説明

呼吸状態監視装置、ベース装置、制御システム、及び制御システムの使用方法

【課題】 操作が簡単で、スクリーングを好適に行うことができる呼吸状態監視装置、ベース装置、制御システム、及び制御システムの使用方法を提供すること。
【解決手段】 呼吸状態監視装置3から呼吸データを収集するための制御システム81として、呼吸状態監視装置3のバーコードを読み込むバーコードリーダ83と、50個の呼吸状態監視装置3を着脱可能に装着するベース装置43と、バーコードリーダ83やベース装置43を制御するパソコン85を備えている。呼吸状態監視装置3をベース装置43に装着することにより、呼吸状態監視装置3の充電池69の充電を行うことができる。同時に、呼吸状態監視装置3のフラッシュメモリ55に記憶している呼吸データをベース装置43側に収集することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電フィルム等を用いて、例えば睡眠時などの呼吸の正常・異常やいびきなどの呼吸状態を調べることができる呼吸状態監視装置、ベース装置、制御システム、及び制御システムの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人の呼吸の状態を調べる技術として、口元にサーミスタを貼り付ける技術が知られている(特許文献1参照)
また、体の動きを圧電素子で検出し、その検出結果から呼吸の状態を調べる技術も知られている(特許文献2参照)。
【0003】
更に、近年では、口にPVDF(ポリフッ化ビニリデン)フィルムを貼り付け、その検出信号から呼吸を検出する技術も開示されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特許第2794196号公報 (第2頁 第2図)
【特許文献2】特許第2803374号公報 (第1頁 図2)
【特許文献3】米国特許第5311875号明細書 (第1頁 第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した引用文献の技術では、呼吸状態を検出するセンサを測定装置に接続して使用するが、その測定装置は大型であり、スクリーニングには使用し難いという問題があった。
【0005】
つまり、多くの人にそれぞれ測定装置を取り付けて、各個人の呼吸の異常等を簡単に検出するためには、装置の小型化や操作性の向上などが必要であるが、従来は、そのための対策が十分では無い。
【0006】
特に、装置を小型化して各個人に装着して測定した場合において、各装置からデータを収集しスクリーニングを行うためのシステムに関しては、何等検討がされていないのが現状である。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、操作が簡単で、スクリーングを好適に行うことができる呼吸状態監視装置、ベース装置、制御システム、及び制御システムの使用方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)請求項1の発明は、充電池と、生体の呼吸状態(例えば呼吸の有無やいびき)を示す呼吸データを記憶するメモリと、ベース装置に着脱可能に装着される監視側装着部と、を備えた呼吸状態監視装置に関するものであり、本発明では、監視側装着部に、ベース装置からの電力を受けて充電池に対する充電を行うための監視側充電導通部と、メモリに記憶した呼吸データをベース装置に送信するための監視側通信導通部と、を備えている。
【0009】
従って、本発明では、呼吸状態監視装置をベース装置に装着することにより、充電と呼吸データの送受信とが容易に可能となる。
つまり、多くの呼吸状態監視装置を用いて多数の被験者に対するスクリーニングを行う際には、測定後の呼吸状態監視装置をベース装置に装着することにより、充電と呼吸データの送受信とが可能となるので、その操作が非常に容易であり、スクリーニングの能率が大きく向上するという顕著な効果がある。
【0010】
(2)請求項2の発明では、監視側装着部は、ベース装置側のコネクタに接続される呼吸状態監視装置側のコネクタである。
本発明は、監視側装着部を例示したものであり、両コネクタを接続することにより、充電及びデータの送受信が容易に可能となる。
【0011】
(3)請求項3の発明では、呼吸状態監視装置の1個のコネクタ内に、監視側充電導通部の端子と監視側通信導通部の端子とを備えている。
本発明は、コネクタ内の端子の構成を例示したものであり、一対のコネクタを接続するのみで、充電及びデータの送受信が容易に可能となる。
【0012】
