説明

吸水性シート及び吸水性シートを用いた和装用の補正下着

【課題】 糸瓜の繊維体を用いて、利用範囲が広い吸水性シートを提供する。
【解決手段】 ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いてシート状に形成したパッド3を複数枚用いる。複数枚のパッド3を、カバー5の一方の布9上に、連続的に、かつ、表裏が揃うように並べる。カバー5の他方の布7を複数枚のパッド3の上に被せる。2枚の布7、9の縁部11、17及び内側の部分13、19をミシン等で縫い付ける。カバー5の縁部11、17を、バイアステープ23で覆い縁取りする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車の座席の背当て用シートや枕カバーあるいは就寝用マット等として用いることができる吸水性シート及び吸水性シートを用いた和装用の補正下着に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、糸瓜の繊維体を偏平四角形状に加工して形成したパッドと、このパッドを覆う布製のカバーと、を備えたクッション等が知られている。このようなクッション等で用いられる、糸瓜の繊維体から形成されたパッドは、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を乾燥および圧縮した後で、縦方向に切り開き、偏平四角形状となるように成形することによって形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭61−28455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたような糸瓜の繊維体を用いたパッドは、クッション性を確保するために、比較的厚肉のものとして形成されている。すなわち、糸瓜の繊維体を圧縮するにしても、繊維体が円柱状(環状体)のうちに圧縮しているので、パッドはそれほど薄肉状のものとはならない。
【0005】
しかしながら、パッドが厚肉状であると、吸水性シートの利用価値又は範囲が限定されてしまう。
【0006】
また、特許文献1に記載されたようなクッションは、パッドの配列状態を十分に考慮していないため、使用感のよくないものとなってしまうおそれがあり、しかも、十分な強度の確保に対する配慮もされていないため、長期間にわたる使用に耐え得ないおそれもある。
【0007】
そこで、本発明は、利用範囲が広い吸水性シートを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、すぐれた使用感を有する吸水性シートや寿命の長い吸水性シートの提供をも目的としている。
【0009】
さらに、本発明は、吸水性シートを有するとともに、着用時に違和感のない和装用の補正下着を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するための本発明の吸水性シートは、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成したシート状のパッド(本体を意味する)と、このパッドを覆う布製のカバーと、を備えた吸水性シート(例えば汗取りシートあるいは汗取り機能を有するシート)であって、前記パッドは、前記繊維体を縦方向に切り開いた後で、この繊維体を薄肉状又は薄肉体にプレスして形成されているものである。吸水性シートは、全体が薄手のシート状に形成されているので、例えば、車の座席の背当て用シートとして利用することが可能で、また、枕の外周部に巻いて、枕カバーとして利用することも可能である。さらには、就寝用のマットとして、あるいはその他の用途のために使用することができる。パッド又は本体あるいはシート本体は、糸瓜の繊維で構成されているが、この糸瓜の繊維は、通気性や吸水性に優れ、抗菌性等も備えている。パッドは、例えば、糸瓜の実を水に浸けて軟らかくしてから外皮を取り除き、縦方向に刃物を入れて切り開いてから芯側のあるいは内側の繊維体壁部分を切断して除去し、さらに乾燥させた後で、例えば、家庭用のアイロンを使ってプレスする(加熱状態でプレスする)ことによって得られる。プレスした後は、例えば、長方形状のシートとなるように裁断される。なお、プレスは、家庭用のアイロン以外に、あるいは家庭用のアイロンに加えてローラーを用いたプレス機等で行うことも可能である。また、カバーは、例えば、表側及び裏側に重ね合わせる2枚の布を有して構成されている。この場合、一方の布上の内側にパッドを配置してから他方の布で覆い、この状態で、例えば、縁部及び内側を縫い付ける(例えば、キルティングする)ことによって、パッド及びカバーを一体に形成する。なお、カバーを、中央部より折りたたんで上下に重ね合わせる1枚の布で構成して、このカバーでパッドを覆うことも可能である。また、縁部には、この縁部を覆うように、例えば、バイアステープを縫い付けることが好ましいが、このようなバイアステープを用いない構成にすることも可能である。
