説明

吸入製剤

1日1回投与の定量吸入製剤は、サルメテロール、又はその生理的に許容し得る塩、及び噴射剤を含む。1日1回投与の乾燥粉末製剤は、サルメテロール、又はその生理的に許容し得る塩、及び希釈剤を含む。サルメテロール、又は医薬的に許容し得る塩、その他の誘導体のエステルを含む、1日1回投与の単位剤形吸入製剤をも提供し、該製剤は25〜50mcgの活性を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、サルメテロール製剤と、喘息、及び関連する疾患を含む呼吸器官の状態の治療への使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
喘息の病態生理学、又は関連する疾患は、気管支平滑筋発作と筋浮腫を伴った気道の炎症から生じる気管支収縮を含む。喘息、及び他の関連した疾患の治療は、β−2アゴニストを使用していることが知られ、β−2アドレノレセプターアゴニストとしても知られている。そのようなβ−2アドレノレセプターは、患者に気管支拡張薬の効果をもたらすことが知られており、息切れの症状を緩和させる。特に、β−2アドレノレセプターアゴニストは、気道筋細胞におけるカリウムチャンネルの伝導性を増加させることが示されており、膜の過分極と弛緩を引き起こす。
【0003】
β−2アドレノレセプターアゴニストの例は、テルブタリン、サルブタモール、レブアルブテロール、R、R−フォルモテロール、メタプロテロール硫酸塩、ピルブレロール酢酸塩、ビトルテロールメシレート、フェノテロール、プロカテロール、サルメテロール、バンブテロール塩酸塩、クレンブテロール、及びフォルモテロールを含む。これらのうち、サルメテロール、フォルモテロール、及びバンブテロール塩酸塩は効果の長いβ−2アドレノレセプターアゴニストであり、そのうちサルメテロールは喘息の治療に認可されてきた。β−2アドレノレセプターアゴニストの効果の長いサブグループは、気道平滑筋の弛緩とそれに続く気管支拡張を介して機能する。この効果の長いサブグループの薬剤は効果の発現を遅らせ、それゆえ喘息における可逆的な気道閉塞の長期間にわたる通常の治療に用いられており、とくに持続性の喘息症状の管理において用いられる気管支拡張薬である。この群において、具体的にはキシナホ酸塩として入手可能なサルメテロールがあり、交感神経興奮剤アミンは、比較的選択的持続性β−2アゴニストである。
【0004】
キシナホ酸サルメテロールは、化学的には(±)4−ヒドロキシ−α−[[[6−(4−フェニルブトキシ)ヘキシル]アミノ]メチル]−1,3−ベンゼンジメタノールであり、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸塩は、夜間性の喘息を含む可逆的な気道閉塞性障害の患者の気管支痙攣を長期にわたり防ぐ気管支拡張薬として使用され、運動誘導性気管支痙攣を防ぐ。サルメテロールはまた、慢性気管支炎と肺気腫を含む、慢性閉塞性疾患(COPD)に関連した可逆的気管支痙攣の長期にわたる対症療法の気管支拡張薬として用いられている。サルメテロールは治療において、単独で、又はステロイドとともに固定され、用いられる。
【0005】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、慢性気管支炎、肺気腫、及び慢性閉塞性気道病を含有する、一般用語である。COPDは数ヶ月にわたって目立って変化しない気道閉塞症によって特徴付けられた、慢性の進行性疾患である。COPDの症状は、該疾患の重篤度とともに変化し、痰を伴う、或いは伴わない咳、及び喘鳴を伴う、或いは伴わない息切れ(呼吸困難)を含む。
【0006】
エアロゾルを用いたヘリウム噴射剤の構成は、Larson、及びTaylorによる、米国特許出願第20030199594号において論じられている。Patelらによる米国特許出願第20030064097号は、薬学的組成中の疎水性の活性成分の輸送を向上させる固体キャリアーを開示している。Wensleyらによる米国特許出願第20030062042号は、分子から10ミクロンまでの所望の粒子サイズを生成するためのエアロゾル産生方法、及びそのための装置を扱う。生理的に活性である化合物を輸送する方法及び装置は、Lloydらによる米国特許出願第2003005728号で論じられている。吸入経路を介して小粒子を含むエアロゾルの輸送は、Hodgeらによる米国特許出願第20030035776号において扱われている。Haleらによる米国特許出願第20030015197号は、吸入輸送のための、エアロゾル形成方法を開示している。吸入治療に使用される装置から形成されるエアロゾルは、Hodgesらの米国特許出願第20030015196号の主題である。