(4)請求項4の発明では、呼吸状態監視装置の表面に、自身のIDを示すバーコードを表示している。
従って、このバーコードをベース装置側に読み込むことによって、多数ある呼吸状態監視装置のうち、どの呼吸状態監視装置に対する処理を行うべきかが分かる。
【0013】
(5)請求項5の発明では、呼吸状態監視装置のメモリに、自身のIDを示すIDデータを記憶している。
従って、このIDデータをベース装置側に読み込むことによって、多数ある呼吸状態監視装置のうち、どの呼吸状態監視装置に対する処理を行うべきかが分かる。
【0014】
(6)請求項6の発明は、充電池と、生体の呼吸状態を示す呼吸データを記憶するメモリと、を有する複数の呼吸状態監視装置が、着脱可能に装着されるベース側装着部を備えたベース装置に関するものであり、本発明では、ベース側装着部に、呼吸状態監視装置の充電池に対する充電を行うためのベース側充電導通部と、呼吸状態監視装置のメモリに記憶した呼吸データを収集するためのベース側通信導通部と、を備えている。
【0015】
従って、本発明では、呼吸状態監視装置をベース装置に装着することにより、例えば複数の呼吸状態監視装置をベース装置の複数のベース側装着部にそれぞれ装着することにより、充電と呼吸データの送受信とが容易に可能となる。
【0016】
つまり、多くの呼吸状態監視装置を用いて多数の被験者に対するスクリーニングを行う際には、測定後の呼吸状態監視装置をベース装置に装着することにより、充電と呼吸データの送受信とが可能となるので、その操作が非常に容易であり、スクリーニングの能率が大きく向上するという顕著な効果がある。
【0017】
(7)請求項7の発明では、ベース側装着部は、呼吸状態監視装置側のコネクタが接続されるベース装置側のコネクタである。
本発明は、ベース側装着部を例示したものであり、両コネクタを接続することにより、充電及びデータの送受信が容易に可能となる。
【0018】
(8)請求項8の発明は、ベース装置の1個のコネクタ内に、ベース側充電導通部の端子とベース側通信導通部の端子とを備えている。
本発明は、コネクタ内の端子の構成を例示したものであり、一対のコネクタを接続するのみで、充電及びデータの送受信が容易に可能となる。
【0019】
(9)請求項9の発明では、ベース装置は、複数のブロックに分かれており、各ブロックに各呼吸状態監視装置を着脱可能に装着する複数のベース側装着部を備えている。
従って、例えばあるブロック内のべース側装着部や回路等に故障が生じた場合には、そのブロックのみを取り出して修理等を行えばよく、メンテナンスが容易である。
【0020】
(10)請求項10の発明では、ベース装置は、充電の制御及びデータ収集の制御を行う制御装置を一体に備えている。
従って、このベース装置を操作することにより、充電の制御及びデータ収集の制御を行うことができる。
【0021】
(11)請求項11の発明は、ベース装置は、充電の制御及びデータ収集の制御を行う制御装置が分離した構成である。
本発明では、呼吸状態監視装置が装着される装置とは別に、充電の制御及びデータ収集の制御を行うパソコン等の制御装置を備えている。
【0022】
尚、本発明におけるベース装置は、呼吸状態監視装置が装着される装置構成と、充電の制御及びデータ収集の制御を行う制御装置とを含む概念である。
(12)請求項12の発明では、呼吸状態監視装置に表示された自身のIDを示すバーコードのIDデータが制御装置に読み込まれ、且つ、呼吸状態監視装置のメモリに記憶された自身のIDを示すIDデータが制御装置に読み込まれた場合には、バーコードのIDデータと前記メモリのIDデータとを照合する。
【0023】
これにより、バーコードが読み取られた呼吸状態監視装置と、これから充電やデータの送受信が行われる呼吸状態監視装置とが一致しているかどうかを確認できるので、他人のデータと間違える様な作業ミスを防止できるという利点がある。
【0024】
(13)請求項13の発明では、呼吸状態監視装置に表示された自身のIDを示すバーコードのIDデータが制御装置に読み込まれた場合には、IDデータ及び呼吸データの測定の日付に基づいて、呼吸データのファイルのファイル名を自動作成する。
【0025】
つまり、呼吸データを読み込むファイルのファイル名を、IDデータ及び日付に基づいて、例えばIDと日付を含むようなファイル名を自動作成するので、他人のデータと間違える様な作業ミスを防止することができる。
【0026】
(14)請求項14の発明では、呼吸状態監視装置のメモリに記憶された自身のIDを示すIDデータが制御装置に読み込まれた場合には、IDデータ及び前記呼吸データの測定の日付に基づいて、呼吸データのファイルのファイル名を自動作成する。
