説明

吸収性物品に係るシール部の検査装置、及び検査方法

【課題】生理用ナプキン等の吸収性物品に係るシール部の穴あき異常や接合異常を正確に検査可能な検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】吸収性物品の外縁部において接合するシール部1Sの検査装置70である。前記シール部が形成された領域を撮像して平面画像データとして生成する撮像処理部と、平面画像における前記シール部の撮像部分のうちで、厚み方向に貫通状態の穴あき部分が撮像されている領域が含まれるように二値化処理を行う第1二値化処理部と、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、接合異常部分が撮像されている領域が含まれるように二値化処理を行う第2二値化処理部と、前記第1二値化処理部で生成された二値化画像に基づいて、穴あき異常の有無の判定を行う第1異常判定処理部と、前記第2二値化処理部で生成された二値化画像に基づいて、接合異常の有無の判定を行う第2異常判定処理部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に係るシール部の検査装置、及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排泄液等の液体を吸収する吸収性物品の一例として生理用ナプキンが知られている。かかるナプキンは、パルプ繊維を主材とする吸収体と、この吸収体を着用者の肌側から覆って設けられた液透過性の表面シートと、同吸収体を非肌側から覆って設けられた液不透過性の裏面シートと、を有する。そして、これらシート同士は、吸収体よりも外方にはみ出した部分に形成されたシール部によって一体に接合されており、これにより、吸収体はナプキンの内部に保持されるようになっている。
【0003】
かかるシール部の形成は、シール装置により行われる。すなわち、シール装置は、互いの外周面を対向させながら駆動回転する一対のロールを有し、一方のロールの外周面には、ナプキンの外縁部の形状に対応した形状の凸部が設けられている。よって、これらロール同士の間のロール間隙に、表面シート、吸収体、及び裏面シートの三者が積層状態で通される際には、上記の凸部が、ナプキンの外縁部に沿ったパターンで表面シートと裏面シートとの両者を厚み方向に押圧してこれらシート同士を圧着し、これにより上記シール部が形成される(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−135940号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、シール部を形成する際の押圧荷重が必要以上に大きいと、シール部が部分的に厚み方向に貫通して貫通孔を生じ、当該貫通孔が大きいと、このナプキンは穴あき異常となる。一方、押圧荷重が必要なレベルよりも小さいと、シール部には、部分的に表面シートと裏面シートとが未接合の部分を生じ、当該未接合の部分が大きいと、このナプキンは接合異常となる。そのため、ナプキンの製造ラインでは、シール装置のロール間隙の大きさを精細に調整等して、これらの異常が生じないようにしている。
【0006】
しかし、最近ではナプキンの外縁部において部分的にシートの積層数が異なる製品が増えており、これらに対しては、ロール間隙の大きさの精細な調整で上述の異常の発生を抑え込むことが難しくなっている。そして、これに伴って、シール部の穴あき異常や接合異常を正確に検査可能な検査装置及び検査方法の必要性が高まっている。
【0007】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、生理用ナプキン等の吸収性物品に係るシール部の穴あき異常や接合異常を正確に検査可能な検査装置及び検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための主たる発明は、
吸収性物品を構成する厚み方向に積層された複数のシートを前記吸収性物品の外縁部において接合するシール部の検査装置であって、
前記シール部は、前記積層された前記複数のシートが前記外縁部において前記厚み方向に圧着されて形成されており、
前記複数のシートの片面のうちで前記シール部が形成された領域を撮像して前記領域の平面画像のデータを平面画像データとして生成する撮像処理部と、
前記平面画像データを第1閾値に基づいて二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記シール部の撮像部分のうちで、前記厚み方向に貫通状態の穴あき部分が撮像されている領域が含まれるように二値化処理を行う第1二値化処理部と、
前記第1閾値とは異なる第2閾値に基づいて前記平面画像データを二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記シール部の撮像部分のうちで、前記複数のシートが未接合状態の接合異常部分が撮像されている領域が含まれるように二値化処理を行う第2二値化処理部と、
前記第1二値化処理部で生成された二値化画像に基づいて、穴あき異常の有無の判定を行う第1異常判定処理部と、
前記第2二値化処理部で生成された二値化画像に基づいて、接合異常の有無の判定を行う第2異常判定処理部と、を有することを特徴とする吸収性物品に係るシール部の検査装置である。
【0009】
また、
吸収性物品を構成する厚み方向に積層された複数のシートを前記吸収性物品の外縁部において接合するシール部の検査方法であって、
前記シール部は、前記積層された前記複数のシートが前記外縁部において前記厚み方向に圧着されて形成されており、
前記複数のシートの片面のうちで前記シール部が形成された領域を撮像して前記領域の平面画像のデータを平面画像データとして生成することと、
前記平面画像データを第1閾値に基づいて二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記シール部の撮像部分のうちで、前記厚み方向に貫通状態の穴あき部分が撮像されている領域が含まれるように第1の二値化処理を行うことと、
前記第1閾値とは異なる第2閾値に基づいて前記平面画像データを二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記シール部の撮像部分のうちで、前記複数のシートが未接合状態の接合異常部分が撮像されている領域が含まれるように第2の二値化処理を行うことと、
前記第1の二値化処理で生成された二値化画像に基づいて、穴あき異常の有無の判定を行うことと、
前記第2の二値化処理で生成された二値化画像に基づいて、接合異常の有無の判定を行うことと、を有することを特徴とする吸収性物品に係るシール部の検査方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、生理用ナプキン等の吸収性物品に係るシール部の穴あき異常や接合異常を正確に検査可能な検査装置及び検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1Aはナプキン1の平面図であり、図1B及び図1Cは、それぞれ図1A中のB−B断面図及びC−C断面図である。
【図2】図2Aは、図1A中のII部拡大図であり、図2Bは、図2A中のB−B断面図である。
【図3】ナプキン1の製造ラインの概略側面図である。
【図4】平面画像及び検査ウインドウW1のイメージ図である。
【図5】図5Aは、第1二値化処理前の検査ウインドウW1内の平面画像であり、図5Bは、同平面画像に対して第1二値化処理を行って生成された二値化画像である。
【図6】平面画像及び検査ウインドウW2のイメージ図である。
【図7】図7Aは、第2二値化処理前の検査ウインドウW2内の平面画像であり、図7Bは、同平面画像に対して第2二値化処理を行って生成された二値化画像である。
【図8】複数の検査ウインドウW1,W2,W2が平面画像に設定された様子を示す模式図である。
【図9】図9Aは、ラウンドシール加工装置60を通過する直前の半製品1aの概略平面図であり、図9Bは、図9A中のB−B断面図である。
【図10】平面画像及び検査ウインドウW3のイメージ図である。
【図11】図11Aは、二値化処理前の検査ウインドウW3内の平面画像であり、図11Bは、同平面画像に対して第3二値化処理を行って生成された二値化画像であり、図11Cは、同平面画像に対して第4二値化処理を行って生成された二値化画像であり、図11Dは、図11Bの二値化画像と図11Cの二値化画像とを用いてなされる間隔Ddの値の算出の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
吸収性物品を構成する厚み方向に積層された複数のシートを前記吸収性物品の外縁部において接合するシール部の検査装置であって、
前記シール部は、前記積層された前記複数のシートが前記外縁部において前記厚み方向に圧着されて形成されており、
前記複数のシートの片面のうちで前記シール部が形成された領域を撮像して前記領域の平面画像のデータを平面画像データとして生成する撮像処理部と、
前記平面画像データを第1閾値に基づいて二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記シール部の撮像部分のうちで、前記厚み方向に貫通状態の穴あき部分が撮像されている領域が含まれるように二値化処理を行う第1二値化処理部と、
前記第1閾値とは異なる第2閾値に基づいて前記平面画像データを二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記シール部の撮像部分のうちで、前記複数のシートが未接合状態の接合異常部分が撮像されている領域が含まれるように二値化処理を行う第2二値化処理部と、
前記第1二値化処理部で生成された二値化画像に基づいて、穴あき異常の有無の判定を行う第1異常判定処理部と、
前記第2二値化処理部で生成された二値化画像に基づいて、接合異常の有無の判定を行う第2異常判定処理部と、を有することを特徴とする吸収性物品に係るシール部の検査装置。
【0013】
このような吸収性物品に係るシール部の検査装置によれば、第1閾値に基づいて、穴あき異常の有無の判定に特化した二値化画像を生成し、また、第2閾値に基づいて、接合異常の有無の判定に特化した二値化画像を生成する。そして、対応する各二値化画像に基づいて穴あき異常及び接合異常の有無の判定を行う。よって、シール部の穴あき異常及び接合異常の検査を正確に行うことができる。
【0014】
かかる吸収性物品に係るシール部の検査装置であって、
前記複数のシートは、搬送方向に連続した連続シートの状態で前記搬送方向に搬送され、
前記シール部は、前記吸収性物品の製品に相当する単位毎に所定の形成パターンで前記搬送方向に並んで形成され、
前記複数のシートが前記製品に相当する単位に分断される前に、前記撮像処理部は、前記シール部が形成された前記領域を撮像するのが望ましい。
【0015】
このような吸収性物品に係るシール部の検査装置によれば、シール部が形成された領域を、連続シートの状態で撮像するので、当該領域を安定して撮像可能となる。その結果、平面画像におけるシール部の撮像部分に基づいて、シール部の穴あき異常及び接合異常の検査を正確に行うことができる。
【0016】
かかる吸収性物品に係るシール部の検査装置であって、
