説明

周波数オフセット補償装置及び方法並びに光コヒーレント受信機

【課題】光コヒーレント受信機の位相オフセット補償装置に内蔵される周波数オフセット補償装置を提供する。
【解決手段】光コヒーレント受信機は、周波数オフセット推定装置を含み、前記周波数オフセット推定装置は、前記光コヒーレント受信機のベースバンドデジタル電気信号の、周波数オフセットによる位相オフセットの変化を推定する。前記周波数オフセット補償装置は、前記位相オフセットの変化を積分し、単一シンボル時間の前記位相オフセットの反数を獲得する第一積分ユニットと、前記位相オフセットの変化を、前記位相オフセット補償装置の平均長さと乗算する乗算器と、前記乗算器の出力を積分し、前記乗算器の出力の反数を獲得する第二積分ユニットと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信に関し、具体的に、光コヒーレント受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムの容量と柔軟性への要求が次第に高まるにつれて、コヒーレント光通信技術が益々重要になっている。インコヒーレント技術(例えば、オンオフキーイング(On-off-keying:OOK))又はセルフコヒーレント技術(例えば、π/4 DQPSK変調(Differential Quadrature Phase Shift Keying))に比べ、コヒーレント技術は、3dBの光信号対雑音比(OSNR)利得を持ち、効率がより良い変調技術(例えば、直交振幅変調(QAM))を採用することにより伝送容量を高めることができ、電気等化技術を便利に採用することによりチャンネルの変化を対応することができ、コストを低減するなどの利点を有する。
【0003】
コヒーレント受信は、ローカル振動の周波数及び位相と搬送波の位相とが完全に一致することを要し、即ち、ローカル発振器と搬送波との位相の差(位相オフセット)及び周波数の差(周波数オフセット)がゼロである。でなければ、ゼロでない位相オフセットと周波数オフセットは、受信されたベースバンド信号に現れる可能性があり、コヒーレント受信機の性能に大きな影響を与える。電気コヒーレント受信機において、位相オフセット及び周波数オフセットは、位相ロックループによりローカル発振器の位相及び周波数を精密に制御することによって除去される。しかし、光コヒーレント受信機にとっては、光装置に関する技術及び基準などの要因の限定の故に、位相ロックループによりローカル発振器の位相及び周波数を精密に制御することは非常に困難である。よって、光コヒーレント受信機において、ベースバンド信号の周波数オフセット及び位相オフセットによる受信機の性能への影響を解消する新たな技術が必要となっている。現在、ベースバンドにある位相オフセットの補償を実現できる技術が既に開発されているが、これら技術の正常動作の前提条件は、周波数オフセットが極めて小さい(MHzレベル)ことである。
【0004】
図1は、位相ロックループを用いる光コヒーレント受信機を示す。図中の位相オフセット検出器106、ループフィルター105及び制御器104は、位相ロックループを構成する。位相ロックループの出力111は、ローカル発振レーザー103を制御し、ローカル発振レーザー103の出力102の周波数及び位相を搬送波の周波数及び位相と一致させる。また、図1の光周波数混合器107及び光電変換器(PD)108と109を含む回路をフロントエンド回路と定義し、このフロントエンド回路は、入力された光信号101をベースバンド電気信号に変換するために用いられる。データ復元器110は、データ信号を復元するために用いられる。光装置に関する技術及び基準などの要因の限定の故に、図1に示す受信機を実現することは非常に困難である。よって、現在、ベースバンドデジタル信号を処理し位相オフセットを除去することを提案している技術がある。
【0005】
図2は、デジタル位相復元技術を用いる光コヒーレント受信機を示す。図1に比べ、図2は、ローカル発振レーザー103を制御せず、その代わりに、デジタル位相復元器204を用いてローカル発振器と搬送波との間の位相オフセットを除去する。デジタル位相復元器204は、複数の連続したシンボルの位相オフセットを平均化することによりノイズを除去して実際の位相オフセットを求め、そして、この位相オフセットを用いてそれらシンボルの位相を修正して位相オフセットを除去する。図2において、光周波数混合器107、光電変換器108と109、及び、アナログデジタルコンバーター201と202を含むフロントエンド回路は、光信号をベースバンドデジタル電気信号203に変換するために用いられる。前述した説明によれば、デジタル位相復元器の動作原理は、複数の連続したシンボルの位相オフセットを常数と見なすことである。しかし、周波数オフセットはゼロでないときに、シンボルの位相オフセットは時間の変化に伴って変わる。よって、周波数オフセットは数十MHzより大きくなるときに、デジタル位相復元器は正常に動作することができない。一方、実際の光通信システムにおいて、温度などの要因による影響を受けるので、周波数オフセットは、数GHzまで及ぶ可能性がある。従って、周波数オフセット補償は、デジタル位相復元技術を用いる光コヒーレント受信機において不可欠的である。
【0006】
