)1.45−2.20(9H,m),1.94(3H,s),5.06(1H,d,J=2.4Hz),5.63(1H,s),6.09(1H,s),6.57(1H,s)
19F−NMR(溶媒:重アセトン,基準物質:C6F6);δ(ppm)91.52 (6F,s)
(trans体):
1H−NMR(溶媒:重アセトン, 基準物質:TMS);δ(ppm)1.20−2.20(9H,m),1.90(3H,s),4.72(1H,m),5.60(1H,s),6.04(1H,s),6.62(1H,s)
19F−NMR(溶媒:重アセトン,基準物質:C6F6);δ(ppm)91.43 (6F,s)
比較例1
比較例1は実施例1のフリーデルクラフツ反応において用いる酸をトリフルオロメタンスルホン酸からフッ素を有しないメタンスルホン酸に換えて反応を行った例である。
【0118】
[フリーデルクラフツ反応]
フェノール、20gに対し、トルエン、40g、ヘキサフルオロアセトン、37g、およびメタンスルホン酸、2.0gを、容量300mLのステンレス鋼製耐圧容器に仕込んだ。当該耐圧容器内の温度を120℃にした後、18時間攪拌し、フリーデルクラフツ反応を行った。フリーデルクラフツ反応終了後、ジイソプロピルエーテルを40g加え、ガスクロマトグラフィーでフリーデルクラフツ反応の進行を確認したところ、フェノールに対するヘキサフルオロアセトンのオルト位への付加体とパラ位への付加体である、4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)フェノールが、オルト付加体:パラ付加体=6:4の比率で得られていた。反応生成物を、重曹水、次いで食塩水にて洗浄し、エパポレーターで濃縮した。得られた固体をトルエンとヘプタンの混合溶媒で2回再結晶をすることにより、4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)フェノールを13g、収率23質量%で得た。
【0119】
実施例1と比較例1を比べると、実施例1では、フェノールに対するヘキサフルオロアセトンの付加体である、4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)フェノールが、オルト付加体:パラ付加体=1:9と、目的生成物であるパラ付加体の選択性がよく、パラ付加体が、収率よく得られた。
【0120】
それに比べて、比較例は1オルト付加体:パラ付加体=6:4であり、所望の目的生成物であるパラ付加体の割合が小さく、副生物のオルト付加体が多く生成し、パラ付加体の選択性が低く、目的生成物の収率が低かった。また、不純物として、オルト付加体を除去するための精製の手間が増えた。
【0121】
このように同一の反応系で比較した場合には、フッ素を有しないメタンスルホン酸を用いた場合に比較して、フッ素を有するスルホン酸であるトリフルオロメタンスルホン酸を用いることにより、フリーデルクラフツ反応における、ヘキサフルオロアセトンのフェノールのパラ位への付加する際の選択性が、飛躍的に向上することがわかった。
【0122】
本発明の方法により、レジスト膜とした際に基板との密着性よく、紫外線に対する感光性が高く、感度よいレジスト材料を与えるレジストモノマーとして使用されるパラ位に高極性基である含フッ素ケトンを導入した含フッ素重合性単量体である4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキシルメタクリレートが、選択性よく、収率よく得られた。4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキシルメタクリレートは、レジスト液とする際の有機溶媒への溶解性、フォトリソグラフィーにおける露光後の現像液溶解性よく、フォトレジスト材料として好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】

(式(1)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜25の直鎖状、炭素数3〜25の分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であって、一部がフッ素原子または酸素原子と置換されていてもよい。Xは0〜2の整数、Yは0〜8の整数。)
で表されるヒドロキシアリール化合物と、
一般式(2):
【化2】

(式(2)中、RとRは、それぞれ独立に水素原子または、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状もしくは環状のアルキル基を示し、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されてもよい。また、RとRが結合して、環状化合物を形成してもよい。さらにRとRのどちらかに少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する。)
で表される含フッ素ケトンを含フッ素酸触媒存在下で反応させることを特徴とする
一般式(3):
【化3】

(式(3)中、R〜R、XおよびYは上記と同じ。)
で表される含フッ素化合物Aの製造方法。
【請求項2】
含フッ素酸触媒がフッ酸または含フッ素スルホン酸であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
含フッ素スルホン酸がトリフルオロメタンスルホン酸であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
一般式(3):
【化4】

(式(3)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜25の直鎖状、炭素数3〜25の分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であって、一部がフッ素原子または酸素原子と置換されていてもよい。RとRは、それぞれ独立に水素原子または、炭素数1〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐鎖状もしくは環状のアルキル基を示し、炭素原子の一部が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換されてもよい。また、RとRが結合して、環状化合物を形成してもよい。さらにRとRのどちらかに少なくとも1つ以上のフッ素原子を有する。Xは0〜2の整数を表し、Yは0〜8の整数を表す。)
で表される含フッ素化合物Aを、ルテニウム触媒存在下、水素による還元を行うことにより一般式(4):
【化5】

(式(4)中、R〜R、XおよびYは上記と同じ。)
で表される含フッ素化合物Bを合成する工程、
合成された含フッ素化合物Bを、一般式(5):
【化6】

(式(5)中、R4は水素原子、C2m+1、またはC2 n + 1(m、nはそれぞれ独立に1〜4の整数)。AはF、Clまたは
一般式(6):
【化7】

(式(6)中、R4は水素原子、C2m+1、またはC2 n + 1(m、nはそれぞれ独立に1〜4の整数。)で表される基の何れかを表す。)
で表されるアクリル酸誘導体化合物を反応させて、一般式(7):
【化8】

(式(7)中、R〜R、XおよびYは上記と同じ。)
で表される含フッ素重合性単量体を合成する工程、
を含む、含フッ素重合性単量体の製造方法。

【公開番号】特開2012−201608(P2012−201608A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65811(P2011−65811)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】