説明

含水汚泥安定処理用固化剤及び含水汚泥安定処理方法

【課題】 加熱重量減が10%を超えるような有機物含有量が多い底質汚泥を埋戻し等の工事用土とし再利用に供することができる強度を発揮する汚泥安定処理用固化材と固化方法を提供する
【解決手段】 アニオン性の水溶性高分子とアルミニウム塩を含水汚泥に添加し攪拌した後に、水硬性物質を添加混合する。更に固体のアルミニウム塩類と固体の水溶性高分子を同時に添加するか、より好ましくは事前に双方の粉末を予め混合して第一剤として用いる。
アルミニウム塩を溶液状態で用いる場合は、高塩基度塩化アルミニウム塩を用いることにより水溶性高分子を含水汚泥に添加すると同時にアルミニウム塩類を添加することができる。そしてアニオン性の水溶性高分子とアルミニウム塩の第一剤を同時に添加することにより、第二剤として水硬性物質を二段階で添加することができる。固化工程での固化作業を単純化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物を含む水中泥状堆積物(ヘドロ)等の含水汚泥等を減容、固化させ、盛土・裏込め・埋戻し等への再利用をならしめる含水汚泥安定処理用固化剤及びこれを用いた含水汚泥安定処理固化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ボーリング工事、構造物基礎工事や地下トンネル掘削工事等の土木工事で発生する含水汚泥を除去するためには処分場に運搬して埋め立て、覆土等の処理が行われている。また、海洋、湖沼、河川等の底部に沈降・堆積した底質汚泥のような水中に堆積している水中泥状堆積物等の含水汚泥を除去するため、同様に処分場に運搬して埋め立て、覆土等の処理が行われている。しかし、これらの含水汚泥は流動性が高いことから、搬送に制約があり困難であった。
そこで、上記汚泥を天日乾燥する方法も取られてはいるが、工事現場や浚渫場所の近辺に大量の汚泥を処理する場所を確保することは難しい。また上記汚泥を天日乾燥するにしても、長時間の放置と広大な処分場所を必要とする問題がある。
【0003】
そこで、これらの含水汚泥の流動性を低下させ、または、乾燥固化を速める目的で固化剤を添加し、減容化又は固化させるために固化材を添加し、減容化又は固化させる方法が開発されている。例えば、含水汚泥固化材(剤)としては、セメント生石灰等の水硬性物質からなるものが従来から存在していたが、水硬性物質等の単体では比較的大量に添加し、且つ比較的時間を掛けなければ、所期の効果を得ることができない問題があった。また、またこのようなアルカリ性の無機材料を用いた固化剤ではなく、中性を示す水溶性高分子を用いた固化剤も提案されており、特開平9−271799号公報には水溶性高分子としてポリアクリルアミド加水分解物を用いた固化剤も提案されている。(特許文献1)このような水溶性高分子等の単体では、処理土の強度を高くはできず、固化剤の添加量も多かったため経済的な問題もあった。
【0004】
このため水溶性高分子等と水硬性物質等や水溶性高分子等と金属塩等でそれぞれの特徴を組み合わせた固化剤(添加材(剤))も多く提案されている。それら大まかには
(1)水溶性高分子とセメント等の水硬性物質からなるもの、
(2)有機高分子吸水剤や無機吸水剤等の吸水性に優れた成分と水硬性物質等の固化成分を含んでなるもの、
(3)水溶性高分子と二価・三価の金属塩からなるもの
の3種類に分類される。
【0005】
例えば、(1)の形態として、特開平7−246396号公報(特許文献2)には含水汚泥固化剤として、中性の水溶性高分子と流動床ボイラーからの灰を混合したものが提案されている。さらに特開平7−246397号公報(特許文献3)には生石灰等の水硬性物質、中性の水溶性高分子および流動床ボイラーからの灰を混合したものが提案されている。この固化剤としてはセメント等の水硬性物質を用いる場合には、これらの固化剤は添加量が比較的多く必要となり、更に汚泥中の有機物、塩類で固化効果が大きく変化するため、底質汚泥には用い難かった。
【0006】
本出願人らも、特開2000−271597号公報(特許文献4)にてカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩100重量部と無機紛体5から2000重量部を含む汚泥処理剤を開示している。この技術ではフライアッシュなどのセメント類、ゼオライト、パーライト、珪藻土焼成物などを例示している。しかしながら、この技術においても、有機物含有量が多い汚泥では、固化処理をした汚泥を埋め戻しなどの用土に用いるほどの固化強度を得られなかった。
【0007】
また(2)の様態として、特開平10−147781号公報(特許文献5)には固化物が中性を維持、かつセメント系固化剤ではない技術として中性の水溶性高分子と半水石膏からなる固化剤を用いる汚泥の固化方法が提案されている。また、例えば特開2001−121193号公報(特許文献6)には古紙の破砕物と汚泥を混合し、次に無機固化剤を添加する工程からなる汚泥の再生方法が記載されている。しかしながら、これらの技術でも汚泥中の有機物、塩類で固化効果が大きく変化するため、底質汚泥の固化処理には使用し難かった。
【0008】
