説明

呼吸装置

【課題】 顔面の一部又は全部を覆う面体と、面体に取り付けられた吸気弁と排気弁と、吸気弁を介して前記面体内に外気を供給する電動ファンと、電動ファンに吸引される外気を濾過するフィルターと、呼吸モニター装置と、呼吸モニター装置の検知信号に基づき呼吸に合わせて電動ファンの作動を制御する制御装置とを備える呼吸装置であって、従来技術に比べて呼吸モニターの精度が経時低下し難い呼吸装置を提供する。
【解決手段】 顔面の一部又は全部を覆う面体と、面体に取り付けられた吸気弁と排気弁と、吸気弁を介して前記面体内に外気を供給する電動ファンと、電動ファンに吸引される外気を濾過するフィルターと、面体に取り付けられた且つ吸気弁、排気弁を構成要素としない呼吸モニター装置と、呼吸モニター装置の検知信号に基づき呼吸に合わせて電動ファンの作動を制御する制御装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
顔面の一部又は全部を覆う面体と、面体に取り付けられた吸気弁と排気弁と、吸気弁を介して前記面体内に外気を供給する電動ファンと、電動ファンに吸引される外気を濾過するフィルターと、排気弁と排気弁の位置を検知する光センサーとを構成要素とする呼吸モニター装置と、呼吸モニター装置の検知信号に基づき呼吸に合わせて電動ファンの作動を制御する制御装置とを備える呼吸装置が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特許第3726886号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の呼吸装置には、排気流路に光センサーが配設されているので、排気に含まれる微細な塵埃や水滴が光センサーに付着し易く、センサーの汚れによって呼吸モニター精度が経時低下し易いという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、顔面の一部又は全部を覆う面体と、面体に取り付けられた吸気弁と排気弁と、吸気弁を介して前記面体内に外気を供給する電動ファンと、電動ファンに吸引される外気を濾過するフィルターと、呼吸モニター装置と、呼吸モニター装置の検知信号に基づき呼吸に合わせて電動ファンの作動を制御する制御装置とを備える呼吸装置であって、特許文献1の呼吸装置に比べて呼吸モニターの精度が経時低下し難い呼吸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては、顔面の一部又は全部を覆う面体と、面体に取り付けられた吸気弁と排気弁と、吸気弁を介して前記面体内に外気を供給する電動ファンと、電動ファンに吸引される外気を濾過するフィルターと、面体に取り付けられた且つ吸気弁、排気弁を構成要素としない呼吸モニター装置と、呼吸モニター装置の検知信号に基づき呼吸に合わせて電動ファンの作動を制御する制御装置とを備えることを特徴とする呼吸装置を提供する。
本発明に係る呼吸装置においては、呼吸モニター装置は吸気弁、排気弁を構成要素としないので、呼吸モニター装置の一部を構成するセンサーを吸排気の流路に配設する必要がない。従って、吸排気に含まれる微細な塵埃や水滴がセンサーに付着し難く、センサーは汚れ難い。従って本発明に係る呼吸装置においては特許文献1の呼吸装置に比べて呼吸モニターの精度が経時低下し難い。
【0005】
本発明の好ましい態様においては、制御装置は、呼吸モニター装置が呼吸を検知すると当該検知信号に基づいて電動ファンを始動させ、その後呼吸モニター装置の検知信号に基づいて呼吸に合わせて電動ファンの作動を制御し、呼吸モニター装置が呼吸を検知しない状態が所定時間継続すると電動ファンを停止させる。
