説明

周囲空気および表面を浄化する方法および装置

【解決手段】 紫外線電球の数を増やすことなく光触媒面で発生する光触媒反応を最大化するように構成されている浄化セルを備える空気および表面を浄化する装置を開示する。当該浄化セルでは、1つの紫外線電球を中心として少なくとも3つの光触媒面の位置を決める際には、光触媒面が、実質的に紫外線電球を取り囲んで、当該紫外線電球が照射する紫外光によって飽和状態となるようにしている。光触媒面が飽和状態となっているので、光触媒面で発生する光触媒反応は完全となる。言い換えると、発生する光触媒反応が最大化される。このような浄化セルでは光触媒反応が最大化されるので、光触媒面の浄化能力が最大限まで高くなり、結果として浄化セルの浄化能力が最大限まで高くなる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
なし
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載]
【0002】
なし
【技術分野】
【0003】
本発明は、周囲空気および表面を浄化する方法および装置に関する。特に、光触媒反応を利用して周囲空気および表面から有機汚染物質を除去する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0004】
図1は、先行技術の一部を成す従来の空気浄化装置を示す断面図である。従来の浄化装置は、紫外線電球01と、第1のマトリクス02と、第2のマトリクス03とを備える。第1のマトリクス02および第2のマトリクス03はそれぞれ、紫外線電球01に対向する光触媒面04および幅1cpaを持つ。紫外線電球01が紫外光を照射すると、第1のマトリクス02および第2のマトリクス03の光触媒面04において光触媒反応が起こる。空気は、光触媒反応にさらされると、酸化されることによって浄化される。
【0005】
従来の浄化装置には、第1のマトリクス02および第2のマトリクス03で生じうる光触媒反応が完全ではないという問題点がある。具体的には、紫外線電球01と各マトリクスとの間の位置関係について問題があり、紫外線電球01と、第1のマトリクス02および第2のマトリクス03それぞれの光触媒面04の最外部05との間の距離dcpaが大きく、光触媒面04の最外部05に対する紫外光照射が光触媒面04を飽和するために十分ではない。光触媒面04が飽和状態にならない場合、発生する光触媒反応が最大化されない。このように、光触媒面04の中央部分06のみに、発生する光触媒反応を最大化するために十分な紫外光が照射される。この結果、所与の光触媒反応を発生させるために従来の浄化装置を利用すると、必要以上に大きい光触媒面04が必要になる。言い換えると、従来の浄化装置の場合、光触媒面04の一部分、結果として、光触媒反応の一部が無駄になってしまう。
【0006】
従来技術に係る別の浄化装置は、第1のマトリクス02および第2のマトリクス03の幅wcpaに沿って紫外線電球01をさらに追加で設けて、光触媒面04の最外部05にも光触媒反応を最大化するだけの十分な紫外光照射を与えることによって、上述の問題に対応している。しかし、紫外線電球01の数を増やすと、装置当たりの部品数、消費電力、および発熱量が増えてしまう。このため、紫外線照射量を大きくすることなく所与の光触媒面において発生する光触媒反応を最大化させることが出来る装置が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のさまざまな特徴に従って、空気および表面を浄化する装置が提供される。当該浄化装置は、紫外線電球の数を増やすことなく光触媒面における光触媒反応を最大化するように構成されている浄化セルを備える。当該浄化セルは、1つの紫外線(UV)電球および少なくとも3つのマトリクスを有し、各マトリクスが光触媒面を持つ。これらのマトリクスは、UV電球を実質的に取り囲むように、UV電球を中心として配置され、各光触媒面がUV電球に向けられている。また、これらのマトリクスの位置を決める際には、各マトリクスの光触媒面全体がUV電球が照射するUV光によって飽和状態となるように、各光触媒面の最外部とUV電球との間の距離を決める。光触媒面全体が飽和状態となると、光触媒面で発生する光触媒反応が完全となる。このため、本発明に係る浄化セルによれば、所与の総光触媒面積当たりの光触媒反応が最大化される。