【0007】
微細に分離された固体材料を含んだエアロゾル組成、及び環境的に望ましい噴射剤が、Thielらによって、米国特許第4,352,789号において論じられている。国際公開第9311743号(Glaxo Group Ltd)は、吸入による薬剤投与のためのエアロゾル製剤、特に、サルメテロール、サルブタモール、フルチカゾンプロピオン酸塩、ベクロメタゾン二プロピオン酸塩、及びそれらの生理学的に許容され得る塩、及びそれらの溶媒和物からなる群から選択される微粒子状薬剤を含む薬学的エアロゾル製剤、並びにフルオロカーボン、又は水素を含有した、実質的に界面活性剤が存在しないクロロフルオロカーボン噴射剤を扱う。規定されたような有効量の薬学的エアロゾル製剤の吸入による、投与を含む、呼吸器系疾患の治療方法もまた、記載されている。
【0008】
特許第GB2235627号は、サルメテロール、又はその生理学的に許容し得る塩の組み合わせを記述し、喘息、並びに他の気管支疾患の治療において1日につき2回の投与計画を介して用いられるコルチコステロイドフルチカゾンプロピオン酸を記述する。キシナホ酸サルメテロールとプロピオン酸フルチカゾンの組み合わせは、現在喘息の臨床治療に用いられている。1日につき2回量(b.i.d.)として示されている。
特許第GB2140800号は、気管支喘息、及び関連疾患の治療において臨床的に用いられるキシナホ酸サルメテノールを含むβ−2アゴニストであるフェネタノールアミン化合物を記述する。サルメテロールは、気管支喘息、及び関連疾患の治療において臨床的に用いられている。それは1日につき2回投与量として示されている。
【0009】
Glaxo Wellcome Inc. の国際公開第9632150号は、サルメテノール、又はその生理的に許容し得る塩、及びフルオロカーボン噴射剤を含み、状況に応じて一以上の薬学的活性剤と、一以上の賦形剤の組み合わせである吸入製剤を調剤するため、一種以上のフルオロカーボンポリマー、状況に応じて一種以上の非フルオロカーボンの組み合わせで被覆された内部表面の一部、又は全体を有する定量投与吸入器を開示する。
【0010】
米国特許第2003125313号は、サルメテノール、及びブデソニドの組み合わせ、並びに呼吸器系疾患の予防、及び治療におけるそれらの使用を開示する。治療効果を達成するために必要とされるサルメテノールとブデソニドの量は、特定の化合物、投与の経路、治療中の対象、及び特定の疾患、又は治療されている疾病によって変化する。単剤療法として、キシナホ酸サルメテロールは一般的に、1日2回、50mcg、又は100mcgの量でエアロゾル吸入によって成人に投与される。
【0011】
従って、該文献では、1日2回の投与計画に基づいた喘息の治療、又は予防における、サルメテロールとその塩の使用を報告している。
発明者らが現在見出したことは、驚くべきことに、喘息は1日1回のサルメテロールの使用、特に少量のサルメテロール、又はその生理的に許容し得る塩の使用によって満足にコントロールされ得ることである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、軽度、又は中程度の喘息、特に持続性の喘息の予防、又は治療において、1日1回を基本として、医薬として許容し得る賦形剤と共に、効果的な量のサルメテノール、又はその生理的に許容し得る塩を含む、新しい単位剤形を提供することである。
本発明の別の目的は、医薬として許容し得る賦形剤と共に、効果的な量のサルメテロール、又はその生理的に許容し得る塩を含む製剤の調合のための工程を提供することである。
【0013】
さらに、本発明の別の目的は、基本的に1日1回の効果的な量の組み合わせのサルメテロール、又はその生理的に許容し得る塩の投与を含む、喘息の予防、又は治療の方法を提供することである。
本発明により、1日1回投与型の定量吸入製剤が与えられ、該製剤はサルメテロール、又はその生理的に許容し得る塩、及び噴射剤を含む。
【0014】
