説明

哺乳類における健康状態を促進するためのレスベラトロールおよびその誘導体の使用

本発明は、哺乳類の健康状態を促進するための、またはより高齢の成体哺乳類における遺伝子発現プロフィールをより若い成体哺乳類に見られる発現プロフィールとの一致に向けて変化させるためのレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体の使用、ならびに対応する栄養補給食品組成物を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、生物により若い分子フェノタイプを与える生理学的変化を誘発させることによって、生物の健康状態を促進するための方法に関する。発現「生物」とは、ヒトおよび動物を含んでなる哺乳類を指すものと理解される。本発明の文脈で哺乳類とは、ヒト、その他の霊長類、肉食動物、偶蹄類、齧歯類、奇蹄類、ウサギ目などを含む。好ましい「哺乳類」はヒト、およびネコ、イヌ、およびウマなどのペットである。
【0002】
健康状態とは、生物がその環境条件下で最適に機能できることを指す。これは最適な肉体および精神の機能を含む。したがって健康状態とは、生物の全機能が最適作動条件にあり、活動制限および慢性障害がない、全体的な良好な肉体機能状態と定義される。したがって運動性、運動動作能力、および熱ストレスに対する耐性が維持される。生物は肉体的故障がなく、傷害を受けておらず、疼痛がない。それは毎日の活動に立ち向かうことができ、生涯の不可避な挑戦に対処する柔軟性を有し、したがって高い生活の質に肉体的に適合している。さらにそれは精神機能の最適性能状態にあって、学習および生産的活動をもたらし、それはその他の個人に対する社会的つながり、および変化に適応して逆境およびストレスに対処する能力を有する。それはまた肉体的変質と、うつ、不安、認知問題などの精神問題と、思考、気分または動態における変質とがない。
【0003】
生物の健康状態の違いは、若年生物と高齢生物とを比較すれば最も顕著に観察できる。若年および高齢生物間の健康状態における違いは、健康状態の分子シグネチャーとして使用できるそれらの遺伝子発現プロフィールの違いに反映される。健康状態は、米国特許第5,692,501号明細書で開示されるように、とりわけ例えば血圧、心拍数、体脂肪組成物、肺機能、肝臓機能、脳機能、および体液内の生理学的に重要な構成要素のレベルなどの肉体機能の測定可能パラメーターを評価することによって判定できる。
【0004】
本発明の文脈で、健康状態の促進とは、肉体的および精神的健康の双方をはじめとする生物の総体的な健康状態における改善を指し、典型的により高齢である成体生物の遺伝子発現プロフィールの、同一生物であるがより若い生物のプロフィールへの変化によって表される、生理学的変化を誘発することによって達成される。本発明による生物の健康状態促進の効果は、より若いフェノタイプをもたらす若返り効果である。この若返り効果は、生物における老化過程を遅らせることを目指して究極的に生理学的機能損失および年齢関連疾患を防止することによってその寿命の延長を試みる、抗老化効果および対応する処置とは異なる。対照的に健康状態促進処置は、より高齢の生物の健康状態を復元することを目指し、したがってそれを同等のより若年生物の健康状態と同じに、またはより似たものにする。
【0005】
「高齢」または「より高齢」および「若年」または「より若年」という用語は、絶対値を表さないが相対的な個々の用語であり、それらは各生物種に特有である。
【0006】
生物の健康状態に対する基本要因は、例えば生物が恒常性を維持する能力と、その修復および再生能力である。
【0007】