【0008】
本発明に係る浄化装置はさらに、浄化セルを設ける筐体を備える。当該筐体は、内部に周囲空気を導入して、浄化セルを通して空気を循環させて、光触媒反応で空気を処理して、筐体から空気を排出する。空気は、光触媒反応で処理すると、酸化して有機汚染物が除去されて、浄化される。このようにして、本発明に係る浄化装置は周囲空気を浄化する。本発明に係る浄化セルは、光触媒反応を最大化するので、浄化能力が最大限まで高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上述した本発明の特徴は、添付図面と共に以下に記載する本発明の詳細な説明を参照することによって、より明確に理解される。添付図面は以下の通りである。
【図1】先行技術の一部を成す従来の空気浄化装置を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るさまざまな特徴を備える浄化装置を示す図である。
【図3】図2の浄化装置を示す別の図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るさまざまな特徴を備える浄化装置の浄化セルを示す図である。
【図5】図4の浄化セルのマトリクスのうち1つの一実施形態を示す図である。
【図6】図4の浄化セルを示す断面図であって、浄化セルのマトリクスおよびUV電球の構成を示す図である。
【図7】図2の浄化装置の裏側を示す図である。
【図8】図7の浄化装置を示す断面図であり、浄化装置を通り抜ける空気の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明が提供する空気および表面を浄化する装置は、紫外線電球の数を増やすことなく光触媒面で発生する光触媒反応を最大化するように構成されている浄化セルを備える。当該浄化セルでは、1つの紫外線電球を中心として少なくとも3つの光触媒面の位置を決める際には、光触媒面が、実質的に紫外線電球を取り囲んで、当該紫外線電球が照射する紫外光によって飽和状態となるようにしている。光触媒面が飽和状態となっているので、光触媒面で発生する光触媒反応は完全となる。言い換えると、発生する光触媒反応が最大化される。このような浄化セルでは光触媒反応が最大化されるので、光触媒面の浄化能力が最大限まで高くなり、結果として浄化セルの浄化能力が最大限まで高くなる。本発明の一実施形態のさまざまな特徴に従って構成される浄化装置を、参照番号10で示すものとして図2に図示する。
【0011】
図2において、浄化装置10は、空気流出口14および空気流入口16を有する筐体12を備える。同図に図示する実施形態によると、筐体12は、空気流出口14においてフロントグリル20を有し、空気流入口16においてサイドグリル22を有する。また、同図に図示する実施形態によると、筐体12は、筐体12のそれぞれの面において、空気流入口16およびサイドグリル22を有する。(図3を参照のこと。)当業者であれば、空気流出口14および空気流入口16の数および位置を、本発明の範囲または精神から離れることなく、変更できることを認めるであろう。浄化装置10は、空気流入口16を介して筐体12内へと空気を導入し、空気流出口14を介して筐体12から空気を排出することによって、筐体12を通るように空気を循環させる。一実施形態によると、筐体12はモーター式ファンを有しており、浄化装置10が筐体12を通り抜けるように空気を循環させやすくしている。尚、本発明の範囲または精神を逸脱することなく、筐体12内を通り抜けるように空気を循環させるべく、モーター式ファン以外のデバイスを用いることができることに留意されたい。筐体12はさらに、浄化装置10の電気部品に電力を供給するべく、電池またはAC電源等の電源(不図示)を備える。図2に示す浄化装置10は、当該実施形態によると、押圧ボタンを含む制御パッドを有するユーザインターフェース18を備える。当業者であれば、本発明の範囲または精神を逸脱することなく、同図に図示したユーザインターフェース18以外のユーザインターフェース18を利用可能なことを認めるであろう。また、浄化装置10はユーザインターフェース18を必ずしも必要とせず、省略しても本発明の範囲および精神を逸脱しないことに留意されたい。
【0012】