一般に電動ファン付きの呼吸装置は、電動ファンのON/OFFスイッチを備えており、使用の際には使用者が手動で電動ファンのON/OFFスイッチを操作していた。呼吸装置を装着した後に電動ファンのON/OFFスイッチを手動で操作するのは面倒であり、呼吸装置の使い勝手を悪化させていた。しかし、上記構成によれば、使用者が呼吸装置を装着し呼吸を開始すると自動的に電動ファンが始動し、呼吸装置を取り外すと自動的に電動ファンが停止するので、呼吸装置を装着した後に電動ファンのON/OFFスイッチを手動で操作する必要が無い。この結果、呼気装置の使い勝手が向上する。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、呼吸モニター装置は、面体に形成された開口を覆うダイアフラムと、ダイアフラムに取り付けられた磁石と、磁石に対峙して面体に取り付けられたホール素子とを有する。
呼吸の状態に応じて面体の内圧が変化し、面体内圧を受圧するダイアフラムが変形し、磁石とホール素子との距離が変化し、ホール素子が検知する磁石の磁束密度が変化する。従って、制御装置はホール素子の検知結果に基づいて呼吸の状態を認識することができる。
ホール素子は磁気センサーなので、面体内の空気に含まれる微細な塵埃や水滴が付着しても、光センサーに比べて検知精度は低下し難い。従って本発明に係る呼吸装置においては特許文献1の呼吸装置に比べて呼吸モニターの精度が経時低下し難い。
【0007】
本発明の好ましい態様においては、ダイアフラムは円形部と円形部の周縁を径方向内方へ折り返した環状部とを有する薄膜体であり、面体の開口縁に立設された環状縁材の面体外へ突出する部位の外周面に環状部の内周縁が固定されている。
周縁部が径方向内方へ折り返されたダイアフラムは、折り返し部が開閉可能なので面体内圧の変化による円形部の変位差、ひいては吸気時と排気時の円形部の変位差が大きい。従って、本発明に係る呼吸装置においては高い精度で呼吸をモニターすることができ、確実に呼吸に合わせて電動ファンの作動を制御することができる。
【0008】
本発明の好ましい態様においては、呼吸装置は警報装置を備え、呼吸モニター装置は面体内圧モニター装置であり、面体内圧モニター装置が負圧を検知すると、制御装置は警報装置を作動させる。
塵埃の蓄積によりフィルターの通風抵抗が経時的に増加し、電動ファンの送風量が経時的に減少する。従来、呼吸装置の装着前に専用の風量測定装置を用いて風量を測定し、風量が不足している場合に、フィルターを交換していた。しかし、装着前に風量測定を行うのは呼吸装置の使用者にとって煩わしかった。
塵埃の蓄積によりフィルターの通風抵抗が経時的に増加し、電動ファンの送風量が経時的に減少する。電動ファンの送風量が減少しても、吸気時に面体の内圧が正圧であれば、呼吸に支障を来さない。しかし吸気時に面体の内圧が負圧になると、呼吸に支障を来すと共に、面体周縁と顔面との間の隙間から濾過されていない外気が面体内に流入する可能性を生ずる。従って、送風量の減少が負の面体内圧を惹起する程度まで進行した時に、送風量不足を呼吸装置使用者に認識させ、フィルターの取り替えを催告すれば良い。呼吸モニター装置を面体内圧モニター装置として構成し、負の面体内圧を検知した時に、警報を発すれば、呼吸装置使用者は、呼吸装置装着前の煩わしい風量測定を行わなくても、送風量不足を容易に認識することができる。
【0009】
本発明の好ましい態様においては、面体内圧モニター装置は、面体に形成された開口を覆うダイアフラムと、ダイアフラムに取り付けられた磁石と、磁石に対峙して面体に取り付けられたホール素子とを有し、ダイアフラムは円形部と円形部の周縁を径方向内方へ折り返した環状部とを有する薄膜体であり、面体の開口縁に立設された環状縁材の面体外へ突出する部位の外周面に環状部の内周縁が固定されており、ダイアフラムに印加される内外圧がバランスしている時に円形部は平面となり且つ径方向中間部が環状縁材の面体外へ突出する部位の端部に当接し、磁石は円形部の中心部に取り付けられている。
上記構成の呼吸装置においては、面体内圧が正圧である時には、ダイアフラムは面体外方へ膨出し、円形部は環状縁材の面体外へ突出する部位の端部から離れる。面体内圧が大気圧と等しい時には、円形部は平面となり且つ径方向中間部が環状縁材の面体外へ突出する部位の端部に当接する。面体内圧が負圧である時には、円形部は径方向中間部が環状縁材の面体外へ突出する部位の端部に当接すると共に中心部が環状縁材内へ陥没する。ホール素子は磁石の磁束密度の変化からダイアフラム円形部の中心部が環状縁材内へ陥没したことを検知し、ホール素子からの検知信号を受信した制御装置は面体の内圧が負圧であることを認識し、警報装置を作動させて警報を発信させる。
吸気により面体内の正圧が低下した時にダイアフラムを環状縁材へ押し付ける衝撃外力や振動外力がダイアフラムに印加されると、ダイアフラムの環状縁材との当接部よりも径方向内方の第1部位と前記当接部よりも径方向外方の第2部位の双方に前記外力が作用する。第1部位に作用する外力は第1部位を環状縁材内へ陥没させようとするが、第2部位に作用する外力は、第2部位と第1部位との間に支点があるので、第1部位を引き上げようとする。この結果、第1部位の環状縁材内への陥没が抑制される。従って、本発明に係る呼吸装置においては、衝撃外力や振動外力による警報装置の誤作動が抑制される。
ダイアフラムの円形部の中心部は負圧発生時に最も大きく変位するので、当該部位の変位をホール素子が検知することにより、確実に負圧を検知することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、顔面の一部又は全部を覆う面体と、面体に取り付けられた吸気弁と排気弁と、吸気弁を介して前記面体内に外気を供給する電動ファンと、電動ファンに吸引される外気を濾過するフィルターと、呼吸モニター装置と、呼吸モニター装置の検知信号に基づき呼吸に合わせて電動ファンの作動を制御する制御装置とを備える呼吸装置であって、特許文献1の呼吸装置に比べて呼吸モニターの精度が経時低下し難い呼吸装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例に係る呼吸装置を説明する。
図1に示すように、呼吸装置Aは、一点鎖線で示す顔面の一部又は全部を覆う椀状の面体1と、面体1に取り付けられたリード弁形式の吸気弁2と排気弁3と、吸気弁2の外側に配設され吸気弁2を介して面体1内に外気を供給する電動ファン4と、電動ファン4の外側に配設され電動ファン4に吸引される外気を濾過するフィルター5とを備えている。
図1、2に示すように、吸気弁2が開閉する吸気口や排気弁3が開閉する排気口とは別個に、面体1に開口1aが形成されている。環状縁材6が開口1aに嵌合固定されている。環状縁材6は長さ方向中央部に隔壁6aを有している。隔壁6aの外周縁部には周方向に互いに間隔を隔てて複数の孔6bが形成されている。
【0012】
呼吸装置Aは呼吸モニター装置7を備えている。呼吸モニター装置7は、ダイアフラム7aを有している。ダイアフラム7aは、円形部7aと円形部7aの周縁を径方向内方へ折り返した環状部7aとを有する柔軟な薄膜体である。環状部7aの内周縁は肉厚部7aを形成している。肉厚部7aは、環状縁材6の面体1外へ突出する部位の外周面に形成された周溝に嵌合固定されている。ダイアフラム7aは、環状縁材6の面体1外へ突出した端部を覆っており、ひいては面体1の開口1aを覆っている。呼吸モニター装置7は、ダイアフラムの円形部7aの中心部に取り付けられた磁石7bと、磁石7bに対峙して環状縁材6の隔壁6aに取り付けられたホール素子7cとを有している。従ってホール素子7cは環状縁材6を介して面体1に取り付けられている。
【0013】
呼吸モニター装置7を覆うカバー8が、面体1の外面に取り付けられている。カバー8には外部環境に連通する通気孔8aが形成されている。
警報音発生装置9が面体1に取り付けられている。
ホール素子7cの出力信号を受けて電動ファン4と警報音発生装置9の作動を制御する制御装置10が、電動ファン4の近傍に配設されている。制御装置10に電力を供給する図示しないバッテリーが着脱可能に面体1に取り付けられている。バッテリーが面体1に取り付けられている時は、制御装置10には常時電力が供給されている。
【0014】
呼吸装置Aの作動を説明する。
