説明

呼吸計測方法および呼吸計測装置

【課題】センサの装着位置にかかわらず、被験者の呼吸運動を高い精度で計測可能な呼吸計測方法および呼吸計測装置を提供する。
【解決手段】被験者の胸部又は上腹部に装着した角速度センサから、被験者の脊柱を含む第1平面内を回転する運動の第1角速度を示す第1計測値と、第1平面に直交する第2平面内を回転する運動の第2角速度を示す第2計測値とを取得し、第1計測値および第2計測値を積分することにより、第1回転角および第2回転角をそれぞれ求め、第1回転角及び第2回転角に基づいて、第3回転角を算出し、第3回転角の時間変化から、被験者の呼吸に伴う胸部の動きを示す情報を収集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は、呼吸計測方法および呼吸計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被験者に装着したセンサによって、当該被験者の呼吸運動を計測する手法として、角速度センサを用いて、被験者が呼吸する際の胸部の動きを計測する技法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の技術では、角速度センサを仰臥位の被験者の剣状突起部に装着することにより、被験者の脊柱を含み、被験者の背面に直交する平面内における剣状突起部の運動の角速度を計測した結果に基づいて、被験者の呼吸運動を計測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−350716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技法では、角速度センサの装着位置を特定することにより、計測結果の処理の簡易化が測られている。その反面、角速度センサの装着位置が剣状突起部に限定されることから、例えば、心電図検査のために胸部に装着されるセンサなどとは別に、呼吸計測のための角速度センサを装着しなければならないため、被験者の負担が大きくなってしまう。また、角速度センサによって測定される運動の方向が限定されているため、仰臥位以外の姿勢の被験者に適用することが難しかった。
【0006】
本件開示の装置は、センサの装着位置にかかわらず、被験者の呼吸運動を高い精度で計測可能な呼吸計測方法および呼吸計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの観点による呼吸計測方法は、被験者の胸部又は上腹部に装着した角速度センサから、前記被験者の脊柱を含む第1平面内を回転する運動の第1角速度を示す第1計測値と、前記第1平面に直交する第2平面内を回転する運動の第2角速度を示す第2計測値とを取得し、前記第1計測値および前記第2計測値を積分することにより、第1回転角および第2回転角をそれぞれ求め、前記第1回転角及び前記第2回転角に基づいて、第3回転角を算出し、前記第3回転角の時間変化から、前記被験者の呼吸に伴う胸部の動きを示す情報を収集する。
【0008】
また、別の観点による呼吸計測装置は、被験者の胸部又は上腹部に装着した角速度センサから、前記被験者の脊柱を含む第1平面内を回転する運動の第1角速度を示す第1計測値と、前記第1平面に直交する第2平面内を回転する運動の第2角速度を示す第2計測値とを出力する角速度センサと、前記第1計測値および前記第2計測値を積分することにより、第1回転角および第2回転角をそれぞれ求める積分部と、前記第1回転角及び前記第2回転角に基づいて、第3回転角を算出する算出部と、前記第3回転角の時間変化から、前記被験者の呼吸に伴う胸部の動きを示す情報を収集する収集部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本件開示の呼吸計測方法および呼吸計測装置によれば、センサの装着位置にかかわらず、被験者の呼吸運動を高い精度で計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】呼吸計測装置の一実施形態を示す図である。
【図2】呼吸運動を表すモデルを説明する図である。
【図3】呼吸運動による角度の変化を説明する図である。
【図4】呼吸計測装置の別実施形態を示す図である。
【図5】角Ψの時間変化の一例を示す図である。
【図6】呼吸計測装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図7】呼吸計測処理のフローチャートの一例を示す図である。
【図8】呼吸状態の変化点を検出する処理のフローチャートの一例を示す図(その1)である。
【図9】呼吸状態の変化点を検出する処理のフローチャートの一例を示す図(その2)である。
【図10】呼吸計測装置の別実施形態を示す図である。
【図11】被験者の姿勢と重力加速度の関係を説明する図である。
【図12】呼吸計測装置のハードウェア構成の別例を示す図である。
【図13】呼吸計測処理の別例のフローチャートを示す図である。
【図14】睡眠状態への移行を判定する処理のフローチャートの一例を示す図である。
【図15】睡眠状態の継続を判定する処理のフローチャートの一例を示す図である。
【図16】睡眠時無呼吸検出装置の一実施形態を示す図である。
【図17】睡眠時無呼吸検出装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図18】睡眠時無呼吸検出処理のフローチャートの一例を示す図である。
【図19】睡眠状態への移行判定および睡眠姿勢判定処理である。
【図20】無呼吸時間の記録および無呼吸回数の計数処理のフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、呼吸計測装置10の一実施形態を示す図である。図1に例示した呼吸計測装置10は、被験者P1に装着された角速度センサ11によって得られる計測値に基づいて、被験者P1の呼吸運動を表す少なくとも一つのパラメータの計測を行う。
【0013】
図1に例示した座標系の原点Oは、ベッドに横たわった状態の被験者P1の頸部がベッドあるいは枕に接している箇所に概ね一致している。また、z軸方向は、被験者P1の脊柱に概ね一致しており、yz平面は、被験者P1の背面を含む平面に概ね一致している。このため、被験者P1がベッド上に仰臥位で横たわっている場合に、x軸は、鉛直方向に概ね一致する。図1に例示したyz平面とxz平面とは互いに直交する第1平面および第2平面の一例である。また、図1に例示したyz平面とxz平面とは、いずれも、被験者P1の脊柱を含んでいる。
【0014】
図1に例示した角速度センサ11は、例えば、ジャイロセンサであり、被験者P1の胸部の左側の位置Aに装着されている。本件開示の呼吸計測装置10は、このように、角速度センサ11の装着位置Aが被験者P1の正中面から外れている場合も含めて、被験者P1の呼吸運動に伴う角速度センサ11の動きを以下に説明するモデルに基づいて計測する。
【0015】
本件開示においては、被験者P1の呼吸運動に伴う角速度センサ11の運動を、被験者P1の頸部がベッドあるいは枕と接している箇所に相当する原点Oを支点とする角速度センサ11の装着位置Aの回転運動としてモデル化する。
【0016】
図2は、呼吸運動を表すモデルを説明する図である。図2(A)は、被験者P1の呼吸運動に伴う角速度センサ11の位置変化のxz平面への射影を示す。また、図2(B)は、被験者P1の呼吸運動に伴う角速度センサ11の位置変化のyz平面への射影を示す。
【0017】
図2(A)において、符号Qyeは、被験者P1が呼気を吐ききった状態での胸部の輪郭の例を示し、符号Qyは、被験者P1の吸気動作に応じて、膨らんでいく胸部の輪郭の例を示す。このような胸部の輪郭の変形に伴う角速度センサ11のxz平面内での位置の変化は、角速度センサ11のxz平面への射影と原点Oとを結ぶ直線のy軸を回転軸とする回転運動として捉えることができる。なお、図2(A)において、被験者P1が呼気を吐ききった状態での角速度センサ11のxz平面への射影を符号Ceで示し、被験者P1の胸郭が膨らんでいく過程における角速度センサ11のxz平面への射影を符号Cで示した。また、図2(A)において、符号θeは、上述した射影Ceと原点Oとを結ぶ直線がz軸となす角を示し、符号θは、射影Cと原点Oとを結ぶ直線がz軸となす角を示す。
【0018】
同様に、図2(B)において、符号Qxeは、被験者P1が呼気を吐ききった状態での胸部の輪郭の例を示し、符号Qxは、被験者P1の吸気動作に応じて、膨らんでいく胸部の輪郭の例を示す。このような胸部の輪郭の変形に伴う角速度センサ11のyz平面内での位置の変化は、角速度センサ11のyz平面への射影と原点Oとを結ぶ直線のx軸を回転軸とする回転運動として捉えることができる。なお、図2(B)において、被験者P1が呼気を吐ききった状態での角速度センサ11のyz平面への射影を符号Beで示し、被験者P1の胸郭が膨らんでいく過程における角速度センサ11のyz平面への射影を符号Bで示した。また、図2(B)において、符号φeは、上述した射影Beと原点Oとを結ぶ直線がz軸となす角を示し、符号φは、射影Bと原点Oとを結ぶ直線がz軸となす角を示す。
【0019】
そして、図1に示すように、角速度センサ11の装着位置Aと原点Oとを結ぶ直線OAとyz平面とがなす角Ψは、上述した角θ及び角φを用いて、式(1)のように表すことができる。
【0020】
【数1】

【0021】
また、図1、図2に例示した角θおよび角φは、図2に例示した、被験者P1が呼気を吐ききった状態における角θeおよび角φeを用いて、それぞれ式(2)、(3)のように表すことができる。なお、式(2)に示した角速度gy(t)は、図1に例示した角速度センサ11で得られるy軸を回転軸とする回転運動の角速度であり、式(3)に示した角速度gx(t)は、角速度センサ11で得られるx軸を回転軸とする回転運動の角速度である。