また、1日1回投与型の乾燥粉末吸入製剤も提供され、該製剤はサルメテロール、又はその生理的に許容し得る塩、及び希釈剤を含む。
本発明は、1日1回の、活性成分、サルメテロール、又はその生理的に許容し得る塩、噴射剤、共溶媒、及び付加的な界面活性剤を含む定量吸入製剤にも関するものである。
さらに本発明は、1日1回の、活性成分、サルメテロール、及び生理的に許容し得る塩と希釈剤を含む乾燥粉末吸入製剤に関するものである。
本発明は、缶の中の活性成分を計量すること、必要ならば共溶媒、及び界面活性剤を付加すること、溶液を超音波分解(好ましくは約5分間)すること、缶に絞り弁を設置して、圧接すること(好ましくは真空圧縮器を使用)、及び絞り弁を通して噴射剤を注入すること、のステップを含む、定量吸入製剤の製造工程に関するものである。
【0015】
さらに本発明は、活性成分をラクトースに混合し、カプセルへ詰め込むステップを含む、乾燥粉末吸入製剤の製造工程に関するものである。
本発明は、基本的に1日1回のサルメテロールと生理的に許容可能な塩の組み合わせの効果的な量の投与を含む、喘息の予防、又は治療の方法に関するものである。
該発明はまた、サルメテロール、又は医薬として許容し得る塩、又はそれらの他の誘導体のエステルを含み、25〜50mcgの活性を含む処方である、1日1回投与の単位量吸入製剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
従って、本発明は、1日1回の治療的有効量のサルメテロール、又はキシナホ酸塩のような生理的に許容し得るその塩の投与を含む、喘息の予防、又は治療方法を提供する。特に、基本的に1日1回の有効量のサルメテロール、又はキシナホ酸塩のような生理的に許容し得るその塩の投与を含む、軽度、又は中程度の喘息、特に持続性の喘息の予防、又は治療における方法を提供する。
【0017】
1日1回の治療にはいくつかの利点がある。1日2回の投与計画の必要性は、効果的な患者のコンプライアンスを防げるであろう。1日1回の投与は、患者にとってより便利な投与計画であり、投与計画と共に患者コンプライアンスの向上を導くであろう。また、サルメテロールの組み合わせを伴う1日1回投与は、軽度、又は中程度、特に持続性の喘息の治療、又は予防に適している。治療を1日1回投与で開始してもよく、いったん患者の喘息が安定すると、1日2回投与から1日1回投与に段階を下げてもよい。いったん患者の喘息が安定すれば、潜在的副作用の可能性を減らすために、最小有効量を決めることが望ましい。1日1回投与はまた、持続性喘息における治療法の処方において、医師により大きな柔軟性を与える。これは特に、小児科患者において重要であり得る。
【0018】
我々はまた、1日1回を基準に与えられた場合、(現在与えられているよりも)より少量のサルメテロールが十分な治療効果を与え、より多量の投与による潜在的な副作用を最小化できることを見出した。
サルメテロールが臨床的に使用されている国々において、1日2回の吸入が推奨されている。軽度から重篤な喘息の患者に、定量吸入器で1日2回、25、50、及び/又は100mcgのサルメテロールを投与しての比較解析では、肺機能の向上、主観的基準、及び機能の継続期間は通常、投与量と関係があることが示されている。
【0019】
二重盲検法によって選択された喘息患者のさらなるサルメテロールの投薬計画は、朝と夕の両方の呼気の流量測定で、即時に統計的かつ臨床的に大きく増加する結果が定期的に出ている。ほとんどの研究では、サルメテロール被投与者におけるベースラインは15%〜20%上に維持されたFEVを伴うサルメテロールの1回の投与後、ほんの12時間までの気管支拡張作用を追及した。発明者が実施した研究において、サルメテロール製剤の気管支拡張作用を比較し、加圧型の定量吸入器を用いた単一投与を行い、追ってFEVが15%未満になるまでFEVの測定を繰り返した。以下の4つの治療は、ランダム化された二重盲検法、ダブルダミー、クロスオーバー・スタディより、25、及び50mcgのサルメテロールHFA,及び、25、及び50mcgのサルメテロールCFCを使用して研究された。改良された平均値は、24時間にわたってFEVのベースライン上の15%であった。
【0020】
