説明

含油粒状物の処理方法

【課題】粗粒と細粒の集合体からなり油を含んでいる含油粒状物(含油スラッジや油汚染土壌等)から油を除去して、再利用可能な状態で回収する処理方法において、薬剤や水処理にかかる費用を少なくする。
【解決手段】この発明では、含油スラッジの処理を、二軸攪拌装置(磨砕装置)1と、サイクロン分級機(分級装置)2と、二軸攪拌装置(洗浄装置)3と、固液分離装置4とからなる処理設備を使用して行う。含油スラッジを磨砕した後に分級を行い、粗粒分に含まれる粒径20μm以下の粒子が20質量%以下になるようにする。この粗粒分を洗浄液で洗浄して粒子が含有する油分を液体側に移した後、固液分離して油分が除去された粒子を浄化スラッジとして回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粗粒と細粒の集合体からなり油を含んでいる含油粒状物(含油スラッジや油汚染土壌等)から油を除去して、再利用可能な状態で回収する処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種工場における排水処理過程で発生する含油スラッジや汚染土壌等を清浄化して、再利用可能な状態で回収する方法が提案されている。
含油スラッジを清浄化して再利用可能な状態で回収する方法としては、下記の特許文献1に記載された方法がある。この方法は、含油スラッジを溶剤と接触させて油分を溶剤に溶かした後に固液分離し、固形分を界面活性剤を含む水で洗浄することで、清浄化されたスラッジを回収する方法である。この方法では、含油スラッジの量に応じた溶剤と界面活性剤を使用するため、大量の含油スラッジを処理する場合には、薬剤費用がかさむとともに、排水量も多くなるため水処理費用もかさみ、処理設備の敷地面積も大きくなる。
【0003】
これに対して、下記の特許文献2には、細粒は粗粒と比較して単位体積当たりの表面積が大きいため、粗粒よりも汚染の程度が高いことから、汚染土壌を粗粒分と細粒分(シルト)とに分級し、細粒分のみを、汚染物質を溶出させる液で洗浄する方法が記載されている。粗粒分は解砕した後に更に分級し、この分級で粗粒分となった粒子は、循環水で洗浄後に埋め戻し土等に利用できると記載されている。
【0004】
この方法のように、分級して細粒分のみを洗浄すれば、分級しないで洗浄する方法よりも、薬剤や水処理にかかる費用を少なくすることができる。しかし、この方法では、分級後の粗粒分に、細粒が粗粒に強固に付着した二次粒子が含まれる。そのため、再利用可能とする粒子の清浄化度の目標値が高い場合、この方法は含油粒状物の処理方法として適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−176659号公報
【特許文献2】特開2005−238102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の課題は、粗粒と細粒の集合体からなり油を含んでいる含油粒状物(含油スラッジや油汚染土壌等)から油を除去して、再利用可能な状態で回収する処理方法として、薬剤や水処理にかかる費用を少なくしながら、再利用可能とする粒子の清浄化度の目標値が高い場合でも適用できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明の含油粒状物の処理方法は、粗粒と細粒の集合体からなり油を含んでいる含油粒状物に対し、粒子同士の摩擦で粒子を小さくする処理を行う磨砕工程と、磨砕工程後の含油粒状物を(例えば、25μm〜30μmの範囲を分級粒径として)粗粒分と細粒分に分級して、粗粒分に含まれる粒径20μm以下の粒子が20質量%以下になるようにする分級工程と、分級工程後の粗粒分を液体中で洗浄して、前記粗粒分をなす粒子が含有する油分を液体側に移す洗浄工程と、洗浄工程後の前記粒子を含有する液体を固液分離して、油分が除去された粒子を回収する回収工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
この方法によれば、含油粒状物に含まれている二次粒子(粒子同士が強固に付着しているもの)が、磨砕工程で一次粒子に分離される(例えば、細粒が粗粒に強固に付着している二次粒子が、細粒と粗粒に分離される)ため、分級工程前に磨砕工程を行わない場合と比較して、分級工程で細粒が粗粒分に入る確率を低くすることができる。これに対して、分級工程前に磨砕工程を行わない場合には、二次粒子を構成する細粒が粗粒分に入る。
【0009】
また、磨砕工程で粗粒の表面に付着している油分が細粒に移着するため、磨砕工程を行わない場合よりも、細粒側の油分を高く、粗粒側の油分を低くすることができる。
そして、この方法では、細粒の含有率が低い粗粒分を洗浄して回収するため、再利用可能とする粒子の清浄化度の目標値が高い場合でも、目標値が達成できる。また、分級工程で、粗粒分に含まれる粒径20μm以下の粒子が20質量%以下になるようにすることにより、洗浄工程で使用する薬剤の使用量を著しく低減することができる。
【0010】
製鉄所における工程排水のスラッジは、粒径が40μm〜100μm程度の酸化鉄スケールや金属凝集物と、粒径が1μm〜10μm程度の微粒子とで構成されるため、含油粒状物が製鉄所における工程排水のスラッジである場合は、10μm〜30μmの範囲で粗粒分と細粒分を分けることができる。そして、分級粒径を25μm〜30μmの範囲とし、粗粒分に含まれる粒径20μm以下の粒子が20質量%以下になるようにすることで、洗浄工程で使用する薬剤の使用量を著しく低減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法は、粗粒と細粒の集合体からなり油を含んでいる含油粒状物から油を除去して、再利用可能な状態で回収する処理方法として、薬剤や水処理にかかる費用を少なくしながら、再利用可能とする粒子の清浄化度の目標値が高い場合でも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施形態に相当する含油スラッジの処理方法を説明する工程図である。
【図2】実施例のサンプルNo. 1に関し、磨砕工程前後の含油スラッジと分級工程後の粗粒分および細粒分について粒度分布を調べた結果を示すグラフである。
【図3】分級工程後の粗粒分中に含まれる粒径20μm以下の粒子の含有率と、回収した浄化スラッジの油含有率が目標値となるために必要な界面活性剤濃度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態について説明する。
この実施形態の含油スラッジの処理方法は、磨砕工程と、分級工程と、洗浄工程と、回収工程とからなる。この方法は、図1に示すように、二軸攪拌装置(磨砕装置)1と、サイクロン分級機(分級装置)2と、二軸攪拌装置(洗浄装置)3と、固液分離装置4とからなる処理設備を使用して実施することができる。
【0014】
磨砕工程で、含油スラッジは二軸攪拌装置1に導入され、含油スラッジを構成する粒子同士の摩擦で粒子を小さくする処理が行われ、含油スラッジに含まれている二次粒子が一次粒子に分離される。よって、細粒が粗粒に強固に付着している二次粒子は細粒と粗粒に分離される。また、粗粒の表面に付着している油分が細粒に移着する。
磨砕工程後の含油スラッジはサイクロン分級機2に導入され、設定条件に応じて粗粒分と細粒分に分級される。この分級工程で、分級粒径を25μm〜30μmの範囲とし、粗粒分に含まれる粒径20μm以下の粒子が20質量%以下になるようにする。
【0015】
分級工程後の細粒分は油分の含有率が高いため、脱水処理された後に、焼却あるいは埋め立て等の方法で処分される。
分級工程後の粗粒分は、二軸攪拌装置3に導入されて洗浄工程が行われる。二軸攪拌装置3には、洗浄剤注入管31から洗浄剤として界面活性剤と水酸化ナトリウムを含む水溶液が注入される。二軸攪拌装置3内では、導入された粗粒分をなす粒子が界面活性剤と水酸化ナトリウムで洗浄されて、油分が液体側に移る。
【0016】