【0022】
【数2】

【0023】
したがって、図1に例示した角速度センサ11によって得られるx軸およびy軸を回転軸とする回転運動の角速度gx、gyに基づいて、上述した角Ψを求めることができる。そして、このようにして求めた角Ψに基づいて、この角速度センサ11の装着位置Aの運動を、原点Oを支点とする装着位置Aの回転運動として表すことができる。
【0024】
なお、xz平面内の角速度gyとxy平面内の角速度gzとを角速度センサ11から取得し、これらの角速度gy、gzに基づいて角Ψを求めてもよい。また、yz平面内の角速度gxとxy平面内の角速度gzとを角速度センサ11から取得し、これらの角速度gx、gzに基づいて角Ψを求めてもよい
このようなモデルに基づいて、角速度センサ11の装着位置Aの運動を計測するために、図1に例示した呼吸計測装置10は、積分部12と、算出部13と、収集部14とを含んでいる。
【0025】
積分部12は、角速度センサ11から受け取った角速度gy、gxをそれぞれ積分することにより、上述した角θ、角φをそれぞれ求める。算出部13は、積分部12で得られた角θ及び角φを上述した式(1)に代入することにより、原点Oと角速度センサ11の装着位置Aとを結ぶ直線がyz平面となす角Ψを算出する。
【0026】
ここで、算出部13が式(1)を用いて算出した角Ψは、角速度センサ11の装着位置Aにかかわらず、被験者P1の呼吸運動による胸部の動きを忠実に反映する。したがって、 収集部14は、算出部13で得られた角Ψの時間変化に基づいて、被験者P1の呼吸に伴う胸部の動きを示す情報を収集することができる。
【0027】
図3は、呼吸運動に伴う角度の変化を説明する図である。なお、図3に示した要素のうち、図1、図2に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。また、図3において、符号Qeは、被験者P1が呼気を吐ききった状態での胸部の輪郭の例であり、符号Qbは、被験者P1が吸気から呼気に移行する際における胸部の輪郭の例である。
【0028】
また、図3において、符号Aeは、被験者P1が呼気を吐ききった状態における角速度センサ11の位置を示し、符号Abは、被験者P1が吸気から呼気に移行する際における角速度センサ11の位置を示す。一方、符号Bbは、被験者P1が吸気から呼気に移行する際における角速度センサ11の位置のyz平面への射影を示す。同様に、符号Cbは、被験者P1が吸気から呼気に移行する際における角速度センサ11の位置のxz平面への射影を示す。したがって、直線OCeと直線OCbとがなす角dθは、呼気時における角θと吸気時における角θとの差を示し、直線OBeと直線OBbとがなす角dφは、呼気時における角φと吸気時における角φとの差を示す。
【0029】
図3から分かるように、角dθは、直線OAの端点Aが点Aeから点Abに移動する過程に相当する回転運動のy軸を回転軸とする成分を示す。そして、角dφは、直線OAの端点Aが点Aeから点Abに移動する過程に相当する回転運動のx軸を回転軸とする成分を示す。そして、呼気時における角Ψと吸気時における角Ψとの差を示す角dΨには、上述した角dθと角dφとの双方が反映されるので、角Ψの呼吸運動に伴う差を示す角dΨは、上述した角dθおよび角dφに比べて大きくなる。したがって、このような角Ψの時間変化を解析することにより、収集部14は、被験者P1の呼吸に伴う動きを高い精度で示す情報を収集することができる。しかも、角Ψは、角速度センサ11が、被験者P1の胸部あるいは上腹部のどのような位置に装着されていても、上述した式(1)を用いて算出することができる。
【0030】
このように、図1に例示した本件開示の呼吸計測装置10によれば、角速度センサ11の装着位置にかかわらず、被験者P1の呼吸運動を高い精度で計測することができる。つまり、本件開示の呼吸計測装置10によれば、呼吸運動の計測に用いる角速度センサを装着する位置に関する制約を解消することができる。
【0031】
これにより、例えば、心電図を取得するためのセンサなどと一緒に角速度センサ11を一つのシート状の部材上に集積し、このシート状の部材を被験者P1の心臓に近接した位置に装着するにより、被験者P1の呼吸運動を高精度で計測することが可能となる。このように、呼吸計測用のセンサと心電図取得用のセンサとを一つに集積可能とすることにより、センサを装着する被験者P1の身体的、心理的な負担を軽減することも可能である。
【0032】
なお、図1〜図3の例示に限らず、角速度センサ11は、被験者P1の右胸や上腹部などに装着してもよい。
【0033】
また、上述した角Ψと角θ及び角φとの関係を示すモデルは、被験者P1の姿勢が仰臥位である場合に限らず、側臥位や仰臥位と側臥位との中間的な姿勢であっても適用可能である。したがって、図1に例示した本件開示の呼吸計測装置10によれば、被験者P1の姿勢にかかわらず、被験者P1の呼吸運動を高い精度で計測することができる。
【0034】
図4は、呼吸計測装置10の別実施形態を示す図である。なお、図4に示した構成要素のうち、図1に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0035】
図4に例示した呼吸計測装置10に含まれる積分部12は、ノイズ除去部15と積分演算部16とを含んでいる。
【0036】
ノイズ除去部15は、例えば、チェビシェフフィルタやバターワースフィルタなどのローパスフィルタを含んでいる。ノイズ除去部15は、角速度センサ11の出力信号を、このローパスフィルタに入力することにより、角速度gx、gyの高周波ノイズ成分を除去する。更に、ノイズ除去部15は、ローパスフィルタの出力に対して、ドリフト成分の除去を行ってもよい。ノイズ除去部15は、例えば、式(4)、(5)を用いて、ローパスフィルタの出力をサンプリングして得られた出力値で示される角速度g’x(j)、g’y(j)から、ドリフト成分を除去した後の角速度gx(j)、gy(j)を算出してもよい。なお、式(4)、(5)において、所定期間内に得られたローパスフィルタの出力値で示される角速度g’x(j)、g’y(j)の平均値を数値Egx,Egyとして示した。
gx(j)=g’x(j)−Egx ・・・(4)
gy(j)=g’y(j)−Egy ・・・(5)
このようにしてノイズ成分が除去された角速度gy、gxに基づいて、積分演算部16が、上述した式(6)、(7)に示す積分処理を行うことにより、算出部13に、サンプル時刻Tjにおける角θ(j)及び角φ(j)として、高い精度の値を入力することができる。
【0037】
【数3】

【0038】
これにより、図4に例示した呼吸計測装置10に含まれる算出部13により、各サンプル時刻Tjにおける角Ψ(j)を高い精度で算出することが可能となる。
【0039】
このようにして各サンプル時刻Tjに対応して算出された角Ψ(j)は、図4に例示した収集部14に含まれる平滑化部17を介して、解析部18に入力される。
【0040】
図4に例示した平滑化部17は、算出部13から受け取った各サンプル時刻Tjにおける角Ψ(j)について、所定の期間の移動平均処理を行うことにより、角Ψ(j)の時間変化を平滑化する。
【0041】
図5は、角Ψの時間変化の一例を示している。図5(A),(B)に例示したグラフの横軸は、時間tの経過を示し、縦軸は、角Ψの大きさを示している。
【0042】
図4に例示した解析部18は、角Ψ(j)の時間変化を解析することにより、被験者P1の呼吸状態が吸気状態から呼気状態へと変化する変化点、および、呼気状態から吸気状態へと変化する変化点を検出する。
【0043】
図5(A)に例示した曲線のグラフは、被験者P1の規則的な呼吸運動に応じて、規則的に変化する角Ψ(t)を示す。このような場合に、解析部18は、角Ψが極値を取る時刻を検出することにより、上述した呼吸状態の変化点を検出することができる。
【0044】
例えば、解析部18は、角Ψ(t)が減少から増加に転じる点を検出することにより、図5(A)に符号Te1,Te2,Te3,Te4,Te5で示した各時点を、被験者P1の呼吸状態が呼気状態から吸気状態へと変化する変化点として検出する。また、解析部18は、角Ψ(t)が増加から減少に転じる点を検出することにより、図5(A)に符号Tb1,Tb2,Tb3,Tb4で示した各時点を、被験者P1の呼吸状態が吸気状態から呼気状態へと変化する変化点として検出してもよい。
【0045】
ここで、解析部18の処理に先立って、算出部13で得られた角Ψ(j)の時間変化を平滑化部17が平滑化することにより、解析部18は、局所的な揺らぎの少ない角Ψ(t)に基づいて、角Ψの時間変化を示すグラフの極値を検出することができる。これにより、解析部18は、被験者P1の呼吸運動に伴う変動の規則性を忠実に反映した呼吸状態の変化点を検出することができる。
【0046】
そして、このように検出された呼吸状態の変化点に基づいて、解析部18は、例えば、図5(A)に符号τ1〜τ4で示したように、呼気状態から吸気状態への変化点の間隔を、被験者P1の呼吸周期として算出してもよい。このようにして、図4に例示した平滑化部17と解析部18とを含む収集部14により、角Ψの時間変化に基づいて、被験者P1の呼吸運動に関する情報を収集することができる。
【0047】
一方、被験者P1の呼吸運動に不規則な特徴がある場合には、図5(B)において符号P3,P4で例示するように、角Ψ(t)のグラフに複数の局所的なピークを持つ谷あるいは山が現れる場合がある。
【0048】
このような局所的なピークの存在にかかわらず、被験者P1の呼吸の周期性を評価するために、解析部18は、以下に述べるような条件を満たす場合に、呼吸状態の変化点を検出することが望ましい。
(1)吸気状態から呼気状態へと変化する変化点を検出する条件
・角Ψ(t)が極大値である。
・角Ψ(t)が所定時間Td内の平均値より大きい。