また、(3)の様態としては、例えば特開2004−17023号(特許文献7)には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性などの水溶性高分子を添加した後二価金属塩または三価金属塩から選ばれる1種類を添加して攪拌することからなる汚泥の固化方法が開示されている。この文献に記載された方法では、水溶性高分子を浚渫汚泥に添加し、攪拌混合し、通常団子状のべた付きのある形態とした後、更に二価金属塩や三価金属塩を添加し、攪拌混合して、団粒状の処理土とする技術が開示されている。実施例においては、アニオン性の水溶性高分子であるアクリルアミド/アクリル酸共重合体と硫酸バンドおよび、ノニオン性の水溶性高分子であるマンナン粉と液体ポリ塩化アルミニウムの組み合わせが開示され、固化された汚泥が輸送が可能な程度の強度になっていることが記載され、植物の育成にも影響を及ぼさないことが記載されている。
【0009】
確かに、本方法であれば、含水汚泥を輸送に耐えられる程度の強度に固化することができ、農地などへの再利用は可能とはなるが、この方法では、含水汚泥の固化物の固化強度が高くなく埋め戻し等工事用土に用いることができない。更に、この方法の欠点としては水溶性高分子を添加した後に更に、金属塩を添加しており、この方法では煩雑であり、更に硬化に効果があるような物質を添加する場合には三段階となり、処理に多大な経費が掛かる。
【0010】
このように、含水汚泥の種類より浚渫汚泥の固化物の強度や固化時間、固化剤の使用量に大きな差があり、特に有機物を多く含む汚泥の場合には、汚泥の固化物の強度が確保できなかった。そして、固化の効果に大きな差が生じ固化材(剤)の添加量が多量になると言う問題があった。
すなわち、上記の様に浚渫汚泥の内、所謂底質汚泥は特に問題が生じ易い。一般に、底質は、汚泥、底泥、ヘドロ、軟泥、腐泥、底部堆積物等と呼ばれている。この底質は、流入河川、その周辺土壌等の外部環境から海洋、湖沼、河川等に運ばれ堆積したコロイド、粘土、シルト、あるいは砂等を主体とするものであり、これに生物の遺骸や排泄物等に由来する有機物および人為的汚染に基づく生活廃水等に含まれる有機物が含まれる。これらの有機物含有量は大きく、加熱重量減で10wt%を超えるような底質汚泥も存在する。
【0011】
そして、この底質汚泥には、上記理由から、燐や窒素が多量に含まれ、その結果、閉鎖水系では底質汚泥からの燐や窒素の溶出によって、水域の富栄養化の進行や溶解性有機分の溶出に起因するBOD(生化学的酸素要求量)およびCOD(化学的酸素要求量)が増加し、水域環境汚染が問題となっている。
そのため、底質汚泥すなわち、水中泥状堆積物等の含水汚泥は、底質汚泥の存在する部分のボーリング工事、構造物基礎工事や地下トンネル掘削工事等の土木工事で発生する場合以外に、閉鎖水系での底質汚泥の浚渫がある。底質汚泥の浚渫の大きな目的のひとつにこの閉鎖水系における環境悪化の改善図ることが多いからである。したがって、浚渫される底質汚泥には、多量の有機物を含んでおり、これらを再利用するには簡便に固化させる必要がある。底質汚泥は、淡水の閉鎖水系とは限らず、海水なども含んでいる場合もあり、また有機物の含有量も様々である。
【0012】
そこで、これらの成分量の多少や、水分量に拘らず、簡便な方法で、数日程度の短時間の内に、埋め戻しや工事用土に再利用できる程度の強度に固化させた上で、工事部分の埋戻、盛土・裏込め等や浚渫外の工事区域の地盤嵩上げ用盛土などに用いることができれば、これらの工事における経済上にも有利であり、かつ環境負荷も低減できる。
【特許文献1】特開平9−271799号公報
【特許文献2】特開平7−246396号公報
【特許文献3】特開平7−246397号公報
【特許文献4】特開2000−271597号公報
【特許文献5】特開平10−147781号公報
【特許文献6】特開2001−121193号公報
【特許文献7】特開2004−17023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、有機物を含む含水汚泥すなわち所謂底質汚泥を浚渫したものであっても、加熱重量減が10%を超えるような有機物含有量が多い底質汚泥を浚渫した、浚渫汚泥の固化物の強度の効果に大きな差が生じたりせず、また固化材(剤)を多量に添加する必要がなく、更に盛土・裏込め・埋戻し等の工事用土とし再利用に供することができる程度の強度を安定して発揮する汚泥安定処理用固化材が存在しなかった点である。そして、そのような汚泥安定処理用固化剤を用いた浚渫汚泥固化方法が存在しなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは鋭意研究の結果、アニオン性の水溶性高分子とアルミニウム塩を含水汚泥に添加し攪拌した後に、水硬性物質を添加混合すると、有機物の含有量が多く、かつ含水率が高い汚泥であっても、強固に固化できることを見出した。すなわち本発明は、アニオン性の水溶性高分子とアルミニウム塩が含水汚泥に添加し攪拌されている状態に水硬性物質を添加することで、本発明の効果を発揮する。したがって、本発明の様態としては、2種類考えられる。即ち、アルミニウム塩類が固体の場合と液体の場合である。アルミニウム塩類が固体であれば、水溶性高分子も固体で双方とも粉末とすることができ、この場合はアルミニウム塩類と水溶性高分子を同時に添加するか、更により好ましくは事前に双方の粉末を予め混合し、固化剤の性能が安定して発揮できるようにすることができ、更に汚泥固化装置の添加剤投入口が一つである固化装置を用いても、問題なく固化作業をすることができ、併せて含水汚泥固化剤使用者の混合の手間を省き、含水汚泥固化剤使用者が利用し易い形態で供給することができる。
