説明

周波数−電圧変換回路及び半導体集積回路装置

【課題】リニアリティ(直線性)の良好な周波数−電圧変換回路を提供すること。
【解決手段】周波数−電圧変換回路は、クロック信号を受信する微分回路と、微分回路の出力を受けてパルス波として出力するバッファ回路と、バッファ回路から出力されたパルス波を直流電圧に変換する積分回路と、クロック信号をゲート端子で受信するとともに、ソース端子が接地端子に接続され、ドレイン端子が微分回路の出力端子に接続されたMOSトランジスタと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数−電圧変換回路及び周波数−電圧変換回路を備えた半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路に搭載される発振回路において、テストにかかる費用を削減するとともに、抵抗素子、容量素子のような外付けの受動素子を削減するために、発振周波数の高精度化が進められている。発振周波数を高精度化する方法として、発振周波数をモニターして発振周波数の変動分を発振回路にフィードバックすることで、発振周波数を補正する方法が用いられている。
【0003】
かかる方法に基づく回路として、周波数−電圧変換回路(以下「FV変換回路」という)が知られている。しかし、FV変換回路の精度が低い場合には、発振周波数の補正に誤差が生じるため、FV変換回路を高精度化する必要性が高まってきている。
【0004】
図6は、非特許文献1に記載された回路構成を含むFV変換回路(以下、単に「非特許文献1に記載されたFV変換回路」という)の構成を示す回路図である。
【0005】
図6を参照すると、入力クロック信号INがNAND(2NAND)素子12の入力の一方に入力され、NAND素子12の出力は微分回路15に入力される。微分回路15の出力は、ダイオード素子28のカソード側のノードEとインバータ19に入力され、ダイオード素子28はGND(接地)端子に接続される。インバータ19の出力は、NAND素子12の入力の他方であるノードFとインバータ31に入力される。インバータ31の出力は、積分回路20に入力される。積分回路20の出力は、FV変換回路の出力電圧OUTに接続される。
【0006】
微分回路15は、容量素子13と抵抗素子14を有する。微分回路の入力は容量素子13の一端に接続される。容量素子13の他端は、微分回路15の出力となるとともに、抵抗素子14の一端に接続される。抵抗素子14の他端は、GND端子に接続される。
【0007】
図7は、非特許文献1に記載されたFV変換回路の動作を示すタイミング波形である。
【0008】
図7を参照すると、入力クロック信号INが時刻T0で立ち下がると、ノードEは電源電位(以下「VDD」という)レベルまで一気に立ち上がり、ノードFはハイレベルからローレベルに変化する。微分回路15は容量素子13と抵抗素子14を有することから、微分回路15の出力であるノードEは、徐々に立ち下がる。ノードEは時刻T1でインバータ19のスレッショルド電圧(閾値電圧)に達し、ノードFはローレベルからハイレベルに変化する。
【0009】
次に、入力クロック信号INが時刻T2で立ち上ると、ノードEは一旦接地レベル以下に低下する。しかし、ノードEとGND端子間にダイオード素子28が接続されているため、ノードEは、その後、徐々にGNDレベルに戻る。
【0010】
図6のFV変換回路においては、入力クロック信号INの立ち下りエッジでインバータ19からローレベルパルスが出力され、インバータ31を介して積分回路20に入力されて直流電圧に変換される。
【0011】
インバータ19から出力されるローレベルパルス幅は、微分回路15を構成する容量素子13と抵抗素子14の時定数(τ=C×R)によって決まり、入力クロック信号INの周波数(以下「入力周波数」という)には依存しない。したがって、入力周波数が高くなるにしたがって、1レート中のローレベルパルスが占める割合が大きくなるため、積分回路20の出力電圧は高くなる。一方、入力周波数が低くなるにしたがって、1レート中のローレベルパルスが占める割合が小さくなるため、積分回路20の出力電圧は低くなる。
【0012】