二軸攪拌装置3の内容物は洗浄工程後に固液分離装置4に導入されて、油分を含む水は排出され、固形分(油分が除去された粒子)が浄化スラッジとして回収される。排出された油分を含む水は、油分を除去した後に、磨砕工程、分級工程、洗浄工程で、処理対象物に適切な流動性を付与するための水として循環使用することができる。
この実施形態の方法によれば、分級工程前に磨砕工程を行うことで、分級工程で細粒が粗粒分に入る確率を低くすることができ、分級工程で、粗粒分に含まれる粒径20μm以下の粒子が20質量%以下になるようにすることにより、洗浄工程で使用する薬剤(界面活性剤と水酸化ナトリウム)の使用量を著しく低減することができる。
【0017】
なお、磨砕工程で使用する磨砕装置としては、二軸攪拌装置以外に、偏心二重ドラムを備えた解砕機などが使用できる。
分級工程で使用する分級装置としては、サイクロン分級機以外に、沈降分離装置、振動篩い装置などが使用できる。
洗浄工程で使用する洗浄剤としては、界面活性剤と水酸化ナトリウムを含む水溶液以外に、界面活性剤を含む水、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カルシウム水溶液などのアルカリ性水溶液などが使用できる。界面活性剤としては、ノニオン系やアニオン系のものが使用できる。
【0018】
ノニオン系界面活性剤は油分の洗浄力が高く、アニオン系界面活性剤は油分だけでなく複合的な汚染物質を併せて洗浄する場合に好適である。アルカリ性水溶液はケン化作用により動植物性油脂の洗浄力が高い。特に、アルカリ性水溶液とアニオン系界面活性剤の混合物を洗浄剤として用いることで、優れた洗浄作用が発揮される。
回収工程で使用する固液分離装置としては、分離対象物の濃度が比較的高く比重が比較的大きい場合に効率的に固液分離できる装置として、フィルタープレス等の脱水機、クラシファイア等のかき寄せ型固液分離機、沈降分離機などが挙げられる。分離対象物の濃度が比較的低く比重が比較的小さい場合に効率的に固液分離できる装置としては、遠心分離機、浮上分離機、ストレーナや濾材を用いた濾過分離機などが挙げられる。
【実施例】
【0019】
図1に示す処理設備を使用して、実施形態に記載した方法により、製鉄所の工程排水から発生した含油スラッジを処理した。
磨砕装置である二軸攪拌装置1として、太平洋機工(株)製の二軸パドルミキサ「SD−55」を設置し、サイクロン分級機2として、村田工業(株)製の液体サイクロン「SC−150」を設置した。この液体サイクロンのトップノズル径は28mmであり、ボトムノズル径は13mmである。洗浄装置である二軸攪拌装置3として、太平洋機工(株)製の二軸パドルミキサ「SD−55」を設置し、固液分離装置4として、(株)氣工社製のかき寄せ型固液分離装置「ハイメッシュセパレータ」を設置した。
【0020】
サンプルNo. 1では、先ず、含油スラッジを二軸パドルミキサに導入して、10分間作動させることで磨砕工程を行った。次に、磨砕された含油スラッジをサイクロン分級機に導入して、含油スラッジの固形分が10質量%となるように工業用水を添加し、サイクロンの入口圧:0.20MPa、出口圧:0.005MPaの条件(条件1)で作動させることで分級工程を行った。
【0021】
粗粒分をボトムノズルから取り出し、細粒分をトップノズルから取り出して、それぞれの粒度分布を測定した。磨砕工程の前後にも含油スラッジの粒度分布を測定しておいた。これらの結果をまとめて図2のグラフに示す。また、分級工程後の粗粒分と細粒分の比率は、粗粒分が90質量%、細粒分が10質量%であった。さらに、分級工程後の油含有率を測定したところ、粗粒分が2.2質量%、細粒分が22質量%であった。
【0022】
次に、ボトムノズルから取り出した粗粒分を洗浄用の二軸攪拌装置に導入し、洗浄剤注入管から、ノニオン系界面活性剤としてミヨシ油脂(株)製の「ペレソフト207」の含有率が0.3質量%、アニオン系界面活性剤としてミヨシ油脂(株)製の「スパミンS」の含有率が0.3質量%、水酸化ナトリウム含有率が0.8質量%である水溶液からなる洗浄剤を注入した後、二軸攪拌装置を20分間作動させることで洗浄工程を行った。これにより、粗粒分をなす粒子が含有していた油分が液体側に移る。