【0015】
このような、固体のアルミニウム塩類としては塩化アルミニウム、好ましくは高塩基度の塩化アルミニウムが用いることができるが、その他のアルミニウム塩類でも用いることができる。
アルミニウム塩類が液体の場合は、溶液状態である塩化アルミニウムとアニオン性の水溶性高分子を事前に混合した場合は、アニオン性の水溶性高分子の不溶化が生じる場合があり、事前に混合することはできない。また特開2004−17023号(特許文献7)に記載されている通り同時に添加したとしても、通常のアルミニウム塩およびポリ塩化アルミニウム塩であっても、水溶性高分子が不溶化し十分な汚泥固化の性能を発揮できない。しかしながら、高塩基度の塩化アルミニウム塩を用いることにより同時に添加しても水溶性高分子の不溶化は生じない。
【0016】
このため、溶液状態である高塩基度塩化アルミニウム塩を用いる場合には、水溶性高分子の溶液または固体を含水汚泥に添加すると同時に高塩基度塩化アルミニウム塩類を添加することができる。すなわち、アニオン性の水溶性高分子とアルミニウム塩の第一剤を同時に添加することにより、第二剤として水硬性物質を二段階で添加することができる。
何れの様態の場合でも、アニオン性の水溶性高分子を含む水溶性高分子とアルミニウム塩類とを含水汚泥に添加攪拌した後、水硬性物質を次いで添加攪拌する添加順序が必要である。液体状態の塩化アルミニウム塩を用いる場合には、高塩基度ポリ塩化アルミニウム塩であり、その塩基度は70wt%以上、より好ましくは75wt%以上、更に好ましくは83wt%以上である。
【0017】
好ましい様態としては、アニオン性の水溶性高分子がカルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩か又はポリアクリルアミド加水分解物を必須として含有することである。また、アニオン性の水溶性高分子がカルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩とポリアクリルアミド加水分解物の組み合わせの場合が特に好ましい。これらのカルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩とポリアクリルアミド加水分解物の組み合わせを本発明の水溶性高分子として用いる場合は、組成比が前者/後者で95/5から80/20が好ましい組成比である。この場合、カルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩の置換度については、これらの置換度が0.9〜2.5であることが好ましい。そしてカルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩の1重量%水溶液粘度が3000mPa・s〜7000mPa・sであり、またポリアクリルアミド加水分解物の分子量が100万から200万でありことが好ましい様態である。また水硬性物質が半水石膏を主成分として含む様態が好ましい。
【0018】
特に本願の予め粉末で混合する様態で行う場合には、カルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩の置換度を大きくすることができる。このような高置換度のカルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩の置換度としては、1.1から2.0であり、より好ましくは1.1から1.8であり、特に好ましくは、1.1から1.6である。またアニオン性の水溶性高分子としてポリアクリルアミド加水分解物を用いた場合には、ポリアクリルアミド加水分解物のカルボキシ含量が20モル%から40モル%である。このような置換度のカルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩やポリアクリルアミド加水分解物は溶解する前に予め、粉末状のアルミニウム塩と粉末状態で混合しておくことにより、より好適に用いることができる。
【0019】
すわわち、粉末状のアルミニウム塩を予め粉末でこれらの水溶性高分子と混合することによりポリアクリルアミド加水分解物やカルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩の水への溶解性が向上する。更に、予め粉末混合されるアルミニウム塩の塩基度が70wt%以上である場合は、アルミニウム塩の塩基度の溶解速度がこれらの水溶性高分子の溶解速度よりも遅いため、水溶性高分子が溶解した後に、アルミニウム塩が溶解することにより、アルミニウム塩から遊離するアルミニウムイオンが放出され、アニオン性の水溶性高分子がアルミニウムイオンを介して(例えばカルボシキメチルセルロースナトリウム金属塩のナトリウムイオンとアルミニウムイオンが交換されることにより)結合し、有機物や金属イオンを取り囲み、この結果第二段階で添加される水硬性物質の効果を十分に発揮させることから、含水汚泥を短時間の内にコーン指数が高い用土に固化させることができる。
【0020】
更には、塩基度が同一のアルミニウム塩であっても、これを粉末としアニオン性の水溶性高分子の固体の粉末と予め粉末で混合することにより、より一層含水汚泥を短時間の内にコーン指数が高い用土に固化させることができる。