NAND素子12の出力は、誤動作するとインバータ19の出力のローレベルパルス幅に誤差が生じ、後段の積分回路20から出力される直流電圧値が理想特性とずれてしまう。そこで、時刻T0から時刻T1のローレベル期間における入力クロック信号INにノイズが混入しても、誤動作をしないように、インバータ19の出力をNAND素子12の入力の一方にフィードバックする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】EDN Japan著/編、「世界のエンジニアが生み出した『珠玉の電気回路200選』」、リード・ビジネス・インフォメーション、2008、p.33−34
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以下の分析は、本発明者によってなされたものである。
【0015】
上記のFV変換回路において、入力クロック信号INが立ち上ると、微分回路15の特性により、ノードEがGNDレベル以下に低下し、次の入力クロック信号INが立ち下がるまでにノードEがGNDレベルまで戻らない。したがって、インバータ19出力のパルス幅に誤差が生じる。すなわち、上記のFV変換回路によると、入力周波数が正確に直流電圧に変換されず、積分回路20の出力電圧OUTが入力周波数に対してリニアに変化せず、出力電圧のリニアリティ(直線性)が悪いという問題がある。
【0016】
図6に示した回路図を参照して、非特許文献1に記載されたFV変換回路の具体的な動作について説明する。
【0017】
図6において、入力クロック信号INが立ち上ると、ノードEはGNDレベルから変化しないのが理想的である。しかし、実際には、微分回路15の特性上、ノードEはGNDレベル以下に低下し、ダイオード素子28のアノード・カソード間の順方向電流と抵抗素子14が並列接続されているため、ノードEはGNDレベルまで引き戻される。通常、抵抗素子14の抵抗値は大きく設定されるため、抵抗素子14によってノードEをGNDレベルに引き戻す効果は乏しく、ダイオード素子28の効果が支配的となる。しかし、ダイオード素子28のアノード・カソード間の電位差が小さくなると、電流を流す能力が極端に低下し、式(1)に示すように、ノードEをGNDレベルまで引き戻すことができなくなる。
【0018】
ダイオード素子の電流式 IF=IS・〔exp(VF/VT)−1〕 ・・・(1)
IS:逆方向飽和電流
VF:アノード・カソード間電圧
VT:kT/q(熱電圧、常温で約26mV)
【0019】
また、入力周波数が任意の周波数よりプラス(+)方向にn%だけ高くなった場合と、マイナス(−)方向にプラス(+)方向と同等分低くなった場合とで、ノードEのレベルとの差分電圧は両場合について一致せず、ノードEの電圧が入力周波数に対してリニアに変化しない。
【0020】
このとき、ノードEはインバータ19に入力され、インバータ19の出力がインバータ31に入力されるため、パルス幅は入力周波数に対してリニアに変化しない。
【0021】
また、インバータ31の出力は積分回路20に入力されるため、出力電圧OUTが入力周波数に対してリニアに変化せず、出力電圧OUTのリニアリティが悪くなる。
【0022】
図8は、非特許文献1に記載されたFV変換回路の特性を模式的に示す図である。図8の横軸は入力クロック信号の周波数INを示し、縦軸は出力電圧OUTを示す。
【0023】
図8を参照すると、非特許文献1に記載されたFV変換回路の特性は、入力周波数が高くなるにしたがって、理想のリニアリティから大きくずれる。その理由は、入力周波数が高くなると、ダイオード素子28のアノード・カソード間の差電圧が小さくならないうちに入力クロック信号INが立ち下がり、リニアリティが悪くなるためである。
【0024】
そこで、リニアリティ(直線性)の良好な周波数−電圧変換回路(FV変換回路)を提供することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の第1の視点に係る周波数−電圧変換回路は、
クロック信号を受信する微分回路と、
前記微分回路の出力を受けてパルス波として出力するバッファ回路と、
前記バッファ回路から出力されたパルス波を直流電圧に変換する積分回路と、
前記クロック信号をゲート端子で受信するとともに、ソース端子が接地端子に接続され、ドレイン端子が前記微分回路の出力端子に接続されたMOSトランジスタと、を備えている。
【0026】
本発明の第2の視点に係る周波数−電圧変換回路は、
クロック信号を受信する微分回路と、
前記微分回路の出力を受けてパルス波として出力するバッファ回路と、
前記バッファ回路から出力されたパルス波を直流電圧に変換する積分回路と、