恒常性とは、生理学的および心理学的安定性の維持に向けた生物の固有の傾向である。哺乳類における恒常性の機構は、例えば体温調節、身体中の水およびミネラル量調節、代謝廃棄物除去、血液グルコースおよび脂質レベル調節である。細胞レベルでは、温度、塩分、酸性度などの因子、グルコースや脂質などの栄養素、様々なイオン(カルシウム、ナトリウム、カリウムなど)、酸素、そして二酸化炭素や尿素などの廃棄物の濃度もまた許容限界内に保たれなくてはならない。多細胞生物中では、これらの因子はまた、生物がより効果的に機能できるよう、血漿、組織流体、および細胞内流体などの体液中で望ましいレベルに維持されなくてはならない。したがって人体などの複合系は、効率的な恒常性の機構を有して環境の変更に適応し、身体中の安定性と健康状態を維持できなくてはならない。上述の因子の破壊は、生物の健康と生存を保つ、その全ての生化学的過程を構成する代謝に対して悪影響を及ぼすであろう。次にこのような細胞恒常性の調節不全は、器管機能の漸次衰退を誘発する。したがって因子を望ましいレベルに維持する、組み込まれた生理学的機構(恒常性システム)がある。恒常性は、静止状態ではなく平衡状態である。細胞レベルでは、恒常性は、一定の分子の代謝流束の存在下で維持されなくてはならない。例えばタンパク質、脂質膜、糖、および核酸などの細胞構成要素が常に再利用される一方、全体としての生物の完全性は恒常性システムによって維持される。複数の内的および外的刺激によって挑戦される生物では、恒常性機構は頑強で安定しており、その構成細胞、臓器、臓器系、および全身の適切な機能を維持しなくてはならない。したがって恒常性機構は、生物の内部環境を許容限界内に維持して、健康および最適機能を維持するために必須である。これは細胞または生物全体内で起きる一連の化学反応である、多数の代謝経路を通じて生物の代謝を調節することで生じる。生物の代謝は、(1)細胞がエネルギーを使用して複合分子、細胞構造を構築し、生物機能を実施する分子生合成(同化作用)、および(2)分子を分解してエネルギーを生じる過程(異化作用)の2つの主要過程に分けることができる。生物全体はまた、異化作用と同化作用の間の恒常性も維持しなくてはならない。
【0008】
生物がその正常な恒常性を失った場合、有害症状が発生し、均衡を復元しようとして機構が活性化される。これが成功しなければ、やがて障害が発生する。したがって正常な代謝経路の慢性の不均衡は、多数の障害の発生をもたらす。
【0009】
恒常性を維持するための代謝および代謝経路の調節は、健康と最適機能またあるいは、障害をもたらす分子事象の中核を成す。細胞代謝は細胞健康と結びついており、生物の健康状態は、その生物中の細胞機能と相関性がある。細胞代謝は、相互に関係している複合代謝経路によって、動的平衡状態(恒常性)の状態において維持される。刺激に対する細胞応答は遺伝子群の協調活動の結果であることが多く、それは恒常性を維持する傾向がある。したがって細胞は、遺伝子発現プロフィールを変化させることで、内的および外的刺激に反応する。
【0010】
細胞代謝は、直接かつ大いに遺伝子発現に影響を及ぼすことができ、それは次にフィードバック機構によって細胞代謝に影響する。したがって遺伝子発現プロフィールは、その細胞内の代謝経路を調節することで、生物の機能を調整する。したがって遺伝子発現における変化は、細胞代謝に影響を及ぼし、逆もまた然りである。遺伝子発現プロフィールは、細胞、臓器、および生物全体の状態と応答、およびタンパク質とその他の代謝産物の状態変化の結果の包括的マーカーとして使用できる。遺伝子発現プロフィールを使用して、個体で異なる特異的代謝過程および細胞機能もまた同定できる。包括的遺伝子発現プロファイリングは、細胞代謝中に起きる全ゲノムでの応答を画定し、あらゆる遺伝子発現の変化は細胞機能の変化を反映する。
【0011】
遺伝子発現プロフィールは、生物の生理学的状態および健康状態を反映する、細胞活動および機能の包括的見解を与える。
【0012】
マイクロアレイ技術は、全ゲノムにおける遺伝子発現分析を可能にし、組織内の包括的遺伝子発現を判定して、生物内の遺伝子制御を評価する。このような技術を使用して同時に数千の遺伝子の発現パターンおよび発現レベルを分析できる。したがって特定ゲノム内の遺伝子の大部分の転写状態が判定される。この技術はまた、異なる生理学的条件下にある生物からの同一組織内における特異的遺伝子の発現レベルの直接の定量的比較も可能にし、分子レベルでその生物の生理学的状態に関する情報を提供する。遺伝子発現の変化を使用して組織の分子フェノタイプを提供し、正常状態と病的状態とを区別して、ならびにこのような生理学的状態に対する特定の介入の効果を判定できる。栄養的介入に応用される場合、マイクロアレイ技術は、食餌性栄養素の機能およびこれらの栄養素に対する生物の包括的応答を理解するための高度に効果的なツールである。
