説明

含窒素化合物の製造方法

【課題】脂肪族アルコールから、脂肪族1級アミンを高選択に製造する方法を提供する。
【解決手段】(A)ニッケル、銅及びジルコニウムの各成分、及び(B)周期律表第3族元素、周期律表第5族元素及び白金族元素から選ばれる少なくとも1種の金属成分を含有する触媒の存在下、直鎖状又は分岐若しくは環を有する飽和又は不飽和の脂肪族アルコールを、アンモニア及び水素と接触させる、脂肪族アミンの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含窒素化合物、とりわけ脂肪族アミンの製造方法に関し、さらに詳しくは、ニッケル−銅系触媒を用いて脂肪族1級アミンを高選択に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪族1級アミンは、家庭用、工業用分野において重要な化合物であり、界面活性剤、繊維処理剤等の製造原料などとして用いられている。
脂肪族1級アミンの製造方法としては、様々な方法があるが、その中の1つとして、触媒の存在下に、脂肪族アルコールを、アンモニア及び水素と接触させる方法が知られている。この接触反応においては、触媒として、ニッケル−銅系触媒や貴金属系触媒が用いられる。
ニッケル−銅系触媒を用いて、脂肪族アルコールからアミンを製造する方法としては、例えば、1級もしくは2級アルコールと、アンモニアまたは1級もしくは2級アミンとからジルコニウム/銅/ニッケル触媒の存在下に水素を使用してアミンを製造する方法であって、ZrO2 として20から85重量%の酸素含有ジルコニウム化合物、CuOとして1から30重量%の酸素含有銅化合物、NiOとして30から70重量%の酸素含有ニッケル化合物、MoO3 として0.1から5重量%の酸素含有モリブデン化合物、およびAl23 またはMnO2 として0から10重量%の酸素含有アルミニウムおよび/またはマンガン化合物を含有する触媒活性材料を使用する方法(特許文献1参照)等が開示されている。
しかしながら、この技術においては触媒の1級アミンに対する選択性が不十分であった。
【0003】
【特許文献1】特開平8−176074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、脂肪族アルコールから、脂肪族1級アミンを高選択に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(A)ニッケル、銅及びジルコニウムの各成分、及び(B)周期律表第3族元素、周期律表第5族元素及び白金族元素から選ばれる少なくとも1種の金属成分を含有する触媒の存在下、直鎖状又は分岐若しくは環を有する飽和又は不飽和の脂肪族アルコールを、アンモニア及び水素と接触させる、脂肪族アミンの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法によれば、脂肪族アルコールから、脂肪族1級アミンを高選択に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の脂肪族アミンの製造方法においては、原料として、直鎖状又は分岐若しくは環を有する飽和又は不飽和の脂肪族アルコールが用いられる。アルコールは、1級及び2級の脂肪族アルコールをいずれも使用可能である。
【0008】
使用しうるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、トリデカノール、イソヘキシルアルコール、オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、3,5,5−トリメチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、3,7−ジメチルオクチルアルコール、2−プロピルへプチルアルコール、ゲラニオール、ラウリルアルコールなどのドデシルアルコール類、ミリスチルアルコールなどのテトラデシルアルコール類、パルミチルアルコールなどのヘキサデシルアルコール類、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどのオクタデシルアルコール類、ベヘニルアルコール、イコシルアルコール類等の1級あるいは2級アルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロペンチルメタノール、シクロペンテニルメタノール、シクロヘキシルメタノール、シクロヘキセニルメタノール等の環状アルコール、エタノールアミン、n−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、n−ペンタノールアミン、n−ヘキサノールアミン、ジエタノールアミン、N−アルキルジエチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノエタノール、N,N−ジ−n−プロピルアミノエタノール、N,N−ジイソプロピルアミノエタノール、N,N−ジ−n−ブチルアミノエタノール、N,N−ジイソブチルアミノエタノール、N,N−ジ−s−ブチルアミノエタノール、N,N−ジ−t−ブチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノプロパノール、N,N−ジエチルアミノプロパノール、N,N−ジ−n−プロピルアミノプロパノール、N,N−ジイソプロピルアミノプロパノール、N,N−ジ−n−ブチルアミノプロパノール、N,N−ジイソブチルアミノプロパノール、N,N−ジ−s−ブチルアミノプロパノール、N,N−ジ−t−ブチルアミノプロパノール、1−ジメチルアミノ−4−ペンタノール、1−ジエチルアミノ−4−ペンタノール等のアミンアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ビス[4−ヒドロキシシクロヘキシル]プロパン等の多価アルコール、メトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコキシアルコール、ポリイソブチルアルコール、ポリプロピルアルコール等のポリアルコールなどが挙げられる。
【0009】
本発明において、前記脂肪族アルコールとしては、炭素数1〜22の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を有するもので、好ましくは炭素数6〜22の上記基を有するものであり、更に好ましくは直鎖状の脂肪族アルコールである。
【0010】
本発明の脂肪族アミンの製造方法においては、触媒として、(A)ニッケル、銅及びジルコニウムの各成分、及び(B)周期律表第3族元素、周期律表第5族元素及び白金族元素から選ばれる少なくとも1種の金属成分を含有する触媒が用いられる。
ニッケル−銅系触媒としては、十分な触媒活性や選択性及び経済性などの観点から、ニッケル成分を、触媒全量に基づき、ニッケル金属として好ましくは10〜55質量%、より好ましくは15〜55質量%、更に好ましくは23〜47質量%の割合で含有し、また、銅成分を、触媒全量に基づき、銅金属として好ましくは0.5〜32質量%、より好ましくは2〜28質量%、更に好ましくは4〜24質量%の割合で含有し、更にジルコニウム成分を、触媒全量に基づき、ジルコニウム金属として好ましくは10〜63質量%、より好ましくは11〜52質量%、更に好ましくは14〜44質量%の割合で含有するものが用いられる。
【0011】
また、(B)周期律表第3族元素、周期律表第5族元素及び白金族元素から選ばれる少なくとも1種の金属成分における、周期律表第3族元素としては、スカンジウム、イットリウム、更にランタン、セリウム等のランタノイド系元素、アクチノイド系元素の各元素が挙げられ、周期律表第5族元素としては、バナジウム、ニオブ、タンタルの各元素が挙げられ、更に白金族元素としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の各元素が挙げられる。これらのうち、1級アミンの選択性などの点から、周期律表第3族元素としては、好ましくはイットリウム、ランタン、セリウム等が挙げられ、周期律表第5族元素としては、好ましくはバナジウム等が挙げられ、また、白金族元素としては、好ましくはルテニウム、白金等が挙げられる。本発明においては、更に好ましくはランタン、セリウム、バナジウム、ルテニウム、白金である。
これらは、触媒中1種を単独で用いることもできるが、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0012】
上記ニッケル−銅系触媒は、十分な選択性や経済性などの観点から、(B)周期律表第3族元素、周期律表第5族元素及び白金族元素から選ばれる少なくとも1種の金属成分を、触媒全量に基づき、該金属として好ましくは0.01〜15質量%程度、より好ましくは0.03〜10質量%、更に好ましくは0.05〜5質量%の割合で含有する。
【0013】
本発明で用いる触媒の調製は、ニッケル化合物、銅化合物及びジルコニウム化合物、並びに周期律表第3族元素、周期律表第5族元素及び白金族元素から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を用いて行うことができる。このような化合物としては、例えば、ニッケルあるいは銅の硫酸塩、硝酸塩、塩化物等、ジルコニウムのオキシ硝酸塩、オキシ塩化物、酢酸塩等、また、周期律表第3族元素、周期律表第5族元素及び白金族元素から選ばれる少なくとも1種の金属の硝酸塩、硫酸塩、塩化物、アンモニウム塩,シュウ酸塩等が使用できる。
【0014】
本発明で用いる触媒は、上記ニッケル化合物、銅化合物及びジルコニウム化合物、更には周期律表第3族元素、周期律表第5族元素及び白金族元素から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を含む水性液にアルカリを加えて、pHを6〜10、好ましくは6〜8程度に調整したのち熟成し、各金属成分の混合物を沈殿させる。前記アルカリについてはその種類は特に制限はないが、例えば炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム又は水酸化カリウムなどが使用できる。
その後、懸濁液をろ過などにより固液分離し、得られた沈殿物を、必要に応じ、充分に水洗した後、加熱、乾燥処理を行い、更に焼成することにより得ることができる。
【0015】
