説明

吸水性ポリマー粒子及びその製造方法

本発明は、非表面架橋吸水性ポリマーの粒子を、a)少なくとも1種の後架橋剤と、b)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、c)窒素がプロトン化されていてよい少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマー、及びd)少なくとも1種の疎水性ポリマー、から選択される少なくとも1種の更なる成分と、に接触させるステップと、それにより得られた粒子を120℃〜300℃の範囲の温度で熱処理するステップと、を含む方法によって得ることができる吸水性材料と、その製造方法とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高流体輸送及び吸収性能を有する吸水性ポリマー粒子と、それらの製造方法と、更に衛生品及び包装材料における使用とに関する。
【0002】
吸水性ポリマーは、特に、(共)重合親水性モノマーのポリマー、適切なグラフトベース上の1種以上の親水性モノマーのグラフト(コ)ポリマー、セルロースの、又は、デンプンの架橋エーテル、架橋カルボキシメチルセルロース、部分架橋ポリアルキレンオキシド、又は水性流体中で膨潤性である天然物(例えばグアー誘導体)である。かかるポリマーは、おむつ、タンポン、生理用ナプキン及び他の衛生品を製造するために、水溶液を吸収し得る製品として使用されるが、ガーデニングの際の水保持剤としても使用される。
【0003】
例えばおむつにおける塩水流伝導度(SFC)や荷重下吸収量(AUL)のそれらの性能特性を向上させるために、吸水性ポリマー粒子は、一般に後架橋される。この後架橋は、水性ゲル相中で行うことができる。しかし、好ましくは粉砕され、分級された(ベース)ポリマー粒子は、後架橋剤で表面被覆され、乾燥され、熱的後架橋される。表面架橋及び後架橋の2つの表現は、以下で等しく使用される。この目的のための有用な後架橋剤は、親水性ポリマーのカルボキシレート基と共有結合を形成し得る2個以上の基を含む化合物である。他の有用な後架橋剤は、US4,043,952に記載される通りの多価イオンである。
【0004】
US5,599,335は、より粗い粒子により、ここでゲルの膨潤層についてより高い塩水流伝導度(SFC)が達成されることを開示している。後架橋により、遠心分離保持能力(CRC)、故に吸水性ポリマー粒子の吸収能力のみをいつも犠牲にして塩水流伝導度(SFC)を増加させることができるということが更に教示されている。
【0005】
塩水流伝導度(SFC)が、内部の架橋の程度を増加させること(ベースポリマーにおけるより多くの架橋剤)により、並びに、より強い後架橋(より多くの後架橋剤)により、遠心分離保持能力(CRC)を犠牲にして増加させることができるということは、当業者の間で周知の事柄である。
【0006】
WO04/069293には、多価カチオンの水溶性塩で被覆された吸水性ポリマー粒子が開示されている。前記ポリマー粒子においては、塩水流伝導度(SFC)が向上し、吸収特性が向上する。ウィッキング能力(FHA=固定高さ吸収性)をどのように最適化するのかについての教示はなされていない。
【0007】
WO04/069404には、同様の荷重下吸収量(AUL)及び遠心分離保持能力(CRC)の値と向上した塩水流伝導度とを有する90%以上の量の106μm以上850μm未満の粒径の粒子を含有する耐塩性吸水性樹脂が開示されている。しかしながら、高吸収能力(CRC)を生じて、塩水流伝導度(SFC)及びウィッキング能力(FHA)を同様に最適化するために粒径分布をどのように最適化しなければならないのかについての教示はなされていない。
【0008】
WO04/069915には、高塩水流伝導度(SFC)を強毛管力、即ち重力に対して水性流体を吸い上げる能力と組み合わせる吸水性ポリマー粒子を製造するための方法が記載されている。ポリマー粒子の毛管作用は、特定の表面仕上げにより達成される。荷重下吸収量(AUL0.7psi)はあまり高くなく、更にウィッキング能力(FHA)は、塗布された被膜により低下する。
【0009】
US5,731,365には、塗膜形成ポリマーの分散液のスプレー被覆により吸水性ポリマー粒子を被覆するための方法が記載されているが、塩水流伝導度(SFC)及びウィッキング能力(FHA)の組み合わせは、依然として十分ではない。
【0010】
WO2005/044900には、表面架橋剤と、熱可塑性ポリマーの分散液と、不溶性無機粉末とにより吸水性ポリマー粒子を被覆し、それにより得られた粒子を熱処理するための方法が記載されている。不溶性無機粉末は、0.01〜5質量%の範囲の量で使用され得る。生成物は塩水流伝導度の向上を示すが、ウィッキング能力(FHA)をどのように最適化するのかについての教示はなされていない。
【0011】
先行技術文献のいずれも、高塩水流伝導度と、高吸収能力(CRC、AUL0.7psi)と、高ウィッキング能力(FHA)とを有する吸水性ポリマー粒子を製造するための方法を教示していない。
【0012】
WO2005/097313には、0.3〜6.4mmの範囲の穿孔直径を有する穿孔構造からヒドロゲルを押し出し、それによりヒドロゲルを粉砕することにより高液体透過性(高SFC)吸水性ポリマー粒子を製造するための方法が記載されているが、吸収能力は非常に低く、どのように吸収能力を技術的且つ商業的に許容し得るレベルに増加させるのかについての教示はなされていない。
【0013】
WO2004/024816には、表面架橋剤と硫酸アルミニウムとにより吸水性ポリマー品を被覆し、それにより得られた粒子を熱処理し、ポリビニルアミンで後処理するための方法が記載されている。
【0014】
WO2006/042704には、輸送値(TV)により表される高ウィッキング能力をも示す粒径分布が狭い高液体透過性(高SFC)吸水性ポリマー粒子を製造するための方法が記載されている。液体透過性及びウィッキング能力は、表面架橋前にベースポリマーの中和度を調整することにより吸収能力に対して最適化される。表面処理粒子は、水不溶性金属リン酸塩で処理され得る。任意の処理としては、特定の組成又は量を参照することなく、塗膜形成ポリマー、ポリカチオン性ポリマー及び界面活性剤による被覆が挙げられる。
【0015】
粗大粒子が認知可能で、消費者により拒絶されることから、超薄の衛生品は、粗大粒子を有さない吸水性ポリマー微粒子を必要とする。しかし、粒子がより小さいほど、塩水流伝導度(SFC)はより小さくなる。一方で、小さいポリマー粒子はまた、膨潤の際にゲル層内のウィッキング能力(FHA)により流体輸送性を向上させるより小さい細孔を生じさせる。
【0016】
これは、使用するポリマー粒子が、流体の貯留機能を果たすだけでなく、能動的流体輸送性(ウィッキング能力=FHA)及び受動的流体輸送性(塩水流伝導度=SFC)をも確保するように50質量%〜100質量%の範囲の程度の吸水性ポリマー粒子から成る構成要素を超薄衛生品が含み得ることから、超薄衛生品において重要な因子である。吸水性ポリマー粒子又は合成繊維で置き換えられるセルロースパルプの比率が大きくなると、吸水性ポリマー粒子は、それらの貯留機能に加えて、より大きな液体輸送性に対処しなければならなくなる。故に、吸水性ポリマー粒子の向上は、良好な液体保存性及び良好な液体輸送特性を示している。
【0017】
故に、本発明は、高遠心分離保持能力(CRC)、高荷重下吸収量(AUL)及び高ウィッキング能力(FHA)を組み合わせた高塩水流伝導度(SFC)を有する吸水性ポリマー粒子と、それらを製造するための方法とを提供することをその目的とする。
【0018】
本発明は、更に、吸水性ポリマー粒子を製造するための方法であって、特に流体と混合した際に顕著な臭気のない白色のポリマー粒子を製造する方法を提供することをその目的とする。
【0019】
本発明は、更に、吸水性ポリマー粒子を製造するための方法であって、長期に亘り高温及び湿潤条件に曝露される際においてもそれらの白色を保持する白色のポリマー粒子を製造する方法を提供することをその目的とする。
【0020】
本発明者らは、この目的が、非表面架橋吸水性ポリマーの粒子を、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、
c)窒素がプロトン化されていてよい少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマー、及び
d)少なくとも1種の疎水性ポリマー、から選択される少なくとも1種の更なる成分と、
に接触させるステップと、それにより得られた粒子を120℃〜300℃の範囲の温度で熱処理するステップと、を含む方法によって得ることができる吸水性材料を提供することにより達成されることを見出した。このことは、非表面架橋吸水性ポリマーの粒子を、1種以上の後架橋剤a)と、1種以上の水不溶性金属リン酸塩b)と、種類c)又はd)或いは種類c)及びd)の両方の少なくとも1種の更なる成分とに接触させることを意味する。
【0021】
本発明は、更に、これらの吸水性材料を製造するための方法をその目的とする。
【0022】
本発明の更なる実施態様は、請求項、明細書及び実施例から識別可能である。いうまでもなく、先に同定され、且つ、以下で更により詳しく記載される本発明の内容の特性は、示された特定の組み合わせだけでなく、本発明の領域を離れない他の組み合わせにおいても利用可能である。
【0023】
遠心分離保持能力は、EDANA(欧州不織布協会)推奨の試験方法番号441.2−02「遠心分離保持能力」により測定される。
【0024】
荷重下吸収量は、EDANA(欧州不織布協会)推奨の試験方法番号442.2−02「圧力下吸収量」により測定される。
【0025】
塩水流伝導度(SFC)及び固定高さ吸収性(FHA)については、以下に試験方法のセクションに記載される。
【0026】
本発明によれば、非表面架橋吸水性ポリマーの粒子が処理される。好ましい非表面架橋吸水性ポリマーは、重合形態で、
i)少なくとも1種のエチレン性不飽和酸官能性モノマーと、
ii)少なくとも1種の架橋剤と、
iii)適宜、i)と共重合可能な1種以上のエチレン性及び/又はアリル性不飽和モノマーと、
iv)適宜、その上に少なくとも部分的にモノマーi)、ii)、及び適宜iii)をグラフトさせることのできる、1種以上の水溶性ポリマーと、を含む。
【0027】
有用なモノマーi)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸、又はそれらの誘導体(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル)が挙げられる。アクリル酸及びメタクリル酸が、特に好ましいモノマーである。アクリル酸が、最も好ましい。
【0028】
吸水性ポリマーは架橋されるが、即ち、付加重合が、ポリマー網目構造にフリーラジカル共重合されていてよい2個以上の重合性基を有する化合物の存在下で行われる。有用な架橋剤ii)としては、例えば、EP−A530438に記載された通りのエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン、EP−A547847、EP−A559476、EP−A632068、WO93/21237、WO03/104299、WO03/104300、WO03/104301及び独国特許出願第10331450.4号に記載された通りのジアクリレート及びトリアクリレート、独国特許出願第10331456.3号及び第10355401.7号に記載された通りのアクリレート基並びに更なるエチレン性不飽和基を更に含む混合アクリレート、或いは例えばDE−A19543368、DE−A19646484、WO90/15830及びWO02/32962に記載された通りの架橋剤混合物が挙げられる。
【0029】
有用な架橋剤ii)としては、特に、例えばEP−A343427に記載された通りのN,N’−メチレンビスアクリルアミド及びN、N’−メチレンビスメタクリルアミド、ポリオールとの不飽和モノカルボン酸又は不飽和ポリカルボン酸のエステル(例えばジアクリレートやトリアクリレート)、例えば、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、更にトリメチロールプロパントリアクリレート、及びアリル化合物(例えばアリル(メタ)アクリレート)、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸のアリルエステル、更にビニルホスホン酸誘導体が挙げられる。有用な架橋剤ii)としては、更に、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテル、グリセロールトリアリルエーテル、ソルビトール系ポリアリルエーテル、更にそれらのエトキシ化された変種が挙げられる。本発明の方法は、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートを利用するが、使用するポリエチレングリコールは300〜1000の分子量を有する。
【0030】
しかしながら、特に有利な架橋剤ii)は、全体で3〜15−重エトキシル化グリセロールの、全体で3〜15−重エトキシル化トリメチロールプロパンのジアクリレート及びトリアクリレート、とりわけ、全体で3−重エトキシル化グリセロールの又は全体で3−重エトキシル化トリメチロールプロパンの、3−重プロポキシル化グリセロールの、3−重プロポキシル化トリメチロールプロパンの、更に全体で3−重混合エトキシル化又はプロポキシル化グリセロールの、全体で3−重混合エトキシル化又はプロポキシル化トリメチロールプロパンの、全体で15−重エトキシル化グリセロールの、全体で15−重エトキシル化トリメチロールプロパンの、全体で40−重エトキシル化グリセロールの、更に全体で40−重エトキシル化トリメチロールプロパンのジアクリレート及びトリアクリレートである。
【0031】
架橋剤ii)として使用のために非常に特に好ましくは、例えば従来の独国特許出願第DE10319462.2号に記載された通りのジアクリル化、ジメタクリル化、トリアクリル化又はトリメタクリル化多重エトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセリンである。3〜10−重エトキシル化グリセロールのジアクリレート及び/又はトリアクリレートが、特に有利である。非常に特に好ましくは、1〜5−重エトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセロールのジアクリレート又はトリアクリレートである。3〜5−重エトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセロールのトリアクリレートが最も好ましい。これらは、吸水性ポリマーにおける特に低い残留レベル(典型的には10ppm未満)が注目に値するものであって、それにより製造された吸水性ポリマーの水抽出液は、同じ温度の水と比較してほとんど変わらない表面張力(典型的には0.068N/m以上)を有する。
【0032】
モノマーi)と共重合し得るエチレン性不飽和モノマーiii)の例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレート、ジメチルアミノネオペンチルメタクリレートが挙げられる。
【0033】
有用な水溶性ポリマーiv)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコール又はポリアクリル酸が挙げられ、好ましくはポリビニールのアルコール及びデンプンである。
【0034】