【0013】
外部刺激または細胞内分子流束に対する細胞応答は一過性であることが多いが、細胞機能に大きな影響を及ぼすことができる。遺伝子発現の調節は、細胞突起の挑戦および変化に対する細胞の初期の迅速な応答である。したがって細胞または生物には、外的または内的刺激にうまく反応し、変化する細胞内環境に適応して恒常性を維持するために、遺伝子発現の協調調節が必須である。
【0014】
障害は、通常、様々な生物マーカーを測定することで診断される。しかし代謝における長期不均衡に起因する障害は、障害が確立する前に損傷の測定可能生物マーカーを有さない場合がある。したがって医師が診断を下すときには、疾患は既に存在していることが多い。さらに単に代謝の特定の側面の正常な均衡を修復することで、慢性障害を逆転させるのは可能でないことが多い。遺伝子発現の変化は、細胞突起の挑戦または変化に対する反応の初期事象であり、分子レベルにおける、およびあらゆる損傷が起きる前の非常に初期段階における、あらゆる望まれない構造的変化の検出および補正を可能にし、したがって生物を最適の生理学的状態または健康状態に保つ。
【0015】
損傷されていない健康な若年成体生物を高齢生物よりも体調良好にして、より良い健康状態に保つことが知られている重要因子は、恒常性を維持するより良い能力、より効率的な修復系、およびより高い再生能力である。例えば若年生物は、肝臓、筋肉、骨、および動脈壁などの組織を修復して再生する能力が、高齢生物よりも高い。若年成体生物は、高齢生物と比較して、困難な条件下で、細胞恒常性をより良く維持するそれらの能力のために、ストレスに対してより抵抗性である。若年生物は、より高齢の生物と比較して敏感な恒常性機構を有し、細胞代謝中の不均衡に対してより迅速に反応でき、損傷をより早く修復でき、ひいては挑戦後の回復期間もまた短縮される。若年成体生物はまた、その中でそれらが適切に機能できる、それらのより幅広い動的条件範囲のために、恒常性をより良く維持でき、例えばそれらは、対応するより高齢の生物よりもより良い温度調節を有し、熱ショック(熱ストレス)に対してより抵抗性である。若年生物はまた、損傷した細胞および分子をより迅速に除去することで恒常性を維持するより高い能力も有し、より速い修復および修復性能力を有することで、身体をより健康な状態に保つ。
【0016】
肉体組織は若年個体において良好に再生し、より高齢の個体では減退する。最近、コンボイ(Conboy)ら(Nature 2005年、第433巻:760〜764頁)は、この減退が不可逆的かどうか、またはそれが血行中の因子によって調整できるかどうかを調査した。彼らは「並体癒合」対として若年マウスと高齢マウスの循環系をつなげると、高齢の筋肉および肝臓の修復性能力が、より若年動物の血清存在下で回復したことを実証した。彼らはまた同時に、より若い分子シグナル伝達プロフィールの修復があったことを観察した。研究は、組織修復能力が全身性要因の調節を通じて逆転できることを示し、全身性要因が、組織修復性能力の活性化に重要な分子シグナル伝達経路を調整できることを提案した。したがって高齢細胞は、より若い分子細胞シグナル伝達プロフィールがある若年細胞環境に曝露すると、より若いフェノタイプを取り戻すかもしれない。
【0017】
包括的遺伝子発現プロフィールと臓器の生理学的機能との関連性は、最近ロッドウェル(Rodwell)ら(PLOS Biology(2004年)、2(12)2191〜2201頁)によって、ヒトにおいて示されている。この研究では、遺伝子発現プロフィールは、ヒトにおいて腎臓の形態学的および生理学的状態と良く相関した。さらに著者らは、常態ではより若い人々と関連付けられている遺伝子発現プロフィールがあるより高齢のヒトでは、より若い人々のそれとより良く似た、形態学的外観および生理学的状態がある、年齢の割により良い状態の腎臓を有する傾向があることを実証した。対照的に、常態ではより高齢と関連付けられている遺伝子発現プロフィールがあるより若い対象は、より高齢の人々のそれとより良く似た、形態学的外観および生理学的状態がある、年齢の割により劣悪な状態の腎臓を有した。