図4は、本発明の一実施形態のさまざまな特徴に従って構成される浄化セル24を示す図である。同図に示す実施形態によると、浄化セル24はセルフレーム26を備え、セルフレーム26は、キャップ28、ベース30、およびフレーム構造32を有する。ベース30は、電気コンタクト36を含み、セル用空気流入口34を持ち、ロック機構52を含む。浄化セル24はさらに、紫外線(UV)電球38と、電気接続部40と、少なくとも3つのマトリクス42とを備える。セルフレーム26はマトリクス42と協働しており、セルフレーム26とマトリクス42とで、UV電球38を収容するセル空洞部を画定している。UV電球38の長さluvbは、各マトリクス42の長さlと略同じである。UV電球38は、紫外光を照射する。一実施形態によると、UV電球38は、100nmと367nmとの間で光束が大きくなる広帯域電球である。一実施形態によると、UV電球38は、フィラメントが炭化物から形成されており、水銀と共にアルゴンガスを利用している。一実施形態によると、UV電球38は、100nmから180nmの範囲のUVXを照射する。
【0013】
UV電球38は、セル空洞部内に収容されており、UV電球38の電気コンタクト62がベース30の電気コンタクト36と電気的に接続された状態となるように配置されている。電気コンタクト36と電気接続部40とが電気的に接続されているので、UV電球38と電気接続部40とが電気的に接続される。また、図7を参照しつつ後述するが、電気接続部40と筐体12の電源とが電気的に接続されているので、電源はUV電球38に対して動作電力を供給する。当業者であれば、本発明の範囲または精神を逸脱することなく、電気コンタクト62および電気コンタクト36以外の方法を用いて、UV電球38と電気接続部40とを電気接続し得ることを認めるであろう。例えば、一実施形態によると、UV電球38は、直に電気接続部40に取り外し不可能にハードワイヤ接続されており、電気コンタクト62および電気コンタクト36は浄化セル24の一部として構成されていないとしてもよい。
【0014】
図5は、本発明の一実施形態のさまざまな特徴に従って構成されているマトリクス42のうち1つを示す図である。各マトリクス42は、略平行に構成されており互いに接続されている複数の中空部材64を有する。同図に示す実施形態によると、各マトリクス42は、平行に延伸しており互いに接続されている複数の管状部材を含む。一実施形態によると、マトリクス42は、ポリカーボネート等の剛体プラスチックから形成されている。各マトリクス42は、幅wおよび長さlを持つ。各マトリクス42は、幅wおよび長さlによって画定される光触媒面54を持つ。一実施形態によると、光触媒面54は、二酸化チタン、銅、銀、およびロジウムのうち少なくとも1つを含む。一実施形態によると、光触媒面54は、光触媒コーティング材によってコーティングされた面である。一実施形態によると、光触媒コーティング材は、二酸化チタン、銅、銀、およびロジウムのうち少なくとも1つを含む。一実施形態によると、光触媒コーティング材は、上記の材料のうち1つを含むシリカゲルである。別の実施形態によると、光触媒コーティング材は、上記の材料のうち1つを含む塩化カルシウムである。尚、本発明の範囲または精神を逸脱することなく、上述した光触媒以外の光触媒を用いて光触媒面54を形成することができる点に留意されたい。また、本発明の範囲または精神を逸脱することなく、上述した構造以外の構造を持つマトリクス42を利用することができる点に留意されたい。
【0015】
図6は、図4に示す浄化セル24をライン6−6に沿って切断した場合の断面図である。同図に示す実施形態によると、上述した少なくとも3つのマトリクス42とは、4つのマトリクスを含んでいる。つまり、第1のマトリクス44と、第2のマトリクス46と、第3のマトリクス48と、第4のマトリクス50の4つである。セルフレーム26では、各マトリクス42とUV電球38とが長手方向において互いに略平行になるように、マトリクス42を配置している。また、セルフレーム26のフレーム構造32は、マトリクス42がUV電球38をUV電球38の縦軸方向に沿って実質的に取り囲むように、マトリクス42を配置している。フレーム構造32はさらに、各マトリクス42の光触媒面54がUV電球38が照射する紫外光に対して露出するように、マトリクス42を配置している。