【発明の効果】
【0021】
少なくともアニオン性の水溶性高分子を含む水溶性高分子とアルミニウム塩好ましくは、高塩基性ポリ塩化アルミニウムとからなる本発明の含水汚泥安定処理用固化剤は、汚泥中の水を吸水して溶解し、汚泥中の懸濁分散する微粒子に吸着する。そして、高塩基性ポリ塩化アルミニウムは汚泥中で加水分解し、高いアルミニウムイオン濃度を生じる、そのアルミニウムイオンがアニオン性の水溶性高分子の例えば、カルボキシル基又は/及びカルボキシメチル基のアルカリ金属イオンと置換され、アルミニウムイオンを介して、アニオン性の水溶性と架橋することで、水溶性高分子が吸着した汚泥中の懸濁粒子を強く凝集させ、含水汚泥の体積を減容させることができる。
【0022】
そして、固体状の水溶性高分子とアルミニウム塩を予め粉末混合することにより、通常はママコを形成し、溶解し難い置換度が高いカチオン系の水溶性高分子であっても溶解させることができ、また同様に水溶性にした場合では粘度が高く取り扱いがし難い高粘度のCMCであっても用いることができた。これらの構成からなる含水汚泥安定化処理用固化剤は、有機物量が多く含まれている浚渫汚泥や底質汚泥の掘削汚泥であっても、上記の水溶性高分子とアルミニウム塩により有機物による効果により汚泥中有機物による水硬性物質の固化能力の妨害を排除し、固化することができ、この含水汚泥安定化処理用固化剤を用いて安定化処理をされた、含水汚泥は短時間の内に埋め戻しなどの工事用土に用いることができるほどの固化強度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0024】
(水溶性高分子)
本発明に用いられる水溶性高分子は実質的に水溶性である高分子物質は全て含まれるが、とりわけ、その中でもグルコース環を基本骨格として持つ、水溶性高分子から少なくとも一種類選択されることが好ましい。グルコース環を基本骨格として持つ、水溶性高分子郡として特にβグルコシド結合でグルコース環が結合されている半合成系の水溶性高分子郡、すなわちヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を含んでいることが好ましい。
なお、本発明において用いられる水溶性高分子物質においては合成系の水溶性高分子を含むことができ、ポリアクリルアミド加水分解物も用いることができる。更には天然系高分子も用いることができ例えば、天然系としてはキサンタンガム、ガラクトマンナン(グアーガム)、タラガム、グルコマンナン、アルギン酸塩等が挙げられる。半合成系では、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩等が挙げられる。
【0025】
これらの天然系、半合成系の水溶性高分子の中から任意に数種類を選択して組み合わせることもできる。
水溶性高分子の中ではイオン性ではないノニオン性水溶性高分子もあり、これらのノニオン性水溶性高分子としては、上記の水溶性高分子の中で分子内にイオン性基を持たない水溶性高分子が挙げられる。合成系でも半合成系でも用いられる。
具体的にはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロースなどが例示できるが、合成系のノニオン性水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド(加水分解物ではないもの)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルビニルエーテル、ピリイソプロピルアクリルアミドなどが例示することができる。
【0026】
(アニオン性水溶性高分子)
本発明における水溶性高分子には、アニオン性の水溶性高分子を必須成分として含む。アニオン性の水溶性高分子としては、具体的にはアニオン性基を保有する水溶性高分子であり、アニオン性基としてはカルボシキル基、スルホン基などが挙げられる。具体的なアニオン性の水溶性高分子としては合成系であれば、例えばポリアクリル酸ソーダおよびその共重合物、ポリアクリルアミド加水分解物、(ポリアクリル酸アミド・アクリル酸ナトリウム共重合体)、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、ポリイソプレンスルホン酸ソーダ、ナルタレンスルホン酸縮合物塩、ポリエチレンイミンザンテート塩などを挙げることができる。そして天然物系(あるは半合成系とも称される)としては、デンプンとその誘導体のカルボキシメチル化誘導体あるいは、リン酸化誘導体などが挙げられる。そして、セルロース誘導体としてはカルボキシメチルセルロースが挙げられる。その他、アルギン酸、アラビアガム、カラギーナン、ヒアルロン酸ソーダなども挙げることができる。
そして、本発明におけるアニオン性の水溶性高分子物質郡としては、カルボキシメチルセルロースアルカリ塩(カルボシキメチルセルロースと表記する場合もある)かまたはポリアクリルアミド加水分解物を必須として含むことが好ましい。カルボキシメチルセルロースアルカリ塩の中では特に(カルボシキメチルセルロースナトリウム塩が好ましい。カルボキシメチルセルロースナトリウム塩は一般的にはCMCと称され、一般的に入手できる。
【0027】
(カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩)