さまざまな薬学的に予測可能な体系的な影響はベータ−2−アゴニストに関連している。これらは頭痛、震え、動悸、及び筋痙攣を含む。フェイズIII研究において、これらの効果の発生率は低く、1日2回のサルメテロール50mcgと1日4回のサルブタモール200〜400mcgとの間で目立った差はなかった。より多量において、1日2回のサルメテロール100mcgは、偽薬、又は1日4回のサルブタモールを受けている患者よりも、震えがより一般的であった。従って、25mcgの1日1回、又は50mcgの1日1回の投与で、有害事象が顕著に減少しそうである。
【0021】
上記の研究から得られた証拠は、サルメテロールは喘息患者において24時間の作用の持続時間を有していることを示唆し、従って1日2回服用の推奨は議論の余地があるようである。サルメテロールの作用の延長された持続時間は、延長された長時間のレセプター占有を引き起こす、エキソサイトと呼ばれるクラシックベータレセプターに近接した部位へのサルメテロールの結合に関連していると考えられている。
【0022】
要約すると、サルメテロールは、臨床的に推奨された、例えば25、及び50mcgの量で効果的であり、24時間にわたって気道を拡張させる効能を介して、気管支喘息の治療に有用であるということを証明するかもしれない。
ここで用いられているように、“1日1回”という用語は、患者の喘息は、患者が効果的な低量のサルメテロール、又はキシナホ酸塩のようなその生理的に許容し得る塩を摂ったときに適切に制御され、約24時間毎に1回となる。好ましくは、患者は24時間毎の同じ時刻に、効果的な量の該薬剤を摂ることである。
【0023】
サルメテロール、又はキシナホ酸塩のようなその生理的に許容し得る塩は、治療効果を達成するために必要とされ、塩の形態、投与方法、治療中の患者、及び治療されている疾患によって異なりうる。同じものを含む薬剤及び/又は製剤は、1日につき、サルメテロールが25mcgから50mcgの量で吸入されることによって成人に投与され得る。本発明の該製剤は、1日につき、好ましくはサルメテロールが25mcgから50mcgの量で吸入によって、状況によってはキシナホ酸塩の形態で、成人へと投与される。1日の合計量は、吸入器の1回の使用、例えば、乾燥粉末吸入器、又は定量吸入器、又は1回以上の作動によって吸い込む、又は投与され得る。約25mcg、又は約50mcgの1日量が好まれる。
【0024】
本明細書で開示された組成物、及び方法は当発明に従って、適切な吸入製剤中の単位量のサルメテロールの使用を含む。
輸送システムとして吸入剤を用いることは、例えば、使用の利便性、複数回の容量、システム吸収において必要とされる最小容量、投薬にはほとんど、又は全く味がなく、緩和、及び予防的使用が可能であり、適切な追加装置と共にほとんどの患者に使用可能であるなどにおいて、多くの利点がある。従って、吸入剤という経路を使用することによって、サルメテロールの使用は、喘息や関連した呼吸器系疾患で参照される個々の患者において制御されうる。
【0025】
それゆえ、本発明に従って、サルメテロールは、定量性の吸入剤、及び乾燥粉末吸入剤を含む、呼吸器系における薬剤の輸送において適した、任意の吸入処方で調剤され得る。
好ましい実施態様において、該発明の医薬組成は、たとえばMDI、又はDPIであり得る吸入剤である。医薬品、及び製剤は、単位投与形態で便利に提示された、一般的な当業者に公知の方法によって調製され得る。
【0026】
本発明に従った医薬製剤は、好ましくは、キャリアー、又は賦形剤として適切な噴射剤の使用を伴う、加圧された容器から輸送される吸入製剤を含む。適切な噴射剤は、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134a)、又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227)、又は両方の組み合わせ、又はモノフルオロトリクロロメタン、及びジクロロジフルオロメタン、又はクロロフルオロカーボン、及びそれらの誘導体、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134a)、又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227)を含み、HFA 134aが好ましい。
【0027】
本発明に従った医薬的な吸入製剤は、好ましくは、例えば、エタノール、イソプロパノール、及びプロピレングリコールのような、C2−6脂肪族アルコール、及びポリオールのような極性共溶媒を更に含み、エタノールが好ましい。好ましくは、共溶媒の濃度は、製剤総量の約0.1〜15重量%の範囲である。