同図に図示する実施形態によると、第1のマトリクス44および第3のマトリクス48は、第1のマトリクス44の光触媒面54と、第3のマトリクス48の光触媒面54とが互いに平行になるように、配置されている。また、第1のマトリクス44および第3のマトリクス48は、UV電球38に対して、互いに反対側に配置されている。同様に、第2のマトリクス46および第4のマトリクス50は、第2のマトリクス46の光触媒面54と、第4のマトリクス50の光触媒面54とが互いに平行になるように、配置されている。また、第2のマトリクス46および第4のマトリクス50は、UV電球38に対して、互いに反対側に配置されている。言い換えると、各マトリクス42は、UV電球38の各四分円が対応するマトリクスを持つように、UV電球38の四分円の位置に配置されている。
【0016】
UV電球38は紫外光を照射するので、各マトリクス42の光触媒面54において光触媒反応が生じる。マトリクス42は、各マトリクス42の光触媒面54において光触媒反応が完全になるように配置されている。具体的に説明すると、各マトリクス42の位置は、各マトリクス42の光触媒面54全体が照射された紫外光によって飽和するように、決められている。光触媒面54全体が飽和状態となると、光触媒面54における光触媒反応が最大化される。言い換えると、光触媒面54において発生し得る光触媒反応を完全に実行する。
【0017】
本発明に係る浄化装置10と先行技術に係る従来の浄化装置(図1に図示)とを比較すると、上述の説明がより明瞭になる。従来の装置の第1のマトリクス02および第2のマトリクス03の幅wcpaを、図6に示す実施形態に係る浄化セル24の各マトリクス42の幅wの2倍として、従来の装置のマトリクスおよび浄化セル24のマトリクスはその他の点では同一とすると、従来の装置の光触媒面04の総面積は、浄化セル24の光触媒面54の総面積に等しい。このため、従来の装置の光触媒面04で発生する光触媒反応は、浄化セル24の光触媒面54において発生する光触媒反応と同等になる。従来の装置(図1に図示)の距離dcpaと同様に、距離dpdは、UV電球38と各マトリクス42の光触媒面54の最外部58との間の距離を指す。そして、本明細書では説明の便宜上、従来の装置の紫外線電球01から第1のマトリクス02および第2のマトリクス03の光触媒面04の中心部分までの距離と、浄化セル24のUV電球38から各マトリクス42の光触媒面54の中心部分までの距離とが等しいとする。浄化セル24の各マトリクス42の幅wは、従来の装置の第1のマトリクス02および第2のマトリクス03の幅wcpaよりも狭いので、距離dcpaは距離dpdよりも大きくなる。このため、照射される紫外光の強度、ひいては、発生する光触媒反応の強度は、従来のデバイスの光触媒面04の最外部05において、各マトリクス42の光触媒面54の最外部58よりも低くなる。具体的には、以下の式に基づいて放射照度を算出されたい。
【数1】

式中で、Eはエネルギー源からの距離dにおける放射照度で、Eがエネルギー源からの距離dにおける放射照度である。
【0018】
一例を挙げると、UV電球38からの距離dpdは、0.224mである。また、従来の装置において紫外線電球01からの距離dcpaは、0.295mであり、距離dcpaにおける放射照度は、1.00lm/mである。紫外線電球01とUV電球38とが同じであると仮定すると、上記の式から、距離dpdにおける放射照度は、1.73lm/mとなる。言い換えると、UV電球38からの距離dpdにおける放射照度は、紫外線電球01からの距離dcpaにおける放射照度よりも、73%高くなっている。距離dpdにおける放射照度が距離dcpaにおける放射照度よりも高いので、距離dpdにおけるにおける光触媒反応は距離dcpaにおける光触媒反応よりも大きくなる。このため、その他の因子が全て同じとすると、UV電球38に対する浄化セル24のマトリクス42の構成によって、従来の装置における第1のマトリクス02および第2のマトリクス03の構成では実現できなかったが、光触媒反応を完全に実行することができる。
【0019】