前記吸収性物品は、前記複数のシートのうちの所定数のシートが積層された第2部分と、前記第2部分に係る前記所定数のシートに対して更に別のシートが追加されて積層された第1部分とを有し、
前記シール部は、前記第1部分に形成される第1シール部と、前記第2部分に形成される第2シール部と、を有し、
前記第1二値化処理部は、前記平面画像における二値化処理の対象領域を内方に区画して限定する第1検査ウインドウを、前記第1シール部の撮像部分に対応して設定し、
前記第2二値化処理部は、前記平面画像における二値化処理の対象領域を内方に区画して限定する第2検査ウインドウを、前記第2シール部の撮像部分に対応して設定するのが望ましい。
【0017】
このような吸収性物品に係るシール部の検査装置によれば、第1部分と第2部分との間でシートの積層数が相違し、これに起因して、これら第1部分と第2部分との間で生じ易い異常の種類が互いに異なってしまうような場合であっても、二値化処理の演算負荷の軽減を図りながら、穴あき異常及び接合異常の検査に必要な二値化画像を速やかに生成可能となる。詳しくは次の通りである。
【0018】
先ず、第1シール部が形成される第1部分は、第2シール部が形成される第2部分よりもシートの積層数が多いので、第1シール部には穴あき異常が生じ易く、逆に第2シール部には接合異常が生じ易い。ここで、上記の検査装置によれば、穴あき異常の検査用の二値化画像を生成する第1二値化処理部は、第1検査ウインドウによって二値化処理の対象範囲を、第1シール部の撮像部分に設定する。よって、第1二値化処理部は、演算負荷の軽減を図りながら、穴あき異常の検査用の二値化画像を速やかに生成可能となる。また、接合異常の検査用の二値化画像を生成する第2二値化処理部は、第2検査ウインドウによって二値化処理の対象範囲を、第2シール部の撮像部分に設定する。よって、第2二値化処理部は、演算負荷の軽減を図りながら、接合異常の検査用の二値化画像を速やかに生成可能となる。
【0019】
かかる吸収性物品に係るシール部の検査装置であって、
前記吸収性物品は、長手方向と幅方向と厚み方向とを有し、
前記吸収性物品は、前記幅方向に延出した一対のウイング部を有し、
前記ウイング部は、前記複数のシートのうちの幾つかのシート同士が積層された状態で前記シール部により接合されてなり、
前記第2二値化処理部は、前記平面画像における二値化処理の対象領域を内方に区画して限定する第2検査ウインドウを、前記ウイング部に形成された前記シール部の撮像部分に対応して設定するのが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品に係るシール部の検査装置によれば、第2二値化処理部の演算負荷の軽減を図りながら、使用時に不具合を起こす虞のある吸収性物品を確実に検知可能となる。詳しくは次の通りである。
吸収性物品の使用時にユーザーの取り扱い頻度の最も高い部位は、ウイング部である。よって、当該ウイング部において、積層されたシート同士の接合異常が存在すると、これを起点として使用時に剥離などして口開きを生じ、その結果、ユーザーの元での不具合になり易い。
この点につき、上述の検査装置によれば、第2二値化処理部は、第2検査ウインドウによって二値化処理の対象範囲を、ウイング部に形成されたシール部の撮像部分に設定する。よって、第2二値化処理部は、演算負荷の軽減を図りながらも、第2異常判定処理部と協働して、ウイング部に接合異常を有した吸収性物品を確実に検知することができて、その結果、ユーザーの元で不具合を起こす虞のある吸収性物品を確実に検知可能となる。
【0021】
かかる吸収性物品に係るシール部の検査装置であって、
前記吸収性物品は、前記複数のシートのうちの一対のシート同士の間に、液体吸収性部材を素材とする吸収体を介装して有し、
前記複数のシートは、搬送方向に連続した連続シートの状態で前記搬送方向に搬送されているとともに、前記吸収体は前記搬送方向に間欠的に並んで配置され、
前記シール部は、前記吸収体よりも前記搬送方向の端部に位置する部分をエンドシール部として有し、
前記平面画像データを第3閾値に基づいて二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記エンドシール部の撮像部分が含まれるように二値化処理を行う第3二値化処理部と、
前記平面画像データを第4閾値に基づいて二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記吸収体の前記搬送方向の端部の撮像部分が含まれるように二値化処理を行う第4二値化処理部と、
前記第3二値化処理部で生成された二値化画像及び前記第4二値化処理部で生成された二値化画像に基づいて、前記搬送方向に係る前記吸収体と前記シール部との相対位置が目標範囲内に入っているか否かの判定を行う第3異常判定処理部と、を有するのが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品に係るシール部の検査装置によれば、第3異常判定処理部は、エンドシール部に係る二値化画像と、吸収体の端部に係る二値化画像とに基づいて、搬送方向に係る吸収体とシール部との相対位置が目標範囲内に入っているか否かの判定を行う。よって、吸収体とシール部との相対位置の異常の有無を検知可能となる。
【0023】
かかる吸収性物品に係るシール部の検査装置であって、
前記第1異常判定処理部の穴あき異常の有無の判定は、前記第1二値化処理部で生成された二値化画像のうちで前記一方の値で特定される画像の大きさを示す値に基づいて行われ、
前記画像の大きさを示す値が規定の第1異常判定用閾値よりも大きい場合に、前記第1異常判定処理部は前記穴あき異常有りの判定を下し、
前記第2異常判定処理部の接合異常の有無の判定は、前記第2二値化処理部で生成された二値化画像のうちで前記一方の値ではない方の値で特定される画像の大きさを示す値に基づいて行われ、
前記画像の大きさを示す値が規定の第2異常判定用閾値よりも小さい場合に、前記第2異常判定処理部は前記接合異常有りの判定を下すのが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品に係るシール部の検査装置によれば、第1異常判定処理部では、二値化画像のうちで、穴あき部分の撮像領域が含まれる方の画像の大きさを示す値が、規定の第1異常判定用閾値よりも大きい場合に、穴あき異常有りの判定を下す。よって、穴あき異常の有無を正確に判定することができる。
他方、第2異常判定処理部では、二値化画像のうちで、接合異常部分の撮像領域が含まれていない方の画像の大きさを示す値、つまり正常接合部分の撮像領域が含まれている方の画像の大きさを示す値が、規定の第2異常判定用閾値よりも小さい場合に、接合異常有りの判定を下す。よって、接合異常の有無を正確に判定することができる。
【0025】
また、
吸収性物品を構成する厚み方向に積層された複数のシートを前記吸収性物品の外縁部において接合するシール部の検査方法であって、
前記シール部は、前記積層された前記複数のシートが前記外縁部において前記厚み方向に圧着されて形成されており、
前記複数のシートの片面のうちで前記シール部が形成された領域を撮像して前記領域の平面画像のデータを平面画像データとして生成することと、
前記平面画像データを第1閾値に基づいて二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記シール部の撮像部分のうちで、前記厚み方向に貫通状態の穴あき部分が撮像されている領域が含まれるように第1の二値化処理を行うことと、
前記第1閾値とは異なる第2閾値に基づいて前記平面画像データを二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記シール部の撮像部分のうちで、前記複数のシートが未接合状態の接合異常部分が撮像されている領域が含まれるように第2の二値化処理を行うことと、
前記第1の二値化処理で生成された二値化画像に基づいて、穴あき異常の有無の判定を行うことと、
前記第2の二値化処理で生成された二値化画像に基づいて、接合異常の有無の判定を行うことと、を有することを特徴とする吸収性物品に係るシール部の検査方法。
【0026】
このような吸収性物品に係るシール部の検査方法によれば、第1閾値に基づいて、穴あき異常の有無の判定に特化した二値化画像を生成し、また、第2閾値に基づいて、接合異常の有無の判定に特化した二値化画像を生成する。そして、対応する各二値化画像に基づいて穴あき異常及び接合異常の有無の判定を行う。よって、シール部の穴あき異常及び接合異常の検査を正確に行うことができる。
【0027】
===本実施形態===
本実施形態の吸収性物品に係るシール部の検査装置70は、吸収性物品の一例としての生理用ナプキン1の製造ラインで使用される。
図1Aはナプキン1の平面図であり、図1B及び図1Cは、それぞれ図1A中のB−B断面図及びC−C断面図である。また、図2Aは、図1A中のII部拡大図であり、図2Bは、図2A中のB−B断面図である。
【0028】
ナプキン1は、長手方向と幅方向と厚み方向とを有する平面視略長方形の部材である。そして、その構成部品として、排泄液等の液体を吸収して保持する吸収体3と、この吸収体3を着用者の肌側から覆って設けられた不織布等の液透過性の表面シート2と、同吸収体3を非肌側から覆って設けられたフィルム等の液不透過性の裏面シート4と、ナプキン1の幅方向の各端部に配された一対のサイドシート6,6と、を有する。
【0029】
吸収体3は、液体吸収性部材としてのパルプ繊維を略直方体等の所定形状に成形したものを本体とする。なお、吸収体3の本体の形状は、何等略直方体に限るものではなく、例えば任意の三次元形状に成形しても良い。また、吸収体3は単なるパルプ繊維の成形体に限らず、例えば同成形体をティッシュペーパーで被覆しても良いし、内部に高吸収性ポリマーが混入されていても良い。
【0030】
表面シート2は、人体から排泄された上記液体を受け止めて速やかに厚み方向に吸い込んで吸収体3へと導くものであり、例えば吸収体3の平面形状よりも若干大きめの略長方形のシートが使用される。この表面シート2の素材には、エアスルー不織布やスパンボンド不織布等の不織布が使用され、不織布の構成繊維としては、例えばポリエチレンやポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂繊維が用いられる。なお、表面シート2の表面には、エンボス溝2tが所定の形成パターンでナプキン1の厚み方向に圧搾形成されており、これにより、表面シート2と吸収体3とは接合一体化されている。
【0031】
裏面シート4は、ナプキン1の裏面側からの液体の漏れを防止する防漏シートであり、その平面形状は、吸収体3よりも十分大きな略長方形状である。すなわち、その外縁部は、全周に亘って吸収体3よりも外方にはみ出している。そして、この裏面シート4の表面側に吸収体3を載せた状態で、少なくとも長手方向の両端部において表面シート2と接合され、これにより、裏面シート4と表面シート2との間に吸収体3が保持される。
【0032】
また、裏面シート4は、長手方向の略中央部の位置に、幅方向の両側に延出した部分4w,4wを有する。当該部分4w,4wは、後述するサイドシート6、6の一部6w,6wに貼り合わされてウイング部1w,1wをなす。ウイング部1w,1wは、ナプキン1を下着の内面に取り付ける際に、折り返されて下着の外面に粘着剤で固定される。かかる裏面シート4の素材としては、例えばポリエチレンやポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂を素材とするフィルムなどが使用される。