図2は、更に、従来のデジタル位相復元器の一実施例を示す。しかし、デジタル位相復元器は、その他の装置により実現されることもでき、つまり、デジタル位相を復元することさえ出来れば良い。図2の下部に示すように、このデジタル位相復元器の入力は、コヒーレント受信機の前端処理部から出力されたベースバンド電気信号203、即ち、I+jQ=exp(jθd+jθ)である。一般の場合に、ベースバンド電気信号203は、データ情報θdを含むのみならず、搬送波とローカル発振器との間の位相オフセットθも含む。まず、ベースバンド電気信号203を偏角計算器207に入力して偏角208を求め、そして、偏角208を減算器223と210にそれぞれ入力する。減算器210において偏角208からフィードバックされたN個のシンボル前の位相オフセットを引いてデータ位相を粗く求め、続いて、2πモジュロ演算器211及び商取得部212に入力させる。2πモジュロ演算器211は、信号を2πモジュロ演算して0ないし2πに限定する。商取得部212は、2πモジュロ演算器211により0ないし2πに限定された前記信号を所定値(例えば、π/2)で割って商の整数部を取得する。商取得部212の結果に基づいて信号203を位相オフセット複素数値取得部214、215、216又は217に入力させる。位相オフセット複素数値取得部は、例えば、図2に示す式により、複素数で表示される位相オフセット21/2exp(jθ)の実部w2と虚部w1を取得する。
【0007】
次に、ノイズ除去装置219により、推定された虚部と実部におけるノイズを除去する。ノイズ除去装置は、例えば、平均器により実現されても良い。平均器は、N個のシンボルを数学的に平均化する簡単な装置であり、ノイズを除去するために用いられても良い。続いて、偏角計算器221は、平均化後の復素数w2+jw1=21/2(cos(θ)+jsin(θ))=21/2exp(jθ)の偏角θを求めて出力し、即ち、位相オフセット222である。減算器223において信号208から位相オフセット222を引き、そして、その結果を復元されたデジタル位相として出力させる。同時に、位相オフセット222が更に遅延装置213を通過してN個のシンボルの遅延が生成された後に、減算器209に供給されて次回の使用に供される。
【0008】
説明の便宜上、減算器223を位相復元器と見なしても良く、その他の部品(即ち、偏角計算器207、減算器210、2πモジュロ演算器211、商取得部212、位相オフセット複素数値取得部214乃至217、ノイズ除去装置219及び偏角計算器221など)を位相オフセット計算部と見なしても良い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の制約及び欠点による一つ又は複数の問題を解決するための周波数オフセット補償装置及び方法並びに光コヒーレント受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によれば、光コヒーレント受信機の位相オフセット補償装置に内蔵される周波数オフセット補償装置が提供される。前記光コヒーレント受信機は、周波数オフセット推定装置を含み、前記周波数オフセット推定装置は、前記光コヒーレント受信機のベースバンドデジタル電気信号の、周波数オフセットによる位相オフセットの変化を推定する。前記周波数オフセット補償装置は、前記位相オフセットの変化を積分し、単一シンボル時間の前記位相オフセットの反数を獲得する第一積分ユニットと、前記位相オフセットの変化を、前記位相オフセット補償装置の平均長さと乗算する乗算器と、前記乗算器の出力を積分し、前記乗算器の出力の反数を獲得する第二積分ユニットと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、周波数オフセット補償装置及び方法並びに光コヒーレント受信機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】位相ロックループを用いる従来の光コヒーレント受信機を示す図である。
【図2】デジタル位相復元技術を用いる従来の光コヒーレント受信機を示す図である。
【図3A】本発明の一実施例による周波数オフセット補償装置を示す図である。
【図3B】本発明の一実施例による周波数オフセット補償装置を示す図である。
【図4A】図3Bに示すM出力積分器の二つの実現方法を示す図である。
【図4B】図3Bに示すM出力積分器の二つの実現方法を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例による周波数オフセット補償装置及び該装置を集積したデジタル位相復元装置を示す図である。
【図6】本発明の周波数オフセット補償装置を用いる光コヒーレント受信機を示す図である。
【図7】本発明の周波数オフセット補償装置を集積したデジタル位相復元装置を用いる光コヒーレント受信機を示す図である。
【図8】本発明の周波数オフセット補償装置を集積したデジタル位相復元装置を用いる他の光コヒーレント受信機を示す図である。
【図9】本発明の周波数オフセット補償装置を用いる他の光コヒーレント受信機を示す図である。
【図10】本発明の光コヒーレント受信機を用いる光通信システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、添付した図面を参照しながら本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、これら実施例は、例示すぎず、本発明を限定するものでない。
【0014】