本発明においては、上記水洗は、対イオンの残存を防ぐ点から、ろ液の電導度が200μS/cm以下となるように行うことが好ましい。
本発明においては、上記周期律表第3族元素、周期律表第5族元素及び白金族元素から選ばれる少なくとも1種の金属化合物は、前述のように、ニッケル化合物、銅化合物、ジルコニウム化合物とともに混合して用いることもできるが、上記水洗処理後、これをニッケル、銅及びジルコニウムの各成分を含有する前記沈殿物と攪拌等により混合した後、乾燥処理を行い、更に焼成することもできる。この場合、ニッケル、銅及びジルコニウムの各成分を含有する沈殿物と周期律表第3族元素、周期律表第5族元素及び白金族元素から選ばれる少なくとも1種の金属化合物の水性溶液との上記混合は通常20〜95℃、好ましくは30〜80℃の温度で行う。
【0016】
上記乾燥処理は、好ましくは140℃以下の温度で、常圧又は減圧下で行われる。また、焼成は、必要に応じ、空気、窒素等の流通下、好ましくは300〜800℃、更に好ましくは400〜600℃で、通常1〜4時間で行うことができる。
上記のようにして得られたニッケル−銅系触媒は、そのまま使用することもできるが、脂肪族アルコールを原料とした脂肪族アミン製造のための触媒として使用される場合、使用前に予め還元処理されることが好ましい。この還元処理は、例えば、水素雰囲気下で、100〜300℃、好ましくは120〜280℃で気相還元する方法、または例えば、原料のアルコール中で、120〜280℃の温度で水素雰囲気下又は水素流通下、常圧〜50MPaGの圧力で行う方法を採ることができる。
【0017】
本発明の脂肪族アミンの製造方法においては、前記のようにして調製されたニッケル−銅系触媒の存在下、原料の前記脂肪族アルコールを、アンモニア及び水素と接触させることにより、脂肪族1級アミンを製造する。
この接触反応は、バッチタイプでは密閉式或いは流通式で行ってもよく、又は固定床流通式で行ってもよい。触媒の使用量は、反応方式にもよるが、バッチタイプの場合、良好な反応性及び選択性を得る観点から、原料の脂肪族アルコールに対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。また、アルコールの良好な転化率や1級アミンの選択性及び触媒劣化の抑制などの観点から、反応温度は120〜280℃、好ましくは180〜250℃であり、反応圧力は、常圧〜50MPaG、好ましくは0.5〜30MPaGである。
【0018】
また、原料成分としてのアンモニア/脂肪族アルコールのモル比は、通常0.5〜10程度、好ましくは2〜7である。アンモニアは、水素と別々に添加することもできるが、これらの混合ガスとして導入することもできる。
水素/脂肪族アルコールのモル比については、バッチタイプの密閉式の場合は、初期の仕込み時のモル比で0.01〜3.0、特に0.02〜2.0が好ましい。また、バッチタイプの流通式や固定床流通式の場合は、初期に流通させる水素は脂肪族アルコールに対してモル比で0.01〜1.0、特に0.02〜0.8が好ましい。但し、いずれの反応形式においても、反応進行中は必ずしも当該範囲内に限定されない。
【実施例】
【0019】
調製例1
イオン交換水900gに、硝酸ニッケル6水和物39.5g、硝酸銅6水和物4.9g、酢酸ジルコニウム水溶液(Zrとして15質量%含有)40.1g及び硝酸ランタン6水和物0.27gを加えて撹拌下で70℃まで加熱した。そこに20質量%炭酸ナトリウム水溶液を約1時間かけて滴下し、溶液のpHが7.0になるまで加え、その後、溶液のpHを7.0に保持しながら70℃で約2時間熟成した。その懸濁溶液を約40℃まで冷却した後、ろ過・水洗した。ろ液の電導度が100μS/cm以下になるまで水洗を行って、120℃、常圧で一昼夜乾燥した。該乾燥粉末は毎時2.5Nm3の空気流通下、2時間で500℃まで昇温して同温度で4時間焼成を行い、ニッケル35質量%、銅6質量%、ジルコニウム27質量%、ランタン0.4質量%の組成を有するニッケルー銅系触媒Aを約20g得た。
【0020】
調製例2
硝酸ニッケル6水和物39.5g、硝酸銅6水和物4.9g、酢酸ジルコニウム水溶液(Zrとして15質量%含有)40.1g及び硝酸ランタン6水和物0.27gに代えて、硝酸ニッケル6水和物38.9g、硝酸銅6水和物10.9g、酢酸ジルコニウム水溶液31.6g及び硝酸セリウム6水和物0.26gを用いた以外は調製例1と同様にして、ニッケル33質量%、銅13質量%、ジルコニウム20質量%、セリウム0.6質量%の組成を有するニッケルー銅系触媒Bを約20g得た。
【0021】
調製例3
イオン交換水900gに、硝酸ニッケル6水和物38.9g、硝酸銅6水和物10.9g、酢酸ジルコニウム水溶液(Zrとして15質量%含有)31.6gを加えて撹拌下で70℃まで加熱した。そこに20質量%炭酸ナトリウム水溶液を約1時間かけて滴下し、溶液のpHが7.0になるまで加え、その後、溶液のpHを7.0に保持しながら70℃で約2時間熟成した。その懸濁溶液を約40℃まで冷却した後、ろ過・水洗した。ろ液の電導度が100μS/cm以下になるまで水洗を行い、そのろ過ケークにバナジン酸アンモニウム2.0gが含有した水溶液を添加、混合して 120℃、常圧で一昼夜乾燥した。該乾燥粉末は毎時2.5Nm3の空気流通下、2時間で500℃まで昇温して同温度で4時間焼成を行い、ニッケル31質量%、銅12質量%、ジルコニウム19質量%、バナジウム4.3質量%の組成を有するニッケルー銅系触媒Cを約20g得た。