前記クロック信号をゲート端子で受信するとともに、ソース端子が電源電位端子に接続され、ドレイン端子が前記微分回路の出力端子に接続されたMOSトランジスタと、を備えている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、リニアリティ(直線性)の良好な周波数−電圧変換回路(FV変換回路)が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る周波数−電圧変換回路(FV変換回路)の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るFV変換回路の動作を示すタイミング波形である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るFV変換回路の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係るFV変換回路の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るFV変換回路の動作を示すタイミング波形である。
【図6】非特許文献1に記載されたFV変換回路の構成を示す回路図である。
【図7】非特許文献1に記載されたFV変換回路の動作を示すタイミング波形である。
【図8】非特許文献1に記載されたFV変換回路の特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第1の展開形態によると、上記第1の視点に係る周波数−電圧変換回路が提供される。
【0030】
本発明の第2の展開形態によると、バッファ回路は、インバータを備えている、周波数−電圧変換回路が提供される。
【0031】
本発明の第3の展開形態によると、バッファ回路は、反転入力端子が微分回路の出力端子に接続され、非反転入力端子が基準電圧源に接続されたコンパレータを備えている、周波数−電圧変換回路が提供される。
【0032】
本発明の第4の展開形態によると、クロック信号とバッファ回路の出力との否定論理積を微分回路に出力するNAND素子をさらに備えている、周波数−電圧変換回路が提供される。
【0033】
本発明の第5の展開形態によると、微分回路は、NAND素子の出力端子と微分回路の出力端子との間に接続された容量素子と、微分回路の出力端子と接地端子との間に接続された抵抗素子とを備えている、周波数−電圧変換回路が提供される。
【0034】
本発明の第6の展開形態によると、MOSトランジスタは、nチャネルMOSトランジスタである、周波数−電圧変換回路が提供される。
【0035】
本発明の第7の展開形態によると、上記第2の視点に係る周波数−電圧変換回路が提供される。
【0036】
本発明の第8の展開形態によると、バッファ回路は、インバータを備えている、周波数−電圧変換回路が提供される。
【0037】
本発明の第9の展開形態によると、バッファ回路は、反転入力端子が微分回路の出力端子に接続され、非反転入力端子が基準電圧源に接続されたコンパレータを備えている、周波数−電圧変換回路が提供される。
【0038】
本発明の第10の展開形態によると、クロック信号とバッファ回路の出力との否定論理和を微分回路に出力するNOR素子をさらに備えている、周波数−電圧変換回路が提供される。
【0039】
本発明の第11の展開形態によると、微分回路は、NOR素子の出力端子と微分回路の出力端子との間に接続された容量素子と、微分回路の出力端子と電源電位端子との間に接続された抵抗素子とを備えている、周波数−電圧変換回路が提供される。
【0040】
本発明の第12の展開形態によると、MOSトランジスタは、pチャネルMOSトランジスタである、周波数−電圧変換回路が提供される。
【0041】
本発明に係るFV変換回路によると、非特許文献1に記載されたFV変換回路と比較して、周波数−電圧変換特性のリニアリティが改善される。なぜなら、微分回路の出力にMOSトランジスタを設けることにより、入力クロック信号の周波数に依存することなく、微分回路の出力を安定的にGND(接地)レベル又はVDD(電源電位)レベルに保持することができるからである。したがって、本発明によると、出力電圧のリニアリティが良好な周波数−電圧変換回路が実現される。
【0042】
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態に係る周波数−電圧変換回路(FV変換回路)について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るFV変換回路の構成を示す回路図である。
