説明

吸水性ポリマー粒子を空気により搬送する方法

搬送の際の気体初期速度が、1〜6m/sであり、かつ搬送物負荷が、1〜100kg/kgである、吸水性ポリマー粒子を空気により搬送する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、搬送の際の気体初期速度が、1〜6m/sであり、かつ搬送物負荷が、1〜100kg/kgである、吸水性ポリマー粒子を空気により搬送する方法に関する。
【0002】
吸水性ポリマーは、殊に(共)重合された親水性モノマーからなるポリマー、適切なグラフト主鎖上の1もしくは複数の親水性モノマーのグラフト(コ)ポリマー、架橋されたセルロースエーテルまたはデンプンエーテル、架橋されたカルボキシメチルセルロース、部分的に架橋されたポリアルキレンオキシドまたは水性液体中で膨潤可能な天然製品、たとえばグアール誘導体である。かかるポリマーは、おむつ、タンポン、生理帯およびその他の衛生用品を製造するための、水溶液を吸収する製品として使用されているが、しかし、農業園芸における保水剤としても使用されている。
【0003】
吸水性ポリマーは、典型的には25〜60g/g、有利には少なくとも30g/g、好ましくは少なくとも32g/g、特に有利には少なくとも34g/g、とりわけ有利には少なくとも35g/gの遠心分離保持能力を有する。この遠心分離保持能力(CRC)は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨される試験方法第441.2−02「遠心分離保持能力("Centrifuge retention capacity")」に従って測定される。
【0004】
吸水性ポリマーの製造はたとえば"Modern Superabsorbent Polymer Technology"、F. L. Buchholz and AT. Graham、Wiley−VCH、1998年、第69〜117頁に記載されている。有利には吸水性ポリマー粒子は、空気による搬送システムによって搬送される。その際に必然的に生じる機械的な負荷は、不所望の摩耗につながる。従って、低い搬送速度ひいては低い機械的負荷が望まれている。
【0005】
基本的に、空気による搬送の場合、3つの異なった搬送方法が区別される。
【0006】
1.高い気体速度の範囲での空中搬送および流れ搬送の場合、自由に流れる個々の粒子の法則がほぼ該当する。これは空気による搬送の古典的な方法である。生成物の堆積が現れる場合はない。管中でのほぼ均質な搬送物の分布が存在する。
【0007】
2.気体速度が低下する場合、搬送物が特に管の下半分で流れる束状の搬送(straehnenfoerderung)の範囲に達する。管の上半分には、空中搬送が存在する。
【0008】
3.気体速度が小さい場合、搬送は極めて保護的に、高い圧力損失を伴う密集した流の搬送(Dichtstromfoerderung)(プラグ搬送、インパルス搬送)として行われる。
【0009】
JP−A−2004/345804は、吸水性ポリマー粒子の密集した流の搬送を記載しており、その際、外部から付加的に搬送ガスが搬送用導管の個々の区間に供給される(二次空気)。
【0010】
本発明の課題は、特に外部に存在する付加的な導管を介した二次空気の高価な使用が回避される、吸水性ポリマー粒子を空気により搬送する改善された方法を提供することである。
【0011】
上記課題は、搬送の際の気体初期速度が、1〜6m/sであり、かつ搬送物負荷が、1〜100kg/kgである、吸水性ポリマー粒子を空気により搬送する方法により解決された。
【0012】
気体速度が高すぎるか、または低すぎると、摩擦が高まり、かつ搬送される吸水性ポリマー粒子の粒径分布の値が低くなりすぎる。
【0013】
搬送の際の気体初期速度は、有利には1.5〜6m/s、特に有利には2〜5m/s、とりわけ有利には3〜4m/sであり、かつ流体送り管(Fluidschub-Leitung)を使用する場合、有利には2〜6m/s、特に有利には3〜5.5m/s、とりわけ有利には4〜5m/sである。
【0014】
流体送り管は、たとえば500mm毎に吹き込み箇所を有する、内部に存在する導管であり、該箇所を介して、搬送ガスの部分流が制御されずに、吹き込み箇所同士の間で生成物流ブランチの周囲に案内される(バイパス)。流体送り管への搬送物の侵入は、流れバッフルによって防止されている。
【0015】
空気による搬送の搬送物負荷は、有利に1〜100kg/kg、特に有利には5〜75kg/kg、とりわけ有利には10〜50kg/kgであり、その際、搬送物負荷は、搬送物の質量流量と、気体の質量流量とからの商である。