【0011】
パッドをより薄く形成して利用価値を高めるために、繊維体を縦方向に切り開いた後で、繊維体の内面側を削いで外面側(外皮側)のみを残し、この外面側のみの繊維体を布状にプレスしてパッド又は本体を形成することもできる。
【0012】
本発明の吸水性シートは、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成したシート状のパッドと、このパッドを覆う布製のカバーと、を備えた吸水性シートであって、パッドは、複数枚が連続的に、かつ、表裏が揃うように並べられてカバーで覆われている、ものとして構成できる。
【0013】
パッドは、例えば、長方形状のシート状に形成され、複数枚が連続的に、かつ、表裏が揃うように、例えば、横方向に並べてられて用いられる。ここで、複数枚が連続的に、とは、側端部同士が重ならないように複数枚のパッドが連続(隙間を有している場合もある)している、ことを意味する。複数枚のパッドが、側端部同士が重ならないように連続していることにより、吸水性シートを、隣り合うパッドの対向する側端部間で折りたたむことができる。したがって、折りたたんで全体を厚くした状態で使用することができる。また、折りたたむことができれば、持ち運びが楽で、収納の際にはスペースをとらないので、実用的な吸水性シートとして用いることができる。
【0014】
また、表裏が揃うように、とは、複数枚の全てのパッドの表側、すなわち、糸瓜の外面側又は外皮側(繊維が滑らかに構成されている側)が同一側に配置され、複数枚の全てのパッドの裏側、すなわち、糸瓜の芯側又は内面側が同一側に配置されている、ことを意味する。このように、パッドの表裏を揃えることによって、吸水性シートの一面側(例えば表側又は表面側)は、糸瓜の繊維(内側の繊維体壁部分が切断された跡あるいは内面側が削られた跡)が突出しないので、服に糸瓜の繊維が引っ掛かることがなく、かつ、肌に接することもないので、快く用いることができる。
【0015】
さらに、パッド又はシート本体は、例えば、パッド又は本体を布製のカバーで覆って縫い付ける場合、あるいは使用感等を考慮して、薄肉状、例えば、3mm以上、4mm以下の厚さとなるように構成することが好ましい。なお、パッドを、3mm以上、4mm以下の厚さで構成しても、通気性や吸水性等の特性は損なわれない。
【0016】
本発明の吸水性シートはさらに、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成したシート状のパッド(本体)と、このパッドを覆う布製のカバーと、を備えた吸水性シートであって、前記パッドの表面及び裏面を補強布で覆い、前記パッド及び前記補強布をこの補強布の外側から表裏方向に縫い付けた後に、前記カバーで覆うことにより、例えば前記カバーで前記パッド及び前記補強布の表面及び裏面を覆うことにより構成できる。このように構成することにより、吸水性シートの吸水機能を損なうことなく、耐久性を効果的に向上させることができる。ここでは、パッド及び補強布と、パッド及び補強布を覆うカバーとを、このカバーの外側から表裏方向に縫い付けることができる。
【0017】
シート状に形成された糸瓜の繊維体からなるパッドを用いて吸水性シートを形成した場合、このような吸水性シートを、例えば、和装用の補正下着に利用することも可能である。すなわち、ボレロ状に形成された補正下着本体と、この補正下着本体に設けられた吸水性シートと、を備えた吸水性シートを用いる和装用の補正下着であって、吸水性シートは、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成したシート状のパッド(本体)と、このパッドを覆う布製のカバーと、を有して形成されていて、パッドは、繊維体を縦方向に切り開いた後で、必要に応じ、繊維体の内面側を削いで外面側のみを残し、この繊維体又はこの外面側のみの繊維体を薄肉状あるいは布状にプレスして形成されているものである。補正下着本体は、例えば、晒し布等で形成されていて、少なくとも前身頃及び後身頃を備えている。補正下着本体の、例えば、前身頃及び後身頃には、着用者の体型を補正するためのタオル等の補正体が収納されるが、さらに、シート状のパッド及びこのパッドを覆う布製のカバーからなる吸水性シートが設けられる。特に、脇下部分には、例えば、ポケットを設けて、このポケットに吸水性シートを取り外し可能に収納するのが好ましい。脇下部分には、多くの汗をかくので、少なくとも脇下部分の吸水性シートを適宜交換できるように構成することによって、補正下着自体を頻繁に交換しなくてもよいようになる。