【0043】
図1を参照すると、FV変換回路は、NAND(2NAND)素子12、微分回路15、NchMOSトランジスタ16、インバータ19及び31、並びに、積分回路20を備えている。
【0044】
NAND素子12は、入力クロック信号INとインバータ19の出力を入力とし、これらの否定論理積を求めて微分回路15に出力する。
【0045】
微分回路15は、NAND素子12の出力を入力信号とし、出力信号をNchMOSトランジスタ16のドレイン端子とインバータ19に出力する。
【0046】
NchMOSトランジスタ16は、ゲート端子及びソース端子が、それぞれ入力クロック信号IN及びGND端子に接続されている。
【0047】
インバータ19は、微分回路15の出力を入力信号とし、出力信号をNAND素子12とインバータ31に出力する。
【0048】
インバータ31は、インバータ19の出力を入力信号とし、出力信号を積分回路20に出力する。
【0049】
積分回路20は、インバータ31の出力を入力信号とし、FV変換回路の出力電圧OUTを出力する。
【0050】
図2は、本実施形態のFV変換回路の動作を示すタイミング波形である。
【0051】
入力クロック信号INがハイレベル状態にあるときに、NAND素子12は出力がローレベルとなり、微分回路15の出力端子が接続されたノードAは、抵抗14でプルダウンされるとともにNchMOSトランジスタ16がオン状態であるためにローレベルとなり、インバータ19の出力端子が接続されたノードBはハイレベルをNAND素子12とインバータ31に出力する。
【0052】
時刻T0で入力クロック信号INがハイレベルからローレベルに変化すると、NAND素子12の出力はローレベルからハイレベルに変化する。このとき、微分回路15の出力端子が接続されたノードAも、NchMOSトランジスタ16がオフ状態であるため、ローレベルからハイレベルに変化し、インバータ19の出力端子が接続されたノードBはハイレベルからローレベルに変化する。
【0053】
微分回路15は、容量素子13の容量値と抵抗素子14の抵抗値とで決まる時定数にしたがって時刻T0から放電を開始し、時刻T1でインバータ19の論理スレッショルド電圧を下回る。このとき、インバータ19の出力端子が接続されたノードBは、ローレベルからハイレベルに変化する。
【0054】
時刻T2で入力クロック信号INがローレベルからハイレベルに変化すると、NAND素子12の出力はハイレベルからローレベルに変化する。しかし、微分回路15の出力端子が接続されたノードAは、NchMOSトランジスタ16がオン状態となるため、ノードAのレベルは変化することなく、ローレベルを保持する。このとき、インバータ19の出力端子が接続されたノードBも、ハイレベルを保持する。
【0055】
以上のように、本実施形態のFV変換回路は、クロック信号を入力する微分回路15とパルス波形を直流電圧に変換する積分回路20を有するFV変換回路であって、入力クロック信号がハイレベル期間又はローレベル期間に微分回路の出力をプルアップ又はプルダウンする手段(例えば、NchMOSトランジスタ16)と、微分回路の出力をパルス波形として出力するバッファ回路(例えば、インバータ19)とを有する。
【0056】
本実施形態のFV変換回路によると、入力クロック信号INの周波数に依らず、入力クロック信号がハイレベル期間又はローレベル期間において、微分回路15の出力が安定したGNDレベル又はVDDレベルを保持することができる。したがって、本実施形態のFV変換回路によると、出力電圧のリニアリティが良好なFV変換回路を実現することができる。
【0057】
一般に、MOSトランジスタのオン抵抗Ronは、式(2)で表され、ドレイン・ソース間電圧に依存しない。したがって、MOSトランジスタのオン抵抗Ronを抵抗素子14に対して十分に低く(1/100程度)設定することで、入力周波数に依存することなく、微分回路15の出力をGNDレベルに保持することができる。
Ron=1/(W/L・μ・Cox(VGS−VT)) ・・・(2)
W:チャネル幅
L:チャネル長
μ:移動度
Cox:ゲート酸化膜容量
VGS:ゲート電圧
VT:閾値電圧
【0058】
本実施形態のFV変換回路について、さらに具体的な動作を説明する。図1において、入力クロック信号INが立ち上るとNchMOSトランジスタ16がオン状態となるとともに、抵抗素子14もNchMOSトランジスタ16と並列接続されている。NchMOSトランジスタ16のオン抵抗Ronは、式(2)によって決まる。オン抵抗Ronを、一例として、抵抗素子14の抵抗値の1/100程度に設定することで、ノードAはGNDレベルを保持することができる。
