説明

吸水性樹脂粒子、吸収体及び吸収性物品

【課題】
振動等が加わっても吸収性能が低下しない吸水性樹脂粒子を提供することである。
【解決手段】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(a3)を必須構成単位としてなる架橋重合体粒子(A)と、水不溶性無機微粒子(B)とからなる吸水性樹脂粒子において、流動性が11〜30秒/50gであることを特徴とする吸水性樹脂粒子を用いる。(B)の流動性が20〜180秒/10gであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性樹脂粒子、これを用いてなる吸収体及び吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
親水性重合体と、液状変性剤(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びポリエチレングリコ等)を粉体化した粉体化変性剤{液状変性剤と無機粉体(酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛等)とからなる。}とからなる親水性樹脂が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−278900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の親水性樹脂は、吸収性物品に適用した場合、吸収性物品の輸送による振動等によって、親水性樹脂が吸収性物品の特定の部位に偏在しやすく、その結果、吸収性物品の使用時において、吸収性能(リウエット、モレ、ドライネス等)が低下するという問題がある。
すなわち、本発明の目的は、吸収性物品の輸送等による振動が加わっても吸収性能が低下しない吸水性樹脂粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の吸水性樹脂粒子を用いることにより上記問題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の吸水性樹脂粒子の特徴は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(a3)を必須構成単位としてなる架橋重合体粒子(A)と、水不溶性無機微粒子(B)とからなる吸水性樹脂粒子において、流動性が11〜30秒/50gである点を要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の吸水性樹脂粒子は、吸収性物品に適用した場合、輸送による振動等が加わっても吸収性能(リウェット、漏れ及びドライネス等)が低下しない。したがって、本発明の吸水性樹脂粒子を用いると、吸収性能にばらつきの小さい吸収性物品を安定に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
まず、架橋重合体粒子(A)について説明する。
水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つビニルモノマーを意味する。
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)としては特に限定がないが、例えば、特開2005−075982号公報に記載の水溶性ラジカル重合単量体が挙げられる。これらのうち、吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、特に好ましくは炭素数3〜30のビニル基含有カルボン酸(塩){不飽和モノカルボン酸(塩)((メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸及びこれらの塩等);不飽和ジカルボン酸(塩)(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸及びこれらの塩等);及び前記不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステル(マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸のエチルカルビトールモノエステル、フマル酸のエチルカルビトールモノエステル、シトラコン酸モノブチルエステル及びイタコン酸グリコールモノエステル等}、次に好ましくは不飽和モノカルボン酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0007】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又はビニルモノマー(a2)は、それぞれ、単独で構成単位としてもよく、2種以上を構成単位としてもよい。
水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)のうち、吸収性等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくは(a1)を単独で構成単位とすることである。