【0016】
空気による搬送がその中で実施される導管の直径は、有利に3〜30cm、特に有利には4〜25cm、とりわけ有利には5〜20cmである。管の直径が小さすぎると、空気による搬送による機械的負荷が高くなり、従って不所望の摩耗が促進される。管の直径が大きすぎると同様に、搬送用導管中での吸水性ポリマー粒子の不所望の停滞が起こりうる。
【0017】
搬送ガスは圧縮可能であるため、搬送用導管中では、一定した圧力が支配することはなく、搬送の開始時には、終了時よりも高い圧力が存在する。しかしこのことによって、気体体積は高まり、これと共に気体速度も高まる。搬送速度を最適な気体速度の範囲に維持するために、搬送用導管の直径を、その長さに依存して、有利にはその大きさにおいて少なくとも1回、段階付をする。このことは特に長い搬送区間が該当する。有利には導管直径の複数の段階付が存在する。本願発明の最も有利な実施態様では、円すい形の搬送用導管を使用する。
【0018】
本発明のもう1つの有利な実施態様では、搬送用導管はさらに、振動機および/またはビーターを備えていても良い(振動誘導式の空気による搬送)。
【0019】
一般に、本発明を実施するための空気による搬送は、吸引式の搬送として運転することも、圧力式の搬送として運転することも可能である。搬送用導管中の圧力は、周囲に対して有利に−0.8〜10バールである。
【0020】
原則として、同じ速度とみなした場合、圧力式の搬送は、吸引式の搬送よりも高い負荷で運転される。というのも、過圧での圧力保持量は、真空におけるよりも大きく、かつ圧力の上昇と共に、生成物を前進させる搬送ガス密度が増大するからである。
【0021】
従って、搬送用導管中の圧力は、周囲に対して特に有利には0.5〜6バール、とりわけ有利には1〜4バールである。
【0022】
さらに圧力式の搬送の場合には、搬送用導管中での搬送を、より小さい管断面積で実施することが可能である。
【0023】
機械的負荷を低く維持するためには、空気による搬送システムの導管の湾曲部の数ができる限り少ない方がよく、有利には6未満、好ましくは5未満、特に有利には4未満、とりわけ有利には3未満である。空気による搬送システムにおける導管は、吸水性ポリマー粒子のための供給装置と、収容容器との間の区間、つまり、吸水性ポリマー粒子が気体流によって搬送される範囲である。
【0024】
吸水性ポリマー粒子の含水率は、有利に10質量%未満、特に有利には5質量%未満、とりわけ有利には1〜5質量%であり、その際、含水率はEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨される試験法第430.2−02、「含水率」により測定される。吸水性ポリマー粒子の機械的安定性は、含水率と共に低減する、つまり不所望の摩耗が増大する。空気による搬送の間の含水率が高すぎると、ポリマー粒子の塑性変形(エンジェル・ヘアーの形成)または閉塞につながりうる。
【0025】
吸水性ポリマー粒子は、有利には少なくとも90質量%までが、1000μm未満の粒径を有し、特に有利には少なくとも95質量%までが、900μm未満の粒径を有し、とりわけ有利には少なくとも98質量%までが、800μm未満の粒径を有する。
【0026】
本発明による方法によれば、空気による搬送の間の機械的負荷は、150μmより小さい粒径を有するポリマー粒子の割合が、空気による搬送によって、そのつどポリマー粒子の全量に対して、1質量%未満、特に有利には0.7質量%未満、とりわけ有利には0.5質量%未満だけ高くなり、かつポリマー粒子の透過性が、空気による搬送によって有利に5×10-7cm3s/g未満、特に有利には4×10-7cm3s/g未満、とりわけ有利には3×10-7cm3s/g未満だけ低下するまで低下される。
【0027】
本発明による方法において使用可能な吸水性ポリマー粒子は、
a)エチレン性不飽和の、酸基を有するモノマー少なくとも1種、
b)架橋剤少なくとも1種、
c)場合により、1もしくは複数の、a)と共重合可能なエチレン性および/またはアリル性の不飽和モノマー、および
d)場合により、1もしくは複数の、モノマーa)、b)および場合によりc)が少なくとも部分的にその上にグラフトされることができる水溶性ポリマー
を含有するモノマー溶液を重合し、
その際、ここで得られるポリマーを乾燥させ、分級し、
e)場合により少なくとも1の後架橋剤により後処理し、乾燥させ、熱により後架橋させ、かつ
f)場合により少なくとも1の多価カチオンによって後処理する
ことによって製造される。
【0028】