【0027】
つまり、呼吸データを読み込むファイルのファイル名を、IDデータ及び日付に基づいて、例えばIDと日付を含むようなファイル名を自動作成するので、他人のデータと間違える様な作業ミスを防止することができる。
【0028】
(15)請求項15の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の呼吸状態監視装置と、請求項6〜14のいずれかに記載のベース装置と、を備えた制御システムである。
本発明では、多くの呼吸状態監視装置をベース装置に装着することにより、スクリーニングを容易に且つ効率良く行うことができる。
【0029】
(16)請求項16の発明は、請求項15に記載の制御システムの使用方法であって、本発明では、吸状態監視装置をベース装置に装着し、ベース側充電導通部及び監視側充電導通部を介して、ベース装置によって呼吸状態監視装置の充電池の充電を行うとともに、監視側通信導通部及びベース側通信導通部を介して、ベース装置によって呼吸状態監視装置のメモリから呼吸データの収集を行う。
【0030】
本発明では、吸状態監視装置をベース装置に装着することにより、ベース装置から呼吸状態監視装置の充電池に電力を供給して充電池の充電を行うことができる。また、呼吸状態監視装置のメモリからベース装置に呼吸データを送信して呼吸データの収集を行うことができる。
【0031】
(17)請求項17の発明は、請求項15に記載の制御システムの使用方法であって、本発明では、吸状態監視装置をベース装置に装着し、ベース側充電導通部及び監視側充電導通部を介して、ベース装置によって呼吸状態監視装置の初期化及び時間合わせの少なくとも一方を行う。
【0032】
つまり、本発明では、吸状態監視装置をベース装置に装着して、呼吸状態監視装置の初期化や時間合わせ(例えば日付設定)を行うので、吸状態監視装置を再使用するための作業を、効率良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に、本発明を実施するための最良の形態の例(実施例)について説明する。
【実施例1】
【0034】
本実施例の装置構成等は、多くの被験者に対して、その呼吸の異常を抽出(スクリーニング)するために用いられるものである。
a)まず、本実施例の装置構成のうち、呼吸状態の監視に用いられる呼吸状態監視システムを、図1〜図4を用いて説明する。
【0035】
図1及び図2に示す様に、呼吸状態監視システム(睡眠時無呼吸スクリーナ)1は、呼吸状態、詳しくは睡眠時の呼吸の有無を検出するためのシステムであり、被験者に取り付けられる呼吸センサ2と、呼吸センサ2が着脱可能に取り付けられて、呼吸センサ2からの信号を記録する呼吸状態監視装置3とから構成されている。
【0036】
前記呼吸センサ2は、図3に示す様に、略T字形状のセンサ本体5と、センサ本体5の左右の下端を連結する連結部7と、センサ本体5から伸びる一対のリード線9、11と、リード線9、11の先端に取り付けられたセンサ側コネクタ13(図2参照)とから構成されている。
【0037】
このうち、センサ本体5は、中央部(センサ本体5の線対称の対称軸:山の稜線部分)にて山形に折り曲げられた薄肉のフィルム状の部材であり、口及び鼻からの息を検出するための呼吸検出部15と、呼吸検出部15の後端側(同図左下方)の左右の両端から突出する一対の脚部17、19とから構成されている。
【0038】
このセンサ本体5は、略T字状の例えばポリエステルからなるフィルム状の基材21と、基材21の山形の斜面の内側(同図下方:生体側)に貼り付けられた長方形の圧電素子(例えばピエゾ素子)23とからなる。
【0039】
また、呼吸検出部15は、上方が凸の山形となるように折り曲げられたものであり、口からの息が当たってその流れが遮られるように口からの息のかかる方向(矢印A方向)に対向するとともに、鼻からの息が流れる方向(矢印B方向)と並行となるように配置されている。
【0040】
一方、前記呼吸状態監視装置3は、腕等に装着可能なような軽量な装置であり、図4に示す様に、略直方体のプラスチック製の筐体25と、その内部に収容された監視側電子制御装置27(図5参照)とを備えている。
【0041】
この呼吸状態監視装置3の上面には、センサ側コネクタ13が嵌め込まれる装置側上コネクタ(モジュラージャック)29が設けられ、後述する第1〜第4LED31〜37が半透明のカバー39に覆われて配置されている。
【0042】
また、呼吸状態監視装置3の左側面には、呼吸状態の測定(監視)の開始や終了のオン・オフを行う測定開始スイッチ41が配置されている。