【0018】
なお、前身頃及び後身頃の内側には、例えば、吸水性シートが縫い付け等によって取り付けられる。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように、本発明の吸水性シートは、通気性、吸水性等に優れた糸瓜の繊維体を薄肉状に形成して用いているので、様々なあるいは広い利用範囲を確保することができる。また、パッド(シート本体)が複数枚連続的に用いられる場合に、表裏が揃うようにパッドを並べれば、吸水性シートの使用感が向上する。
【0020】
また、本発明の和装用の補正下着は、薄肉状に形成した糸瓜の繊維体からなるパッド(シート本体)を備えた吸水性シートを用いることによって、違和感なく着用することができ、かつ、効果的に汗を取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は本発明に係る吸水性シートの斜視図、図2は図1の2−2線に沿う拡大断面図、図3はカバーでパッドを覆う状態を示した斜視図、図4は吸水性シートを折りたたんだ状態の斜視図である。
【0023】
車の座席Aの背当て用シートとして用いる場合の吸水性シート1には、シート状に形成された糸瓜の繊維体からなるパッド又は本体3を、複数枚、例えば、3枚用いる。パッド3は、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いてシート状に形成したものを裁断加工することによって、例えば、長方形状に形成されていて、糸瓜の外皮側又は外面側(繊維が滑らかに構成されている側)が表側(背中にあたる側)となるように用いられる。パッド3は例えば次のようにして形成される。まず、糸瓜を円柱状の繊維体のみからなるように加工する。次に、円柱状の繊維体を縦方向に切断し、繊維体の内周面から、内側の繊維体壁部分を切り取る。そして、必要に応じて内面側又は内周面側を削ぎ、外皮側又は外面側のみを残して繊維体を薄く形成し(例えば半分の厚みとなるように内面側を削り取る)、家庭用のアイロンでプレスした後に、さらに、プレス装置でプレスして圧縮する。このようにして形成されたプレス繊維体は、例えば、3mm乃至4mmの肉厚を有して布状に形成されている。そして、このプレス繊維体を適当に裁断又は切断してパッド又は本体3を製造する。
【0024】
カバー5は、例えば、同じ形状、大きさで形成された、パッド3を表側及び裏側から挟むように重ね合わせて用いられる、2枚の布7、9で構成されている。2枚の布7、9は、例えば、綿製であり、四角形状に形成されていて、かつ、3枚のパッド3、3、3を横方向に連続的に並べた際の全体の大きさよりも多少広くなるように形成されている。なお、2枚の布7、9は、表裏を識別しやすくするために、色や模様等が異なるもので構成することも可能である。すなわち、例えば、表側となる布7にのみ模様を付しておくことができる。
【0025】
図3に示すように、カバー5で3枚のパッド3、3、3を覆う場合、まず、2枚の布7、9のうちの一方の布9(ここでは、裏側の布)上の縁部11よりも内側の部分13に、3枚のパッド3、3、3を、連続的に、かつ、表裏が揃うように横方向に並べる。すなわち、それぞれのパッド3の、糸瓜の繊維体の外周面によって形成されている面(表面)が他方の布7側となるように並べる。この場合、3枚のパッド3、3、3を、少なくとも側端部15同士が重ならないように並べる。次に、3枚のパッド3、3、3上に、他方の布7(ここでは表側の布)を被せる。この場合も、他方の布7の縁部17よりも内側の部分19に、3枚のパッド3、3、3が配されるように被せる。このように、2枚の布7、9で3枚のパッド3、3、3を挟んだ状態にしてから、2枚の布7、9の縁部17、11及び内側の部分19、13を、ミシン等で、外側から、かつ、表裏方向に縫い付ける(例えば、キルティングする)。なお、カバー5で3枚のパッド3、3、3を覆った場合、隣り合うパッド3、3の対向する側端部15、15間の部位は、折りたたみ部21となる。なお、折りたたみ部21、21を、パッド3の縦方向に沿って直線状に縫い付けることにより、吸水性シート1を折りたたみ部21、21で簡単に折りたためるように構成することができる。また、パッド3が正確な長方形状に形成されていない場合には、パッド3、3間にスペースが形成されてしまう場合があるが、このような場合には、このスペース内にパッド3と同様にして形成された小パッドを配置しておくとよい。
【0026】