本発明においてアニオン性の水溶性高分子として添加されるカルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩の機能は、アルミニウム塩の作用を受けて架橋するものである。カルボキシメチルセルロースナトリウム塩はグルコース環を持っており、またグルコース環がβ―グルコシド結合で結ばれており、その高分子骨格により水中での高分子の分子の大きさが適当であるためか、本発明の目的に用いた場合、アルミニウム塩から生じたアルミニウムイオンとの相互作用により、有機物を含んでいる含水泥水であっても凝集能力を失わない。
そのため、この意味では置換度が高いものが好ましいが、一方高置換度のものはママコを形成し、溶解し難いという問題もある。本発明において好適に用いられるカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩としては、カルボキシメチル基の置換度が0.6〜2.5のものが適しており、好ましくは0.85〜2.5のものである。より好ましくは0.9から2.5、更に好ましくは0.9から2.0、特に、好ましくは0.9から1.9、より良く好ましくは0.9から1.7である。置換度が0.85以上であると汚泥中においても溶解性を維持し易く、アルミニウムイオンとの架橋が良好である。置換度が1.7以下であると、工業的に高粘度のものが得易く、容易に入手することができる。
【0028】
上述の通り、本願の二段階添加の様態で行う場合には、カルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩の置換度を大きくすることができる。このような様態の置換度としては、1.1から2.0であり、より好ましくは1.1から1.8であり、特に好ましくは、1.1から1.6である。カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩の分子量としては、1重量%水溶液の粘度(B型粘度計 60rpm 25℃)で1000mPa・s〜15000mPa・sのものが適しており、好ましくは2000mPa・s〜10000mPa・sであり、特に好ましいのは、3000mPa・s〜10000mPa・sでり、更に好ましくは3000mPa・s〜7000mPa・sであり、より良く好ましくは4500mPa・s〜5500mPa・ある。1重量%水溶液の粘度(B型粘度計 60rpm 25℃)が1000mPa・s以上であると汚泥の凝集性を促進し易く、10000mPa・s以下であると工業的に得易い。5500mPa・s以下であると溶解性に優れる。
【0029】
(ポリアクリルアミド加水分解物)
本発明においてはアニオン性の水溶性高分子として最も好適なものはポリアクリルアミド加水分解物である。
一般的にポリアクリルアミド類としては、アクリルアミド、メタクリルアミド及びこれらのN置換誘導体の重合物が含まれる。本発明においてもこれらのポリアクリルアミド類N置換誘導体がアニオン性を示す場合は、本発明におけるポリアクリルアミド加水分解物として用いることができる。入手の容易性や経済際などの点よりポリアクリルアミド加水分解物が最も優れる。
ポリアクリルアミド加水分解物は底質汚泥に含まれる汚水の水素イオン濃度により凝集性能が影響されることがすくなく、本発明の水溶性高分子にポリアクリルアミド加水分解物を添加することにより、凝集性能を安定化させることがでできる。また更には、固化強度を高くすることができる。ポリアクリルアミド加水分解物の分子量としては数百万から千数百万のものが用いることができ、好適には1千万から2千万のものを用いることができる。上述の通り、本願の二段階添加の様態で行う場合には、ポリアクリルアミド加水分解物のカルボキシ含量が20モル%から40モル%であり、好適には25モル%から35モル%である。
【0030】
(アルミニウム塩類)
本発明において、第1剤として、粉末状のアニオン性水溶性高分子粉末と予め混合された状態で用いられる様態で用いられるアルミニウム塩類は、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、カリミョウバン等を例示することができる。これらの中でも特にポリ塩化アルミニウム化合物が好ましく用いることができる。ポリ塩化アルミニウム化合物としては、一般式としては
Al2(OH)nCl6−n]m(0<n<6、m≦10、塩基度=n/6×100%)で表されるものを用いることができる。そして、水道用ポリ塩化アルミニウムのJIS規格であるJIS K 1475−1996に定められるものが好適である。通常のポリ塩化アルミニウムの塩基度は40wt%から65wt%程度である。これらのもの粉末で入手することができる。
またアルミニウム塩類には必要に応じて、その他の金属塩類を添加することができる。
本発明において二段階で添加する様態では、上記の通り、通常の塩基度のポリ塩化アルミニウムを用いることができるが、最も好適なものは下記の高塩基性ポリ塩化アルミニウム類の粉末である。
【0031】
(高塩基性ポリ塩化アルミニウム類)
