吸着性構造体とその使用
【課題】 本願発明は、従来の粒状ベッドフィルタの不利益点を改善し、機械的負荷下において使用することが可能となり、十分な可撓性及び/若しくは圧縮性を有し、圧縮成形による吸着性成形品への加工を可能にする吸着性構造体及び吸着性成形品を提供することを課題とする。
【解決手段】 本願発明は、吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体において、個々の凝集体が、複数の粒状、球状吸着剤粒子を具備し、該吸着剤粒子は、個々の凝集体の吸着剤粒子が、熱可塑性有機重合体、特にバインダーを介して結合されること、且つ/又は、個々の凝集体の吸着剤粒子が、熱可塑性有機重合体、特にバインダーに結合され及び/若しくは接着されるという特徴を有することにある。
【解決手段】 本願発明は、吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体において、個々の凝集体が、複数の粒状、球状吸着剤粒子を具備し、該吸着剤粒子は、個々の凝集体の吸着剤粒子が、熱可塑性有機重合体、特にバインダーを介して結合されること、且つ/又は、個々の凝集体の吸着剤粒子が、熱可塑性有機重合体、特にバインダーに結合され及び/若しくは接着されるという特徴を有することにある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、吸着性フィルタ技術の分野に関する。
【0002】
本願発明は、特に、吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体に関し、且つそれらの製造のための方法に関し、さらにそれらの使用に関する。
【0003】
さらに、本願発明は、本願発明の吸着性構造体から取得される吸着性成形品に関し、それらの製造方法に関し、さらにそれらの使用に関する。
【0004】
さらにまた、本願発明は、本願発明の吸着性構造体又は本願発明の吸着性成形品を具備するフィルタに関する。
【背景技術】
【0005】
具体的には空気のような流体媒体、特に気体、気体流又は混合気体、又は、例えば水のような液体を清浄又は浄化するために、特定の活性を有する粒子に基づく粒子状系(例えば、吸着剤、イオン交換体、触媒等)がよく使用される。例えば、有毒又は有害物質及び臭気成分を気体若しくは空気流又は液体から除去するための吸着剤粒子の使用は、従来技術から公知である。
【0006】
上述した粒子のルースベッドの使用、特にルース粒状ベッドフィルタの形での使用が、その中心形状であり、これによって、例えば吸着剤粒子のような関連した粒子が、関連した気体又は液体に接触するものである。
【0007】
例えば吸着剤粒子のような小さい粒子が、より大きい粒子よりもより大きい表面積を提供するので、効率は、比較的に小さい粒子でより良いことは意外なことではない。しかしながら、ルースベッドの小さい粒子は、高い圧力降下を生じ、さらに、所定の破過(漏出)リスクを伴う流通路の形成を助長する。そのため、ルースベッドに使用される粒子径は、単に妥協によるものであり、特定の応用について最適化された粒子径が使用されないことを意味している。特に、経済的な作業状態、特に受容可能な圧力降下を達成するために必要とされるものは、より大きな粒子(例えば、吸着剤粒子)が、吸着効率の最適な利用に要望されるように使用されるようになることを意味しているので、理論上最適な能力の相当部分が使用されることがないことが多い。
【0008】
特許文献1(DE 38 13 564 A1)及びその特許ファミリーであるEP 0 338 551 A2は、粒状、特に0.1〜1mmの直径を有する球状活性炭粒子の層が固定される高い空気透過性の実質的に形状安定三次元支持骨格体を具備し、その支持骨格体が、ワイヤー、モノフィラメント又は支柱から形成される編み上げ構造であり、又は、大型孔網状ポリウレタンフォームであるガスマスクのための活性炭フィルタ層を開示する。そこに記載されたシステムの不利益点は、それが、相対的に高価で不便な作業において粒子を与える付加的な支持材料を要求するという事実である。さらに、支持骨格体の特定の選択は、対応する使用を制限する。
【0009】
特許文献2(DE 42 39 520 A1)は、吸着剤粒子が接着材料を介して固定される三次元支持骨格体を具備する高性能フィルタを開示し、前記支持骨格体が、該骨格体に基づいて約20〜500%の量である熱安定性及び高い加水分解抵抗性プラスチックで覆われているものである。特に、支持骨格体は、シリコン樹脂、ポリプロピレン、加水分解抵抗性ポリウレタン、アクリレート、合成ゴム又はフッ素重合体で覆われた大型孔網状ポリウレタンフォームを具備するものである。これらの構造の製造工程は、相対的に高価で不便である。さらに、そこに記載された技術は、付加的な支持構造の存在を要求する。
【0010】
特許文献3(DE 43 43 358 A1)は、多孔性二酸化珪素マトリクスと協働する基礎活性炭から形成されるプレート及び凝集体からなる活性炭を具備する多孔性物質を開示する。特にそこに記載されているものは、吸着特性を有する多孔性プレート又は物質であり、活性炭粒若しくは活性炭小球、且つ/又は、活性炭を具備する粒子若しくは小球が、珪酸塩溶液によってお互いに接着され、それに続いて珪酸塩架橋が、シリカゲル架橋に変換され、前記物質が乾燥されるものである。これについての不利益点は、これらの多孔性物質の固定された幾何学的配列であり、可撓性及び圧縮性の欠如であり、機械的負荷の下での濾過状態でそれらを不適切にすることである。さらなる不利益点は、活性炭からなる粒子が、珪酸塩溶液で完全に湿潤状態になるので、これらの粒子の能力の大部分が吸着工程について全く適していないことである。
【0011】
特許文献4(DE 43 31 586 C2)は、0.1〜5mmの間の直径を有する活性炭粒子が、微圧及び加熱によって略等しい大きさのピッチ粒子の周りに配置され接着され、その後ピッチ粒子が、参加によって不溶解性にされ、活性炭に変換されるので、凝集体の粒子間の自由隙間は、粒子サイズの少なくとも10容量%に達する幅を有する活性炭凝集体を開示する。これに記載される粒子の不利益点は、相対的に高価で、高いエネルギー製造方法であり、また得られた凝集体の非圧縮性である。活性炭凝集体の剛性によって、機械的負荷下でフィルタへの応用には、使用することができない。また、非圧縮性は、圧縮成形による成形品への加工が不可能であることを意味する。
【0012】
同様のものが、特許文献5(DE 42 38 142 A1)による吸着性特性を有する多孔性物質に適用されるもので、この物質は、無機材料、特に陶土の架橋を介して相互接続される吸着剤粒子を具備するもので、その吸着剤粒子の間の空きスペースは、吸着粒子の容積の10〜100%を具備するものである。さらにそこに記載される多孔性物質は、少しの可撓性及び圧縮可能性を有するので、機械的負荷下での使用及び圧縮成形による成形品への加工を排除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】DE 38 13 564 A1
【特許文献2】DE 42 39 520 A1
【特許文献3】DE 43 43 358 A1
【特許文献4】DE 43 31 586 C2
【特許文献5】DE 42 38 142 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そのため、本願発明が取り組む課題は、従来技術の上述した不利益点を少なくとも回避するか少なくとも改善する吸着性構造体及び吸着性成形品を提供することである。
【0015】
本願発明が取り組む課題は、独立した粒子に基づく従来の粒状ベッドフィルタの不利益点を回避するか、少なくとも改善し、機械的負荷下において使用することが可能となり、十分な可撓性及び/若しくは圧縮性を有するので、特に圧縮成形による吸着性成形品への加工を可能にする吸着性構造体及び吸着性成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題は、請求項1において提案されたものによって解決される。それは、吸着剤粒子の凝集体に基づく本願発明の吸着性構造体に関するものであり、さらに、本願発明のこの様相の利益的な発展及び具体化が、特に従属請求項の主題である。
【0017】
さらに、本願発明は、請求項25に定義されるように、本願発明に係るこれら吸着性構造体を製造する方法を提供することにある。さらに、本願発明のこの様相の利益的な発展及び具体化が、特に従属する方法の請求項の主題である。
【0018】
さらにまた、本願発明は、請求項34〜40に定義されるように、本願発明に係る吸着性構造体の本願発明の使用を提供することにある。
【0019】
また、本願発明は、請求項41によるフィルタを提供するものであり、該フィルタは、本願発明の吸着性構造体を具備するものであり、さらに、本願発明によるフィルタの利益的な発展及び具体化は、その従属請求項の主題である。
【0020】
同様に、本願発明は、吸着性成形品に関し、これら吸着性成形品の製造方法に関し、さらに、これら吸着性成形品を具備するフィルタに関する。
【0021】
本願発明の1つの様相に関する以下に示されるような具体化例、実施態様、利点等は、説明の重複を避けるために、明らかに本願発明の他の様相にそのまま適用することができることは容易に理解できる。
【0022】
値、数値及び範囲の引用に関して下記に引用される範囲は、制限するものとして見なすものではなく、その技術分野における通常の知識を有する者は、引用された範囲及び特色から離れた特別な場合又は特別な使用が、本願発明のハンを逸脱することなしに可能であることを容易に理解することができるものである。
【0023】
それを明確にするために、本願発明は、特に下記のように記載されるものである。
【0024】
本願発明の第1の様相によれば、本願発明は、吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体において、個々の凝集体が、複数の粒状、球状吸着剤粒子を具備し、該吸着剤粒子は、
・ 個々の凝集体の吸着剤粒子が、熱可塑性有機重合体、特にバインダーを介して結合されること、且つ/又は、
・ 個々の凝集体の吸着剤粒子が、熱可塑性有機重合体、特にバインダーに結合され及び/若しくは接着されること
を特徴とする吸着性構造体を提供するものである。
【0025】
本願発明の範囲内において使用されるような「凝集体」という言葉は、大変広い意味を有するように理解され、特に多かれ少なかれ強固な集合体を形成するために、予め遊離された成分(例えば、個々の吸着剤粒子=基礎粒子)の多かれ少なかれ強化され/結合された貯蔵を示すものである。本願発明の範囲内の「凝集体」という言葉は、本願発明の場合は、有機重合体によってお互いに結合される個々の吸着剤粒子のいわゆる技術的に製造された集塊/蓄積を示すものである。
【0026】
「複数の吸着剤粒子」という言葉は、本願発明の範囲内において、少なくとも2つ、好ましくは2つ以上の吸着剤粒子を意味するものとして、理解されるべきである。
【0027】
また、本願発明の吸着性構造体における有機重合体は、粒子状凝集体の少なくとも1つのコアを形成する。
【0028】
個々の凝集体の吸着剤粒子は、有機重合体、特にバインダーの1つ以上のコアに配置及び/若しくは取り込まれるものである。個々の凝集体は、それぞれ有機重合体、特にバインダーの1つ以上のコアを具備することが望ましいものである。
【0029】
有機重合体、特にバインダーのコアの大きさは広い範囲で変化可能である。
【0030】
本願発明に係る吸着性構造における有機重合体、特にバインダーのコアは、100〜2000μm、特に150〜1500μm、好ましくは200〜1000μmの大きさである。
【0031】
個々の吸着剤粒子に対する有機重合体、特にバインダーのコアのサイズ比は、少なくとも1:1、特に少なくとも1.25:1、好ましくは少なくとも1.5:1、より好ましくは少なくとも2:1、最も好ましくは少なくとも3:1であることが望ましい。
【0032】
良好な吸着効率、特に吸着動力学及び吸着の能力を確保するために、個々の凝集体は、少なくとも5個の吸着剤粒子、特に少なくとも10個の吸着剤粒子、好ましくは少なくとも15個の吸着剤粒子、最も好ましくは少なくとも20個の吸着剤粒子を含むことが望ましい。さらに、個々の凝集体は、50個までの吸着剤粒子、特に75個までの吸着剤粒子、好ましくは100個までの吸着剤粒子、又はそれ以上の吸着剤粒子を具備することが望ましい。
【0033】
個々の凝集体における有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比は、広い範囲で変化することができる。個々の凝集体は、少なくとも2:1、特に少なくとも3:1、好ましくは少なくとも5:1、より好ましくは7:1、最も好ましくは少なくとも8:1の凝集体毎の有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比を有する。個々の凝集体は、2:1〜30:1の範囲内、特に3:1〜20:1の範囲内、好ましくは4:1〜15:1の範囲内、より好ましくは5:1〜10:1の範囲内の凝集体毎の有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比を有する。上述した下限値は、吸着剤粒子の十分な数又は量が、十分な吸着効率を海保するために存在する必要があるという事実によって説明され、さらに上述した上限値は、安定した集合体又は凝集体を確保するために、有機重合体の十分な量が必要であることによって説明される。
【0034】
また、本願発明の吸着性構造の個々の凝集体は、自己支持の形であることが望ましい。これは、付加的な支持体が要求されないという利点を有する。
【0035】
さらに、本願発明の吸着性構造の個々の凝集体は、粒子の形であることが望ましい。個々の凝集体の粒子サイズは、広い範囲で変化することができる。特に、本願発明の吸着性構造の個々の凝集体は、0.01〜20mmの範囲内、特に0.05〜15mmの範囲内、好ましくは0.1〜10mmの範囲内、より好ましくは0.2〜7.5mmの範囲内、最も好ましくは0.5〜5mmの範囲内の粒子サイズ、特に粒子直径を有することが望ましい。上述した粒子サイズの粒子は、絶対粒子サイズである。
【0036】
さらにまた、本願発明の吸着性構造体の個々の凝集体は、ラズベリー又はブラックベリー構造を有する。個々の外側の吸着剤粒子は、有機重合体の1つ以上の内部コアの周りに配置されるものである。
【0037】
使用される有機重合体は、熱可塑性の形であることが望ましい。さらに、有機重合体は、熱粘着性の形であることが望ましい。前記有機重合体は、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/若しくはポリウレタン及びそれらの混合物及び共重合体の群からなる重合体から選択されるものである。
【0038】
有機重合体は、好ましくはポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/若しくはポリウレタン及びそれらの混合物及び共重合体の群からなる重合体に基づく熱可塑性バインダー、特に熱可塑性接着剤を具備することが望ましい。
【0039】
有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤は、25℃及び大気圧で固体であることが望ましい。
【0040】
有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤は、100℃以上、好ましくは110℃以上、好ましくは120℃以上の溶融又は軟化範囲を有することが望ましい。有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤は、少なくとも100℃、特に少なくとも125℃、好ましくは少なくとも150℃の熱安定性温度を有することが望ましい。
【0041】
良好な吸着効率、吸着性動力学及び/若しくは吸着能力を確保するために、個々の凝集体の吸着剤粒子が、それらの表面の最大50%、特に最大40%、好ましくは最大30%、より好ましくは最大20%までカバーされ且つ/又はコートされることが望ましい。しかしながら、表面の所定のレベルの被覆率は、有機重合体への吸着剤粒子の良好な接着を確保するために要求される。
【0042】
吸着剤粒子は、多孔性構造を有することが望ましい。上述した吸着剤粒子は、粒子状、特に球状の形であることが望ましい。これは、吸着のための大変高い表面積を提供し、良好な機械的負荷耐性及び良好な可撓性/付着性を確保するものである。
【0043】
吸着剤粒子の粒子サイズも、同様に広い範囲で変化できるものである。前記吸着剤粒子は、0.001〜3mmの範囲内、特に0.005〜2.5mmの範囲内、好ましくは0.01〜2mmの範囲内、より好ましくは0.02〜1.5mmの範囲内、最も好ましくは0.05〜1mmの範囲内の絶対粒子サイズ、特に絶対粒子直径を有することが望ましい。