適切なモノマーa)はたとえば、エチレン性不飽和カルボン酸、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸である。特に有利なモノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸である。さらにアクリル酸が特に有利である。
【0029】
モノマーa)の全量におけるアクリル酸および/またはその塩の割合は、有利に少なくとも50モル%、特に有利に少なくとも90モル%、とりわけ有利に少なくとも95モル%である。
【0030】
このモノマーa)、特にアクリル酸は、有利に0.025質量%までのヒドロキノン半エーテルを含有する。
【0031】
有利なヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)および/またはトコフェロールである。
【0032】
トコフェロールとは、以下の式の化合物であると理解される:
【化1】

[式中、R1は、水素またはメチルを表し、R2は、水素またはメチルを表し、R3は、水素またはメチルを表し、かつR4は、水素を表すか、または1〜20個の炭素原子を有する酸基を表す]
好ましいR4の基は、アセチル、アスコルビル、スクシニル、ニコチニルおよび生理学的に認容性のその他のカルボン酸である。前記カルボン酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸であってよい。
【0033】
好ましくは、R1=R2=R3=メチルであるアルファトコフェロール、特にラセミ体アルファトコフェロールである。R4は、特に好ましくは水素またはアセチルである。特に有利に、RRR−アルファ−トコフェロールである。
【0034】
このモノマー溶液は、それぞれアクリル酸に対して有利に高くても130質量ppm、特に有利に高くても70質量ppm、有利に少なくとも10質量ppm、特に有利に少なくとも30質量ppm、殊に有利に約50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有し、その際、アクリル酸塩はアクリル酸として考慮して算出した。
【0035】
たとえば、このモノマー溶液の製造のために、アクリル酸を相応する含有量のヒドロキノン半エーテルと一緒に使用することができる。
【0036】
この吸水性ポリマーは架橋されている、すなわち、この重合はポリマー架橋構造中にラジカル重合により組み込むことができる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物の存在下で実施される。適切な架橋剤b)は、たとえば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン(たとえばEP−A−0530438に記載されている)、ジアクリレートおよびトリアクリレート(たとえばEP−A−0547847、EP−A−0559476、EP−A−0632068、WO−A−93/21237、WO−A−03/104299、WO−A−03/104300、WO03/104301およびDE−A−10331450に記載されている)、アクリレート基の他にさらにエチレン性不飽和基を含有する混合アクリレート(たとえばDE−A−10331456およびDE−A−10355401に記載されている)または架橋剤混合物(たとえばDE−A−19543368、DE−A−19646484、WO−A−90/15830およびWO−A−02/32962に記載されている)である。
【0037】
適切な架橋剤b)は、特にN,N′−メチレンビスアクリルアミドおよびN,N′−メチレンビスメタクリルアミド、不飽和モノカルボン酸またはポリカルボン酸とポリオールとのエステル、たとえばジアクリレートまたはトリアクリレート、たとえばブタンジオールジアクリレートまたはエチレングリコールジアクリレート、またはブタンジオールジメタクリレートまたはエチレングリコールジメタクリレートならびにトリメチロールプロパントリアクリレートおよびアリル化合物、たとえばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌラート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸のアリルエステルならびにビニルホスホン酸誘導体(たとえば、EP−A−0343427中に記載されている)である。更に好適な架橋剤b)は、ペンタエリトリトールジアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアリルエーテルおよびペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルおよびグリセリントリアリルエーテル、ソルビトールをベースとするポリアリルエーテルならびにそのエトキシル化された変型である。本発明による方法では、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートが使用可能であり、その際、使用されるポリエチレングリコールは300〜1000の分子量を有する。