全体を縫い付けた後に、カバー5の縁部11、17を、例えば、布製のバイアステープ23で覆い縁取りを行う。縁取りは、まず、他方の布7側の縁部17内端側に沿うように、バイアステープ23の一側部表面を配し、このバイアステープ23の一側部と他方の布7の縁部17内端とをミシン等で縫い付ける。次に、バイアステープ23を、一方の布9側に折り返してカバー5の縁部11、17を覆うとともに、バイアステープ23の他側部をミシン等で縫い付ける。なお、バイアステープ23の他側部をミシン等で縫い付ける際には、バイアステープ23の他側部先端を、カバー5側に若干折り返した状態で行う。
【0027】
バイアステープ23で縁取りを行った後に、例えば、カバー5の裏側の両側部に、車の座席シートAに取り付けるための取り付け用ゴムバンド25を縫い付ける等して固定する。このようにして、吸水性シート1を構成することによって、車の座席Aの背当て用カバーとして用いることができる。なお、吸水性シート1は、折りたたみ部21、21で折りたたんで全体を厚くした状態で使用することができ、また、使用しない場合には、折りたたんで収納しておくこともできる。
【0028】
図5及び図6は吸水性シート1の別の製造方法を示すための図である。
【0029】
ここでは、3枚のパッド3、3、3をカバー5で直接覆うといった構成を採用せずに、まず、一体化パッド体(一体化本体)を構成しておく。一体化パッド体を構成するには、例えば綿製である、2枚の補強布8、10でパッド3、3、3を表裏両側から覆う。すなわち、2枚の補強布8、10のうちの一方の補強布8(ここでは、裏側の補強布)上に、3枚のパッド3、3、3を、連続的に、かつ、表裏が揃うように横方向に並べる。つまり、それぞれのパッド3の、糸瓜の繊維体の外周面によって形成されている面(表面)が他方の補強布10側となるように並べる。この場合、3枚のパッド3、3、3を、少なくとも側端部15同士が重ならないように、あるいは測端部15間に比較的大きな隙間が開くように並べる。次に、3枚のパッド3、3、3上に、他方の補強布10(ここでは表側の布)を被せる(図5a)。このように、2枚の補強布8、10で3枚のパッド3、3、3を挟んだ状態にしてから、補強布8、10にアイロンをかける(加熱する)。補強布8、10の内面には、接着剤が塗布されているので、加熱により、パッド3、3、3と補強布8、10とが一体化されて一体化パッド体が構成される(図5b)。そして、この一体化パッド体を、ミシン等で、外側から表裏方向に縫い付ける(図6aの符号12参照)。縫い付けは、例えば、一体化パッド体を格子状に縫うことにより行う。縦横に縫うことにより形成される格子の一辺は、例えば5cmの長さに設定しておくことができる。
【0030】
このようにして一体化パッド体を構成したら、この一体化パッド体を、パッド3、3、3を直接覆って構成する場合と同様にして、カバー5で覆い(図6a)、吸水性シート1を構成する(図6b)。なお、カバー5及び一体化パッド体は、外側から表裏方向に縫い付けられるが(図6bの符号14参照)、一体化パッド体自体の縫い付けよりも荒く行われる。すなわち、一体化パッド体自体の縫い付けは、カバー5及び一体化パッド体の縫い付けよりも密に行われている。さらに、カバー5は、一体化パッド体よりも広くてもよいし、一体化パッド体とほぼ同一の広さを有していてもよい。
【0031】
図7は本発明に係る別の吸水性シートの裏側を表した斜視図である。
【0032】
別の吸水性シート27は、枕Bの外周部に巻いて枕カバーとして用いることができるように構成したものであり、吸水性シート1と同一又はほぼ同一の構成を有していて、カバー5及びこのカバー5により覆われた複数枚のパッドを備えている。ただし、カバー5内には、例えば、吸水性シート1のパッド3よりも、細長い四角形状で形成されたパッド又は本体29が4枚配されていて、カバー5の縁部11、17及び内側の部分13、19がミシン等で、外側から表裏方向に縫い付けられている(例えば、キルティングされている)。パッド29は、パッド3と同様にほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いてシート状に形成したものを裁断加工することにより形成されている。また、カバー5の裏側の両側部には、取り付け用の紐31が2本ずつ固定されている。その他の構成は吸水性シート1と同様であり、例えば、パッド29は、2枚の補強布で覆われて一体化パッド体を構成することができる。
【0033】
図8は本発明に係る他の吸水性シート33の斜視図である。
【0034】
他の吸水性シート33は、就寝用マットとして用いることができるように構成したものであり、大きさ及び取り付け用ゴムバンド25を有しない点を除いて、吸水性シート1と同一の構成を備えている。他の吸水性シート33は、特に幼児に適した大きさを有していて、不使用時には、折り返し部21で折りたたんで収納できるように構成されている。なお、図8に具体的に示したものは、3枚のパッド3を用いているが、例えば5枚のパッド3を2列に並べて10枚のパッド3で構成してもよい。また、各パッド3の測端部15間に比較的大きな隙間を設けてもよい。