適切なベースポリマーの製造及び更に有用な親水性エチレン性不飽和モノマーi)については、DE−A19941423、EP−A686650、WO01/45758及びWO03/14300に記載されている。また、適切なポリマーは、逆懸濁重合方法或いは気相噴霧重合又は液滴重合で製造することが可能である。
【0035】
前記反応は、例えばWO01/38402に記載された通りのニーダ内で、或いは、例えばEP−A−955086に記載された通りのベルト反応器上で好ましくは行われる。
【0036】
故に、適切なポリマーは、球状形状又は不規則形状であってよく、前記粒子は、多孔質相又は濃密相であってよい。高自由膨潤速度を得るためには、多孔質粒子が有利であり、更に、多孔質且つ不規則形状の粒子がより有利である。多孔性は、例えば、急激な乾燥により、重合の際又はベースポリマー乾燥工程の前に発泡剤を添加することにより、及び低固体重合により導入され得る。
【0037】
得られたヒドロゲルの酸性基は、好ましくは60モル%超、より好ましくは63モル%超、更により好ましくは66モル%超、最も好ましくは66.5〜71モル%の範囲であり、好ましくは78モル%以下、より好ましくは75のモル%以下、更により好ましくは72モル%以下が中和され、そのために、通例の中和剤、例えば、アンモニア、アミン(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールアミン)、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属重炭酸塩、更にそれらの混合物を使用することができ、その場合、アルカリ金属イオンとしてナトリウム及びカリウムが特に好ましく、最も好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウム、更にそれらの混合物である。典型的には、中和は、水溶液として或いは好ましくは固体材料として中和剤を混合することにより達成される。
【0038】
元素の周期系のII又はIII族の元素の塩基性化合物で0.001モル%〜10モル%の酸性基を中和することも可能である。例えば、Mg、Ca及びAlを含む塩基性化合物が使用できる。かかる化合物としては、有機酸とのこれらの元素のそれぞれの炭酸塩、重炭酸塩、酸化物、水酸化物、アルミン酸塩、及び塩が挙げられる。かかる塩の例としては、酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩がある。
【0039】
ヒドロゲルの段階では、中和は重合の後に行うことができる。しかし、ヒドロゲルの段階で、中和剤の一部をモノマー溶液に添加することにより重合前に最高40モル%、好ましくは10〜30モル%、より好ましくは15〜25モル%の酸性基を中和し、重合の後にのみ所望の最終中和度を設定することも可能である。モノマー溶液は、重合反応の後又は間のいずれかに中和剤を混合することにより中和前の所定の度合いとし、その後中和後の最終値に中和され得るか、或いはモノマー溶液は、重合前に中和剤を混合することにより最終値に直接調整される。ヒドロゲルは、例えばミートグラインダにより機械的に粉砕することができ、その場合、中和剤を噴霧し、撒き散らし、注入し、次いで慎重にその中に混合することができる。この目的のため、得られたゲルの塊は、均質化のために繰り返し細かく切ることができる。
【0040】
あまりに低い中和度は、次の乾燥の間、及び、更に次のベースポリマーの後架橋の間に望ましくない熱架橋効果を生じる可能性があり、その熱架橋効果は、吸水性ポリマーの遠心分離保持能力(CRC)を実質的に無益な程度に低下させる可能性がある。
【0041】
しかしながら、中和度があまりに高い場合、後架橋はあまり効率的ではない可能性があり、膨潤ヒドロゲルの一部の塩水流伝導度(SFC)の低下につながる。
【0042】
ベースポリマーの中和度が効率的な後架橋と、よって高塩水流伝導度(SFC)とが達成されるように調整され、同時に遠心分離保持能力(CRC)を失うことなく通例のベルト乾燥機又は工業規模で通例の他の乾燥装置において乾燥可能なように製造されるヒドロゲルに対して十分に中和が行われる場合、最適な結果が得られる。
【0043】
次いで、中和されたヒドロゲルを、残留水分率が好ましくは10質量%未満、とりわけ5質量%未満になるまで、ベルト乾燥機、流動層乾燥機、タワー乾燥機、シャフト乾燥機又はドラム乾燥機で乾燥するが、含水率は、EDANA(欧州不織布協会)推奨試験方法番号430.2−02「含水率」により測定される。続いて、乾燥ヒドロゲルを粉砕し、篩にかけるが、有用な粉砕装置は、典型的にはロールミル、ピンミル又は揺動ミルを備え、使用する篩は、吸水性ポリマー粒子を製造するために必要なメッシュサイズを有する。
【0044】
吸水性粒子(ベースポリマー)の粒径は150〜850μmで変化し得るが、特定の狭い粒径分布が好ましい。
【0045】
好ましい一実施態様において、好ましくは2質量%未満、より好ましくは、1.5質量%未満、最も好ましくは1質量%未満の水粒子が、600μm超の粒径を有する。
【0046】
好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更により好ましくは98質量%以上、最も好ましくは99質量%以上の吸水性粒子が、150〜600μmの範囲の粒径を有する。
【0047】
好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更により好ましくは85質量%以上、最も好ましくは90質量%以上の吸水性粒子が、300〜600μmの範囲の粒径を有する。
【0048】
別の好ましい実施態様において、好ましくは30質量%未満、より好ましくは20質量%未満、更により好ましくは10質量%未満、最も好ましくは5質量%未満の吸水性粒子が、600μm超且つ700μm未満の粒径を有する。好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更により好ましくは98質量%以上、最も好ましくは99質量%以上の吸水性粒子が、150〜700μmの範囲の粒径を有する。
【0049】
好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更により好ましくは85質量%以上、最も好ましくは90質量%以上の吸水性粒子が、300〜700μmの範囲の粒径を有する。
【0050】
本発明によれば、非表面架橋吸水性ポリマー(以下、ベースポリマーとも呼ばれる)を、後架橋剤a)と、水不溶性金属リン酸塩b)と、窒素がプロトン化されていてよい窒素含有水溶性ポリマーc)及び疎水性ポリマーd)から選択される少なくとも1種の更なる成分とに接触させる。
【0051】
有用な後架橋剤a)は、ポリマーのカルボキシレート基と共有結合し得る2個以上の基を含む化合物である。有用な化合物は、例えば、EP−A083022、EP−A543303及びEP−A937736に記載された通りのアルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジグリシジル化合物又はポリグリシジル化合物、DE−C3314019、DE−C3523617及びEP−A450922に記載された通りの多価アルコール、又はDE−A10204938及びUS6,239,230に記載された通りのβ−ヒドロキシアルキルアミドである。グリシドール等の混合した官能性の化合物、EP−A1199327に記載された通りの3−エチル−3−オキセタンメタノール(トリメチロールプロパンオキセタン)、アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン或いは第1の反応の後に更なる官能性を発現する化合物(例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、アジリジン、アゼチジン、オキセタン)及びそれらのそれぞれの同等の誘導体を使用することも可能である。
【0052】
有用なポスト架橋剤a)としては、DE−A4020780により環状カーボネート、DE−A19807502により2−オキサゾリドン及びその誘導体(例えばN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン)、DE−A19807992によるビス−及びポリ−2−オキサゾリドン、DE−A19854573による2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体、DE−A19854574によるN−アシル−2−オキサゾリドン、DE−A10204937による環状尿素、独国特許出願第10334584.1号による二環式アミドアセタール、EP−A1199327によるオキセタン及び環状尿素、並びにWO03/031482によりモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が挙げられると更に言われている。
【0053】
後架橋は、典型的には、後架橋剤の溶液をヒドロゲル又は乾燥ベースポリマー粒子上に噴霧することにより行われる。噴霧の後に熱乾燥を行い、後架橋反応が乾燥前だけでなく乾燥後にも起こり得る。
【0054】
好ましい後架橋剤a)は、一般式I
【化1】

[式中、
1は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリールであり、
2は、X又はOR6であり、
3は、水素、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリール或いはXであり、
4は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリールであり、
5は、水素、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル、C1〜C12−アシル又はC6〜C12−アリールであり、
6は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリール、及び
Xは、R2及びR3に共通のカルボニル酸素であり、
ここでR1及びR4及び/又はR5及びR6は、架橋C2〜C6−アルカンジイルであり得、並びにここで、上述した基R1〜R6は、合計で1〜2個の自由原子価を更に有することができ、少なくとも1つの適切な塩基性構造又は多価アルコールにこれらの自由原子価を介して結合することができ、その場合、多価アルコールの分子量は、ヒドロキシル基1個当たり好ましくは100g/モル未満、好ましくは90g/モル未満、より好ましくは80g/モル未満、最も好ましくは70g/モル未満であり、多価アルコールは、近接ヒドロキシル基、一つの原子に同一の基が二つ結合したヒドロキシル基、第二級ヒドロキシル基、第三級ヒドロキシル基を有さず、多価アルコールは、一般式IIa
HO−R6−OH (IIa)
[式中、R6は、式−(CH2n−(式中、nは、3〜20、好ましくは3〜12の整数であり、両ヒドロキシル基は末端にある)の非分枝ジアルキル基或いは非分枝、分枝状又は環状ジアルキル基のいずれかである]のジオール、
又は一般式IIb
【化2】

[式中、R7、R8、R9及びR10は、独立して水素、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルオキシメチル、1−ヒドロキシプロパ−2−イルオキシメチル、2−ヒドロキシプロピルオキシメチル、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,2−ジヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル又は4−ヒドロキシブチルであり、合計で2、3又は4個、好ましくは2又は3個のヒドロキシル基が存在し、R7、R8、R9及びR10の内の1個以下がヒドロキシル基である]のポリオール、
又は一般式III
【化3】

[式中、R11、R12、R13、R14及びR15は、独立して水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル又はヒドロキシアルキルであり、R16は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ヒドロキシアルキル又はヒドロキシであり、nは、0又は1のいずれかである]の環状カーボネート、
又は一般式IV
【化4】

[式中、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23及びR24は、独立して水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル又はイソブチルであり、R25は、1〜10個のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位で構成され、且つ、例えばポリグリコールジカルボン酸が有する単結合の、直鎖状、分枝状又は環状C1〜C12−ジアルキル基又はポリアルコキシジイル基である]のビスオキサゾリンのいずれかである]のアミドアセタール又はカルバミン酸エステルである。
【0055】
好ましい後架橋剤a)は、選択的試薬である。揮発性でそれ故に悪臭を放つ化合物につながる副生成物及び二次反応は最小限に抑える。故に、好ましい後架橋剤a)により製造された吸水性ポリマーは、湿潤状態でも無臭である。
【0056】
対照的に、エポキシ化合物は、適切な触媒の存在下の高温で、例えばアルデヒド又はケトンにつながる各種の転位反応を受ける。次いでエポキシ化合物は、更なる二次反応を受ける可能性があり、その二次反応は、その臭気のために衛生品において望ましくない悪臭を放つ不純物の形成に最終的につながる。故に、エポキシ化合物は、約140〜150℃の温度を越えると、後架橋にあまり適切でない。アミノ又はイミノを含む後架橋剤a)は、同様の温度で更に複雑な転位反応を受け、その転位反応は、悪臭を放つ微量の不純物と褐色がかった生成物の変色とを生じる傾向がある。
【0057】
後架橋剤a)として使用される多価アルコールは、その低反応度のために高い後架橋温度を必要とする。近接ヒドロキシル基、一つの原子に同一の基が二つ結合したヒドロキシル基、第二級ヒドロキシル基、及び第三級ヒドロキシル基を含むアルコールは、後架橋剤として使用する際、製造中又は使用中に対応する衛生品の不快臭及び/又は変色につながるので衛生部門において望ましくない副生成物を生じる。
【0058】
一般式Iの好ましい後架橋剤a)は、2−オキサゾリドンやN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン等の2−オキサゾリドン、N−メチル−2−オキサゾリドン、N−アセチル−2−オキサゾリドン等のN−アシル−2−オキサゾリドン、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン、5−メチル−1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、5−イソプロピル−1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン等の二環式アミドアセタール、ビス−2−オキサゾリドン、及びポリ−2−オキサゾリドンである。
【0059】
一般式Iの特に好ましい後架橋剤a)は、2−オキサゾリドン、N−メチル−2−オキサゾリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン、及びN−ヒドロキシプロピル−2−オキサゾリドンである。
【0060】
一般式IIaの好ましい後架橋剤a)は、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び1,7−ヘプタンジオールである。式IIaの後架橋剤の更なる例としては、1,3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールがある。