【0059】
また、入力周波数が任意の周波数よりもプラス(+)方向にn%だけ高くなった場合と、マイナス(−)方向にプラス(+)方向と同等分低くなった場合とで、微分回路15の出力端子が接続されたノードAは、GNDレベルとの差がない。したがって、ノードAの電圧は、入力周波数に対してリニアに変化する。
【0060】
ノードAは、インバータ19の入力端子に接続され、インバータ19の出力端子はインバータ31の入力端子に接続されている。したがって、パルス幅は、入力周波数に対してリニアに変化する。
【0061】
また、インバータ31の出力端子は、積分回路20の入力端子に接続されているため、出力電圧OUTは入力周波数に対してリニアに変化し、出力電圧OUTのリニアリティが向上する。
【0062】
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態に係る周波数−電圧変換回路(FV変換回路)について、図面を参照して説明する。図3は、本実施形態に係るFV変換回路の構成を示す回路図である。
【0063】
図3を参照すると、FV変換回路は、NAND(2NAND)素子12、微分回路15、NchMOSトランジスタ16、基準電圧源17、コンパレータ18、インバータ31、及び、積分回路20を備えている。
【0064】
図3を参照すると、第1の実施形態のFV変換回路(図1)に対して、バッファ回路としてコンパレータ18を追加し、論理を合わせるためにインバータ19を削除している。図1及び図3を参照すると、本実施形態のFV変換回路と、第1の実施形態のFV変換回路との相違点は、微分回路15の出力をコンパレータ18の反転入力で受けるとともに、コンパレータ18の非反転入力に基準電圧源17を接続した点である。
【0065】
本実施形態のFV変換回路の動作は、第1の実施形態のFV変換回路の動作と同様であることから、説明を省略する。
【0066】
本実施形態のFV変換回路では、微分回路15の出力を受けるバッファ回路としてコンパレータ18を使用していることから、積分回路20の出力電圧OUTのリニアリティが向上するとともに、論理スレッショルド電圧のバラツキを低減することができる。電源電圧等のバラツキが少ない基準電圧(例えば、バンドギャップリファレンス回路の出力電圧)を用いることで、ノードBに出力されるパルス波のパルス幅のバラツキを削減することができる。
【0067】
(実施形態3)
本発明の第3の実施形態に係る周波数−電圧変換回路(FV変換回路)について、図面を参照して説明する。図4は、本実施形態に係るFV変換回路の構成を示す回路図である。
【0068】
図4を参照すると、FV変換回路は、NOR(2NOR)素子24、微分回路32、PchMOSトランジスタ25、インバータ19、及び、積分回路20を備えている。
【0069】
本実施形態のFV変換回路と、第1の実施形態のFV変換回路との相違点は、NAND素子12をNOR(2NOR)素子24とし、微分回路32を構成する抵抗素子14をVDDに接続し、微分回路32の出力のノードCにPchMOSトランジスタ25のドレイン端子を接続し、PchMOSトランジスタ25のゲート端子に入力クロック信号INを接続し、PchMOSトランジスタ25のソース端子をVDDに接続した点である。
【0070】
図5は、本実施形態のFV変換回路の動作を示すタイミング波形である。
【0071】
本実施形態のFV変換回路では、入力クロック信号INの立ち上りで、ノードDにハイレベルパルスが出力される。
【0072】
本実施形態のFV変換回路では、インバータ19の出力が積分回路20に直接接続されている。したがって、本実施形態のFV変換回路によると、第1の実施形態のFV変換回路におけるインバータが1段分不要となり、第1の実施形態のFV変換回路と比較して、回路面積を削減することができる。
【0073】
上記第1乃至第3の実施形態に係るFV変換回路によると、非特許文献1に記載されたFV変換回路と比較して、周波数−電圧変換特性のリニアリティが改善される。なぜなら、微分回路の出力にMOSトランジスタを設けることにより、入力クロック信号の周波数に依存することなく、微分回路の出力を安定的にGNDレベル又はVDDレベルに保持することができるからである。
【0074】