図3は、本発明の第一実施例の周波数オフセット補償装置を示す。図3Aは、この装置の直列構成を示し、図3Bは、この装置の並列構成を示す。図3Aにおいて、入力203は、受信されたベースバンドデジタル信号である。周波数オフセットがあるときに、入力203は、I+jQ=exp(jφd+jφ+jkΔωT)で表示されても良く、ここで、φdはデータ情報であり、φはレーザーの線幅などによる位相オフセットであり、Δωは周波数オフセットであり、Tはシンボル周期であり、kはシンボル到着の時間シーケンスであり、kΔωTは周波数オフセットによる位相オフセットであり、jは虚数単位である。入力303は、周波数オフセット推定装置により推定された、一つのシンボル周期内に周波数オフセットによる位相オフセットの変化(即ち、ΔωT)である。乗算器304において入力303を−1と乗算し、入力303の反数305を取得する。図3Aの加算器306、2πモジュロ演算器307及びレジスター308が積分器を構成し、この積分器の出力310は、周波数オフセットによる位相オフセットの反数(即ち、θ=-kΔωT)である。出力310は、複素数乗算器311に供給される。複素数乗算器311は、出力310に基づいて複素数exp(jφ)を生成し、また入力203と乗算して出力304を得る。この複素数乗算は、下式で表示されることができる。
【0015】
I′+jQ′=(I+jQ)exp(jQ)=exp(jφd+jφ+jkΔωT)×exp(-kΔωT)=exp(jφd+jφ)
上記式に示すように、出力304(即ち、I′+jQ′)の偏角に周波数オフセットによる位相オフセットはもう含まれていない。
【0016】
図3Bは、本発明の第一実施例の周波数オフセット補償装置の並列実現を示す。この並列の周波数オフセット補償装置312は、直並列変換器326、並直列変換器330、多出力積分器335及びM個の複素数乗算器を含む。Mは、並列に処理される回路の個数である。直並列変換器326は、入力された連続的なベースバンドデジタル信号をMブランチの並列出力に変換し、例えば、第一ブランチ336は最初のシンボルであり、第二ブランチ337は第二個目のシンボルである。このMブランチの出力は、それぞれ、M個の複素数乗算器、例えば、図中の複素数乗算器327、328、329などに供給される。入力303は、一つのシンボル周期内に周波数による位相オフセットの変化である。多出力積分器335は入力303に基づいて計算を行い、また各々のシンボルの位相の、周波数オフセットによる位相オフセットの反数を出力する。例えば、図示する出力332、321、324は、それぞれ、最初のシンボル、第二個目のシンボル及び第M個目のシンボルの、周波数オフセットによる位相オフセットの反数である。多出力積分器335のM個の出力も、それぞれ、M個の複素数乗算器に供給される。各複素数乗算器は、入力された位相オフセットに基づいて複素数exp(jQi)(iは1ないしM)を生成し、また入力されたシンボルと乗算させ、これにより、周波数オフセットのシンボルの位相への影響を補償する。各複素数乗算器の出力は、並直列変換器330を通過した後に、1ブランチの直列の連続的な出力に合成される。
【0017】
図4は、図3Bに示す多出力積分器の二つの実現方法を示す。図4Aに示すように、第一方法による多出力積分器は、加算器の縦列接続を採用する。具体的には、入力303を−1と乗算して信号314を求め、そして、信号314をN個の加算器、例えば、図示する加算器315、319、322などにそれぞれ供給する。第一加算器315は、信号314をレジスター316の出力318と加算し、信号331を得る。2πモジュロ演算器317は、信号331の値を[0, 2π]の区間に限定する。2πモジュロ演算器317の出力332(即ち、θ)は、複素数乗算器327に供給されて最初のシンボルの周波数オフセットを補償する。同時に、出力332は第二個目の加算器319に供給され、加算器319は出力332を信号314と加算し、その和をモジュロ計算器320により2πモジュロ演算して信号321(θ)を求め、そして、信号321は、複素数乗算器328に供給されて第二個目のシンボルの周波数オフセットを補償する。これから類推して、各加算器とモジュロ計算器の組合せにより各ブランチの、周波数オフセットによる位相オフセットの反数を取得し、また対応する複素数乗算器に入力する。最後のモジュロ計算器323の出力324は、第M個目のシンボルの周波数オフセットを補償するために用いられると同時に、出力324は、レジスター316に供給されて第M+1個目のシンボルを補償するために備えられる。各加算器とモジュロ計算器の組合せは、積分ユニットと称されても良い。
【0018】
図4Bに示すように、多出力積分器335の他の実現方法は、入力303をそれぞれ−1乃至−Mと乗算させる(或いは、入力303を−1と乗算した結果をそれぞれ1乃至Mと乗算させる)ことにより、第一ブランチから第Mブランチのシンボルの位相の、周波数オフセットによる、前回の第Mブランチのシンボルに対しての位相オフセットの変化を求め、また、乗算器の出力345、346、347などをそれぞれ加算器338、339、343などにより前回の第M個目のシンボルの位相オフセット(それは、レジスター351に保存される)と加算することにより、第一ブランチ乃至第Mブランチのシンボルの位相における、周波数オフセットによる位相オフセット348、349及び350などを求めることである。これら位相オフセットがそれぞれ2πモジュロ計算器340、341及び344などに入力され、それらの値の範囲が[0, 2π]の区間に限定される。これにより、周波数オフセットを補償するための信号332、321及び324などが得られる。
【0019】