本発明における第一剤として液体状の高塩基度ポリ塩化アルミニウム塩組成物からなる助剤の様態に用いられるのは、高塩基性ポリ塩化アルミニウムを含有することが必須である。高塩基性ポリ塩化アルミニウムとは、通常アルミニウムイオンは、水溶液中ではアルミニウム原子に6個のH2O分子が正八面体に配位したアコ錯体[Al(OH26]3+として存在しているが、高塩基性ポリ塩化アルミニウム中のアルミニウムは、この配位水の解離により、OHを架橋として数個のアルミニウムが重縮合した一種の高分子を形成しており、多核錯体として存在しているものである。これらの塩基性塩化アルミニウムの一般式は[Al2(OH)nCl6n]m(0<n<6 m≦10)で示される。
塩基度はn/6×100(%)で示される。
【0032】
これらの高塩基性ポリ塩化アルミニウムでの、アルミニウムイオンの加水分解機構は、アルミニウムに配位しているH2Oがプロトリシス現象を起こしてH+を錯基外に放出してOH基に変化し、これが隣接するアルミニウムの水分子との間に水素結合を作り、次いで水分子を失って-OH-を配したアルミニウムが2〜3集まって多核錯体を形成することでなされる。加水分解が更に進むと最終的に分子量の大きい重合体の水酸化物を生成する。この水酸化物は一般的にAl(OH)3と表されますが、その組成は一定ではなく、
Al3+がOH-でつなぎ合わされ、多くの水分子が配位したゼリー状沈殿物として得られる。したがって、通常高塩基性ポリ塩化アルミニウムは液状で用いられるものである。
【0033】
これらの高塩基性塩化ポリアルミニウムの塩基度としては、塩基度が70wt%以上のものが適しており、より好ましくは75wt%以上、更に好ましくは83wt%以上、よりよく好ましくは85wt%以上であり、更に好ましくは90wt%以上である。
本発明においては、固体状の金属塩を添加する様態以外では、金属塩は高塩基性ポリ塩化アルミニウム塩を用いることが必須である。すなわち、高塩基性ポリ塩化アルミニウム塩を用いた場合には、上記の通りアルミニウムイオンの重縮合が進み多核錯体となっているため、汚泥中に添加された場合でもアルミニウムイオンの放出が遅く、水溶性ポリマー急速な不溶化を招くことなく、水溶性ポリマーの汚泥中での溶解後にアルミニウムイオンが放出され、その結果汚泥中の有機物の中和、塩水に由来するイオンの中和をすることができる。そして通常のポリ塩化アルミニウムに比較してもアルミニウム濃度が高いため、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩やポリアクリル酸アミドナトリウム塩などの水溶性ポリマーの架橋を促進し、水硬性物質が有機物により、効力を削減されるのを防止する。
【0034】
塩基度が70%未満であると水溶液の状態で高いアルミニウム濃度が得られず、凝集効果が十分得られなくなる。
本発明における二段階で添加する第1剤に用いられる粉末状のアルミニウム塩類に、上記の液状の高塩基性塩化ポリアルミニウムを用いようとする場合は、上記の通り液体の高塩基性塩化ポリアルミニウムを乾燥固化することにより得られる。乾燥固化の方法は特に限定される通常の方法が用いることができる。即ち、熱風乾燥でも、減圧乾燥でも良い。加熱固化した後は、その後の二段階添加時の溶解性、分散性を得るために60メッシュ程度の粒子径にしておくのが望ましい。
【0035】
(水硬性物質)
水硬性物質としては、従来の含水汚泥安定処理用固化材の水硬性成分として使用されているものであれば特に限定されず、セメント、生石灰、消石灰、石膏等を用いることができる。しかしながら、安定処理すわなち固化処理された浚渫汚泥土のpHを中性域に保つことを考慮すると、水と接触した場合中性を示す物質が好ましく、この意味では半水石膏が最も好ましい。半水石膏とはCaSO4・1/2H2Oの結晶であり、三方晶であってもよい。また硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム二分の一水塩であっても良い。また結晶形の異なる(1)α型半水石膏すなわち α石膏、硬質石膏、硬質半水石膏、高強度焼石膏で有っても良い。さらに(2)β型半水石膏すわなち β石膏、焼石膏、普通石膏、鋳込用石膏(陶磁器業界用語)であっても良い。
本発明の含水汚泥安定処理用固化剤は、含水汚泥1m3に対して水溶性高分子、高塩基性ポリ塩化アルミニウム各々0.5〜10kg添加することが好ましく、より好ましくは、2〜6kgである。含水汚泥1m3に対して0.5kg未満であると凝集性が十分発揮されず、6kg超えてくると経済性が悪くなる。
【0036】
本発明の含水汚泥安定処理用固化剤は、本発明の作用を阻害しない範囲で、高吸水性樹脂等の他の成分を含有しても良い。
本発明の含水汚泥安定処理用固化剤は、含水汚泥中の水分量が20〜80重量%である含水汚泥のリサイクルに好適であり、含水汚泥中の水分量が30〜50重量%である含水汚泥のリサイクルにより好適に用いることができる。また、含水汚泥中の全固形分に対する有機物含有比率については特に限定されないが、30重量%以下が好適である。
【0037】
(汚泥安定処理用固化剤の混合方法と使用量)
本発明の汚泥安定処理用固化剤を予め混合する方法は、任意の公知の方法が取れる。具体的な混合方法としては、ヘンシェルミキサーやモルタルミキサー(土木用のコンクリートミキサー)での混合でも構わない。
また、第一剤に用いる水溶性高分子を複数のものを混合したものにする場合でもその混合方法は任意の方法で行うことができ、それらの粉末が実質的に均一に分散している程度に混合されていれば良い。