【0044】
吸着剤粒子のメジアン粒子サイズも同様に、広い範囲で変化可能である。前記吸着剤粒子は、0.01〜2mmの範囲内、特に0.05〜1.5mmの範囲内、好ましくは0.1〜1mmの範囲内のメジアン粒子サイズ、特にメジアン粒子直径(D50)を有することが望ましい。
【0045】
前記吸着剤粒子は、活性炭;ゼオライト;無機酸化物、特に二酸化珪素、シリカゲル及び酸化アルミニウム;分子篩;ミネラル粒子;クラスレート;有機金属骨格物質(MOFs)及びそれらの混合物の群から選択される材料からなることが望ましい。特に活性炭が望ましい。
【0046】
本願発明の好ましい例において、前記吸着剤粒子は、粒状、特に球状活性炭から形成されることが望ましい。
【0047】
良好な吸着性効率を確保するために、本願発明の吸着剤粒子は、少なくとも500m2/g、特に少なくとも750m2/g、好ましくは少なくとも1000m2/g、より好ましくは1200m2/gの所定の表面積(BET表面積)を有することが望ましい。特に、前記吸着剤粒子は、500〜4000m2/gの範囲内、特に750〜3000m2/gの範囲内、好ましくは900〜2500m2/gの範囲内、より好ましくは950〜2000m2/gの範囲内の所定の表面積(BET表面積)を有することが望ましい。
【0048】
本願発明によって使用される吸着剤粒子は、良好な機械的な負荷耐性を有するものである。前記吸着剤粒子、特に活性炭粒子、好ましくは活性炭粒又は活性炭小球は、粒子当たり少なくとも5Nの破裂圧力、特に5N〜50Nの範囲内の破裂圧力を有することが望ましい。
【0049】
良好な吸着効率を確保するために、使用される吸着剤粒子は、高い吸着容量、高いグールヴィッチ合計細孔量、高い合計空隙率及び高い所定の合計細孔量を有することが望ましい。
【0050】
本願発明によって使用される吸着剤粒子は、少なくとも250cm3/g、特に少なくとも300cm3/g、好ましくは少なくとも350cm3/g、より好ましくは少なくとも400cm3/gの吸着容量Vadsを有することが望ましい。さらに、本願発明によって使用される吸着剤粒子は、250〜3000cm3/gの範囲内、特に300〜2000cm3/gの範囲内、好ましくは350〜2500cm3/gの範囲内の吸着容量Vadsを有することが望ましい。
【0051】
さらに、本願発明によって使用される吸着剤粒子は、少なくとも0.50cm3/g、特に少なくとも0.55cm3/g、好ましくは少なくとも0.60cm3/g、より好ましくは少なくとも0.70cm3/gのグールヴィッチ合計細孔量を有することがのぞましい。また、本願発明によって使用される吸着剤粒子は、0.50〜2.0cm3/gの範囲内、特に0.55〜1.5cm3/gの範囲内、好ましくは0.60〜1.2cm3/gの範囲内、より好ましくは0.65〜1.0cm3/gの範囲内のグールヴィッチ合計細孔量を有することが望ましい。
【0052】
本願発明によって使用される前記吸着剤粒子は、さらに高い合計空隙率を有することが望ましい。前記吸着剤粒子は、10%〜80%の範囲内、特に20%〜75%の範囲内、好ましくは25%〜70%の範囲内の合計空隙率を有することが望ましい。
【0053】
さらに、本願発明によって使用される吸着剤粒子は、高い所定の合計細孔量を有するものである。前記吸着剤粒子は、0.01〜4.0cm3/gの範囲内、特に0.1〜3.0cm3/gの範囲内、好ましくは0.2〜2.0cm3/gの範囲内の所定の合計細孔量を有することが望ましい。75オングストローム以下の細孔直径を有する細孔の割合は、少なくとも65%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%であることが望ましい。
【0054】
特に球状活性炭に基づく上述した特性を有する使用される吸着剤粒子は、ドイツ、エルクラス、ブリュッヒャーゲーエムベーハー、又はドイツ、プレムニッツ、アドソーテックゲーエムベーハーから入手可能である。
【0055】
本願発明に特別な具体例によれば、本願発明の吸着性構造体及び/若しくはその構造体を形成する凝集体は、成形品に加工され、特にそれは圧縮成形によって実行される。
【0056】
吸着性構造体が、個々の吸着剤粒子のルースベッドと比較して著しく減少した圧力降下を有することが吸着性構造体の特別な利点である。本願発明の吸着性構造体、特にルースベッドの形の吸着性構造体、又は成形品の形の吸着性構造体は、0.2m/sの流速で、最大200Pa/cm、特に最大150Pa/cm、好ましくは最大100Pa/cm、より好ましくは最大90Pa/cm、さらに好ましくは最大70Pa/cm、最も好ましくは最大50Pa/cmの長さベースの圧力降下を有するものである。ルースベッドの形、特に成形品の形の本願発明の吸着性構造体は、0.2m/sの流速で、5〜200Pa/cmの範囲内、特に5〜150Pa/cmの範囲内、好ましくは5〜100Pa/cmの範囲内、より好ましくは7.5〜90Pa/cmの範囲内、最も好ましくは10〜80Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有するものである。これと比較して、本願発明の吸着性構造体に使用されるような同様の吸着剤粒子のルースベッドは、0.2m/sの流速で、200〜600Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有することが望ましい。
【0057】
これによって、本願発明は、粒状若しくは球状吸着剤又は吸着剤粒子だけでなく、有機重合体の補助を有する他の形の吸着剤、特にバインダー若しくは熱溶融性接着剤も、吸着性成形品に圧縮成形される時に、例えば比較される粒状若しくは球状吸着剤又は吸着剤粒子又は裂炭のルースベッドと比較して、大変低い差圧を有する凝集体に変化することができるものである。そのため、本願発明に係る吸着性凝集体は、低い差圧と低い初期漏出の両方が極めて重要な応用において特に使用することが可能である。
【0058】
したがって、本願発明は、多数の利点を有しており、そのいくつかは上述されたものであり、さらにいくつかの利点は被限定且つ非決定的な方法において下記に列挙されるものである。上述されたように、ルースベッドの形の本願発明による吸着性構造体若しくは凝集体は、他の吸着性特性、例えば吸着性動力学、吸着能力、初期漏出等を損なうことなしに、純粋基礎吸着剤粒子と比較して、著しく減少した差圧を有する。
【0059】
さらに、本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体は、良好な機械的安定性と、良好な可撓性及び圧縮性を結合させるので、本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体は、容易に圧縮成形することができ、下記に詳細に記載されるように、所望の形状の対応する安定性及び自己支持吸着性成形品に加工可能である。
【0060】
本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体は、大変高いレベルの活性化を提供し、これによって大変良好な機械的安定性と結合された基礎吸着剤粒子には大変高い能力を提供する。凝集体形成は、非凝集性の基礎吸着剤粒子と比較して、非凝集性基礎吸着剤粒子の場合のような大変高い保有活性化レベルで、機械的安定性において十分な減少を含まない。
【0061】
また、本願発明の吸着性構造若しくは凝集体は、基礎吸着剤粒子での大変高い潜在的吸着能力により、低い吸着質濃度ですら高い吸着性効率を提供する。
【0062】
基礎吸着剤粒子の大変高い純表面積によって、大変高い相対湿度が、効率の十分な降下を結果として生じることは観察されなかった。
【0063】
摩耗、摩滅及び荷重下での基礎吸着剤粒子の高い硬度によって、本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体は、少なくとも実質的にダストレスであり、特に呼吸ダスト粒子サイズを少なくとも実質的に含有しない。
【0064】
さらに、本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体は、基礎粒子の優れた含浸性を保持する(例えば、湿潤テストにおいて60%以上)。
【0065】
さらにまた、吸着の高い広域スペクトル有効性は、基礎吸着剤粒子の製造作業の過程で調整可能な効果的な細孔サイズ分布(例えば、非常に高いマイクロ細孔及びメゾ/マクロ細孔量の結合)と同様に規則吸着剤粒子の大変良好な浸透性を介して達成される。本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体は、例えば1つの凝集体内でお互いに異なる細孔サイズ分布を有する吸着剤粒子を結合させることができるので、吸着の広域スペクトル有効性を著しく改善することができるものである。
【0066】
前記圧力降下は、基礎吸着剤粒子直径から凝集体直径までの範囲内の凝集体割合の自由選択を介して自由に調整可能である。
【0067】
上述したように、著しく低い圧力降下が、同様の吸着能力を有する粒状若しくは成形活性炭と比較して、本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体のルースベッドに関して観察された。
【0068】
善太粋な吸着効率及び全体的な吸着性動力学が、基礎吸着剤粒子サイズの自由選択(例えば、変更可能な表面/容積比率)を介して、また基礎吸着剤粒子活性化のレベルの自由選択(例えば、変更可能な細孔サイズ分布)介して、調整可能/制御可能である。
【0069】
同様に、ベッド嵩密度及び所定の圧力降下についての能力は、例えば基礎吸着剤粒子サイズの自由選択(例えば、変更可能な表面/容積比率)を介して調整可能である。
【0070】
高いバッファ容量は、有機重合体成分、特に熱溶融性接着性成分による減少した吸着性を補償するものであるが、それによって、有機重合体成分によるブロックされない細孔量には十分ではない。有機重合体の成分による能力損失は、極端に小さい。
【0071】
本願発明の第2の様相によれば、本願発明は、吸着剤粒子の凝集体に基づいて本願発明の吸着性構造体を製造する方法であって、本願発明による吸着性構造体のための本願発明の製造方法は:
(a) 最初に、粒状、好ましくは球状吸着剤粒子と、熱可塑性有機重合体、特にバインダーの粒子とをお互いに接触させて混合させること、
(b) そして、結果として生じた混合物を、前記有機重合体の溶融又は軟化温度以上の温度まで加熱すること、且つ
(c) 最後に、結果として生じた生成物を、前記有機重合体の溶融又は軟化温度より低い温度まで冷却すること、
からなるものである。
【0072】
さらに、前記(b)段階は、所定の時間、特に少なくとも1分間、特に少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間、到達した温度を維持することを具備する。到達した温度は、1〜600分間の範囲内、特に5〜300分間の範囲内、好ましくは10〜150分間の範囲内の時間、維持されることが望ましい。維持する時間を決定するための基準は、全体的な処理が単一の温度で実行されること、すべての有機重合体、時にすべての熱溶融性接着剤が、完全に溶解することである。
【0073】
(b)段階の実施の間、特に上述した加熱及び/若しくは維持制御の過程において、混合を介してエネルギー入力が実行され、このエネルギー入力は、結果として生じる凝集体サイズを制御するために使用され、この場合、小さい凝集体サイズは、エネルギー入力を上昇させることで得られる。
【0074】
本願発明の方法は、加熱回転チューブ、回転チューブ炉において実行される。回転チューブの回転速度は、エネルギー入力を制御し、これによって結果として生じる凝集体のサイズを制御する。より小さい凝集体のサイズは、回転速度を上昇させることによって得られる。回転チューブを一回ごとの空にすることは、一回ごとに回転速度を変化させることによって、多様な凝集体サイズ分布を得ることを可能にする。
【0075】
本願発明の好ましい実施例において、(c)段階において生じる凝集体は、それに続く(d)段階において、吸着性成形品に、特に圧縮成形よって加工されることが望ましい。成形品への加工は、加熱することによって効果が生じ、この場合、有機重合体、特に熱溶融性接着剤の溶融若しくは軟化温度以下の温度に設定することが望ましく、それによって対応する凝集体が、分解及び/若しくは崩壊しない。
【0076】
本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体のための本願発明の製造方法の範囲内において、熱可塑性有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤が、粒子の形で、特に粒子状若しくは小球状粒子の形で、好ましくは室温及び大気圧で固体粒子の形で使用されることが望ましい。また、有機重合体は、100〜2000μmの範囲内、特に150〜1500μmの範囲内、好ましくは200〜1000μmの範囲内の粒子サイズで使用されることが望ましい。吸着剤粒子に対する有機重合体のサイズ比は、1:1以上、特には、1.25:1以上、好ましくは1.5:1以上、より好ましくは2:1以上、最も好ましくは3:1以上で選択されることが望ましい。
【0077】
本願発明の製造方法の範囲において、有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比は、少なくとも2:1、特に少なくとも3:1、好ましくは5:1、より好ましくは7:1、最も好ましくは8:1であることが望ましい。有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比は、2:1〜30:1の範囲内、特に3:1〜20:1の範囲内、好ましくは4:1〜15:1の範囲内、より好ましくは5:1〜10:1の範囲内で変化することが望ましい。
【0078】
上述したように、使用される有機重合体は、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/若しくはポリウレタン及びそれらの混合物及び共重合体の群から選択された重合体に基づく熱可塑性バインダー、特に熱可塑性熱溶融性接着剤であることが望ましい。
【0079】
本願発明の方法に関するさらなる詳細について、本願発明の吸着性構造体に関する上記所見を参照し、本願発明の製造方法に関してそのまま適用することができるものである。
【0080】
本願発明の代表的な実施例において、下記する手順が採用される。上述したように、使用される有機重合体は、いわゆる粉末接着剤の形の熱溶融性接着剤を具備し、この場合、多様な接着剤が使用可能である。使用される接着剤の粒子サイズは、200〜1000μmの範囲内で変化する。高い熱的化学的安定性の接着剤を使用することが望ましい。
【0081】
熱可塑性接着剤、特に熱溶融性接着剤を使用することが、特に好ましい。ソフトセグメント(柔軟性成分)も含んでいるポリエステル、ポリアミド若しくはポリウレタンハードセグメント(分子拘束成分)を有する接着剤を使用することが可能であり、この場合、前記ソフトセグメントは、ポリエーテル及びポリエステルのクラスから選択されることが望ましい。代表的な重合体指定は、例えばコポリエステル、又は所定のポルエーテルエステルである。
【0082】
上述したように、前記熱溶融性接着剤は、粉末形態で使用されることが望ましい。この接着剤の粒子サイズ分布は、ベッドにおける吸着剤成分の下方への落下を防止するために、基礎吸着剤粒子の粒子サイズ分布よりも大きくなければならない。
【0083】
上述したように、粉末の接着剤粒子と基礎吸着剤粒子は、最初に回転チューブに充填されてそこで混合され、その混合物が、接着剤の軟化又は溶融温度以上に加熱され、その温度が所定の時間維持されるものである。この熱処理は、使用される特定の接着剤に依存する。機械的な処理、特に回転チューブの回転速度は、凝集体の結果として生じる大きさに影響を与えるために使用されることが望ましい。
【0084】
凝集化は、使用される接着剤の種類に依存する。上述したように、いくつかの所定の接着剤が原則的に使用される。目標温度は、接着剤の溶融若しくは軟化温度より高くなるか、溶融若しくは軟化温度の範囲内であるべきである。
【0085】
本願発明の方法の過程において廃棄ベッドが目標温度まで加熱されること、全体的な廃棄ベッドの加熱が完全に達成されるために適切な持続時間が使用されることを確保するために十分な注意を払う必要がある。
【0086】
前記目標温度は、本願発明の接着剤の溶融若しくは軟化温度に到達した時点で、温度上昇の伴う接着剤の粘度の減少が、吸着剤粒子の要求されない細孔封鎖の上昇を生じることから、できるだけ低い方が望ましい。
【0087】