更に、呼吸状態監視装置3の下面には、呼吸状態監視装置3をベース装置43(図7参照)に接続するために、装置側下コネクタ(D−SUBコネクタ)45が配置されている。
【0043】
尚、呼吸状態監視装置3の裏面には、呼吸状態監視装置3自身のID番号を示すバーコードのシール47が貼り付けられている。
b)次に、呼吸状態監視装置3の電気的構成について、図5〜図7を用いて説明する。
【0044】
・図5に示す様に、呼吸状態監視装置3の監視側電子制御装置27として、周知のA/D内蔵マイコン49、リチウム電池でバックアップされたリアルタイムクロック51、不揮発性メモリ53、フラッシュメモリ55、シリアル通信回線57を備えるとともに、チャージアンプ(AMP)59、ゲイン1倍AMP61、ゲイン2倍AMP63を備えている。
【0045】
また、前記A/D内蔵マイコン49は、バッテリ切れ表示器65の第1LED31、呼吸フロー表示器67の第2〜第4LED33〜37に接続されている。
この第1LED31は、バッテリ(充電池)69の電圧が低下すると点灯するLEDである。また、第2〜第4LED33〜37は、呼吸状態に応じて点滅するものであり、第3LED35は、呼吸センサ2が呼吸状態監視装置3に接続されると点灯し、第2LED33は、息が吸われると点灯し、第4LED37は、息がはかれると点灯する。
【0046】
また、装置側下コネクタ45は、充電池69を介して、装置側上コネクタ29に接続され、更に、装置側上コネクタ29は、電子制御装置27に電力を供給する電源回路71に接続されている。
【0047】
ここで、呼吸状態監視装置3は、図6に示す様に、ベース装置43に装着されることによって、ベース装置43のベース側コネクタ(D−SUBコネクタ:オス側)73から、装置側下コネクタ(メス側)45の専用の充電端子(図示せず)を介して、充電池69に充電される構成になっているが、充電池69から電源回路71への回路は、装置側上コネクタ29によって、常時は、開かれた構造となっている。
【0048】
つまり、呼吸センサ2のセンサ側コネクタ13を装置側上コネクタ29に装着することによって、充電池69から電源回路71へ電力が供給されるとともに、呼吸センサ2からの信号が呼吸状態監視装置3に入力するように構成されている。
【0049】
c)次に、呼吸状態監視装置3から呼吸データを収集するための制御システムの構成について、図7を用いて説明する。
図7に示す様に、本実施例では、呼吸状態監視装置3から呼吸データを収集するための制御システム81として、呼吸状態監視装置3のバーコードを読み込むバーコードリーダ83と、複数の呼吸状態監視装置3を着脱可能に装着するベース装置43と、バーコードリーダ83やベース装置43を制御するパソコン85を備えている。
【0050】
尚、ベース装置43には電源スイッチ44が設けられ、後述するUSBジャック111を介してパソコン85に接続されている。
このうち、ベース装置43は、図8に示す様に、呼吸状態監視装置3を最大50個まで装着できる装置であり、ベース装置43の表面には、ベース側コネクタ73が50個配置されている。
【0051】
詳しくは、ベース側コネクタ73は、縦10列×横5列にて配列されており、縦10列づつ5つのブロックに分離されている。従って、各ブロックごと分離可能である。
また、ベース装置43の表面には、各ベース側コネクタ73に対応して、状態表示LED87と充電表示LED89が配置されている。尚、状態表示LED87は、呼吸状態監視装置3を装着する位置を案内するために点灯するLEDであり、異常があると点滅する。また、充電表示LED89は充電状態を示すLEDであり、充電途中で点滅し、充電が完了すると点灯する。
【0052】
更に、ベース装置43の表面には、各ブロック別に、表面から所定の間隔を開けて、プラスチック製の透明の案内板91が取り付けられている。
この案内板91は、ネジ93により中空位置(例えば呼吸状態監視装置3の1/3の高さ)に配置されており、この案内板91には、呼吸状態監視装置3の外形形状に合わせて形成された長方形の開口部95が、各ベース側コネクタ73の位置に対応して設けられている。
【0053】
d)次に、ベース装置43の電気的構成について、図8を用いて説明する。
図8に示す様に、ベース装置43には、ベース装置43を制御するためのベース側電子制御装置101が設けられている。
【0054】
このベース側電子制御装置101は、周知のA/D内蔵マイコン103、USBコントローラ105、呼吸状態監視装置3を充電するための充電回路107、呼吸状態監視装置3との通信を行うための通信回路109を備えている。
【0055】