水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)の両方を構成単位とする場合、これらのビニルモノマー単位のモル比{(a1)/(a2)}は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)がさらに良好となる。
【0008】
内部架橋剤(a3)としては、例えば、特開2003−225565号公報に記載の内部架橋剤が使用できる。これらの内部架橋剤のうち、吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤が好ましく、さらに好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及び炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0009】
内部架橋剤(a3)単位の含有量(モル%)は、吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及びビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.01〜1が好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.5、特に好ましくは0.05〜0.1である。この範囲であると、吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)がさらに良好となる。
【0010】
架橋重合体粒子(A)は、さらに、共重合可能なその他のビニルモノマー(a4)を構成単位とできる{その他のビニルモノマー(a4)を構成単位として含まないことが好ましい。}。
その他のビニルモノマー(a4)としては、水溶性ビニルモノマー(a1)等と共重合できるモノマーであれば制限がなく、たとえば、特開2003−225565号公報に記載のビニルモノマー等が挙げられる。
その他のビニルモノマー(a4)を構成単位とする場合、(a4)単位の含有量(モル%)は、吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及びビニルモノマー(a2)単位の合計のモル数に基づいて、0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20、特に好ましくは0.1〜15である。
【0011】
架橋重合体粒子(A)の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜500、特に好ましくは300〜400である。この範囲であると、吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)がさらに良好となる。
【0012】
重量平均粒子径は、通常の方法、例えば、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2000)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm及び150μm、並びに受け皿の順、又は上から500μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0013】
また、微粒子の含有量は少ない方が吸収性能がよく、全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量が3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。
微粒子の含有量は、上記の重量平均粒子径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0014】
架橋重合体粒子(A)の粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点{本発明の目的を含む観点}及び吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)等の観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0015】
架橋重合体粒子(A)は、必要に応じて、公知(たとえば、特開2003−225565号公報)の表面架橋剤により表面架橋してもよい。表面架橋することにより、荷重下での吸収性能がさらに良好となる。
架橋重合体粒子(A)は、公知(たとえば、特開2003−225565号公報)の方法と同様にして容易に得られる。
【0016】
次に、水不溶性無機微粒子(B)について説明する。
水不溶性無機微粒子とは、25℃の水100gに対する無機化合物の溶解度が0.013g未満である無機微粒子を意味する。なお、溶解度は、「改訂3版 化学便覧 基礎編II(II−166ページ〜II−175ページ)」に記載された方法により測定される。
【0017】
水不溶性無機微粒子(B)の流動性(秒/10g)は、20〜180が好ましく、さらに好ましくは40〜160、特に好ましくは45〜140、最も好ましくは55〜135である。この範囲内であると、吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)がさらに優れる。
なお、流動性は、以下のように測定される。