・前回の吸気状態から呼気状態への変化点から別の所定時間Thb以上が経過している。
・呼吸状態が吸気状態である。
(2)呼気状態から吸気状態へと変化する変化点を検出する条件
・角Ψ(t)が極小値である。
・角Ψ(t)が所定時間Td内の平均値より小さい。
・前回の呼気状態から吸気状態への変化点から別の所定時間The以上が経過している。
・呼吸状態が呼気状態である。
【0049】
また、解析部18は、吸気状態から呼気状態へと変化する変化点を検出したときに、以降の解析処理を、呼吸状態を呼気状態として続行する。同様に、解析部18は、呼気状態から吸気状態へと変化する変化点を検出したときに、以降の解析処理を、呼吸状態を吸気状態として続行する。なお、角Ψ(t)の平均値の算出対象となる期間である所定時間Tdは、平均的な人間の呼吸周期などに基づいて決定してもよい。例えば、平均的な人間の呼吸周期あるいはそれまでに計測された被験者P1の呼吸周期の平均値などを所定時間Tdとすることができる。同様に、所定時間Thbおよび所定時間Theも、平均的な人間の呼吸周期に、適切な係数を乗じた値などに基づいて決定してもよい。例えば、平均的な人間の呼吸周期あるいはそれまでに計測された被験者P1の呼吸周期の平均値に、値0.5より大きく、値1よりも小さい所定の係数を乗じた時間を、所定時間Thbおよび所定時間Theとして用いてもよい。
【0050】
このような条件に基づいて呼吸状態の変化点を検出する場合に、解析部18は、図5(B)に符号P3で示した局所的なピークを、上述した(1)項で示した2番目あるいは3番目の条件に基づいて、呼吸状態の変化点ではないと判断することができる。同様に、解析部18は、図5(B)に符号P4で示した局所的なピークを、上述した(2)項で示した2番目あるいは3番目の条件に基づいて、呼吸状態の変化点ではないと判断することができる。
【0051】
このようにして、上述した(1)項および(2)項に示した条件を用いて呼吸状態の変化点を検出する解析部18を用いることにより、被験者P1の呼吸運動にいびきなどの不規則性がある場合にも、正確な呼吸周期を求めることが可能となる。
【0052】
本件開示の呼吸計測装置10は、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いて実現することができる。
図6は、呼吸計測装置10のハードウェア構成の一例を示している。
【0053】
コンピュータ装置20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、表示装置24と、入力装置25と、光学ドライブ装置26と、センサインタフェース28とを含んでいる。図6に例示したプロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、表示装置24と、入力装置25と、光学ドライブ装置26と、センサインタフェース28とは、バスを介して互いに接続されている。図6に例示した光学ドライブ装置26は、光ディスクなどのリムーバブルディスク27を装着可能であり、装着したリムーバブルディスク27に記録された情報の読出および記録を行う。また、図6に例示した呼吸計測装置10は、プロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、センサインタフェース28とを含んでいる。
【0054】
図6に例示したコンピュータ装置20は、センサインタフェース28を介して、角速度センサ11に接続されている。
【0055】
図6に例示した入力装置25は、例えば、キーボードやマウスなどである。呼吸計測装置10の操作者は、入力装置25を操作することにより、呼吸計測装置10に含まれる各部に対して、例えば、角速度の計測や呼吸運動に関する情報の収集を開始させる旨の指示などを入力することができる。
【0056】
メモリ22は、コンピュータ装置20のオペレーティングシステムとともに、プロセッサ21が上述した呼吸計測処理を実行するためのアプリケーションプログラムを格納している。なお、上述した呼吸計測処理を実行するためのアプリケーションプログラムは、例えば、光ディスクなどのリムーバブルディスク27に記録して頒布することができる。そして、このリムーバブルディスク27を光学ドライブ装置26に装着して読み込み処理を行うことにより、呼吸計測処理を実行するためのアプリケーションプログラムを、メモリ22およびハードディスク装置23に格納させてもよい。また、インターネットなどのネットワークに接続する通信装置(図示せず)を介して、呼吸計測処理を実行するためのアプリケーションプログラムをメモリ22およびハードディスク装置23に読み込ませることもできる。
【0057】
また、プロセッサ21は、メモリ22に格納されたアプリケーションプログラムを実行することにより、図1に例示した積分部12、算出部13および収集部14の機能を果たしてもよい。
【0058】
図7は、呼吸計測処理のフローチャートの一例を示している。図7に示したステップS301〜ステップS313の各処理は、上述した呼吸計測処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。また、これらのステップS301〜ステップS313の各処理は、プロセッサ21によって実行される。
【0059】
プロセッサ21は、まず、以降の呼吸計測処理の際に参照する被験者P1の呼吸状態に初期状態として、吸気状態と呼気状態とのいずれか一方を設定する(ステップS301)。以下では、ステップS301において、プロセッサ21が、被験者P1の呼吸状態の初期状態として吸気状態を設定する場合を例として説明する。
【0060】
次に、プロセッサ21は、例えば、所定の取得間隔τrごとに、この取得間隔τrに対応する期間内に角速度センサ11によって得られた角速度gy、gxを示す出力信号を、センサインタフェース28を介して取得する(ステップS302)。次いで、プロセッサ21は、角速度センサ11の出力信号から高周波ノイズ成分およびドリフト成分を除去する処理を行う(ステップS303)。プロセッサ21は、例えば、角速度センサ11の出力信号に対して、ローパスフィルタを適用する処理を行うことにより、高周波成分の除去を行ってもよい。また、プロセッサ21は、高周波成分が除去された後の角速度センサ11の出力信号を所定のサンプリング周期でサンプリングすることで得られたサンプリング結果に、上述した式(4)、(5)で示した処理を行う。これにより、プロセッサ21は、ステップS302で出力信号が取得された期間内に含まれる各サンプリングタイミングTjに対応して、高周波成分およびドリフト成分が除去された角速度gy(j)、gx(j)を得ることができる。なお、ステップS303において高周波成分を除去するための処理をプロセッサ21が実行する代わりに、プロセッサ21は、センサインタフェース28に設けたローパスフィルタを介して角速度センサ11の出力信号を受け取ってもよい。
【0061】
その後、プロセッサ21は、角速度gy(j)、gx(j)を積分することにより、ステップS302で出力信号が取得された期間内に含まれる各サンプリングタイミングTjにおける角θ(j)及び角φ(j)を算出する(ステップS304)。
【0062】
このように、プロセッサ21が、ステップS302からステップS304の処理を実行することにより、図1および図4に例示した積分部12の機能を実現することができる。
【0063】
そして、ステップS304で算出した角θ(j)および角φ(j)と上述した式(1)とを用いて、プロセッサ21は、各サンプリングタイミングTjにおける角Ψ(j)を算出する(ステップS305)。このように、プロセッサ21が、ステップS305の処理を実行することにより、図1および図4に例示した算出部13の機能を実現することができる。
【0064】
次に、プロセッサ21は、ステップS305の処理で得られた各サンプリングタイミングにおけるTjにおける角Ψ(j)に基づいて、被験者P1の呼吸運動に伴う角Ψの時間変化を平滑化する処理を行う(ステップS306)。プロセッサ21は、例えば、図4に例示した平滑化部17の説明において述べたように、角Ψ(j)について移動平均処理を行うことにより、平滑化処理後の各サンプリングタイミングTjにおける角Ψ(j)を求めてもよい。
【0065】
次に、プロセッサ21は、上述した平滑化処理後の各サンプリングタイミングTjにおける角Ψ(j)の時間変化に基づいて、上述した期間内において、呼吸状態の変化点を検出する(ステップS307)。プロセッサ21は、ステップS307において、例えば、図4に例示した解析部18の説明の(1)項および(2)項において述べた条件に基づいて、吸気状態から呼気状態への変化点および呼気状態から吸気状態への変化点をそれぞれ検出する処理を行う。なお、ステップS307の処理の詳細については、後述する。
【0066】
ステップS307の処理によって、呼気状態から吸気状態への変化点が検出された場合に(ステップS308の肯定判定)、プロセッサ21は、まず、被験者P1の呼吸状態を吸気状態に設定する(ステップS309)。次いで、プロセッサ21は、呼吸回数nに値1を加算する(ステップS310)。その後、プロセッサ21は、ステップS313の処理に進む。
【0067】
一方、ステップS307の処理によって、呼気状態から吸気状態への変化点が検出されなかった場合に(ステップS308の否定判定)、プロセッサ21は、まず、吸気状態から呼気状態への変化点を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
【0068】
このステップS311の肯定判定の場合に、プロセッサ21は、被験者P1の呼吸状態を呼気状態に設定する(ステップS312)。その後、プロセッサ21は、ステップS313の処理に進む。一方、ステップS311の否定判定の場合に、プロセッサ21は、そのままステップS313の処理に進む。