図3Aに示す周波数オフセット補償装置は、一つのシンボル周期内に図3Aにおける全ての演算を完成することを要し、これにより、ハードウェアの処理速度への要求が極めて高くなる。一方、図3Bに示す周波数オフセット補償装置の並列実現は、N個のシンボルへの処理をN個のハードウェアに割り当てて完成させ、また、各々のハードウェアは、N個のシンボル周期内にその処理を完成させることさえ出来れば良い。これにより、補償の性能に影響を与えない前提で、ハードウェアの処理速度への要求をN倍下げることができるので、前記周波数オフセット補償装置におけるハードウェアの実現が非常に便利になる。
【0020】
図5は、本発明の他の実施例に係る周波数オフセット補償装置を示す。図3に示す周波数オフセット補償装置は、位相復元装置の前に位置すべきであり、即ち、周波数オフセットを補償してから位相を復元することである。一方、図5の周波数オフセット補償装置は、デジタル位相復元装置内に集積され、位相を復元すると同時に、周波数オフセットの補償を実現する。図5のデジタル位相復元装置は、本発明の周波数オフセット補償装置407を集積したデジタル位相復元装置401である。この装置の動作原理を説明するために、次は、まず、周波数オフセットによる、図2に示すデジタル位相復元装置への影響について分析する。周波数をΔωとすれば、入力されたベースバンドデジタル信号は、(I+jQ)exp(jQ)=exp(jφd+jφ+jkΔωT)で表示されることができる。図2の偏角計算器207の出力208は、φd+φ+kΔωTである。また、推定される位相オフセット222は、下式で表示されることができる。
【数1】

ここで、Nは、デジタル位相復元装置の平均長さであり、nkはノイズである。その直後にあるN個のシンボルに対して、位相オフセット222の値は、下式で示すようになる。
【数2】

上記分析によれば、周波数オフセットの存在は、一方では、時間の変化に伴って変わる位相オフセットがシンボルの偏角に取り込まれるからであり、即ち、各々のシンボルの位相オフセットがそれぞれその前のシンボルよりkΔωTを増加することであり、他方では、時間の変化に伴って変わるオフセットがN個のシンボルの各々への推定による位相オフセットに取り込まれるからであり、即ち、N個のシンボルの各々の位相オフセット推定値のオフセットがその前のN個のシンボルよりNΔωTを増加することである。本発明の集積周波数オフセット補償装置の原理は、位相を復元すると同時に、周波数オフセットによる、前記二つの方面におけるオフセットを除去することにより、周波数オフセットによる受信機の性能への影響を補償することにある。
【0021】
本発明のこの実施例に係る周波数オフセット補償装置407の入力303は、周波数オフセット推定装置の出力であり、即ち、一つのシンボルの周期内に周波数オフセットによる位相の変化(ΔωT)である。この入力303は、二つのブランチに供給され、一つのブランチは、加算器411、2πモジュロ計算器408及びレジスター410からなる積分器(第一積分器)であり、このブランチの出力403(第一積分出力)は、周波数によるシンボルの位相オフセット(即ち、kΔωT)である。もう一つのブランチは、乗算器412においてN(Nは、デジタル位相復元装置の平均長さであり、この平均長さは、デジタル位相復元装置の一つの制御パラメータである)で乗算し、そして、加算器414、レジスター417及び2πモジュロ計算器418からなる他の積分器(第二積分器)に入力させる。第二積分器の出力404(第二積分出力)は、周波数による位相オフセット推定値のオフセット(即ち、NΔωT)である。
【0022】
図5のデジタル位相復元装置401は、周波数オフセット補償装置407を集積したデジタル位相復元装置である。偏角計算器207の出力から周波数オフセット補償装置407の一つの出力403を引くことにより、周波数オフセットによる位相オフセットを除去したシンボルの偏角405を求め、また、位相オフセット推定値222から周波数オフセット補償装置407のもう一つの出力404を引くことにより、周波数オフセットによる推定オフセットを除去し、位相オフセットの偏角406を獲得する。減算器223により偏角405と406に対して減算を行うことにより、データ情報φdを獲得する。
【0023】
図2と図5を比較して分かるように、本発明は、従来のデジタル位相復元器に第一減算器402と第二減算器429を追加するだけで良い。減算器429は、周波数オフセット補償装置407の第二積分出力404を従来のデジタル位相オフセット復元器の位相オフセット計算結果から引き、この第二積分出力を引いた位相オフセットを位相オフセット計算装置にフィードバックし、また、位相復元器223の出力と減算して出力させる。減算器402は、周波数オフセット補償装置407の第一積分出力404を、偏角計算器207により計算された偏角から引き、また、位相復元器223に送信する。よって、これは、簡単に実現されることができる。この場合、減算器402と減算器409は、それぞれ、本発明の第一インターフェースと第二インターフェースとして用いられることができる。
【0024】
また、当業者が周知のように、図5に示す実施例は、例示にすぎず、本発明を限定するものでない。例えば、第二積分出力は、二つのブランチに分けられて、それぞれ、図示する遅延装置213と第二減算器223に直接入力されても良い。また、第一積分出力は、減算器223と減算器210にそれぞれ直接出力されても良い。このようにして、他の部品を追加する必要がない。この場合、周波数オフセット補償装置407の第一積分出力を受信するための減算器210のポート及び周波数オフセット補償装置407の第一積分出力を受信するための位相復元器223のポートを第一インターフェースと総称し、周波数オフセット補償装置407の第二積分出力を受信するための遅延装置213のポート及び周波数オフセット補償装置407の第二積分出力を受信するための位相復元器223のポートを第二インターフェースと総称しても良い。