【0061】
ジオールIIaは、一般式IIaのジオールが23℃の水に30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、最も好ましくは60質量%以上の程度に溶解するという点で、好ましくは水可溶性であり、例としては、1,3−プロパンジオールや1,7−ヘプタンジオールがある。更により好ましくは、25℃で液体であるもの等の後架橋剤である。
【0062】
一般式IIbの好ましい後架橋剤a)は、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、エトキシル化グリセロール、各々1分子につき1〜3個のエチレンオキシド単位を有するトリメチロールエタン又はトリメチロールプロパン、プロポキシル化グリセロール、各々1分子につき1〜3個のプロピレンオキシド単位を有するトリメチロールエタン又はトリメチロールプロパンである。好ましくは、更に2−重エトキシル化又はプロポキシル化ネオペンチルグリコールである。特に好ましくは、2−重及び3−重エトキシル化グリセロール及びトリメチロールプロパンである。
【0063】
好ましい多価アルコールIIa及びIIbは、23℃で3000mPas未満、好ましくは1500mPas未満、より好ましくは1000mPas未満、更により好ましくは500mPas未満、最も好ましくは300mPas未満の粘性を有する。
【0064】
一般式IIIの特に好ましい後架橋剤a)は、エチレン及びプロピレンカーボネートである。
【0065】
一般式IVの特に好ましい後架橋剤a)は、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)である。
【0066】
少なくとも1種の後架橋剤a)は、水溶液として、0.30質量%以下、好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.001質量%〜0.095質量%の範囲の量で典型的には使用されるが、全てのパーセンテージはベースポリマーに基づく。
【0067】
上記の選択からの単一の後架橋剤a)又は各種後架橋剤の任意の所望の混合物を使用することが可能である。
【0068】
少なくとも1種の後架橋剤a)と同様に、後架橋水溶液は、典型的に更に共溶媒を含むことができる。
【0069】
技術的に非常に有用な共溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール等のC1〜C6−アルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のC2〜C5−ジオール、アセトン等のケトン、又はエチルアセテート等のカルボン酸エステルである。これらの共溶媒の多くの短所は、それらが特徴的な固有の臭気を有するということである。
【0070】
共溶媒自体は、理想的には、反応条件下において後架橋剤でない。しかしながら、境界例においては、滞留時間及び温度に応じて、共溶媒は架橋にある程度寄与することができる。これは、例えば一般式IIIの環状カーボネート、一般式IIaのジオール、又は一般式IIbのポリオールの使用と同様に、特に後架橋剤a)が相対的に不活性であり、そのためその共溶媒をそれ自体で形成することが可能である場合である。かかる後架橋剤a)はまた、より反応性の後架橋剤a)と混合する際、その後の実際の後架橋反応が、より反応性の架橋剤a)が存在しない場合よりもより低い温度及び/又はより短い滞留時間で行うことができることから、共溶媒として使用され得る。共溶媒は、相対的に大きい量で使用され、生成物中にもある程度残留することから、毒性、刺激性、感作性があってはならない。
【0071】
かかる共溶媒が単独で使用され、共溶媒としてだけでなく架橋剤として機能する場合、その使用量は、被覆されるポリマー粒子の量に対して3質量%未満、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、最も好ましくは0.3〜0.8質量%である。一例としては、水に溶解したエチレンカーボネートの使用がある。
【0072】
一般式IIaのジオール、一般式IIbのポリオール、更に一般式IIIの環状カーボネートもまた、本発明の方法において共溶媒として有用である。それらは、一般式I及び/又はIVの反応性後架橋剤a)及び/又はまたはジグリシジル又はトリグリシジル架橋剤の存在下でこの機能を行う。しかしながら、本発明の方法における好ましい共溶媒は、とりわけヒドロキシル基が反応への関与に隣接基により立体障害である場合、特に一般式IIaのジオールである。かかるジオールは、後架橋剤a)としても原則として有用であるが、このためには、明確により高い反応温度、又は、適宜には立体障害型でないジオールより高い使用レベルを必要とする。また、有用な立体障害型の、故に反応不活性のジオールとしては、第三級ヒドロキシル基を有するジオールが挙げられる。
【0073】
故に特に共溶媒としての使用に好ましい一般式IIaのかかる立体障害型ジオールの例としては、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチルペンタン−2,4−ジオールがある。
【0074】
本発明の方法において特に好ましい共溶媒としては、更に一般式IIbのポリオールが挙げられる。これらの中で、2〜3−重アルコキシル化ポリオールが特に好ましい。しかし、特に有用な共溶媒としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン又はペンタエリスリトールに対して3〜15−重、最も特に5〜10−重エトキシル化ポリオールが更に挙げられる。7−重エトキシル化トリメチロールプロパン及びグリセロールが、特に有用である。
【0075】
有用な共溶媒としては、ジ(トリメチロールプロパン)、更に5−エチル−1,3−ジオキサン−5−メタノールが更に挙げられる。
【0076】
共溶媒としてのより反応性でない後架橋剤a)と反応性後架橋剤a)との特に好ましい組み合わせは、一般式Iのアミドアセタール又はカルバミン酸エステルとの、好ましい多価アルコール、一般式IIaのジオール、及び一般式IIbのポリオールとの組み合わせである。
【0077】
非常に特に好ましい組み合わせは、2―オキサゾリドン/1,3−プロパンジオール及びN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン/1,3−プロパンジオールである。
【0078】
本発明の特に好ましい実施態様においては、全水溶液或いは水及びイソプロパノールの混合溶媒から塗布される2−オキサゾリドン/グリセロール又はN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン/グリセロールの組み合わせ或いは2―オキサゾリドン及び/又はN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンと1,3−プロパンジオール及び/又はグリセロールとの混合物が使用される。
【0079】
非常に特に好ましい組み合わせとしては、非反応性溶媒としての水及び/又はイソプロパノールに溶解した1,5−ペンタンジオール又は1,6−ヘキサンジオール又は2−メチル−1,3−プロパンジオール又は2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールと組み合わせた反応性架橋剤として2−オキサゾリドン又はN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンが更に挙げられる。
【0080】
本発明の特に好ましい実施態様において、少なくとも1種の後架橋剤a)の沸点は、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、最も好ましくは120℃以下、或いは好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上、最も好ましくは250℃以上である。
【0081】
共溶媒の沸点は、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、最も好ましくは120℃以下、或いは好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上、最も好ましくは250℃以上である。
【0082】
故に、また、本発明の方法において特に有用な共溶媒としては、水又は第2の共溶媒と低沸騰の共沸混合物を形成するものが挙げられる。この共沸混合物の沸点は、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、最も好ましくは120℃以下である。水蒸気揮発性共溶媒は、乾燥中に蒸発する水により完全に又は部分的に除去され得るので、同様に非常に有用である。
【0083】
後架橋剤水溶液における共溶媒の濃度は、後架橋剤溶液に対してしばしば15質量%〜50質量%の範囲、好ましくは15質量%〜40質量%の範囲、より好ましくは20質量%〜35質量%の範囲である。水との混和性が限定された共溶媒の場合、適宜には共溶媒の濃度を低下させることにより1つだけの相が存在するように後架橋剤水溶液を調整することが、有利となる。
【0084】
好ましい実施態様においては、いかなる共溶媒も利用しない。その結果、少なくとも1種の後架橋剤a)は、解凝集助剤の添加の有無にかかわらず水における溶液として使用されるだけである。
【0085】
後架橋剤水溶液における少なくとも1種の後架橋剤a)の濃度は、例えば、後架橋剤溶液に対して1質量%〜50質量%の範囲、好ましくは1.5質量%〜10質量%の範囲、より好ましくは2質量%〜5質量%の範囲である。
【0086】
非表面架橋吸水性ポリマーに基づく後架橋剤溶液の総量は、通常0.3質量%〜15質量%の範囲、好ましくは2質量%〜6質量%の範囲である。
【0087】
適切な水不溶性金属リン酸塩b)は、例えば、リン酸塩酸化物、リン酸塩水酸化物、リン酸塩ケイ酸塩、リン酸塩フッ化物等、技術的意味において「リン酸塩」であると考えることができるリン酸塩である。
【0088】
本明細書で使用される場合、「水不溶性」という用語は、25℃の1000のmLの水における1g未満、好ましくは0.1g未満、より好ましくは0.01g未満の溶解性を示す。
【0089】
適切な水不溶性金属リン酸塩及び適切な被覆方法は、開示内容全体が参考として本明細書で援用されるWO02/060983に記載されている。
【0090】
好ましい水不溶性金属リン酸塩としては、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、鉄、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、スズ、セリウム、スカンジウム、イットリウム又はランタンのピロリン酸塩、リン酸水素塩及びリン酸塩、更にそれらの混合物がある。
【0091】
好ましい水不溶性金属リン酸塩は、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト、トーマスリン肥、バーリナイト及びレナニアリン酸塩である。特に好ましくは、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、及びアパタイトであり、「アパタイト」という用語は、フルオロアパタイト、ヒドロキシルアパタイト、クロロアパタイト、炭酸アパタイト及び炭酸フルオロアパタイトを示す。各種水不溶性金属リン酸塩の混合物を使用できることが理解される。
【0092】
水不溶性金属リン酸塩は、通常400μm未満、好ましくは100μm未満、より好ましくは50μm未満、更により好ましくは30μm未満、最も好ましくは2〜20μmの範囲の粒径の平均粒径を有する。
【0093】
水不溶性金属リン酸塩の分率は、吸水性ポリマー粒子に対して通常0.1質量%〜1.0質量%の範囲、好ましくは0.2質量%〜0.8質量%の範囲、より好ましくは、0.35質量%〜0.65質量%の範囲である。
【0094】
窒素官能基がプロトン化されていてよい適切な窒素含有ポリマーは、ポリビニルアミン、部分加水分解されたポリビニルホルムアミド又はポリビニルアセトアミド、ポリアリルアミン、及びポリエチレンイミンの熱的に安定した誘導体である。前記ポリマーは、直鎖状、分枝状又は樹枝状であり得る。ポリビニルアミンは、その前駆体ポリビニルホルムアミド/−アセトアミドが完全に加水分解される際に得られるような形態で使用され得るが、このことは、0モル%〜10モル%未満の加水分解性ビニルホルムアミド/−アセトアミド−基が非加水分解性のままであることを意味する。また、上記のポリマーの技術的に同等な誘導体は、被覆方法中の分解に対して熱的に十分に安定である限り使用できる。
【0095】
窒素含有ポリマーを水溶液として使用する場合、少なくとも部分的に中和した形態で塗布することが好ましい。いかなる有機酸又は無機酸も中和のために使用してよいが、好ましくは部分的に中和されたポリマーが完全に溶解されたままとなる。例えば有用な酸としては、塩酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、アミドスルホン酸があるが、これらに限定されない。
【0096】
窒素がプロトン化されていてよい窒素含有水溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール及び/又はポリビニルカプロラクタムとの混合物において使用され得る。
【0097】
しかしながら、本発明における最も好ましい窒素含有ポリマーは、ポリビニルアミンの部分加水分解された前駆体、例えば、プロトン化されていてよい約5〜17モル/kgの窒素官能基を有する部分加水分解されたポリビニルホルムアミドである。それらは、開示内容全体が参考として本明細書で援用されるWO2004/024816に開示されている。かかるポリマーの混合物を使用することができる。20モル%〜80モル%、好ましくは40〜60モル%の加水分解性ビニルホルムアミド/−アセトアミド−基が加水分解され、それによりプロトン化されていてよいアミノ基に転化される部分加水分解されたポリビニルホルムアミド又は部分加水分解されたポリビニルアセトアミドが好ましい。
【0098】
窒素含有ポリマーが存在する場合、それは、非表面架橋吸水性ポリマーに対して、最高1000ppm、好ましくは700ppm以下、より好ましくは500ppm以下、より好ましくは300ppm以下、最も好ましくは250ppm以下、好ましくは10ppm超、より好ましくは50ppm超、更により好ましくは80ppm超、最も好ましくは100ppm超、最も好ましくは120〜250ppmの範囲の量で存在する。使用量があまりに低い場合、SFCは十分に増加しない。使用量があまりに高い場合、荷重下吸収量は低下し、21g/g未満に落ちる。
【0099】
適切な疎水性ポリマーは、塗膜形成能を有することができ、非常に好ましくはエラストマー物性を示す。それらは、開示内容全体が参考として本明細書で援用されるUS5,731,365、EP0703265、更にWO2006/082242及びWO2006/097389に開示されている。最も好ましい疎水性ポリマーは、ポリウレタン、例えばZnにより場合により架橋されていてよいポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリレート、スチレン−(メタ)アクリレートのコポリマー、アクリロニトリルを含むスチレン及び/又は(メタ)アクリレートのコポリマー、ブタジエン−スチレン及び/又はアクリロニトリルのコポリマー、(架橋性)N−ビニルピロリドンの(コ)ポリマー、及びビニルアセテートの(コ)ポリマーである。最も好ましい疎水性ポリマーは、ポリウレタンである。疎水性ポリマーで塗膜を形成する場合、最低造膜温度は、−10℃超、好ましくは20℃超、より好ましくは50℃超、最も好ましくは80℃超であることが好ましい。