浄化セル24の上記の構成を鑑みると、各マトリクス42の光触媒面54において光触媒反応が発生するので、光触媒反応はセル空洞部の内部で発生する。光触媒反応によって、オゾン、ヒドロペルオキシド、スーパーオキシド、およびヒドロキシル・ラジカルを含む促進酸化生成物のプラズマ空間が形成される。空気が光触媒反応で処理されると、つまり、光触媒反応が空気中で発生している場合、空気が酸化されて、有機汚染物質を取り除いて浄化される。このため、セル空洞部内の空気は、光触媒反応で処理され、その結果、酸化されて、有機汚染物質を取り除いて浄化される。
【0020】
図7は、図2に示す浄化装置10の裏面、つまり、浄化装置10のフロントグリル20とは反対側を示す図である。筐体12は、実質的に取り外し可能なバックパネル66を有する。同図に示す実施形態によると、バックパネル66は、筐体12の残りの部分から取り外すことが可能である。しかし、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、バックパネル66を、例えば、ヒンジ部材を利用して開く構成に限定するとしてもよい。筐体12内には、浄化セル24が筐体12内に取り外し可能に固定されるように、浄化セル24が設けられている。同図に示す実施形態によると、浄化セル24は、セルフレーム26のキャップ28が空気流出口14に向かって配設され、セルフレーム26のベース30は筐体12の裏面に配設されるように、設けられている。また、同図に示す実施形態によると、ベース30はロック機構52によって筐体12に固定されており、ロック機構52は筐体12に設けられている対応する機構と協働して、上述したように筐体12内に浄化セル24を挿入して、ロック機構52と筐体12の対応する機構とが互いに係合するまでベース30を時計回りに回転させることによって、浄化セル24を筐体12内に取り外し可能に固定している。また、浄化セル24を筐体12から取り外すには、ロック機構52が筐体12の対応する機構から離脱させるまで、ベース30を反時計方向に回転させる。浄化装置10は、筐体12が有する電源と電気接続されている電力接続部56を備える。電力接続部56は浄化セル24の電気接続部40と協働しており、電力接続部56および電気接続部40は、電源とUV電球38との間を切断可能に電気接続する。切断可能な電気接続とは、接続して、切断して、再度接続することができる電気接続である。例えば、図7に示す実施形態によると、電気接続部40はプラグであって、電力接続部56は電気接続部40を差し込むコンセントである。電気接続部40と電力接続部56とが協働することによって、電源はUV電球38に動作電力を供給する。図7に示す実施形態によると、浄化セル24が筐体12内に固定されると、電気接続部40が電力接続部56に差し込まれる。
【0021】
上記を鑑みると、浄化装置10は、浄化セル24に関して「プラグ・アンド・プレイ」機能を実現している。具体的には、浄化セル24と筐体12の電源との間を電気的に接続するには、電力接続部56に電気接続部40を差し込み、浄化セル24と筐体12の電源との間を電気的に切断するには、電力接続部56から電気接続部40を抜き取る。また、浄化セル24を筐体12内に固定すること、および、浄化セル24を筐体12から取り外すことは、ベース30を回転させることによって行う。このような「プラグ・アンド・プレイ」機能によって、浄化セル24の洗浄または交換の際に、浄化セル24を素早く且つ簡単に取り外すことができるようになる。
【0022】
図8は、図7に示す浄化装置10をライン8−8で切断した様子を示す断面図である。上述したように、浄化装置10は、空気流入口16を介して筐体12内に空気を導入して、空気流出口14を介して筐体12から空気を排出することによって、筐体12を通るように空気を循環させる。浄化セル24は、空気流入口16から導入された空気がセル用空気流入口34へと向かうように、筐体12内に取り外し可能に固定されている。空気は、セル用空気流入口34から導入されて、セル空洞部に入る。上述したように、セル空洞部内の空気は、光触媒反応で処理される。空気は、光触媒反応で処理された後、マトリクス42の中空部材64を介してセル空洞部から取り出される。マトリクス42はUV電球38を実質的に取り囲むように配置されているので、空気が循環しない、セル空洞部によって画定されているポケットに滞留させることなく、セル空洞部から空気を流出させることができる。マトリクス42の中空部材64から引き出された空気は、空気流出口14へと向かう。言い換えると、浄化された空気は、セル空洞部から引き出されて、中空部材64を通って、空気流出口14へと向かう。その後、浄化された空気は、空気流出口14を通って筐体12から排出される。このため、有機汚染物質を含有する周囲空気は、浄化装置10に導入され、浄化され、浄化済み周囲空気として周囲環境に戻される。