【0025】
なお、図2と図5に示す従来技術の位相オフセット計算装置は、説明の便宜上に引用されるものであり、本発明を限定するためのものでない。また、当業者に知られている任意の周波数オフセット計算装置を採用しても良く、つまり、本発明の内蔵型周波数オフセット補償装置407の第一積分出力と第二積分出力の第一インターフェースと第二インターフェースを有するものでさえあれば良い。
【0026】
図3に示す本発明の第一実施例の周波数オフセット補償装置に比べ、図5の周波数オフセット補償装置及び該装置を集積したデジタル位相復元装置は、複素数の乗算を要しないので、演算の複雑度を大幅に低減することができる。しかし、その欠点は、補償範囲がデジタル位相復元装置の平均長さに限定されることにある。伝送されるシンボルのレートをBrとし、平均長さをNとすれば、この装置の補償可能な周波数オフセット範囲は、[-Br/2N, Br/2N]であり、一方、図3に示す周波数オフセット補償装置は、任意周波数オフセットの補償を実現することができる。
【0027】
図6は、本発明の周波数オフセット補償装置を用いる光コヒーレント受信機を示す。図2に比べ、この受信機は、デジタル位相復元器204の前に周波数オフセット推定器501と周波数オフセット補償器502が追加される。周波数オフセット推定器501は、A. Levenらが2007年に提案した周波数オフセット推定装置(“Frequency Estimation in Intradyne Reception”, IEEE Photonics Technology Letters, Vol.19, No.6, March, 2007, pp366-368)により実現されても良い。また、周波数オフセット補償器502は、図3Aの周波数オフセット補償装置302又は図3Bの周波数オフセット補償装置312により実現されても良い。
【0028】
図7は、本発明の周波数オフセット補償装置407のデジタル位相復元装置401を内蔵した光コヒーレント受信機を示す。この受信機は、図6の周波数オフセット推定装置501を採用し、周波数オフセット推定器501の出力は、周波数オフセット補償装置407を内蔵したデジタル位相復元装置401に送信される。デジタル位相復元装置401は、位相を復元すると同時に周波数オフセットを補償する。
【0029】
図8は、本発明の周波数オフセット補償装置407及び該装置を内蔵したデジタル位相復元装置401を用いる他の光コヒーレント受信機を示す。図中の粗周波数オフセット監視装置703は、陶振寧らが提出した申請番号が200710139796.1である中国特許明細書に開示される周波数オフセット監視器により実現されても良い。この周波数オフセット監視器の出力の極性は、周波数オフセットの正負の変化と伴って変わるので、この周波数オフセット監視器の出力は、ローカル発振レーザーの周波数を制御するためのフィードバック信号と見なされても良い。また、この監視器は受信信号の波形歪み耐力が強いので、波長分散及び偏波モード分散が高く、送信/受信データにおけるクロックが同期でないなどの問題を許容することができる。しかし、この監視器の問題は、周波数オフセットが一定の範囲(例えば、1GHz)より小さくなると、この監視器は誤った監視信号を生成することにある。結果として、ベースバンドデジタル信号に残留の周波数オフセットが存在する恐れがある。よって、本発明の周波数オフセット補償装置407及び該装置を内蔵したデジタル位相復元装置401は、光コヒーレント受信機に応用され、粗周波数オフセット監視器703の誤差によりベースバンドデジタル信号に残留された周波数オフセットを補償する。デジタル位相復元装置401の二つの入力のうち一つは、ベースバンドデジタル信号である。この信号は、既にデジタル等化器701により処理された可能性があり、デジタル等化器701の機能は、信号における、チャンネル内の波長分散及び偏波モード分散などによる信号歪みを等化することである。デジタル等化器701は、従来技術(例えば、“Adaptive digital equalization in the presence of chromatic dispersion, PMD, and phase noise in coherent fiber optic system”, Crivelli, D.E et al., Global Telecommunications Conference, 2004, Page(s): 2545-2551 Vol.4)により実現されることができる。周波数オフセット推定器501は、ADCにより直接出力されたベースバンドデジタル信号203又はデジタル等化器701により出力された等化後のベースバンドデジタル信号506により、ベースバンド信号にある残留の周波数オフセット303を推定する。デジタル位相復元装置401は、入力302により、位相を復元すると同時に残留の周波数オフセットを補償する。図7に比べ、図8は、粗周波数監視器などからなるフィードバック制御ループにより周波数オフセットを初期制御することを追加し、これにより、デジタル位相復元装置401の補償範囲が限定されるとの欠点をメカニズム上で補うことができる。
【0030】
なお、図8に示すのは周波数オフセット補償装置407及び該装置を内蔵したデジタル位相復元装置401であるとしても、位相オフセットと周波数オフセットの復元は、図3に示す周波数オフセット推定装置と従来技術の位相復元装置との組合せを採用しても良い。
【0031】