【0038】
しかしながら、特に有利な架橋剤b)は、3〜20箇所でエトキシル化されたグリセリン、3〜20箇所でエトキシル化されたトリメチロールプロパン、3〜20箇所でエトキシル化されたトリメチロールエタンのジアクリレートおよびトリアクリレート、特に、2〜6箇所でエトキシル化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、3箇所でプロポキシル化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、ならびに混合して3箇所でエトキシル化またはプロポキシル化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、15箇所でエトキシル化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、ならびに少なくとも40箇所でエトキシル化されたグリセリン、トリメチロールエタンまたはトリメチロールプロパンのジアクリレートおよびトリアクリレートである。
【0039】
殊に好ましい架橋剤b)は、たとえばDE−A−10319462に記載されているような、アクリル酸またはメタクリル酸でジアクリレートまたはトリアクリレートへとエステル化された、複数箇所でエトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリンである。3〜10箇所でエトキシル化されたグリセリンのジアクリレートおよび/またはトリアクリレートが特に有利である。1〜5箇所でエトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリンのジアクリレートまたはトリアクリレートがさらに特に有利である。3〜5箇所でエトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリレートが最も有利である。これは、吸水性ポリマー中の特に低い残留物含有量(一般的には10質量ppm以下)を示し、かつこれにより製造された吸水性ポリマーの水性抽出物は、同じ温度の水と比べてほとんど変わらない表面張力(一般的には少なくとも0.068N/m)を有する。
【0040】
架橋剤b)の量は、そのつどモノマーa)に対して、有利に0.01〜1質量%、特に有利には0.05〜0.5質量%、とりわけ有利には0.1〜0.3質量%である。
【0041】
モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーc)は、たとえばアクリルアミド、メタクリルアミド、クロトン酸アミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレートおよびジメチルアミノネオペンチルメタクリレートである。
【0042】
水溶性ポリマーd)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコールまたはポリアクリル酸、好ましくはポリビニルアルコールおよびデンプンを使用することができる。
【0043】
適切なポリマーの製造ならびにその他の適切な親水性エチレン性不飽和モノマーa)は、DE−A−19941423、EP−A−0686650、WO−A−01/45758およびWO−A−03/104300に記載されている。
【0044】
適した反応器は、ニーダー反応器またはベルト型反応器である(Bandreaktor)。ニーダー中で、モノマー水溶液の重合の際に生じるポリマーゲルを、たとえばWO−A−01/38402に記載されているように、反転撹拌軸により連続的に粉砕する。ベルト上での重合は、たとえばDE−A−3825366およびUS6,241,928に記載されている。重合の際にベルト型反応器中で、更なる方法工程、たとえばミンチャー、押出機またはニーダー中で破砕されなくてはならないポリマーゲルが生じる。
【0045】
有利には、前記ヒドロゲルは、重合反応器から出た後に更に、より高い温度、有利には少なくとも50℃、特に有利には少なくとも70℃、特にとりわけ有利には少なくとも80℃、ならびに有利には100℃より少ない温度で貯蔵され、たとえば隔離された容器中で貯蔵される。この貯蔵により、通常は2〜12時間の貯蔵により、このモノマー反応率は更に高められる。