【0035】
図9は本発明に係る和装用の補正下着の正面図、図10は本発明に係る和装用の補正下着の背面図、図11は吸水性シート用のポケットに収納される吸水性シートの斜視図、図12は補正下着本体の脇下部分に設けられた吸水性シート用のポケットに、吸水性シートを収納した状態を示す図、図13は吸水性シート用のポケットに収納される吸水性シートの別の構成方法を示すための図、図14は補正下着本体の内側に取り付けられる吸水性シートの斜視図である。
【0036】
和装用の補正下着35は、着物を着る前に着用されるもので、着用者の体型をタオル等の補正体49で補正することができるように構成したものであるとともに、少なくとも、着用者の脇の下の汗を糸瓜の繊維体からなるパッド(本体)を備えた吸水性シート47で吸収することができるように構成されたものである。和装用の補正下着35は、晒し布等で左右の前身頃51、53および後身頃55を有してボレロ状に形成された補正下着本体37と、この補正下着本体37の左右の前身頃51、53及び後身頃55に設けられた、補正体49を収納することができる補正体用のポケット57と、補正下着本体37の両脇下部分43、43に設けられた、吸水性シート47を取り出し可能に収納することができる吸水性シート用のポケット45と、この吸水性シート用のポケット45に収納される吸水性シート47と、を備えて構成されている。
【0037】
補正下着本体37は、後身頃55の両側部に、左右の前身頃51、53がそれぞれ縫い付け等によって繋ぎ合わされて形成されていて、左右の前身頃51、53にはそれぞれ、おくみ部59、61が形成されている。左右の前身頃51、53と後身頃55との繋ぎ合わせ部63、63には、締め付け固定用の紐65の後端部がそれぞれ縫い付けられている。締め付け固定用の紐65は、左右の前身頃51、53上に位置できるように配され、着用者の胸部あるいは胴部等に巻きつけて結びつけることができる長さで形成されていて、先端部が左右の前身頃51、53に取り付けられた紐通し部67、67に通されている。なお、左の前身頃51と後身頃55との繋ぎ合わせ部63には、右の前身頃53に配された締め付け固定用の紐65が通される孔部(図示せず)が形成されている。
【0038】
補正体用のポケット57は、例えば、右の前身頃53の襟部71よりも下側の部分で、かつ、おくみ部61から右の脇下部分43の前側にかけての部分、左の前身頃51の襟部72よりも下側の部分で、かつ、左の脇下部分43の前側の部分、後ろ身頃55の左右の脇下部分43、43の後側の部分、及び後ろ身頃55の中央部にそれぞれ設けられている。補正体用のポケット57には、タオル等を折りたたむ等して厚手の状態にした補正体49が収納される。なお、着用者の体型に合わせて、補正体用のポケット57全てに補正体49を収納したり、一部の補正体用のポケット57に補正体49を収納することが可能となる。このように、補正体49を補正体用のポケット57に収納するように構成することによって、簡単に着用者の体型を補正することができる。
【0039】
補正下着本体37の両脇下部分43、43には、吸水性シート1のパッド3と同様な構成の、かつ、小さな短冊状に形成されたパッド73を備えた吸水性シート47を収納するための吸水性シート用のポケット45が設けられている。吸水性シート用のポケット45は、例えば、前側及び後側あるいは左右両側が開口していて、吸水性シート47を前後方向あるいは左右方向から出し入れすることができるように構成されている。
【0040】
吸水性シート47は、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて薄肉状(例えば、3mmの厚さ)のシート状に形成し、小さな短冊状(細長い長方形状)、例えば、縦が110mm、横が25mmとなるように裁断加工して形成したパッド(本体)73と、このパッド73を表側及び裏側から挟むように重ね合わせて用いられる、短冊状(細長い長方形状)に形成された、例えば綿製の2枚の布75、77からなるカバー79と、を有して構成されている。2枚の布75、77は、パッド73よりも多少広くなる大きさで形成されている。カバー79でパッド73を覆う場合、まず、2枚の布75、77のうちの一方の布77(ここでは、裏側の布)上の縁部85よりも内側の部分87に、パッド73を配置して、パッド73の上に他方の布75(ここでは、表側の布)をのせ、この状態で2枚の布75、77の縁部81、85及び内側の部分83、87をミシン等で、外側から表裏方向に縫い付ける。なお、バイアステープを周縁部に取り付けることもできる。
【0041】