【0023】
次に、二軸攪拌装置の内容物をかき寄せ型固液分離装置に導入して、固液分離が完了するまで作動させた後、固形分(油分が除去された粒子)を取り出した。取り出した固形分を工業用水で2回すすいだ後、浄化スラッジとして回収した。回収した浄化スラッジ(粗粒分)の油含有率を測定したところ0.26質量%であった。
図2のグラフから分かるように、処理前の含油スラッジ(原スラッジ)は主に粒径が5〜20μmである粒子で構成されているが、磨砕工程後に粒径10μm前後の粒子が増加している。これは、磨砕処理によって二次粒子が一次粒子に分離されていることを示している。分級工程後の細粒分は粒径20μm以下の粒子が80%を占め、粗粒分は粒径20μm以下の粒子の含有率が10%である。
【0024】
サンプルNo. 2では、磨砕工程を行わず、含油スラッジを直接サイクロン分級機に導入して、No. 1と同じ条件で分級工程を行い、それ以降の工程も同じ方法で行った。
サンプルNo. 2で、分級工程後の粗粒分と細粒分の比率は、粗粒分が91質量%、細粒分が9質量%であった。分級工程後の油含有率は、粗粒分が3.7質量%、細粒分が7.8質量%であった。また、回収した浄化スラッジ(粗粒分)の油含有率を測定したところ3.2質量%であった。
【0025】
サンプルNo. 3では、洗浄工程で洗浄剤注入管から注入する洗浄剤を、No. 1と同じノニオン系界面活性剤の含有率が1.0質量%、No. 1と同じアニオン系界面活性剤の含有率が1.0質量%、水酸化ナトリウム含有率が2.4質量%である水溶液とした。これ以外はNo. 2と同じ方法で処理を行った。
サンプルNo. 3で、分級工程後の粗粒分と細粒分の比率は、粗粒分が91質量%、細粒分が9質量%であった。分級工程後の油含有率は、粗粒分が3.7質量%、細粒分が7.8質量%であった。また、回収した浄化スラッジ(粗粒分)の油含有率を測定したところ0.38質量%であった。
【0026】
サンプルNo. 4では、No. 1と同じ方法で磨砕工程を行った後に行う分級工程で、サイクロン分級機の作動条件を、サイクロンの入口圧:0.25MPa、出口圧:0.04MPaの条件(条件2)とした。また、洗浄工程で洗浄剤注入管から注入する洗浄剤を、No. 1と同じノニオン系界面活性剤の含有率が0.60質量%、No. 1と同じアニオン系界面活性剤の含有率が0.60質量%、水酸化ナトリウム含有率が1.5質量%である水溶液とした。これらのこと以外はNo. 1と同じ方法で処理を行った。
【0027】
サンプルNo. 4で、分級工程後の粗粒分と細粒分の比率は、粗粒分が93質量%、細粒分が7質量%であり、粗粒分における粒径20μm以下の粒子の含有率は25%であった。分級工程後の油含有率は、粗粒分が3.2質量%、細粒分が17質量%であった。また、回収した浄化スラッジ(粗粒分)の油含有率を測定したところ0.62質量%であった。
【0028】
サンプルNo. 5では、洗浄工程で洗浄剤注入管から注入する洗浄剤を、No. 1と同じノニオン系界面活性剤の含有率が0.75質量%、No. 1と同じアニオン系界面活性剤の含有率が0.75質量%、水酸化ナトリウム含有率が1.8質量%である水溶液とした。これ以外はNo. 4と同じ方法で処理を行った。
サンプルNo. 5で、分級工程後の粗粒分と細粒分の比率は、粗粒分が93質量%、細粒分が7質量%であり、粗粒分における粒径20μm以下の粒子の含有率は25%であった。分級工程後の油含有率は、粗粒分が3.2質量%、細粒分が17質量%であった。また、回収した浄化スラッジ(粗粒分)の油含有率を測定したところ0.35質量%であった。
【0029】
これらの結果を下記の表1にまとめて示す。
【0030】
【表1】

【0031】
サンプルNo. 1では、磨砕工程を行い、分級工程後の粗粒分中に含まれる粒径20μm以下の粒子の含有率が10質量%であったため、ノニオン系界面活性剤含有率が0.3質量%、アニオン系界面活性剤含有率が0.3質量%、水酸化ナトリウム含有率が0.8質量%という、洗浄剤濃度が低い水溶液で、洗浄後の粗粒分の油含有率を浄化スラッジの目標値である0.40質量%以下にすることができた。