機械的処理、特に回転チューブ反応炉の回転速度は、所望の凝集体サイズ分布に依存する。回転速度の上昇は、凝集体サイズ分布への明確な影響を与えるために使用される。この回転速度の上昇は、より小さい凝集体サイズ分布を生じる。
【0088】
本願発明の第3の様相によれば、本願発明は、本願発明による吸着性構造体の本願発明の使用を提供するものである。
【0089】
本願発明に係る吸着性構造体は、気体若しくは空気流、又は液体、特に水から有毒物質、有害物質及び臭気を吸着するために使用される。本願発明の吸着性構造体は、気体、気体流若しくは気体混合物、特に空気、又は、液体、特に水を浄化若しくは洗浄するために使用される。さらに、本願発明の吸着性構造体は、吸着フィルタに使用される。さらにまた、本願発明の吸着性構造体は、フィルタの製造、特に吸着フィルタの製造に使用される。また、本願発明の吸着性構造体は、特に圧縮成形による吸着性成形品の製造のために使用される。さらに、本願発明の吸着性構造体は、気体、特に水素の吸着貯蔵として使用することができるものである。
【0090】
本願発明の代表的な実施例において、本願発明の吸着性構造体は、ルースベッドの形で使用される。しかしながら、それに代わるものとして、本願発明の吸着性構造体は、特に圧縮成形を介して、それから製造される吸着性製造品の形で使用されることもできる。
【0091】
本願発明の使用に関するさらなる詳細については、本願発明の吸着性構造に関する上述した所見及びその製造方法に関する所見を参照することによって、本願発明の使用に関してそのまま適用することができるものである。
【0092】
本願発明の第4の様相によれば、本願発明は、上述したように、好ましくはルースベッドの形の吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を具備するフィルタであって、該フィルタが、流速0.2m/sで、最大200Pa/cm、特に5〜200Pa/cmの長さベースの圧力降下を有するフィルタを提供するものである。特に本願発明のフィルタは、流速0.2m/sで、最大150Pa/cm、特に最大100Pa/cm、好ましくは最大90Pa/cm、より好ましくは70Pa/cm、最も好ましくは50Pa/cmの長さベースの圧力降下を有するものである。さらに、本願発明のフィルタは、流速0.2m/sで、5〜150Pa/cmの範囲内、特に5〜100Pa/cmの範囲内、好ましくは7.5〜90Pa/cmの範囲内、より好ましくは10〜80Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有するものである。
【0093】
本願発明のフィルタに関するさらなる詳細については、本願発明の吸着性構造体に関する上記所見、その製造方法に関する上記所見及びその使用に関する上記所見を参照し、本願発明のフィルタに関してそのまま適用することができるものである。
【0094】
さらに、本願発明の第5の様相によれば、本願発明は、上述されたような吸着剤粒子の凝集体に基づいた多様な吸着性構造体から構成された吸着性成形品を提供することにある。
【0095】
本願発明の吸着性成形品は、多様な粒状、好ましくは球状吸着剤粒子を具備する。その吸着剤粒子は、好ましくは熱可塑性有機重合体、特にバインダーを介して少なくとも部分的お互いに結合されること、且つ/又は、吸着剤粒子が好ましくは熱可塑性有機重合体、特にバインダーに結合及び/若しくは接着されることが望ましい。
【0096】
本願発明の吸着性成形品は、一体品及び/若しくは一体形態であることが望ましい。本願発明の吸着性成形品は、所望の幾何学的形態を有することが望ましい。例えば、本願発明の吸着性成形品は、円筒状、ロッド形状、プレート形状、立体形状、多面体形状等であることが好ましい。
【0097】
本願発明の吸着性成形品は、優れた圧力降下を有する。特に、本願発明の吸着性成形品は、流速0.2m/sで、最大200Pa/cm、特に最大150Pa/cm、好ましくは最大100Pa/cm、より好ましくは最大90Pa/cm、さらに好ましくは最大70Pa/cm、最も好ましくは最大50Pa/cmの長さベースの圧力降下を有するものである。さらに、本願発明の吸着性成形品は、流速0.2m/sで、5〜200Pa/cmの範囲内、特に5〜150Pa/cmの範囲内、好ましくは5〜100Pa/cmの範囲内、より好ましくは7.5〜90Pa/cmの範囲内、最も好ましくは10〜80Pa/cmの長さベースの圧力降下を有するものである。
【0098】
本願発明の吸着性成形品は、特に上述したような吸着剤粒子の凝集体に基づく本願発明の吸着性構造体から、本願発明の吸着性構造体を圧縮成形することによって得られるものである。
【0099】
本願発明の吸着性成形品に関するさらなる詳細については、本願発明の他の様相に関する上記所見を参照し、本願発明による吸着性成形品の関してそのまま適用することができるものである。
【0100】
本願発明の第6の様相によれば、本願発明は、上述したような吸着性成形品の想像方法を提供するもので、上述したように吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体が、この方法において圧縮成形される。圧縮成形は、加熱すること、好ましくは有機重合体の溶融若しくはなんか温度以下の温度まで加熱することによって効果が得られる。圧縮成形は、同時成形によって効果が得られるものである。
【0101】
本願発明の吸着性成形品の製造方法に関するさらなる詳細については、本願発明の他の様相に関する上記所見を参照し、本願発明の吸着性成形品に関してそのまま適用することができるものである。
【0102】
本願発明の第7の様相によれば、本願発明は、本願発明の吸着性成形品の使用を提供することにある。
【0103】
本願発明に係る吸着性構造体は、気体若しくは空気流、又は液体、特に水から有毒成分、有害成分及び臭気成分を吸着するために使用される。さらに、本願発明に係る吸着性構造体は、気体、空気流若しくは気体混合物、又は液体、特に水の浄化若しくは洗浄するために使用される。さらに、本願発明の吸着性成形品は、吸着フィルタに使用される。本願発明の吸着性成形品は、フィルタの製造、特に吸着性フィルタの製造に使用される。さらにまた、本願発明の吸着性成形品は、気体、特に水素の吸着貯蔵に使用されるものである。
【0104】
本願発明の吸着性成形品に使用に関するさらなる詳細に関しては、本願発明の他の様相に関する所見を参照し、本願発明のこの様相に関してそのまま適用することができるものである。
【0105】
本願発明の第8の様相によれば、本願発明は、本願発明による吸着性成形品を具備するフィルタを提供するもので、このフィルタは、流速0.2m/sで、最大200Pa/cm、より好ましくは5〜200Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有するものである。特に、本願発明のフィルタは、流速0.2m/sで、最大150Pa/cm、特に最大100Pa/cm、好ましくは最大90Pa/cm、より好ましくは最大70Pa/cm、最も好ましくは最大50Pa/cmの長さベースの圧力降下を有するものである。さらに、本願発明のフィルタは、流速0.2m/sで、5〜150Pa/cmの範囲内、特に5〜100Pa/cmの範囲内、好ましくは7.5〜90Pa/cmの範囲内、より好ましくは10〜80Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有するものである。
【0106】
本願発明のフィルタに関するさらなる詳細に関しては、本願発明の他の様相に関する上記所見を参照し、本願発明のこの様相に関してそのまま適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、吸着剤粒子の凝集体に基づく本願発明の吸着性構造体の拡大された写真図を示す。
【図2】図2は、吸着剤粒子の凝集体に基づく本願発明の吸着性構造体の200倍顕微鏡拡大図を示す。
【図3】図3は、吸着剤粒子の凝集体に基づく本願発明の吸着性構造体の500倍顕微鏡拡大図を示す。
【図4】図4は、本願発明のいろいろな吸着性構造体の[mm]単位の凝集体サイズと、流速0.2m/sで、[Pa/cm]単位の長さベースの圧力降下との依存関係を示したグラフを示す。
【図5】図5は、本願発明のいろいろな吸着性構造体の[g/l]単位のベッド嵩密度と、流速0.2m/sで、[Pa/cm]単位の長さベースの圧力降下との依存関係を示したグラフを示す。
【図6】図6は、凝集体比率として、本願発明のいろいろな吸着性構造体のベッドの時間依存性漏出曲線を示す。
【図7】図7は、本願発明のいろいろな吸着性構造体の[mm]単位の凝集体サイズと、流速0.2m/sで、[Pa/cm]単位の長さベースの圧力降下との依存関係を示したグラフを示す。
【図8】図8は、本願発明のいろいろな吸着性構造体の[g/l]単位のベッド嵩密度と、流速0.2m/sで、[Pa/cm]単位の長さベースの圧力降下との依存関係を示したグラフを示す。
【図9】図9は、凝集体比率として、本願発明のいろいろな吸着性構造体のベッドの時間依存性漏出曲線を示す。
【図10】図10は、本願発明の吸着性構造体から圧縮成形によって得られる本願発明の吸着性成形品のひとつの幾何学的形態を示した図である。
【図11】図11は、本願発明の吸着性構造体から圧縮成形によって得られる本願発明の吸着性成形品の別の幾何学的形態を示した図である。
【図12】図12は、本願発明の吸着性構造体から圧縮成形によって得られる本願発明の吸着性成形品の別の幾何学的形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0108】
本願発明の精巧、改良及び変形は、本願発明の範囲を外れることなく本明細書を読み込むことで、当業者には容易に理解し且つ実現できるものである。
【0109】
また、本願発明は、下記する実施例によって説明されるが、本願発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0110】
吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体及びそれから得られる吸着性成形品の製造が以下に記載される。
【0111】
本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体の製造は、活性炭(ドイツ、エルクラス、ブリュッヒャーゲーエムベーハー若しくはドイツ、プレムニッツ、アドソーテックゲーエムベーハーから入手可能である)に基づく球状吸着剤粒子をお互いに接触させ、また200μm〜1000μmの範囲内の粒子径を有する熱可塑性熱溶融接着剤(例えば、スイス、EMS−グリルテック、EMS−ケミーアーゲーから入手可能なコポリエステル熱溶融接着剤)をお互いに接触させ、それらを回転チューブ内で混合させ、そこでその熱溶融接着剤の溶融若しくは軟化温度以上に加熱され、所定時間この温度がそこで維持され、その後、その生成物が、その熱溶融接着剤の溶融若しくは軟化温度以下の温度まで冷却されるという手順を踏むものである。本願発明のために最適な熱溶融性接着剤は、例えば下記する特性を有することが望ましい:溶融範囲:118〜123℃、溶融粘度:350mPas、積層温度:120〜150℃、耐熱:100℃まで、耐洗浄:75℃まで。
【0112】
本願発明の方法は、加熱可能回転チューブにおいて、エネルギー入力を制御し、これによって回転チューブの回転速度を介して凝集体の結果として生じる大きさを制御することによって実行される。
【0113】
結果として生じる本願発明の凝集体が、以下に分析され、評価される。本願発明の吸着性構造体の最適な例が図1乃至3において示される。この方法において得られる吸着性構造体若しくは凝集体は、使用される熱溶融性接着剤の溶融若しくは軟化温度以下に加熱されることによる成形と同時に行われる圧縮成形によって、本願発明による吸着性成形品に加工される。本願発明による吸着性成形品が結果して生じる。適当な例が、図10乃至12に示される。
【0114】
凝集体1の製造の一例
【0115】
開始材料:
・ 基礎吸着剤粒子;球状活性炭、多分散系、微細、粒子サイズ<0.315mm
・ 熱可塑性熱溶融接着剤、粒子サイズ200〜1000μm
・ 接着剤使用重量比:1:5(接着剤:基礎粒子)
・ 目標温度:T=175℃
・ 目標温度の達成後の維持時間:t=30分
・ 回転チューブ反応炉回転速度:n=1rpm
【0116】
下記する表1は、形成された凝集体に関して、例として重量比の接着剤含有量と、重量比のブタン吸着量を報告するものである。サンプルテストは、重複して実施される。
【0117】
【表1】
【0118】
形成された凝集体は、下記する画分に分割される。
・ 0.6〜1.0mm (凝集体I)
・ 0.8〜1.25mm (凝集体II)
・ 1.25〜2.5mm (凝集体III)
【0119】
下記する表2は、篩に掛けられた凝集体の測定された値を例として示している。
【0120】
【表2】
【0121】
図4及び5による図は、凝集体サイズに対する圧力降下の変化を示した図であり(図4)、且つ、接着剤成分を有する嵩密度に対する圧力降下の変化を示した図である(図5)。
【0122】
図6による図は、本願発明のサイズの異なるいろいろな凝集体の漏出曲線(トルエン)を示した図である(流速:V=0.1m/s;初期濃度c=トルエンの80ppm;相対湿度50%;温度T=23℃;ベッド高さh=20mm)。
【0123】
下記する表3は、例として、従来の活性炭フィルタと比較した漏出曲線の測定された結果とパラメータを示すものである。凝集体サイズで異なっている本願発明の凝集体のベッド(0.315mmより小さい凝集した基礎吸着剤粒子)が、従来の活性炭粒子のベッド(比較サンプル;粒子径:0.8〜1.7mm)と比較される。
【0124】
【表3】
【0125】
凝集体2の製造の一例
【0126】
開始材料:
・ 基礎吸着剤粒子;球状活性炭、多分散系、コース、粒子サイズ0.56−0.71mm
・ 熱可塑性熱溶融接着剤、粒子サイズ500〜1000μm
・ 接着剤使用重量比:1:10(接着剤:基礎粒子)
・ 目標温度:T=175℃
・ 目標温度の達成後の維持時間:t=30分
・ 回転チューブ反応炉回転速度:n=1rpm
【0127】
下記する表4は、形成された凝集体に関して例として重量比の接着剤含有量と、重量比のブタン吸着量を示している。サンプルテストは、重複して実行される。
【0128】
【表4】
【0129】
形成された凝集体は、下記する画分に分割される。
・ 0.6〜1.0mm (凝集体I’)
・ 0.8〜1.25mm (凝集体II’)
・ 1.25〜2.5mm (凝集体III’)
【0130】
下記する表5は、篩に掛けられた凝集体の測定された値を例として示している。
【0131】
【表5】
【0132】
図7及び8による図は、凝集体サイズに対する圧力降下の変化を示した図であり(図7)、且つ、接着剤成分を有する嵩密度に対する圧力降下の変化を示した図である(図8)。
【0133】
図9による図は、本願発明のサイズの異なるいろいろな凝集体の漏出曲線(トルエン)を示した図である(流速:V=0.1m/s;初期濃度c=トルエンの80ppm;相対湿度50%;温度T=23℃;ベッド高さh=20mm)。
【0134】
下記する表6は、例として、従来の活性炭フィルタと比較した漏出曲線の測定された結果とパラメータを示すものである。凝集体サイズで異なっている本願発明の凝集体のベッド(0.56〜0.71mmの範囲内の凝集した基礎吸着剤粒子)が、従来の活性炭粒子のベッド(比較サンプル;粒子径:0.8〜1.7mm)と比較される。
【0135】
【表6】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、吸着性フィルタ技術の分野に関する。
【0002】
本願発明は、特に、吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体に関し、且つそれらの製造のための方法に関し、さらにそれらの使用に関する。
【0003】
さらに、本願発明は、本願発明の吸着性構造体から取得される吸着性成形品に関し、それらの製造方法に関し、さらにそれらの使用に関する。
【0004】
さらにまた、本願発明は、本願発明の吸着性構造体又は本願発明の吸着性成形品を具備するフィルタに関する。
【背景技術】
【0005】
具体的には空気のような流体媒体、特に気体、気体流又は混合気体、又は、例えば水のような液体を清浄又は浄化するために、特定の活性を有する粒子に基づく粒子状系(例えば、吸着剤、イオン交換体、触媒等)がよく使用される。例えば、有毒又は有害物質及び臭気成分を気体若しくは空気流又は液体から除去するための吸着剤粒子の使用は、従来技術から公知である。
【0006】
上述した粒子のルースベッドの使用、特にルース粒状ベッドフィルタの形での使用が、その中心形状であり、これによって、例えば吸着剤粒子のような関連した粒子が、関連した気体又は液体に接触するものである。
【0007】