【0033】
一対のサイドシート6,6は、ナプキン1の幅方向の各端部からの液体の漏れを防止するものであり、各サイドシート6,6は、それぞれ幅方向の各端部に位置しつつ表面シート2及び裏面シート4を表面側から覆ってこれらシート2,4に貼り付けられている。詳しくは、表面シート2は、概ね吸収体3のみを覆うように幅方向の中央部のみに設けられて幅方向の両端部には設けられておらず、このため、裏面シート4は表面シート2よりも幅方向の外方にはみ出している。よって、この裏面シート4のはみ出し部分4g,4gと表面シート2の幅方向の端部2e,2eとの両者を、表面側から覆って当該サイドシート6,6は設けられている。かかるサイドシート6の素材には、例えば合成樹脂繊維で形成されたエアスルー不織布やスパンボンド不織布等の適宜な不織布が使用される。
【0034】
このようなナプキン1の外縁部1eには、その全周に亘って略帯状にシール部1s(図1Aにおいてドット模様で示す環状の領域を参照)が形成されている。そして、このシール部1sが囲む内方の領域に、吸収体3は位置している。かかるシール部1sは、後述するラウンドシール装置60によって外縁部1eが厚み方向に押圧されて形成される。そして、かかるシール部1sにより、外縁部1eにおいて厚み方向に積層されたシート2,4同士、シート4,6同士、及びシート2,4,6同士は溶着接合されている。例えば、外縁部1eのうちで幅方向の端部1ee,1eeには、裏面シート4とサイドシート6とだけが積層しているので、当該端部1ee,1eeに形成されたシール部1sによって、裏面シート4とサイドシート6とが溶着接合されている。また、外縁部1eのうちで幅方向の中央部1ecには、裏面シート4と表面シート2とだけが積層しているので、当該幅方向の中央部1ecに形成されたシール部1sによって、裏面シート4と表面シート2とが溶着接合されている。他方、幅方向の中央部1ecと端部1eeとの境界部分1ebには、裏面シート4と表面シート2とサイドシート6との三者が積層されているので、当該境界部分1ebに形成されるシール部1sによって、裏面シート4と表面シート2とサイドシート6との三者が溶着接合されている。
【0035】
図2Aは、シール部1sの一部を拡大して示す図であり、つまり図1A中のII部拡大図である。また、図2Bは、図2A中のB−B矢視図である。シール部1sは、押圧により離散的に形成された複数の凹部1d,1d…からなる。そして、各凹部1dの底部1dbにてシート2,4同士が圧着されており、これにてシート2,4同士は溶着接合されている。なお、ナプキン1の平面位置によっては、各凹部1dの底部1dbにて、シート4,6同士、或いはシート2,4,6同士が圧着されており、これにてシート4,6同士、或いはシート同士2,4,6同士が溶着接合されている。
【0036】
また、図2Aの例では、凹部1dの底部1dbの形状は正方形になっているが、何等これに限らず、正方形以外の長方形や三角形、五角形以上の多角形でも良いし、円形や楕円形でも良い。また、同図2Aの例では、凹部1d,1d…の形成パターンは格子状パターンになっているが、何等これに限らず、千鳥状パターンでも良いし、これ以外でも良い。なお、言うまでもないが、凹部1dは、凹部1dが未形成の周囲の部分1nよりも厚みの薄い薄肉部になっている。
【0037】
また、かかるシール部1sは、何等ナプキン1の外縁部1eの全周に亘って連続して形成される必要はなく、ナプキン1の製品仕様に応じて、外縁部1eにおける適宜な部位に選択的に形成されていても良い。つまり、多数の凹部1d,1d…が群れ状に配置されてなる複数群の凹部群が、外縁部1eに沿って間欠的に形成されていても良い。例えば、ナプキン1の幅方向の端部1ee、1eeについては、ウイング部1w,1wのみに形成されても良い(図1A)。
【0038】
図3は、ナプキン1の製造ラインの概略側面図である。
かかるナプキン1の製造ラインでは、適宜な搬送機構124により、ナプキン1の半製品1aを所定の搬送方向に沿って所定の搬送速度で搬送する。そして、かかる搬送中に、当該半製品1aに対して各種部品の接着や溶着、押圧・打ち抜き等の各種加工が施され、その度に順次半製品1aが状態を変えていきながら、最終的に、図1Aの状態のナプキン1が生成される。この例では、半製品1aは所謂縦流れで搬送されている。つまり、ナプキン1の長手方向に相当する方向を、搬送方向に揃えながら半製品1aは搬送されている。半製品1aの搬送に供する搬送機構124としては、例えば、載置面たるベルト面に吸引保持機能を有したサクションベルトコンベアや、上下に対で配された無端ベルト同士の間の空間を半製品1aの搬送路とするベルトコンベア、あるいは搬送ローラー等が使用される。
【0039】
ナプキン1の製造ラインは、半製品1aの搬送路に沿って、積繊工程S10、表面シート供給工程S20、エンボス溝加工工程S30、サイドシート供給工程S40、裏面シート供給工程S50、ラウンドシール加工工程S60、シール部検査工程S70、及び分断工程S80を有する。
【0040】
以下、各工程S10〜S80について説明するが、以下の説明では、半製品1aの搬送方向と直交する方向(図3中では、その紙面を貫通する方向)のことを「CD方向」とも言う。なお、このCD方向は、半製品1aの幅方向と平行であり、またナプキン1の幅方向とも平行である。
【0041】
最初の積繊工程S10では、吸収体3の主材となるパルプ繊維を略直方体等の所定形状に成形して吸収体3を成形し、成形された吸収体3を搬送方向に製品ピッチP1で搬送機構124たるコンベア124上に引き渡す。そして、各吸収体3,3…は搬送方向に間欠的に並んだ状態で搬送方向の下流へ搬送される。かかる成形処理は、例えば回転ドラム装置10によって行われる。回転ドラム装置10は、搬送方向に沿ってコンベア124の搬送速度値と略同じ周速値で駆動回転する回転ドラム12を有する。この回転ドラム12の外周面には、パルプ繊維を吸着して積層する複数の吸着領域14,14…が、周方向に製品ピッチP1で間欠的に設けられている。また、回転ドラム12の上方にはパルプ繊維を供給するダクト16が配置されている。よって、このダクト16の位置を回転ドラム12の各吸着領域14が通過する際に、各吸着領域14にはパルプ繊維が積層して吸収体3が成形され、しかる後に、各吸着領域14がコンベア124の位置を通過する際に、各吸着領域14からコンベア124へと吸収体3が引き渡される。これにより、以降、各吸収体3,3…は、搬送方向に製品ピッチP1で並んだ状態で搬送方向の下流へ送られる。
【0042】
次の表面シート供給工程S20では、上方の供給ロール20を介して、表面シート2の連続シート2a(以下、単に表面シート2aとも言う)が、この時点の半製品1aたる吸収体3,3…に向けて連続して供給され、これにより、吸収体3,3…は上方から表面シート2aによって覆われた状態になる。
【0043】
次のエンボス溝加工工程S30では、エンボス加工装置30によって、表面シート2aの表面に相当する上面の方から同上面にエンボス溝2tを圧搾形成し、これにより、表面シート2aと吸収体3とは接合一体化される。
【0044】
次のサイドシート供給工程S40では、上方の供給ロール40を介して、一対のサイドシート6,6の連続シート6a,6a(以下、単にサイドシート6a,6aとも言う)が、それぞれ半製品1aにおける表面シート2aのCD方向の各端部に供給され、これにより、各端部にサイドシート6a,6aが貼り合わされる。
【0045】
次の裏面シート供給工程S50では、下方の供給ロール50を介して裏面シート4の連続シート4a(以下、単に裏面シート4aとも言う)が、半製品1aに供給されて、裏面シート4aは、裏面側から表面シート2a及び一対のサイドシート6a,6aに貼り合わされる。これにより、半製品1aは、表面シート2a及び一対のサイドシート6a,6aと裏面シート4aとの間に吸収体3が介装された状態になる。
【0046】
次のラウンドシール加工工程S60では、半製品1aにおけるナプキン1の外縁部1eに相当する部位にシール部1sを形成し、これにより、シート2,4,6のうちで厚み方向に隣り合うシート同士を外縁部1eに相当する部位にて溶着接合する。かかるシール部1sの形成処理は、ラウンドシール加工装置60によって行われる。ラウンドシール加工装置60は、外周面を互いに対向させつつ、CD方向に沿った回転軸C60周りに駆動回転する上下一対のロール60a,60bを有する。ここで、上ロール60aは、外周面に不図示の凸部を有し、下ロール60bは凸部を受けるべく平滑な外周面を有する。また、凸部は、上述のシール部1sの形成パターンに対応した形状でロール60aの外周面から突出している。詳しくは、凸部は、ナプキン1の外縁部1eに対応した形状のリブ部(不図示)と、リブ部の頂面に離散的に設けられた複数の島状凸部(不図示)とを有している。よって、これらロール60a,60b同士の間のロール間隙を半製品1aが通過する際に、半製品1aにおけるナプキン1の外縁部1eに相当する部位が複数の島状凸部とロール60bの外周面とによって所定の押圧荷重で挟圧されて、これにより、半製品1aにおけるナプキン1の外縁部1eに相当する部位には、複数の凹部1d,1d…からなるシール部1sが押圧形成される。
【0047】
なお、かかるラウンドシール加工装置60は、押圧荷重の大きさを調整可能に構成されている。すなわち、ロール60a又はロール60bの少なくとも一方60a(60b)は、ロール60a(60b)のCD方向の両端部において、適宜な油圧シリンダー等のアクチュエータ(不図示)により昇降可能に支持されており、また、アクチュエータを制御する制御部64を有している。よって、制御部64が、アクチュエータを介してロール60aとロール60bとの間のロール間隙を開閉することで、押圧荷重を調整することができる。例えば、押圧荷重を減少方向に変更する場合には、ロール間隙を開方向に操作し、押圧荷重を増加方向に変更する場合には、ロール間隙を閉方向に操作する。
【0048】
シール部検査工程S70では、半製品1aのシール部1sについて穴あき異常及び接合異常の有無を検査する。この検査は、シール部検査装置70によって行われる。この検査装置70については後述する。
【0049】
分断工程S80では、搬送方向に連続する半製品1aを製品単位に分断し、これにより、単票状のナプキン1が生成される。この分断処理は、ダイカッター装置80により行われる。ダイカッター装置80は、外周面を互いに対向させつつ、CD方向に沿った回転軸C80周りに駆動回転する上下一対のロール80a,80bを有している。そして、上ロール80aが、外周面に不図示のカッター刃を有したカッターロール80aであり、下ロール80bは、平滑な外周面でカッター刃を受けるアンビルロール80bである。また、カッター刃は、上述のナプキン1の外形形状に対応した形状でカッターロール80aの外周面から突出している。よって、これらロール80a,80b同士の間のロール間隙を半製品1aが通過する際に、当該半製品1aからナプキン1が打ち抜かれて生成される。
【0050】
そして、以上の工程S10〜S80を経て生成されたナプキン1,1…は、所定枚数に集積等された後に、集積単位で梱包等されて出荷される。