前記USBコントローラ105は、USBジャック111に接続されており、このUSBジャック111を介してパソコン85に接続されている。
また、前記A/D内蔵マイコン103は、状態表示LED87及び充電表示ランプ89に接続されるとともに、充電回路107及び通信回路109は、ベース側コネクタ73に接続されている。
【0056】
つまり、前記ベース側コネクタ73は、9ピンのコネクタであり、そのうちの3本のピン(図示せず)が充電回路107に接続されるとともに、他のピン(図示せず)が通信回路109に接続されている。
【0057】
従って、呼吸状態監視装置3の装置側下コネクタ45がベース側コネクタ73に接続されると、前記充電回路107に接続されたピンを介して、充電池69に対する充電が可能となる。また、同時に、前記通信回路109に接続されたピンを介して、呼吸データの受信が可能となる。
【0058】
ここで、充電回路107に接続されている3本のピンは、装置側下コネクタ45の3本の端子にそれぞれ接続されるが、このうち2本のピン(端子)が、充電池69のプラス及びマイナスに接続され、他のピン(端子)が、充電池69の近傍に配置されたサーミスタ(図示せず)に接続される。つまり、サーミスタの一端は、装置側下コネクタ45の前記他の端子に接続されており、サーミスタの他端は、充電池69のマイナス側に接続されている。そして、サーミスタにより、充電池69の温度が過度に上昇したことが検出された場合には、充電を停止する制御が行われる。
【0059】
また、本実施例では、呼吸状態監視装置3とベース装置43との送受信は、クロック同期式シリアル通信で行うので、1台の呼吸状態監視装置3当たり、通常は20秒程度で呼吸データの受信が完了する。
【0060】
尚、ベース装置43には、マニュアルにて充電開始を行う充電開始スイッチ113やベース側電子制御装置101に電力を供給する電源回路115等の構成も備えている。
d)次に、呼吸状態監視システムの使用方法及び制御システムの使用方法について、順を追って説明する。
【0061】
(1)呼吸状態の測定方法
・まず、個々の被験者に対してその呼吸状態を測定する場合には、図10に示す様に、呼吸状態監視装置3を収容したケース121を、ベルト123によって、各被験者の腕に取り付ける。また、呼吸センサ2のセンサ本体5を、口と鼻との間に両面テープで取り付ける。
【0062】
・そして、センサ側コネクタ13を装置側上コネクタ29に装着すると、充電池69から電源回路71に到る回路が閉じて、監視側電子制御装置27に電力が供給される状態となる。
【0063】
このとき、充電池69の電圧が低いと、バッテリ切れ表示器65の第1LED31が点灯する。
・次に、測定開始スイッチ41が「入(オン)」に操作されると、呼吸センサ2からの信号の処理が開始される。具体的には、呼吸フロー表示器67の第3LED35が点灯するとともに、息が吸われると第2LEDが点灯し、息が吐かれると第4LED37が点灯する。
【0064】
また、測定開始スイッチ41が「入」に操作されてから3分間経過すると、第2〜第4LED33〜37は消灯する。同時に、その時間をリアルタイムクロック51から読み出して、フラッシュメモリ55に記憶し、また、呼吸センサ2からの信号をフラッシュメモリ55に記憶する動作を開始する。
【0065】
・その後、測定開始スイッチ41から10時間経過すると、呼吸状態を示す信号の記憶を終了し、呼吸状態の測定を終了する。
これによって、被験者の呼吸状態をチェックするために必要なデータが、フラッシュメモリ55に蓄積されたことになる。
【0066】
・測定が終了すると、センサ本体5が顔から外されるとともに、呼吸センサ2が呼吸状態監視装置3から外されることになる。この呼吸センサ2の取り外し動作によって、充電池69から電源回路71に到る回路が開くことになる。
【0067】
(2)スクリーニングの処理方法
前記図7に示す様に、呼吸センサ2が外された各呼吸状態監視装置3は、ベース装置43に装着されて、スクリーニングのために呼吸データを収集する処理が行われる。
【0068】
具体的には、パソコン85に、ベース装置43とバーコードリーダ83と接続した制御システム81を構築し、以下、パソコン85の制御ソフトの指示に従って、順次作業を進める。
【0069】
・まず、パソコン85の制御ソフトを作動させると、バーコードの読み取りを指示されるので、作業者は、バーコードリーダ83を用いて、各呼吸状態監視装置3のバーコードを読み取る。即ち、呼吸状態監視装置3自身を示すIDをパソコン85に読み込む処理を行う。
【0070】