【0018】
結果は、組織遺伝子発現プロフィールを使用して、ヒトがそれぞれの暦年齢の割に、健康状態が普通でない状態、またあるいは、異常な退化を示す腎臓を有するかどうかを予測できたことを示した。最後に、高齢および若年のヒト対象からの2つの異なるタイプのヒト腎臓組織において、同一遺伝子は変動し、高齢および若年細胞間の同一の分子の違いが全ての臓器で生じ、全ての組織において一般的な老化機構があることが示唆される。
【0019】
血液コレステロール(脂質)、血液トリグリセリド脂質、血液低密度リポタンパク質(LDL)および高密度リポタンパク質(HDL)およびLDL対HDL比、血液グルコース、肝臓機能、心拍数、タンパク質、ビタミンおよびミネラル代謝、免疫系ナチュラルキラー細胞(NK)活性、免疫系活力およびNK細胞比、免疫細胞(NK、B、およびT細胞数)、および免疫T細胞ヘルパー/抑制因子比の正常な生理学的値の維持に関与する遺伝子、アポトーシス、細胞接着、細胞生育および維持、細胞骨格組織化、胎芽発育、電子伝達、内外貪食作用、炎症/免疫応答、炭水化物と脂肪酸と脂質と核酸の代謝、TCA回路、タンパク質折りたたみ、タンパク質合成、タンパク質ユビキチン化、タンパク質分解、ストレスへの反応、シグナル伝達、転写、または輸送に関与する遺伝子は、特に健康状態を維持して促進するのに貢献すると見なされてもよい。
【0020】
遺伝子発現産物の観点から、IgF1r、Bcl2拮抗薬、シクロオキシゲナーゼの発現に関与する遺伝子、特にelF4A、4E、4γ1,elF3サブユニット10、真核生物翻訳延長因子2、ミトコンドリアリボソームタンパク質L43、L27、ARF結合タンパク質3、f−ボックスonlyタンパク質9、DnaJ(Hsp40相同体、Hsp1βなど)などのタンパク質合成、代謝回転および修飾に関与する遺伝子は、健康良好さの維持および促進にとって極めて重要である。
【0021】
したがって遺伝子発現プロフィールを生物の健康状態、または若返り効果の指標として使用してもよい。対応するより高齢の対象と比較して、代謝過程を平衡がとれた状態に維持して恒常性を維持する若年成体におけるより高い能力は、その遺伝子発現プロフィールに反映されてもよい。したがって若年成体生物の平均遺伝子発現プロフィールは、健康良好さの最適生理学的状態の基準として使用できる。さらに細胞シグナル伝達をより若いプロフィールに変化させることで、その細胞のためにより若い環境を作り出し、したがって恒常性および修復効率を維持する能力を復元し、ひいてはまた生物を若返らせることで、生物の健康状態を促進できる。遺伝子発現プロフィールの全ゲノムでの分析は、細胞、組織または生物の健康状態の包括的アセスメントを可能にする。生物の遺伝子発現プロフィールと、健康なより若い成体生物の遺伝子発現プロフィールとの比較は、生物の包括的健康状態の尺度として使用できる。より若い遺伝子発現プロフィールは、細胞または生物のより若い代謝およびシグナル伝達プロフィールを反映し、それは内部または外部刺激に対してより抵抗性になり、したがって生物をより良い健康状態に保つ。
【0022】
本発明により、哺乳類の健康状態促進、または若返り効果は、レスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体の有効量を前記哺乳類に投与することによって達成できることが発見された。
【0023】
「レスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体」という用語は、
本明細書での用法では一般式I、
【化1】