【0051】
かかる製造ラインの各工程S10〜S80の動作は、同期信号によって互いに連動して行われるようになっている。同期信号は、例えばナプキン1の一つ分に相当する搬送量を単位搬送量として0°〜360°の各回転角度値を、搬送量に比例して割り当ててなる回転角度信号である。つまり、ナプキン1の一つ分に相当する長さ(製品ピッチP1と同値)の半製品1aが搬送されると、0°から360°までの回転角度値が出力され、当該一つ分の搬送の都度、0°から360°までの回転角度値の出力が周期的に繰り返される。そして、この同期信号が、各工程S10〜S80の動作の駆動源となる各サーボモータのアンプに送信され、当該同期信号に基づいて各サーボモータが位置制御を行うことで、半製品1aにおける加工すべき目標位置にそれぞれ加工を施すようになっている。
【0052】
ここで、この同期信号は、ダイカッター装置80のカッターロール80aに設けられたロータリー式エンコーダによって生成されている。つまり、カッターロール80aの回転動作に基づいて同期信号が生成されている。そして、これにより、回転ドラム装置10の回転ドラム12やラウンドシール加工装置60のロール60aは、上記ダイカッター装置80のカッターロール80aの回転動作を基準として、これに同期・連動して回転動作している。そのため、半製品1a上にあっては、カッターロール80aが打ち抜き形成するナプキン1の外形線の位置(打ち抜き位置)が加工位置の基準になっている。
【0053】
ところで、上述のラウンドシール加工装置60では、基本的に、規定の押圧荷重でシール部1sを形成するようにしているが、表面シート2aの坪量のばらつきや裏面シート4aの坪量のばらつき、サイドシート6a,6aの坪量のばらつきなどに起因して、ある割合で、シール部1sの凹部1d,1d…において押圧過剰となって貫通状態の穴あき異常を生じたり、或いは、逆に、これらシート2,4,6同士の接合を司るべきシール部1sの凹部1d,1d…において押圧不足となって未接合状態の接合異常を生じることがある。更に、最近では、ナプキン1の外縁部1eにおいて部分的にシート2,4,6の積層数が異なる製品が増えていることから、ラウンドシール加工装置60では、これらシート2,4,6の積層数の異なる部位同士を同じ大きさのロール間隙で挟圧しなければならず、このことが、上述の異常の発生を助長することもある。例えば、本実施形態のナプキン1の場合にも、図1Aや図1Bに示すように裏面シート4と表面シート2(或いはサイドシート6)とが重なった二層構造の部分1ec(或いは1ee)と、これに加えて更にサイドシート6が重なった三層構造の部分1ebとが外縁部1eに存在しており、上述の異常が生じ易い状況にある。
【0054】
そこで、本実施形態では、図3に示すように、ラウンドシール加工工程S60と分断工程S80との間に、シール部1sの穴あき異常や接合異常を正確に検査すべくシール部検査装置70を配置している。以下、この検査装置70について説明する。
【0055】
なお、この検査装置70に送られる時点の半製品1aは、連続シート状態のサイドシート6a,6aが貼り付けられた連続シート状態の表面シート2aと、連続シート状態の裏面シート4aとの間に、搬送方向に間欠的に並ぶ複数の吸収体3,3…が介装された状態にあり、しかも、ナプキン1の外縁部1eに相当する部位に形成されたシール部1sによって、ある部位ではシート2a,4a同士が、またある部位ではシート4a,6a同士が、更にある部位ではシート2a,4a,6a同士が一体に接合された状態にある。そして、かかる半製品1aは、未だナプキン1の製品に相当する単位に未分断状態の連続体である。そのため、以下では、説明の都合上、半製品1aにおいてナプキン1の製品に相当する単位1bのことを「単位半製品1b」と言う。ちなみに、この単位半製品1bが、請求項に係る「吸収性物品の製品に相当する単位」に相当する。
【0056】
図3に示すように、検査装置70は、ラウンドシール加工工程S60の直近下流側に隣接配置されている。この検査装置70では、半製品1aにおける製品1に相当する単位たる単位半製品1b毎に、シール部1sの穴あき異常と接合異常とを検査する。そして、ある単位半製品1bに対して穴あき異常又は接合異常であると判定した場合には、この判定結果をラウンドシール加工装置60の制御部64に送信し、そのロール間隙の開閉制御に供する。
【0057】
検査装置70は、半製品1aの搬送路の所定位置に設けられた撮像処理部としてのカメラ72と、同搬送路をカメラ72とで上下から挟むような位置に配置された照明部材74と、シール部1sの穴あき異常及び接合異常の有無を判定する画像処理部76と、を有する。
【0058】
カメラ72は、例えばCCD(電荷結合素子)カメラである。そして、半製品1aの表面シート2a側の面(「複数のシートの片面」に相当)に対向して配置されており、これにより、撮像位置PSを通過する半製品1aの表面シート2a側の面を撮像し、平面画像のデータを生成する。撮像動作は、同期信号に基づいてなされ、これにより、単位半製品1bを、その平面中心がほぼ平面画像の平面中心に揃うように撮像する。ここで、同期信号とは、既述のように、単位半製品1bの一つ分に相当する搬送量を単位搬送量(製品ピッチP1と同値)として0°〜360°の各回転角度値を、搬送量に比例して割り当ててなる回転角度信号である。よって、上述のように単位半製品1bの平面中心と平面画像の平面中心とが一致するような撮像タイミングに対応した同期信号の位相を、所定の回転角度値として見つけ出し、その位相たる所定の回転角度値で撮像動作を行うように予め設定しておけば、以降に撮像位置PSを通過する全ての単位半製品1bに対して、上述のように、単位半製品1bの平面中心と平面画像の平面中心が揃うように撮像することができる。
【0059】
そして、このような撮像タイミングに調整されたカメラ72は、単位半製品1b毎に撮像を繰り返し行い、撮像の都度、撮像された平面画像のデータを平面画像データとして生成する。そして、生成の都度、平面画像データを画像処理部76へ送信する。すると、画像処理部76では、平面画像データに基づいて、シール部1sに係る穴あき異常及び接合異常の有無の判定を単位半製品1b毎に行う。これにより、ナプキン1は全数検査されることになる。但し、何等これに限るものではなく、例えば単位半製品1bの幾つかおきに撮像しても良い。
【0060】
なお、この撮像時の半製品1aは、製品単位に分断される前の連続体の状態にあり、つまり、半製品1aは、搬送方向に連続する連続体の状態で撮像される。よって、シール部1sが形成された領域を安定して撮像することができる。
【0061】
照明部材74は、例えば白色LEDライトや蛍光灯などの適宜なライトであり、その光源の種類は、その場の撮像状況に応じて適宜選定される。また、上述したように、照明部材74の配置位置は、半製品1aを上下からカメラ72とで挟む位置に設定されており、これにより、カメラ72は、厚み方向に半製品1aを透過した透過光を受光することで撮像する。
【0062】
画像処理部76は、適宜なコンピュータを本体とし、プロセッサとメモリとを有する。そして、メモリに予め格納された各種処理プログラムをプロセッサが読み出して実行することにより、各種の演算処理を行う。
すなわち、本実施形態にあっては、メモリ内には、平面画像データから穴あき異常検査用の二値化画像を生成するための第1二値化処理プログラム、及び、同平面画像データから接合異常検査用の二値化画像を生成するための第2二値化処理プログラムが予め格納されている。また、上記穴あき異常検査用の二値化画像に基づいてシール部1sの穴あき異常の有無を判定するための第1異常判定処理プログラム、及び、上記接合異常検査用の二値化画像に基づいてシール部1sの接合異常の有無を判定する第2異常判定処理プログラムも予め格納されている。
【0063】
よって、プロセッサが、これらプログラムを適宜読み出して実行することにより、画像処理部76は、平面画像データから穴あき異常検査用の二値化画像を生成する第1二値化処理部として機能するとともに、当該穴あき異常検査用の二値化画像に基づいてシール部1sの穴あき異常の有無を判定する第1異常判定処理部としても機能し、また、平面画像データから接合異常検査用の二値化画像を生成する第2二値化処理部として機能するとともに、当該接合異常検査用の二値化画像に基づいてシール部1sの接合異常の有無を判定する第2異常判定処理部としても機能する。以下、第1二値化処理(第1の二値化処理に相当)、第1異常判定処理、第2二値化処理(第2の二値化処理に相当)、及び第2異常判定処理について説明する。
【0064】
<<<穴あき異常検査に係る第1二値化処理及び第1異常判定処理について>>>
先ず、第1二値化処理の説明の前に、図4を参照しながら平面画像及び平面画像データについて説明する。
図4は、平面画像のイメージ図である。なお、同図4中では、シール部1sの撮像部分A1sにドット模様を付している。平面画像は、例えばCD方向をX方向とし、搬送方向をY方向として撮像されており、また、平面画像は、単位半製品1bの全域が一画像として撮像されている。
【0065】
かかる平面画像は、X方向及びY方向の両方向にそれぞれ所定の解像度に基づく所定ピッチで格子状に並ぶ多数の画素の集合体である。換言すると、平面画像は、X方向に一直線に所定ピッチで並ぶ複数の画素からなる画素列が、Y方向に複数列所定ピッチで並んで構成される。そして、平面画像データは、各画素に対応させてそれぞれ色情報を有している。例えば、平面画像データがグレースケールの場合には、画素毎に色情報として明度のみを有している。そして、その場合には、単位半製品1bにおいて透光性の高い領域に対応する各画素は明るくなるので、その画素の明度は高い値になっているが、他方、透光性の低い領域に対応する各画素は暗くなるので、その画素の明度は低い値になっている。
【0066】
ここで、シール部1sの凹部1dが、貫通状に穴あきせずに正常に形成されている場合には、当該凹部1dの投光性は、穴あきしている場合と比べて低い状態にある。よって、明度が所定値以上の画素に注目することで、図4の平面画像上において、貫通状の穴あき部分hが撮像されている領域Ah(図5A)の画素を特定することができる。ちなみに、図2に示す凹部1dと凹部1dとの間の部分1nたる凹部未形成部1nは、凹部1dよりも厚みの厚い部分であるので、その投光性は凹部1dよりも低く、結果、凹部未形成部1nに対応する画素の明度は、凹部1dに対応する画素の明度よりも低くなっている。更に言えば、図2の表面シート2aと吸収体3と裏面シート4aとが重なっている部分1rは、シール部1sよりも厚みの厚い部分であるので、その投光性はシール部1sよりも低く、結果、当該部分1rに対応する画素の明度は、シール部1sに対応する画素の明度よりも低くなっている。なお、以下では、平面画像データがグレースケールのデータであるものとして説明する。
【0067】
第1二値化処理では、画像処理部76の演算負荷軽減のために、平面画像における二値化処理の対象範囲を限定している。すなわち、第1二値化処理では、図4に示すように検査ウインドウW1(第1検査ウインドウに相当)が設定され、これにより、平面画像のうちの検査ウインドウW1で囲まれた領域のみを二値化処理の対象とする。なお、検査ウインドウW1の詳細については後述する。
【0068】
また、第1二値化処理では、予め定められた第1二値化用閾値(第1閾値に相当)を用いる。この第1二値化用閾値は、正常に形成された凹部1dに対応する画素の明度と、穴あき部分hに対応する画素の明度との間の値に設定され、予めメモリ内に格納されている。
【0069】
そして、図5Aの検査ウインドウW1内の画素のうちで、第1二値化用閾値以上の明度の画素を、図5Bの二値化画像における二値(例えば0と1)のうちの一方の値たる「1」によって特定される白画像に割り振り、他方、第1二値化用閾値未満の明度の画素を、もう一方の値たる「0」によって特定される黒画像に割り振る。これを、図5Aの検査ウインドウW1内の全ての画素について行う。これにより、図5Aに示すように検査ウインドウW1内の画素のうちで穴あき部分hが撮像されている領域Ah,Ah…が、図5Bに示すように二値化画像における白画像に含まれ、それ以外の部分は、黒画像に含まれるように処理される。すなわち、平面画像データを、図5Aに示す検査ウインドウW1を用いて二値化処理することにより、図5Bの二値化画像が生成される。なお、図5B中では、二値化画像においてシール部1sに対応する部分A1sを仮想的に二点鎖線で示しているが、当然ながらこのような線は二値化画像には存在しない。
【0070】
そうしたら、画像処理部76は、第1異常判定処理へ移行する。そして、この第1異常判定処理では、先ず、図5Bの二値化画像上での白画像の面積を求める。ここで、画素の平面サイズは、XY方向の各解像度などに基づいて予めわかっている。よって、この画素の平面サイズに、白画像に割り振られた画素の数たる画素数を乗算することにより、白画像の面積が算出される。ちなみに、この白画像の面積が、請求項に係る「第1二値化処理部で生成された二値化画像のうちで前記一方の値で特定される画像の大きさを示す値」に相当する。
【0071】
次に、画像処理部76は、算出された白画像の面積を、予めメモリに格納された第1異常判定用閾値と大小比較する。そして、白画像の面積が第1異常判定用閾値以下の場合には、画像処理部76は、「穴あき部分hの大きさは十分小さいので、穴あき異常は生じていない」と判定する。一方、第1異常判定用閾値よりも大きい場合には、「穴あき部分hは大きく、穴あき異常が発生している」と判定する。そして、ラウンドシール加工装置60の制御部64に、この「穴あき異常有り」の判定結果を送信する。すると、これを受信した制御部64は、ロール60aとロール60bとの間のロール間隙を、現状値よりも規定値だけ大きくなるように開いて、押圧荷重を減少方向に変更する。これにより、これ以降にラウンドシール加工装置60を通過する単位半製品1bの穴あき部分hは縮小されて、穴あき異常を抑制することができる。
【0072】
なお、上述の第1異常判定用閾値は、メモリ内に予め格納された固定値である。そして、この第1異常判定用閾値は、例えば次のような製造ラインでの実験的手法により求められる。先ず、シール部1sの凹部1d,1d…が正常に形成された単位半製品1bのサンプルを複数枚用意する。次に、これらサンプルを検査装置70の上記CCDカメラ72で撮像して、サンプル毎に第1二値化処理を行い、サンプル毎に検査ウインドウW1内の白画像の面積を求める。そして、これら全サンプルの白画像の面積の平均値及び標準偏差σを算出し、当該平均値よりも2σだけ大きい値を、上記の第1異常判定用閾値として用いる。ちなみに、検査装置70が「異常有り」の判定を多発する場合には、第1異常判定用閾値を、より大きな値に変更しても良い。また、場合によっては、画像処理部76のメモリは、第1異常判定用閾値よりも更に大きい値(例えば、上述の平均値よりも3σだけ大きい値)を上限値として予め有するようにし、そして、上述の白画像の面積がこの上限値よりも大きい場合に、画像処理部76は、この平面画像に対応する単位半製品1bに対して穴あき不良情報を付与するなど不良品であることを関連付けして、下工程での良品と不良品との分別処理に供するようにしても良い。
【0073】
ここで、図4を参照しながら、検査ウインドウW1について説明する。前述したように、検査ウインドウW1は、二値化処理の際に平面画像において参照する領域を区画して限定するツールであり、つまり、二値化処理の際には、検査ウインドウW1内に属する画素のみを参照し、検査ウインドウW1外の画素については参照しないようにすることができる。
【0074】
検査ウインドウW1は、平面画像におけるシール部1sの撮像部分A1sのうちで、特に穴あきが生じ易い平面位置の撮像部分に設定されている。かかる平面位置と言うのは、基本的には圧着時の押圧圧力(単位面積当たりの押圧荷重(N/m))が高くなり易い平面位置である。具体的に言えば、前者の一例としては、シール部1sにおける搬送方向の下流端部1sedたる下流側のエンドシール部1sedが挙げられ、つまり、当該エンドシール部1sedには、ラウンドシール加工装置60のロール間隙への噛み込み時に衝撃荷重が作用して押圧圧力が高くなり易い。そのため、図4の例では、このエンドシール部1sedの撮像部分A1sedに対して検査ウインドウW1を設定しているが、何等これに限らず、これ以外の平面位置に設定しても良い。
【0075】
なお、このような検査ウインドウW1内に限った画素の参照は、例えば次のようにして実現される。先ず、平面画像の各画素には、XY座標が付与されていて、これらXY座標はメモリに記録されている。また、画像処理部76は、このXY座標を指定することで、検査ウインドウW1内に属する画素の色情報にアクセス可能に構成されている。よって、検査ウインドウW1内に位置すべき画素のXY座標のデータを、予めメモリ内に記録しておけば、上述の検査ウインドウW1内に限った画素の参照を実現可能となる。
【0076】
<<<接合異常検査に係る第2二値化処理及び第2異常判定処理について>>>
画像処理部76は、上述の第1二値化処理及び第1異常判定処理と略同時並行で、当該接合異常検査に係る第2二値化処理及び第2異常判定処理を行う。なお、第2二値化処理に用いる平面画像データは、第1二値化処理で用いたものと同じである。
【0077】
ここで、シール部1sの凹部1dにおいて表面シート2aと吸収体3とが未接合状態になっている場合には、当該未接合状態の凹部1dnは、正常な凹部1dよりも厚みの厚い状態となっており、その投光性は、正常な凹部1dと比べて低い状態にある。よって、明度が所定値以上の画素に注目することで、図4の平面画像上において、正常な凹部1dが撮像されている領域A1dの画素を特定することができる。
【0078】
この第2二値化処理でも、画像処理部76の演算負荷軽減目的で、平面画像における二値化処理の対象範囲を限定している。すなわち、第2二値化処理でも、図6に示すように検査ウインドウW2,W2(第2検査ウインドウに相当)が設定され、これにより、平面画像のうちの検査ウインドウW2、W2で囲まれた領域のみを二値化処理の対象とする。検査ウインドウW2は、シール部1sのうちで特に接合異常が生じると重大な不具合に繋がる平面位置に対応させて設定される。この平面位置の一例としては、ナプキン1のウイング部1w,1wが挙げられる。つまり、ウイング部1w,1wは、ナプキン1のユーザーが着用時に取り扱う部位であるので、当該ウイング部1w,1wにてサイドシート6と裏面シート4とが剥離して口開き状態になっていると、取り扱い難くなる。そのため、本実施形態では、ウイング部1w,1wに形成されたシール部1sの撮像部分A1sに対してウイング部1w毎に検査ウインドウW2を設定している。つまり、ウイング部1w,1wは二つあるので、検査ウインドウW2,W2も二つ設定されている。但し、検査ウインドウW2の設定数や設定位置は何等これに限るものではなく、設定数を一つにしても良いし、設定位置をウイング部1w以外の平面位置にしても良い。
【0079】
また、第2二値化処理でも、予め定められた第2二値化用閾値(第2閾値に相当)を用いる。この第2二値化用閾値は、正常に形成された凹部1dに対応する画素の明度と、未接合状態の凹部1dnに対応する画素の明度との間の値に設定され、予めメモリ内に格納されている。ちなみに、この第2二値化用閾値は、上述の定義から明らかなように、前述の第1二値化用閾値よりも小さな値に設定されている。つまり、接合異常の検査に特化させるべく、穴あき異常の検査に特化した前述の第1二値化用閾値とは異なる値に設定されている。
【0080】
そして、図7Aの検査ウインドウW2内の画素のうちで、第2二値化用閾値以上の明度の画素を、図7Bの二値化画像における二値(例えば0と1)のうちの一方の値たる「1」によって特定される白画像に割り振り、他方、第2二値化用閾値未満の明度の画素を、もう一方の値たる「0」によって特定される黒画像に割り振る。これを、図7Aの検査ウインドウW2内の全ての画素について行う。これにより、図7Aに示すように検査ウインドウW2内の画素のうちで、未接合状態ではない正常な凹部1d,1d…が撮像されている領域A1d,A1d…が、二値化画像における白画像に含まれるように処理され、未接合状態の凹部1dn,1dn…(接合異常部分に相当)が撮像されている領域A1dn,A1dn…は、二値化画像における黒画像に含まれるように処理される。すなわち、平面画像データを、図7Aに示す検査ウインドウW2を用いて二値化処理することにより、図7Bの二値化画像が生成される。なお、このような二値化処理は、図6の検査ウインドウW2,W2毎に行われ、これにより、本実施形態では、図7Bに示すように二つの二値化画像が生成される。ちなみに、同図7B中では、二値化画像においてシール部1sに対応する部分A1sを二点鎖線で示しているが、当然ながらこのような線は二値化画像には存在しない。
【0081】
そうしたら、画像処理部76は、第2異常判定処理へ移行する。そして、この第2異常判定処理では、先ず、図7Bの二値化画像毎に、二値化画像上での白画像の面積を求める。ここで、画素の平面サイズは、XY方向の各解像度などに基づいて予めわかっている。よって、この画素の平面サイズに、白画像に割り振られた画素の数たる画素数を乗算することにより、二値化画像毎に白画像の面積が算出される。ちなみに、この白画像の面積が、請求項に係る「第2二値化処理部で生成された二値化画像のうちで前記一方の値ではない方の値で特定される画像の大きさを示す値」に相当する。
【0082】
次に、画像処理部76は、各二値化画像の白画像の面積を、予めメモリに格納された第2異常判定用閾値と大小比較する。そして、何れの白画像の面積も第2異常判定用閾値以上の場合には、画像処理部76は、「正常の凹部1dは十分大きいので、接合異常は生じていない」と判定する。一方、二つの二値化画像のうちの一つでも白画像の面積が第2異常判定用閾値よりも小さい場合には、「正常の凹部1dは小さく、接合異常が発生している」と判定する。そして、ラウンドシール加工装置60の制御部64に、この「接合異常有り」の判定結果を送信する。すると、これを受信した制御部64は、ロール60aとロール60bとの間のロール間隙を、現状値よりも規定値だけ小さくなるように閉めて、押圧荷重を増加方向に変更する。これにより、これ以降にラウンドシール加工装置60を通過する単位半製品1bの未接合部分1dnは縮小されて、接合異常を抑制することができる。
【0083】
なお、上述の第2異常判定用閾値は、メモリ内に予め格納された固定値である。そして、この第2異常判定用閾値は、例えば次のような製造ラインでの実験的手法により求められる。先ず、シール部1sの凹部1d,1d…が正常に形成された単位半製品1bのサンプルを複数枚用意する。次に、これらサンプルを検査装置70の上記CCDカメラ72で撮像して、サンプル毎に第2二値化処理を行い、サンプル毎に検査ウインドウW2内の白画像の面積を求める。そして、これら全サンプルの白画像の面積の平均値及び標準偏差σを算出し、当該平均値よりも2σだけ小さい値を、上記の第2異常判定用閾値として用いる。ちなみに、検査装置70が、「異常有り」の判定を多発する場合には、第2異常判定用閾値を、より小さな値に変更しても良い。また、場合によっては、画像処理部76のメモリは、第2異常判定用閾値よりも更に小さい値(例えば、上述の平均値よりも3σだけ小さい値)を下限値として予め有するようにし、そして、二つの二値化画像のうちの一つでも白画像の面積がこの下限値よりも小さい場合には、画像処理部76は、この平面画像に対応する単位半製品1bに対して接合不良情報を付与するなど不良品であることを関連付けして、下工程での良品と不良品との分別処理に供するようにしても良い。
【0084】
また、本実施形態では、第1異常判定処理と第2異常判定処理とで互いに独立に異常の有無の判定を行う関係上、場合によっては、同一の単位半製品1bに対して穴あき異常と接合異常との両方の判定結果が出力される場合がある。そして、その場合には、ラウンドシール加工装置60の押圧荷重の変更方向が、減少方向と増加方向とで互いに逆方向となって食い違ってしまうが、その場合には、どちらか一方の判定結果を、ラウンドシール加工装置60の押圧荷重の制御に優先させるように、予め優先順を設定しておけば良い。例えば、両者の判定結果が出力された場合には、接合異常よりも穴あき異常の判定結果の方を優先させて、押圧荷重を減少方向に変更するように設定しておけば良い。
【0085】
ところで、上述の実施形態では、図4に示すように、エンドシール部1sedの撮像部分A1sedに対して一つの検査ウインドウW1を設定していたが、望ましくは、当該撮像部分A1sedを細分化して複数の検査ウインドウW1,W2を設定すると良い。図8乃至図9Bはその説明図である。なお、図8は、複数の検査ウインドウW1,W2,W2が平面画像に設定された様子を示す模式図である。また、図9Aは、ラウンドシール加工装置60を通過する直前の半製品1aの概略平面図であり、図9Bは、図9A中のB−B断面図である。
【0086】
この図8の例では、エンドシール部1sedの撮像部分A1sedを、X方向(CD方向、幅方向)に関して三つの領域A1sed2,A1sed1,A1sed1に区分している。そして、これら三つの領域のうちでX方向の中央に位置する中央領域A1sed2には、接合異常検査用の検査ウインドウW2を設定する一方、中央領域A1sed2の両側に位置する一対の端部領域A1sed1,A1sed1には、それぞれ穴あき異常検査用の検査ウインドウW1,W1を設定している。このようにしている理由は、エンドシール部1sedでは、CD方向の位置に応じてシート2a,4a,6aの積層数が異なっており、これに起因して、エンドシール部1sedには、穴あき異常が生じ易い部分1sed2と、接合異常が生じ易い部分1sed1とが存在しているからである。
【0087】
詳しく説明すると、先ず、図9A及び図9Bに示すように、製造ラインの搬送路上では、CD方向の中央に、表面シート2aと裏面シート4aとが積層された二層構造の部分1a2(第2部分に相当)が存在し、この二層構造の部分1a2の両側には、それぞれ、表面シート2a及び裏面シート4aに加えて更にサイドシート6aが積層された三層構造の部分1a1,1a1(第1部分に相当)が存在している。また、シール部1sを加工形成すべきラウンドシール加工装置60のロール間隙の大きさは、CD方向に亘って概ね一定に設定されている。つまり、同装置60の上ロール60aの外周面の既述の凸部と下ロール60bの外周面との間の間隔は、CD方向に亘って概ね一定になっている。よって、三層構造の部分1a1,1a1には、上ロール60aの凸部及び下ロール60bから押圧荷重が集中して作用して同荷重が大きくなるが、これに対して、二層構造の部分1a2の押圧荷重は小さくなる。その結果として、エンドシール部1sedにおけるCD方向の各端部1sed1,1sed1(第1シール部に相当)には、穴あき異常が生じ易くなり、同エンドシール部1sedにおける中央部1sed2(第2シール部に相当)には、接合異常が生じ易くなるのである。
【0088】
そして、これらの異常の発生を確実に検出するには、上述したように、エンドシール部1sedの撮像部分A1sedにおける中央領域A1sed2に対しては、接合異常を検査すべく検査ウインドウW2を設定して、中央領域A1sed2を対象として第2二値化処理及び第2異常判定処理を行い、他方、同エンドシール部1sedの撮像部分A1sedにおける各端部領域A1sed1,A1sed1に対しては、穴あき異常を検査すべく検査ウインドウW1を設定して、各端部領域A1sed1,A1sed1を対象として第1二値化処理及び第1異常判定処理を行うと良いのである。
【0089】
なお、上述では、別々の検査ウインドウW1,W2を設定すべき領域として、エンドシール部1sedの撮像部分A1sedにおける中央領域A1sed2と各端部領域A1sed1,A1sed1とを例示したが、何等これに限るものではない。すなわち、半製品1aにおいてシール部1sが形成されるべき部分のうちでシート2a,4a,6aの積層数が互いに異なる部分1a1,1a2同士であれば、当該部分1a1,1a2毎に別々の検査ウインドウW1,W2を設定すると良い。より正確に言うと、次のようになる。シール部1sが半製品1aにおける第1部分1a1と第2部分1a2との両者に形成されている場合であって、第1部分1a1が、第2部分1a2に対して更に別のシート6aを追加積層して構成されている場合には、第1部分に1a1は、穴あき異常検査用の検査ウインドウW1を設定し、第2部分1a2には、接合異常検査用の検査ウインドウW2を設定すると良い。
【0090】
また、図1A乃至図1Cに示すように、本実施形態のナプキン1にあっては、吸収体3の幅方向の両側に、横漏れを防止する一対の立体ギャザー(防漏カフスと言うこともある)を有していなかったため、エンドシール部1sedには、立体ギャザーの長手方向の端部が存在していなかったが、当該立体ギャザーを有しているナプキン1の場合には、一般にエンドシール部1sedにおける幅方向の各端部には、立体ギャザーを構成する立体ギャザーシートの長手方向の端部が折り畳まれた状態で固定されている。そのため、エンドシール部1sedにおける幅方向の各端部は三層構造以上の層数の部分になっており、これにより、エンドシール部1sedの中央部1sed2に係る二層構造の部分よりも厚みの厚い部分となっている。従って、この場合も、上述したように、エンドシール部1sedの撮像部分A1sedを複数の領域A1sed2,A1sed1,A1sed1に区分して、各領域A1sed2,A1sed1,A1sed1に対応させて検査ウインドウW2,W1,W1を設定すると良い。
【0091】
<<<搬送方向に係る吸収体3とシール部1sとの相対位置の検査について>>>
以上、検査装置70が行うシール部1sの穴あき異常や接合異常の検査について説明してきたが、場合によっては、これらの異常の検査に加えて、更に、搬送方向に係る吸収体3とシール部1sとの相対位置の異常の有無を検査するようにしても良い。
【0092】
始めに、かかる検査が必要な理由について説明する。前述したように、図3の製造ラインの各装置10,20…,80は、搬送機構124も含め、同期信号に従って互いに連動して動作している。そして、この同期信号は、製造ラインの基準となる装置たるダイカッター装置80に設けられたロータリー式エンコーダによって生成されている。つまり、本実施形態では、ナプキン1を打ち抜き形成するカッターロール80aの回転動作に基づいて同期信号が生成されている。
【0093】
ところで、このような同期信号に基づいて各装置10,20…,80を連動させている場合であっても、吸収体3の坪量や含水率等のロット単位での変動や、ロール状に巻き取り状態の表面シートロールから繰り出し供給される表面シート2a等の各種シート類の巻き取り径の変動などが複合して、これにより、大きな周期で半製品1aにおける吸収体3の搬送方向の形成位置が変動することがある。すなわち、単位半製品1bの数百〜数千ピースに相当する非常に大きな周期で、吸収体3の実際の形成位置が、目標位置よりも搬送方向の上下流に数ミリのオーダーで揺らぎながらずれる現象が起こることがある。
【0094】
そして、その現象が起きているときに、ラウンドシール加工装置60が同期信号に基づいてシール部1sを正しく形成したとしても、吸収体3が目標位置から搬送方向にずれてしまっているため、吸収体3とシール部1sとの相対位置は、目標の相対位置よりもずれてしまい、その結果、直ちに不良品にはならないまでも、当該ナプキン1にあっては、シール部1sが吸収体3に対して位置ずれしているように見えるなど見栄えが悪く、商品イメージの悪化に繋がる虞がある。
【0095】
そのため、吸収体3とシール部1sとの相対位置の異常の有無を検査する必要があり、本実施形態の検査装置70は、この検査機能も備えている。また更に、本実施形態では、この検査結果に基づいて、相対位置が目標の相対位置になるように、相対位置を修正することも行っている。ここで、この相対位置の修正は、シール部1sの形成位置の変更ではなく、吸収体3の形成位置を変更することで行っているが、この理由は次の通りである。シール部1sを形成するラウンドシール装置60は、同期の基準装置たるダイカッター装置80に近接して配されている、そのため、半製品1a上におけるダイカッター装置80の加工位置たる打ち抜き位置に対するラウンドシール装置60の加工位置たるシール部1sの形成位置のずれはほぼ無く、よって、シール部1sと吸収体3との相対位置が目標の相対位置からずれている場合には、専ら吸収体3の形成位置のみが、基準の加工位置からずれていると考えられるためである。以下、かかる相対位置の異常の有無の検査機能、及びシール部と吸収体3との相対位置の修正について説明する。
【0096】
先ず検査機能の方から説明する。この検査も、第1二値化処理で用いたのと同じ平面画像データを用いてなされる。すなわち、図10の平面画像のイメージ図に示すように、同平面画像から、シール部1sの下流端部1sedたるエンドシール部1sedの撮像部分A1sedと吸収体3の下流端部3dの撮像部分A3dとの間の搬送方向の間隔Dedの値を求め、そして、この間隔Dedの値が規定の目標範囲内に入っているか否かで、相対位置の異常の有無を判定する。以下、詳しく説明する。
【0097】
始めに、画像処理部76は、間隔Dedの値を算出する。この間隔Dedの値の算出は、平面画像データに対して、第3及び第4の二つの二値化処理を行うことでなされる。そして、これら第3、第4二値化処理においても、検査ウインドウW3が設定される。但し、その設定は、図10に示すように、検査ウインドウW3の内方に、吸収体3の搬送方向の下流端部3dの撮像部分A3dと、シール部1sの搬送方向の下流端部1sedたるエンドシール部1sedの撮像部分A1sedとが含まれるようになされる。
【0098】
そして、第3二値化処理では、エンドシール部1sedの撮像部分A1sedの白画像を取得すべく、予めメモリ内に格納された第3二値化用閾値(第3閾値に相当)を用いて検査ウインドウW3内の領域を二値化処理する。詳しくは、第3二値化用閾値は、シール部1sの凹部1dに対応する画素の明度と、凹部1dが形成されない凹部未形成部1nに対応する画素の明度との間の値に設定されている。そして、図11Aの検査ウインドウW3内の画素のうちで、第3二値化用閾値以上の明度の画素を、図11Bの二値化画像における二値(例えば0と1)のうちの一方の値たる「1」によって特定される白画像に割り振り、他方、第3二値化用閾値未満の明度の画素を、もう一方の値たる「0」によって特定される黒画像に割り振る。これを、検査ウインドウW3内の全ての画素について行う。これにより、図11Aの検査ウインドウW3内の画素のうちで、エンドシール部1sedの撮像部分A1sedが、図11Bに示すように二値化画像における白画像に含まれ、それ以外の部分は、黒画像にほぼ含まれるように処理される。
【0099】
他方、第4二値化処理では、吸収体3の下流端部3d(「吸収体の前記搬送方向の端部」に相当)の撮像部分A3dの白画像を取得すべく、予めメモリ内に格納された第4二値化用閾値(第4閾値に相当)を用いて検査ウインドウW3内の領域を二値化処理する。詳しくは、第4二値化用閾値は、表面シート2aと裏面シート4aとの二者だけが重なっている部分1gに対応する画素の明度と、表面シート2aと吸収体3と裏面シート4aとの三者が重なっている部分1rに対応する画素の明度との間の値に設定されている。そして、図11Aの検査ウインドウW3内の画素のうちで、第4二値化用閾値以下の明度の画素を、図11Cの二値化画像における二値(例えば0と1)のうちの一方の値たる「1」によって特定される白画像に割り振り、他方、第4二値化用閾値よりも大きい明度の画素を、もう一方の値たる「0」によって特定される黒画像に割り振る。これを、検査ウインドウW3内の全ての画素について行う。これにより、図11Aの検査ウインドウW3内の画素のうちで、吸収体3の下流端部3dの撮像部分A3d(「吸収体の前記搬送方向の端部の撮像部分」に相当)が、図11Cに示すように二値化画像における白画像に含まれ、それ以外の部分(つまり表面シート2aと裏面シートとの二者だけが重なっている部分1gの撮像部分A1gなど)は、黒画像に含まれるように処理される。
【0100】
そうしたら、画像処理部76は、これら第3二値化処理で生成された図11Bの二値化画像の白画像と、第4二値化処理で生成された図11Cの二値化画像の白画像とに基づいて、上述の間隔Dedの値を算出する。図11Dは、この算出の説明図である。
【0101】
ここで、この間隔Dedの値については、図11B〜図11Dに示すように、例えば、吸収体3の下流端部3dの白画像(図11C)を構成する複数の画素のうちで、X方向の中央に位置し、且つ搬送方向の最も下流に位置する画素のY座標Y3deから、エンドシール部1sedの白画像(図11B)を構成する複数の画素のうちで、X方向の中央に位置し、且つ搬送方向の最も上流に位置する画素のY座標Y1sedeを減算してなる減算値(=Y3de−Y1sede)として求めることができる。よって、画像処理部76は、かかる減算を行い、これにより上述の間隔Dedの値を取得する。
【0102】
次に、画像処理部76は、第3異常判定処理に移行する。第3異常判定処理では、この間隔Dedの値を第3異常判定用閾値と比較することで、吸収体3とシール部1sとの相対位置の異常の有無を判定する。ここで、第3異常判定用閾値は、数値範囲として予めメモリに格納されている。なお、この第3異常判定用閾値の数値範囲は、例えばナプキン1の設計図から取得することができる。すなわち、設計図には、ナプキン1の幅方向の中心線上でのエンドシール部1sedと吸収体3の下流端部3dとの間の間隔の目標範囲が規定されており、よって、当該間隔の目標範囲を、平面画像のY座標系上の寸法に換算することで、上記第3異常判定用閾値の数値範囲を得ることができる。
【0103】
そして、上記の間隔Dedの値が、この数値範囲内に入っている場合には、「吸収体3とシール部1sとの相対位置は、目標範囲内に入っている」と判定する。一方、同数値範囲から外れている場合には、「吸収体3とシール部1sとの相対位置は、目標範囲内に入っていない」と判定し、その場合には、画像処理部76は、回転ドラム装置10の制御部18へ向けて、この判定結果を送信する(図3)。
【0104】
ここで、この判定結果には、第3異常判定用閾値の数値範囲の中央値から上記の間隔Dedの値を減算してなるずれ量ΔDedを実寸換算した値ΔDedrのデータが付帯されている。そして、これを受信した制御部18は、この実寸換算後のずれ量ΔDedrを単位半製品1bの全長で除算後に360°を乗算することにより、回転ドラム12の回転動作に係る位相のずれ量Δθに変換する。そして、回転ドラム12の回転動作の駆動源たるサーボモータ(不図示)のアンプに向けて、その回転動作に係る位相の修正指示信号を送信する。この修正指示信号には、上述の位相のずれ量Δθのデータが付帯されており、このずれ量Δθは、謂わば同期信号の回転角度値の位相をどれだけ進めるべきか或いは遅らせるべきかを示している。よって、この修正指示信号を受信したアンプは、自身が受信している同期信号の回転角度値θを、修正指示信号に付帯の位相のずれ量Δθ分だけ漸次ずらして変更する。これにより、以降に回転ドラム装置10が生成した吸収体3を具備する単位半製品1bにあっては、吸収体3とシール部1sとの相対位置が目標範囲内に入るようになる。
【0105】
なお、画像処理部76が、請求項に係る「第3二値化処理部、第4二値化処理部、第3異常判定処理部」に相当する。つまり、画像処理部76のメモリ内には、上述の第3二値化処理を行って二値化画像を生成するための第3二値化処理プログラム、及び上述の第4二値化処理を行って二値化画像を生成するための第4二値化処理プログラム、並びに上述の第3異常判定処理を行う第3異常判定処理プログラムが予め格納されており、画像処理部76のプロセッサが、これらプログラムを適宜読み出して実行することにより、画像処理部76は、第3二値化処理部、第4二値化処理部、並びに第3異常判定処理部として機能する。
【0106】
ところで、第3二値化用閾値と第2二値化用閾値との両者に対しては互いに同じ値を用いても良い。その場合、互いに同じ検査ウインドウに基づけば、第3二値化処理で生成される二値化画像と、第2二値化処理で生成される二値化画像とは互いに同じものになる。そのため、この第3二値化処理で生成された二値化画像を用いて前述の第2異常判定処理を行うようにすれば、検査ウインドウW3内のエンドシール部1sedの接合異常も検査することができる。つまり、吸収体3とエンドシール部1sedとの相対位置の検査に併せて、更にエンドシール部1sedの接合異常の検査を行う場合には、画像処理部76は、第2二値化処理を行わずに、第3二値化処理で生成された二値化画像を用いてエンドシール部1sedの接合異常の検査を行うことができて、これにより、第2二値化処理の省略分だけ画像処理部76は演算負荷を軽減可能となる。これを更に換言して言えば、第2二値化処理プログラムと第3二値化処理プログラムとは、互いに共通の一つのプログラムとして構成することができるということになる。従って、請求項に記載の発明の概念には、「エンドシール部1sedと吸収体3との相対位置を検査するためになされる第3二値化処理部が、エンドシール部1sedの接合異常の検査を行うために必要な第2二値化処理部を兼ねている」という態様も含むものである。
【0107】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0108】
上述の実施形態では、平面画像データの一例として、各画素の色情報が明度のみを有したグレースケールのデータを示したが、何等これに限るものではない。例えば、各画素の色情報が明度、色相、及び彩度を有したカラー画像データであっても良い。そして、その場合には、前述の二値化処理として、カラー二値化処理を行うこともできる。
ちなみに、カラー二値化処理とは、平面画像のカラー画像データから、特定の色情報を有する画素を抽出する処理のことである。ここで、色情報は、前述のように明度、色相、及び彩度の三要素をそれぞれ数値で有している。よって、明度、色相、及び彩度のそれぞれについて、抽出すべき画素の色情報の数値範囲を、第1(又は第2)二値化用閾値として画像処理部76のメモリに予め設定しておけば、画像処理部76は、その設定された色情報の画素を平面画像から抽出することができる。
すなわち、上述の第1(又は第2)二値化用閾値の三つの数値範囲を、平面画像のうちで穴あき部分hが撮像されている領域Ah(又は未接合状態ではない正常な凹部1dが撮像されている領域A1d)に固有な色に基づいて予め設定しておけば、画像処理部76は、平面画像データに記録されている平面画像の各画素の色情報を参照し、そして、上述の第1(又は第2)二値化用閾値の三つの数値範囲を全て満たす画素を例えば白の画素に割り振り、満たさない画素を例えば黒の画素に割り振る。そして、この割り振り動作を、平面画像データの全ての画素について行い、これにより、平面画像のうちで穴あき部分hが撮像されている領域Ah(又は未接合状態ではない正常な凹部1dが撮像されている領域A1d)が、白の画素の領域として抽出される。この方法によれば、上記穴あき部分hが撮像されている領域Ah(又は未接合状態ではない正常な凹部1dが撮像されている領域A1d)に固有な色に基づいて、平面画像から同領域Ah(又は領域A1d)を抽出するので、その抽出精度を高めることができる。なお、上述したこと以外の内容は、グレースケールを例に既述した内容と同じなので、その説明については省略する。
【0109】
上述の実施形態では、画像処理部76は、それぞれ二値化画像における白画像の面積に基づいて異常の有無の判定を行っていたが、何等これに限るものではない。つまり、白画像の大きさを示す値であれば、面積以外の適宜な指示値を用いても良い。例えば、白画像の画素数で異常の有無の判定をしても良い。そして、その場合には、第1及び第2異常判定用閾値として、それぞれ画素数で表現された固定値が予め各画像処理部76のメモリに設定されることになる。
【0110】
上述の実施形態では、接合異常検査に係る第2異常判定処理の際に、正常な凹部1d,1d…が含まれている白画像の面積に基づいて接合異常の有無の判定をしていたが、何等これに限るものではない。例えば、未接合状態の凹部1dn,1dn…が含まれる黒画像の面積に基づいて接合異常の有無を判定しても良い。なお、この場合には、前述したのと同様の実験的手法によって、黒画像の面積に対応した第2異常判定用閾値が予め用意されているのは言うまでもない。
【0111】
上述の実施形態では、吸収体3とシール部1sとの搬送方向の相対位置の検査を、図10に示すように、シール部1sの下流端部1sed(下流側のエンドシール部1sed)と吸収体3の下流端部3dとの間の搬送方向の間隔Dedに基づいて行っていたが、何等これに限るものではない。例えば、同図10に示すように、シール部1sの上流端部1seu(上流側のエンドシール部1seu)と吸収体3の上流端部3uとの間の搬送方向の間隔Deuに基づいて行うようにしても良い。なお、その場合には、検査ウインドウW3uは、図10中に三点鎖線で示すように、吸収体3の上流端部3uの撮像部分A3u及びシール部1sの上流端部1seuの撮像部分A1seuが含まれるように設定される。
【0112】