例えば吸着剤粒子のような小さい粒子が、より大きい粒子よりもより大きい表面積を提供するので、効率は、比較的に小さい粒子でより良いことは意外なことではない。しかしながら、ルースベッドの小さい粒子は、高い圧力降下を生じ、さらに、所定の破過(漏出)リスクを伴う流通路の形成を助長する。そのため、ルースベッドに使用される粒子径は、単に妥協によるものであり、特定の応用について最適化された粒子径が使用されないことを意味している。特に、経済的な作業状態、特に受容可能な圧力降下を達成するために必要とされるものは、より大きな粒子(例えば、吸着剤粒子)が、吸着効率の最適な利用に要望されるように使用されるようになることを意味しているので、理論上最適な能力の相当部分が使用されることがないことが多い。
【0008】
特許文献1(DE 38 13 564 A1)及びその特許ファミリーであるEP 0 338 551 A2は、粒状、特に0.1〜1mmの直径を有する球状活性炭粒子の層が固定される高い空気透過性の実質的に形状安定三次元支持骨格体を具備し、その支持骨格体が、ワイヤー、モノフィラメント又は支柱から形成される編み上げ構造であり、又は、大型孔網状ポリウレタンフォームであるガスマスクのための活性炭フィルタ層を開示する。そこに記載されたシステムの不利益点は、それが、相対的に高価で不便な作業において粒子を与える付加的な支持材料を要求するという事実である。さらに、支持骨格体の特定の選択は、対応する使用を制限する。
【0009】
特許文献2(DE 42 39 520 A1)は、吸着剤粒子が接着材料を介して固定される三次元支持骨格体を具備する高性能フィルタを開示し、前記支持骨格体が、該骨格体に基づいて約20〜500%の量である熱安定性及び高い加水分解抵抗性プラスチックで覆われているものである。特に、支持骨格体は、シリコン樹脂、ポリプロピレン、加水分解抵抗性ポリウレタン、アクリレート、合成ゴム又はフッ素重合体で覆われた大型孔網状ポリウレタンフォームを具備するものである。これらの構造の製造工程は、相対的に高価で不便である。さらに、そこに記載された技術は、付加的な支持構造の存在を要求する。
【0010】
特許文献3(DE 43 43 358 A1)は、多孔性二酸化珪素マトリクスと協働する基礎活性炭から形成されるプレート及び凝集体からなる活性炭を具備する多孔性物質を開示する。特にそこに記載されているものは、吸着特性を有する多孔性プレート又は物質であり、活性炭粒若しくは活性炭小球、且つ/又は、活性炭を具備する粒子若しくは小球が、珪酸塩溶液によってお互いに接着され、それに続いて珪酸塩架橋が、シリカゲル架橋に変換され、前記物質が乾燥されるものである。これについての不利益点は、これらの多孔性物質の固定された幾何学的配列であり、可撓性及び圧縮性の欠如であり、機械的負荷の下での濾過状態でそれらを不適切にすることである。さらなる不利益点は、活性炭からなる粒子が、珪酸塩溶液で完全に湿潤状態になるので、これらの粒子の能力の大部分が吸着工程について全く適していないことである。
【0011】
特許文献4(DE 43 31 586 C2)は、0.1〜5mmの間の直径を有する活性炭粒子が、微圧及び加熱によって略等しい大きさのピッチ粒子の周りに配置され接着され、その後ピッチ粒子が、参加によって不溶解性にされ、活性炭に変換されるので、凝集体の粒子間の自由隙間は、粒子サイズの少なくとも10容量%に達する幅を有する活性炭凝集体を開示する。これに記載される粒子の不利益点は、相対的に高価で、高いエネルギー製造方法であり、また得られた凝集体の非圧縮性である。活性炭凝集体の剛性によって、機械的負荷下でフィルタへの応用には、使用することができない。また、非圧縮性は、圧縮成形による成形品への加工が不可能であることを意味する。
【0012】
同様のものが、特許文献5(DE 42 38 142 A1)による吸着性特性を有する多孔性物質に適用されるもので、この物質は、無機材料、特に陶土の架橋を介して相互接続される吸着剤粒子を具備するもので、その吸着剤粒子の間の空きスペースは、吸着粒子の容積の10〜100%を具備するものである。さらにそこに記載される多孔性物質は、少しの可撓性及び圧縮可能性を有するので、機械的負荷下での使用及び圧縮成形による成形品への加工を排除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】DE 38 13 564 A1
【特許文献2】DE 42 39 520 A1
【特許文献3】DE 43 43 358 A1
【特許文献4】DE 43 31 586 C2
【特許文献5】DE 42 38 142 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そのため、本願発明が取り組む課題は、従来技術の上述した不利益点を少なくとも回避するか少なくとも改善する吸着性構造体及び吸着性成形品を提供することである。
【0015】
本願発明が取り組む課題は、独立した粒子に基づく従来の粒状ベッドフィルタの不利益点を回避するか、少なくとも改善し、機械的負荷下において使用することが可能となり、十分な可撓性及び/若しくは圧縮性を有するので、特に圧縮成形による吸着性成形品への加工を可能にする吸着性構造体及び吸着性成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題は、請求項1において提案されたものによって解決される。それは、吸着剤粒子の凝集体に基づく本願発明の吸着性構造体に関するものであり、さらに、本願発明のこの様相の利益的な発展及び具体化が、特に従属請求項の主題である。
【0017】
さらに、本願発明は、請求項25に定義されるように、本願発明に係るこれら吸着性構造体を製造する方法を提供することにある。さらに、本願発明のこの様相の利益的な発展及び具体化が、特に従属する方法の請求項の主題である。
【0018】
さらにまた、本願発明は、請求項34〜40に定義されるように、本願発明に係る吸着性構造体の本願発明の使用を提供することにある。
【0019】
また、本願発明は、請求項41によるフィルタを提供するものであり、該フィルタは、本願発明の吸着性構造体を具備するものであり、さらに、本願発明によるフィルタの利益的な発展及び具体化は、その従属請求項の主題である。
【0020】
同様に、本願発明は、吸着性成形品に関し、これら吸着性成形品の製造方法に関し、さらに、これら吸着性成形品を具備するフィルタに関する。
【0021】
本願発明の1つの様相に関する以下に示されるような具体化例、実施態様、利点等は、説明の重複を避けるために、明らかに本願発明の他の様相にそのまま適用することができることは容易に理解できる。
【0022】
値、数値及び範囲の引用に関して下記に引用される範囲は、制限するものとして見なすものではなく、その技術分野における通常の知識を有する者は、引用された範囲及び特色から離れた特別な場合又は特別な使用が、本願発明のハンを逸脱することなしに可能であることを容易に理解することができるものである。
【0023】
それを明確にするために、本願発明は、特に下記のように記載されるものである。
【0024】
本願発明の第1の様相によれば、本願発明は、吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体において、個々の凝集体が、複数の粒状、球状吸着剤粒子を具備し、該吸着剤粒子は、
・ 個々の凝集体の吸着剤粒子が、熱可塑性有機重合体、特にバインダーを介して結合されること、且つ/又は、
・ 個々の凝集体の吸着剤粒子が、熱可塑性有機重合体、特にバインダーに結合され及び/若しくは接着されること
を特徴とする吸着性構造体を提供するものである。
【0025】
本願発明の範囲内において使用されるような「凝集体」という言葉は、大変広い意味を有するように理解され、特に多かれ少なかれ強固な集合体を形成するために、予め遊離された成分(例えば、個々の吸着剤粒子=基礎粒子)の多かれ少なかれ強化され/結合された貯蔵を示すものである。本願発明の範囲内の「凝集体」という言葉は、本願発明の場合は、有機重合体によってお互いに結合される個々の吸着剤粒子のいわゆる技術的に製造された集塊/蓄積を示すものである。
【0026】
「複数の吸着剤粒子」という言葉は、本願発明の範囲内において、少なくとも2つ、好ましくは2つ以上の吸着剤粒子を意味するものとして、理解されるべきである。
【0027】
また、本願発明の吸着性構造体における有機重合体は、粒子状凝集体の少なくとも1つのコアを形成する。
【0028】
個々の凝集体の吸着剤粒子は、有機重合体、特にバインダーの1つ以上のコアに配置及び/若しくは取り込まれるものである。個々の凝集体は、それぞれ有機重合体、特にバインダーの1つ以上のコアを具備することが望ましいものである。
【0029】
有機重合体、特にバインダーのコアの大きさは広い範囲で変化可能である。
【0030】
本願発明に係る吸着性構造における有機重合体、特にバインダーのコアは、100〜2000μm、特に150〜1500μm、好ましくは200〜1000μmの大きさである。
【0031】
個々の吸着剤粒子に対する有機重合体、特にバインダーのコアのサイズ比は、少なくとも1:1、特に少なくとも1.25:1、好ましくは少なくとも1.5:1、より好ましくは少なくとも2:1、最も好ましくは少なくとも3:1であることが望ましい。
【0032】
良好な吸着効率、特に吸着動力学及び吸着の能力を確保するために、個々の凝集体は、少なくとも5個の吸着剤粒子、特に少なくとも10個の吸着剤粒子、好ましくは少なくとも15個の吸着剤粒子、最も好ましくは少なくとも20個の吸着剤粒子を含むことが望ましい。さらに、個々の凝集体は、50個までの吸着剤粒子、特に75個までの吸着剤粒子、好ましくは100個までの吸着剤粒子、又はそれ以上の吸着剤粒子を具備することが望ましい。
【0033】
個々の凝集体における有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比は、広い範囲で変化することができる。個々の凝集体は、少なくとも2:1、特に少なくとも3:1、好ましくは少なくとも5:1、より好ましくは7:1、最も好ましくは少なくとも8:1の凝集体毎の有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比を有する。個々の凝集体は、2:1〜30:1の範囲内、特に3:1〜20:1の範囲内、好ましくは4:1〜15:1の範囲内、より好ましくは5:1〜10:1の範囲内の凝集体毎の有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比を有する。上述した下限値は、吸着剤粒子の十分な数又は量が、十分な吸着効率を海保するために存在する必要があるという事実によって説明され、さらに上述した上限値は、安定した集合体又は凝集体を確保するために、有機重合体の十分な量が必要であることによって説明される。
【0034】
また、本願発明の吸着性構造の個々の凝集体は、自己支持の形であることが望ましい。これは、付加的な支持体が要求されないという利点を有する。
【0035】
さらに、本願発明の吸着性構造の個々の凝集体は、粒子の形であることが望ましい。個々の凝集体の粒子サイズは、広い範囲で変化することができる。特に、本願発明の吸着性構造の個々の凝集体は、0.01〜20mmの範囲内、特に0.05〜15mmの範囲内、好ましくは0.1〜10mmの範囲内、より好ましくは0.2〜7.5mmの範囲内、最も好ましくは0.5〜5mmの範囲内の粒子サイズ、特に粒子直径を有することが望ましい。上述した粒子サイズの粒子は、絶対粒子サイズである。
【0036】
さらにまた、本願発明の吸着性構造体の個々の凝集体は、ラズベリー又はブラックベリー構造を有する。個々の外側の吸着剤粒子は、有機重合体の1つ以上の内部コアの周りに配置されるものである。
【0037】
使用される有機重合体は、熱可塑性の形であることが望ましい。さらに、有機重合体は、熱粘着性の形であることが望ましい。前記有機重合体は、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/若しくはポリウレタン及びそれらの混合物及び共重合体の群からなる重合体から選択されるものである。
【0038】
有機重合体は、好ましくはポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/若しくはポリウレタン及びそれらの混合物及び共重合体の群からなる重合体に基づく熱可塑性バインダー、特に熱可塑性接着剤を具備することが望ましい。
【0039】
有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤は、25℃及び大気圧で固体であることが望ましい。
【0040】
有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤は、100℃以上、好ましくは110℃以上、好ましくは120℃以上の溶融又は軟化範囲を有することが望ましい。有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤は、少なくとも100℃、特に少なくとも125℃、好ましくは少なくとも150℃の熱安定性温度を有することが望ましい。
【0041】
良好な吸着効率、吸着性動力学及び/若しくは吸着能力を確保するために、個々の凝集体の吸着剤粒子が、それらの表面の最大50%、特に最大40%、好ましくは最大30%、より好ましくは最大20%までカバーされ且つ/又はコートされることが望ましい。しかしながら、表面の所定のレベルの被覆率は、有機重合体への吸着剤粒子の良好な接着を確保するために要求される。
【0042】
吸着剤粒子は、多孔性構造を有することが望ましい。上述した吸着剤粒子は、粒子状、特に球状の形であることが望ましい。これは、吸着のための大変高い表面積を提供し、良好な機械的負荷耐性及び良好な可撓性/付着性を確保するものである。
【0043】
吸着剤粒子の粒子サイズも、同様に広い範囲で変化できるものである。前記吸着剤粒子は、0.001〜3mmの範囲内、特に0.005〜2.5mmの範囲内、好ましくは0.01〜2mmの範囲内、より好ましくは0.02〜1.5mmの範囲内、最も好ましくは0.05〜1mmの範囲内の絶対粒子サイズ、特に絶対粒子直径を有することが望ましい。
【0044】
吸着剤粒子のメジアン粒子サイズも同様に、広い範囲で変化可能である。前記吸着剤粒子は、0.01〜2mmの範囲内、特に0.05〜1.5mmの範囲内、好ましくは0.1〜1mmの範囲内のメジアン粒子サイズ、特にメジアン粒子直径(D50)を有することが望ましい。
【0045】
前記吸着剤粒子は、活性炭;ゼオライト;無機酸化物、特に二酸化珪素、シリカゲル及び酸化アルミニウム;分子篩;ミネラル粒子;クラスレート;有機金属骨格物質(MOFs)及びそれらの混合物の群から選択される材料からなることが望ましい。特に活性炭が望ましい。
【0046】
本願発明の好ましい例において、前記吸着剤粒子は、粒状、特に球状活性炭から形成されることが望ましい。
【0047】
良好な吸着性効率を確保するために、本願発明の吸着剤粒子は、少なくとも500m2/g、特に少なくとも750m2/g、好ましくは少なくとも1000m2/g、より好ましくは1200m2/gの所定の表面積(BET表面積)を有することが望ましい。特に、前記吸着剤粒子は、500〜4000m2/gの範囲内、特に750〜3000m2/gの範囲内、好ましくは900〜2500m2/gの範囲内、より好ましくは950〜2000m2/gの範囲内の所定の表面積(BET表面積)を有することが望ましい。
【0048】
本願発明によって使用される吸着剤粒子は、良好な機械的な負荷耐性を有するものである。前記吸着剤粒子、特に活性炭粒子、好ましくは活性炭粒又は活性炭小球は、粒子当たり少なくとも5Nの破裂圧力、特に5N〜50Nの範囲内の破裂圧力を有することが望ましい。
【0049】
良好な吸着効率を確保するために、使用される吸着剤粒子は、高い吸着容量、高いグールヴィッチ合計細孔量、高い合計空隙率及び高い所定の合計細孔量を有することが望ましい。
【0050】
本願発明によって使用される吸着剤粒子は、少なくとも250cm3/g、特に少なくとも300cm3/g、好ましくは少なくとも350cm3/g、より好ましくは少なくとも400cm3/gの吸着容量Vadsを有することが望ましい。さらに、本願発明によって使用される吸着剤粒子は、250〜3000cm3/gの範囲内、特に300〜2000cm3/gの範囲内、好ましくは350〜2500cm3/gの範囲内の吸着容量Vadsを有することが望ましい。
【0051】
さらに、本願発明によって使用される吸着剤粒子は、少なくとも0.50cm3/g、特に少なくとも0.55cm3/g、好ましくは少なくとも0.60cm3/g、より好ましくは少なくとも0.70cm3/gのグールヴィッチ合計細孔量を有することがのぞましい。また、本願発明によって使用される吸着剤粒子は、0.50〜2.0cm3/gの範囲内、特に0.55〜1.5cm3/gの範囲内、好ましくは0.60〜1.2cm3/gの範囲内、より好ましくは0.65〜1.0cm3/gの範囲内のグールヴィッチ合計細孔量を有することが望ましい。