(式中、Aは炭素−炭素単一または二重結合を指し、後者はトランスまたはシスであってもよく、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、互いに独立して水素、ヒドロキシ、エーテル化ヒドロキシまたはエステル化ヒドロキシ基を示す)によって包含される化合物を含んでなる。好ましいのは、Aが二重結合(−CH=CH−)である化合物Iである。
【0024】
シンボルAによって示される炭素−炭素二重結合はトランスまたはシスであってもよいが、上の式Iはシス/トランス混合物もまた含むものと理解される。しかしAがトランス炭素−炭素結合である式Iの化合物が好ましい。
【0025】
エーテル化またはエステル化ヒドロキシ基は、非置換のまたは置換された1〜26個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基、または非置換のまたは置換された1〜26個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖脂肪族、芳香脂肪族または芳香族カルボン酸に由来してもよい。エーテル化ヒドロキシ基はさらにグリコシド基であってもよく、エステル化ヒドロキシ基はさらにグルクロニドまたは硫酸基であってもよい。Aが−CH=CH−である式Iの化合物の例は、レスベラトロール(R1、R3、およびR5=水素、R2、R4およびR6=ヒドロキシ)、ピセタノール(R3およびR5=水素、R1、R2、R4、およびR6=ヒドロキシ)、およびラポンチゲニン(R5=水素、R1、R3、R4、およびR6=ヒドロキシ、およびR2=メトキシ)である。Aが−CH−CH−である式Iの化合物の例は、ジヒドロレスベラトロール(R1、R3およびR5=水素、R2、R4およびR6=ヒドロキシ)、ジヒドロピセタノール(R3およびR5=水素、R1、R2、R4およびR6=ヒドロキシ)、およびトリスチン(R3およびR5=水素、R2、R4およびR6=ヒドロキシおよびR1=メトキシ)である。これらの化合物は全て周知であり市販され、または当該技術分野で周知の方法に従って得ることができる。
【0026】
本発明の目的で、レスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体は、合成または天然起源であってもよい。好ましい本発明の一実施態様では、レスベラトロール、特に合成起源の(トランス)−レスベラトロールが本発明の目的で使用される。本発明の別の実施態様では、天然起源、すなわち天然レスベラトロール源から単離されたレスベラトロールが、またはブドウ種子抽出物またはオオイタドリ抽出物などの天然レスベラトロール源からのレスベラトロール含有抽出物として使用される。さらにレスベラトロールは、単独で、すなわち単一活性構成要素として、または補給食剤中で使用されることが多い1種以上のその他の活性成分と組み合わせて、本発明の目的で使用されてもよい。このようなその他の成分としては、特にそれらのエステル形態の、天然の、抽出物および濃縮物または合成物の形態の、およびほぼ純粋な形態の、ミネラル塩と、ビタミン(例えばビタミンEおよびC)と、β−カロテン、リコペン、ルテインまたはゼアキサンチンなどのカロテノイドと、エピガロカテキン(EGCG)などの緑茶カテキンと、ヒドロキシチロソールおよびオレウロペインなどのオーリブフェノール類と、補酵素Q10と、ゲニステインと、あらゆる種類のPUFAとが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明により、その食餌にレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体を添加された哺乳類の遺伝子発現プロフィールが、同一暦年齢を有してその食餌がレスベラトロールを欠く哺乳類に見られるプロフィールよりも、健康な若年成体哺乳類に見られるプロフィールにより近いことが発見された。換言すると、本発明により、レスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体成体の有効量を哺乳類に投与することで、成体哺乳類中の遺伝子発現プロフィールが、より若い成体哺乳類の発現プロフィールとの一致に向けて変化できることが発見された。
【0028】