【0032】
サンプルNo. 2では、磨砕工程を行わないことで、分級後の粗粒分に、油含有率の多い細粒が粗粒に強固に付着した二次粒子が含まれるため、No. 1と同じ洗浄剤濃度の水溶液で洗浄工程を行った結果、洗浄後の粗粒分の油含有率が、浄化スラッジの目標値である0.40質量%以下を満たさない3.2質量%となった。
磨砕工程を行わない方法で、洗浄後の粗粒分の油含有率0.40質量%以下を達成するためには、サンプルNo. 3のように、洗浄剤濃度が高い(ノニオン系界面活性剤含有率が1.0質量%、アニオン系界面活性剤含有率が1.0質量%、水酸化ナトリウム含有率が2.4質量%)水溶液を用いる必要がある。
【0033】
サンプルNo. 4では、磨砕工程を行っているが、分級工程後の粗粒分中に含まれる粒径20μm以下の粒子の含有率が25質量%であった。洗浄剤濃度がNo. 1のほぼ倍である水溶液で洗浄工程を行った結果、洗浄後の粗粒分の油含有率が、浄化スラッジの目標値である0.40質量%以下を満たさない0.62質量%となった。
サンプルNo. 4と同じ条件で分級工程を行って、洗浄後の粗粒分の油含有率0.40質量%以下を達成するためには、サンプルNo. 5のように、洗浄剤濃度がより高い(ノニオン系界面活性剤含有率が0.75質量%、アニオン系界面活性剤含有率が0.75質量%、水酸化ナトリウム含有率が1.8質量%)水溶液を用いる必要がある。
【0034】
また、磨砕工程を同じ条件で行った含油スラッジに対する分級工程を各種条件で行うことで、分級工程後の粗粒分中に含まれる粒径20μm以下の粒子の含有率を、それぞれ9.5質量%、16質量%、19質量%、23質量%、25質量%とした。これらの粗粒分の洗浄工程を、No. 1と同じノニオン系界面活性剤と、No. 1と同じアニオン系界面活性剤と、水酸化ナトリウムからなり、水酸化ナトリウム濃度は0.8質量%で一定にし、ノニオン系界面活性剤とアニオン系界面活性剤の濃度を様々に変化させた水溶液を用いて行いた。ノニオン系界面活性剤とアニオン系界面活性剤は同じ濃度で変化させた。
【0035】
そして、回収した浄化スラッジの油含有率が目標値(0.40質量%以下)となるために必要な界面活性剤濃度の臨界値を調べた。その結果を図3のグラフに示す。このグラフから分かるように、分級工程後の粗粒分中に含まれる粒径20μm以下の粒子の含有率が20質量%以下であると界面活性剤の必要濃度は0.3質量%であり、洗浄工程で使用する界面活性剤の使用量を著しく低減することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 二軸攪拌装置(磨砕装置)
2 サイクロン分級機(分級装置)
3 二軸攪拌装置(洗浄装置)
31 洗浄剤注入管
4 固液分離装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗粒と細粒の集合体からなり油を含んでいる含油粒状物に対し、粒子同士の摩擦で粒子を小さくする処理を行う磨砕工程と、
磨砕工程後の含油粒状物を粗粒分と細粒分に分級して、粗粒分に含まれる粒径20μm以下の粒子が20質量%以下になるようにする分級工程と、
分級工程後の粗粒分を液体中で洗浄して、前記粗粒分をなす粒子が含有する油分を液体側に移す洗浄工程と、
洗浄工程後の前記粒子を含有する液体を固液分離して、油分が除去された粒子を回収する回収工程と、
を有することを特徴とする含油粒状物の処理方法。
【請求項2】
前記含油粒状物は製鉄所における工程排水のスラッジである請求項1記載の含油粒状物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−227860(P2010−227860A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79440(P2009−79440)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】