【0069】
このように、プロセッサ21が、ステップS307〜ステップS312の処理を実行することにより、被験者P1の呼吸状態の変化を検出し、呼吸回数などの情報を収集することができる。つまり、プロセッサ21が、ステップS307からステップS312の処理を実行することは、図1および図4に例示した収集部14の実現手法の一例である。
【0070】
なお、図7に例示したフローチャートでは、ステップS301において、被験者P1の呼吸状態の初期状態として吸気状態を設定しているので、吸気状態への変化点を検出するごとに呼吸回数nを加算している。したがって、ステップS301において設定する初期上体が呼気状態である場合は、呼気状態を検出するごとに呼吸回数を加算すればよい。いずれの場合においても、呼吸回数の計測誤差は、半呼吸以下である。また、呼吸計測処理を開始する際に角速度センサ11から得られた出力信号の傾向に基づいて、被験者P1の実際の呼吸状態を反映して初期状態を設定することもできる。
【0071】
その後、プロセッサ21は、例えば、入力装置25などから呼吸計測処理を停止する旨の指示が入力されたか否かに基づいて、計測を停止するか否かを判定する(ステップS313)。
【0072】
呼吸計測処理を停止する旨の指示の入力がなかった場合に、プロセッサ21は、ステップS313の否定判定ルートに進む。この場合に、プロセッサ21は、ステップS302の処理に戻り、新たに得られた角速度センサ11の出力信号に基づいて、ステップS302〜ステップS312の各処理を含む計測処理(ステップS314)を実行する。
【0073】
一方、呼吸計測装置10の操作者により、呼吸計測処理を停止する旨の指示が入力された場合に、プロセッサ21は、ステップS313の肯定判定ルートに進み、呼吸計測処理を終了する。
【0074】
次に、図7に例示したステップS307の処理をプロセッサ21の処理によって実現する手法について説明する。
【0075】
図8および図9は、呼吸状態の変化点を検出する処理のフローチャートの一例を示している。図8に例示したフローチャートと図9に例示したフローチャートは、ともに、図7においてステップS307で示した呼吸状態の変化点を検出する処理のフローチャートの一部である。この2つのフローチャートは、符号1,2,3を付した結合子によって互いに接続している。そして、これらのフローチャートに含まれる各ステップの処理は、図4に例示した解析部18の機能を、プロセッサ21による処理で実現する手法の一例である。
【0076】
プロセッサ21は、図7に例示したステップS305で得られた角Ψ(j)と、それ以前に得られた所定の期間の角Ψとに基づいて、単位時間内での角Ψの平均値Ψavを算出する(ステップS321)。プロセッサ21は、例えば、ステップS305で得られた角Ψ(j)を平均的な呼吸周期に相当する所定時間Tdに亘って保持しておき、ステップS321の処理において、角Ψの平均値Ψavの算出に利用してもよい。
【0077】
また、プロセッサ21は、j番目のサンプリングタイミングにおける角Ψ(j)に注目し、この角Ψ(j)と次のサンプリングタイミングにおける角Ψ(j+1)との差分に基づいて、角Ψの時間変化の微係数dΨ(j)を算出する(ステップS322)。
【0078】
次いで、プロセッサ21は、被験者P1の呼吸状態が吸気状態であるか否かを判定する(ステップS323)。被験者P1の呼吸状態が吸気状態である場合に、プロセッサ21は、ステップS323の肯定判定ルートに進み、ステップS324〜ステップS329を含む呼気状態への変化点を検出する処理を実行する。つまり、プロセッサ21は、上述した(1)項の4番目の条件を満たしている場合に限って、呼気状態への変化点を検出する処理を実行する。
【0079】
ステップS323の肯定判定ルートにおいて、プロセッサ21は、まず、前回呼気状態への変化点を検出した時刻Tbから、ステップ322で微係数dΨ(j)を算出したj番目のサンプリングタイミングまでの時間tbを算出する(ステップS324)。なお、以下の説明において、j番目のサンプリングタイミングに対応する時刻をサンプル時刻Tjと称する。
【0080】
次に、プロセッサ21は、ステップS322で算出した微係数dΨ(j)が負の値であるか否かに基づいて、上述した(1)項の最初の条件を満たしているか否かを判定する(ステップ325)。そして、このステップS325の肯定判定の場合に、プロセッサ21は、更に、注目している角Ψ(j)が、ステップS321で算出した平均値Ψavより大きいか否かを判定することにより、上述した(1)項の2番目の条件を満たしているか否かを判定する(ステップ326)。このステップS326の肯定判定の場合に、プロセッサ21は、ステップS324で得られた時間tbが、上述した所定時間Thbを超えているか否かを判定することにより、上述した(1)項の3番目の条件を満たしているか否かを判定する(ステップ327)。
【0081】
ステップS325〜ステップS327の処理により、上述した(1)項の全ての条件を満たしていることが示された場合に、プロセッサ21は、ステップS327の肯定判定ルートに従ってステップS328およびステップS329の処理を実行する。ステップS328において、プロセッサ21は、サンプル時刻Tjを新たな呼気状態への変化点の検出時刻Tbに設定する。また、ステップS329において、プロセッサ21は、呼気状態への変化点を検出した旨を、処理結果として出力し、変化点を検出する処理を終了する。
【0082】
ところで、被験者P1の現在の呼吸状態が呼気状態である場合に、プロセッサ21は、上述したステップS323の否定判定ルートに従って、結合子1によって接続された図9のフローチャートの処理に進む。そして、ステップS331〜ステップS336の処理を含む吸気状態への変化点を検出する処理を実行する。つまり、プロセッサ21は、上述した(2)項の4番目の条件を満たしている場合に限って、吸気状態への変化点を検出する処理を実行する。
【0083】
プロセッサ21は、まず、前回吸気状態への変化点を検出した時刻Teから、上述したサンプル時刻Tjまでの時間teを算出する(ステップS331)。
【0084】
次に、プロセッサ21は、ステップS322で算出した微係数dΨ(j)が正の値であるか否かに基づいて、上述した(2)項の最初の条件を満たしているか否かを判定する(ステップ332)。そして、このステップS332の肯定判定の場合に、プロセッサ21は、更に、注目している角Ψ(j)がステップS321で算出した平均値Ψavより小さいか否かを判定することにより、上述した(2)項の2番目の条件を満たしているか否かを判定する(ステップ333)。このステップS333の肯定判定の場合に、プロセッサ21は、ステップS331で得られた時間teが、上述した所定時間Theを超えているか否かを判定することにより、上述した(2)項の3番目の条件を満たしているか否かを判定する(ステップ334)。
【0085】
ステップS332〜ステップS334の処理により、上述した(2)項の全ての条件を満たしていることが示された場合に、プロセッサ21は、ステップS334の肯定判定ルートに従ってステップS335およびステップS336の処理を実行する。ステップS335において、プロセッサ21は、サンプル時刻Tjを新たな吸気状態への変化点の検出時刻Teに設定する。また、ステップS336において、プロセッサ21は、吸気状態への変化点を検出した旨を、処理結果として出力し、結合子3による接続を介して図8のフローチャートに戻り、変化点を検出する処理を終了する。
【0086】
一方、上述した(2)項のいずれかの条件を満たしていないことが示された場合に、プロセッサ21は、ステップS332〜ステップS334の否定判定ルートに従って、結合子2を介して図8に示したステップS330の処理に進む。
【0087】
同様に、上述した(1)項のいずれかの条件を満たしていないことが示された場合に、プロセッサ21は、ステップS325〜ステップS327の否定判定ルートに従ってステップS330の処理を実行する。
【0088】
ステップS330において、プロセッサ21は、未処理の角Ψ(j)があるか否かを判定する。このステップS330の肯定判定の場合に、プロセッサ21は、ステップ322の処理に戻り、次のサンプリングタイミングに対応する新たな角Ψ(j)に基づいて、呼吸状態の変化点を検出する処理を開始する。
【0089】
このようにして、プロセッサ21が、図8、図9に例示したステップS322〜ステップS336の処理を繰り返しても、呼吸状態の変化点が検出されなかった場合に、プロセッサ21は、ステップS330の否定判定ルートを介して処理を終了する。なお、この場合に、プロセッサ21は、上述した期間について、呼吸状態の変化点を検出しない旨を出力してもよい。
【0090】
このようにして、コンピュータ装置20のプロセッサ21が上述した各処理を実行することにより、図1および図4に例示した呼吸計測装置10を実現することができる。
【0091】
次に、本件開示の呼吸計測装置10を被験者P1の睡眠中の呼吸運動を計測する際に、好適な実施形態について説明する。
【0092】
図10は、呼吸計測装置10の別実施形態を示している。なお、図10に示した構成要素のうち、図1に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0093】
図10に示した被験者P1の胸部には、角速度センサ11とともに、加速度センサ19が装着されている。なお、加速度センサ19の装着位置は、角速度センサ11と同様に、被験者P1の胸部または上腹部などであればよい。図10に示した例においては、角速度センサ11および加速度センサ19をシート状の基材に集積したセンサ部30を、被験者P1の胸部の左側に装着した例を示した。
【0094】