パッド73は、吸水性シート1のパッド3と同様に、糸瓜の外面側又は外皮側(繊維が滑らかに構成されている側)が表側(腕側の脇下にあたる側又はボディ側の脇下にあたる側)となるように用いられる。また、パッド73は、糸瓜の繊維体の内面側を削いで外面側のみを残すなど、パッド3と同様の方法で形成できる。
【0042】
吸水性シート47は、図13に示すようにして構成することもできる。すなわち、例えば綿製である、2枚の補強布76、78でパッド73を表裏両側から覆う。このように、2枚の補強布76、78でパッド73を挟んだ状態にしてから、補強布76、78にアイロンをかける(加熱する)。補強布76、78の内面には、接着剤が塗布されているので、加熱により周縁が互いに接着された補強布76、78内にパッド73は収容された状態となる。そして、ミシン等で、パッド73及び補強布76、78を外側から表裏方向に縫い付ける。縫い付けは、例えばパッド73及び補強布76、78を格子状に縫うことにより行う(図13aの符号80参照)。
【0043】
このように構成したパッド73及び補強布76、78を、図11に示す場合と同様にして、2枚の布75、77からなるカバー79で覆う(図13b)。なお、カバー79、補強布76、78及びパッド73は、外側から表裏方向に縫い付けられるが(図13bの符号82参照)、補強布76、78及びパッド73の縫い付けよりも荒く行われる。またここでも、カバー79は、補強布76、78よりも広くてもよいし、補強布76、78とほぼ同一の広さを有していてもよい。さらに、バイアステープを周縁部に取り付けることもできる。
【0044】
また、補正下着本体37の左右の前身頃51、53および後身頃55には、吸水性シート47のパッド73と同じ又はほぼ同じ厚さ、大きさ及び形状で形成された、複数枚、例えば、3枚のパッド89、89、89と、この3枚のパッド89、89、89を覆うカバー91と、を有して構成された吸水性シート41が縫い付け等によって固定されている。
【0045】
カバー91は、図14に示すように、吸水性シート1のカバー5と同様に、パッド89を表側及び裏側から挟むように重ね合わせて用いられる、例えば綿製の2枚の布93、95で構成されている。2枚の布93、95は、例えば、ほぼ正方形状に形成されていて、かつ、3枚のパッド89、89、89を横方向に所定の間隔を設けて連続して並べることができるように形成されている。カバー91で3枚のパッド89、89、89を覆う場合、まず、2枚の布93、95のうちの一方の布95(ここでは、裏側の布)上の縁部101よりも内側の部分103に、3枚のパッド89、89、89を、所定の間隔を設けて、かつ、表裏が揃うように横方向に連続して並べる。すなわち、それぞれのパッド89の、糸瓜の繊維体の外周面によって形成されている面(表面)が他方の布93側となるように並べる。次に、3枚のパッド89、89、89上に、他方の布93(ここでは、表側の布)を被せて、この状態で、2枚の布93、95の縁部97、101及び内側の部分99、103をミシン等で、外側から表裏方向に縫い付ける。
【0046】
パッド89は、吸水性シート1のパッド3と同様に、糸瓜の外面側又は外皮側(繊維が滑らかに構成されている側)が表側(身体にあたる側)となるように用いられる。
【0047】
吸水性シート41は、例えば、左右の前身頃51、53及び後身頃55の内側又は内面に複数枚が縫い付け等によって固定される。
【0048】
このように構成された和装用の補正下着35は、吸水性シート41、47が布状のパッド73、89を有して薄く形成されているので、違和感のなく着用することができる。なお、吸水性シート41を、吸水性シート1と同様に、補強布を用いて一体化パッド体を形成してから構成してもよい。また、吸水性シート用のポケット45を内側又は内面側に設け、このポケット45内に吸収性シート47を収容してもよい。
【0049】
図15は本発明に係る吸水性シートを備えた帽子を示す図である。
【0050】
帽子103は、サイズリボン又はすべりあるいは汗取りバンドとして、糸瓜の繊維体から形成されたパッドを有する吸水性シート105を備えている。この吸収性シート105は、パッド73(図11に示すパッド73よりも長く形成されている)を覆う、例えば綿製の、2枚の補強布74、76と、カバー79を備えて、図13に示す吸水性シート47と同様に構成できる。なお、パッド73は、糸瓜の外面側又は外皮側(繊維が滑らかに構成されている側)が表側(頭部にあたる側)となるように用いられる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の吸水性シートは、車の座席のシート、ペットのシートあるいはマット、枕カバー、帽子の汗取りバンド及び就寝用マットなどに幅広く用いることができる。また、本発明の和装用の補正下着は、違和感なく着用して、かつ、効果的に汗を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る吸水性シートの斜視図である。