本発明の含水汚泥安定処理用固化剤の添加量は、含水汚泥の含水率、粘土の種類や有機物含有量によっても異なるが、第一剤の添加量としては含水汚泥1m3に対し1から20kgである。より好ましくは、1kgから15kg、特に好ましくは、1kgから12kgであるが、これらの添加量は含水率が高く、有機物含有量が高いものの場合である。例えば、含水汚泥中の水分量が50重量%、有機物含有量が全固形分に対して20重量%である場合、含水汚泥1m3に対し、水溶性高分子及び高塩基性ポリ塩化アルミニウムからなる第一剤を各々1.0〜5.0kg添加することが好ましく、より好ましくは、2.0〜4.0kgである。添加量が1.0kg未満であると、凝集・固化作用が充分でなく、上記の含水率および有機物含有量であれば4.0kgを超えると凝集・固化作用に大きな変化が無く、経済性も劣り易い。
【0038】
第二剤の添加量としては含水汚泥1m3に対し50kgから350kgである。より好ましくは、100kgから300kg、特に好ましくは、120kgから250kgであるが、これらの添加量は含水率が高く、有機物含有量が高いものの場合である。水硬性物質である第二剤の添加量が少ない場合は固化剤で固化された安定処理土の硬度が十分でなくなる。また添加量が多い場合には経済性に劣る。
本発明の含水汚泥安定処理用固化剤により、固化・減容化された安定処理土は、盛土・裏込め・埋戻し等で再利用することができるようになる。
【0039】
以下に、試験例及び実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【実施例】
【0040】
(底質汚泥)
固化試験に用いる底質汚泥として、溜池から浚渫された汚泥を用いた。この浚渫汚泥の含水率、強熱減量と比重を測定した結果を表1に記載する。尚、含水率は、試験に用いた浚渫汚泥を105℃24時間の条件で完全に乾燥させ、乾燥前後の重量差から求めた。また強熱減量はすなわち加熱減量比であり、630℃で3時間加熱した加熱前後の重量差から求めた。
【表1】

【0041】
(1)二段階で添加する場合の第一剤の調整(アニオン性水溶性高分子混合物の調製)
60メッシュ以下に調整された粉末ポリアクリルアミド加水分解物(アコフロック登録商標 A130、カルボキシ含量;30モル%、分子量;1,600×104、三井化学アクアポリマー製)10重量部、カルボキシメチルセルロース(CMCダイセル登録商標 <2450>、カルボキシメチル基の置換度;1.14、1%水溶液粘度;4980mPa・s B型粘度計60rpm 25℃、ダイセル化学工業製)90重量部をミキサーを用いて攪拌混合し、アニオン性水溶性高分子の混合物を得た。
【0042】
実施例1
上記(1)で得られた含水汚泥安定処理用固化剤8gと高塩基性ポリ塩化アルミニウム(アルファイン83、塩基度83±1.5、大明化学工業製)12mlを同時に表1に示した溜池含水汚泥2Lにゆっくりと添加し、添加後モルタルミキサー(JIS R 5201「セメントの物理試験方法」記載、低速;自転 毎分140±5回転 公転 約62回転)で60秒間攪拌混合し、た。その後、半水石膏300gを同じ方法で添加し、30秒間攪拌混合した。得られた安定処理土をステンレス製バット(縦28cm 横22cm 高さ5cm)に移し替え、20℃に温調された室内において、4日間自然乾燥養生し、安定処理土を得た。
【0043】
実施例2
カルボキシメチルセルロース(CMCダイセル登録商標 <2450>、カルボキシメチル基の置換度;1.14、1%水溶液粘度;4980mPa・s、ダイセル化学工業製)8gと高塩基性ポリ塩化アルミニウム(アルファイン83、塩基度83±1.5、大明化学工業製)12mlを実施例1と同じ方法で、溜池含水汚泥2Lに同時に添加し、攪拌混合した。ついで、半水石膏300gを実施例1と同じ方法で添加攪拌混合した。得られた安定処理土をステンレス製バット(縦28cm 横22cm 高さ5cm)に移し替え、20℃に温調された室内において、4日間自然乾燥養生し、安定処理土を得た。
【0044】
比較例1
60メッシュ以下に調整された粉末ポリアクリルアミド加水分解物(アコフロック登録商標 A130、カルボキシ含量;30モル%、分子量;1,600×104、三井化学アクアポリマー製)8gを実施例1と同じ方法で、表1に示した溜池含水汚泥2Lに添加し、攪拌混合した。その後、半水石膏300gを実施例1と同じ方法で含水汚泥に添加攪拌混合した。得られた安定処理土をステンレス製バット(縦28cm 横22cm 高さ5cm)に移し替え、20℃に温調された室内において、4日間自然乾燥養生し、安定処理土を得た。
【0045】
比較例2
上記(1)アニオン性水溶性高分子の調製で得られた水溶性高分子8gとポリ塩化アルミニウム(タイパック、塩基度50〜65重量%、大明化学工業製)12mlを実施例1と同じ方法で同時に添加攪拌混合し、その後、半水石膏300gを実施例1と同じ方法で添加攪拌混合した。得られた安定処理土をステンレス製バット(縦28cm 横22cm 高さ5cm)に移し替え、20℃に温調された室内において、4日間自然乾燥養生し、安定処理土を得た。
【0046】
比較例3
ヒドロキシエチルセルロース(HECダイセル登録商標 EP850、モル置換度;2.2、1%水溶液粘度2888mPa・s B型粘度計30rpm 25℃、ダイセル化学工業製)8gと高塩基性ポリ塩化アルミニウム(アルファイン83、塩基度83±1.5、大明化学工業製)12mlを実施例1と同じ方法で表1に示した性状の溜池含水汚泥2Lに添加攪拌混合し、その後、半水石膏300gを実施例1と同じ方法で添加攪拌混合した。得られた安定処理土をステンレス製バット(縦28cm 横22cm 高さ5cm)に移し替え、20℃に温調された室内において、4日間自然乾燥養生し、安定処理土を得た。