図10に例示した加速度センサ19は、被験者P1の脊柱方向にz軸が設定され、被験者P1の前後方向にx軸が設定された座標系の各座標軸方向について重力加速度の成分を計測し、得られた計測結果を示す計測値αx、αy、αzを出力する。なお、この座標系のy軸方向は、例えば、被験者P1の左右方向に設定することができる。
【0095】
また、図10に例示した呼吸計測装置10は、図1に例示した各部に加えて、判定部31と電力制御部32とを含んでいる。
【0096】
判定部31は、加速度センサ19で得られた計測値αx、αy、αzに基づいて、被験者P1が睡眠状態であるか否かを判定する。判定部31は、例えば、計測値αx、αy、αzから求めた重力加速度が主として働く方向およびこの方向の変動幅に基づいて、被験者P1が睡眠状態であると判定する。
【0097】
また、図10に例示した電力制御部32は、判定部31によって、被験者P1が睡眠状態であると判定されたときに、角速度センサ11に駆動電力Dpを供給する制御を行う。
【0098】
つまり、図10に例示した呼吸計測装置10によれば、被験者P1が睡眠中であるときに限って、角速度センサ11に駆動電力Dpを供給することができる。角速度センサ11は、加速度センサ19に比べて消費電力が大きいので、上述したようにして、角速度センサ11への電力供給を制御することにより、呼吸計測装置10の省電力化を図ることができる。また、被験者P1あるいは呼吸計測装置10の操作者による操作によらずに、呼吸計測処理を開始させることができるので、被験者P1や操作者の作業負担を軽減することもできる。
【0099】
ここで、加速度センサ19による計測値αx、αy、αzに基づいて、被験者P1が睡眠状態であるか否かを判定する方法について説明する。
【0100】
図11は、被験者P1の姿勢と重力加速度との関係を説明する図である。図11において、矢印gは、重力加速度の方向を示す。
【0101】
図11(A),(B)は、被験者P1が直立姿勢であるときの各座標軸と重力加速度の方向を示す。なお、図11(A)、(B)は、直立している被験者P1の正面図と側面図である。図11(A),(B)から分かるように、被験者P1が直立姿勢である場合やベッドの上で起き上がった姿勢である場合に重力加速度gが働く方向は、被験者P1の脊柱に対応する方向であるz軸方向となる。
【0102】
一方、図11(C)は、被験者P1がベッド上において仰臥位で横たわっているときに各座標軸と重力加速度の方向を示している。図11(C)から分かるように、被験者P1のベッド上での姿勢が仰臥位である場合に重力加速度gが働く方向は、被験者P1を前後に貫く方向に相当するx軸方向に概ね一致する。
【0103】
また、図11(D)は、被験者P1がベッド上において側臥位で横たわっているときに各座標軸と重力加速度の方向を示している。図11(D)から分かるように、被験者P1の姿勢が完全に測臥位である場合に重力加速度gが働く方向は、被験者P1の左右方向に相当するy軸方向に概ね一致する。
【0104】
そして、図示は省略するが、被験者P1がベッド上で仰臥位と側臥位との中間的な姿勢で横たわっている場合に、重力加速度gが働く方向は、被験者P1の脊柱に概ね直交する平面内の直線によって示される。
【0105】
したがって、図10に例示した判定部31は、例えば、計測値αx、αy、αzから算出した重力加速度が働く方向が、被験者P1の脊柱に概ね直交する方向である場合に、被験者P1がベッド上で横になっていると判定することができる。
【0106】
また、睡眠中は、被験者P1の動きが非常に緩慢になることから、計測値αx、αy、αzから算出した重力加速度が働く方向の変動幅が小さくなる。
【0107】
したがって、図10に例示した判定部31は、重力加速度が働く方向が被験者P1の被験者P1の脊柱に概ね直交する方向であって、かつ、重力加速度が働く方向の変動幅が所定の閾値より小さい場合に、被験者P1が睡眠状態であると判定してもよい。
【0108】
このようにして、被験者P1に対して固定された座標軸方向に対応する加速度センサ19の計測値に基づいて、判定部31は、被験者P1が睡眠中であるか否かを判定することができる。
【0109】
図10に例示した呼吸計測装置10もまた、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いて実現することができる。
【0110】
図12は、呼吸計測装置10のハードウェア構成の別例を示している。なお、図12に示した構成要素のうち、図6に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0111】
図12に例示した呼吸計測装置10に含まれるセンサインタフェース28は、角速度センサ11および加速度センサ19を含むセンサ部30に接続されている。そして、プロセッサ21は、このセンサインタフェース28を介して、角速度センサ11による計測値gy、gxとともに、加速度センサ19による計測値αx、αy、αzを取得することができる。
【0112】
図12に例示したセンサ部30は、更に、バッテリ34とスイッチ35とを含んでいる。そして、プロセッサ21が、センサインタフェース28を介してスイッチ35を操作することにより、バッテリ34から角速度センサ11への電力供給を制御することができる。
【0113】
また、図12に例示したメモリ22は、更に、被験者P1の睡眠状態を判定する処理および角速度センサ11への電力供給を制御する処理を含む呼吸計測処理をプロセッサ21に実行させるためのアプリケーションプログラムを格納している。なお、睡眠状態を判定する処理および電力供給を制御する処理を含む呼吸計測処理のためのこのアプリケーションプログラムも、例えば、リムーバブルディスク27などの記録媒体に記録して頒布することができる。そして、このリムーバブルディスク27を光学ドライブ装置26に装着して読み込み処理を行うことにより、この呼吸計測処理のためのアプリケーションプログラムを、メモリ22およびハードディスク装置23に格納させてもよい。また、インターネットなどのネットワークに接続する通信装置(図示せず)を介して、この呼吸計測処理のためのアプリケーションプログラムをメモリ22およびハードディスク装置23に読み込ませることもできる。
【0114】
また、プロセッサ21が、上述したようにしてメモリ22に格納されたこの呼吸計測処理のためのアプリケーションプログラムを実行することにより、図10に例示した判定部31および電力制御部32を含む呼吸計測装置10の機能を果たすことができる。
【0115】
図13は、呼吸計測処理のフローチャートの別例を示している。図13に示したステップS341〜ステップS351の各処理は、上述した呼吸計測処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。また、これらのS341〜ステップS351の各処理は、プロセッサ21によって実行される。
【0116】
まず、プロセッサ21は、被験者P1の初期状態として「入眠前」を設定する(ステップS341)。次いで、プロセッサ21は、センサインタフェース28を介して、加速度センサ19から計測値αx、αy、αzを取得する(ステップS342)。例えば、プロセッサ21は、上述した角速度センサ11の計測値の取得と同じ取得間隔τrごとに、この取得時間τrに対応する期間に得られた加速度センサ19の計測値αx、αy、αzを取得する。
【0117】
そして、ステップS342で得られた加速度センサ19の計測値αx、αy、αzに基づいて、プロセッサ21は、後述する睡眠状態への移行を判定する処理を実行する(ステップS343)。
【0118】
図14は、睡眠状態への移行を判定する処理のフローチャートの一例を示している。図14に例示した各ステップは、図13においてステップS343で示した睡眠状態への移行を判定する処理の一例であり、プロセッサ21の処理によって、図10に例示した判定部31を実現する手法の一例である。
【0119】
プロセッサ21は、例えば、上述した期間に含まれる複数のサンプリングタイミングで得られた加速度センサ19の計測値αx、αy、αzに基づいて、この期間において重力加速度が働いていた平均的な方向を求める(ステップS361)。例えば、プロセッサ21は、各サンプリングタイミングにおける計測値αx、αy、αzをそれぞれ平均化することにより、重力加速度が働いていた平均的な方向を示す平均加速度成分Vx,Vy,Vzを算出してもよい。
【0120】
次に、プロセッサ21は、ステップS361で求めた平均加速度成分Vx,Vy,Vzで示される方向がz軸に概ね直交する方向であるか否かを判定する(ステップS362)。例えば、ステップS361で求めたz軸方向の加速度の計測値αzの平均値Vzが所定の閾値を超えている場合に、プロセッサ21は、重力加速度が働く向きは、被験者P1の脊柱に対応するz軸方向に直交する方向ではないと判断する(ステップS362の否定判定)。この場合に、プロセッサ21は、被験者P1の状態は「入眠前」状態を継続していると判定し(ステップS363)、図13のステップS344の処理に進む。
【0121】
一方、ステップS361で求めたz軸方向の加速度の計測値αzの平均値Vzが上述した閾値以下である場合に、プロセッサ21は、重力加速度が働く向きは被験者P1の脊柱に概ね直交する方向であると判断する(ステップS362の肯定判定)。この場合に、プロセッサ21は、例えば、各サンプリングタイミングで得られた計測値αx、αy、αzと上述した平均加速度成分Vx,Vy,Vzとの成分ごとの差に基づいて、重力加速度が働く方向の変動幅Vgを算出する(ステップS364)。そして、この変動幅Vgが所定の閾値Thgよりも小さいか否かを判定することにより、プロセッサ21は、被験者P1の動きが睡眠状態への移行によって小さくなったか否かを判定する(ステップS365)。
【0122】