【0023】
上記を鑑みると、浄化装置10はさらに、周囲の表面をも浄化する。具体的には、浄化装置10は、浄化装置10がその上に載置されている面から有機汚染物質を取り込んで、上述したように汚染物質を酸化する。
【0024】
上述の説明を参照することによって、当業者であれば、先行技術の問題を克服するという利点を持つ浄化セルを備える空気および表面用の浄化装置が提供されていることに想到するであろう。浄化セルでは、光触媒面が紫外線電球を実質的に取り囲むように配置され、紫外線電球が照射する紫外光によって光触媒面が飽和するように、1つの紫外線電球の周囲に少なくとも3つの光触媒面を配置する。光触媒面が飽和状態となるので、光触媒面における光触媒反応は完全に実行される。言い換えると、光触媒反応が最大化される。上述した浄化セルによると光触媒反応が最大化されるので、浄化セルは光触媒面の浄化能力を最大限まで高めることになり、結果的に浄化セル自身の浄化能力も最大限まで高められる。
【0025】
複数の実施形態を説明することによって本発明を記載すると共にこれらの例示的な実施形態は非常に詳細に説明したが、本願特許請求の範囲を、記載した詳細な内容に減縮または限定することは出願人の意図するところではない。当業者には、その他の利点および変形例が容易に明らかになることであろう。このため、広義の本発明は、上述した具体的且つ詳細な内容、代表的な装置および方法、ならびに説明のための例に限定されるものではない。したがって、出願人の通常の発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、上述した詳細な内容から逸脱するとしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄化装置に設けられる浄化セルであって、
セル用空気流入口を有しており、前記セル用空気流入口を介して内部に空気を導入するセルフレームと、
前記セルフレームの内部に配設されており、紫外光を照射する1つの紫外線電球と、
少なくとも3つのマトリクスと
を備え、
前記セルフレームは、前記マトリクスが前記紫外線電球を実質的に取り囲むように、前記紫外線電球の周囲に前記マトリクスを配置しており、
前記マトリクスはそれぞれ、前記紫外光に対して露出している光触媒面を有しており、前記マトリクスのそれぞれの前記光触媒面において光触媒反応が発生し、
前記セルフレームは、前記マトリクスのそれぞれの前記光触媒面における前記光触媒反応が完全に行われるように、前記紫外線電球に対して前記マトリクスを配置しており、
前記セル用空気流入口を介して前記セルフレームに導入される空気は、前記光触媒反応によって処理され、前記セルフレーム内の空気は前記マトリクスを介して前記セルフレームから排出される
浄化セル。
【請求項2】
前記紫外線電球は、広帯域電球である請求項1に記載の浄化セル。
【請求項3】
前記少なくとも3つのマトリクスは、4つのマトリクスである請求項1に記載の浄化セル。
【請求項4】
前記マトリクスはそれぞれ、前記マトリクスのうち1つが前記紫外線電球のすべての四分円に配設されるように、前記紫外線電球の四分円に配設される請求項3に記載の浄化セル。
【請求項5】
前記マトリクスはそれぞれ、略平行で互いに接続されている複数の中空部材を有する請求項1に記載の浄化セル。
【請求項6】
前記マトリクスはそれぞれ、平行に延伸しており互いに接続されている複数の管状部材を有する請求項5に記載の浄化セル。
【請求項7】
前記平行に延伸しており互いに接続されている複数の管状部材は、ハニカム構造を形成している請求項6に記載の浄化セル。
【請求項8】
前記マトリクスはそれぞれ、ポリカーボネートから形成されている請求項1に記載の浄化セル。
【請求項9】
前記マトリクスのそれぞれの前記光触媒面は、二酸化チタン、銅、銀、およびロジウムから成る群から選択される材料を含む請求項1に記載の浄化セル。
【請求項10】
前記マトリクスのそれぞれの前記光触媒面は、二酸化チタン、銅、銀、およびロジウムから成る群から選択される材料を含むコーティング材によってコーティングされている面である請求項1に記載の浄化セル。