【0022】
調製例4
硝酸ニッケル6水和物38.9g、硝酸銅6水和物10.9g、酢酸ジルコニウム水溶液(Zrとして15質量%含有)31.6gに代えて、硝酸ニッケル6水和物38.9g、硝酸銅6水和物10.9g、酢酸ジルコニウム水溶液31.6gを用い、また、バナジン酸アンモニウム2.0gに代えて硝酸白金0.03gを用いた以外は調製例2と同様にして、ニッケル33質量%、銅13質量%、ジルコニウム20質量%、白金0.06質量%の組成を有するニッケルー銅系触媒Dを約20g得た。
【0023】
調製例5
硝酸ニッケル6水和物38.9g、硝酸銅6水和物10.9g、酢酸ジルコニウム水溶液(Zrとして15質量%含有)31.6gに代えて、硝酸ニッケル6水和物38.9g、硝酸銅6水和物10.9g、酢酸ジルコニウム水溶液31.6gを用い、また、バナジン酸アンモニウム2.0gに代えて分子量252.68の塩化ルテニウム水和物0.02gを用いた以外は調製例2と同様にして、ニッケル33質量%、銅13質量%、ジルコニウム20質量%、ルテニウム0.05質量%の組成を有するニッケルー銅系触媒Eを約20g得た。
【0024】
調製例6
硝酸ニッケル6水和物38.9g、硝酸銅6水和物10.9g、酢酸ジルコニウム水溶液31.6g及びヘプタモリブデン酸アンモニウム4水和物0.06gを使用して特開平8−176074号公報の段落[0044]に記載の触媒の製造における触媒Aの製造手順時に従って調製し、ニッケル33質量%、銅13質量%、ジルコニウム20質量%、モリブデン0.1質量%の組成を有するニッケルー銅系触媒Fを約20g得た。
【0025】
実施例1
内容積500mlの電磁誘導回転攪拌式オートクレーブに、ステアリルアルコール150g(0.55mol)、調製例1で得たニッケルー銅系触媒Aを2.0質量%(対原料アルコール)仕込み、常圧下で水素を1L/hを流通、撹拌しながら、200℃まで昇温した後、約2時間の触媒還元処理を行った。その後、これを60℃まで冷却して取り出した。それを内容積500mlの電磁誘導回転攪拌式オートクレーブに再び仕込み、アンモニア47g(2.76mol)と、全圧が2.3MPaG(室温)になるように水素(0.17mol)を圧入した。これを攪拌(1000r/min)しながら反応温度220℃まで昇温した。同温度での初期最高圧力は16MPaGであった。全圧力を16MPaGで一定になるように水素を連続追加して反応を行った。得られた反応生成物は触媒を濾別した後、ガスクロマトグラフィーで組成分析を行った。結果を表1に示す。
【0026】
実施例2〜5及び比較例1
実施例1において、触媒Aに代えてニッケルー銅系触媒B、C、D、E及びFのそれぞれを用いて反応を行った以外は実施例1と同様に反応操作を行った。得られた各々の反応生成物について実施例1と同様に分析を行った。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の脂肪族アミンの製造方法は、脂肪族アルコールから、脂肪族1級アミンを高選択に製造することができる方法であり、得られる脂肪族1級アミンは、家庭用、工業用分野において重要な化合物であり、例えば、界面活性剤、繊維処理剤等の製造原料などとして好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ニッケル、銅及びジルコニウムの各成分、及び(B)周期律表第3族元素、周期律表第5族元素及び白金族元素から選ばれる少なくとも1種の金属成分を含有する触媒の存在下、直鎖状又は分岐若しくは環を有する飽和又は不飽和の脂肪族アルコールを、アンモニア及び水素と接触させる、脂肪族アミンの製造方法。
【請求項2】
脂肪族アルコールが炭素数6〜22の脂肪族アルコールである請求項1記載の脂肪族アミンの製造方法。
【請求項3】
触媒中における(B)金属成分が、ランタン、セリウム、イットリウム、バナジウム、白金及びルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属成分である請求項1又は2に記載の脂肪族アミンの製造方法。
【請求項4】
触媒中における(B)金属成分の含有量が、該金属として、触媒全量に基づき0.01〜15質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の脂肪族アミンの製造方法。
【請求項5】
脂肪族アルコールとアンモニア及び水素との接触反応を、120〜280℃の温度で行う請求項1〜4のいずれかに記載の脂肪族アミンの製造方法。
【請求項6】
脂肪族アルコールとアンモニア及び水素との接触反応を、アンモニア/脂肪族アルコールモル比で0.5〜10の条件で行う請求項1〜5のいずれかに記載の脂肪族アミンの製造方法。

【公開番号】特開2007−176890(P2007−176890A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379648(P2005−379648)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】