【0047】
実施例3
高塩基性ポリ塩化アルミニウム(アルファイン83、塩基度83±1.5、大明化学工業製)を40度で24時間真空乾燥し、その後粉砕することにより粉末状の高塩基性ポリ塩化アルミニウムを得た。
60メッシュ以下に調整された粉末カルボキシメチルセルロース(<2450>、カルボキシメチル基の置換度;1.14、1%水溶液粘度;4980mPa・s B型粘度計60rpm 25℃、ダイセル化学工業製)50重量部と上記の高塩基性ポリ塩化アルミニウム粉末50重量部をミキサーを用いて攪拌混合し、二段階で添加する場合の第一剤を得た。第1剤16gを実施例1と同じ方法で、溜池含水汚泥2Lに添加し、攪拌混合した。ついで、半水石膏300gを実施例1と同じ方法で添加攪拌混合した。得られた安定処理土をステンレス製バット(縦28cm 横22cm 高さ5cm)に移し替え、20℃に温調された室内において、4日間自然乾燥養生し、安定処理土を得た。
【0048】
(試験方法)
以上の実施例および比較例について固化した安定処理土の硬度を測定するために、(財)先端建設技術センター編「建設汚泥リサイクル指針」(発行所;(株)大成出版社、42頁)記載の処理土のコーン指数試験方法によりコーン指数測定を行った。
尚、コーン指数は、粘性土の変形・強度特性を求めるために利用されており、一般的には200kN/m2以上であれば、標準仕様ダンプトラック等での運搬が可能になり、又、処理土として再利用が可能になるとされている。
【表2】

【0049】
表2から明らかなとおり、本発明の実施例による固化助剤により固化処理を行った浚渫汚泥は高いコーン指数を示し、4日間の養生後では処理土としての再利用が可能な強度を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水汚泥に二段階で添加する含水汚泥安定処理用固化剤であって、最初に添加する第一剤が少なくともアニオン性の水溶性高分子を含む一種以上の固体状の水溶性高分子と一種以上の固体状のアルミニウム塩からなる粉末状の助剤であり、これらの第一剤を含水汚泥に添加し、攪拌した後に添加する第二剤が水硬性物質から選ばれた粉末の助剤である含水汚泥安定処理用固化剤。
【請求項2】
含水汚泥に二段階で添加する含水汚泥安定処理用固化剤であって、最初に添加する第一剤が少なくともアニオン性の水溶性高分子を含む一種以上の水溶性高分子からなる助剤と一種以上の液体状の高塩基度ポリ塩化アルミニウム塩組成物からなる助剤であり、これらの複数の第一剤を予め混合することなく、同時に含水汚泥に添加し、攪拌した後に添加する第二剤が水硬性物質から選ばれた粉末からなる助剤である含水汚泥安定処理用固化剤
【請求項3】
水溶性高分子がポリアクリルアミド加水分解物か又はカルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩を含む請求項1及び2何れかに記載の含水汚泥安定処理用固化剤
【請求項4】
アルミニウム塩が塩基度が70wt%以上である高塩基性ポリ塩化アルミニウムを含む請求項1から3何れかに記載の含水汚泥安定処理用固化剤。
【請求項5】
アニオン性の水溶性高分子がカルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩とポリアクリルアミド加水分解物の組み合わせであり、カルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩とポリアクリルアミド加水分解物ポリアクリルアミド加水分解物加水分解物の組成比が前者/後者で95/5から80/20であり、かつカルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩の置換度が0.9〜2.5、そしてカルボシキメチルセルロースアルカリ金属塩の1重量%水溶液粘度が3000mPa・s〜7000mPa・sであり、ポリアクリルアミド加水分解物のカルボキシ含量が20から40モル%であり、ポリアクリルアミド加水分解物の分子量が100万から200万であり、水硬性物質が半水石膏を主成分として含む請求項1から4何れかに記載の含水汚泥安定処理用固化剤。
【請求項6】
含水汚泥に二段階で添加する含水汚泥安定処理用固化剤であって、最初に添加する第一剤が少なくともアニオン性の水溶性高分子の粉末と高塩基性ポリ塩化アルミニウムの粉末からなり、これらの粉末を予め粉末混合した粉末状の助剤であり、第一剤を含水汚泥に添加し、攪拌した後に添加する第二剤が水硬性物質から選ばれた粉末の助剤である含水汚泥安定処理用固化剤
【請求項7】
含水汚泥1m3に対して、請求項1乃至6何れか一項に記載の含水汚泥安定処理用固化剤を各々第一剤としては1から20kg、第二剤としては50から350kg添加することを特徴とする含水汚泥安定処理用固化方法。

【公開番号】特開2007−21461(P2007−21461A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211788(P2005−211788)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】