呼吸装置Aの不使用時には、面体1の内圧(ゲージ圧)は零であり、ダイアフラム7aに印加される内外圧はバランスしている。以下の説明において面体1の内圧は全てゲージ圧である。図2に示すように、ダイアフラム7aは、円形部7aが平面となり径方向中間部が環状縁材6の面体1外へ突出する部位の端部に当接した、初期状態にある。ダイアフラム7aが初期状態に在る時、磁石7bとホール素子7cとの間の距離は初期値となっており、ホール素子7cが検知する磁石7bの磁束密度も初期値となっている。
面体1の内圧が正圧であれば、図3、4に示すようにダイアフラム7aは面体1の外側へ膨出変形し、円形部7aが環状縁材6の面体1外へ突出する部位の端部から離れる。面体1の内圧が負圧であれば、図5に示すように、ダイアフラム7aは面体1の内側へ収縮変形し、円形部7aの径方向中間部が環状縁材6の面体1外へ突出する部位の端部に当接すると共に円形部7aの中心部が環状縁材6内へ陥没する。
【0015】
呼吸装置Aを使用する際には、図1に一点鎖線で示す使用者の顔面の鼻と口とを含む一部を覆うように、或いは使用者の顔面の全部を覆うように、面体1が使用者の頭部に装着される。面体1の環状縁部が顔面に密着して、前記環状縁部と顔面との当接部からの面体1内への外気の侵入を阻止する。
バッテリーは面体1に取り付けられており、制御装置10は作動している。使用者の排吸気に応じて、面体1の内圧が増減し、ダイアフラム7aに印加される内外圧に差圧が生じ、ダイアフラム7aが初期状態から変形し、磁石7bとホール素子7cとの間の距離が初期値から変化する。当該変化に伴う磁束密度の初期値からの変化をホール素子7cが検知して、検知信号を制御装置10へ送信する。制御装置10は、ホール素子7から受信した磁束密度の初期値からの変化量が所定値を超えると呼吸装置Aが使用者の頭部に装着されたと認識し、電動ファン4を始動させる。
制御装置10は、ホール素子7cの検知信号に基づいて、面体1の内圧が正圧になるように、ひいてはダイアフラム7aが初期状態よりも面体1の外側へ変形するように、電動ファン4の回転数を制御する。
【0016】
排気時には面体1の内圧が高くなり、図3に示すように、ダイアフラム7aの面体1外側への変形量が増加し、磁石7bとホール素子7cとの距離が増加し、ホール素子7cが検知する磁石7bの磁束密度が減少する。前記距離の初期値からの増加量が所定値を超え、ホール素子7cが検知する磁石7bの磁束密度の初期値からの減少量が所定値を超えると、制御装置は呼吸状態が排気状態に在ると認識し、電動ファン4の回転数を減少させ或いは電動ファン4を停止させる。この結果、消費電力が節約されてバッテリーの消耗が抑制されると共にフィルター5の目詰まりが抑制される。排気時には吸気弁2が閉じ、排気弁3が開く。排気は排気弁3を通って面体1から外部環境へ排出される。
【0017】
吸気時には面体1の内圧が低くなり、図4に示すように、ダイアフラム7aの面体1外側への変形量が減少し、磁石7bとホール素子7cとの距離が減少し、ホール素子7cが検知する磁石7bの磁束密度が増加する。前記距離の初期値からの増加量が所定値以下となり、ホール素子7cが検知する磁石7bの磁束密度の初期値からの減少量が所定値以下になると、制御装置は呼吸状態が吸気状態に在ると認識し、電動ファン4の回転数を増加させる。吸気時には吸気弁2が開き、排気弁3が閉じる。外気がフィルター5を通過し、塵埃が除去された後電動ファン4に吸引され、吸気弁2を通って面体1内へ流入する。電動ファン4の回転数が増加することにより、面体1内への空気流入量が増加し、面体1の内圧が正圧に保たれるので、呼吸装置使用者は楽に呼吸することができる。
【0018】