【0052】
本願発明によって使用される前記吸着剤粒子は、さらに高い合計空隙率を有することが望ましい。前記吸着剤粒子は、10%〜80%の範囲内、特に20%〜75%の範囲内、好ましくは25%〜70%の範囲内の合計空隙率を有することが望ましい。
【0053】
さらに、本願発明によって使用される吸着剤粒子は、高い所定の合計細孔量を有するものである。前記吸着剤粒子は、0.01〜4.0cm3/gの範囲内、特に0.1〜3.0cm3/gの範囲内、好ましくは0.2〜2.0cm3/gの範囲内の所定の合計細孔量を有することが望ましい。75オングストローム以下の細孔直径を有する細孔の割合は、少なくとも65%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%であることが望ましい。
【0054】
特に球状活性炭に基づく上述した特性を有する使用される吸着剤粒子は、ドイツ、エルクラス、ブリュッヒャーゲーエムベーハー、又はドイツ、プレムニッツ、アドソーテックゲーエムベーハーから入手可能である。
【0055】
本願発明に特別な具体例によれば、本願発明の吸着性構造体及び/若しくはその構造体を形成する凝集体は、成形品に加工され、特にそれは圧縮成形によって実行される。
【0056】
吸着性構造体が、個々の吸着剤粒子のルースベッドと比較して著しく減少した圧力降下を有することが吸着性構造体の特別な利点である。本願発明の吸着性構造体、特にルースベッドの形の吸着性構造体、又は成形品の形の吸着性構造体は、0.2m/sの流速で、最大200Pa/cm、特に最大150Pa/cm、好ましくは最大100Pa/cm、より好ましくは最大90Pa/cm、さらに好ましくは最大70Pa/cm、最も好ましくは最大50Pa/cmの長さベースの圧力降下を有するものである。ルースベッドの形、特に成形品の形の本願発明の吸着性構造体は、0.2m/sの流速で、5〜200Pa/cmの範囲内、特に5〜150Pa/cmの範囲内、好ましくは5〜100Pa/cmの範囲内、より好ましくは7.5〜90Pa/cmの範囲内、最も好ましくは10〜80Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有するものである。これと比較して、本願発明の吸着性構造体に使用されるような同様の吸着剤粒子のルースベッドは、0.2m/sの流速で、200〜600Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有することが望ましい。
【0057】
これによって、本願発明は、粒状若しくは球状吸着剤又は吸着剤粒子だけでなく、有機重合体の補助を有する他の形の吸着剤、特にバインダー若しくは熱溶融性接着剤も、吸着性成形品に圧縮成形される時に、例えば比較される粒状若しくは球状吸着剤又は吸着剤粒子又は裂炭のルースベッドと比較して、大変低い差圧を有する凝集体に変化することができるものである。そのため、本願発明に係る吸着性凝集体は、低い差圧と低い初期漏出の両方が極めて重要な応用において特に使用することが可能である。
【0058】
したがって、本願発明は、多数の利点を有しており、そのいくつかは上述されたものであり、さらにいくつかの利点は被限定且つ非決定的な方法において下記に列挙されるものである。上述されたように、ルースベッドの形の本願発明による吸着性構造体若しくは凝集体は、他の吸着性特性、例えば吸着性動力学、吸着能力、初期漏出等を損なうことなしに、純粋基礎吸着剤粒子と比較して、著しく減少した差圧を有する。
【0059】
さらに、本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体は、良好な機械的安定性と、良好な可撓性及び圧縮性を結合させるので、本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体は、容易に圧縮成形することができ、下記に詳細に記載されるように、所望の形状の対応する安定性及び自己支持吸着性成形品に加工可能である。
【0060】
本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体は、大変高いレベルの活性化を提供し、これによって大変良好な機械的安定性と結合された基礎吸着剤粒子には大変高い能力を提供する。凝集体形成は、非凝集性の基礎吸着剤粒子と比較して、非凝集性基礎吸着剤粒子の場合のような大変高い保有活性化レベルで、機械的安定性において十分な減少を含まない。
【0061】
また、本願発明の吸着性構造若しくは凝集体は、基礎吸着剤粒子での大変高い潜在的吸着能力により、低い吸着質濃度ですら高い吸着性効率を提供する。
【0062】
基礎吸着剤粒子の大変高い純表面積によって、大変高い相対湿度が、効率の十分な降下を結果として生じることは観察されなかった。
【0063】
摩耗、摩滅及び荷重下での基礎吸着剤粒子の高い硬度によって、本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体は、少なくとも実質的にダストレスであり、特に呼吸ダスト粒子サイズを少なくとも実質的に含有しない。
【0064】
さらに、本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体は、基礎粒子の優れた含浸性を保持する(例えば、湿潤テストにおいて60%以上)。
【0065】
さらにまた、吸着の高い広域スペクトル有効性は、基礎吸着剤粒子の製造作業の過程で調整可能な効果的な細孔サイズ分布(例えば、非常に高いマイクロ細孔及びメゾ/マクロ細孔量の結合)と同様に規則吸着剤粒子の大変良好な浸透性を介して達成される。本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体は、例えば1つの凝集体内でお互いに異なる細孔サイズ分布を有する吸着剤粒子を結合させることができるので、吸着の広域スペクトル有効性を著しく改善することができるものである。
【0066】
前記圧力降下は、基礎吸着剤粒子直径から凝集体直径までの範囲内の凝集体割合の自由選択を介して自由に調整可能である。
【0067】
上述したように、著しく低い圧力降下が、同様の吸着能力を有する粒状若しくは成形活性炭と比較して、本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体のルースベッドに関して観察された。
【0068】
善太粋な吸着効率及び全体的な吸着性動力学が、基礎吸着剤粒子サイズの自由選択(例えば、変更可能な表面/容積比率)を介して、また基礎吸着剤粒子活性化のレベルの自由選択(例えば、変更可能な細孔サイズ分布)介して、調整可能/制御可能である。
【0069】
同様に、ベッド嵩密度及び所定の圧力降下についての能力は、例えば基礎吸着剤粒子サイズの自由選択(例えば、変更可能な表面/容積比率)を介して調整可能である。
【0070】
高いバッファ容量は、有機重合体成分、特に熱溶融性接着性成分による減少した吸着性を補償するものであるが、それによって、有機重合体成分によるブロックされない細孔量には十分ではない。有機重合体の成分による能力損失は、極端に小さい。
【0071】
本願発明の第2の様相によれば、本願発明は、吸着剤粒子の凝集体に基づいて本願発明の吸着性構造体を製造する方法であって、本願発明による吸着性構造体のための本願発明の製造方法は:
(a) 最初に、粒状、好ましくは球状吸着剤粒子と、熱可塑性有機重合体、特にバインダーの粒子とをお互いに接触させて混合させること、
(b) そして、結果として生じた混合物を、前記有機重合体の溶融又は軟化温度以上の温度まで加熱すること、且つ
(c) 最後に、結果として生じた生成物を、前記有機重合体の溶融又は軟化温度より低い温度まで冷却すること、
からなるものである。
【0072】
さらに、前記(b)段階は、所定の時間、特に少なくとも1分間、特に少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間、到達した温度を維持することを具備する。到達した温度は、1〜600分間の範囲内、特に5〜300分間の範囲内、好ましくは10〜150分間の範囲内の時間、維持されることが望ましい。維持する時間を決定するための基準は、全体的な処理が単一の温度で実行されること、すべての有機重合体、時にすべての熱溶融性接着剤が、完全に溶解することである。
【0073】
(b)段階の実施の間、特に上述した加熱及び/若しくは維持制御の過程において、混合を介してエネルギー入力が実行され、このエネルギー入力は、結果として生じる凝集体サイズを制御するために使用され、この場合、小さい凝集体サイズは、エネルギー入力を上昇させることで得られる。
【0074】
本願発明の方法は、加熱回転チューブ、回転チューブ炉において実行される。回転チューブの回転速度は、エネルギー入力を制御し、これによって結果として生じる凝集体のサイズを制御する。より小さい凝集体のサイズは、回転速度を上昇させることによって得られる。回転チューブを一回ごとの空にすることは、一回ごとに回転速度を変化させることによって、多様な凝集体サイズ分布を得ることを可能にする。
【0075】
本願発明の好ましい実施例において、(c)段階において生じる凝集体は、それに続く(d)段階において、吸着性成形品に、特に圧縮成形よって加工されることが望ましい。成形品への加工は、加熱することによって効果が生じ、この場合、有機重合体、特に熱溶融性接着剤の溶融若しくは軟化温度以下の温度に設定することが望ましく、それによって対応する凝集体が、分解及び/若しくは崩壊しない。
【0076】
本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体のための本願発明の製造方法の範囲内において、熱可塑性有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤が、粒子の形で、特に粒子状若しくは小球状粒子の形で、好ましくは室温及び大気圧で固体粒子の形で使用されることが望ましい。また、有機重合体は、100〜2000μmの範囲内、特に150〜1500μmの範囲内、好ましくは200〜1000μmの範囲内の粒子サイズで使用されることが望ましい。吸着剤粒子に対する有機重合体のサイズ比は、1:1以上、特には、1.25:1以上、好ましくは1.5:1以上、より好ましくは2:1以上、最も好ましくは3:1以上で選択されることが望ましい。
【0077】
本願発明の製造方法の範囲において、有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比は、少なくとも2:1、特に少なくとも3:1、好ましくは5:1、より好ましくは7:1、最も好ましくは8:1であることが望ましい。有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比は、2:1〜30:1の範囲内、特に3:1〜20:1の範囲内、好ましくは4:1〜15:1の範囲内、より好ましくは5:1〜10:1の範囲内で変化することが望ましい。
【0078】
上述したように、使用される有機重合体は、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/若しくはポリウレタン及びそれらの混合物及び共重合体の群から選択された重合体に基づく熱可塑性バインダー、特に熱可塑性熱溶融性接着剤であることが望ましい。
【0079】
本願発明の方法に関するさらなる詳細について、本願発明の吸着性構造体に関する上記所見を参照し、本願発明の製造方法に関してそのまま適用することができるものである。
【0080】
本願発明の代表的な実施例において、下記する手順が採用される。上述したように、使用される有機重合体は、いわゆる粉末接着剤の形の熱溶融性接着剤を具備し、この場合、多様な接着剤が使用可能である。使用される接着剤の粒子サイズは、200〜1000μmの範囲内で変化する。高い熱的化学的安定性の接着剤を使用することが望ましい。
【0081】
熱可塑性接着剤、特に熱溶融性接着剤を使用することが、特に好ましい。ソフトセグメント(柔軟性成分)も含んでいるポリエステル、ポリアミド若しくはポリウレタンハードセグメント(分子拘束成分)を有する接着剤を使用することが可能であり、この場合、前記ソフトセグメントは、ポリエーテル及びポリエステルのクラスから選択されることが望ましい。代表的な重合体指定は、例えばコポリエステル、又は所定のポルエーテルエステルである。
【0082】
上述したように、前記熱溶融性接着剤は、粉末形態で使用されることが望ましい。この接着剤の粒子サイズ分布は、ベッドにおける吸着剤成分の下方への落下を防止するために、基礎吸着剤粒子の粒子サイズ分布よりも大きくなければならない。
【0083】
上述したように、粉末の接着剤粒子と基礎吸着剤粒子は、最初に回転チューブに充填されてそこで混合され、その混合物が、接着剤の軟化又は溶融温度以上に加熱され、その温度が所定の時間維持されるものである。この熱処理は、使用される特定の接着剤に依存する。機械的な処理、特に回転チューブの回転速度は、凝集体の結果として生じる大きさに影響を与えるために使用されることが望ましい。
【0084】
凝集化は、使用される接着剤の種類に依存する。上述したように、いくつかの所定の接着剤が原則的に使用される。目標温度は、接着剤の溶融若しくは軟化温度より高くなるか、溶融若しくは軟化温度の範囲内であるべきである。
【0085】
本願発明の方法の過程において廃棄ベッドが目標温度まで加熱されること、全体的な廃棄ベッドの加熱が完全に達成されるために適切な持続時間が使用されることを確保するために十分な注意を払う必要がある。
【0086】
前記目標温度は、本願発明の接着剤の溶融若しくは軟化温度に到達した時点で、温度上昇の伴う接着剤の粘度の減少が、吸着剤粒子の要求されない細孔封鎖の上昇を生じることから、できるだけ低い方が望ましい。
【0087】
機械的処理、特に回転チューブ反応炉の回転速度は、所望の凝集体サイズ分布に依存する。回転速度の上昇は、凝集体サイズ分布への明確な影響を与えるために使用される。この回転速度の上昇は、より小さい凝集体サイズ分布を生じる。
【0088】
本願発明の第3の様相によれば、本願発明は、本願発明による吸着性構造体の本願発明の使用を提供するものである。
【0089】
本願発明に係る吸着性構造体は、気体若しくは空気流、又は液体、特に水から有毒物質、有害物質及び臭気を吸着するために使用される。本願発明の吸着性構造体は、気体、気体流若しくは気体混合物、特に空気、又は、液体、特に水を浄化若しくは洗浄するために使用される。さらに、本願発明の吸着性構造体は、吸着フィルタに使用される。さらにまた、本願発明の吸着性構造体は、フィルタの製造、特に吸着フィルタの製造に使用される。また、本願発明の吸着性構造体は、特に圧縮成形による吸着性成形品の製造のために使用される。さらに、本願発明の吸着性構造体は、気体、特に水素の吸着貯蔵として使用することができるものである。
【0090】
本願発明の代表的な実施例において、本願発明の吸着性構造体は、ルースベッドの形で使用される。しかしながら、それに代わるものとして、本願発明の吸着性構造体は、特に圧縮成形を介して、それから製造される吸着性製造品の形で使用されることもできる。
【0091】
本願発明の使用に関するさらなる詳細については、本願発明の吸着性構造に関する上述した所見及びその製造方法に関する所見を参照することによって、本願発明の使用に関してそのまま適用することができるものである。
【0092】
本願発明の第4の様相によれば、本願発明は、上述したように、好ましくはルースベッドの形の吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を具備するフィルタであって、該フィルタが、流速0.2m/sで、最大200Pa/cm、特に5〜200Pa/cmの長さベースの圧力降下を有するフィルタを提供するものである。特に本願発明のフィルタは、流速0.2m/sで、最大150Pa/cm、特に最大100Pa/cm、好ましくは最大90Pa/cm、より好ましくは70Pa/cm、最も好ましくは50Pa/cmの長さベースの圧力降下を有するものである。さらに、本願発明のフィルタは、流速0.2m/sで、5〜150Pa/cmの範囲内、特に5〜100Pa/cmの範囲内、好ましくは7.5〜90Pa/cmの範囲内、より好ましくは10〜80Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有するものである。
【0093】
本願発明のフィルタに関するさらなる詳細については、本願発明の吸着性構造体に関する上記所見、その製造方法に関する上記所見及びその使用に関する上記所見を参照し、本願発明のフィルタに関してそのまま適用することができるものである。