測定試料の量「50±0.1g」を「10±0.1g」に変更したこと、及び「オリフィスを開ける」を「オリフィスを開けると同時に振動機(振動数1500回/分、振幅:5mm、振動方向:水平方向、例えば松下電工製:EV2600が使用できる)を使ってオリフィスの側面に振動を与え続ける」に変更したこと以外、JIS Z2502:2000に準拠して測定される。
【0018】
水不溶性無機微粒子(B)としては、酸化物{二酸化珪素(斜方晶、立法晶、六方晶及び単斜晶等)、酸化珪素(無定形等)、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等}、炭化物{炭化珪素及び炭化アルミニウム等}、窒化物{窒化チタン等}又はこれらの複合組成物からなる微粒子等が挙げられる。
これらのうち、酸化物微粒子が好ましく、さらに好ましくは二酸化珪素微粒子である。
水不溶性無機微粒子(B)には二酸化珪素を含有することが好ましく、さらに好ましくは水不溶性無機物粒子(B)の重量に基づいて80〜100重量%の二酸化珪素を含有すること、特に好ましくは90〜100重量%、最も好ましくは95〜100重量%の二酸化珪素を含有することである。この範囲であると吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)がさらに優れる。
【0019】
水不溶性無機微粒子(B)の体積平均粒子径(μm)は、0.1〜1000が好ましく、さら好ましくは2.5〜100、特に好ましくは7〜30μmである。この範囲であると吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)がさらに優れる。なお、体積平均粒子径は、JIS Z8825−1:2001に準拠して、25℃、シクロヘキサン中で測定される{たとえば、日機装社製:マイクロトラックUPAが使用できる}。
【0020】
水不溶性無機微粒子(B)の比表面積(m/g)は、20〜400が好ましく、さらに好ましくは30〜350、特に好ましくは40〜300である。この範囲内であると、吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)がさらに良好となる。
なお、比表面積は、JIS Z8830:2001(窒素、6.3.1容量法、7.2多点法)に準拠して測定される。
【0021】
水不溶性無機微粒子(B)の形状は(B)の流動性が上記範囲内であれば任意の形状でよく、たとえば、球状、顆粒状、破砕状、針状、薄片状及びこれらの一次粒子が互いに融着したような凝集状等が挙げられる。これらのうち、流動性等の観点から、顆粒状、破砕状、針状、薄片状及び凝集状が好ましく、さらに好ましくは破砕状、針状、薄片状及び凝集状、特に好ましくは破砕状、針状及び凝集状、次に好ましくは針状及び凝集状、最も好ましくは針状である。
【0022】
水不溶性無機微粒子(B)は、市場から入手でき、以下のものが好ましく例示できる。
【表1】



【0023】
水不溶性無機微粒子(B)の含有量(重量%)は、架橋重合体粒子(A)の重量に基づいて、0.01〜2.5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜2、特に好ましくは0.1〜1である。この範囲であると、吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)がさらに良好となる。
【0024】
本発明の吸水性樹脂粒子の流動性(秒/50g)は、11〜30であり、好ましくは12〜28、さらに好ましくは13〜26、特に好ましくは14〜24、最も好ましくは15〜22である。この範囲であると、吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)がさらに良好となる。吸水性樹脂粒子の流動性(秒/50g)はJIS Z2502:2000に準拠して測定される。
また、この流動性は、水不溶性無機微粒子(B)の含有量を多くすると、流動性は大きくなる傾向があり、一方、含有量を少なくすると、流動性は小さくなる傾向がある。また、水不溶性無機微粒子(B)の流動性を大きくすると、本発明の吸水性樹脂粒子の流動性は大きくなる傾向があり、一方、水不溶性無機微粒子(B)の流動性を小さくすると吸水性樹脂粒子の流動性は小さくなる傾向がある。したがって、水不溶性無機微粒子(B)の含有量及び流動性を上記の範囲(又は好ましい範囲)にすることにより、本発明の吸水性樹脂粒子の流動性は上記範囲(又は好ましい範囲)になりやすい。
【0025】
本発明の吸水性樹脂粒子は、架橋重合体粒子(A)と水不溶性無機微粒子(B)とを均一混合することにより容易に得られる。架橋重合体粒子(A)と水不溶性無機微粒子(B)とを混合する段階としては、混合のし易さ等の観点から、架橋重合体粒子(A)を製造する工程のうち、溶液重合により架橋重合体(A)を得る場合、重合工程前、重合工程中、重合工程直後、重合で得られた含水樹脂の破砕(ミンチ)工程中、表面架橋工程直前、表面架橋工程中、表面架橋工程直後、乾燥工程直前、乾燥工程中又は乾燥工程直後が好ましく、さらに好ましくは乾燥工程直後である。一方、逆相懸濁により架橋重合体粒子(A)を得る場合、重合工程前、重合工程中、重合工程直後、脱水工程中、脱水工程直後、重合で得られた含水樹脂と重合に用いた有機溶剤とを分離する工程中、表面架橋工程直前、表面架橋工程中、表面架橋工程直後、乾燥工程直前、乾燥工程中又は乾燥工程直後が好ましく、さらに好ましくは乾燥工程直後である。
いずれの場合においても、吸収性能(リウェット、モレ、ドライネス等)等の観点から、架橋重合体粒子(A)の水分が10重量%以下に乾燥した状態で混合するのが特に好ましく、さらに好ましくは8重量%以下、最も好ましくは5重量%以下に乾燥した状態で混合することである。
なお、水分は、赤外水分測定器{たとえば、(株)KETT社製JE400:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W)により加熱したときの加熱前後の架橋重合体粒子(A)の重量減量から求められる。
【0026】
均一混合の温度(℃)としては特に限定ないが、10〜130が好ましく、さらに好ましくは15〜125、特に好ましくは20〜120である。
架橋重合体粒子(A)と水不溶性無機微粒子(B)とを均一混合するのに使用される装置としては、通常の混合機でよく、例えば、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、V型混合機、リボン型混合機、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等が挙げられる。
【0027】
本発明の吸水性樹脂粒子には、必要により任意の段階{架橋重合体粒子(A)製造工程のうち、重合工程、破砕工程、乾燥工程、粉砕工程、表面架橋工程及び/又はこれらの工程の前後、並びに架橋重合体粒子(A)と水不溶性無機微粒子(B)とを混合する工程後等}において、添加物を添加することができる。
添加物としては、公知(たとえば特開2003−225565号公報)の添加剤{防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等}等が使用でき、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。
【0028】
本発明の吸水性樹脂粒子は、各種の吸収体に適用することにより、吸収性能に優れた吸収性物品を製造し得る。吸収体及び吸収性物品は、公知{例えば特開2005−186016号公報}の方法等により製造される。
吸収性物品としては、衛生用品{紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ等)、ナプキン(生理用ナプキン等)、嘔吐物吸収用エチケット袋、紙タオル、パッド(失禁者用パット及び手術用アンダーパット等)及びペットシート(ペット尿吸収シート及び保温シート等)等}、及び各種の家庭用及び産業用の吸収シート{鮮度保持シート、ドリップ吸収シート、水稲育苗シート、コンクリート養生シート及びケーブル等の水走り防止シート等}が含まれる。
これらのうち、本発明の吸水性樹脂粒子は衛生用品に好適であり、さらに紙おむつ、パッド及び生理用ナプキン、特に紙おむつ及び生理用ナプキンに適している。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特記しない限り、部は重量部を示す。
<製造例1>
アクリル酸ナトリウム88部、アクリル酸22.85部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.3部及び脱イオン水293、ジクロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ルテニウム0.001部を攪拌・混合しながら、温度を1〜2℃に保ち、この混合液中に窒素を流入して、混合液中の溶存酸素濃量を0.5ppm以下とした。
引き続き、この混合液に、1重量%過酸化水素水溶液0.3部、0.2重量%アスコルビン酸水溶液0.8部及び2重量%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.8部を添加・混合して重合を開始させ、反応液が80℃に達した後、重合温度80±2℃で約5時間重合することにより、含水樹脂(ゲル)を得た。
この含水樹脂(ゲル)400部をミンチ機(目皿穴径:6mm、飯塚工業社製 12VR−400K)にて25℃で5分間細断した後、通気型バンド乾燥機(135℃、2.0m/秒;井上金属工業(株)製)で乾燥し、乾燥重合体を得た。
この乾燥重合体をジューサーミキサー(National MX−X53、松下電器(株)製)で粉砕し、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒子径範囲に調整した後、この100部を高速攪拌(細川ミクロン製 高速攪拌タービュライザーミキサー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの1重量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=60/40)の1部をスプレー噴霧しながら添加・混合し、140℃で30分間静置し加熱架橋(表面架橋)することにより架橋重合体粒子(A1){重量平均粒子径400μm}を得た。
【0030】
<製造例2>
アクリル酸81.8部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.3部及び脱イオン水241部を攪拌・混合しながら、温度を1〜2℃に保ち、この混合液中に窒素を流入して、混合液中の溶存酸素量を0.02ppm以下とした。
引き続き、この混合液に、1重量%過酸化水素水溶液1部、0.2重量%アスコルビン酸水溶液1.2部及び2重量%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液2.8部を添加・混合して重合を開始させ、反応温度が70℃に達した後、重合温度75±5℃で約8時間重合することにより含水樹脂(ゲル)を得た。
この含水樹脂(ゲル)をインターナルミキサーで3〜7mmの大きさに細断して細断ゲルを得た後、この細断ゲル325部に48重量%の水酸化ナトリウム水溶液67.5部を添加してカルボキシル基の72当量%を中和して、中和細断ゲルを得た。なお、JIS K0113−1997に準拠(0.1規定水酸化カリウム水溶液を滴定液として使用、電位差滴定法、変曲点法)して測定した酸価から算出した中和細断ゲルの中和度は70.1当量%であった。
次いで、縦20cm×横20cm×高さ10cmで、天板を有さず、底板に目開き4mmの金網を装着したステンレス製のトレイに、この中和細断ゲルを約5cmの厚さに積層し、150℃、風速2.0m/sの条件で、通気型バンド乾燥機(井上金属製)で乾燥して、乾燥重合体を得た。
得られた乾燥重合体を製造例1と同様の方法(粉砕、表面架橋)により架橋重合体粒子(A2){重量平均粒子径350μm}を得た。
【0031】
<製造例3>
シクロヘキサン121.2部、ソルビタンモノステアレート0.9部を均一混合した後、この混合液中に窒素を流入し、混合液中の溶存酸素量を0.02ppm以下とし、反応溶媒を得た。
別に、アクリル酸45部と水6.4部との混合液中に、氷冷下、水酸化ナトリウムの25重量%水溶液70部を加えてカルボキシル基の70当量%を中和した。さらに、この中和混合物に、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.033部、次亜リン酸ナトリウム0.0546部、及び2,2‘−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド0.0313部を加えて均一混合し、モノマー溶液を得た。
このモノマー溶液を、先の反応溶媒へ添加し、攪拌して分散させると共に、窒素を流入しながら油浴にて60℃に上昇させた。
引き続き、この分散液体の温度を60℃に保ち、攪拌しながら2時間重合させた。2時間後の内容物は水で膨潤した架橋重合体がシクロヘキサン中に分散してスラリー状となっていた。次いで、油浴の温度を上げ、シクロヘキサンと水との共沸により、膨潤した含水ゲル状重合体の水分が20重量%になるまで脱水を行った。脱水後、攪拌を停止し、沈降する含水ゲル状重合体をデカンテーションによりシクロヘキサン相から分離した。この含水ゲル状重合体を80〜90℃、13.3kPaで減圧乾燥し、乾燥重合体を得た。
得られた乾燥重合体を製造例1と同様の方法(表面架橋)により架橋重合体粒子(A3){重量平均粒子経300μm}を得た。
【0032】
<実施例1>
架橋重合体粒子(A1)100部と水不溶性無機微粒子(B1)(株式会社ノザワ製針状非晶質シリカSP−01、流動性62秒/10g)2.5部とをコニカルブレンダー(ホソカワミクロン(株)製)で均一混合して、本発明の吸水性樹脂粒子(1)を得た。
【0033】
<実施例2>
水不溶性無機微粒子(B1)2.5部を2部に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(2)を得た。
【0034】
<実施例3>
水不溶性無機微粒子(B1)2.5部を1部に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(3)を得た。
【0035】
<実施例4>
水不溶性無機微粒子(B1)2.5部を0.1部に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(4)を得た。
【0036】
<実施例5>
水不溶性無機微粒子(B1)2.5部を0.05部に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(5)を得た。
【0037】
<実施例6>
水不溶性無機微粒子(B1)2.5部を0.01部に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(6)を得た。
【0038】
<実施例7>
架橋重合体粒子(A1)を(A2)に変更したこと、及び水不溶性無機微粒子(B1)2.5部を1部に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(7)を得た。
【0039】
<実施例8>
架橋重合体粒子(A1)を(A3)に変更したこと、及び水不溶性無機微粒子(B1)2.5部を1部に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(8)を得た。
【0040】
<実施例9>
水不溶性無機微粒子(B1)2.5部をアルミニウムオキサイドC(日本アエロジル株式会社製 流動性20秒/g)1部に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(9)を得た。
【0041】
<実施例10>
水不溶性無機微粒子(B1)2.5部をデンカ溶融シリカF−300(電気化学工業株式会社製 流動性135秒/g)1部に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(10)を得た。
【0042】
<実施例11>
水不溶性無機微粒子(B1)2.5部をアエロジルOX50T(日本アエロジル株式会社製 流動性55秒/g)1部に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(11)を得た。
【0043】
<実施例12>
水不溶性無機微粒子(B1)2.5部をサイロイドED50(グレースジャパン株式会社製 流動性180秒/g)1部に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(12)を得た。
【0044】
<比較例1>
架橋重合体粒子(A)100部と、粉体化変性剤{エポミンP−1000:日本触媒(株)5部と、フローセンUF−1.5:住友精化(株)5部との均一混合物}0.1部とを卓上ニーダー(PN−1型、入江商会製)で均一混合して、比較用の吸水性樹脂粒子(H1)を得た。
【0045】
<比較例2>
粉体化変性剤0.1部を粉体化変性剤1部に変更したこと以外、比較例1と同様にして吸水性樹脂粒子(H2)を得た。
【0046】
<比較例3>
粉体化変性剤0.1部を液状変性剤{エポミンP−1050}1部に変更したこと以外、比較例1と同様にして吸水性樹脂粒子(H3)を得た。
【0047】
<比較例4>
粉体化変性剤0.1部を液状変性剤{エポミンP−1000}1部に変更したこと以外、比較例1と同様にして吸水性樹脂粒子(H4)を得た。
【0048】
水不溶性無機微粒子の流動性、並びに吸水性樹脂粒子の流動性、無加重下における吸収量及び保水量を下記方法により測定し、これらの結果を表2にまとめた。
【0049】
<流動性>
水不溶性無機微粒子及び吸水性樹脂粒子のそれぞれについて、上記の通り、2種類の方法で測定した{それぞれ単位が相違する点に注意する。}。
【0050】
<保水量>
目開き63μmのナイロン網(JIS Z8801−1:2000)で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000cc中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りする。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から保水量を求める。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃である。
【0051】

保水量(g/g)=(h1)−(h2)

(h2)は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測したティーバックの重量である。
【0052】
【表2】



【0053】
<実施例13>
フラッフパルプ100部と、実施例1で得られた本発明の吸水性樹脂粒子(1)100部とを気流型混合装置{(株)オーテック社製パッドフォーマー}で混合した混合物を坪量約400g/mとなるように目開き63μmのナイロン網(JIS Z8801−1:2000に準拠した網。)で作成したシート上に均一に積層し、5Kg/cmの圧力で30秒間プレスし、吸収体(K1)を得た。
吸収体(K1)を14cm×36cmの長方形に裁断し、これと同じ大きさ(14cm×36cm)の吸水紙(坪量15.5g/m:アドバンテック社製、フィルターペーパー2番)2枚で挟んだ後、更にポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1、14cm×36cm)を裏面に、不織布(坪量20.0g/m、14cm×36cm:旭化成社製エルタスガード)を表面に配置することにより吸水性物品(1)を12枚作成した。
【0054】
<実施例14〜24>
「吸水性樹脂粒子(1)」を、「吸水性樹脂粒子(2)〜(12)のいずれか」に変更したこと以外、実施例13と同様にして、吸収体(K2)〜(K12)を調製し、さらに吸水性物品(2)〜(12)を作成した。
【0055】
<比較例5〜8>
「吸水性樹脂粒子(1)」を、「吸水性樹脂粒子(H1)〜(H4)のいずれか」に変更したこと以外、実施例13と同様にして、比較用の吸収体(HK1)〜(HK4)を調製し、さらに比較用の吸水性物品(H1)〜(H4)を作成した。
【0056】
吸水性物品(1)〜(12)及び(H1)〜(H4)に、振動{振動機(ドイツHeidolph社製、INKUBATOR 1000 Heizmodul型 No.549-90050-00-2)、回転数900rpm、10分間又は20分間}を与える前の測定試料と、与えた後の測定試料とについて、それぞれ、リウエット、漏れまでの吸収量、表面ドライ感及びSDMEによる表面ドライネス値を下記方法により測定し、測定結果を表3及び4に示した。
【0057】
<リウエット>
測定試料(吸水性物品)を水平に広げて、この中央部分に外径7.0cm、内径6.0cm、高さ3.8cmのアクリル樹脂の円柱筒を置き、この円柱筒内に生理食塩水80mlを注入した。注液をはじめてから15分経過後にさらに80mlの生理食塩水を再注入した。再注入を始めてから5分後に、測定試料の中央部分に10cm×10cmの濾紙(Toyo Roshi Kasei, Ltd. Filter Paper Type2)40枚を重ね、さらにその上に10cm×10cm×厚さ5mmのアクリル板(3.5kg)を重ねた。
アクリル板(3.5kg)を重ねた直後から5分後に、アクリル板を取り除き、重ねた濾紙40枚の重量を測定し、この値から重ねる前の濾紙40枚の重量を差し引いた値をリウェットとした。この値は小さい程リウェット性に優れることを示す。
【0058】
<漏れまでの吸収量>
アクリル板(14cm×36cm、重量0.5Kg)上に測定試料(吸水性物品)を乗せた後、測定試料の短辺(14cm)の一端(上端)をガムテープでアクリル板に固定し(測定試料とガムテープとの重ねしろ:一端部から1cm幅)、測定試料を固定した一端(上端)が上部となるようにアクリル板を45度に傾けた状態で固定する。次いで上端から3cm{他端(下端)から33cm}であって、長辺の両端からそれぞれ7cmの部位に、人工尿を100g/分の速度で1分間投入した。その後、40±2℃の雰囲気下で3時間、さらに25℃±2℃の雰囲気下で0.5時間放置した後、引き続き、上端から3cm{他端(下端)から33cm}であって、長辺の両端からそれぞれ7cmの部位に、人工尿を100g/分の速度で投入し、測定試料下端部より人工尿が漏れ出した時点を終点とし、終点までの人工尿の投入量を求め、これを漏れまでの吸収量とした。この吸収量が大きい程、漏れにくく、優れている。
【0059】
<表面ドライ感>
漏れまでの吸収量を測定した後の測定試料(吸水性物品)の表面を10人のパネラーが、次の基準で指触評価した。10人の算術平均値を表面ドライ感とした。
3:湿りを全く感じない(不快感を覚えない状態)
2:しめった感じが若干する(不快感を覚える状態)
1:湿りを超えて濡れた状態
【0060】
<SDME法による表面ドライネス値>
SDME(Surface Dryness Measurement Equipment)試験器(WK system社製)の検出器を十分に湿らした測定試料(測定試料を覆う程度の人工尿(塩化カルシウム0.03重量%、硫酸マグネシウム0.08重量%、塩化ナトリウム0.8重量%及びイオン交換水99.09重量%)中に浸し、60分放置した)の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を乾いた測定試料(測定試料を80℃、2時間加熱乾燥した)の上に置き、100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行った。
次に、測定試料の中央に金属リング(内径70mm、外径80mm長さ50mm、重量300g)をセットし、人工尿80mlを注入し、注入後直ちに金属リングを取り去くと同時に、測定試料の中央にSDME検出器を測定試料に接触してセットし測定を開始した。測定開始後、5分後の値をSDMEによる表面ドライネス値とした。
【0061】
【表3】



【0062】
【表4】



【0063】
表3及び4から分かるように、実施例12〜24で作成した吸収性物品(1)〜(12)は振動等が加わった後でも、吸収性能(リウェット、漏れまでの吸収量、ドライネス)が低下せず、輸送等による振動の影響を受けなかった。
一方比較例5〜8で作成した吸収性物品は振動等が加わると、吸収性能(リウェット、漏れまでの吸収量、ドライネス)が著しく低下した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(a3)を必須構成単位としてなる架橋重合体粒子(A)と、水不溶性無機微粒子(B)とからなる吸水性樹脂粒子において、流動性が11〜30秒/50gであることを特徴とする吸水性樹脂粒子。
【請求項2】
水不溶性無機微粒子(B)の流動性が20〜180秒/10gである請求項1に記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項3】
水不溶性無機微粒子(B)の流動性が20〜135秒/10gである請求項1に記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項4】
水不溶性無機微粒子(B)の含有量が架橋重合体粒子(A)の重量に基づいて0.01〜2.5重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子と繊維とを含有してなる吸収体。
【請求項6】
請求項5に記載の吸収体を配してなる吸収性物品。

【公開番号】特開2008−133441(P2008−133441A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267209(P2007−267209)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(301023009)サンダイヤポリマー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】