生物の遺伝子発現プロフィールと生理学的機能との相関の点から見てレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体で処置された哺乳類は、その食餌にレスベラトロールが添加されていない同一年齢生物の平均的健康状態よりも、健康なより若い生物により類似した健康状態になる。したがって食餌性レスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体は、より若いフェノタイプを生物に与える生理学的変化を誘導することで、生物の包括的健康状態を促進する。本発明による食餌性レスベラトロールによる健康良好さの促進は、精神適応度を改善し、肉体的適応度を増強し、運動性および性能を改善し、肉体強度および精神強度を増強し、長寿命と健康な加齢を提供する。換言すると健康良好さ促進の典型的な結果は、哺乳類に対する若返り、または若返り効果である。
【0029】
したがって一実施態様では、本発明は、レスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体の有効量を前記哺乳類に提供するステップを含んでなる、哺乳類の健康状態を促進し、または哺乳類を若返らせる方法に関する。
【0030】
本発明の活性化合物は、好ましくは栄養補給食品を通じて提供される。
【0031】
したがってさらに別の実施態様では、本発明は、哺乳類の健康状態を促進し、より高齢の成体哺乳類における遺伝子発現プロフィールを前記哺乳類の若返りを意味するより若い成体哺乳類に見られる発現プロフィールとの一致に向けて変化させるための栄養補給食品組成物を製造するためのレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体の使用に関する。
【0032】
「栄養補給食品」という用語は、本明細書での用法では、栄養および製薬分野用途の双方で使用するための組成物を指す。したがって栄養補給食品組成物は、カプセルまたは錠剤などの固形製剤または溶液または懸濁液などの液体製剤であってもよい、食物および飲料に対する補給剤、または経腸的または非経口用途のための製剤処方であることができる。「食物」という用語は、本明細書での用法ではまた、動物飼料も含む。前述から明らかなように、栄養補給食品組成物という用語はまた、上述の活性成分を含有する食物および飲料、ならびに投薬単位組成物も含んでなる。
【0033】
本発明のより具体的な実施態様としては、細胞代謝および性能を改善することで恒常性における不均衡を防止し、ひいては肉体性能を改善し、肉体運動性を維持するための、肉体的および精神適応度および強度を改善するための、生物が若年状態を維持する能力を増強することで生物の修復性および修復能力を維持するための、生理学的異常性および/または生化学的不規則−原因障害を避けることで臓器機能を維持するための、および生物が変化する環境に適応する能力を促進するためのレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体の使用が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0034】
遺伝子発現プロフィールに対するレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体の効果は、例えばより詳細に後述されるように、それ自体が公知の方法によって判定できる。
【0035】
[動物および食餌操作]
オス−B6C3Fマウス(6〜7週齢)は、ハーラン・スプラーグ・ドーリー(Harlan Sprague Dawley)から購入した。マウスは個別に飼育し、水を自由に提供した。対照群(OC、N=5)にはニュージャージー州フレンチタウンのバイオサーブ(Bio−serv(Frenchtown,NJ))からの改変AIN−93M半精製食を98kcal/週間で給餌し、それは平的自由飼料摂取よりもおよそ15%より少ないカロリーを提供した。処置群(RES、N=5)には対照と同一カロリー摂取を給餌したが、14ヶ月齢から50mg/kg食餌(w/w)のレスベラトロール(シグマ(Sigma)からの3,4’,5−トリヒドロキシ−トランス−スチルベン)を添加した。動物(OCおよびRES)を30ヶ月齢で屠殺した。若年動物は5ヶ月齢で屠殺した(YC、N=5)。上述の全群から心臓を採取して、即座に液体窒素内で凍結し、分析まで−80℃で保存した。