・次に、読み取ったIDに応じて、ベース装置43の所定位置に呼吸状態監視装置3を装着するように案内するために、装着位置を示す状態表示LED87を点灯する。
・その状態表示LED87の点灯を見て、作業者が、前記図7に示す様に、呼吸状態監視装置3の装置側下コネクタ45をベース側コネクタ73に、上方より嵌めこみ、呼吸状態監視装置3をベース装置43に装着する。
【0071】
この装着によって、ベース装置43の充電回路107と呼吸状態監視装置3の充電池69とが接続され、充電が可能な状態となる。また、この充電のための回路とは別に、ベース装置43の通信回路109と呼吸状態監視装置3のシリアル通信回路57とが接続され、呼吸状態監視装置3とベース装置43との通信が可能な状態となる。
【0072】
・このとき、呼吸状態監視装置3の不揮発性メモリ53から、呼吸状態監視装置3のIDが、ベース装置43を介してパソコン85に送信される。
従って、パソコン85では、読み取ったバーコードによるIDと呼吸状態監視装置3に記憶されたIDとが一致するか否かを照合する。そして、一致しない場合には、その旨をディスプレイ117に表示する。
【0073】
・一致した場合は、他に装着する呼吸状態監視装置3があるか否かが問われるので、有る場合は、再度、同様に、バーコードを読み込む作業及び指示された位置に呼吸状態監視装置3を装着する作業を繰り返す。
【0074】
そして、全ての呼吸状態監視装置3に対して同様な作業が終了した場合には、パソコン85に、終了した旨の入力を行う。
・その終了の入力によって、パソコン85からは、充電及びデータの読み込み開始の可否を問われるので、その処理を開始する場合には、その旨の入力を行う。
【0075】
・そして、前記充電及び呼吸データの読み込み開始の入力に基づいて、パソコン85からの指令によって、充電が開始される。また、呼吸状態監視装置3からは、測定日時のデータと呼吸データとがパソコン85に入力される。
【0076】
このとき、パソコン85では、呼吸状態監視装置3に対応したファイルが自動作成される。具体的には、バーコードによって読み込まれた呼吸状態監視装置3のIDと測定の日付とからなるファイル名を有するファイルが作成され、このファイルに呼吸データが格納される。
【0077】
例えば、IDが「1234」で、日付が「2005年12月25日」の場合には、「0512251234」のようなファイル名を有するファイルが自動作成される。
尚、各呼吸状態監視装置3の充電のタイミングとしては、例えば装着の順番で順次充電を行う方法が考えられるが、同時に行ってもよい。また、呼吸データの送受信のタイミングは、例えば装着の順番で順次行う方法が考えられる。更に、充電と送受信とを、同一の呼吸状態監視装置3で同時に行ってもよいし、異なるタイミングで行ってもよい。
【0078】
・そして、充電中には各充電表示LED89が点滅し、充電が終了すると各充電表示LED89が点灯状態となる。
(3)初期化の処理方法
上述した充電や呼吸データの送受信が正常に終了すると、パソコン85から初期化を行うか否かが問われるので、初期化を行う場合には、その旨の入力を行う。
【0079】
その結果、パソコン85からの指示により、呼吸状態監視装置3のフラッシュメモリ55をクリアする処理が実施されるとともに、リアルタイムクロックの時計合わせの処理が実施される。
【0080】
これにより、呼吸状態監視装置3は初期化されたので、呼吸状態監視装置3をベース装置43から取り外し、呼吸センサ2を装着して、再度、呼吸状態の測定が可能となる。
e)次に、本実施例の効果を説明する。
【0081】
・本実施例では、複数の呼吸状態監視装置3をベース装置43に着脱可能に装着することができる。そして、装着した後は、互いのコネクタ45、73を介して、ベース装置43から電力を供給することによって、呼吸状態監視装置3の充電池69を充電することができる。それとともに、呼吸状態監視装置3のフラッシュメモリ55に記憶した呼吸データをパソコン85に収集することができる。
【0082】
つまり、多くの呼吸状態監視装置3を用いて多数の被験者に対するスクリーニングを行う際には、測定後の呼吸状態監視装置3をベース装置43に装着することにより、充電と呼吸データの送受信とが可能となるので、その操作が非常に容易であり、スクリーニングの能率が大きく向上するという顕著な効果がある。
【0083】
特に、本実施例では、呼吸状態監視装置3の装着は、装置下コネクタ45をベース側コネクタ73に差し込んで接続するだけで良いので、その作業が極めて容易である。
・本実施例では、ベース装置43は、複数のブロックに分かれており、各ブロックに複数のベース側コネクタ73を備えているので、あるブロックの回路等に故障が生じた場合には、そのブロックのみを取り出して修理等を行えばよく、メンテナンスが容易である。