【請求項11】
前記コーティング材は、シリカゲルである請求項10に記載の浄化セル。
【請求項12】
前記コーティング材は、塩化カルシウムである請求項10に記載の浄化セル。
【請求項13】
前記マトリクスのそれぞれの前記光触媒面における前記光触媒反応は、前記紫外光が前記光触媒面全体を飽和状態にすると、完全に実行される請求項1に記載の浄化セル。
【請求項14】
前記紫外線電球と電気接続されている電気接続部
をさらに備え、
前記電気接続部と前記浄化装置が備える電源との間の電気接続は、切断可能である請求項1に記載の浄化セル。
【請求項15】
前記電気接続部は、前記浄化装置が備える電力接続部と協働するプラグである請求項14に記載の浄化セル。
【請求項16】
浄化装置であって、
浄化セルと、
前記浄化セルが設けられている筐体と
を備え、
前記浄化セルは、1つの紫外線電球と、少なくとも3つのマトリクスとを有し、
前記紫外線電球は紫外光を照射して、
前記マトリクスはそれぞれ、光触媒面を持ち、
前記マトリクスが実質的に前記紫外線電球を取り囲むように、且つ、前記マトリクスのそれぞれの前記光触媒面において光触媒反応が発生する程度まで、前記マトリクスのそれぞれの前記光触媒面に前記紫外光が照射されるように、前記マトリクスは前記紫外線電球の周囲に配設されており、
前記マトリクスのそれぞれの前記光触媒面の最外部と前記紫外線電球との間の距離が、前記光触媒面における前記光触媒反応が完全に実行されるような距離になるように、前記マトリクスはそれぞれ配設されており、
前記筐体は、前記浄化セルを通るように空気を循環させて、前記空気を前記光触媒反応で処理する
浄化装置。
【請求項17】
前記浄化セルは、4つのマトリクスを有する請求項16に記載の浄化装置。
【請求項18】
前記マトリクスはそれぞれ、前記マトリクスのうち1つが前記紫外線電球のすべての四分円に配設されるように、前記紫外線電球の四分円に配設される請求項17に記載の浄化装置。
【請求項19】
前記マトリクスのそれぞれの前記光触媒面は、二酸化チタン、銅、銀、およびロジウムから成る群から選択される材料を含む請求項16に記載の浄化装置。
【請求項20】
前記マトリクスのそれぞれの前記光触媒面は、二酸化チタン、銅、銀、およびロジウムから成る群から選択される材料を含むコーティング材によってコーティングされている面である請求項16に記載の浄化装置。
【請求項21】
前記マトリクスのそれぞれの前記光触媒面において発生し得る前記光触媒反応は、前記紫外光が前記光触媒面全体を飽和状態にすると、完全に実行される請求項16に記載の浄化装置。
【請求項22】
前記筐体は、前記浄化セルを通るように空気を循環させるためのファンを有する請求項16に記載の浄化装置。
【請求項23】
前記浄化セルは、セル用空気流入口を有する請求項16に記載の浄化装置。
【請求項24】
前記筐体は、前記セル用空気流入口を介して前記浄化セル内へと空気を導入すること、および、前記マトリクスを介して前記浄化セルから空気を排出することによって、前記浄化セルを通るように空気を循環させる請求項23に記載の浄化装置。
【請求項25】
前記浄化セルは、前記紫外線電球と電気接続されている電気接続部を有する請求項16に記載の浄化装置。
【請求項26】
前記筐体は、前記浄化セルの前記電気接続部と協働する電力接続部を有し、前記紫外線電球は電源と切断可能に電気接続されている請求項25に記載の浄化装置。
【請求項27】
周囲空気および表面の少なくとも一方を浄化する方法であって、
光触媒反応を最大化するように紫外線電球の周囲に少なくとも3つのマトリクスを配置する段階と、
空気流入口および空気流出口を持つ筐体の内部に、前記マトリクスおよび前記紫外線電球を配設する段階と、
前記空気流入口を介して前記筐体へと空気を導入する段階と、
前記筐体内へ導入された空気を前記マトリクスおよび前記紫外線電球の近傍に導入して、前記空気を前記光触媒反応で処理する段階と、
前記光触媒反応で処理された空気を前記筐体から前記空気流出口を介して排出する段階と
を備える方法。
【請求項28】