図9は、本発明の周波数オフセット補償装置を用いる他の光コヒーレント受信機を示す。図中の周波数オフセット補償器801は、図3の周波数オフセット補償装置302又は312により実現されても良い。図9の周波数オフセット推定器501の入力は、周波数オフセット補償後の信号であり、即ち、周波数オフセット推定器501の出力806は、周波数オフセット補償後の残留の周波数オフセットであり、この出力806は積分器805に入力され、積分器805において加算器807によりレジスター808内における先に推定された周波数オフセットと加算され、新たな周波数オフセット803が得られる。この新たな周波数オフセット803は、周波数オフセット補償器801に供給されて補償される。このようにすると、図8の周波数オフセット補償器810、周波数オフセット推定器501及び積分器805は、周波数オフセット補償のフィードバックループを構成する。
【0032】
図10は、本発明の光コヒーレント受信機を用いる光通信システムを示す。このシステムは、送信機901、光ファイバーリンク906及び受信機905を含む。光ファイバーリンクは、一つ又は複数のノード902、光ファイバー903、増幅器904を含んでも良い。本発明の光コヒーレント受信機905以外の上記他の部品は、全て、従来技術により構成されても良い。例えば、“Optical Differential Quadrature Phase-Shift Key (oDQPSK) for High Capacity Optical Transmission”, R.A.Griffin et al., OFC 2002に開示されている送信機の技術を用いても良い。
【0033】
本発明の上記装置は、コンピュータプログラムにより実現されても良く、このコンピュータプログラムは、コンピュータ又は論理装置(例えば、現場プログラミング可能な論理装置)に、上記装置又は部品の機能を実現させ、或いは、コンピュータに、対応する方法のステップを実行させる。前記コンピュータは、例えば、CPU、ROM、IO装置、ハードディスク、RAMなどを含む汎用コンピュータであっても良いし、専用コンピュータであっても良い。また、前記コンピュータプログラムは、単一コンピュータプログラムであっても良いし、複数のコンピュータプログラムからなるプログラム組であっても良い。
【0034】
前記コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム組は、コンピュータ可読の記憶媒体に保存されることができる。前記コンピュータ可読の記憶媒体は、例えば、CD、DVD、ソフトディスク、フラッシュメモリ、磁性テープなどの当業者が周知のあらゆる媒体であっても良い。
【0035】
また、上述の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0036】
(付記1)
光コヒーレント受信機に用いられる周波数オフセット補償装置であって、
前記光コヒーレント受信機は、フロントエンド回路と周波数オフセット推定装置を含み、前記フロントエンド回路は、入力された光信号をベースバンドデジタル電気信号に変換するために用いられ、前記周波数オフセット推定装置は、前記ベースバンドデジタル電気信号の、周波数オフセットによる位相オフセットの変化を推定し、
前記周波数オフセット補償装置は、
前記周波数オフセット推定装置により推定された、前記周波数オフセットによる位相オフセットの変化を積分し、前記周波数オフセットによる位相オフセットのM個の反数(反数とは、正負の符号が逆になった数であり、例えば、aに対して-aをaの反数という)を求め、Mは1より大きい整数であるM出力積分器と、
前記ベースバンドデジタル電気信号をM並列のベースバンドデジタル電気信号に変換する直並列変換装置と、
前記M出力積分器により出力された前記M個の反数のうち対応する反数を複素数にし、また、前記直並列変換装置により変換された前記M並列のベースバンドデジタル電気信号のうち対応する並列化されたベースバンドデジタル電気信号と乗算するM個の複素数乗算器と、
前記複素数乗算器により乗算された前記M並列のベースバンドデジタル電気信号を一つのベースバンド電気信号に変換する並直列変換器と、
を含む、周波数オフセット補償装置。
【0037】
(付記2)
付記1に記載の周波数オフセット補償装置であって、
前記M出力積分器は、乗算器、直列接続される複数の積分ユニット、及び、遅延ユニットを含み、
前記乗算器は、前記周波数オフセット推定装置により推定された、前記周波数オフセットによる位相オフセットの変化を−1と乗算し、前記周波数オフセットによる位相オフセットの変化の反数を求め、前記反数は、それぞれ、各積分ユニットに入力され、
前記直列接続されるM個の積分ユニットの各々は、入力された位相オフセットの変化を積分し、前記周波数オフセットによる位相オフセットを求め、
前記直列接続されるM個の積分ユニットのうち最後の積分ユニットの積分出力は、対応する前記複素数乗算器に入力されると同時に前記遅延ユニットに出力され、前記直列接続されるM個の積分ユニットのうち他の積分ユニットの積分出力は、対応する前記複素数乗算器に入力されると同時に次の積分ユニットに入力され、
前記直列接続されるM個の積分ユニットのうち最初の積分ユニットは、前記反数、及び、前記遅延ユニットにより一シンボル時間遅延された前記最後の積分ユニットの積分出力を積分する、周波数オフセット補償装置。
【0038】
(付記3)
付記2に記載の周波数オフセット補償装置であって、