【0084】
・本実施例では、バーコードのIDデータとフラッシュメモリ55に記憶されたIDデータとを読み込んで照合するので、他人のデータと間違える様な作業ミスを防止できるという利点がある。
【0085】
・本実施例では、呼吸データを読み込むファイルのファイル名を、(バーコードから読み込んだ或いは不揮発性メモリ53から読み込んだ)IDと日付を含むようなファイル名を自動作成するので、この点からも、他人のデータと間違える様な作業ミスを防止することができる。
【0086】
・本実施例では、呼吸状態監視装置3をベース装置43に装着して、呼吸状態監視装置3の初期化や時間合わせ(例えば日付設定)を行うので、吸状態監視装置3を再使用するための作業を、効率良く行うことができる。
【0087】
尚、本発明は前記実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、種々の態様で実施できることはいうまでもない。
(1)前記実施例では、ベース装置を制御装置する装置として、ベース装置と別体のパソコンを用いたが、ベース装置自体に制御装置やディスプレイ等を組み込んで、ベース装置自体で呼吸データの収集等の処理を行ってもよい。
【0088】
(2)また、前記実施例では、呼吸を検出する例を挙げたが、呼吸だけでなく、いびきを検出することもできる。その場合には、例えばローパスフィルタやハイパスフィルタを用いればよい。
【0089】
つまり、通常の呼吸動作(いびき無しの場合)では、呼吸センサの出力信号の周波数は低く、逆に、いびきの場合には、呼吸センサの出力信号の周波数は高くなる。従って、ローパスフィルタやハイパスフィルタを用いて、呼吸センサの出力信号の周波数の大きさを識別することにより、いびきを検出することが可能となる。
【0090】
(3)更に、チャージAMPの代わりに、差動アンプを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施例の呼吸状態監視システムを示す説明図である。
【図2】呼吸センサの呼吸状態監視装置への装着状態を示す説明図である。
【図3】呼吸センサを示す斜視図である。
【図4】呼吸状態監視装置を示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(e)は左側面図、(f)は背面図である。
【図5】呼吸状態監視装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】呼吸状態監視装置のベース装置への装着状態を示す説明図である。
【図7】制御システムのシステム構成を示す説明図である。
【図8】ベース装置を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図9】ベース装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】呼吸状態監視システムの使用方法示す説明図である。
【符号の説明】
【0092】
1・・・呼吸状態監視システム
2・・・呼吸センサ
3・・・呼吸状態監視装置
13・・・センサ側コネクタ
29・・・装置側上コネクタ
23・・・圧電素子
31、33、35、37、87、89・・・LED
43・・・ベース装置
45・・・装置側下コネクタ
69・・・充電池
73・・・ベース側コネクタ
81・・・制御システム
85・・・パソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電池と、生体の呼吸状態を示す呼吸データを記憶するメモリと、ベース装置に着脱可能に装着される監視側装着部と、を備えた呼吸状態監視装置であって、
前記監視側装着部に、前記ベース装置からの電力を受けて前記充電池に対する充電を行うための監視側充電導通部と、前記メモリに記憶した呼吸データを前記ベース装置に送信するための監視側通信導通部と、を備えたことを特徴とする呼吸状態監視装置。
【請求項2】
前記監視側装着部は、前記ベース装置側のコネクタに接続される前記呼吸状態監視装置側のコネクタであることを特徴とする請求項1に記載の呼吸状態監視装置。
【請求項3】
前記呼吸状態監視装置の1個のコネクタ内に、前記監視側充電導通部の端子と前記監視側通信導通部の端子とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の呼吸状態監視装置。
【請求項4】