塵埃の蓄積によりフィルター5の通風抵抗が経時的に増加する。この結果、電動ファン4を作動させていても、吸気時の面体1の内圧は経時的に低下する。遂には吸気時の面体1の内圧が負圧になり、図5に示すように、ダイアフラム7aは面体1の内側へ収縮変形し、円形部7aの径方向中間部が環状縁材6の面体1外へ突出する部位の端部に当接すると共に円形部7aの中心部が環状縁材6内へ陥没する。磁石7bとホール素子7cとの間の距離が初期値よりも小さくなり、ホール素子7cが検知する磁石7bの磁束密度が初期値よりも増加する。ホール素子7cが検知する磁石7bの磁束密度が初期値よりも増加すると、制御装置10は目詰まりによりフィルター5の耐用期間が経過したことを認識し、警報音発生装置9を作動させて警報音を発生させ、呼吸装置Aの使用者にフィルター5の取り替えを催告する。フィルター5を取り替えることにより、面体1の内圧を正圧に保つ制御が再び可能になり、呼吸装置Aの機能は回復する。
【0019】
呼吸装置Aが使用者の頭部から取り外されると、ダイアフラム7aに印加される内外圧がバランスし、ダイアフラム7aは初期状態に復帰し、磁石7bとホール素子7cとの間の距離は初期値に復帰し、ホール素子7cが検知する磁石7bの磁束密度は初期値に復帰する。制御装置10は、ホール素子7cから受信した磁束密度が初期値に復帰した状態が所定時間継続すると、呼吸装置Aが使用者の頭部から取り外されたと認識し、電動ファン4を停止させる。
【0020】
呼吸装置Aにおいては、呼吸モニター装置7は吸気弁2、排気弁3を構成要素としないので、呼吸モニター装置7の一部を構成するホール素子7cを吸排気の流路に配設する必要がない。従って、吸排気に含まれる微細な塵埃や水滴がホール素子7cに付着し難く、ホール素子7cは汚れ難い。従って呼吸装置Aにおいては特許文献1の呼吸装置に比べて呼吸モニター装置7の精度が経時低下し難い。
【0021】
呼吸装置Aにおいては、使用者が呼吸装置Aを装着し呼吸を開始すると自動的に電動ファン4が始動し、呼吸装置Aを取り外すと自動的に電動ファン4が停止するので、従来の呼吸装置のように呼吸装置Aを装着した後に電動ファン4のON/OFFスイッチを手動で操作する必要が無い。この結果、呼気装置Aの使い勝手が向上する。
【0022】
呼吸装置Aが備えるホール素子7cは磁気センサーなので、面体1内の空気に含まれる微細な塵埃や水滴が付着しても、光センサーに比べて検知精度は低下し難い。従って呼吸装置Aにおいては特許文献1の呼吸装置に比べて呼吸モニター7の精度が経時低下し難い。
【0023】
周縁部が径方向内方へ折り返されたダイアフラム7aは、折り返し部が開閉可能なので面体1の内圧の変化による円形部7aの変位差、ひいては吸気時と排気時の円形部7aの変位差が大きい。従って、呼吸装置Aにおいては高い精度で呼吸をモニターすることができ、確実に呼吸に合わせて電動ファン4の作動を制御することができる。
【0024】
呼吸装置Aにおいては、呼吸モニター装置7を面体内圧モニター装置として構成し、負の面体内圧を検知した時に、警報を発するので、呼吸装置使用者は、呼吸装置装着前の煩わしい風量測定を行わなくても、送風量不足を容易に認識することができる。
【0025】
吸気により面体内の正圧が低下してダイアフラム7aが初期状態となっている時に、ダイアフラム7aを環状縁材6へ押し付ける衝撃外力や振動外力がダイアフラム7aに印加されると、ダイアフラム7aの環状縁材6の面体1外へ突出する部位の端部との当接部よりも径方向内方の第1部位と前記当接部よりも径方向外方の第2部位の双方に前記外力が作用する。第1部位に作用する外力は第1部位を環状縁材6内へ陥没させようとするが、第2部位に作用する外力は、第2部位と第1部位との間に支点があるので、第1部位を引き上げようとする。この結果、第1部位の環状縁材6内への陥没が抑制される。従って、呼吸装置Aにおいては、衝撃外力や振動外力による警報音発生装置9の誤作動が抑制される。
ダイアフラム7aの円形部7aの中心部は負圧発生時に最も大きく変位するので、当該部位の変位をホール素子7cが検知することにより、確実に負圧を検知することができる。
【0026】
磁石7bとホール素子7cとを用いてダイアフラム7aの変位を検知するのに代えて、反射体と、発光素子と受光素子とから成る光センサーとを用いてダイアフラム7aの変位を検知しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例に係る呼吸装置の断面図である。