ステップS364で算出された変動幅Vgが閾値Thgよりも小さい場合に、プロセッサ21は、ステップS365の肯定判定ルートに従ってステップS366およびステップS367の処理を実行する。ステップS366において、プロセッサ21は、被験者P1の上体が「睡眠状態」に移行したと判定し、その後、プロセッサ21は、図13のステップS344の処理に進む。
【0123】
一方、ステップS364で算出された変動幅Vgが閾値Thgよりも大きい場合に、プロセッサ21は、ステップS365の否定判定ルートに従ってステップS363の処理を実行した後に、図13のステップS344の処理に進む。
【0124】
図13に例示したステップS344において、プロセッサ21は、ステップS343の処理で得られた判定結果に基づいて、被験者P1の状態が「睡眠状態」に移行したか否かを判定する。
【0125】
上述したステップS343の処理により、「入眠前」状態が継続している旨の判定結果が得られた場合に、プロセッサ21は、ステップS344の否定判定ルートに従って、ステップS342の処理に戻る。そして、プロセッサ21は、新たに取得した加速度センサ19の計測値に基づいて、ステップS343の処理を実行する過程を繰り返す。
【0126】
ステップS342からステップS344の処理を繰り返す過程において、ステップS343の処理により、被験者P1の状態が睡眠状態に移行した旨の判定結果が得られた場合に、プロセッサ21は、ステップS344の肯定判定ルートに進む。
【0127】
ステップS344の肯定判定ルートにおいて、プロセッサ21は、まず、被験者の状態に「睡眠中」を設定するとともに、呼吸状態の初期状態として吸気状態を設定する(ステップS345)。また、このとき、プロセッサ21は、後述する処理で使用する睡眠中断時間Tsに初期値0を設定する。次いで、プロセッサ21は、センサインタフェース28を介して、図12に例示したセンサ部30に含まれるスイッチ35を操作することにより、バッテリ34から角速度センサ11への電力供給を開始させる(ステップS346)。このように、ステップS344の肯定判定ルートにおいて、プロセッサ21が、ステップS346の処理を実行することにより、図10に例示した電力制御部32が、角速度センサ11への電力供給を開始する機能を実現することができる。
【0128】
その後、プロセッサ21は、図7に例示したステップS302〜ステップS312の各処理を含む角速度センサ11の計測値gy、gxに基づく呼吸計測処理を実行する(ステップS314)。
【0129】
次いで、プロセッサ21は、上述したステップS342と同様にして、再び、加速度センサ19から計測値αx、αy、αzを取得する(ステップS347)。そして、今度は、これらの計測値αx、αy、αzに基づいて、プロセッサ21は、後述する睡眠状態の継続を判定する処理を実行する(ステップS348)。
【0130】
ステップS348の処理により、被験者P1の睡眠状態が継続している旨の判定結果が得られた場合に、プロセッサ21は、ステップS349の肯定判定ルートに従って、ステップS314の処理に戻る。そして、プロセッサ21は、新たに取得した角速度センサ11の計測値に基づく呼吸計測処理と新たに取得した加速度センサ19の計測値に基づく睡眠状態の継続を判定する処理を実行する過程を繰り返す。
【0131】
ステップS314およびステップS347〜ステップS349の処理を繰り返す過程において、ステップS348の処理により、被験者P1の睡眠状態が継続していない旨の判定結果が得られた場合に、プロセッサ21は、ステップS349の否定判定ルートに進む。
【0132】
ステップS349の否定判定ルートにおいて、プロセッサ21は、まず、被験者の状態に「起床」を設定する(ステップS350)。また、プロセッサ21は、センサインタフェース28を介して、上述したスイッチ35を操作することにより、バッテリ34から角速度センサ11への電力供給を停止させる(ステップS351)。このように、プロセッサ21が、ステップS349の否定判定ルートにおいて、ステップS351の処理を実行することにより、図10に例示した電力制御部32が角速度センサ11への電力供給を停止する機能を実現することができる。その後、プロセッサ21は、処理を終了する。
【0133】
ここで、被験者P1は、寝付いた後に、トイレに立ったり、水を飲んだりする場合があり、このときには、一時的に被験者P1の姿勢はベッドの上に起き上がった状態や直立状態になる。
【0134】
このような場合を考慮して、被験者P1の姿勢が直立あるいはベッドの上に起き上がった状態である期間が所定の時間Ths以上に亘って継続した場合に限って、被験者P1が「起床状態」に移行したことを検出する方法について、以下に説明する。
【0135】
図15は、睡眠状態の継続を判定する処理のフローチャートの一例を示している。図15に例示した各ステップは、図13においてステップS348で示した睡眠状態の継続を判定する処理の一例であり、プロセッサ21の処理によって、図10に例示した判定部31を実現する手法の一例である。
【0136】
プロセッサ21は、上述したステップS361と同様にして、取得間隔τrの期間に加速度センサ19で得られた計測値αx、αy、αzに基づいて、この期間において重力加速度が働いていた平均的な方向を求める(ステップS371)。例えば、プロセッサ21は、各サンプリングタイミングにおける計測値αx、αy、αzをそれぞれ平均化することにより、重力加速度が働いていた平均的な方向を示す平均加速度成分Vx,Vy,Vzを算出してもよい。
【0137】
次に、プロセッサ21は、上述したステップS362と同様にして、ステップS371で求めた平均加速度成分Vx,Vy,Vzで示される方向がz軸方向に概ね直交しているか否かを判定する(ステップS372)。例えば、ステップS371で求めたz軸方向の平均加速度成分Vzが所定の閾値を超えている場合に、プロセッサ21は、重力加速度が働く向きは、被験者P1の脊柱に対応するz軸方向に直交しないと判断する(ステップS372の否定判定)。
【0138】
プロセッサ21は、ステップS372の否定判定ルートにおいて、まず、被験者P1の睡眠が一次的に中断している期間を示す睡眠中断時間Tsに、加速度センサ19の計測値αx、αy、αzの取得間隔τrを加算する(ステップS373)。次いで、プロセッサ21は、加算後の睡眠中断時間Tsが上述した所定の時間Thsより大きいか否かを判定する(ステップS374)。
【0139】
睡眠中断時間Tsが所定の時間Ths以下である場合に(ステップS374の否定判定)、プロセッサ21は、睡眠中断時間Tsを維持したまま、ステップS375の処理に進む。ステップS375において、プロセッサ21は、被験者P1の状態は「睡眠状態」を継続していると判定し、その後、図13のステップS349の処理に進む。
【0140】
上述したように、図13のステップS348の処理は、ステップS349において肯定判定がなされる限り加速度センサ19の計測値αx、αy、αzの取得間隔τrごとに繰り返される。したがって、その都度、上述したステップS372の肯定判定ルートに従ってプロセッサ21が処理を進めていくと、繰り返しの過程ごとに積算される取得間隔τrにより、睡眠中断時間Tsが増大していく。このようにして、睡眠中断時間Tsが所定の時間Thsより大きくなったときに(ステップS374の肯定判定)、プロセッサ21は、被験者P1の状態は、「起床状態」に移行したと判定し(ステップS376)、その後、図13のステップS349の処理に進む。
【0141】
このようにして、被験者P1が所定の時間以上に亘って、ベッドの上で起き上がった状態あるいは直立した状態を維持した場合に、被験者P1が「起床状態」に移行したことを検出した旨の判定結果を、図13のステップS349の処理に返すことができる。
【0142】
一方、図13のステップS314およびステップS347〜ステップS349の処理が繰り返される過程で、被験者P1が再びベッドに横になる場合がある。この場合に、図14に示したステップS371において加速度センサ19の計測値αx、αy、αzに基づいて得られる重力加速度の方向はz軸に概ね直交する方向となるので、プロセッサ21は、ステップS372の肯定判定ルートの処理を実行する。
【0143】
ステップS372の肯定判定ルートにおいて、プロセッサ21は、まず、睡眠中断時間Tsに再び初期値0を設定する(ステップS377)。その後、プロセッサ21は、被験者P1の状態は「睡眠状態」を継続していると判定し、その後、図13のステップS349の処理に進む。
【0144】
図15を用いて説明したようにして、被験者P1の睡眠状態の継続を判定する処理を適用した呼吸計測装置10によれば、被験者P1の睡眠状態が一時的に中断した場合にも、呼吸計測処理を継続させることができる。
【0145】
人間の呼吸のリズムが乱れるのは、主に、無意識となる睡眠中であることから、上述したようにして、被験者P1が睡眠状態である期間について選択的に呼吸を計測する技術は有用である。
【0146】
次に、本件開示の呼吸計測手法を用いることにより、睡眠時無呼吸を高い精度で検出する方法について説明する。
【0147】
図16は、睡眠時無呼吸検出装置40の一実施形態を示している。なお、図16に示した構成要素のうち、図10に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。また、図16に例示した睡眠時無呼吸検出装置40は、本件開示の呼吸計測装置の別実施形態でもある。
【0148】
図16に例示した睡眠時無呼吸検出装置40は、図1に例示した呼吸計測装置10に含まれる各部に加えて、第1判定部41と、第2判定部42と、電力制御部43と、検出部44とを含んでいる。
【0149】