【0094】
さらに、本願発明の第5の様相によれば、本願発明は、上述されたような吸着剤粒子の凝集体に基づいた多様な吸着性構造体から構成された吸着性成形品を提供することにある。
【0095】
本願発明の吸着性成形品は、多様な粒状、好ましくは球状吸着剤粒子を具備する。その吸着剤粒子は、好ましくは熱可塑性有機重合体、特にバインダーを介して少なくとも部分的お互いに結合されること、且つ/又は、吸着剤粒子が好ましくは熱可塑性有機重合体、特にバインダーに結合及び/若しくは接着されることが望ましい。
【0096】
本願発明の吸着性成形品は、一体品及び/若しくは一体形態であることが望ましい。本願発明の吸着性成形品は、所望の幾何学的形態を有することが望ましい。例えば、本願発明の吸着性成形品は、円筒状、ロッド形状、プレート形状、立体形状、多面体形状等であることが好ましい。
【0097】
本願発明の吸着性成形品は、優れた圧力降下を有する。特に、本願発明の吸着性成形品は、流速0.2m/sで、最大200Pa/cm、特に最大150Pa/cm、好ましくは最大100Pa/cm、より好ましくは最大90Pa/cm、さらに好ましくは最大70Pa/cm、最も好ましくは最大50Pa/cmの長さベースの圧力降下を有するものである。さらに、本願発明の吸着性成形品は、流速0.2m/sで、5〜200Pa/cmの範囲内、特に5〜150Pa/cmの範囲内、好ましくは5〜100Pa/cmの範囲内、より好ましくは7.5〜90Pa/cmの範囲内、最も好ましくは10〜80Pa/cmの長さベースの圧力降下を有するものである。
【0098】
本願発明の吸着性成形品は、特に上述したような吸着剤粒子の凝集体に基づく本願発明の吸着性構造体から、本願発明の吸着性構造体を圧縮成形することによって得られるものである。
【0099】
本願発明の吸着性成形品に関するさらなる詳細については、本願発明の他の様相に関する上記所見を参照し、本願発明による吸着性成形品の関してそのまま適用することができるものである。
【0100】
本願発明の第6の様相によれば、本願発明は、上述したような吸着性成形品の想像方法を提供するもので、上述したように吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体が、この方法において圧縮成形される。圧縮成形は、加熱すること、好ましくは有機重合体の溶融若しくはなんか温度以下の温度まで加熱することによって効果が得られる。圧縮成形は、同時成形によって効果が得られるものである。
【0101】
本願発明の吸着性成形品の製造方法に関するさらなる詳細については、本願発明の他の様相に関する上記所見を参照し、本願発明の吸着性成形品に関してそのまま適用することができるものである。
【0102】
本願発明の第7の様相によれば、本願発明は、本願発明の吸着性成形品の使用を提供することにある。
【0103】
本願発明に係る吸着性構造体は、気体若しくは空気流、又は液体、特に水から有毒成分、有害成分及び臭気成分を吸着するために使用される。さらに、本願発明に係る吸着性構造体は、気体、空気流若しくは気体混合物、又は液体、特に水の浄化若しくは洗浄するために使用される。さらに、本願発明の吸着性成形品は、吸着フィルタに使用される。本願発明の吸着性成形品は、フィルタの製造、特に吸着性フィルタの製造に使用される。さらにまた、本願発明の吸着性成形品は、気体、特に水素の吸着貯蔵に使用されるものである。
【0104】
本願発明の吸着性成形品に使用に関するさらなる詳細に関しては、本願発明の他の様相に関する所見を参照し、本願発明のこの様相に関してそのまま適用することができるものである。
【0105】
本願発明の第8の様相によれば、本願発明は、本願発明による吸着性成形品を具備するフィルタを提供するもので、このフィルタは、流速0.2m/sで、最大200Pa/cm、より好ましくは5〜200Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有するものである。特に、本願発明のフィルタは、流速0.2m/sで、最大150Pa/cm、特に最大100Pa/cm、好ましくは最大90Pa/cm、より好ましくは最大70Pa/cm、最も好ましくは最大50Pa/cmの長さベースの圧力降下を有するものである。さらに、本願発明のフィルタは、流速0.2m/sで、5〜150Pa/cmの範囲内、特に5〜100Pa/cmの範囲内、好ましくは7.5〜90Pa/cmの範囲内、より好ましくは10〜80Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有するものである。
【0106】
本願発明のフィルタに関するさらなる詳細に関しては、本願発明の他の様相に関する上記所見を参照し、本願発明のこの様相に関してそのまま適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、吸着剤粒子の凝集体に基づく本願発明の吸着性構造体の拡大された写真図を示す。
【図2】図2は、吸着剤粒子の凝集体に基づく本願発明の吸着性構造体の200倍顕微鏡拡大図を示す。
【図3】図3は、吸着剤粒子の凝集体に基づく本願発明の吸着性構造体の500倍顕微鏡拡大図を示す。
【図4】図4は、本願発明のいろいろな吸着性構造体の[mm]単位の凝集体サイズと、流速0.2m/sで、[Pa/cm]単位の長さベースの圧力降下との依存関係を示したグラフを示す。
【図5】図5は、本願発明のいろいろな吸着性構造体の[g/l]単位のベッド嵩密度と、流速0.2m/sで、[Pa/cm]単位の長さベースの圧力降下との依存関係を示したグラフを示す。
【図6】図6は、凝集体比率として、本願発明のいろいろな吸着性構造体のベッドの時間依存性漏出曲線を示す。
【図7】図7は、本願発明のいろいろな吸着性構造体の[mm]単位の凝集体サイズと、流速0.2m/sで、[Pa/cm]単位の長さベースの圧力降下との依存関係を示したグラフを示す。
【図8】図8は、本願発明のいろいろな吸着性構造体の[g/l]単位のベッド嵩密度と、流速0.2m/sで、[Pa/cm]単位の長さベースの圧力降下との依存関係を示したグラフを示す。
【図9】図9は、凝集体比率として、本願発明のいろいろな吸着性構造体のベッドの時間依存性漏出曲線を示す。
【図10】図10は、本願発明の吸着性構造体から圧縮成形によって得られる本願発明の吸着性成形品のひとつの幾何学的形態を示した図である。
【図11】図11は、本願発明の吸着性構造体から圧縮成形によって得られる本願発明の吸着性成形品の別の幾何学的形態を示した図である。
【図12】図12は、本願発明の吸着性構造体から圧縮成形によって得られる本願発明の吸着性成形品の別の幾何学的形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0108】
本願発明の精巧、改良及び変形は、本願発明の範囲を外れることなく本明細書を読み込むことで、当業者には容易に理解し且つ実現できるものである。
【0109】
また、本願発明は、下記する実施例によって説明されるが、本願発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0110】
吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体及びそれから得られる吸着性成形品の製造が以下に記載される。
【0111】
本願発明の吸着性構造体若しくは凝集体の製造は、活性炭(ドイツ、エルクラス、ブリュッヒャーゲーエムベーハー若しくはドイツ、プレムニッツ、アドソーテックゲーエムベーハーから入手可能である)に基づく球状吸着剤粒子をお互いに接触させ、また200μm〜1000μmの範囲内の粒子径を有する熱可塑性熱溶融接着剤(例えば、スイス、EMS−グリルテック、EMS−ケミーアーゲーから入手可能なコポリエステル熱溶融接着剤)をお互いに接触させ、それらを回転チューブ内で混合させ、そこでその熱溶融接着剤の溶融若しくは軟化温度以上に加熱され、所定時間この温度がそこで維持され、その後、その生成物が、その熱溶融接着剤の溶融若しくは軟化温度以下の温度まで冷却されるという手順を踏むものである。本願発明のために最適な熱溶融性接着剤は、例えば下記する特性を有することが望ましい:溶融範囲:118〜123℃、溶融粘度:350mPas、積層温度:120〜150℃、耐熱:100℃まで、耐洗浄:75℃まで。
【0112】
本願発明の方法は、加熱可能回転チューブにおいて、エネルギー入力を制御し、これによって回転チューブの回転速度を介して凝集体の結果として生じる大きさを制御することによって実行される。
【0113】
結果として生じる本願発明の凝集体が、以下に分析され、評価される。本願発明の吸着性構造体の最適な例が図1乃至3において示される。この方法において得られる吸着性構造体若しくは凝集体は、使用される熱溶融性接着剤の溶融若しくは軟化温度以下に加熱されることによる成形と同時に行われる圧縮成形によって、本願発明による吸着性成形品に加工される。本願発明による吸着性成形品が結果して生じる。適当な例が、図10乃至12に示される。
【0114】
凝集体1の製造の一例
【0115】
開始材料:
・ 基礎吸着剤粒子;球状活性炭、多分散系、微細、粒子サイズ<0.315mm
・ 熱可塑性熱溶融接着剤、粒子サイズ200〜1000μm
・ 接着剤使用重量比:1:5(接着剤:基礎粒子)
・ 目標温度:T=175℃
・ 目標温度の達成後の維持時間:t=30分
・ 回転チューブ反応炉回転速度:n=1rpm
【0116】
下記する表1は、形成された凝集体に関して、例として重量比の接着剤含有量と、重量比のブタン吸着量を報告するものである。サンプルテストは、重複して実施される。
【0117】
【表1】
【0118】
形成された凝集体は、下記する画分に分割される。
・ 0.6〜1.0mm (凝集体I)
・ 0.8〜1.25mm (凝集体II)
・ 1.25〜2.5mm (凝集体III)
【0119】
下記する表2は、篩に掛けられた凝集体の測定された値を例として示している。
【0120】
【表2】
【0121】
図4及び5による図は、凝集体サイズに対する圧力降下の変化を示した図であり(図4)、且つ、接着剤成分を有する嵩密度に対する圧力降下の変化を示した図である(図5)。
【0122】
図6による図は、本願発明のサイズの異なるいろいろな凝集体の漏出曲線(トルエン)を示した図である(流速:V=0.1m/s;初期濃度c=トルエンの80ppm;相対湿度50%;温度T=23℃;ベッド高さh=20mm)。
【0123】
下記する表3は、例として、従来の活性炭フィルタと比較した漏出曲線の測定された結果とパラメータを示すものである。凝集体サイズで異なっている本願発明の凝集体のベッド(0.315mmより小さい凝集した基礎吸着剤粒子)が、従来の活性炭粒子のベッド(比較サンプル;粒子径:0.8〜1.7mm)と比較される。
【0124】
【表3】
【0125】
凝集体2の製造の一例
【0126】
開始材料:
・ 基礎吸着剤粒子;球状活性炭、多分散系、コース、粒子サイズ0.56−0.71mm
・ 熱可塑性熱溶融接着剤、粒子サイズ500〜1000μm
・ 接着剤使用重量比:1:10(接着剤:基礎粒子)
・ 目標温度:T=175℃
・ 目標温度の達成後の維持時間:t=30分
・ 回転チューブ反応炉回転速度:n=1rpm
【0127】
下記する表4は、形成された凝集体に関して例として重量比の接着剤含有量と、重量比のブタン吸着量を示している。サンプルテストは、重複して実行される。
【0128】
【表4】
【0129】
形成された凝集体は、下記する画分に分割される。
・ 0.6〜1.0mm (凝集体I’)
・ 0.8〜1.25mm (凝集体II’)
・ 1.25〜2.5mm (凝集体III’)
【0130】
下記する表5は、篩に掛けられた凝集体の測定された値を例として示している。
【0131】
【表5】
【0132】
図7及び8による図は、凝集体サイズに対する圧力降下の変化を示した図であり(図7)、且つ、接着剤成分を有する嵩密度に対する圧力降下の変化を示した図である(図8)。
【0133】
図9による図は、本願発明のサイズの異なるいろいろな凝集体の漏出曲線(トルエン)を示した図である(流速:V=0.1m/s;初期濃度c=トルエンの80ppm;相対湿度50%;温度T=23℃;ベッド高さh=20mm)。
【0134】
下記する表6は、例として、従来の活性炭フィルタと比較した漏出曲線の測定された結果とパラメータを示すものである。凝集体サイズで異なっている本願発明の凝集体のベッド(0.56〜0.71mmの範囲内の凝集した基礎吸着剤粒子)が、従来の活性炭粒子のベッド(比較サンプル;粒子径:0.8〜1.7mm)と比較される。
【0135】
【表6】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体であって、個々の凝集体が、それぞれが多様な粒状、好ましくは球状吸着剤粒子を具備する吸着性構造体において、
個々の凝集体の吸着剤粒子が、熱可塑性有機重合体、特にバインダーを介してお互いに結合されること、且つ/又は、
個々の凝集体の吸着剤粒子が、熱可塑性有機重合体、特にバインダーに結合及び/若しくは接着されることを特徴とする吸着性構造体。
【請求項2】
前記有機重合体が、特定の凝集体の少なくとも1つのコアを形成すること、且つ/又は、個々の凝集体の吸着剤粒子が、有機重合体、特にバインダーの1つ以上のコアに配され及び/若しくは埋め込まれ、前記個々の凝集体が有機重合体、特にバインダーの1つ以上のコアを具備することを特徴とする請求項1記載の吸着性構造体。
【請求項3】
前記有機重合体、特にバインダーのコアは、100〜2000μmの範囲内、特に150〜1500μmの範囲内、好ましくは200〜1000μmの範囲内の大きさを有すること、且つ/又は、個々の吸着剤粒子に対する有機重合体、特にバインダーのコアのサイズ比は、少なくとも1:1、特に少なくとも1.25:1、好ましくは少なくとも1.5:1、より好ましくは少なくとも2:1、最も好ましくは少なくとも3:1であることを特徴とする請求項2記載の吸着性構造体。
【請求項4】
個々の凝集体が、それぞれ少なくとも5個の吸着剤粒子、特に少なくとも10個の吸着剤粒子、好ましくは少なくとも15個の吸着剤粒子、より好ましくは少なくとも20個の吸着剤粒子を具備すること、且つ/又は、個々の凝集体が、それぞれ50個までの吸着剤粒子、特に75個までの吸着剤粒子、好ましくは100個まで若しくはそれ以上の吸着剤粒子を具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項5】
個々の凝集体が、少なくとも2:1、特に少なくとも3:1、好ましくは少なくとも5:1、より好ましくは少なくとも7:1、最も好ましくは少なくとも8:1の凝集体毎の有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比を有すること、且つ/又は、個々の凝集体が、2:1〜30:1の範囲内、特に3:1〜20:1の範囲内、好ましくは4:1〜15:1の範囲内、より好ましくは5:1〜10:1の範囲内の凝集体毎の有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項6】
個々の凝集体が、自己支持形態であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項7】
前記個々の凝集体が、粒子形状をしており、0.01〜20mmの範囲内、特に0.05〜15mmの範囲内、好ましくは0.1〜10mmの範囲内、より好ましくは0.2〜7.5mmの範囲内、最も好ましくは0.5〜5mmの範囲内の粒子サイズ、特に粒子直径を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項8】
個々の凝集体が、ラズベリー若しくはブラックベリー状の構造を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項9】
前記有機重合体が熱可塑性形態であること、且つ/又は、前記有機重合体が熱粘着形態であること、且つ/又は、前記有機重合体が、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/若しくはポリウレタン及びそれらの混合物及び共重合体の群から選択されたポリマーであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項10】
前記有機重合体が、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/若しくはポリウレタン及びそれらの混合物及び共重合体の群から選択されたポリマーに基づく熱可塑性バインダー、特に熱可塑性熱溶融性接着剤であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項11】