また、本発明に係るFV変換回路によると、周波数−電圧変換特性のオフセットが低減される。なぜなら、微分回路の出力をコンパレータで受け、コンパレータの基準電圧として、電源電圧、動作温度、LSI製造工程に起因するバラツキの影響を受けない基準電圧を使用するからである。
【0075】
なお、上記の非特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0076】
12 NAND(2NAND)素子
13 容量素子
14 抵抗素子
15、32 微分回路
16 Nch(nチャネル)MOSトランジスタ
17 基準電圧源
18 コンパレータ
19、31 インバータ
20 積分回路
22 バッファ回路
24 NOR(2NOR)素子
25 Pch(pチャネル)MOSトランジスタ
28 ダイオード素子
A〜F ノード
IN 入力クロック信号
OUT 出力電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号を受信する微分回路と、
前記微分回路の出力を受けてパルス波として出力するバッファ回路と、
前記バッファ回路から出力されたパルス波を直流電圧に変換する積分回路と、
前記クロック信号をゲート端子で受信するとともに、ソース端子が接地端子に接続され、ドレイン端子が前記微分回路の出力端子に接続されたMOSトランジスタと、を備えていることを特徴とする周波数−電圧変換回路。
【請求項2】
前記バッファ回路は、インバータを備えていることを特徴とする、請求項1に記載の周波数−電圧変換回路。
【請求項3】
前記バッファ回路は、反転入力端子が前記微分回路の出力端子に接続され、非反転入力端子が基準電圧源に接続されたコンパレータを備えていることを特徴とする、請求項1に記載の周波数−電圧変換回路。
【請求項4】
前記クロック信号と前記バッファ回路の出力との否定論理積を前記微分回路に出力するNAND素子をさらに備えていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の周波数−電圧変換回路。
【請求項5】
前記微分回路は、前記NAND素子の出力端子と前記微分回路の出力端子との間に接続された容量素子と、前記微分回路の出力端子と接地端子との間に接続された抵抗素子とを備えていることを特徴とする、請求項4に記載の周波数−電圧変換回路。
【請求項6】
前記MOSトランジスタは、nチャネルMOSトランジスタであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の周波数−電圧変換回路。
【請求項7】
クロック信号を受信する微分回路と、
前記微分回路の出力を受けてパルス波として出力するバッファ回路と、
前記バッファ回路から出力されたパルス波を直流電圧に変換する積分回路と、
前記クロック信号をゲート端子で受信するとともに、ソース端子が電源電位端子に接続され、ドレイン端子が前記微分回路の出力端子に接続されたMOSトランジスタと、を備えていることを特徴とする周波数−電圧変換回路。
【請求項8】
前記バッファ回路は、インバータを備えていることを特徴とする、請求項6に記載の周波数−電圧変換回路。
【請求項9】
前記バッファ回路は、反転入力端子が前記微分回路の出力端子に接続され、非反転入力端子が基準電圧源に接続されたコンパレータを備えていることを特徴とする、請求項6に記載の周波数−電圧変換回路。
【請求項10】
前記クロック信号と前記バッファ回路の出力との否定論理和を前記微分回路に出力するNOR素子をさらに備えていることを特徴とする、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の周波数−電圧変換回路。
【請求項11】
前記微分回路は、前記NOR素子の出力端子と前記微分回路の出力端子との間に接続された容量素子と、前記微分回路の出力端子と電源電位端子との間に接続された抵抗素子とを備えていることを特徴とする、請求項10に記載の周波数−電圧変換回路。
【請求項12】
前記MOSトランジスタは、pチャネルMOSトランジスタであることを特徴とする、請求項7乃至11のいずれか1項に記載の周波数−電圧変換回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−223142(P2011−223142A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87532(P2010−87532)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】