前記呼吸状態監視装置の表面に、自身のIDを示すバーコードを表示したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の呼吸状態監視装置。
【請求項5】
前記呼吸状態監視装置のメモリに、自身のIDを示すIDデータを記憶したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の呼吸状態監視装置。
【請求項6】
充電池と、生体の呼吸状態を示す呼吸データを記憶するメモリと、を有する複数の呼吸状態監視装置が、着脱可能に装着されるベース側装着部を備えたベース装置であって、
前記ベース側装着部に、前記呼吸状態監視装置の充電池に対する充電を行うためのベース側充電導通部と、前記呼吸状態監視装置のメモリに記憶した呼吸データを収集するためのベース側通信導通部と、を備えたことを特徴とするベース装置。
【請求項7】
前記ベース側装着部は、前記呼吸状態監視装置側のコネクタが接続される前記ベース装置側のコネクタであることを特徴とする請求項6に記載のベース装置。
【請求項8】
前記ベース装置の1個のコネクタ内に、前記ベース側充電導通部の端子と前記ベース側通信導通部の端子とを備えたことを特徴とする請求項7に記載のベース装置。
【請求項9】
前記ベース装置は、複数のブロックに分かれており、前記各ブロックに前記各呼吸状態監視装置を着脱可能に装着する複数のベース側装着部を備えたことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のベース装置。
【請求項10】
前記ベース装置は、前記充電の制御及び前記データ収集の制御を行う制御装置を一体に備えたことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のベース装置。
【請求項11】
前記ベース装置は、前記充電の制御及び前記データ収集の制御を行う制御装置が分離した構成であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のベース装置。
【請求項12】
前記呼吸状態監視装置に表示された自身のIDを示すバーコードのIDデータが前記制御装置に読み込まれ、且つ、前記呼吸状態監視装置のメモリに記憶された自身のIDを示すIDデータが前記制御装置に読み込まれた場合には、前記バーコードのIDデータと前記メモリのIDデータとを照合することを特徴とする請求項10又は11に記載のベース装置。
【請求項13】
前記呼吸状態監視装置に表示された自身のIDを示すバーコードのIDデータが前記制御装置に読み込まれた場合には、前記IDデータ及び前記呼吸データの測定の日付に基づいて、前記呼吸データのファイルのファイル名を自動作成することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のベース装置。
【請求項14】
前記呼吸状態監視装置のメモリに記憶された自身のIDを示すIDデータが前記制御装置に読み込まれた場合には、前記IDデータ及び前記呼吸データの測定の日付に基づいて、前記呼吸データのファイルのファイル名を自動作成することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のベース装置。
【請求項15】
前記請求項1〜5のいずれかに記載の呼吸状態監視装置と、前記請求項6〜14のいずれかに記載のベース装置と、を備えたことを特徴とする制御システム。
【請求項16】
前記請求項15に記載の制御システムの使用方法であって、
前記吸状態監視装置を前記ベース装置に装着し、前記ベース側充電導通部及び監視側充電導通部を介して、前記ベース装置によって前記呼吸状態監視装置の充電池の充電を行うとともに、前記監視側通信導通部及びベース側通信導通部を介して、前記ベース装置によって前記呼吸状態監視装置のメモリから前記呼吸データの収集を行うことを特徴とする制御システムの使用方法。
【請求項17】
前記請求項15に記載の制御システムの使用方法であって、
前記吸状態監視装置を前記ベース装置に装着し、前記ベース側充電導通部及び監視側充電導通部を介して、前記ベース装置によって前記呼吸状態監視装置の初期化及び時間合わせの少なくとも一方を行うことを特徴とする制御システムの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−444(P2007−444A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185412(P2005−185412)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】