前記有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤が、25℃、大気圧で固体であること、且つ/又は、前記有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤が、100℃以上、特に110℃以上、好ましくは120℃以上の溶融若しくは軟化温度範囲を有すること、且つ/又は、前記有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤が、少なくとも100℃、特に少なくとも125℃、好ましくは少なくとも150℃の熱的安定温度を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項12】
個々の凝集体の吸着剤粒子が、それらの表面積の最大50%、特に最大40%、好ましくは最大30%、より好ましくは20%まで有機重合体で覆われているかコートされていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項13】
前記吸着剤粒子が、多孔性構造を有すること、且つ/又は、吸着剤粒子が粒状、特に球状形状をしていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項14】
前記吸着剤粒子が、0.001〜3mmの範囲内、特に0.005〜2.5mm、好ましくは0.01〜2mmの範囲内、より好ましくは0.02〜1.5mmの範囲内、最も好ましくは0.05〜1mmの範囲内の粒子サイズ、特に粒子径を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項15】
前記吸着剤粒子が、0.01〜2mmの範囲内、特に0.05〜1.5mmの範囲内、好ましくは0.1〜1mmの範囲内のメジアン粒子サイズ、特にメジアン粒子径(D50)を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項16】
前記吸着剤粒子が、活性炭;ゼオライト;無機酸化物、特に二酸化珪素、シリカゲル及び酸化アルミニウム;分子篩;ミネラル粒子;クラスレート;有機金属骨格物質(MOFs)及びそれらの混合物の群から選択される材料、特に活性炭からなること、且つ/又は、前記吸着剤粒子が、粒状、特に球状活性炭から形成されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項17】
前記吸着剤粒子が、少なくとも500m2/g、特に少なくとも750m2/g、好ましくは少なくとも1000m2/g、より好ましくは1200m2/gの所定の表面積(BET表面積)を有すること、且つ/又は、前記吸着剤粒子が、500〜4000m2/gの範囲内、特に750〜3000m2/gの範囲内、好ましくは900〜2500m2/gの範囲内、より好ましくは950〜2000m2/gの範囲内の所定の表面積(BET表面積)を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項18】
前記吸着剤粒子、特に活性炭粒子、好ましくは活性炭粒又は活性炭小球が、粒子当たり少なくとも5Nの破裂圧力、特に5N〜50Nの範囲内の破裂圧力を有することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項19】
前記吸着剤粒子が、少なくとも250cm3/g、特に少なくとも300cm3/g、好ましくは少なくとも350cm3/g、より好ましくは少なくとも400cm3/gの吸着容量Vadsを有すること、且つ/又は、吸着剤粒子は、250〜3000cm3/gの範囲内、特に300〜2000cm3/gの範囲内、好ましくは350〜2500cm3/gの範囲内の吸着容量Vadsを有することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項20】
前記吸着剤粒子が、少なくとも0.50cm3/g、特に少なくとも0.55cm3/g、好ましくは少なくとも0.60cm3/g、より好ましくは少なくとも0.70cm3/gのグールヴィッチ合計細孔量を有すること、且つ/又は、前記吸着剤粒子が、0.50〜2.0cm3/gの範囲内、特に0.55〜1.5cm3/gの範囲内、好ましくは0.60〜1.2cm3/gの範囲内、より好ましくは0.65〜1.0cm3/gの範囲内のグールヴィッチ合計細孔量を有することを特徴とするいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項21】
前記吸着剤粒子が、10%〜80%の範囲内、特に20%〜75%の範囲内、好ましくは25%〜70%の範囲内の合計空隙率を有することを特徴とする請求項1〜20のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項22】
前記吸着剤粒子が、0.01〜4.0cm3/gの範囲内、特に0.1〜3.0cm3/gの範囲内、好ましくは0.2〜2.0cm3/gの範囲内の所定の合計細孔量を有し、75オングストローム以下の細孔直径を有する細孔の割合が、少なくとも65%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%であることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1つの吸着性構造体。
【請求項23】
前記凝集体が、特に圧縮成形を介して、成形品に加工されることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項24】
前記吸着性構造体、特にルースベッドの形の吸着性構造体、又は成形品の形の吸着性構造体が、0.2m/sの流速で、最大200Pa/cm、特に最大150Pa/cm、好ましくは最大100Pa/cm、より好ましくは最大90Pa/cm、さらに好ましくは最大70Pa/cm、最も好ましくは最大50Pa/cmの長さベースの圧力降下を有すること、且つ/又は、ルースベッドの形、特に成形品の形の吸着性構造体が、0.2m/sの流速で、5〜200Pa/cmの範囲内、特に5〜150Pa/cmの範囲内、好ましくは5〜100Pa/cmの範囲内、より好ましくは7.5〜90Pa/cmの範囲内、最も好ましくは10〜80Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有することを特徴とする請求項1〜23のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1つに記載の吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を製造する方法において、
(a) 最初に、粒状、特に球状吸着剤粒子と、熱可塑性有機重合体、特にバインダーの粒子とを接触させて混合すること、
(b) 結果として生じる混合物が、前記有機重合体の溶融若しくは軟化温度以上の温度まで加熱されること、
(c) 結果として生じる生成品が、前記有機重合体の溶融若しくは軟化温度より低い温度まで冷却されることを特徴とする方法。
【請求項26】
前記(b)段階が、所定の時間、特に少なくとも1分間、特に少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間、到達した温度を維持することを具備すること、且つ/又は、到達した温度が、1〜600分間の範囲内、特に5〜300分間の範囲内、好ましくは10〜150分間の範囲内の時間、維持されることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記(b)段階の実施の間、特に上述した加熱及び/若しくは維持制御の過程において、混合を介してエネルギー入力が実行され、このエネルギー入力が、結果として生じる凝集体サイズを制御するために使用されることを特徴とする請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
該方法が、加熱回転チューブ、回転チューブ炉において実行され、該回転チューブの回転速度が、エネルギー入力を制御し、これによって結果として生じる凝集体のサイズを制御することを特徴とする請求項25〜27のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
前記(c)段階において生じる凝集体は、それに続く(d)段階において、吸着性成形品に、特に圧縮成形よって加工され、該成形品への加工は、前記有機重合体の溶融若しくは軟化温度以下の温度まで加熱することによって達成されることを特徴とする請求項25〜28のいずれか1つに記載の方法。
【請求項30】
前記熱可塑性有機重合体、特にバインダーが、粒子の形で、特に粒子状若しくは小球状粒子の形で、好ましくは室温及び大気圧で固体粒子の形で使用され、前記有機重合体が、100〜2000μmの範囲内、特に150〜1500μmの範囲内、好ましくは200〜1000μmの範囲内の粒子サイズで使用されること、且つ/又は、前記吸着剤粒子に対する有機重合体のサイズ比が、1:1以上、特には、1.25:1以上、好ましくは1.5:1以上、より好ましくは2:1以上、最も好ましくは3:1以上で選択されることを特徴とする請求項25〜29のいずれか1つに記載の方法。
【請求項31】
有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比が、少なくとも2:1、特に少なくとも3:1、好ましくは5:1、より好ましくは7:1、最も好ましくは8:1であること、且つ/又は、有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比が、2:1〜30:1の範囲内、特に3:1〜20:1の範囲内、好ましくは4:1〜15:1の範囲内、より好ましくは5:1〜10:1の範囲内で変化することを特徴とする請求項25〜30のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
前記有機重合体が、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/若しくはポリウレタン及びそれらの混合物及び共重合体の群から選択された重合体に基づく熱可塑性バインダー、特に熱可塑性熱溶融性接着剤であることを特徴とする請求項25〜31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
請求項1〜24の特徴部分の1つ以上の特長によって特徴づけられる請求項25〜32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
気体若しくは空気流から、又は、液体、特に水から、有毒成分、有害成分及び臭気成分を吸着するために請求項1〜24のいずれか1つに記載された吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を使用すること。
【請求項35】
気体、気体流若しくは気体混合物、特に空気、又は、液体、特に水を洗浄若しくは浄化するために請求項1〜24のいずれか1つに記載された吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を使用すること。
【請求項36】
吸着性フィルタにおけて及び/若しくはフィルタ、特に吸着性フィルタの製造において、請求項1〜24のいずれか1つに記載された吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を使用すること。
【請求項37】
気体、特に水素を吸着貯蔵するものとして、請求項1〜24のいずれか1つに記載された吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を使用すること。
【請求項38】
圧縮成形によって、吸着性成形品の製造において、請求項1〜24のいずれか1つに記載された吸着性粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を使用すること。
【請求項39】
吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体が、ルースベッドにおいて使用されることを特徴とする請求項34〜38のいずれか1つに記載の使用。
【請求項40】
吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体が、圧縮成形を介して製造された成形品の形で使用されることを特徴とする請求項34〜38のいずれか1つに記載の使用。
【請求項41】
ルースベッドの形で請求項1〜24のいずれか1つに記載の吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造を具備するフィルタであって、該フィルタが流速0.2m/sで、最大200Pa/cm、特に5〜200Pa/cmの長さベースの圧力降下を有することを特徴とするフィルタ。
【請求項42】
該フィルタは、流速0.2m/sで、最大150Pa/cm、特に最大100Pa/cm、好ましくは最大90Pa/cm、より好ましくは70Pa/cm、最も好ましくは50Pa/cmの長さベースの圧力降下を有すること、且つ/又は、該フィルタは、流速0.2m/sで、5〜150Pa/cmの範囲内、特に5〜100Pa/cmの範囲内、好ましくは7.5〜90Pa/cmの範囲内、より好ましくは10〜80Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有することを特徴とする請求項41記載のフィルタ。
【請求項43】
請求項1〜24のいずれか1つに記載の吸着剤粒子の凝集体に基づく多様な吸着性構造体から構成される吸着性成形品。
【請求項44】
請求項1〜24のいずれか1つに記載の吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体が、圧縮成形されることを特徴とする請求項43記載の吸着性成形品を製造する方法。
【請求項45】
請求項43記載の吸着性成形品を具備することを特徴とするフィルタ。
【請求項1】
吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体であって、個々の凝集体が、それぞれが多様な粒状、好ましくは球状吸着剤粒子を具備する吸着性構造体において、
個々の凝集体の吸着剤粒子が、熱可塑性有機重合体、特にバインダーを介してお互いに結合されること、且つ/又は、
個々の凝集体の吸着剤粒子が、熱可塑性有機重合体、特にバインダーに結合及び/若しくは接着されることを特徴とする吸着性構造体。
【請求項2】
前記有機重合体が、特定の凝集体の少なくとも1つのコアを形成すること、且つ/又は、個々の凝集体の吸着剤粒子が、有機重合体、特にバインダーの1つ以上のコアに配され及び/若しくは埋め込まれ、前記個々の凝集体が有機重合体、特にバインダーの1つ以上のコアを具備することを特徴とする請求項1記載の吸着性構造体。
【請求項3】
前記有機重合体、特にバインダーのコアは、100〜2000μmの範囲内、特に150〜1500μmの範囲内、好ましくは200〜1000μmの範囲内の大きさを有すること、且つ/又は、個々の吸着剤粒子に対する有機重合体、特にバインダーのコアのサイズ比は、少なくとも1:1、特に少なくとも1.25:1、好ましくは少なくとも1.5:1、より好ましくは少なくとも2:1、最も好ましくは少なくとも3:1であることを特徴とする請求項2記載の吸着性構造体。
【請求項4】
個々の凝集体が、それぞれ少なくとも5個の吸着剤粒子、特に少なくとも10個の吸着剤粒子、好ましくは少なくとも15個の吸着剤粒子、より好ましくは少なくとも20個の吸着剤粒子を具備すること、且つ/又は、個々の凝集体が、それぞれ50個までの吸着剤粒子、特に75個までの吸着剤粒子、好ましくは100個まで若しくはそれ以上の吸着剤粒子を具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項5】
個々の凝集体が、少なくとも2:1、特に少なくとも3:1、好ましくは少なくとも5:1、より好ましくは少なくとも7:1、最も好ましくは少なくとも8:1の凝集体毎の有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比を有すること、且つ/又は、個々の凝集体が、2:1〜30:1の範囲内、特に3:1〜20:1の範囲内、好ましくは4:1〜15:1の範囲内、より好ましくは5:1〜10:1の範囲内の凝集体毎の有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項6】
個々の凝集体が、自己支持形態であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項7】