本発明に従った製剤は、さらに1以上の界面活性剤を含んでもよい。そのような界面活性剤は製剤を安定化し、バルブシステムを潤滑するために含まれる。吸入製剤において最も一般的に使用される界面活性剤のいくつかは、コーンオイル、オリーブオイル、綿実油、ひまわり種子油のような自然源、及びレシチンのようなリン脂質に由来するオイルである。本発明に従って使用する好ましい界面活性剤は、オレイン酸である。本発明の製剤において使用される界面活性剤は、一般的に0.0001%〜0.5%、好ましくは、該製剤において存在する治療剤の重さに対して、該製剤に存在する治療剤の0.01〜0.1%の範囲である。
【0028】
本発明の好ましい吸入製剤は、懸濁液、又は微粒子懸濁液、又は透明な溶液の形態である。微粒子懸濁液、又は溶液の場合、用いられる共溶媒は使用された噴射剤よりも、より大きな極性を有するべきである。最も一般的に用いられる共溶媒はエタノールであることは、本明細書に実質的に前述してある。
この発明の別の好ましい吸入製剤は、乾燥粉末による吸入である。活性成分を、既知の希釈剤と適切に混合して、上記製剤を調製する。好ましい希釈剤はラクトースである。該製剤を、ブリスターカートリッジ、又はカプセルに充填することができる。そのようなブリスターカートリッジやカプセルは、それから既知の任意の吸入装置を用いて使用することができる。
【0029】
本発明に従った吸入製剤中の治療剤は、約25から50mcgの範囲の濃度で存在するのが好ましい。
それゆえ、本発明は、実質的に本明細書記載の医薬製剤を調製するプロセスを提供し、そのプロセスは、喘息、及び関連疾患の治療に使用するサルメテロールの調剤を含む。
本発明はまた、実質的に本明細書に記載の医薬製剤を調製するプロセスを提供し、そのプロセスは、医薬として許容されるキャリアー、又は賦形剤をサルメテロール、及びその機能的誘導体と混合することを含む。
【0030】
本発明における医薬的吸入製剤は、特に乾燥粉末吸入器、又は定量吸入器での使用に適している。定量吸入器は本明細書の上記に記載しているように、液化した噴射剤を利用し、前述のように本発明による治療剤を含む液滴を放出する。本発明による適切な製剤は、定量装置を通してアルミニウム缶に適切に充填され、典型的に、その缶はプラスチック、ラッカー、又は陽極酸化処理で被覆される。
【0031】
請求項1記載の吸入製剤の調製プロセスは、無地のアルミニウム缶中の活性成分の重さを計る段階を含み、所望ならば共溶媒、及び界面活性剤を添加し、絞り弁を圧着し、それから同様に噴射剤を充填することを含む。
本発明はさらに、吸入製剤の調製プロセスを開示し、活性成分薬剤を希釈剤と混合する段階、及び吸入に使用される任意の既知の容器を役立てながら該製剤を使用する段階を含む。
本発明は、続く実施例でさらに描写されるが、その実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0032】
下記の実施例において、噴射剤をベースとする製剤の総重量は、9.6gであり、乾燥粉末吸入器のための総重量は、カプセル当たり25mgである。
【0033】
【表1】

【0034】
上記実施例1〜6において、該活性成分を、まず(120回分の容量に対応する)無地のアルミニウム缶中にて秤量する。次に、エタノール(及び、所望ならば界面活性剤)を加え、該溶液を5分間超音波処理する。絞り弁を缶の上に配置して、真空圧縮機で圧着する。その後、噴射剤134aを、絞り弁を介して充填する。
【0035】
【表2】

【0036】
(手順)
1.薬剤と希釈剤(ラクトース)を混合する。
2.次に、該混合物をカプセル中に充填する。
3.その後、該カプセルを、任意の既知の吸入装置を用いて使用する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】単一量のサルメテロールを受けた対象における、FEV曲線を描いている。図において、1パフは25mcgのサルメテロールに変換される。該薬剤の治療的に効果のある濃度を決定するベースラインは、15%ベースラインであった。それぞれの図の一番目の欄は、初診の患者を記述し、一方二番目の欄は、その特定の患者の2回目の訪問を記述する。初診の後、該患者におけるFEV曲線は依然として15%ベースラインレベルの上であり、それゆえさらなる研究を進めることとなった。それゆえ図1において、該特定の対象に対する研究は、最長24時間まで続けられた。