【図2】図1の2−2線に沿う拡大断面図である。
【図3】カバーでパッドを覆う状態を示した斜視図である。
【図4】吸水性シートを折りたたんだ状態の斜視図である。
【図5】吸水性シートの別の構成方法を示すための図であり、パッドを補強布で覆う場合を示す図である。
【図6】吸水性シートの別の構成方法を示すための図であり、一体化パッド体を備えた吸水性シートを示す図である。
【図7】本発明に係る別の吸水性シートの裏側を表した斜視図である。
【図8】本発明に係る他の吸水性シートの斜視図である。
【図9】本発明に係る和装用の補正下着の正面図である。
【図10】本発明に係る和装用の補正下着の背面図である。
【図11】吸水性シート用のポケットに収納される吸水性シートの斜視図である。
【図12】補正下着本体の脇下部分に設けられた吸水性シート用のポケットに、吸水性シートを収納した状態の図である。
【図13】吸水性シート用のポケットに収納される吸水性シートの別の構成方法を示すための図である。
【図14】補正下着本体の内側に取り付けられる吸水性シートの斜視図である。
【図15】本発明に係る吸水性シートを備えた帽子を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1、27、33、41、47、105 吸水性シート
3、29、73、89 パッド
5、79、91 カバー
35 和装用の補正下着
37 補正下着本体
45 吸水性シート用のポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成したシート状のパッドと、このパッドを覆う布製のカバーと、を備えた吸水性シートであって、
前記パッドは、前記繊維体を縦方向に切り開いた後で、この繊維体を薄肉体にプレスして形成されている、ことを特徴とする吸水性シート。
【請求項2】
前記パッドは、前記繊維体を縦方向に切り開いた後で、前記繊維体の内面側を削いで外面側のみを残し、この外面側のみの繊維体を布状にプレスして形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の吸水性シート。
【請求項3】
ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成したシート状のパッドと、このパッドを覆う布製のカバーと、を備えた吸水性シートであって、
前記パッドは、複数枚が連続的に、かつ、表裏が揃うように並べられて前記カバーで覆われている、ことを特徴とする吸水性シート。
【請求項4】
前記パッドは、3mm以上、4mm以下の厚さを有している、ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の吸水性シート。
【請求項5】
ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成したシート状のパッドと、このパッドを覆う布製のカバーと、を備えた吸水性シートであって、
前記パッドの表面及び裏面を補強布で覆い、前記パッド及び前記補強布をこの補強布の外側から表裏方向に縫い付けた後に、前記カバーで覆う、ことを特徴とする吸水性シート。
【請求項6】
前記パッド及び前記補強布と、前記パッド及び前記補強布を覆う前記カバーとをこのカバーの外側から表裏方向に縫い付けている、ことを特徴とする請求項5記載の吸水性シート。
【請求項7】
ボレロ状に形成された補正下着本体と、前記補正下着本体に設けられた吸水性シートと、を備えた吸水性シートを用いた和装用の補正下着であって、
前記吸水性シートは、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成したシート状のパッドと、このパッドを覆う布製のカバーと、を有して形成されていて、
前記パッドは、前記繊維体を縦方向に切り開いた後で、この繊維体を薄肉状にプレスして形成されている、ことを特徴とする吸水性シートを用いた和装用の補正下着。
【請求項8】
前記補正下着本体には、少なくとも脇下部分にポケットが設けられていて、
前記吸水性シートは、前記ポケットに取り出し可能に収納されている、ことを特徴とする請求項7記載の吸水性シートを用いた和装用の補正下着。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−15667(P2006−15667A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197462(P2004−197462)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(504205439)有限会社大扇 (2)
【Fターム(参考)】