前記個々の凝集体が、粒子形状をしており、0.01〜20mmの範囲内、特に0.05〜15mmの範囲内、好ましくは0.1〜10mmの範囲内、より好ましくは0.2〜7.5mmの範囲内、最も好ましくは0.5〜5mmの範囲内の粒子サイズ、特に粒子直径を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項8】
個々の凝集体が、ラズベリー若しくはブラックベリー状の構造を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項9】
前記有機重合体が熱可塑性形態であること、且つ/又は、前記有機重合体が熱粘着形態であること、且つ/又は、前記有機重合体が、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/若しくはポリウレタン及びそれらの混合物及び共重合体の群から選択されたポリマーであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項10】
前記有機重合体が、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/若しくはポリウレタン及びそれらの混合物及び共重合体の群から選択されたポリマーに基づく熱可塑性バインダー、特に熱可塑性熱溶融性接着剤であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項11】
前記有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤が、25℃、大気圧で固体であること、且つ/又は、前記有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤が、100℃以上、特に110℃以上、好ましくは120℃以上の溶融若しくは軟化温度範囲を有すること、且つ/又は、前記有機重合体、特にバインダー、好ましくは熱溶融性接着剤が、少なくとも100℃、特に少なくとも125℃、好ましくは少なくとも150℃の熱的安定温度を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項12】
個々の凝集体の吸着剤粒子が、それらの表面積の最大50%、特に最大40%、好ましくは最大30%、より好ましくは20%まで有機重合体で覆われているかコートされていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項13】
前記吸着剤粒子が、多孔性構造を有すること、且つ/又は、吸着剤粒子が粒状、特に球状形状をしていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項14】
前記吸着剤粒子が、0.001〜3mmの範囲内、特に0.005〜2.5mm、好ましくは0.01〜2mmの範囲内、より好ましくは0.02〜1.5mmの範囲内、最も好ましくは0.05〜1mmの範囲内の粒子サイズ、特に粒子径を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項15】
前記吸着剤粒子が、0.01〜2mmの範囲内、特に0.05〜1.5mmの範囲内、好ましくは0.1〜1mmの範囲内のメジアン粒子サイズ、特にメジアン粒子径(D50)を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項16】
前記吸着剤粒子が、活性炭;ゼオライト;無機酸化物、特に二酸化珪素、シリカゲル及び酸化アルミニウム;分子篩;ミネラル粒子;クラスレート;有機金属骨格物質(MOFs)及びそれらの混合物の群から選択される材料、特に活性炭からなること、且つ/又は、前記吸着剤粒子が、粒状、特に球状活性炭から形成されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項17】
前記吸着剤粒子が、少なくとも500m2/g、特に少なくとも750m2/g、好ましくは少なくとも1000m2/g、より好ましくは1200m2/gの所定の表面積(BET表面積)を有すること、且つ/又は、前記吸着剤粒子が、500〜4000m2/gの範囲内、特に750〜3000m2/gの範囲内、好ましくは900〜2500m2/gの範囲内、より好ましくは950〜2000m2/gの範囲内の所定の表面積(BET表面積)を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項18】
前記吸着剤粒子、特に活性炭粒子、好ましくは活性炭粒又は活性炭小球が、粒子当たり少なくとも5Nの破裂圧力、特に5N〜50Nの範囲内の破裂圧力を有することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項19】
前記吸着剤粒子が、少なくとも250cm3/g、特に少なくとも300cm3/g、好ましくは少なくとも350cm3/g、より好ましくは少なくとも400cm3/gの吸着容量Vadsを有すること、且つ/又は、吸着剤粒子は、250〜3000cm3/gの範囲内、特に300〜2000cm3/gの範囲内、好ましくは350〜2500cm3/gの範囲内の吸着容量Vadsを有することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項20】
前記吸着剤粒子が、少なくとも0.50cm3/g、特に少なくとも0.55cm3/g、好ましくは少なくとも0.60cm3/g、より好ましくは少なくとも0.70cm3/gのグールヴィッチ合計細孔量を有すること、且つ/又は、前記吸着剤粒子が、0.50〜2.0cm3/gの範囲内、特に0.55〜1.5cm3/gの範囲内、好ましくは0.60〜1.2cm3/gの範囲内、より好ましくは0.65〜1.0cm3/gの範囲内のグールヴィッチ合計細孔量を有することを特徴とするいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項21】
前記吸着剤粒子が、10%〜80%の範囲内、特に20%〜75%の範囲内、好ましくは25%〜70%の範囲内の合計空隙率を有することを特徴とする請求項1〜20のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項22】
前記吸着剤粒子が、0.01〜4.0cm3/gの範囲内、特に0.1〜3.0cm3/gの範囲内、好ましくは0.2〜2.0cm3/gの範囲内の所定の合計細孔量を有し、75オングストローム以下の細孔直径を有する細孔の割合が、少なくとも65%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%であることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1つの吸着性構造体。
【請求項23】
前記凝集体が、特に圧縮成形を介して、成形品に加工されることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項24】
前記吸着性構造体、特にルースベッドの形の吸着性構造体、又は成形品の形の吸着性構造体が、0.2m/sの流速で、最大200Pa/cm、特に最大150Pa/cm、好ましくは最大100Pa/cm、より好ましくは最大90Pa/cm、さらに好ましくは最大70Pa/cm、最も好ましくは最大50Pa/cmの長さベースの圧力降下を有すること、且つ/又は、ルースベッドの形、特に成形品の形の吸着性構造体が、0.2m/sの流速で、5〜200Pa/cmの範囲内、特に5〜150Pa/cmの範囲内、好ましくは5〜100Pa/cmの範囲内、より好ましくは7.5〜90Pa/cmの範囲内、最も好ましくは10〜80Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有することを特徴とする請求項1〜23のいずれか1つに記載の吸着性構造体。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1つに記載の吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を製造する方法において、
(a) 最初に、粒状、特に球状吸着剤粒子と、熱可塑性有機重合体、特にバインダーの粒子とを接触させて混合すること、
(b) 結果として生じる混合物が、前記有機重合体の溶融若しくは軟化温度以上の温度まで加熱されること、
(c) 結果として生じる生成品が、前記有機重合体の溶融若しくは軟化温度より低い温度まで冷却されることを特徴とする方法。
【請求項26】
前記(b)段階が、所定の時間、特に少なくとも1分間、特に少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間、到達した温度を維持することを具備すること、且つ/又は、到達した温度が、1〜600分間の範囲内、特に5〜300分間の範囲内、好ましくは10〜150分間の範囲内の時間、維持されることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記(b)段階の実施の間、特に上述した加熱及び/若しくは維持制御の過程において、混合を介してエネルギー入力が実行され、このエネルギー入力が、結果として生じる凝集体サイズを制御するために使用されることを特徴とする請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
該方法が、加熱回転チューブ、回転チューブ炉において実行され、該回転チューブの回転速度が、エネルギー入力を制御し、これによって結果として生じる凝集体のサイズを制御することを特徴とする請求項25〜27のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
前記(c)段階において生じる凝集体は、それに続く(d)段階において、吸着性成形品に、特に圧縮成形よって加工され、該成形品への加工は、前記有機重合体の溶融若しくは軟化温度以下の温度まで加熱することによって達成されることを特徴とする請求項25〜28のいずれか1つに記載の方法。
【請求項30】
前記熱可塑性有機重合体、特にバインダーが、粒子の形で、特に粒子状若しくは小球状粒子の形で、好ましくは室温及び大気圧で固体粒子の形で使用され、前記有機重合体が、100〜2000μmの範囲内、特に150〜1500μmの範囲内、好ましくは200〜1000μmの範囲内の粒子サイズで使用されること、且つ/又は、前記吸着剤粒子に対する有機重合体のサイズ比が、1:1以上、特には、1.25:1以上、好ましくは1.5:1以上、より好ましくは2:1以上、最も好ましくは3:1以上で選択されることを特徴とする請求項25〜29のいずれか1つに記載の方法。
【請求項31】
有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比が、少なくとも2:1、特に少なくとも3:1、好ましくは5:1、より好ましくは7:1、最も好ましくは8:1であること、且つ/又は、有機重合体に対する吸着剤粒子の重量比が、2:1〜30:1の範囲内、特に3:1〜20:1の範囲内、好ましくは4:1〜15:1の範囲内、より好ましくは5:1〜10:1の範囲内で変化することを特徴とする請求項25〜30のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
前記有機重合体が、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/若しくはポリウレタン及びそれらの混合物及び共重合体の群から選択された重合体に基づく熱可塑性バインダー、特に熱可塑性熱溶融性接着剤であることを特徴とする請求項25〜31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
請求項1〜24の特徴部分の1つ以上の特長によって特徴づけられる請求項25〜32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
気体若しくは空気流から、又は、液体、特に水から、有毒成分、有害成分及び臭気成分を吸着するために請求項1〜24のいずれか1つに記載された吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を使用すること。
【請求項35】
気体、気体流若しくは気体混合物、特に空気、又は、液体、特に水を洗浄若しくは浄化するために請求項1〜24のいずれか1つに記載された吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を使用すること。
【請求項36】
吸着性フィルタにおけて及び/若しくはフィルタ、特に吸着性フィルタの製造において、請求項1〜24のいずれか1つに記載された吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を使用すること。
【請求項37】
気体、特に水素を吸着貯蔵するものとして、請求項1〜24のいずれか1つに記載された吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を使用すること。
【請求項38】
圧縮成形によって、吸着性成形品の製造において、請求項1〜24のいずれか1つに記載された吸着性粒子の凝集体に基づく吸着性構造体を使用すること。
【請求項39】
吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体が、ルースベッドにおいて使用されることを特徴とする請求項34〜38のいずれか1つに記載の使用。
【請求項40】
吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体が、圧縮成形を介して製造された成形品の形で使用されることを特徴とする請求項34〜38のいずれか1つに記載の使用。
【請求項41】
ルースベッドの形で請求項1〜24のいずれか1つに記載の吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造を具備するフィルタであって、該フィルタが流速0.2m/sで、最大200Pa/cm、特に5〜200Pa/cmの長さベースの圧力降下を有することを特徴とするフィルタ。
【請求項42】
該フィルタは、流速0.2m/sで、最大150Pa/cm、特に最大100Pa/cm、好ましくは最大90Pa/cm、より好ましくは70Pa/cm、最も好ましくは50Pa/cmの長さベースの圧力降下を有すること、且つ/又は、該フィルタは、流速0.2m/sで、5〜150Pa/cmの範囲内、特に5〜100Pa/cmの範囲内、好ましくは7.5〜90Pa/cmの範囲内、より好ましくは10〜80Pa/cmの範囲内の長さベースの圧力降下を有することを特徴とする請求項41記載のフィルタ。
【請求項43】
請求項1〜24のいずれか1つに記載の吸着剤粒子の凝集体に基づく多様な吸着性構造体から構成される吸着性成形品。
【請求項44】
請求項1〜24のいずれか1つに記載の吸着剤粒子の凝集体に基づく吸着性構造体が、圧縮成形されることを特徴とする請求項43記載の吸着性成形品を製造する方法。
【請求項45】
請求項43記載の吸着性成形品を具備することを特徴とするフィルタ。
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1】
【図2】
【図3】
【図10】
【図11】
【図12】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1】
【図2】
【図3】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−508646(P2012−508646A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535889(P2011−535889)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006642
【国際公開番号】WO2010/054715
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(505065467)ブリュッヒャー ゲーエムベーハー (27)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006642
【国際公開番号】WO2010/054715
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(505065467)ブリュッヒャー ゲーエムベーハー (27)
【Fターム(参考)】
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