図16に例示した第1判定部41および第2判定部42には、加速度センサ19で得られた計測値αx、αy、αzが入力されている。第1判定部41は、加速度センサ19の計測値αx、αy、αzに基づいて、図10に例示した判定部31と同様にして、被験者P1が睡眠状態であるか否かを判定する。また、第2判定部42は、加速度センサ19の計測値αx、αy、αzに基づいて、被験者P1の姿勢が仰臥位であるか否かを判定する。
【0150】
また、電力制御部43は、第1判定部41および第2判定部42による判定結果に基づいて、角速度センサ11への電力供給を制御する。例えば、電力制御部43は、第1判定部41によって被験者P1が睡眠状態であるとは判定され、かつ、第2判定部42によって被験者P1の姿勢が仰臥位であると判定されたときに、角速度センサ11に駆動電力を供給する制御を行う。
【0151】
そして、角速度センサ11に駆動電力が供給されている期間に、この角速度センサ11から得られる計測値gy、gxに基づいて、積分部12、算出部13および収集部14は、これらの計測値gy、gxに基づく呼吸計測処理を行う。そして、この過程において収集部14によって収集された情報に基づいて、検出部44は、被験者P1の呼吸のリズムに現れた睡眠時無呼吸症候群などの兆候を示す情報を検出する。
【0152】
ここで、睡眠時無呼吸症候群などによる無呼吸状態は、被験者P1が仰臥位で睡眠状態となっているときに、被験者P1の舌の根元が落ち込むことにより上気道が塞がれるために起きる場合がある。その一方、被験者P1が側臥位で睡眠中である場合には、被験者P1の下の根元部分によって上気道が塞がれることはほとんどない。
【0153】
つまり、図16に例示した睡眠時無呼吸検出装置40において、第1判定部41および第2判定部42による判定結果に応じて、電力制御部43が角速度センサ11に駆動電力が供給される期間は、被験者P1が無呼吸状態に陥る危険性の高い期間に相当する。
【0154】
このように、被験者P1が無呼吸状態に陥る危険性の高い期間に限って角速度センサ11に電力を供給し、この期間に限って角速度センサ11の計測値に基づく呼吸計測を行うことにより、睡眠時無呼吸検出装置40の省電力化を図ることができる。
【0155】
更に、図16に例示した睡眠時無呼吸検出装置40は、本件開示の呼吸計測装置10を含んでいるので、角速度センサ11の装着位置にかかわらず、高い精度で被験者P1の呼吸運動を計測することが可能である。
【0156】
図16に例示した睡眠時無呼吸検出装置40もまた、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いて実現することができる。
【0157】
図17は、睡眠時無呼吸検出装置40のハードウェア構成の別例を示している。なお、図17に示した構成要素のうち、図12に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0158】
図17に例示したコンピュータ装置20は、図12に示した各部に加えて、出力インタフェース29を含んでいる。この出力インタフェース29は、コンピュータ装置20に含まれる他の各部と同様に、バスを介してプロセッサ21と接続されている。
【0159】
また、図17に例示した睡眠時無呼吸検出装置40は、図12に示した各部に加えて、上述した出力インタフェース29およびスピーカ45などの出力装置を含んでいる。このスピーカ45は、出力インタフェース29を介してコンピュータ装置20に接続されており、プロセッサ21は、出力インタフェース29およびスピーカ45を介して所望のアラーム音などを出力することができる。なお、出力インタフェース45を介して接続される出力装置は、スピーカ45に限らず、例えば、ナースコールシステム(図示せず)にメッセージを送出するようにしてもよい。
【0160】
図17に例示したセンサ部30に設けたスイッチ35を、プロセッサ21が、センサインタフェース28を介して操作することで、バッテリ34から角速度センサ11への電力供給を制御することは、図16に例示した電力制御部43の実現手法の一例である。
【0161】
また、図17に例示したメモリ22は、コンピュータ装置20のオペレーティングシステムとともに、睡眠時無呼吸を検出する処理をプロセッサ21に実行させるためのアプリケーションプログラムを格納している。この睡眠時無呼吸を検出する処理のためのアプリケーションプログラムは、睡眠状態を判定する処理と電力供給を制御する処理と呼吸計測処理とをプロセッサ21に実行させるためのアプリケーションプログラムを含んでいる。なお、この睡眠時無呼吸を検出するアプリケーションプログラムも、例えば、リムーバブルディスク27などの記録媒体に記録して頒布することができる。そして、このリムーバブルディスク27を光学ドライブ装置26に装着して読み込み処理を行うことにより、この睡眠時無呼吸を検出するアプリケーションプログラムを、メモリ22およびハードディスク装置23に格納させてもよい。また、インターネットなどのネットワークに接続する通信装置(図示せず)を介して、この睡眠時無呼吸を検出するアプリケーションプログラムをメモリ22およびハードディスク装置23に読み込ませることもできる。
【0162】
また、プロセッサ21が、上述したようにしてメモリ22に格納されたこの睡眠時無呼吸を検出するアプリケーションプログラムを実行することにより、図16に例示した第1判定部31および電力制御部32を含む呼吸計測装置10の機能を果たすことができる。
【0163】
図18は、睡眠時無呼吸検出処理のフローチャートの一例を示している。なお、図18に示したステップのうち、図13に示したステップと同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0164】
図18に示した各ステップの処理は、上述した睡眠時無呼吸検出処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。また、これらの各ステップの処理は、プロセッサ21によって実行される。
【0165】
図18に示したフローチャートにおいて、プロセッサ21は、図13に示したステップS343に代えて、被験者P1が睡眠状態に移行したかとともに被験者P1の睡眠時の姿勢を判定する処理を実行する(ステップS381)。
【0166】
図19は、睡眠状態への移行および睡眠時の姿勢を判定する処理のフローチャートの一例を示している。なお、図19に示したステップのうち、図14に示したステップと同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0167】
図19に例示した各ステップの処理は、図18に示したステップS381の処理の一例である。これらの各ステップの処理は、図16に例示した第1判定部41および第2判定部42の機能を、プロセッサ21による処理によって実現する手法の一例である。
【0168】
図18に示したフローチャートのステップS365の肯定判定ルートにおいて、プロセッサ21は、ステップS366において、被験者P1の状態が「睡眠状態」に移行したと判定した後に、重力加速度の向きがx軸方向であるか否かを判定する(ステップS388)。プロセッサ21は、例えば、ステップS361で算出したx軸方向の平均加速度成分Vxが、所定の閾値よりも大きいか否かに基づいて、重力加速度の向きがx軸方向であるか否かを判定してもよい。この閾値は、例えば、重力加速度の向きがx軸方向に概ね一致している場合に、平均加速度成分Vxとして得られる値を設定すればよい。このように、ステップS365の肯定判定ルートにおいて、プロセッサ21がステップS388の判定処理を行うことは、図16に例示した第2判定部42の機能を実現手法の一例である。
【0169】
ステップS361で得られたx軸方向の平均加速度成分Vxが上述した閾値よりも大きい場合に、プロセッサ21は、ステップS388の肯定判定ルートに従って、被験者P1の姿勢を仰臥位に設定する処理を行う(ステップS389)。その後、プロセッサ21は、睡眠状態への移行および睡眠時の姿勢を判定する処理を終了して、図18のステップS382の処理に進む。
【0170】
一方、ステップS361で算出されたx軸方向の平均加速度成分Vxが上述した閾値以下である場合に、プロセッサ21は、ステップS388の否定判定ルートに従って、そのまま、睡眠状態への移行および睡眠時の姿勢を判定する処理を終了する。そして、プロセッサ21は、図18のステップS382の処理に進む。
【0171】
このステップS382において、プロセッサ21は、上述したステップS381の処理により、被験者P1が睡眠状態に移行したと判定され、更に、姿勢が仰臥位に設定されたか否かを判定する。そして、被験者P1が仰臥位で睡眠中の場合に限って、プロセッサ21は、ステップS382の肯定判定ルートに進み、以降の処理を実行する。
【0172】
このステップS382の肯定判定ルートにおいて、ステップS314およびステップS347〜ステップS349の処理を繰り返す過程において、プロセッサ21は、この過程で収集した情報に基づき、睡眠時無呼吸の兆候を示す情報を収集する。
【0173】
例えば、プロセッサ21は、図8および図9のフローチャートにおいて説明した、前回の吸気状態への変化点からの時間tbあるいは前回の呼気状態への変化点からの時間teに基づいて、睡眠時無呼吸の兆候を検出してもよい。
【0174】
図18に例示したフローチャートでは、プロセッサ21は、ステップS314の処理で得られた前回の吸気状態への変化点からの時間tbあるいは前回の呼気状態への変化点からの時間teが10秒を超えるか否かを判定している(ステップS384)。前回の吸気状態への変化点からの時間tbおよび前回の呼気状態への変化点からの時間teは、いずれも、呼吸状態の変化点からの経過時間を示している。そして、この呼吸状態の変化点からの経過時間が10秒を超えるということは、無呼吸時間が10秒を超えるということに他ならない。したがって、プロセッサ21が、ステップS384の処理を実行することにより、図16に示した収集部14で得られた情報に基づいて無呼吸期間を検出する検出部44の機能を実現することができる。