【0100】
疎水性ポリマーは、好ましくは水性分散液として塗布され、場合により融合助剤及び/又は酸化防止剤を添加してよい。
【0101】
疎水性ポリマーが存在する場合、それは、非表面架橋吸水性ポリマーに対して、最高0.50質量%、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.15質量%以下、更により好ましくは0.1質量%以下、好ましくは0.05モル%以下、最も好ましくは0.03質量%以下、好ましくは0.001質量%超、より好ましくは0.005質量%超、更により好ましくは0.008質量%超、最も好ましくは0.01〜0.03質量%の範囲の量で存在する。0.5質量%超が使用される場合、費用が高く、FHAが非常に低い値に低下することが抑制される。疎水性ポリマーが使用されないか、若しくはほとんど使用されない場合、SFCは十分に増加しない。
【0102】
本発明は、非表面架橋吸水性ポリマーの粒子を
a)後架橋剤と、
b)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、
c)窒素がプロトン化されていてよい少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマー、及び
d)少なくとも1種の疎水性ポリマー、から選択される少なくとも1種の更なる成分と、に接触させるステップと、それにより得られた粒子を120℃〜300℃の範囲の温度で熱処理するステップと、を含む吸水性材料の製造方法を更に提供するものである。
【0103】
好ましい実施態様によれば、非表面架橋吸水性ポリマーは、
a)後架橋剤と、
b)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、
c)非表面架橋吸水性ポリマーに対して10〜1000ppmの、窒素がプロトン化されていてよい少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、に接触される。
【0104】
好ましい実施態様によれば、窒素含有水溶性ポリマーの量は、50〜1000ppmの範囲であり、疎水性ポリマーの量は、各々非表面架橋吸水性ポリマーに対して最高0.2質量%、好ましくは0.02〜0.15質量%の範囲である。
【0105】
好ましい実施態様によれば、表面被覆のために、疎水性ポリマーを使用せず、少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーを使用する場合、本発明の吸水性ポリマー粒子は、通常少なくとも18g/g、典型的には20g/g以上、好ましくは21g/g以上、更により好ましくは22g/g以上、最も好ましくは23〜28g/gのFHAを示し、典型的にはFHAはせいぜい35g/gである。
【0106】
好ましい方法によれば、非表面架橋吸水性ポリマーは、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、
d)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.001〜0.2質量%の少なくとも1種の疎水性ポリマーと、に接触される。
【0107】
好ましい実施態様によれば、疎水性ポリマーの量は、0.01〜0.2質量%の範囲であり、窒素含有水溶性ポリマーの量は、各々非表面架橋吸水性ポリマーに対して、最高500ppm、好ましくは100〜350ppmの範囲である。
【0108】
好ましい実施態様によれば、表面被覆のために、少なくとも1種の疎水性ポリマーが使用され、窒素含有水溶性ポリマーが使用されない場合、本発明の吸水性ポリマー粒子は、5g/g以上、好ましくは10g/g以上、更により好ましくは15g/g以上、最も好ましくは16、18、20g/g超のFHAを示し、典型的にはFHAはせいぜい26g/gである。
【0109】
別の好ましい方法によれば、非表面架橋吸水性ポリマーは、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、
c)10〜1000ppmの、窒素がプロトン化されていてよい少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、
d)0.001〜0.2質量部の少なくとも1種の疎水性ポリマーと、に接触される。
【0110】
本実施態様によれば、表面被覆のために、少なくとも1種の疎水性ポリマー及び少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーが使用される場合、本発明の吸水性ポリマー粒子は、10g/g以上、好ましくは15g/g以上、更により好ましくは20g/g以上、最も好ましくは21、22、23g/g超のFHAを示し、典型的にはFHAはせいぜい30g/gである。
【0111】
次の熱処理は、≧120℃、好ましくは≧150℃、より好ましくは≧165℃、更により好ましくは≧170℃、最も好ましくは175℃〜210℃の範囲の温度、通常300℃以下で、5分間〜80分間、好ましくは30分間〜60分間行われる。
【0112】
本発明は、
i)少なくとも1種のエチレン性不飽和酸官能性モノマーと、
ii)少なくとも1種の架橋剤と、
iii)適宜、i)と共重合可能な1種以上のエチレン性及び/又はアリル性不飽和モノマーと、
iv)適宜、全体的又は部分的にモノマーi)、ii)、及び適宜iii)でグラフトさせることのできる、1種以上の水溶性ポリマーと、を含むモノマー溶液の重合により吸水性ポリマーを製造するためのさらなる方法を提供するものであって、得られたポリマーを乾燥し、分級し、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、
c)窒素がプロトン化されていてよい少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマー、及び
d)少なくとも1種の疎水性ポリマー、から選択される少なくとも1種の更なる成分と、に接触させ、それにより得られた粒子を120℃〜300℃の範囲の温度で熱処理する。
【0113】
好ましい方法によれば、吸水性材料が、25g/g超の遠心分離保持能力(CRC)及び21g/g超のAUL0.7psi及び80×10-7cm3s/g以上のSFCを有し、所望のFHAを示す場合、熱処理を停止する。
【0114】
水不溶性金属リン酸塩は、粉末として又は分散液として、好ましくは水性分散液として添加される。好ましくは、それらは水性分散液として噴霧される。場合により、防塵剤は、更に、吸水性ポリマーの表面に金属リン酸塩を固定するために添加される。防塵剤及び分散液の塗布は、好ましくは後架橋溶液と共に行われ、適宜、結合溶液から、又は、同時に又は異なる時点で別個のノズルシステムを介して複数の別々の溶液から行うことができる。特に好ましい実施態様において、水不溶性金属リン酸塩は、同時に、後架橋剤として添加され、水性分散液として噴霧されるか、或いは、不活性ガス流により固体粉末として噴出される。
【0115】
好ましくは、後架橋剤は、更に、塵粒子と親水性ポリマー粒子の表面との間の付着性を増大させるその性能により防塵剤として役立つ可能性がある。このような場合、典型的には、微量の後架橋剤のみが架橋反応により消費される。
【0116】
防塵剤は、理想的にはポリマーを架橋する性能を有さないか、或いは、架橋反応が起こらないか、若しくは少量の防塵剤だけが架橋反応により消費され、且つ、大部分が、付着性を提供するために親水性粒子の表面上で未反応形態において依然として利用可能である場合の条件で、理想的に塗布される。好ましい防塵剤は、樹枝状ポリマー、高度分枝ポリマー(例えばポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダム又はブロックコポリマー)である。この目的のための有用な防塵剤としては、更に、グリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物のポリエトキシレート又はポリプロポキシレートが挙げられる。その例としては、n重エトキシル化トリメチロールプロパン又はグリセロールがあり、nは、1〜100の整数を表す。更なる例としては、全体でn重エトキシル化された、更にm重プロポキシル化トリメチロールプロパン又はグリセロール等のブロックコポリマーがあり、nは、1〜40の整数を表し、mは、1〜40の整数を表す。ブロックの順序は、逆にすることもできる。また、適切な防塵剤としては、1.2−プロパンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の単純なポリオールがある。
【0117】
しかし、水不溶性金属リン酸塩を、吸水性ポリマー粒子の表面上にin situ形成することも可能である。このためには、例えば、限定されるものではないが、リン酸又は可溶性リン酸塩の溶液と可溶性金属塩溶液とを別々に噴霧し、水不溶性金属リン酸塩を粒子表面に形成し、付着させる。
【0118】
典型的には、本発明の方法において使用される乾燥非表面架橋吸水性ポリマー粒子は、乾燥後、後架橋溶液の塗布前に、0質量%〜13質量%の範囲、好ましくは2質量%〜9質量%の範囲の残留水分率を有する。しかしながら、場合により、この水分率は、例えば上流噴霧ミキサにおいて水を塗布することにより最高75質量%に高めることもできる。水分率は、EDANA(欧州不織布協会)推奨試験方法番号430.2−02「水分率」により測定される。水分率のかかる増加は、ベースポリマーのわずかな前膨潤につながり、表面上の架橋剤の分布状態、更には粒子への透過性を向上させる。
【0119】
本発明の最も好ましい実施態様において、残留水分率は、0質量%〜13質量%の範囲であり、乾燥され、分粒されたベースポリマーの温度は、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも50℃、より好ましくは少なくとも60℃、より好ましくは少なくとも70℃、最も好ましくは80〜110℃、典型的にはせいぜい140℃であり、後架橋溶液a)、水不溶性金属リン酸塩b)の分散液、窒素含有水溶性ポリマーc)又は疎水性ポリマーd)を含む少なくとも1種の更なる溶液又は分散液、とりわけ疎水性ポリマー分散液d)を噴霧し、続いて被覆された温かいポリマーを熱処理ステップに直ちに移す。水不溶性金属リン酸塩b)を、前記方法における同じステップで添加してよく、或いは、後架橋剤の被膜ステップの前又は後に吸水性ポリマー粒子上に被覆することができる。
【0120】
最も好ましい実施態様においては、後架橋剤a)、水不溶性金属リン酸塩b)、窒素含有水溶性ポリマーc)及び/又は疎水性ポリマーd)を含む更なる成分、及び適宜、前記及び/又は以下で記載される更なる被覆剤が、1つの水系後架橋剤混合物としてベースポリマーに噴霧される。
【0121】
本発明の方法において有用な噴霧ノズルは、いかなる限定をも受けるものではない。かかるノズルは、噴霧分注される液体によって供給される圧力であり得る。この場合、噴霧分注される液体のアトマイジングは、液体が特定の最低速度に達した後ノズル孔部内における液体の圧力を下げることによって行うことができる。1つの材料のノズル、例えばスロットノズル或いは油旋回室又は渦流室(完全円錐ノズル)(例えば、Duesen−Schlick GmbH(ドイツ国)又はSpraying Systems Deutschland GmbH(ドイツ国)から入手可能)もまた、有用である。かかるノズルは、EP−A−0534228及びEP−A−1191051にも記載されている。
【0122】
噴霧後、ポリマー粉末は熱処理される。この処理の間に後架橋反応が生じ得る。粉末が乾燥される熱処理の前又は後に温度が低下する相を有することが可能である。
【0123】
後架橋剤混合物の噴霧は、好ましくは、スクリューミキサ、パドルミキサ、ディスクミキサ、プローシェアーミキサ、ショベルミキサ等、移動する混合部材を有するミキサにおいて行われる。特に好ましくは、バーティカルミキサであり、非常に特に好ましくはプローシェアーミキサ及びショベルミキサである。有用なミキサとしては、例えば、Loedige(登録商標)ミキサ、Bepex(登録商標)ミキサ、Nauta(登録商標)ミキサ、Processall(登録商標)ミキサ、Ruberg(登録商標)ミキサ、Turbolizer(登録商標)ミキサ、Schugi(登録商標)ミキサが挙げられる。
【0124】
乾燥は、例えばジャケットを加熱するか、又は、温風流を導入することにより、ミキサ自体において生じ得る。下流の乾燥器、例えば箱形乾燥器、回転チューブオーブン又は加熱可能スクリューを使用することが、同様に可能である。しかし、乾燥方法として、例えば共沸蒸留を利用することも可能である。
【0125】
熱乾燥を行う装置としては、接触乾燥器が好ましく、ショベル乾燥器がより好ましく、ディスク乾燥器が最も好ましい。適切な乾燥器としては、例えばBepex乾燥器やNara(登録商標)乾燥器が挙げられる。流動層乾燥器及びタワー乾燥器は、特に連続モードで操作される場合使用され得る。
【0126】
例えばSchugi−Flexomix(登録商標)又はTurbolizer型の高速混合器の中で後架橋剤混合物をベースポリマーに塗布することが特に好ましく、次いで後者を、例えばNara−パドル−乾燥器型の反応乾燥器又はディスク乾燥器の中で熱的に後架橋することができる。使用するベースポリマー(非表面架橋吸水性ポリマー)は、上記の操作から、更に、10〜140℃の範囲、好ましくは40〜110℃の範囲、より好ましくは50〜100℃、更により好ましくは60〜95℃、最も好ましくは70〜85℃の温度を有することができ、後架橋混合物は、0〜150℃の範囲の温度を有することができる。更に詳しくは、後架橋混合物は、粘性を低下させるために加熱され得る。好ましい熱処理温度範囲は、120〜220℃、とりわけ150〜210℃、最も好ましくは160〜195℃である。反応ミキサ又は乾燥器の中のこの温度における好ましい滞留時間は、100分間未満、より好ましくは70分間未満、最も好ましくは40分間未満である。
【0127】
熱処理乾燥器は、乾燥及び後架橋反応の間、蒸気を除去するために空気又は好ましくは不活性ガスで洗浄される。乾燥方法を強化するために、乾燥器及び取り付けられた組立品は、理想的には完全に加熱される。本発明における不活性ガスは、例えば窒素、アルゴン、水蒸気、二酸化炭素、希ガスであり、WO2006/058682に記載されているが、これらに限定されない。
【0128】
蒸気で除去された共溶媒は、当然、反応乾燥器の外で再度縮合することができ、適宜、再利用することができる。
【0129】
好ましい実施態様において、前記熱処理ステップは、不活性ガスで熱処理乾燥器を洗浄し、酸素含有量を、好ましくは10容量%未満、より好ましくは1容量%未満、更により好ましくは0.01容量%未満、最も好ましくは0.001容量%未満に低下させることにより、無酸素状態で達成される。
【0130】
特に好ましい実施態様において、前記熱処理ステップは、開示内容全体が参考として本明細書で援用されるWO2006/058682で記載されるように、無酸素状態で、少量の阻害剤でモノマーから製造される非表面架橋吸水性ポリマー(ベースポリマー)により達成される。
【0131】
前記熱処理ステップの後、前記粒子は、既に熱処理前の処理の一部でない場合、窒素がプロトン化されていてよい上述の窒素含有水溶性ポリマー又は上述の疎水性ポリマーで処理することが可能である。
【0132】
更に、以下の通り、熱処理の前、間又は後に更なる被覆剤を使用してよい:
−例えばソルビタンモノエステル等の界面活性剤(例えばソルビタンモノココエート、ソルビタンモノラウレート、それらのエトキシル化された変種)。非常に有用な界面活性剤としては、更に、2−プロピルヘプタノールのエトキシル化誘導体やアルコキシル化誘導体が挙げられ、それらは、Lutensol(登録商標)XL及びLutensol XPの商標名でドイツのBASF Aktiengesellschaftにより市販されている。また、例えば、Rewoderm S1333(CTFA:二ナトリウムモノリシノレアミドMEAスルホサクシネート977060−63−1)を使用してもよい。
【0133】
特に好ましい界面活性剤は、非イオン性又は両性であり、COOH−基で共有結合を形成し得る分子1個につき少なくとも1個のOH−基又はNH−基の官能性を含有する。しかしながら、表面張力が下記範囲内にある限り、アニオン性又はカチオン性界面活性剤を使用することもできる。
【0134】
ベースポリマーに対する界面活性剤の有用な濃度は、例えば、0質量%〜0.02質量%の範囲、好ましくは0質量%〜0.005質量%の範囲、より好ましくは0.0005質量%〜0.004質量%の範囲、最も好ましくは0.001〜0.003質量%の範囲である。界面活性剤は、好ましくは、膨潤ベースポリマー及び/又は膨潤吸水性材料の水抽出液の表面張力が23℃で0.060N/m以上、好ましくは0.062N/m以上、より好ましくは0.065N/m以上、最も好ましくは0.069N/m以上、有利には0.072N/m以下であるように、加えられる。
【0135】
界面活性剤は、後架橋剤と別々に、同時に、又はそれとの混合物として、添加され得る。好ましくは、界面活性剤は、後架橋剤溶液と混合される。
【0136】
−場合により、塵を吸水性ポリマー粒子に結合するために熱処理ステップの後に上記のポリオールのいずれか等の制塵剤を使用することができる。このような場合、せいぜい0.5質量%の量が使用される。好ましい制塵剤は、グリセロール及び1.2−プロパンジオールである。
【0137】
−場合により、熱処理ステップの前、間又は後に吸水性ポリマー粒子に水溶液として1種以上の水溶性金属塩を噴霧してよい。好ましくは、水溶性金属塩は、後架橋剤溶液と混合される。本明細書で用いられる場合、「水溶性」という用語は、25℃の1000mLの水に1g以上、好ましくは1000mLの水に10g超の溶解性を示す。とりわけ有用な多価金属塩は、開示内容全体が参考として本明細書で援用されるUS4,043,952に示されている。適切な金属塩の例としては、アルミニウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛及びマグネシウムの硫酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩があるが、これらに限定されない。被覆は、例えば、前記量で、及び、WO2005/080479に記載のように行うことができる。
【0138】
−場合により、熱処理ステップの前、間又は後に吸水性ポリマー粒子上に水溶液又は分散液として水溶性金属塩を噴霧することができる。特に好ましい水溶性金属塩は、SrO、CaO、Sr(OH)2及びCa(OH)2である。
【0139】
−場合により、シリカゾルの溶液は、粘着性を低下させるために、被覆吸水性ポリマー粒子の表面に皮膜として塗布される。シリカゾルは、Hermann C Starck GmbH(レーバークーゼン)により商標名Levasil(登録商標)で販売されており、非常に適切である。かかるシリカゾルは、水溶液として噴霧され、典型的には被覆される吸水性ポリマー粒子の量に対するシリカとして算出された0.01〜1.0質量%の量で使用される。前記シリカゾルは、前記方法における任意のステップで添加され得るが、最外部の皮膜シェルとして好ましくは被覆される。
【0140】
−場合により、非晶質シリカ又は任意の形態でのMgO、ZnO、TiO2、Al23、ZrO2等の金属酸化物は、粘着性を低下させるために、被覆吸水性ポリマー粒子の表面に皮膜として塗布され得る。かかる剤は、被覆される吸水性ポリマー粒子の量に対して算出された0.01〜1.0質量%の量で典型的には使用される。かかる剤は、粉末ブレンドとして添加され得るか、粉末として噴出され得るか、若しくは水性分散液として噴霧され得る。その剤は、前記方法における任意のステップで添加され得るが、好ましくは最外部の皮膜シェルとして被覆される。
【0141】
−場合により、蝋は、粘着性を低下させるために、被覆吸水性ポリマー粒子の表面に皮膜として塗布される。適切な蝋は、開示内容全体が参考として本明細書で援用されるUS5,840,321に記載されている。蝋は、被覆される吸水性ポリマー粒子の量に対する蝋として算出された0.01〜1.0質量%の量で典型的には使用される。かかる蝋は、粉末ブレンドとして添加され得るか、粉末として噴出され得るか、若しくは水性分散液として噴霧され得る。前記蝋は、前記方法における任意のステップで添加され得るが、好ましくは最外部の皮膜シェルとして被覆される。
【0142】
熱処理ステップの終了後、乾燥吸水性材料を冷却する。この目的のためには、温かく且つ乾燥したポリマーを、好ましくは連続的に下流の冷却器に移す。これは、例えば、ディスク冷却器、Naraパドル冷却器又はスクリュー冷却器であり得る。冷却は、壁や、適宜、例えば温かい又は冷たい水等の適切な冷却媒質が流れる冷却器の撹拌部材を介して行う。水或いは添加剤の水溶液又は水性分散液は、好ましくは、冷却器の中で吸水性ポリマー粒子に噴霧することができるか、若しくは配合することができ、これにより、冷却効率(水の部分蒸発)は増大し、最終生成物中の残留水分率は、0質量%〜6質量%の範囲、好ましくは0.01質量%〜4質量%の範囲、より好ましくは0.1質量%〜3質量%の範囲の値に調整され得る。本発明による吸水性材料の含水率は、典型的には20質量%未満、好ましくは6質量%未満、より好ましくは4質量%未満、最も好ましくは3質量%未満である。残留水分率の増加により、生成物の塵量は低減する。制塵剤は、使用される場合、水溶液として冷却器の中で添加され得る。場合により、界面活性剤又は水溶性多価金属塩が使用される場合、水溶液として冷却器の中で、或いは、例えば、限定されるものではないが、Loedige(登録商標)ミキサやRuberg(登録商標)ミキサ等の別個の下流の混合装置の中で添加され得る。
【0143】
しかしながら、場合により、冷却だけのための冷却器を使用し、下流の別個のミキサの中で水及び添加剤の添加を行うことが可能である。冷却は、温度を反応温度未満に低下させることにより反応を停止させ、前記温度を、生成物がプラスチック袋又はサイロトラック内に容易に梱包され得る程度まで全体的に低下させることだけで十分である。
【0144】
特に、より高い水分率−即ち最高20質量%−が要求される場合、別個の下流のミキサを使用することが好ましい。
【0145】
しかしながら、場合により、水不溶性多価金属塩(例えば硫酸カルシウム)、水溶性多価金属塩(例えばアルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩)、水溶性ジルコニウム塩、親水性無機粒子(例えば粘土鉱物)等、当業者に既知の他の全ての皮膜は、冷却器又は次の別個の被覆ステップにおいて更に塗布され得る。これにより、固化傾向の低下、加工特性の向上、塩水流伝導度(SFC)の更なる上昇等の更なる効果を達成することが可能になる。添加剤は、分散液の形態で使用され、噴霧される場合、水性分散液として好ましくは使用され、添加剤を吸水性ポリマーの表面に固定するために防塵剤を塗布することが場合により可能である。
【0146】
本発明の方法は、優れた流体輸送特性と良好な吸収性能とを有する吸水性ポリマー粒子を得るための効果的方法である。また、前記方法により、一定のおむつの設計ためにFHA及びSFCを最適化することが可能になる。かくして、使い捨ておむつの設計者は、それぞれのおむつ設計のための吸水性ポリマー粒子の特性を調整するための方法を得る。
【0147】
好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満、最も好ましくは1質量%未満のポリマー粒子は、150μm未満又は好ましくは200μm未満の粒径を有する。粒径は、EDANA(欧州不織布協会)推奨試験方法番号420.2−02「粒径分布」により測定される。
【0148】
本発明による吸水性材料は、以下のように特性が評価される。
【0149】
吸水性材料の粒径は150〜850μmで変化し得るが、特定の狭い粒径分布が好ましい。
【0150】
好ましい一実施態様において、好ましくは2質量%未満、より好ましくは、1.5質量%未満、最も好ましくは1質量%未満の吸水性材料は、600μm超の粒径を有する。
【0151】
好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更により好ましくは98質量%以上、最も好ましくは99質量%以上の吸水性材料は、150〜600μmの範囲の粒径を有する。
【0152】
好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更により好ましくは85質量%以上、最も好ましくは90質量%以上の吸水性材料は、300〜600μmの範囲の粒径を有する。
【0153】
別の好ましい実施態様において、好ましくは30質量%未満、より好ましくは20質量%未満、更により好ましくは10質量%未満、最も好ましくは5質量%未満の吸水性材料は、600μm超且つ700μm未満の粒径を有する。好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更により好ましくは98質量%以上、最も好ましくは99質量%以上の吸水性材料は、150〜700μmの範囲の粒径を有する。
【0154】
好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更により好ましくは85質量%以上、最も好ましくは90質量%以上の吸水性材料は、300〜700μmの範囲の粒径を有する。
【0155】
吸水性材料の遠心分離保持能力(CRC)は、通常25g/g以上、好ましくは26g/g以上、より好ましくは27g/g以上、更により好ましくは28g/g以上、最も好ましくは29〜35g/gの範囲、通常50g/g以下である。
【0156】
4.83kPa(AUL0.7psi)の吸水性材料の荷重下吸収量は、通常21g/g以上、典型的には22g/g以上、好ましくは22.5g/g以上、より好ましくは23g/g以上、更により好ましくは23.5g/g以上、最も好ましくは24〜28g/gの間、通常45g/g以下である。
【0157】
吸水性材料の塩水流伝導度(SFC)は、通常50×10-7cm3s/g以上、好ましくは80×10-7cm3s/g以上、より好ましくは100×10-7cm3s/g以上、更により好ましくは120×10-7cm3s/g以上、最も好ましくは150×10-7cm3s/g以上、通常1500×10-7cm3s/g以下である。
【0158】
最適SFCは、吸水性材料が組み込まれる衛生品のそれぞれの設計に依存することになるため、SFCの特定の範囲が特に好ましいが、一方でこれらの選択された範囲のために、CRCは各例において最大にされなければならない。かかる衛生品の特定の設計に応じて、FHA及び自由膨潤速度(FSR)を最大にすることも、必要であり得る。
特に、吸水性ポリマー粒子で表面の皮膜のための少量の窒素含有ポリマー又は疎水性ポリマーの塗布により、SFCを増加させることができ、疎水性ポリマーの使用濃度及び熱処理の条件に応じて、FHAを犠牲にして更なるSFCを増大させることができるということが、特に観察される。かかる方法において、前記方法により、必要に応じた性能を有する吸水性ポリマー粒子を送出することができる。
【0159】
本発明のとりわけ好ましい実施態様において、SFCは、100〜200×10-7cm3s/gの範囲、最も好ましくは120〜150×10-7cm3s/gの範囲である。
【0160】
本発明の別のとりわけ好ましい実施態様において、SFCは、300〜500×10-7cm3s/gの範囲、最も好ましくは350〜450×10-7cm3s/gの範囲である。
【0161】
本発明の更に別のとりわけ好ましい実施態様において、SFCは、500〜700×10-7cm3s/gの範囲、最も好ましくは550〜650×10-7cm3s/gの範囲である。
【0162】
本発明による吸水性材料は、通常0.05g/g・s以上、典型的には0.10g/g・s以上、好ましくは0.15g/g・s以上、より好ましくは0.20g/g・s以上、更により好ましくは0.25〜0.50g/g・sの間、通常1.00g/g・s以下の自由膨潤速度(FSR)を示す。
【0163】
本発明の吸水性材料は、高ウィッキング能力(FHA)のために注目に値する。本明細書において以下で記載されるように、ウィッキング能力は、ウィッキング試験「固定高さ吸収性(FHA)」を用いて測定され得る。本発明の方法は、CRC及びSFCを最大にすることを可能にし、費用効果的な最新式の被覆機器を使用すると共に水不溶性金属リン酸塩、窒素含有ポリマー及び疎水性ポリマーの被覆量を調整することによりFHAを目標値に調整することを可能にする。
【0164】
本発明によれば、吸水性材料は、25g/g以上、好ましくは26g/g以上、より好ましくは27g/g以上、更により好ましくは28g/g以上、最も好ましくは29〜35g/gの範囲の良好な遠心分離保持能力(CRC)を有し、4.83kPa(AUL0.7psi)の荷重下吸収量は、通常21g/g以上、典型的には22g/g以上、好ましくは22.5g/g以上、より好ましくは23g/g以上、更により好ましくは23.5g/g以上、最も好ましくは24〜28g/gであり、固定高さ吸収性能(FHA)は、5g/g以上、好ましくは10g/g以上、より好ましくは15g/g以上、更により好ましくは20g/g以上、最も好ましくは少なくとも21、22、23、24、25、26g/gで35g/g以下である。上記の量(質量%、ppm)は、被覆前に乾燥吸水性ポリマー粒子の量に対して与えられる。
【0165】
遠心分離保持能力(CRC)、塩水流伝導度(SFC)、荷重下吸収量(AUL0.7psi)、及び固定高さ吸収性(FHA)は、ベースポリマー(非表面架橋吸水性ポリマー)の中和度、熱処理中の反応条件、並びに特に上記の範囲内で選択される被覆調合物を介して最適化される。
【0166】
固定高さ吸収性(FHA)は、典型的には、熱処理が進行する間に最大値となり、非表面架橋吸水性ポリマーの粒径分布およびその表面の親水性により強く制御される。非表面架橋吸水性ポリマーがあまりに微細である場合、FHAは高いが、SFCは低い。非表面架橋吸水性ポリマーがあまりに粗い場合、FHAは低いが、SFCは高い。故に、200μm未満且つ600μm超−上記の範囲内−の粒子の量を、更に所望の最適化された最終生成物性能を得られるレベルに制御することが、本発明の目的である。150〜200μm及び600〜700μmの粒子は、最終生成物中に含有され得るが、最終生成物性能を低下させないような入念な方法制御が必要である。
【0167】
更に、本発明の吸水性材料は、とりわけ使用中の不快臭につながる化合物を実質的に含有しない。
【0168】
本発明の吸水性材料は、非常に白いが、このことは、高分率の吸水性材料を有する超薄おむつにおいてとりわけ必要なことである。最小限の色の変化でさえ、超薄おむつの薄いトップシートを通して視認可能であるが、これは、消費者に受け入れられるものではない。特に、本発明の吸水性材料はまた、長期に亘る期間(20日間)、非常に湿度の高い条件(相対湿度90%)下で、高温(60℃)で無防備で保存される場合であっても、その白色を大いに維持する。
【0169】
本発明は、更に、本発明による吸水性材料を含む衛生品、好ましくは、50質量%〜100質量%、好ましくは60質量%〜100質量%、より好ましくは70質量%〜100質量%、更により好ましくは80質量%〜100質量%、最も好ましくは90質量%〜100質量%の本発明による吸水性材料(当然吸収体層を囲むクロージャを含まない)から成る吸収体層を含む超薄おむつを提供するものである。
【0170】
また、本発明の吸水性材料は、例えばWO2005/097025、US−A2003/0181115、US−A2004/0019342、及びUS−A2003/0181115に記載されるに通りのおむつ、積層体、及び複合構造体を製造するために非常に有利である。
【0171】
熱処理の質を決定するために、記載の試験方法を用いて乾燥吸水性材料を試験する。
【0172】
方法:
測定は、特記しない限り、23±2℃の周囲温度並びに50±10%の相対湿度で実施しなければならない。吸水性材料は、測定前に完全に混合される。
【0173】
遠心分離保持能力(CRC)
遠心分離保持能力は、各実施例について実施例で報告される粒径分布を有する実際の試料が測定される場合を除き、EDANA(欧州不織布協会)推奨試験方法番号441.2−02「遠心分離保持能力」により測定される。
【0174】
荷重下吸収量(AUL)
荷重下吸収量は、各実施例について実施例で報告される粒径分布を有する実際の試料が測定される場合を除き、EDANA(欧州不織布協会)推奨試験方法番号442.2−02「圧力下吸収量」により測定される。
【0175】
固定高さ吸収性(FHA)
FHAは、ウィッキングにより流体を輸送する膨潤ゲル層の性能を測定する方法である。それは、EP01493453A1の9及び10頁に記載されるように実施され、評価される。
【0176】
以下の調整は、本明細書に対して行われる必要がある。
【0177】
実験室条件は23±2℃であり、相対湿度はせいぜい50%である。
【0178】
ガラスフリット:ISO4793で規定される通りの500mLガラスフリットP40、公称孔径16〜40μm、厚さ7mm、例えばDuran Schott細孔径クラス3。20℃:30cmの直径のディスクは、50mbarの圧力低下のために50mL/分の水流が可能でなければならない。
【0179】
フリットによる漏斗と分液漏斗との結合のための軟質プラスチックTygonチューブ。長さは、漏斗の20cmの上下移動を可能にするために十分でなければならない。
【0180】
例えばFripa Papierfabrik Albert Friedrich KG(D−63883 (ドイツ国ミルテンベルク))により供給される高湿潤強度セルロース組織(最大坪量24.6g/cm2、大きさ80×80mm、最小湿潤引張強さ0.32N/cm(CD方向)及び0.8N/cm(MD方向))の使用。
【0181】
組織は、試料ホルダの底側上の金属リングで固定される。
【0182】
算出:
FHA=(m3−m2)÷(m2−m1)
AGM1g当たりの吸収食塩溶液の質量
ここで
m1=空の試料ホルダの質量(g)
m2=乾燥AGMを有する試料ホルダの質量(g)
m3=湿潤AGMを有する試料ホルダの質量(g)
FHAは、20cmでFHAに対応する流体静力学カラム圧により本発明の背景において決定されるのみである。
【0183】
塩水流伝導度
膨潤ヒドロゲル層718の透過率を測定する方法は、「ゲル層透過率」としても既知の「塩水流伝導度」であり、幾つかの参考文献に記載されているが、その参考文献としては、1993年12月1日に出願のEP A640330、2004年2月3日に出願のUSSN11/349,696、2006年2月3日に出願のUSSN11/347,406、1982年9月30日に出願のUSSN06/682483、1982年10月14日に出願のUSPN4,469,710が挙げられる。次に、この方法に使用する機器について説明する。
【0184】
透過率測定システム
図1は、一定静水頭リザーバ414と、空気アドミタンス用開口管410と、補給用共栓通気孔412と、実験室ジャッキ416と、送出管418と、活栓420と、リングスタンド支持体422と、受入容器424と、秤426と、ピストン/シリンダ組立体428とを配置した透過率測定システム400を示す。
【0185】
図2は、金属重り512と、ピストン軸514と、ピストンヘッド518と、蓋516と、シリンダ520とを含むピストン/シリンダ組立体428を示す。シリンダ520は、透明ポリカーボネート(例えばLexan(登録商標))でできており、6.00cmの内径p(面積=28.27cm2)を有し、平滑な内側シリンダ壁550を有する。シリンダ520の底548は、シリンダ520の底548への装着前に張り詰めて二軸延伸させたUS.Standard400のステンレス鋼スクリーンクロス(図示せず)と対向する。ピストン軸514は、透明ポリカーボネート(例えばLexan(登録商標))でできており、約127mmの全長qを有する。ピストン軸514の中央部526は、21.15mmの直径rを有する。ピストン軸514の上部528は、15.8のmmの直径sを有し、肩部524を形成する。ピストン軸514の下部546は、約5/8インチの直径tを有し、ピストンヘッド518のセンタ穴618(図3参照)内にねじ切りされて堅固にねじ止めされている。ピストンヘッド518は、透明ポリカーボネート(例えばLexan(登録商標))でできており、穿孔され、また、延伸させたUS.Standard400のステンレス鋼スクリーンクロス(図示せず)で篩にかけられる。重り512は、ステンレス鋼であり、中心孔530を有し、ピストン軸514の上部528上に摺動し、肩部524上に載置される。ピストンヘッド518と、ピストン軸514と、重り512との総質量は、596g(±6g)であり、それは、シリンダ520の領域に亘って0.30psiに相当する。材料を除去するため、及び/又は、重りを加えるための空洞を提供するために、総質量は、ピストン軸514の重心軸532の下に止まり穴を穿孔することにより調整され得る。シリンダ蓋516は、垂直にピストン軸514を配置するためのその中心部内の第1の蓋開口部534と、一定静水頭リザーバ414からシリンダ520内に流体を導入するための端部538の近くの第2の蓋開口部536とを有する。
【0186】
第1の直線状インデックスマーク(図示せず)は、重り512の上面552に沿って放射状に線が刻みつけられ、第1の直線状インデックスマークは、ピストン軸514の重心軸532に対して横断する。対応する第2の直線状インデックスマーク(図示せず)は、ピストン軸514の上面560に沿って放射状に線が刻みつけられ、第2の直線状インデックスマークは、ピストン軸514の重心軸532に対して横断する。対応する第3の直線状インデックスマーク(図示せず)は、ピストン軸514の中央部526に沿って線が刻みつけられ、第3の直線状インデックスマークは、ピストン軸514の重心軸532と平行にある。対応する第4の直線状インデックスマーク(図示せず)は、シリンダ蓋516の上面540に沿って放射状に線が刻みつけられ、第4の直線状インデックスマークは、ピストン軸514の重心軸532に対して横断する。更に、対応する第5の直線状インデックスマーク(図示せず)は、シリンダ蓋516のリップ554に沿って線が刻みつけられ、第5の直線状インデックスマークは、ピストン軸514の重心軸532と平行にある。対応する第6の直線状インデックスマーク(図示せず)は、シリンダ外壁542に沿って線が刻みつけられ、第6の直線状インデックスマークは、ピストン軸514の重心軸532と平行にある。第1、第2、第3、第4、第5及び第6の直線状インデックスマークのアラインメントにより、重り512、ピストン軸514、シリンダ蓋516及びシリンダ520を、各測定のために相互に同じ方向に移動させることが可能になる。
【0187】
シリンダ520の規格の詳細は、以下の通りである:
シリンダ520の外径u:70.35mm
シリンダ520の内径p:60.0mm
シリンダ520の高さv:60.5mm
シリンダ蓋516の規格の詳細は、以下の通りである:
シリンダ蓋516の外径w:76.05mm
シリンダ蓋516の内径x:70.5mm
リップ554を備えるシリンダ蓋516の厚みy:12.7mm
リップのないシリンダ蓋516の厚みz:6.35mm
第1の蓋開口部534の直径a:22.25mm
第2の蓋開口部536の直径b:12.7mm
第1及び第2の蓋開口部534及び536の中心間の距離:23.5mm
重り512の規格の詳細は、以下の通りである:
外径c:50.0mm
中心孔530の直径d:16.0mm
高さe:39.0mm
ピストンヘッド518の規格の詳細は
直径f:59.7mm
高さg:16.5mm
9.65mmの直径hを有する外部穴614(合計14個)であって、センタ穴618の中心から47.8mmの中心により等間隔に配置される外部穴614
9.65mmの直径iを有する内部穴616(合計7個)であって、センタ穴618の中心から26.7mmの中心により等間隔に配置される内部穴616
センタ穴618は、5/8インチの直径jを有し、ねじ切りされてピストン軸514の下部546を受け入れる。
【0188】
使用前に、ピストンヘッド518及びシリンダ520のステンレス鋼スクリーン(図示せず)は、目詰まり、穴、又は過剰伸張について点検されなければならず、場合により取り替えなければならない。損傷を受けたスクリーンを有するSFC装置は、誤ったSFC結果を送る可能性があり、スクリーンが取り替えられるまで使用してはならない。
【0189】
5.00cmマーク556は、シリンダ520の底548に取り付けられるスクリーン(図示せず)より上に5.00cmの高さk(±0.05cm)でシリンダ520に線が刻みつけられる。これは、分析の間維持される流体レベルを記録する。正確且つ一定の流体レベル(静圧)の維持は、測定精度のために重要である。
【0190】
一定静水頭リザーバ414は、シリンダ520に塩溶液432を送り、シリンダ520の底548に取り付けられるスクリーン(図示せず)より上に5.00cmの高さkで塩溶液432のレベルを維持するために使用される。空気取入チューブ410の底434は、測定の間、必要な5.00cmの高さkでシリンダ520内の塩溶液432レベルを維持するために配置され、即ち、空気チューブ410の底434は、受入容器424より上のリングスタンド440上の支持体スクリーン(図示せず)上にあるため、シリンダ520上の5.00cmマーク556とほとんど同一の平面438内にある。空気取入チューブ410とシリンダ520上の5.00cmマーク556との適切な高さアラインメントは、分析において重要である。適切なリザーバ414は、以下を含むジャー430から成る:流体送出用水平方向L字状送出管418、一定静水頭リザーバ414の中で固定高さで空気を受け入れるための垂直方向開口管410、及び一定静水頭リザーバ414の補充用共栓通気孔412。チューブ410は、xx mmの内径を有する。送出管418は、一定静水頭リザーバ414の底442の近くに配置され、塩溶液432の送出の開始/停止のための活栓420を含む。送出管418の排出口444は、シリンダ蓋516内の第2の蓋開口部536を通して挿入するように寸法が決められ、その末端は、シリンダ520内の塩溶液432の表面の下に配置される(シリンダ520内で塩溶液432の5.00cmの高さが達成された後)。空気取入チューブ410は、Oリングカラー(図示せず)により適当な状態に保たれる。一定静水頭リザーバ414は、その高さをシリンダ520の高さに対して調整するために、実験室ジャッキ416上に配置され得る。一定静水頭リザーバ414の構成要素は、速やかにシリンダ520を必要な高さ(即ち静水頭)に充填し、測定中にこの高さを維持するように寸法決めされる。一定静水頭リザーバ414は、少なくとも10分間、少なくとも3g/秒の流速で塩溶液432の送出が可能でなければならない。
【0191】
ピストン/シリンダ組立体428は、16メッシュ剛体ステンレス鋼支持体スクリーン(図示せず)上に配置され、(即ち)それは、リングスタンド440上又は適切な代替の剛体スタンド上に支持される。この支持体スクリーン(図示せず)は、塩溶液432の流れを妨害しないよう十分に透過性であり、伸張を防止するステンレス鋼メッシュクロス(図示せず)を支持するのに十分に剛性である。支持体スクリーン(図示せず)は、試験中にピストン/シリンダ組立体428が傾くことを回避するために、平坦且つ水平でなければならない。支持体スクリーン(図示せず)を通過する塩溶液432は、支持体スクリーン(図示せず)の下に配置される(しかし支持しない)受入容器424内に回収される。受入容器424は、少なくとも0.01gまで正確な秤426の上に配置される。秤426のデジタル出力は、コンピュータ化されたデータ取得システム(図示せず)に接続される。
【0192】
試薬(図示せず)の製造
Jayco Synthetic Urine(JSU)712(図4参照)を膨潤相のために使用し(下記SFC手順参照)、0.118M塩化ナトリウム(NaCl)溶液を、流動相のために使用する(下記SFC手順参照)。以下の製造品は、標準として1リットルの体積とする。1リットル以外の体積の製造のために、全ての量は、それに応じて増減させる。
【0193】
JSU:1Lのメスフラスコに、その体積の80%まで蒸留水を充填し、フラスコ内に磁気攪拌棒を置く。別々に、秤量する紙又はビーカーを使用して、分析用天秤を使用して以下の量の乾式成分を±0.01gまで秤量し、以下に示したのと同じ順序でメスフラスコに量的に添加する。全ての固体が溶解されるまで適切な撹拌プレート上で溶液を撹拌し、撹拌棒を取り除き、溶液を、蒸留水で1Lの体積に希釈する。撹拌棒を再度挿入し、更に2、3分間溶液を撹拌プレート上で撹拌する。
【0194】
1リットルのJayco合成尿を作製するための塩の量:
塩化カリウム(KCl)2.00g
硫酸ナトリウム(Na2SO4)2.00g
リン酸二水素アンモニウム(NH42PO4)0.85g
リン酸アンモニウム(二塩基性)((NH42HPO4)0.15g
塩酸カルシウム(CaCl2)0.19g−[又は水和塩酸カルシウム(CaCl2・2H2O)0.25g]
塩化マグネシウム(MgCl2)0.23g−[又は水和塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O)0.50g]
製造をより急速に行うため、各塩は、次のものを添加する前に完全に溶解される。Jayco合成尿は、清浄ガラス容器中に2週間保存され得る。溶液は、濁る場合、使用してはならない。清浄プラスチック容器中の保存寿命は、10日間である。
【0195】
0.118M塩化ナトリウム(NaCl)溶液:0.118M塩化ナトリウムは、塩溶液432として使用される。秤量する紙又はビーカーを使用して、6.90g(±0.01g)の塩化ナトリウムを秤量し、量的に1Lのメスフラスコに移し;前記フラスコに蒸留水を量的に充填する。攪拌棒を加え、全ての固体が溶解されるまで、溶液を撹拌プレート上で混合する。
【0196】
試験製造
固体基準円筒重り(図示せず)(直径40mm;高さ140mm)を使用して、キャリパーゲージ(図示せず)(例えばMitotoyo Digimatic Height Gage)を、ゼロを示すように設定する。この操作は、平滑且つ水平なベンチ天板446上で都合よく実施される。超吸収性物質を有さないピストン/シリンダ組立体428をキャリパーゲージ(図示せず)の下で配置し、測定値(L1)を0.01mmの精度で記録する。
【0197】
一定静水頭リザーバ414には、塩溶液432が充填される。空気取入チューブ410の底434は、測定の間5.00cmマーク556でシリンダ520内の液体メニスカス(図示せず)の上部(図示せず)を維持するように配置される。シリンダ520上の5.00cmマーク556での空気取入チューブ410の適切な高さアラインメントは、分析に重要である。
【0198】
受入容器424は、秤426に配置され、秤426のデジタル出力は、コンピュータ化されたデータ取得システム(図示せず)に接続される。16メッシュ剛体ステンレス鋼支持体スクリーン(図示せず)を有するリングスタンド440は、受入容器424より上に配置される。16メッシュクリーン(図示せず)は、測定の間、ピストン/シリンダ組立体428を支持するために十分に剛性でなければならない。支持体スクリーン(図示せず)は、平坦且つ水平でなければならない。
【0199】
SFC手順
0.9g(±0.05g)の超吸収性物質を、分析用天秤を使用して適切な秤量紙上で秤量する。0.9g(±0.05g)の超吸収性物質を、分析用天秤を使用して適切な秤量紙上で秤量する。超吸収性物質の水分率は、Edana Moisture Content Test Method 430.1−99("Superabsorbent materials−Polyacrylate superabsorbent powders−MOISTURE CONTENT−WEIGHT LOSS UPON HEATING"(1999年2月))に従って測定される。ポリマーの水分率が5%超である場合、ポリマー質量は、水分について補正されなければならない(即ち、添加ポリマーは、乾燥質量基準で0.9gでなければならない)。
【0200】
空のシリンダ520を、水平ベンチ天板446に配置し、超吸収性物質をシリンダ520内に量的に移す。シリンダ520を静かに振盪し、回転させ、及び/又は軽くたたくことにより、超吸収性粒子を、シリンダ520の底548に取り付けられたスクリーン(図示せず)上で均一に分散させる。最高精度の結果を得るためには、シリンダ520の底548に取り付けられたスクリーン(図示せず)上の粒子の均一な分布を有することが重要である。超吸収性物質は、シリンダ520の底548に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に均一に分布した後、粒子は、内部シリンダ壁550に付着してはならない。ピストン軸514を、第1の蓋開口部534に挿入するが、蓋516のリップ554は、ピストンヘッド518に対向する。ピストンヘッド518を、シリンダ520内に数センチメートルの深さに慎重に挿入する。次いで、ピストンヘッド518を超吸収性物質から離すように注意すると共に、蓋516を、シリンダ520の上部リム544上に配置する。次いで、第3、第4、第5及び第6の直線状インデックスマークを整列配置するように、蓋516及びピストン軸526を慎重に回転させる。次いで、ピストンヘッド518(ピストン軸514を介して)を静かに降ろして、乾燥超吸収性物質上に載置する。重り512を、第1及び第2の直線状インデックスマークが整列配置されるように肩部524に載置するようにピストン軸514の上部528に配置する。蓋516の適切な装着により、結合が防止され、ヒドロゲル層718上の質量の均一な分布が確保される。
【0201】
膨潤相:直径8cmのフリットディスク(厚さ7mm;例えば、Chemglass Inc.#CG201−51、粗大気孔群)710を、フリットディスク710が飽和するまで、余分なJSU712をフリットディスク710に添加することにより飽和させる。飽和フリットディスク710を、広い平底ペトリ皿714内に配置し、フリットディスク710の上面716に達するまでJSU712を添加する。JSUの高さは、フリットディスク710の高さを上回ってはならない。
【0202】
シリンダ520の底548に取り付けられたスクリーン(図示せず)は、容易に延伸される。延伸を防止するために、ピストン/シリンダ組立体428のシリンダ520を把持すると共に人さし指で蓋516の直上のピストン軸514に横向きの圧力を印加する。これは、過度の力をスクリーン(図示せず)に及ぼすことなくピストン/シリンダ組立体428を持ち上げることができるように、蓋516に対して原位置でピストン軸514を「係止する」。
【0203】
ピストン/シリンダ組立体428の全体は、この方法で持ち上げられ、ペトリ皿714内のフリットディスク710上に配置される。ペトリ皿714からのJSU712は、フリットディスク710を通過し、超吸収性ポリマー(図示せず)により吸収されてヒドロゲル層718を形成する。ペトリ皿714内で利用可能なJSU712は、全ての膨潤相にとって十分なものでなければならない。フリットディスク710の上面716でJSU712レベルを維持するために、水和期間中に、場合によりより多くのJSU712をペトリ皿714に添加してよい。60分の期間後、確実に上記の通りの蓋516に対してピストン軸514を係止し、この手順の間にヒドロゲル層718がJSU712を失わないよう、若しくは空気を取り入れないよう注意しつつ、ピストン/シリンダ組立体428をフリットディスク710から取り外す。ピストン/シリンダ組立体428をキャリパーゲージ(図示せず)の下で配置し、測定値L2を0.01mmの精度で記録する。時間と共に示度が変化する場合、初期値だけを記録する。ヒドロゲル層718の厚みL0を、L2−L1から0.1mmの精度で測定する。
ピストン/シリンダ組立体428の全体を、この方法で上記のように持ち上げ、リングスタンド440に取り付けられた支持体スクリーン(図示せず)上に配置する。この手順の間、ヒドロゲル層718がJSU712を失わないか、若しくは空気を取り入れないように注意しなければならない。ペトリ皿714内で利用可能なJSU712は、全ての膨潤相にとって十分なものでなければならない。5.00cmマーク556でJSU712レベルを維持するために、水和期間中、場合によりより多くのJSU712をペトリ皿714に添加してよい。60分の期間後、上記の蓋516に対してピストン軸514を係止するよう注意しつつ、ピストン/シリンダ組立体428を取り外す。ピストン/シリンダ組立体428をキャリパーゲージ(図示せず)の下で配置し、キャリパ(図示せず)を0.01mmの精度でL2として測定する。ヒドロゲル層718の厚みL0を、L2−L1から0.1mmの精度で測定する。時間と共に示度が変化する場合、初期値だけを記録する。
【0204】
蓋516に対して原位置でピストン軸514を係止するように注意しつつ、ピストン/シリンダ組立体428を、リング支持体スタンド440に取り付けられた支持体スクリーン(図示せず)に移す。一定静水頭リザーバ414は、送出管418が第2の蓋開口部536を通して配置されるように置かれる。測定は、以下の順序で開始される:
a)一定静水頭リザーバ410の活栓420を開放し、塩溶液432がシリンダ520上の5.00cmマーク556に達するようにする。この塩溶液432のレベルは、活栓420を開放する10秒以内に得られなければならない。
b)5.00cmの塩溶液432に到達すると、データ収集プログラムを開始する。
【0205】
秤426に取り付けられたコンピュータ(図示せず)を用いて、ヒドロゲル層718を通過する塩溶液432の量を、10分間の間20秒間隔で記録する。10分間の終わりに、一定静水頭リザーバ410上の活栓420を閉鎖する。ピストン/シリンダ組立体428を直ちに取り外し、キャリパーゲージ(図示せず)の下で配置し、測定値(L3)を0.01mmの精度で記録する。ヒドロゲル層718の最終厚さLfを、上記のようにL3−L1から0.1mmの精度で測定する。ヒドロゲル層718の厚さの変化率は、(Lf/L0)×100から決定される。一般に、ヒドロゲル層718の厚さの変化は、約±10%の範囲内である。
【0206】
SFC算出においては、60秒から実験の終了時までのデータを使用する。60秒の前に収集されるデータは、算出に含めない。流量Fs(g/s)は、60秒から600秒までの時間(秒)の関数としての回収された塩溶液432の質量(グラム)のグラフに当てはめた線形最小二乗の勾配である。
【0207】
別の測定において、透過率測定システム400(Fa)を介した流量は、ヒドロゲル層718が存在しないこと以外は上記の通りに測定される。Faが、ヒドロゲル層718が存在する場合の透過率測定システム400を介した流量(Fs)よりはるかに大きい場合、透過率測定システム400(ピストン/シリンダ組立体428を含む)の流動抵抗についての補正は必要ない。この限定において、Fg=Fsであり、ここでFgは、透過率測定システム400の流量に対するヒドロゲル層718の寄与分である。しかしながら、この要件が満たされない場合、以下の補正を用いて、Fs及びFaの値からFgの値を算出する:
Fg=(Fa×Fs)/(Fa−Fs)
ヒドロゲル層718の塩水流伝導度(K)は、以下の方程式を用いて算出される:
K=[Fg(t=0)×L0]/[ρ×A×ΔP]
ここで、Fgは、透過率測定システム400による流量の結果とあらゆる補正との回帰分析から決定されるg/秒の流量であり、L0は、cmでのヒドロゲル層718の初期厚さであり、ρは、グラム/cm3での塩溶液432の密度である。A(上記の方程式の)は、インチ/cm2でのヒドロゲル層718の面積であり、ΔPは、ダイン/cm2での静圧であり、塩水流伝導度(K)は、cm3秒/グラムを単位とする。3つの測定値の平均を報告しなければならない。
【0208】
ヒドロゲル層718について、流量が実質的に一定の場合、透過係数(κ)は、以下の方程式を用いて塩水流伝導度から算出することができる:
κ=Kη
[式中、ηは、ポアズでの塩溶液432の粘性であり、透過係数(κ)は、cm2を単位とする]。
【0209】
一般に、流量は、一定である必要はない。システムを介する時間依存流量(Fs(t))は、透過率測定システム400を通過する塩溶液432の増加質量(グラム)を増加時間(秒)で割ることにより、g/秒を単位として決定される。60秒〜10分の時間で収集されたデータだけが、流量算出に用いられる。60秒〜10分の流量の結果を用いて、Fs(t=0)(ヒドロゲル層718を通る初期流速)についての値を算出する。Fs(t=0)は、t=0まで時間に対するFs(t)の最小二乗法の結果を外挿することにより算出される。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】図1は、塩水流伝導度試験を実施するための適切な透過率測定システムの部分断面側面図である。
【図2】図2は、塩水流伝導度試験の実施に使用するピストン/シリンダ組立体の断面側面図である。
【図3】図3は、図2に示されるピストン/シリンダ組立体の使用に適しているピストンヘッドの上面図である。
【図4】図4は、膨潤相のためのフリットディスク上に配置される図2のピストン/シリンダ組立体の断面側面図である。
【0211】
16h抽出分
吸水性ポリマー粒子における抽出可能成分の濃度は、EDANA(欧州不織布協会)推奨試験方法番号470.2−02「電位差滴定法による抽出可能ポリマー含有量の測定」により測定される。
【0212】
pH値
吸水性材料のpHは、EDANA(欧州不織布協会)推奨試験方法番号400.2−02「pHの測定」により測定される。
【0213】
自由膨潤速度(FSR)
1.00g(=W1)の乾燥吸水性材料を25mLのガラスビーカー内で秤量し、ガラスビーカーのベース上で一様に分布させる。次いで、20mLの0.9質量%塩化ナトリウム溶液を第2のガラスビーカーに分注し、このビーカーの内容物を第1のビーカーに速やかに添加し、ストップウォッチを開始する。塩溶液の最後の滴下の吸収が液体表面上の反射の消失により確認されるとすぐに、ストップウォッチを停止させる。第2のビーカーから注入され、第1のビーカー内のポリマーによって吸収される液体の正確な量を、第2のビーカーを再度秤量(=W2)することにより正確に測定する。ストップウォッチで測定された吸収に必要な時間は、tで示す。表面上の液体の最後の滴下の消失は、時間tで定義される。
【0214】
自由膨潤速度(FSR)は、以下の通りに算出される:
FSR[g/gs]=W2/(W1×t)
しかしながら、ヒドロゲル形成ポリマーの水分率が3質量%を超える場合、質量W1は、この水分率について補正されなければならない。
【0215】
水抽出液の表面張力
0.50gの吸水性材料を小さいガラスビーカーに秤量し、40mLの0.9質量%塩溶液と混合する。ビーカーの内容物を、500rpmで3分間磁気撹拌し、次いで2分間沈殿させる。最終的に、上清の水相の表面張力を、K10−STデジタルテンシオメータ又は白金プレート(Kruess)を有する同等の装置で測定する。前記測定は、23℃の温度で実施する。
【0216】
ヒドロゲルの水分率
吸水性材料の含水率は、EDANA(欧州不織布協会)推奨試験方法番号430.2−02「水分率」により測定される。
【0217】
臭気試験
膨潤吸水性材料の臭気を評価するために、2.0gの乾燥ポリマー粒子を、50mLのガラスビーカー内に秤量する。次いで、23℃の0.9質量%塩化ナトリウム溶液20gを添加する。膨潤吸水性材料が入っているガラスビーカーをパラフィルムで覆い、3分間静置する。その後フィルムを除去して、臭気を評価することができる。各試料は、少なくとも3人の試験官により検討され、各人について別個の試料が製造される。
【0218】
CIE色数(Lab)
比色測定を、CIELAB手順(Hunterlab,volume8,1996,issue7,pages1−4)に従い行った。CIELABシステムにおいて、色は、3次元システムの座標L*、a*及びb*を介して表される。L*は明度を示し、L*=0は黒色を示し、L*=100は白色を示す。a*及びb*値は、それぞれ赤/緑及び黄/青の色軸上の色の位置を示し、+a*は赤色を表し、−a*は緑色を表わし、+b*は黄色を表わし、−b*は青色を表わす。
【0219】
比色測定は、ドイツ標準規格DIN5033−6の三範囲法に従う。
【0220】
Hunter60値は、表面の白色度の目やすであり、L*−3b*で定められ、即ち、値が低くなると、色はより暗く且つより黄色くなる。
【0221】
Hunterlab LS5100比色計を使用した。
【0222】
EDANA試験方法は、例えば、欧州不織布協会(Avenue Eugene Plasky 157、B−1030、ブリュッセル、ベルギー)で入手可能である。
【0223】
実施例:
実施例1−ベースポリマーの製造
容量5LのLoedige VT5R−MKプローシェアーニーダに206.5gの脱イオン水と、271.6gのアクリル酸と、2115.6gの37.3質量%アクリル酸ナトリウム溶液(100モル%中和)と、更に3.5gの三倍エトキシル化グリセロールトリアクリレート架橋剤とを投入した。この初期投入物を、それに20分間窒素をバブリングすることにより不活性化した。その後、2.453gの過硫酸ナトリウム(13.9gの水に溶解)と、0.053gのアスコルビン酸(10.46gの水に溶解)と、更に0.146gの30質量%過酸化水素(1.31gの水に溶解)との希薄水溶液を添加し、約20℃で重合を開始した。開始後、反応器内の反応温度に正確に続くように(断熱反応を模倣するように)加熱ジャケットの温度を制御した。次いで、最終的に得られた脆いゲルを、160℃で約3時間循環空気乾燥キャビネット内で乾燥した。
【0224】
篩上粒子及び篩下粒子を篩にかけることにより、乾燥ベースポリマーを粉砕し、200〜600μmに分級した。
【0225】
ポリマーの特性(平均)は、以下の通りであった:
粒径分布(平均):
<200μm:1.8質量%
200〜500μm:55.5質量%
500〜600μm:37.1質量%
>600μm:5.5質量%
CRC=35.6g/g
AUL 0.3psi=17.9g/g
16h抽出分=12.7質量%
pH=5.9
実施例2−ベースポリマーの製造
製造は、内部架橋剤として5.25gの18重エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート架橋剤を使用したこと以外は実施例1と同様であった。篩上粒子及び篩下粒子を篩にかけることにより、乾燥ベースポリマーを粉砕し、150〜500μmに分級した。
【0226】
ポリマーの特性(平均)は、以下の通りであった:
粒径分布:
<150μm:0.5質量%
150〜500μm:98.0質量%
>500μm:1.5質量%
CRC=34g/g
AUL 0.3psi=11.2g/g
16h抽出分=12.1質量%
pH=5.9
実施例3:(窒素含有水溶性ポリマーによって)
被覆懸濁液の製造は、以下の通りであった:
31.04gの水、
6.0gのリン酸三カルシウム(BUDENHEIM(ドイツ国)のC型53−80)、
12.37gのイソプロパノール、
0.84gの1,3−プロパンジオール、
0.85gのN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン、
0.036gのソルビタンモノラウレート(ALDRICH)、及び
2.86gの、部分的(約50モル%)加水分解ポリビニルホルムアミドポリマー(=ポリビニルアミン:BASF Aktiengesellschaft(ドイツ国)のLuredur(登録商標)PR8097)の10.5質量%水溶液
成分をビーカーに投入し、Ultraturrax(IKA Type TP18/10、Shaft:S25N−10G)で約1分間均質化した。
【0227】
容量5LのLoedigeプローシェアーミキサに室温で実施例1による1200gのベースポリマーを投入した。アトマイジングガスとして1バール圧の窒素を使用し、被覆懸濁液を供給するための蠕動ポンプを使用して、2−スタッフノズルを介して約10分以内に200rpmの回転速度で被覆懸濁液をポリマー粒子上に噴霧した。
【0228】
被覆の終了直後、被覆ポリマー粒子を、第2の既に予熱された容量5LのLoedigeプローシェアーミキサ(245℃サーモスタット温度)に移し、窒素不活性下で60分間190℃(生成物温度)にまで加熱した。生成物温度の上昇に伴い、ターゲット温度に近づくと、サーモスタット温度を215℃に低下させ、実施終了まで変化させなかった。滞留時間に対するポリマー性能の特性を評価するために、予熱したミキサ試料を投入して20分後の開始を10分毎に行った。形成し得る凝集物を除去するために、表面架橋ポリマー粒子を、熱処理後に600μmスクリーンで篩にかけた。
【0229】
結果を以下の第1表に示す。
【0230】
第1表:30、40及び50分の滞留時間の後の性能パラメータ
【表1】

【0231】
実施例4〜5:
ポリビニルアミン(Luredur PR8097)の量を変化させ、更に疎水性ポリマー分散液(ポリエテロール系のBASF Aktiengesellschaft(ドイツ国)のAstacinFinish PUMN TF水性アニオン性脂肪族ポリウレタン分散液、固形分約38%、pH約8)を実施例5において塗布した以外は完全に実施例3と同様に、実施例1によるベースポリマーを表面架橋した。適切な量及び種類並びにそれぞれの表面架橋ポリマーの性能を第2表に示す。
【0232】
第2表:
【表2】

【0233】
Bop:被覆されるベースポリマーの質量に基づく使用量
実施例6及び8〜11:(疎水性ポリマーによる)
架橋剤含有懸濁液A:
Ag 水、
Bg リン酸三カルシウム(BUDENHEIM(ドイツ国)のC型13−09)
Cg リン酸三カルシウム(THERMPHOS(英国)のC型130)
Dg イソプロパノール、
1.20g 1,3−プロパンジオール、
1.25g N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン、
Eg 制塵剤TP70(7重エトキシル化トリメチロールプロパン、Perstorp、スウェーデン)、及び
成分をビーカー内に投入し、Ultraturrax(IKA Type TP18/10、Shaft:S25N−10G)で約1分間均質化した。各実施例において使用するそれぞれの量A〜E並びにX、Yを第3表に示す。
【0234】
疎水性ポリマー分散液B
Xg 疎水性ポリマー
Yg 水
疎水性ポリマー分散液を水のみで希釈し、標準的な実験室撹拌機で均質化した。各実施例において使用する分散液のそれぞれの量及び種類を第3表に示す。
【0235】
容量5LのLoedigeプローシェアーミキサに室温で実施例2によるベースポリマー1200gを投入した。
今回は2−スタッフ−ノズルを同時に使用した以外は被覆懸濁液の塗布を実施例3と同様に行った。ノズル1を介して架橋剤含有懸濁液Aを、ノズル2を介して疎水性ポリマー分散液Bを塗布した。両分散液を、約10分間同時に塗布した。アトマイジングガスとして1バール圧の窒素を使用し、前記2種の分散液を供給するための蠕動ポンプを使用して、2−スタッフノズルで200rpmの回転速度で前記分散液をポリマー粒子上に噴霧した。被覆の終了直後、被覆ポリマー粒子を、第2の既に予熱された容量5LのLoedigeプローシェアーミキサ(245℃サーモスタット温度)に移し、窒素不活性下で60分間185℃(生成物温度)にまで加熱した。生成物温度の上昇に伴い、ターゲット温度に近づくと、サーモスタット温度を210℃に低下させ、実施終了まで変化させなかった。滞留時間に対するポリマー性能の特性を評価するために、予熱したミキサ試料を投入して20分後の開始を10分毎に行った。形成し得る凝集物を除去するために、表面架橋ポリマー粒子を、熱処理後に500μmスクリーンで篩にかけた。結果を第3表に示す。
【0236】
実施例7:
実施例7の手順は、生成物のみを185℃に加熱したこと以外は実施例3と完全に同様であった。使用した被覆剤の量及び種類を第3表に示す。
【0237】
被覆懸濁液の製造は、以下の通りであった:
24.01g 水、
9.6g リン酸三カルシウム(BUDENHEIM(ドイツ国)のC型13−09)
11.52g イソプロパノール、
1.20g 1,3−プロパンジオール、
1.25g N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン、
4.80g 制塵剤TP70(7重エトキシル化トリメチロールプロパン、Perstorp、スウェーデン)、及び
5.22g Mowilith DM799(Celanese GmbH(ドイツ国)のアクリルエステルコポリマー分散液、固形分約46%)
成分をビーカー内に投入し、Ultraturrax(IKA Type TP18/10、Shaft:S25N−10G)で約1分間均質化した。
【0238】
【表3】

【0239】
Epotal(登録商標)A480 BASF Aktiengesellschaftの水性アニオン性コポリマー分散液、スチレン−アクリレート−アクリロニトリル系/固形分約50%
Mowilith(登録商標)DM799 Celanese GmbH(ドイツ国)のアクリルエステルコポリマー分散液/固形分約46%
Astacin(登録商標)Finish PUMN TF BASF AG(ドイツ国)の水性アニオン性脂肪族ポリウレタン分散液、ポリエテロール系/固形分約38%、pH約8
Corial(登録商標)Ultrasoft NT BASF Aktiengesellschaftの水性アニオン性ポリアクリレート分散液/固形分約35%、pH約8
Poligen(登録商標)MA BASFの水性アニオン性(メタ)アクリル−コポリマー分散液/固形分約40%
Astacin(登録商標)Top140 BASF AG(ドイツ国)の水性アニオン性脂肪族ポリウレタン分散液、ポリエテロール系/固形分約40%
【符号の説明】
【0240】
400 透過率測定システム、 410 空気アドミタンス用開口管、 412 補給用共栓通気孔、 414 一定静水頭リザーバ、 416 実験室ジャッキ、 418 送出管、 420 活栓、 422 リングスタンド支持体、 424 受入容器、 426 秤、 428 ピストン/シリンダ組立体、 430 ジャー、 432 塩溶液、 434 底、 438 同一の平面、 440 リングスタンド、 442 底、 444 排出口、 446 ベンチ天板、 512 金属重り、 514 ピストン軸、 516 蓋、 518 ピストンヘッド、 520 シリンダ、 524 肩部、 526 ピストン軸、 528 ピストン/シリンダ組立体、 530 中心孔、 532 重心軸、 534 蓋開口部、 536 蓋開口部、 538 端部、 540 上面、 542 シリンダ外壁、 544 上部リム、 546 下部、 548 底、 550 内側シリンダ壁、 552 上面、 554 リップ、 556 5.00cmマーク、 560 上面、 614 外部穴、 616 内部穴、 618 センタ穴、 710 フリットディスク、 712 JSU、 714 平底ペトリ皿、 716 上面、 718 ヒドロゲル層、 a 第1の蓋開口部の直径、 b 第2の蓋開口部の直径、 c 重りの外径、 d 中心孔の直径、 e 重りの高さ、 f ピストンヘッドの直径、 g ピストンヘッドの高さ、 h 外部穴の直径、 i 内部穴の直径、 j センタ穴の直径、 k 高さ、 p シリンダの内径、 q ピストン軸の全長、 s ピストン軸の上部の直径、 t ピストン軸の下部の直径、 u シリンダの外径、 v シリンダの高さ、 w シリンダ蓋の外径、 x シリンダ蓋の内径、 y リップを備えるシリンダ蓋の厚み、 z リップのないシリンダ蓋の厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非表面架橋吸水性ポリマーの粒子を、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、
c)窒素がプロトン化されていてよい1種以上の窒素含有水溶性ポリマー、及び
d)1種以上の疎水性ポリマー、から選択される少なくとも1種の更なる成分と、に接触させるステップと、それにより得られた粒子を120℃〜300℃の範囲の温度で熱処理するステップと、を含む方法により得られる吸水性材料。
【請求項2】
前記吸水性ポリマー粒子が、
i)少なくとも1種のエチレン性不飽和酸官能性モノマーと、
ii)少なくとも1種の架橋剤と、
iii)適宜、i)と共重合可能な1種以上のエチレン性及び/又はアリル性不飽和モノマーと、
iv)適宜、全体的又は部分的にモノマーi)、ii)、及び適宜iii)でグラフトさせた1種以上の水溶性ポリマーと、を重合形態で含む、請求項1に記載の吸水性材料。
【請求項3】
後架橋剤が、アミドアセタール、カルバミン酸エステル、環式炭酸エステル、ビスオキサゾリン及び/又は多価アルコールであって、ヒドロキシル基1個につき100g/モル未満の分子量を有する前記多価アルコール、及びそれらの混合物を含む群から選択される、請求項1又は2に記載の吸水性材料。
【請求項4】
水不溶性金属リン酸塩が、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、鉄、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、スズ、セリウム、スカンジウム、イットリウム又はランタンのピロリン酸塩、リン酸水素塩及びリン酸塩並びにそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の吸水性材料。
【請求項5】
非表面架橋吸水性ポリマーが、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、
c)非表面架橋吸水性ポリマーに対して10〜1000ppmの、窒素がプロトン化されていてよい少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、に接触される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の吸水性材料。
【請求項6】
非表面架橋吸水性ポリマーが、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、
c)非表面架橋吸水性ポリマーに対して50〜1000ppmの、窒素がプロトン化されていてよい少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、
d)非表面架橋吸水性ポリマーに対して最高0.2質量%の少なくとも1種の疎水性ポリマーと、に接触される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の吸水性材料。
【請求項7】
非表面架橋吸水性ポリマーが、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、
d)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.001〜0.2質量%の少なくとも1種の疎水性ポリマーと、に接触される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の吸水性材料。
【請求項8】
非表面架橋吸水性ポリマーが、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、
c)非表面架橋吸水性ポリマーに対して最高500ppmの、窒素がプロトン化されていてよい少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、
d)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.01〜0.2質量%の少なくとも1種の疎水性ポリマーと、に接触される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の吸水性材料。
【請求項9】
非表面架橋吸水性ポリマーが、各々非表面架橋吸水性ポリマーに対して
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、
c)10〜1000ppmの、窒素がプロトン化されていてよい少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、
d)0.001〜0.2質量%の少なくとも1種の疎水性ポリマーと、に接触される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の吸水性材料。
【請求項10】
非表面架橋吸水性ポリマーの粒子を
a)後架橋剤と、
b)非表面架橋吸水性ポリマーに対して0.1〜1.0質量%の少なくとも1種の水不溶性金属リン酸塩と、
c)窒素がプロトン化されていてよい1種以上の窒素含有水溶性ポリマー、及び
d)1種以上の疎水性ポリマー、から選択される少なくとも1種の更なる成分と、に接触させるステップと、それにより得られた粒子を120℃〜300℃の範囲の温度で熱処理するステップと、を含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の吸水性材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−534751(P2010−534751A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518612(P2010−518612)
【出願日】平成20年7月21日(2008.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059495
【国際公開番号】WO2009/016054
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】