【0046】
得られたヒドロゲルの酸基は、一般的には部分的に、好ましくは25〜95モル%、有利には50〜80モル%、特に好ましくは60〜75モル%中和されており、その際、慣用の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属炭酸水素塩ならびにこれらの混合物を使用することができる。アルカリ金属塩の代わりにアンモニウム塩を使用してもよい。ナトリウムおよびカリウムは、アルカリ金属として特に好ましく、しかし殊に好ましいのは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムならびにこれらの混合物である。
【0047】
この中和は有利には、前記モノマーの段階で実施される。通常、中和は、中和剤を水溶液として、溶融物として、または好ましくは固体として混合導入することによって行われる。たとえば、50質量%を顕著に下回る含水率を有する水酸化ナトリウムが、23℃を上回る融点を有する蝋状の塊として存在していてよい。この場合には、塊状物として、または高めた温度で溶融物として計量供給することが可能である。
【0048】
この中和を、重合後にヒドロゲルの段階で実施することも可能である。更に、重合前に酸基を40モル%まで、好ましくは10〜30モル%、特に好ましくは15〜25モル%、中和剤の一部をすでにモノマー溶液に添加することにより中和し、かつ所望の最終中和度を重合の後に初めて、ヒドロゲルの段階で調節することも可能である。前記ヒドロゲルを少なくとも部分的に重合の後に中和する場合、前記ヒドロゲルは有利に機械的に、たとえばミンチャーを用いて粉砕し、その際、中和剤を噴霧するか、散布するかまたは注ぎ込み、次いで入念に混合することができる。そのために、得られたゲル材料は、なお数回均質化のために粉砕することができる。
【0049】
このヒドロゲルを、次いで有利にはベルト型乾燥器を用いて、残留湿分率が好ましくは15質量%未満、特に10質量%未満になるまで乾燥させ、その際、この含水率は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨される試験法番号430.2−02「含水率」により測定する。しかしこの乾燥のために選択的に、流動床乾燥器または加熱された鋤刃型ミキサーを使用することもできる。特に白色の製品を得るために、このゲルの乾燥の際に蒸発する水の急速な搬出を保証することが有利である。このために、乾燥器温度を最適化すべく空気供給および空気排出を制御して実施しなくてはならず、それぞれの場合に十分な通気に留意すべきである。この乾燥はもちろん、ゲルの固体含有量ができる限り高い場合にはより簡単であり、製品はより白い。従って、好ましくは、この乾燥前のゲルの固体含有率は30〜80質量%である。特に、前記乾燥器に窒素または他の非酸化性の不活性ガスを通気するのが有利である。
【0050】
しかし選択的に、酸化による黄変プロセスを回避するために、単に乾燥の間の酸素分圧を下げるのみでもよい。一般に、十分な通気および水蒸気の排出によっても、なおも許容可能な製品が得られる。色および製品の品質に関しては一般に、できる限り短い乾燥時間が有利である。
【0051】
この後で、乾燥させたヒドロゲルを微粉砕し、そして分級し、その際、微粉砕のために通常、1段階または複数段階のロールミル、好ましくは2段階または3段階のロールミル、ピンミル、ハンマーミルまたはスイングミルを使用することができる。
【0052】
引き続き、得られたポリマー粒子を後架橋させることができる。このために適した架橋剤e)は、ポリマーのカルボキシレート基と共有結合を形成できる少なくとも2個の基を含有する化合物である。適切な化合物は、たとえばアルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジグリシジル化合物またはポリグリシジル化合物(たとえばEP−A−0083022、EP−A−543303およびEP−A−937736に記載されている)、多価アルコール(たとえばDE−C−3314019、DE−C−3523617およびEP−A−450922に記載されている)またはβ−ヒドロキシアルキルアミド(たとえばDE−A−10204938およびUS−6,239,230に記載されている)である。さらに、混合した官能基を有する他の化合物、たとえばグリシドール、3−エチル−3−オキセタンメタノール(トリメチロールプロパンオキセタン)(たとえばEP−A−1199327に記載されている)、アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンまたは最初の反応の後に別の官能基を形成する化合物、たとえばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、アジリジン、アゼチジンまたはオキセタンが適している。