【図2】単一量のサルメテロールを受けた対象における、FEV曲線を描いている。図2では、2回目の外来における研究が最長48時間まで続けられた。両方の図から、1日1回の単一量のサルメテロールが、24時間にわたり該薬剤の治療的に効果的な濃度を提供することは明らかである。
【図1−1】

【図1−2】

【図2−1】

【図2−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1日1回投与型定量吸入製剤であって、サルメテロール、又はその生理的に許容し得る塩、及び噴射剤を含む、前記製剤。
【請求項2】
1日1回投与型の乾燥粉末吸入製剤であって、サルメテロール、又はその生理的に許容し得る塩、及び希釈剤を含む、前記製剤。
【請求項3】
前記生理的に許容し得る塩が、キシナホ酸サルメテロールである、請求項1、又は2記載の吸入製剤。
【請求項4】
投与されるサルメテロール、又はその生理的に許容し得る塩の量が、該薬剤中25mcg〜50mcgである、前記請求項1、2、又は3記載の吸入製剤。
【請求項5】
前記噴射剤が、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227)、又はそれらの組み合わせ、モノフルオロトリクロロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロフルオロカーボン、又はそれらの誘導体から選択され、望ましくはHFA 134aである、請求項1、3、又は4記載の吸入製剤。
【請求項6】
共溶媒、及び界面活性剤を含む、請求項1、3、4、又は5記載の吸入製剤。
【請求項7】
前記共溶媒が、エタノール、イソプロパノール、又はプロピレングリコールである、請求項6記載の吸入製剤。
【請求項8】
前記溶媒の量が、前記製剤の総量の0.1〜15重量%である、請求項7記載の吸入製剤。
【請求項9】
前記界面活性剤が、オレイン酸、又はレシチンである、請求項6、7、又は8記載の吸入製剤。
【請求項10】
前記界面活性剤の量が、前記製剤中に存在する治療剤の0.0001重量%〜0.5重量%、望ましくは0.01〜0.1重量%の範囲内である、請求項6〜9のいずれか一項記載の吸入製剤。
【請求項11】
前記希釈剤が、ラクトースである、請求項2記載の吸入製剤。
【請求項12】
請求項1、又は請求項3〜10のいずれか一項記載の吸入製剤の製造方法であって、缶中の活性成分の重さを計る段階;所望ならば前記共溶媒、及び/又は前記界面活性剤を添加する段階;計量バルブを圧着し、次に該バルブを通して前記噴射剤を充填する段階を含む、前記方法。
【請求項13】
請求項2記載の吸入製剤の製造方法であって、前記活性成分と前記希釈剤とを混合する段階、及び前記混合物を、適切なブリスターカートリッジ、又はカプセルに充填する段階を含む、前記方法。
【請求項14】
喘息、及び関連疾患の予防、又は治療の方法であって、有効量のサルメテロール、又はその生理的に許容し得る塩を、1日1回を基準として投与することを含む、前記方法。
【請求項15】
1日1回のサルメテロールの投与量が25〜50mcgである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
サルメテロール、又はその生理的に許容し得る塩、それらの他のエステル誘導体を含む、1日1回投与型の単位量の吸入製剤であって、25〜50mcgの活性成分を含む、前記製剤。

【公表番号】特表2007−528889(P2007−528889A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502412(P2007−502412)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001119
【国際公開番号】WO2005/087192
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(501312451)シプラ・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】