説明

吸収性物品

【課題】発熱体が発熱する肌当接面側の面積が縮小してしまうことを抑制し、効率よく着用者の子宮を温めて生理痛を低減する。
【解決手段】本発明に係る吸収性物品1は、液透過性の表面シート11と、液不透過性の裏面シート12と、表面シート11と裏面シート12との間に配置される吸収体2とを有する吸収性物品1であって、表面シート11と裏面シート12との間に、発熱体3A、3Bが配置されており、発熱体3A、3Bは、発熱材50A、50Bと、発熱材50A、50Bを格納する格納部材60A、60Bとを有し、格納部材50A、50Bは、区分された複数の区分領域70A、70Bに発熱材50A、50Bを格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、吸収体と表面シート又は裏面シートとの間に発熱体層が設けられている吸収性物品が開示されている。
【0003】
このような吸収性物品では、一般的に、発熱体層が、鉄粉と活性炭と塩化ナトリウムなどを含む複合粉末を用いて発熱するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】CN101273938A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、出願人は、上述の吸収性物品では、次の問題点があることを発見した。具体的に、上述の吸収性物品では、発熱体層の発熱材が、着用者の動きに起因する振動によって、特定の方向(例えば、下方向)に偏在してしまうことになる。その結果、発熱体が発熱する肌当接面側の面積が縮小してしまい、効率よく着用者の子宮を温められないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、発熱体が発熱する肌当接面側の面積が縮小してしまうことを抑制し、効率よく着用者の子宮を温めて生理痛を低減することのできる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、吸収性物品であって、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、前記表面シートと前記裏面シートとの間に、発熱体が配置されており、前記発熱体は、発熱材と、前記発熱材を格納する格納部材とを有し、前記格納部材は、区分けされた複数の区分領域に前記発熱材を格納することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、発熱体が発熱する肌当接面側の面積が縮小してしまうことを抑制し、効率よく着用者の子宮を温めて生理痛を低減することのできる吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図におけるa-a断面図である。
【図3】(a)図3(a)は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の発熱体を説明するための図である。(b)図3(b)は、本発明の第1の実施形態に係る発熱体の格納部材と発熱材とを説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態に係る発熱体における格納部材の他の例を説明するための図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品が下着に着用された状態を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品が下着に着用された状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の第1の実施形態)
図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品1について説明する。例えば、本実施形態に係る吸収性物品1は、パンティライナーや失禁パッドや生理用ナプキン等である。
【0011】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図を示し、図2に、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図におけるa-a断面図を示す。
【0012】
図2に示すように、本実施形態に係る吸収性物品1は、液透過性の表面シート11と、液不透過性の裏面シート12と、表面シート11と裏面シート12との間に配置される吸収体2とを有する。
【0013】
なお、本実施形態に係る吸収性物品1において、表面シート11と吸収体2との間に、セカンドシートが配置されていてもよい。
【0014】
吸収体2は、粉砕パルプ及び高吸収ポリマーと両者を包み込むコアラップとによって構成されている。ここで、高吸収ポリマーは、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体の粒状のポリマー、又は、ポリアクリル酸をナトリウムにより部分中和した粒状のポリマーである。
【0015】
また、コアラップは、液体を吸収する任意の材料のシートである。例えば、コアラップとして、ティッシュを用いてもよいし、親水性繊維や粉砕パルプをエアレイド法によってシート状にしたエアレイドシートを用いてもよい。
【0016】
また、本実施形態に係る吸収性物品1には、図1に示すように、複数の圧搾溝21、22、23が設けられていてもよい。ここで、圧搾溝21、22、23は、表面シート11から吸収体2までを圧搾するように構成されている。
【0017】
また、本実施形態に係る吸収性物品1は、図1に示すように、吸収性物品1の幅方向Wの両外側に延出するように形成されている1対のウィング部41を有していてもよい。さらに、本実施形態に係る吸収性物品1は、吸収性物品1の長手方向Lにおいて、ウィング部41の後方に、1対のヒップフラップ部42を有していてもよい。
【0018】
ここで、ウィング部41及びヒップフラップ部42では、裏面シート12の衣服当接面側に、吸収性物品1を下着に固定するための粘着剤が塗布されている。
【0019】
また、本実施形態に係る吸収性物品1では、図1及び図2に示すように、表面シート11と裏面シート12との間で、かつ、吸収体2が設けられている領域よりも吸収性物品1の長手方向Lの外側に、発熱体3A、3Bが配置されるように構成されている。
【0020】
また、本実施形態に係る発熱体3A、3Bは、図1及び図2に示すように、発熱材50A、50Bと、発熱材50A、50Bを格納する格納部材60A、60Bとを有する。
【0021】
ここで、図3(a)には、発熱体3Aの拡大図が示されている。なお、発熱体3A、3Bは、同一であるため、以下、発熱体3Aの構造について説明する。同様に、発熱材50A、50Bと、格納部材60A、60Bとについても、発熱材50Aと、格納部材60Aの構造について説明する。
【0022】