【図2】本発明の実施例に係る呼吸装置が備える呼吸モニター装置の、呼吸装置非使用時の断面図である。
【図3】本発明の実施例に係る呼吸装置が備える呼吸モニター装置の、呼吸装置使用時且つ排気時の断面図である。
【図4】本発明の実施例に係る呼吸装置が備える呼吸モニター装置の、呼吸装置使用時且つ吸気時の断面図である。
【図5】本発明の実施例に係る呼吸装置が備える呼吸モニター装置の、呼吸装置使用時且つフィルター耐用期間経過後の吸気時の断面図である。
【符号の説明】
【0028】
A 呼吸装置
1 面体
2 吸気弁
3 排気弁
4 電動ファン
5 フィルター
6 環状縁材
7 呼吸モニター装置
7a ダイアフラム
7b 磁石
7c ホール素子
8 カバー
9 警報音発生装置
10 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面の一部又は全部を覆う面体と、面体に取り付けられた吸気弁と排気弁と、吸気弁を介して前記面体内に外気を供給する電動ファンと、電動ファンに吸引される外気を濾過するフィルターと、面体に取り付けられた且つ吸気弁、排気弁を構成要素としない呼吸モニター装置と、呼吸モニター装置の検知信号に基づき呼吸に合わせて電動ファンの作動を制御する制御装置とを備えることを特徴とする呼吸装置。
【請求項2】
制御装置は、呼吸モニター装置が呼吸を検知すると当該検知信号に基づいて電動ファンを始動させ、その後呼吸モニター装置の検知信号に基づいて呼吸に合わせて電動ファンの作動を制御し、呼吸モニター装置が呼吸を検知しない状態が所定時間継続すると電動ファンを停止させることを特徴とする請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項3】
呼吸モニター装置は、面体に形成された開口を覆うダイアフラムと、ダイアフラムに取り付けられた磁石と、磁石に対峙して面体に取り付けられたホール素子とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の呼吸装置。
【請求項4】
ダイアフラムは円形部と円形部の周縁を径方向内方へ折り返した環状部とを有する薄膜体であり、面体の開口縁に立設された環状縁材の面体外へ突出する部位の外周面に環状部の内周縁が固定されていることを特徴とする請求項3に記載の呼吸装置。
【請求項5】
警報装置を備え、呼吸モニター装置は面体内圧モニター装置であり、面体内圧モニター装置が負圧を検知すると、制御装置は警報装置を作動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の呼吸装置。
【請求項6】
面体内圧モニター装置は、面体に形成された開口を覆うダイアフラムと、ダイアフラムに取り付けられた磁石と、磁石に対峙して面体に取り付けられたホール素子とを有し、ダイアフラムは円形部と円形部の周縁を径方向内方へ折り返した環状部とを有する薄膜体であり、面体の開口縁に立設された環状縁材の面体外へ突出する部位の外周面に環状部の内周縁が固定されており、ダイアフラムに印加される内外圧がバランスしている時に円形部は平面となり且つ径方向中間部が環状縁材の面体外へ突出する部位の端部に当接し、磁石は円形部の中心部に取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の呼吸装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−136521(P2009−136521A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316671(P2007−316671)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000145507)株式会社重松製作所 (17)
【Fターム(参考)】