【0053】
更にDE−A−4020780中では環式カルボネートが、DE−A−19807502中では2−オキサゾリドンおよびその誘導体、たとえばN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンが、DE−A−19807992中ではビス−およびポリ−2−オキサゾリジノンが、DE−A−19854573中では2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジンおよびその誘導体が、DE−A−19854574中ではN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE−A−10204937中では環式尿素が、DE−A−10334584中では二環式アミドアセタールが、EP−A−1199327中ではオキセタンおよび環式尿素が、およびWO−A−03/031482中ではモルホリン−2,3−ジオンおよびその誘導体が好適な後架橋剤e)として記載されている。
【0054】
有利な後架橋剤e)は、オキサゾリドンおよびその誘導体、特にN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンである。
【0055】
後架橋剤e)の量は、そのつどポリマーに対して、有利に0.01〜1質量%、特に有利に0.05〜0.5質量%、とりわけ有利には0.1〜0.2質量%である。
【0056】
この後架橋は、一般的には、後架橋剤e)の溶液をヒドロゲルまたは乾燥したポリマー粒子上に噴霧することにより実施される。この噴霧に引続き、加熱乾燥を行い、その際、後架橋反応は乾燥前でも乾燥中でも生じうる。
【0057】
架橋剤溶液の噴霧は、有利に可動式混合器具を有するミキサー中で、たとえばスクリューミキサー、パドルミキサー、ディスクミキサー、鋤刃型ミキサーおよびプローシェアミキサー中で実施する。特に好ましくは、バーティカルミキサ、殊に好ましくはプローシェアミキサーおよびブレードミキサーである。適切なミキサーは、たとえばLoedige(登録商標)ミキサー、Bepex(登録商標)ミキサー、Nauta(登録商標)ミキサー、Processall(登録商標)ミキサーおよびSchugi(登録商標)ミキサーである。
【0058】
この加熱乾燥は、好ましくは接触乾燥器、特に好ましくはパドル型乾燥器、殊に好ましくはディスク型乾燥器中で実施する。好適な乾燥器は、たとえばBepex(登録商標)乾燥器およびNara(登録商標)乾燥器である。さらに、流動床乾燥器も使用することができる。
【0059】
乾燥は、混合機それ自体中で、ジャケットの加熱または温風の吹き込みによって行なうことができる。後接続された乾燥器、たとえば箱形乾燥器、回転管炉かまたは加熱可能なスクリューは、同様に好適である。しかし、たとえば共沸蒸留を乾燥方法として利用することもできる。
【0060】
有利な乾燥温度は、170〜250℃、有利に180〜220℃、特に有利に190〜210℃の範囲内である。反応ミキサーまたは乾燥器中でのこの温度での有利な滞留時間は、有利には少なくとも10分間、特に有利には少なくとも20分間、とりわけ有利には少なくとも30分間である。
【0061】
吸水性ポリマー粒子はさらに、少なくとも1の多価カチオンf)によって後処理されてもよい。適切なカチオンf)はたとえば二価のカチオン、たとえば亜鉛、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムのカチオン、三価のカチオン、たとえばアルミニウム、鉄、クロム、希土類およびマンガンのカチオン、四価のカチオン、たとえばチタンおよびジルコニウムのカチオンである。対イオンとして塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンおよびカルボン酸イオン、たとえば酢酸イオンおよび乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウムが有利である。
【0062】
通常では、多価カチオンf)は水溶液として使用される。水溶液中の多価カチオンf)の濃度は、たとえば0.1〜12質量%、有利には0.5〜8質量%、特に有利には1.5〜4質量%である。
【0063】