【0175】
なお、プロセッサ21は、上述したステップS384の肯定判定ルートにおいて、更に、睡眠時無呼吸症候群の診断などに利用可能な情報を収集することができる。
【0176】
例えば、ステップS384の肯定判定ルートに含まれるステップS385において、プロセッサ21は、上述したようにして検出した無呼吸時間を記録する処理および無呼吸回数Nbを計数する処理を実行してもよい。
【0177】
図20は、無呼吸時間の記録処理および無呼吸回数の計数処理のフローチャートの一例を示している。図20に例示した各ステップの処理は、図18に示したステップS385の処理の一例である。これらの各ステップの処理は、図16に例示した検出部44の機能を、プロセッサ21による処理によって実現する手法の一例である。
【0178】
プロセッサ21は、まず、直前のステップS314の処理で得られた呼吸回数および呼吸状態を取得する(ステップS391)。次いで、プロセッサ21は、ステップS391で取得した呼吸回数および呼吸状態が前回に取得した呼吸回数および呼吸状態と同じか否かを判定する(ステップS392)。
【0179】
前回に取得した呼吸回数あるいは呼吸状態と、新たに取得した呼吸回数あるいは呼吸状態とが一致しない場合に(ステップS392の否定判定)、プロセッサ21は、新たな無呼吸時間を検出したと判断する。
【0180】
この場合に、プロセッサ21は、新たに検出した無呼吸時間を記録するとともに、無呼吸回数Nbに数値1を加算する(ステップS393)。次いで、プロセッサ21は、ステップS391で取得した新たな呼吸回数および呼吸状態を、以降の処理において参照する前回の呼吸回数および呼吸状態を示す情報として保存する(ステップS394)。
【0181】
一方、前回に取得した呼吸回数および呼吸状態と、新たに取得した呼吸回数および呼吸状態とが一致する場合に(ステップS392の肯定判定)、プロセッサ21は、無呼吸時間が継続していると判断する。
【0182】
この場合に、プロセッサ21は、ステップS393の処理で記録された最も新しい無呼吸時間を、図18のステップS384における比較処理の対象となった呼吸状態の変化点からの経過時間tb、teを用いて更新する(ステップS395)。
【0183】
このように、本件開示の睡眠時無呼吸検出装置40に含まれる検出部44は、被験者P1の胸部に装着した角速度センサ11の計測値gy、gxに基づく呼吸計測結果を用いて、被験者P1の睡眠時無呼吸に関する情報を収集することができる。
【0184】
ここで、上述した呼吸計測装置10の実施形態の説明において述べたように、本件開示の呼吸計測装置10は、角速度センサ11の計測値gy、gxから被験者P1の呼吸に伴う胸部の動きを高い精度で計測することができる。したがって、この計測結果に基づいて、プロセッサ21が上述したステップS391〜ステップS395の処理を行うことによって、無呼吸回数Nbや無呼吸時間を高い精度で取得し、図18のステップS386の処理に供することができる。
【0185】
このステップS386において、プロセッサ21は、ステップS385の処理で更新された無呼吸回数Nbあるいは無呼吸時間に基づいて、被験者P1の状態がアラーム対象であるか否かを判定する。例えば、プロセッサ21は、ステップS386の処理において、無呼吸回数Nbが所定の閾値を超えた場合や、無呼吸時間が別の所定の閾値を超えた場合に、被験者P1が危険な状態であると判断し、アラーム対象であると判定してもよい。
【0186】
プロセッサ21は、被験者P1の状態がアラーム対象であると判断した場合に(ステップS386の肯定判定)、例えば、図17に示した出力インタフェース29を介してスピーカ45にアラーム音を出力させてもよい(ステップS387)。その後、プロセッサ21は、睡眠時無呼吸検出処理を終了する。
【0187】
一方、被験者P1の状態がアラーム対象でない場合に(ステップS386の否定判定)、プロセッサ21は、ステップS384の否定判定ルートと同様に、ステップS347の処理に進む。そして、プロセッサ21は、被験者P1の呼吸動作を監視することによる睡眠時無呼吸検出処理を継続する。
【0188】
このように、本件開示の無呼吸検出装置40によれば、被験者P1の胸部に装着した角速度センサ11の計測値gy、gxに基づく呼吸計測結果を用いて、被験者P1の睡眠時無呼吸に関する精度の高い情報を収集することができる。また、上述した電力供給制御処理を適用することにより、本件開示の無呼吸検出装置40は、被験者P1の睡眠時無呼吸に関する精度の高い情報を、睡眠時無呼吸が発生する可能性の高い場合に限って取得することができる。これにより、睡眠時無呼吸検出装置40の省電力性能と、高い検出性能とを両立させることが可能となる。
【0189】
なお、本件開示の呼吸計測装置10は、図16に例示した睡眠時無呼吸検出装置40に限らず、被験者P1の呼吸の状態を常時計測することにより、被験者P1の無呼吸状態を検出する装置に適用することもできる。
【0190】
例えば、図1に例示した呼吸計測装置10と、図16に例示した検出部44とを組み合わせた無呼吸検出装置を実現することもできる。上述したように、本件開示の呼吸計測装置10に含まれる角速度センサ11は、例えば、心電図を取得するためのセンサと一緒に配置することが可能であるので、新生児の呼吸監視などに応用することも可能である。
【符号の説明】
【0191】
10…呼吸計測装置;11…角速度センサ;12…積分部;13…算出部;14…収集部;15…ノイズ除去部;16…積分演算部;17…平滑化部;18…解析部;19…加速度センサ;21…プロセッサ;22…メモリ;23…ハードディスク装置(HDD);24…表示装置;25…入力装置;26…光学ドライブ装置;27…リムーバブルディスク;28…センサインタフェース;29…出力インタフェース;30…センサ部;31…判定部;32,43…電力制御部;34…バッテリ;35…スイッチ;40…睡眠時無呼吸検出装置;41…第1判定部;42…第2判定部;44…検出部;45…スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の胸部又は上腹部に装着した角速度センサから、前記被験者の脊柱を含む第1平面内を回転する運動の第1角速度を示す第1計測値と、前記第1平面に直交する第2平面内を回転する運動の第2角速度を示す第2計測値とを取得し、
前記第1計測値および前記第2計測値を積分することにより、第1回転角および第2回転角をそれぞれ求め、
前記第1回転角及び前記第2回転角に基づいて、第3回転角を算出し、
前記第3回転角の時間変化から、前記被験者の呼吸に伴う胸部の動きを示す情報を収集する
ことを特徴とする呼吸計測方法。
【請求項2】
被験者の胸部又は上腹部に装着した角速度センサであって、前記被験者の脊柱を含む第1平面内を回転する運動の第1角速度を示す第1計測値と、前記第1平面に直交する第2平面内を回転する運動の第2角速度を示す第2計測値とを出力する角速度センサと、
前記第1計測値および前記第2計測値を積分することにより、第1回転角および第2回転角をそれぞれ求める積分部と、
前記第1回転角及び前記第2回転角に基づいて、第3回転角を算出する算出部と、
前記第3回転角の時間変化から、前記被験者の呼吸に伴う胸部の動きを示す情報を収集する収集部と
を備えたことを特徴とする呼吸計測装置。
【請求項3】
請求項2に記載の呼吸計測装置において、
前記第1計測値は、前記第1平面への前記角速度センサの第1射影が前記被験者の頸部を支点として回転する運動の第1角速度を示し、
前記第2平面は、前記被験者の脊柱を含む平面であり、
前記第2計測値は、前記第2平面への前記角速度センサの第2射影が前記被験者の頸部を支点として回転する運動の第2角速度を示し、
前記第3回転角は、前記被験者の頸部と前記角速度センサとを結ぶ直線の前記頸部を支点とする回転角である
ことを特徴とする呼吸計測装置。
【請求項4】
請求項2に記載の呼吸計測装置において、
前記積分部は、前記第1計測値および前記第2計測値から、高周波成分およびドリフト成分を含むノイズ成分をそれぞれ除去した後に、前記第1計測値および前記第2計測値についてそれぞれ積分を行い、
前記収集部は、前記第3回転角の時間変化を平滑化した後に、前記第3回転角の時間変化を解析することにより、前記被験者の呼吸周期を示す情報を収集する
ことを特徴とする呼吸計測装置。
【請求項5】
請求項2に記載の呼吸計測装置において、
前記被験者の体幹に装着された加速度センサと、
前記加速度センサで得られる計測値に基づいて、前記被験者が睡眠状態であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって、前記被験者が睡眠中であると判定されている期間に亘って、前記角速度センサに駆動電力を供給する電力制御部と
を備えたことを特徴とする呼吸計測装置。
【請求項6】
請求項2に記載の呼吸計測装置において、
被験者の体幹に装着された加速度センサと、
前記加速度センサで得られる計測値に基づいて、前記被験者が睡眠状態であるか否かを判定する第1判定部と、
前記加速度センサで得られる計測値に基づいて、前記被験者の姿勢が仰臥位であるか否かを判定する第2判定部と、
前記第1判定部によって、前記被験者が睡眠中であると判定されている期間であって、かつ、前記第2判定部によって前記被験者が仰臥位であると判定されている期間に亘って、前記角速度センサに駆動電力を供給する電力制御部と、
前記収集部で得られた情報に基づいて、前記被験者の呼吸に伴う胸部の動きが所定の期間以上に亘って停止した期間を無呼吸期間として検出する検出部と
を備えたことを特徴とする呼吸計測装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate