説明

吸水性香シート

【課題】本発明は軽くて嵩張らず、運搬費が激減すると共に利用開始時に水に濡らすだけで簡単に効果が発揮され、且つ、その効き目が長時間に渡って維持でき、更に使用目的や広さ又は使用有効時間に対応して使用量が選択出来る吸水性香シートを提供することを目的とする。
【解決手段】吸水性樹脂粉末1に少なくとも香エキス粉末2が混合された内容物を、透水性を有した袋体3の内部に封入して吸水性香シートと成す。また前記内容物を、袋体3内部で複数に区切られて封入されたものとしても良く、前記香エキス粉末2として、昆虫や動物の忌避する粉末,消臭粉末,芳香エキス粉末, 昆虫や動物の忌避する粉末と芳香エキス粉末の内の1つを用いるを良い。又、前記袋体3の片面に非透水性を有したプラスチックフィルムで作り、他面に透水性を有した不織布や紙或いはポーラス加工したプラスチックフィルムで作ると良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は昆虫や動物の忌避成分又は芳香成分などを吸水性樹脂粉末に混合させた袋体が、気軽に持運びでき、使用する時には水に浸漬して用いるだけでその効果が長時間に渡って発揮出来る吸水性香シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸水性樹脂に、昆虫や動物の忌避剤,防虫剤,消臭剤,芳香剤などを入れたものが多く市販されている。これらのものはゲル化された吸水性樹脂と共に容器の中に密封され、使用時に密封シールを剥がして用いられていた。この中身やその重量の殆どが水分であるため、密封された容器を、工場から運搬する場合、量販店で販売する場合などには嵩張ると共に重量があった。このため、これらが密封された容器をアウトドア用として携帯して歩くことは殆どないと共に、運搬費や管理費が嵩み、コストダウンが難しいものであった。
【0003】
尚、水分量を減らしたものとしては、吸水性樹脂と抗菌消臭用粉体を使用して粒状にさせたものが、特開2004−33081「動物用排泄物処理剤」で提案されている。これは、基材としての天然有機物と、高吸水性樹脂と、茶や檜の粉体である抗菌消臭用粉体と、粘性の高いベントナイトの粉体であるバインダーとを含む造粒物に成されたものである。しかしながら、特開2004−33081は、本発明の目的と異なると共に混合物も異なるものである。
【特許文献1】特開2004−33081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は軽くて嵩張らず、運搬費が激減すると共に利用開始時に水に浸漬するだけで簡単に効果が発揮され、且つ、その効き目が長時間に渡って維持出来る吸水性香シートを提供することを目的とする。
【0005】
本発明の他の目的は、使用目的や広さ又は使用有効時間に対応して使用量が選択出来る吸水性香シートを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記現状に鑑み成されたものであり、つまり吸水性樹脂粉末に香エキス粉末が混合された内容物を、透水性を有した袋体の内部に封入して吸水性香シートと成す。また前記内容物の配合としては、100重量部の吸水性樹脂に対して、0.01〜20重量部の香エキス粉末とするのが好ましく、又、前記香エキス粉末としては、昆虫や動物の忌避する粉末,消臭粉末,芳香エキス粉末, 昆虫や動物の忌避する粉末と芳香エキス粉末の内の1つを用いるのが良い。
【0007】
又、前記内容物を、袋体内部で複数に区切られて封入されたものとしても良く、前記袋体として、不織布や紙或いはポーラス加工したプラスチックフィルムで作ると良く、その袋体の片面が非透水性を有したプラスチックフィルムで作られ、他面が透水性を有した不織布や紙或いはポーラス加工したプラスチックフィルムで作られたものを用いるのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1のように吸水性樹脂粉末(1)に香エキス粉末(2)が混合された内容物を、透水性を有した袋体(3)の内部に封入することにより、従来のゲル化して密封された容器のものと異なり、本発明品は粉末で軽くて嵩張らず、運搬費が激減すると共に利用開始時に水に濡らすだけで簡単に効果が発揮され、且つ、その効能が徐放されて効き目は長時間に渡って維持出来るものとなる。このため、本発明品をアウトドア用として携帯して歩くことが容易であると共に安価な製品として提供することが可能となる。使用後、その効果が無くなった後は保冷剤として使用することが可能となる。また水分が殆どないので保存性が極めて良いものとなる。
【0009】
請求項2のように内容物の配合が、100重量部の吸水性樹脂粉末(1)に対して、0.01〜20重量部の香エキス粉末(2)とすることにより、香エキス粉末(2)のエキスの効果が充分に発揮され、且つ、請求項1と同様の効果が効率良く得られるものとなる。
【0010】
請求項3に示すように香エキス粉末(2)として昆虫や動物の忌避する粉末を用いると、特にアウトドア用として携帯し易くなり、テントなどの内外に吊るしておくだけで防虫効果や動物の忌避効果が得られるものとなる。また香エキス粉末(2)として消臭粉末を用いると、車の内部のたばこの臭いやテントの内部のかびの臭いなどを簡単に消臭させることが可能となる。更に芳香エキス粉末を用いると、車の内部やテントの内部或いは室内に吊るしておくか載置しておくだけで芳香効果が発揮されるものとなる。又、防虫効果や動物の忌避効果と、芳香効果を併用させて使用するものとしても良い。
【0011】
請求項4に示すように内容物を袋体(3)内部で複数に区切って分包タイプに封入することにより、使用目的や広さ(車中,部屋 ,テントなど)或いは使用有効時間に対応して、使用する袋体(3)の数を選択出来ると共に分離が可能で、薄くて嵩張らずに気軽に持ち運び出来るものとなる。
【0012】
請求項5のように袋体(3)として不織布や紙或いはポーラス加工したプラスチックフィルムを使用することで、コストダウンが可能になる。
【0013】
請求項6のように袋体(3)の片面が非透水性を有したプラスチックフィルムと成し、他面が透水性を有した不織布やポーラス加工したプラスチックフィルムと成すことにより、前記片面に印刷することが可能となるため、宣伝や商品名或いは色彩などを印刷すれば、目立つ商品に仕上げることができる。また注意事項などを鮮明に印刷することが出来るものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の実施形態を示す図であり、この図に基づいて説明する。(1)は吸水性樹脂粉末であり、該吸水性樹脂粉末(1)としては、吸水されると膨張してゲル化する保冷材用の一般的な吸水性樹脂を用いれば良く、例えば、アクリル酸系の化合物,天然増粘剤,カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC)等によるセルロース系の水溶性高分子物質を主成分としたものなどである。
【0015】
(2)は100重量部の吸水性樹脂粉末(1)に対して、0.01〜20重量部の割合で混ぜて用いられる香エキス粉末であり、前記混合割合としては、0.1〜5重量部の範囲とするのが好ましい。また前記香エキス粉末(2)として昆虫や動物の忌避する粉末を用いる場合には、ユーカリ,除虫菊,パーマなどの香エキスのパウダー(市販品)などを用いると良い。又、前記香エキス粉末(2)として消臭粉末を用いる場合には、柿,ザクロ,ハイビスカス,椿,山茶花,茶,オレンジ,月桂樹,シナモンなどの植物抽出成分が好ましい。更に前記香エキス粉末(2)として芳香エキス粉末を用いる場合には、香料メーカー等が販売するミントハーブ,レモン,ローズなどのパウダー香料を用いると良い。尚、香エキス粉末(2)の混合量を0.01重量部以下になると、効能が小さくなり、20重量部以上に成ると、コストアップになる。又、前記香エキス粉末(2)の有効成分は2〜3日間の効果を発揮させる程度の量が混合されている。更に昆虫や動物の忌避の成分の匂いが余り良くない場合には、芳香エキス粉末を一緒に混入させると良い。
【0016】
(3)は透水性を有した袋体であり、該袋体(3)は吸水性樹脂粉末(1)と香エキス粉末(2)が混合された内容物を封入するためのものであり、特に内容物を袋体(3)内部で複数に区切られた図2に示すような分包タイプとして封入したものとするのが好ましい。また前記袋体(3)の材質としては不織布や紙或いはポーラス加工したプラスチックフィルムを用いるのが良いが、袋体(3)の片面を非透水性のプラスチックフィルムとし、他面を透水性の不織布や紙或いはポーラス加工したプラスチックフィルムとするのが好ましい。このプラスチックフィルムとしては、ナイロンポリプロピレンやナイロンポリエチレンを用いると良い。
【0017】
次に本発明品の製造方法について説明する。先ず始めに香エキス粉末(2)として昆虫や動物の忌避する粉末を用いる場合には、ユーカリ或いは除虫菊の香エキスのパウダーを用い、その混合量は、100重量部の吸水性樹脂粉末(1)に対して、1重量部と成し、その混合物と袋体(3)とを用意する。この時の袋体(3)としては、ナイロンポリエチレンのプラスチックフィルムを用いると良いが、片面を非透水性のものを使用し、他面を透水性のものを使用すると共に、非透水性の片面に印刷されたものを用意する。次に袋体(3)に所定量の内容物を入れ、熱圧着などの方法によって封入する。この時、袋体(3)に内容物を封入するだけでなく、図2に示すように袋体(3)内部を複数に区切った分包タイプとして内容物を封入したものとするのが好ましい。この時には、縦横にミシン目を入れて袋体(3)が分離し易くしておく。このようにして製造された本発明品は、従来品と異なり殆ど水分がないため、軽くて持運びが便利であり、運搬費や管理費が少なくなると共に保存性が極めて良好となり、コストダウンが可能なものとなる。
【0018】
次に香エキス粉末(2)として消臭エキス粉末を用いる場合には、柿,ザクロ,ハイビスカス,椿,山茶花,茶,オレンジ,月桂樹,シナモンなどの植物抽出成分を用い、その混合量は、100重量部の吸水性樹脂粉末(1)に対して、3重量部と成し、その混合物と袋体(3)を用意し、上記同様に袋体(3)内部を複数に区切った分包タイプとして内容物を封入したものとする。又、香エキス粉末(2)として芳香エキス粉末を用いる場合には、香料メーカー等が販売するミントハーブ,レモン,ローズなどのパウダー香料を用い、その混合量は、100重量部の吸水性樹脂粉末(1)に対して、3重量部と成し、その混合物と袋体(3)とを用意し、上記同様に袋体(3)内部を複数に区切った分包タイプとして内容物を封入したものとする。更に香エキス粉末(2)として、昆虫や動物の忌避する除虫菊やパームの粉末と芳香エキス粉末を混ぜたものを用い、その混合量は、100重量部の吸水性樹脂粉末(1)に対して、それぞれ3重量部ずつと成し、その混合物と袋体(3)を用意し、上記同様に袋体(3)内部を複数に区切った分包タイプとして内容物を封入したものとする。
【0019】
本発明の作用を図3に基づき説明する。尚、図3は図2のA−A断面箇所の作用を示す。先ず始めに使用目的、例えばキャンプで昆虫や動物の忌避用として使用する場合には、昆虫や動物の忌避成分の混合された本発明品を購入する(図2参照)。次に本発明品を使用する時、例えばテントの中で使用する場合は、広さや有効時間などを考慮して袋体(3)の数量を決め、それを切取る。そして前記切取られた袋体(3)を水の中へ2〜3分間入れると、始めは図3(a)の状態であった中身が、図3(b)のように膨張するのである。このように吸水性樹脂粉末(1)が吸水してゲル化すると共に香エキス粉末(2)も吸水して有効成分を発散することにより、昆虫や動物の忌避効果が得られるものとなる。この時、吸水性樹脂粉末(1)には高い吸水力があり、長時間に渡ってゲル化状態を保つものとなる。この時の吸水性樹脂粉末(1)は図3(b)に示すように数倍から数十倍に膨張される。又、香エキス粉末(2)から得られる昆虫や動物の忌避成分は、ゲル化した樹脂によって包み込まれた状態となるため、その内部側に混合された昆虫や動物の忌避成分は発散されても、外部へ直ぐに出ず徐々に発散されるものとなり、香エキス粉末(2)による昆虫や動物の忌避効能の有効時間が長いものとなるのである。
【0020】
次に使用目的、例えば自動車内でタバコや他の臭いの消臭用として使用する場合には、消臭成分の混合された本発明品を購入する。そして本発明品を長時間に渡って使用する時には、袋体(3)の数量を2つずつ切取り、その袋体(3)を水の中へ2〜3分間入れると、吸水性樹脂粉末(1)が吸水してゲル化し、図3(a)の状態から図3(b)のように数倍から数十倍に膨張するのである。また香エキス粉末(2)は吸水して消臭成分を発散し始めるが、この時、ゲル化した樹脂によって香エキス粉末(2)が包み込まれた状態となるため、その内部側に混合された消臭成分粉末は吸水しても、外部に直ぐに出ず徐々に発散されるものとなり、香エキス粉末(2)による消臭効果の有効時間が長いものとなる。又、水に漬けた本発明品は、2つを重ねて車内の前側と後側に載置しておけば、車内は長時間に渡ってタバコや他の臭いが殆どしない快適空間を保持することが可能となる。
【0021】
又、使用目的、例えば自動車内や室内の芳香用として使用する場合には、芳香成分の混合された本発明品を購入する。そして本発明品を使用するに当たり、広さや有効時間などを考慮して袋体(3)の数量を決め、使用分だけを切取って水の中へ2〜3分間入れる。すると、吸水性樹脂粉末(1)が吸水してゲル化すると、図3(a)の状態から図3(b)のように数倍から数十倍に膨張するのである。また香エキス粉末(2)は吸水して有効成分を発散し始めるが、この時、ゲル化した樹脂によって香エキス粉末(2)が上記同様に包み込まれた状態となるため、その内部側に混合された芳香成分粉末は吸水しても、外部に直ぐに出ず徐々に発散されるものとなり、香エキス粉末(2)による芳香効果の有効時間が長いものとなるのである。更に使用目的、例えばテントや部屋で防虫用と共に芳香用として使用する場合には、昆虫や動物の忌避成分と芳香成分とが混合された本発明品を購入し、上記同様にして本発明品を長時間に渡って使用可能なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態の要部を示す断面図である。
【図2】本発明の分包タイプの実施形態を示す説明図である。
【図3】本発明の作用を示す説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1 吸水性樹脂粉末
2 香エキス粉末
3 袋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性樹脂粉末(1)に少なくとも香エキス粉末(2)が混合された内容物を、透水性を有した袋体(3)の内部に封入したことを特徴とする吸水性香シート。
【請求項2】
前記内容物の配合が、100重量部の吸水性樹脂粉末(1)に対して、0.01〜20重量部の香エキス粉末(2)である請求項1記載の吸水性香シート。
【請求項3】
前記香エキス粉末(2)が、昆虫や動物の忌避する粉末,消臭粉末,芳香エキス粉末,昆虫や動物の忌避する粉末と芳香エキス粉末の内の1つである請求項1又は2記載の吸水性香シート。
【請求項4】
前記内容物が、前記袋体(3)内部で複数に区切られて封入された請求項1又は2記載の吸水性香シート。
【請求項5】
前記袋体(3)が、不織布や紙或いはポーラス加工したプラスチックフィルムである請求項1又は4記載の吸水性香シート。
【請求項6】
前記袋体(3)の片面が非透水性を有したプラスチックフィルムであり、他面が透水性を有した不織布や紙或いはポーラス加工したプラスチックフィルムである請求項1、4又は5記載の吸水性香シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−105269(P2010−105269A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279563(P2008−279563)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(395006270)株式会社トライ・カンパニー (9)
【Fターム(参考)】