前記配置する段階は、前記マトリクスが実質的に前記紫外線電球を取り囲むように、且つ、前記マトリクスのそれぞれの光触媒面において光触媒反応が発生する程度まで、前記紫外線電球が照射する紫外光が前記マトリクスのそれぞれの前記光触媒面に照射されるように、前記マトリクスを前記紫外線電球の周囲に配置する段階を有し、前記光触媒反応は、前記紫外光によって前記マトリクスそれぞれの前記光触媒面が飽和状態になると、最大化される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記配設する段階は、前記筐体内に前記マトリクスおよび前記紫外線電球を取り外し可能に固定する段階を有する請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記配設する段階は、前記紫外線電球と前記筐体の電源との間を切断可能に電気接続する段階を有する請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記筐体は、前記筐体へと空気を導入する段階、前記筐体内へ導入された空気を前記マトリクスおよび前記紫外線電球の近傍に導入する段階、前記光触媒反応で処理された空気を前記筐体から前記空気流出口を介して排出する段階を実行するためのファンを有する請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記光触媒反応によって処理された空気を前記マトリクスを通して排出する段階をさらに備える請求項27に記載の方法。
【請求項33】
浄化装置であって、
浄化セルと、
筐体と
を備え、
前記浄化セルは、
セル用空気流入口を有し、前記セル用空気流入口を介して内部へと空気を導入するセルフレームと、
前記セルフレーム内に配設されており、紫外光を照射する紫外線電球と、
前記紫外線電球と電気接続されている電気接続部と、
光触媒反応が発生するように前記紫外光に対して露出している第1の光触媒面を含む第1のマトリクスと、
光触媒反応が発生するように前記紫外光に対して露出している第2の光触媒面を含む第2のマトリクスと、
光触媒反応が発生するように前記紫外光に対して露出している第3の光触媒面を含む第3のマトリクスと、
光触媒反応が発生するように前記紫外光に対して露出している第4の光触媒面を含む第4のマトリクスと、
を有し、
前記第1のマトリクス、前記第2のマトリクス、前記第3のマトリクス、および前記第4のマトリクスが前記紫外線電球を実質的に取り囲むように、且つ、前記第1の光触媒面、前記第2の光触媒面、前記第3の光触媒面、および前記第4の光触媒面における前記光触媒反応が完全に実行されるように、前記セルフレームによって、前記第1のマトリクス、前記第2のマトリクス、前記第3のマトリクス、および前記第4のマトリクスは前記紫外線電球の周囲に配置され、前記セル用空気流入口を介して前記セルフレームに流入する空気は、組み合わせた前記光触媒反応によって処理され、
前記筐体内には、前記浄化セルが取り外し可能に前記筐体内に固定されるように、前記浄化セルが設けられ、
前記筐体は、空気流入口および空気流出口を有し、
前記筐体はファンを有し、前記ファンは、前記空気流入口を介して前記筐体内へと周囲空気を導入し、前記セル用空気流入口を介して前記浄化セルへと導入し、前記第1のマトリクス、前記第2のマトリクス、前記第3のマトリクス、および前記第4のマトリクスを介して前記浄化セルから排出し、前記空気流出口を介して前記筐体から排出し、
前記筐体は、電源と電気接続されている電力接続部を有し、
前記浄化セルの前記電気接続部と前記電力接続部とが協働することによって、前記浄化セルと前記電源との間を切断可能に電気接続する
浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−535064(P2010−535064A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519227(P2010−519227)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/009155
【国際公開番号】WO2009/017725
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(310016980)ヴォララ、 エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】