上述の実施形態では、CCDカメラ72を半製品1aの表面シート2a側の面に対向させて配置し、その逆側に照明部材74を配置していたが、この配置関係は逆でも良い。すなわち、同カメラ72を半製品1aの裏面シート4a側の面に対向させて配置し、その逆側たる半製品1aの表面シート2a側の面に対向させて照明部材74を配置しても良い。更に言えば、カメラ72の撮像は、何等半製品1aからの透過光の受光に限るものではなく、つまり半製品1aからの反射光を受光して撮像しても良い。この場合には、照明部材74は、半製品1aに対してカメラ72と同じ側に配置され、また、画像処理部76のメモリの第1〜第4二値化用閾値、及び第1〜第2異常判定用閾値には、それぞれ、反射光に対応した値が設定されるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0113】
1 ナプキン(吸収性物品、製品)、1a 半製品、
1a1 三層構造の部分(第1部分)、1a2 二層構造の部分(第2部分)、
1b 単位半製品(吸収性物品の製品に相当する単位)、
1d 凹部、1db 底部、
1dn 未接合状態の凹部(接合異常部分、未接合部分)、
1e 外縁部、1eb 境界部分、1ec 中央部、1ee 端部、
1g 部分、1n 凹部未形成部、1r 部分、1s シール部、
1sed 下流端部(エンドシール部)、
1sed1 端部(第1シール部)、1sed2 中央部(第2シール部)、
1seu 上流端部(エンドシール部)、
1w ウイング部、
2 表面シート、2a 表面シートの連続シート、2e 端部、2t エンボス溝、
3 吸収体、3d 下流端部、3u 上流端部、
4 裏面シート、4a 裏面シートの連続シート、
4g はみ出し部分、4w 延出した部分、
6 サイドシート、6a サイドシートの連続シート、6w 一部、
10 積繊装置、12 回転ドラム、14 吸着領域、16 ダクト、18 制御部、
20 表面シートの供給ロール、30 エンボス加工装置、
40 サイドシートの供給ロール、50 裏面シートの供給ロール、
60 ラウンドシール加工装置、60a 上ロール、60b 下ロール、64 制御部、
70 シール部検査装置(シール部の検査装置)、
72 CCDカメラ(撮像処理部)、74 照明部材、
76 画像処理部(第1二値化処理部、第2二値化処理部、第3二値化処理部、第4二値化処理部、第1異常判定処理部、第2異常判定処理部、第3異常判定処理部)、
80 ダイカッター装置、80a カッターロール、80b アンビルロール、
124 コンベア(搬送機構)、
h 穴あき部分、
A1d 正常な凹部が撮像されている領域、
A1dn 未接合状態の凹部が撮像されている領域、
A1g 表面シート2aと裏面シートとだけが重なっている部分1gの撮像部分、
A1s シール部の撮像部分、
A1sed エンドシール部の撮像部分、
A1sed1 端部領域、A1sed2 中央領域、
A1seu エンドシール部の撮像部分、
A3d 吸収体の下流端部の撮像部分、A3u 吸収体の上流端部の撮像部分、
Ah 穴あき部分が撮像されている領域、
PS 撮像位置、
W1 検査ウインドウ(第1検査ウインドウ)、
W2 検査ウインドウ(第2検査ウインドウ)、
W3 検査ウインドウ(第3検査ウインドウ)、
W3u 検査ウインドウ(第3検査ウインドウ)、
C60 回転軸、C80 回転軸、
S10 積繊工程、S20 表面シート供給工程、S30 エンボス溝加工工程、
S40 サイドシート供給工程、S50 裏面シート供給工程、
S60 ラウンドシール加工工程、S70 シール部検査工程、S80 分断工程、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品を構成する厚み方向に積層された複数のシートを前記吸収性物品の外縁部において接合するシール部の検査装置であって、
前記シール部は、前記積層された前記複数のシートが前記外縁部において前記厚み方向に圧着されて形成されており、
前記複数のシートの片面のうちで前記シール部が形成された領域を撮像して前記領域の平面画像のデータを平面画像データとして生成する撮像処理部と、
前記平面画像データを第1閾値に基づいて二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記シール部の撮像部分のうちで、前記厚み方向に貫通状態の穴あき部分が撮像されている領域が含まれるように二値化処理を行う第1二値化処理部と、
前記第1閾値とは異なる第2閾値に基づいて前記平面画像データを二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記シール部の撮像部分のうちで、前記複数のシートが未接合状態の接合異常部分が撮像されている領域が含まれるように二値化処理を行う第2二値化処理部と、
前記第1二値化処理部で生成された二値化画像に基づいて、穴あき異常の有無の判定を行う第1異常判定処理部と、
前記第2二値化処理部で生成された二値化画像に基づいて、接合異常の有無の判定を行う第2異常判定処理部と、を有することを特徴とする吸収性物品に係るシール部の検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品に係るシール部の検査装置であって、
前記複数のシートは、搬送方向に連続した連続シートの状態で前記搬送方向に搬送され、
前記シール部は、前記吸収性物品の製品に相当する単位毎に所定の形成パターンで前記搬送方向に並んで形成され、
前記複数のシートが前記製品に相当する単位に分断される前に、前記撮像処理部は、前記シール部が形成された前記領域を撮像することを特徴とする吸収性物品に係るシール部の検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸収性物品に係るシール部の検査装置であって、
前記吸収性物品は、前記複数のシートのうちの所定数のシートが積層された第2部分と、前記第2部分に係る前記所定数のシートに対して更に別のシートが追加されて積層された第1部分とを有し、
前記シール部は、前記第1部分に形成される第1シール部と、前記第2部分に形成される第2シール部と、を有し、
前記第1二値化処理部は、前記平面画像における二値化処理の対象領域を内方に区画して限定する第1検査ウインドウを、前記第1シール部の撮像部分に対応して設定し、
前記第2二値化処理部は、前記平面画像における二値化処理の対象領域を内方に区画して限定する第2検査ウインドウを、前記第2シール部の撮像部分に対応して設定することを特徴とする吸収性物品に係るシール部の検査装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の吸収性物品に係るシール部の検査装置であって、
前記吸収性物品は、長手方向と幅方向と厚み方向とを有し、
前記吸収性物品は、前記幅方向に延出した一対のウイング部を有し、
前記ウイング部は、前記複数のシートのうちの幾つかのシート同士が積層された状態で前記シール部により接合されてなり、
前記第2二値化処理部は、前記平面画像における二値化処理の対象領域を内方に区画して限定する第2検査ウインドウを、前記ウイング部に形成された前記シール部の撮像部分に対応して設定することを特徴とする吸収性物品に係るシール部の検査装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の吸収性物品に係るシール部の検査装置であって、
前記吸収性物品は、前記複数のシートのうちの一対のシート同士の間に、液体吸収性部材を素材とする吸収体を介装して有し、
前記複数のシートは、搬送方向に連続した連続シートの状態で前記搬送方向に搬送されているとともに、前記吸収体は前記搬送方向に間欠的に並んで配置され、
前記シール部は、前記吸収体よりも前記搬送方向の端部に位置する部分をエンドシール部として有し、
前記平面画像データを第3閾値に基づいて二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記エンドシール部の撮像部分が含まれるように二値化処理を行う第3二値化処理部と、
前記平面画像データを第4閾値に基づいて二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記吸収体の前記搬送方向の端部の撮像部分が含まれるように二値化処理を行う第4二値化処理部と、
前記第3二値化処理部で生成された二値化画像及び前記第4二値化処理部で生成された二値化画像に基づいて、前記搬送方向に係る前記吸収体と前記シール部との相対位置が目標範囲内に入っているか否かの判定を行う第3異常判定処理部と、を有することを特徴とする吸収性物品に係るシール部の検査装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の吸収性物品に係るシール部の検査装置であって、
前記第1異常判定処理部の穴あき異常の有無の判定は、前記第1二値化処理部で生成された二値化画像のうちで前記一方の値で特定される画像の大きさを示す値に基づいて行われ、
前記画像の大きさを示す値が規定の第1異常判定用閾値よりも大きい場合に、前記第1異常判定処理部は前記穴あき異常有りの判定を下し、
前記第2異常判定処理部の接合異常の有無の判定は、前記第2二値化処理部で生成された二値化画像のうちで前記一方の値ではない方の値で特定される画像の大きさを示す値に基づいて行われ、
前記画像の大きさを示す値が規定の第2異常判定用閾値よりも小さい場合に、前記第2異常判定処理部は前記接合異常有りの判定を下すことを特徴とする吸収性物品に係るシール部の検査装置。
【請求項7】
吸収性物品を構成する厚み方向に積層された複数のシートを前記吸収性物品の外縁部において接合するシール部の検査方法であって、
前記シール部は、前記積層された前記複数のシートが前記外縁部において前記厚み方向に圧着されて形成されており、
前記複数のシートの片面のうちで前記シール部が形成された領域を撮像して前記領域の平面画像のデータを平面画像データとして生成することと、
前記平面画像データを第1閾値に基づいて二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記シール部の撮像部分のうちで、前記厚み方向に貫通状態の穴あき部分が撮像されている領域が含まれるように第1の二値化処理を行うことと、
前記第1閾値とは異なる第2閾値に基づいて前記平面画像データを二値化処理して二値化画像を生成する際に、前記二値化画像において二値のうちの一方の値によって特定される画像に、前記平面画像における前記シール部の撮像部分のうちで、前記複数のシートが未接合状態の接合異常部分が撮像されている領域が含まれるように第2の二値化処理を行うことと、
前記第1の二値化処理で生成された二値化画像に基づいて、穴あき異常の有無の判定を行うことと、
前記第2の二値化処理で生成された二値化画像に基づいて、接合異常の有無の判定を行うことと、を有することを特徴とする吸収性物品に係るシール部の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−81658(P2013−81658A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224187(P2011−224187)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】