前記各積分ユニットは、直列接続される加算器と2πモジュロ演算器を含み、前記直列接続されるM個の積分ユニットのうち最初の加算器は、前記反数を、前記遅延ユニットにより遅延された前記最後の積分ユニットの積分出力と加算し、前記2πモジュロ演算器は、前記加算器の加算結果を2πモジュロ演算し、
前記直列接続されるM個の積分ユニットのうち最初以外の積分ユニットの加算器は、前記反数を、前の積分ユニットの出力と加算し、前記2πモジュロ演算器は、前記加算器の加算結果を2πモジュロ演算する、周波数オフセット補償装置。
【0039】
(付記4)
付記1に記載の周波数オフセット補償装置であって、
前記M出力積分器は、M個の並列接続される積分ユニット及び遅延ユニットを含み、
前記遅延ユニットの出力は、前記M個の並列接続される積分ユニットの各々に入力され、
前記M個の並列接続される積分ユニットの各々は、入力された前記周波数オフセットによる位相オフセットの変化を積分し、前記周波数オフセットによる各シンボルの位相オフセット、即ち、積分出力をそれぞれ出力し、また、前記積分出力を対応する複素数乗算器にそれぞれ入力し、
前記M個の並列接続される積分ユニットのうち最後の積分ユニット、即ち第M個目の積分ユニットは、その積分出力を前記遅延ユニットに入力し、前記遅延ユニットは、前記積分出力を一シンボル時間遅延し、また、前記遅延ユニットの出力として前記各積分ユニットに入力する、周波数オフセット補償装置。
【0040】
(付記5)
付記4に記載の周波数オフセット補償装置であって、
前記M個の並列接続される積分ユニットの各々は、乗算器、加算器及び2πモジュロ演算器を含み、前記各積分ユニットの乗算器は、−1ないし−Mと乗算し、
前記各積分ユニットの加算器は、前記乗算器の出力を、前記複数の並列接続される積分ユニットのうち最後の積分ユニットの出力と加算し、前記各積分ユニットの2πモジュロ演算器は、前記加算器の加算結果を2πモジュロ演算する、周波数オフセット補償装置。
【0041】
(付記6)
光コヒーレント受信機の位相オフセット補償装置に内蔵される周波数オフセット補償装置であって、
前記光コヒーレント受信機は、周波数オフセット推定装置を含み、前記周波数オフセット推定装置は、前記光コヒーレント受信機のベースバンドデジタル電気信号の、周波数オフセットによる位相オフセットの変化を推定し、
前記周波数オフセット補償装置は、
前記位相オフセットの変化を積分し、単一シンボルの前記位相オフセットの反数を獲得する第一積分ユニットと、
前記位相オフセットの変化を、前記位相オフセット補償装置の平均長さと乗算する乗算器と、
前記乗算器の出力を積分し、前記乗算器の出力の反数を獲得する第二積分ユニットと、を含む、周波数オフセット補償装置。
【0042】
(付記7)
付記6に記載の周波数オフセット補償装置であって、
前記第一積分ユニットと前記第二積分ユニットは、それぞれ、直列接続されるループ状の加算器、2πモジュロ演算器及び遅延ユニットを含み、
前記位相オフセットの変化は、前記第一積分ユニットの前記加算器に入力され、前記乗算器の出力は、前記第二積分ユニットの前記加算器に入力され、
前記第一積分ユニットと前記第二積分ユニットの出力は、前記2πモジュロ演算器の出力であり、前記遅延ユニットは、前記2πモジュロ演算器の出力を一つのシンボル遅延する、周波数オフセット補償装置。
【0043】
(付記8)
位相復元器であって、
付記6又は7に記載の周波数オフセット補償装置と、
前記周波数オフセット補償装置の第一積分ユニットの出力を受信する第一インターフェースと、
前記周波数オフセット補償装置の第二積分ユニットの出力を受信する第二インターフェースと、
入力されたベースバンド電気信号及び前記第一積分ユニットの出力により位相オフセットを計算する位相オフセット計算ユニットと、
前記位相オフセットから前記第一積分ユニットの出力及び前記第二積分ユニットの出力を引いて前記ベースバンド電気信号におけるデータ位相を復元する位相復元ユニットと、を含む、位相復元器。
【0044】
(付記9)
光コヒーレント受信機であって、
入力された光信号をベースバンド電気信号に変換するフロントエンド回路と、前記ベースバンド電気信号における周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定器と、を含み、
前記光コヒーレント受信機は、更に、前記周波数オフセット推定器により推定された周波数オフセットに基づいて、前記ベースバンド電気信号の、前記周波数オフセットによる位相オフセットを補償する付記1ないし7のいずれかに記載の周波数オフセット補償装置を含む、光コヒーレント受信機。
【0045】
(付記10)
付記9に記載のコヒーレント受信機であって、
前記フロントエンド回路により出力されたベースバンド電気信号の周波数オフセットを粗調整するための粗調整周波数オフセット監視ユニットと、前記フロントエンド回路により出力されたベースバンド電気信号を等化するデジタル等化器と、更に、を含み、
前記周波数オフセット推定器は、前記ベースバンド電気信号における周波数オフセット、又は、前記デジタル等化器により等化された前記ベースバンド電気信号における周波数オフセットを推定する、光コヒーレント受信機が提供される。
【0046】
(付記11)
付記9に記載の光コヒーレント受信機であって、
前記光コヒーレント受信機は、更に、デジタル等化器及び積分器を含み、
前記フロントエンド回路は、前記周波数オフセット補償装置と接続され、前記周波数オフセット補償装置は、前記デジタル等化器と接続され、
前記デジタル等化器は、前記周波数オフセット補償装置により補償されたベースバンド電気信号を等化し、また等化後の信号を前記周波数オフセット推定器に入力し、