多価カチオンf)の量は、そのつどポリマーに対して、有利に0.001〜0.25質量%、特に有利に0.005〜0.2質量%、さらに特に有利に0.01〜0.15質量%である。
【0064】
多価カチオンf)は、有利には後処理の間に施与し、その際、後架橋剤e)およびカチオンf)は、有利には別々の溶液を介して供給する。
【0065】
本発明の別の対象は、本発明による方法により得られたポリマーならびに前記ポリマーを含有する衛生製品、たとえばおむつである。
【0066】
本発明による方法によって、密集した流れの搬送の範囲で、吸水性ポリマー粒子の認容可能な搬送が可能になる。本発明による運転範囲に、吸水性ポリマー粒子の機械的な搬送負荷の最小値ひいては搬送に条件付けられる摩耗の最小値が存在する。
【0067】
方法:
この測定は、別に記載がない限り、23±2℃の環境温度および50±10%の相対空気湿度で実施する。吸水性ポリマー粒子を測定前に十分に混合する。
【0068】
液体通過性(SFC食塩水の流れの誘導)
0.3psi(2070Pa)の圧力負荷下での膨潤されたゲル層の液体通過性は、EP−A−0640330中の記載と同様に、高吸収性のポリマーからなる膨潤したゲル層のゲル層透過性として測定され、この場合上記の特許出願明細書第19頁および図8に記載の装置は、ガラスフリット(40)がもはや使用されず、プランジャー(39)が円筒体(37)と同様のプラスチック材料からなり、今や全載置面にわたって均一に分布するように21個の同じ大きさの孔を含むように十分に変更した。測定の方法および評価は、EP−A−0640330号明細書に対して不変のままである。流量は自動的に把握される。
【0069】
液体通過性(SFC)は、次のように計算される:
SFC[cm3s/g]=(Fg(t=0)×L0)/(d×A×WP)
この場合、Fg(t=0)は、g/秒でのNaCl溶液の流量であり、これは、流量測定のデータFg(t)の線形の回帰分析に基づいてt=0に対する外挿法によって得られ、L0は、cmでのゲル層の厚さであり、dは、g/cm3でのNaCl溶液の比重であり、Aは、cm2でのゲル層の面積であり、WPは、dyn/cm2でのゲル層上の静水圧力である。
【0070】
実施例
例1:
水、50質量%の水酸化ナトリウム溶液およびアクリル酸を連続的に混合することによって、中和度が71.3モル%となるように、38.8質量%のアクリル酸/アクリル酸ナトリウム溶液を製造した。モノマー溶液の固体含有率は、38.8質量%であった。モノマー溶液は、成分を混合した後に、熱交換器により連続的に29℃の温度に冷却し、かつ窒素を用いて脱気した。
【0071】
ポリエチレン性不飽和架橋剤として、ポリエチレングリコール−400−ジアクリレート(400g/モルの平均分子量を有するポリエチレングリコールのジアクリレート)を使用した。使用量は、モノマー溶液1tあたり、2kgであった。
【0072】
ラジカル重合を開始するために、以下の成分を使用した:過酸化水素(モノマー溶液1tあたり、1.03kg(0.25質量%))、ペルオキソ二硫酸ナトリウム(モノマー溶液1tあたり、3.10kg(15質量%))、ならびにアスコルビン酸(モノマー溶液1tあたり、1.05kg)。
【0073】
モノマー溶液の処理量は、18t/hであった。
【0074】
個々の成分を、容積6.3m3を有する反応器List Contikneter(List社、Arisdorf、スイス)に以下の量で連続的に供給する。
【0075】
モノマー溶液 18t/h
ポリエチレングリコール−400−ジアクリレート 36kg/h
過酸化水素溶液/ペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液74.34kg、
アスコルビン酸溶液18.9kg/h
反応器の端部において、さらに、150μmより小さい粒径を有する分離されたふるい下750〜900kg/hを計量供給した。
【0076】
反応溶液は、供給部で23.5℃の温度を有していた。反応器は、38rpmのシャフト回転数で運転した。反応器中での反応混合物の滞留時間は、15分間であった。
【0077】
得られた生成物ゲル中で、分析により0.6質量%(固体含有率に対する)の残留アクリル酸含有率および45.0質量%の固体含有率が判明した。
【0078】
重合およびゲルの粉砕の後で、水性ポリマーゲルをベルト型乾燥器上に供給した。合計して、55質量%の含水率を有する水性ポリマーゲル18.3t/hを乾燥させた。該ゲルを、30cmの高さから、揺動ベルトにより、乾燥器の搬送ベルト上に供給した。ゲル層の高さは、約10cmであった。
【0079】
乾燥器ベルトのベルト速度は、0.02m/sであり、かつ乾燥器ベルト上での滞留時間は、約37分であった。
【0080】
乾燥させたヒドロゲルを粉砕し、かつふるい分けした。150〜800μmの粒径を有するフラクションを、後架橋させた。
【0081】
後架橋剤溶液は、Schugi(登録商標)ミキサー中でポリマー粒子上に噴霧した。後架橋剤溶液は、ポリエチレングリコール/水の質量比1:2の混合物中のエチレングリコールジグリシジルエーテルの1.2質量%溶液であった。ポリマー粒子に対して、溶液5質量%を噴霧した。引き続き、150℃で60分間乾燥させ、かつ後架橋させた。
【0082】
後架橋の間に生じた粗粒を分離した後に、吸水性ポリマー粒子を空気により搬送した。搬送用導管として、アルミニウムからなり、長さ153mおよび内径108.5mmを有する平滑な導管を使用した。搬送用導管は、2つの水平な区間と、2つの垂直な区間とからなり、その際、これらの区間は、湾曲部によって結合されていた。垂直な突出部は、合計して10mであった。
【0083】
搬送性能は、吸水性ポリマー粒子5800kg/hであり、搬送空気量は320kg/hであり、かつ搬送用導管開始端の気体速度は3.2m/sであり、搬送用導管終端の気体速度は、8m/sであった。搬送用導管中の圧力は、周囲圧力に対して、+1500〜0ミリバールである。搬送物負荷は、18kg/kgであり、かつフルード数は、搬送の開始時に3.1であった。
【0084】
吸水性ポリマー粒子(SAP)の粒径分布は、光学的な検出法により測定した。この結果は第1表にまとめられている。
【0085】
例2
例1と同様に実施した。気体初期速度を、搬送ガス圧力によって、1.2m/sに低下させた。
【0086】
例3
例1と同様に実施した。気体初期速度を、搬送ガス圧力によって、5.8m/sに高めた。
【0087】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性ポリマー粒子を空気により搬送する方法において、搬送の際の気体初期速度が、1〜6m/sであり、かつ搬送物負荷が、1〜100kg/kgであり、その際、搬送物負荷が、搬送物の質量流量と気体の質量流量とからの商であることを特徴とする、吸水性ポリマー粒子を空気により搬送する方法。
【請求項2】
管の直径が、3〜30cmであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
管の直径が、搬送装置中で増大することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
搬送用導管中の圧力が、周囲圧力に対して、−0.8〜10バールであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ポリマー粒子が、10質量%未満の含水率を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ポリマー粒子の少なくとも90質量%が、1000μm未満の粒径を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
150μmより小さい粒径を有するポリマー粒子の割合が、空気による搬送によって、ポリマー粒子の全量に対して1質量%未満だけ高まるように、空気による搬送の間の機械的負荷を調整することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ポリアクリル酸をベースとするポリマー粒子を使用することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
架橋したポリアクリル酸をベースとするポリマー粒子を使用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
部分的に中和されたポリアクリル酸をベースとするポリマー粒子を使用することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の空気による搬送を含む、衛生用品の製造方法。
【請求項12】
衛生用品がおむつであることを特徴とする、請求項11記載の方法。

【公表番号】特表2009−529478(P2009−529478A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558777(P2008−558777)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052088
【国際公開番号】WO2007/104673
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】