発熱材50Aは、公知の使い捨てカイロなどに使用しているものが挙げられ、鉄粉と活性炭と塩化ナトリウム等を含む複合粉末を使用することができる。この複合粉末を包むシートとしては、通気性を有し、粉末の漏れ出しを防ぐものが好ましく、例えば、透湿性フィルムやメルトブローン不織布等が好適に用いられる。
【0023】
また、図3(b)には、格納部材60Aに格納される発熱材50Aの様子が示されている。図3(b)に示すように、本実施形態に係る格納部材60Aは、区分けされた複数の区分領域70Aに発熱材50Aを格納する。
【0024】
格納部材60Aは、素材として不織布を用いることができる。なお、格納部材60Aの素材は、これに限定されず、吸収性物品1として適切な厚み及び強度を有し、かつ、発熱材50Aの移動を防ぐことができれば、どのようなものを用いてもよい。
【0025】
区分領域70Aは、パンチング等によって格納部材60Aに形成された穴の領域である。すなわち、格納部材60Aには、吸収性物品1の長手方向L及び幅方向Wに所定間隔で穴を形成することによって、区分けされた複数の区分領域70Aが形成されている。なお、区分領域70Aは、貫通させずに形成された凹みなどでもよい。
【0026】
また、発熱材50Aを格納する格納部材60Aは、発熱材50Aを包むシート部材80によって構成されていてもよい。ここで、図4には、格納部材60Aとして、シート部材80を用いた例が示されている。
【0027】
図4に示すように、シート部材80には、シート部材80の表面と裏面とを密着させた区分部90が形成されている。区分部90は、吸収性物品1の長手方向L又は幅方向Wに所定間隔で形成されている。なお、区分部90は、圧搾によって形成されていてもよいし、熱溶着によって形成されていてもよい。すなわち、シート部材80に対して、所定間隔で区分部90を形成することによって、シート部材80には、袋状に区分けされた複数の区分領域70Aが形成されている。なお、シート部材80は、発熱材50Aである複合粉末を包むシートを用いることができる。
【0028】
このように、格納部材60Aは、格納部材60Aとしてシート部材80を用いて、区分部90によって形成された区分領域70Aに、発熱材50Aを格納するように構成されていてもよい。
【0029】
なお、本実施形態に係る吸収性物品1において、吸収体2が設けられている領域よりも吸収性物品1の長手方向Lの前方側及び後方側に、発熱体3A、3Bが配置されるように構成されていてもよいし、吸収体2が設けられている領域よりも吸収性物品1の長手方向Lの前方側のみに、発熱体3Aが配置されるように構成されていてもよい。
【0030】
また、吸収性物品1の周囲は、接着剤やシールで接合されてシール部24を形成しており、さらに、発熱体3A、3Bと吸収体2との間も接着剤やシールで接合され、シール部25A、25Bを形成している。このシール部25A及び25Bにより、吸収体2の吸収された排泄物や水分から発生する蒸気が発熱体3A及び3Bによって直接暖められることを防止することができる。
【0031】
また、発熱体3A、3Bが設けられている領域では、裏面シート12の衣服当接面側に、吸収性物品1を下着に固定するための粘着剤が塗布されていてもよい。
【0032】
図5及び図6に、本実施形態に係る吸収性物品1が下着100に着用された状態を示す。
【0033】
着用者は、吸収性物品1を下着100に着用する際に、ウィング部41を下着のクロッチに巻き込み、ヒップフラップ部42を下着100の上に広げて、吸収性物品1を下着100に固定する。
【0034】
発熱体3A、3Bは、図5に示すように、本実施形態に係る吸収性物品1が下着100に着用された状態において、下着100の内側面に固定されるように構成されていてもよい。
【0035】
また、発熱体3A、3Bは、図6に示すように、本実施形態に係る吸収性物品1が下着100に着用された状態において、下着100の外側面に固定されるように構成されていてもよい。
【0036】
本実施形態に係る吸収性物品1によれば、発熱材50Aが、格納部材60Aの複数の区分領域70A格納されるので、発熱材50Aの移動が抑制される。つまり、発熱材50Aが偏在することを抑制できる。
【0037】
このように、本実施形態に係る吸収性物品1によれば、発熱材50Aの偏在により、発熱体3Aが発熱する肌当接面側の面積が縮小してしまうことを抑制して、効率よく着用者の子宮を温めて生理痛を低減することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る吸収性物品1によれば、格納部材60Aが、発熱材50Aの偏在を抑制するので、発熱材50Aの偏在によって吸収性物品1の一部が突出することを抑制し、着用者に不快感をあたえることを防止することができる。
【0039】
本実施形態に係る吸収性物品1によれば、吸収体2が設けられている領域には、発熱体3A、3Bが配置されないように構成されているため、体液を吸収した吸収体を温めることに起因する着用者の肌及び表面シート11の表面における蒸れを発生させることなく、着用者の子宮を温めて生理痛を低減することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る吸収性物品1によれば、発熱体3A、3Bが、吸収性物品1と一体となっているため、着用者は、発熱体3A、3Bが温かくなくなってきた場合に、吸収性物品1の取替え時期が来たと気付くことができる。
【0041】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0042】
1…吸収性物品
2…吸収体
3A、3B…発熱体
11…表面シート
12…裏面シート
21、22、23…圧搾溝
41…ウィング部
42…ヒップフラップ部
50A、50B…発熱材
60A、60B…格納部材
70A、70B…区分領域
80…シート部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に、発熱体が配置されており、
前記発熱体は、発熱材と、前記発熱材を格納する格納部材とを有し、
前記格納部材は、区分けされた複数の区分領域に前記発熱材を格納することを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記発熱体は、前記表面シートと前記裏面シートとの間で、かつ、前記吸収体が設けられている領域よりも前記吸収性物品の長手方向の外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収体と前記発熱体との間で、前記液透過性の表面シートと前記液不透過性の裏面シートとを接合するシール部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−75568(P2012−75568A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222302(P2010−222302)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】