前記周波数オフセット推定器は、前記デジタル等化器により出力された信号における周波数オフセットを推定し、また前記周波数オフセットを前記積分器に出力し、前記積分器は、前記周波数オフセットを積分し、また積分後の信号を前記周波数オフセット補償装置に出力する、光コヒーレント受信機。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0048】
101 光入力
103 ローカル発振レーザー
104 制御器
105 ループフィルター
106 位相オフセット検出器
107 光周波数混合器
108、109 PD
110 データ復元器
201、202 ADC
204 デジタル位相復元器
206 データ復元器
335 多出力積分器
326 直並変換
330 並直変換
303 周波数オフセット補償装置
401 周波数オフセット補償装置を有するデジタル位相復元装置
501 周波数オフセット推定器
502 周波数オフセット補償器
701 デジタル等化器
703 粗周波数オフセット監視装置
706 制御器
801 周波数オフセット補償器
805 積分器
901 送信機
902 ノード
903 光ファイバー
904 増幅器
905 コヒーレント受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コヒーレント受信機の位相オフセット補償装置に内蔵される周波数オフセット補償装置であって、
前記光コヒーレント受信機は、周波数オフセット推定装置を含み、前記周波数オフセット推定装置は、前記光コヒーレント受信機のベースバンドデジタル電気信号の、周波数オフセットによる位相オフセットの変化を推定し、
前記周波数オフセット補償装置は、
前記位相オフセットの変化を積分し、単一シンボル時間の前記位相オフセットの反数を獲得する第一積分ユニットと、
前記位相オフセットの変化を、前記位相オフセット補償装置の平均長さと乗算する乗算器と、
前記乗算器の出力を積分し、前記乗算器の出力の反数を獲得する第二積分ユニットと、
を含む、
周波数オフセット補償装置。
【請求項2】
前記第一積分ユニットと前記第二積分ユニットは、それぞれ、直列接続されるループ状の加算器、2πモジュロ演算器及び遅延ユニットを含み、
前記位相オフセットの変化は、前記第一積分ユニットの前記加算器に入力され、前記乗算器の出力は、前記第二積分ユニットの前記加算器に入力され、
前記第一積分ユニットと前記第二積分ユニットの出力は、前記2πモジュロ演算器の出力であり、前記遅延ユニットは、前記2πモジュロ演算器の出力を一つのシンボル遅延する、
請求項1に記載の周波数オフセット補償装置。
【請求項3】
位相復元器であって、
請求項1又は2に記載の周波数オフセット補償装置と、
前記周波数オフセット補償装置の前記第一積分ユニットの出力を受信する第一インターフェースと、
前記周波数オフセット補償装置の前記第二積分ユニットの出力を受信する第二インターフェースと、
入力されたベースバンド電気信号及び前記第一積分ユニットの出力により位相オフセットを計算する位相オフセット計算ユニットと、
前記位相オフセットから前記第一積分ユニットの出力及び前記第二積分ユニットの出力を引いて前記ベースバンド電気信号におけるデータ位相を復元する位相復元ユニットと、
を含む、位相復元器。
【請求項4】
入力された光信号をベースバンド電気信号に変換するフロントエンド回路と、前記ベースバンド電気信号における周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定器と、を含む光コヒーレント受信機であって、
前記周波数オフセット推定器により推定された周波数オフセットに基づいて、前記ベースバンド電気信号の、前記周波数オフセットによる位相オフセットを補償する請求項1又は2に記載の周波数オフセット補償装置を更に含む、
光コヒーレント受信機。
【請求項5】
前記フロントエンド回路により出力されたベースバンド電気信号の周波数オフセットを推定する第二の周波数オフセット推定器を更に含み、該第二の周波数オフセット推定器の出力値を用いて発振器の周波数を調整する、
請求項4に記載の光コヒーレント受信機。
【請求項6】
前記光コヒーレント受信機は、更に、デジタル等化器及び積分器を含み、
前記フロントエンド回路は、前記周波数オフセット補償装置と接続され、前記周波数オフセット補償装置は、前記デジタル等化器と接続され、
前記デジタル等化器は、前記周波数オフセット補償装置により補償されたベースバンド電気信号を等化し、また等化後の信号を前記周波数オフセット推定器に入力し、
前記周波数オフセット推定器は、前記デジタル等化器により出力された信号における周波数オフセットを推定し、また前記周波数オフセットを前記積分器に出力し、前記積分器は、前記周波数オフセットを積分し、また積分後の信号を前記周波数オフセット補償装置に出力する、請求項4又は5に記載の光コヒーレント受信機

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−48453(P2013−48453A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223585(P2012−223585)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2008−305524(P2008−305524)の分割
【原出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】