【0036】
[標的RNA調製および高密度オリゴヌクレオチド配列ハイブリダイゼーション]
ニューヨーク州グランドアイランドのライフ・テクノロジーズ(Life Technologies(Grand Island,NY))からのトリゾール(TRIZOL)試薬を使用して、凍結組織から総RNAを抽出した。カリフォルニア州バレンシアのキアゲン(Qiagen(Valencia,CA))からのオリゴ−dT−結合オリゴテックス樹脂を使用して、ポリアデニレート[ポリ(A)]RNAを総RNAから純化した。ライフ・テクノロジーズからのスーパースクリプト・チョイス・システム(Superscript Choice System)を使用して、カリフォルニア州ラ・ホーヤの(Genset(La Jolla,CA))からのT7RNAポリメラーゼプロモーターを含有するオリゴ−dTプライマーで、1μgのポリ(A)RNAを二本鎖cDNA(ds−cDNA)に変換した。フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコールによってDs−cDNAを抽出し、ウィスコンシン州マジソンのノバジェン(Novagen(Madison,Wl))からのペレットペイント共沈殿剤で沈殿させた。ニューヨーク州ファーミンデールのエンゾ(Enzo(Farmingdale,NY))からのバイオアレイ高収率RNA転写物標識キット(BioArray High Yield RNA Transcript Labeling Kit)を使用して、生体外でビオチン標識RNAを合成した。次にキアゲンからのRNeasy親和性カラムを使用して、ビオチン標識アンチセンスcRNAを純化し無作為に断片化した。10μgの断片化cRNAを含有するハイブリダイゼーションカクテル(200μl)をカリフォルニア州サンタクララのアフィメトリックス(Affymetrix(Santa Clara,CA))からのマウスゲノム430 2.0 DNAマイクロアレイ内に注入した。ハイブリダイゼーション後、抗体を使用して、シグナル増幅プロトコルによって、アフィメトリックスからの流体ステーション(モデル800101)内で、遺伝子チップを洗浄して染色した。アフィメトリックスからのヒューレット・パッカード・ジーンアレー・スキャナー(Hewlett−Packard GeneArray Scanner)(モデル900154)を使用して、DNAチップを3μmの解像度で2回スキャンし、平均した画像をさらなる分析のために使用した。
【0037】
[データ分析]
45,101個のプローブセットを含有するアフィメトリックス・マウスゲノム430 2.0配列を使用して、遺伝子発現データを得た。以下で詳述するように全てのステップは、最新版のプローブセット(2005年8月23日にアフィメトリックスから入手できるマウスゲノム430.2.0配列プローブセット・アノテーション)を使用して実施した。シグナル強度はアフィメトリックスの遺伝子チップ操作ソフトウェアバージョン1.3を使用して、判定した。データ分析はジ−ンデータ・エキスプレッショニスト(Genedata Expressionist)(登録商標)プロ(Pro.)バージョン2.0を使用して実施した。
【0038】
[ステップ1 データ取得および品質管理]
品質管理のために基準モジュール付きダイアグノース(Diagnose)を使用して、全てのデータをジ−ンデータ・エキスプレッショニスト(Genedata Expressionist)(登録商標)プロ・リファイナー(Pro.Refiner)にインポートした。その他の同様に処理された生物学的複製から高度の変動性を示したサンプルをデータセットから除去し、さらなる分析から排除した。異常なデータ分布パターンのために、2つのチップ(YC群の1つ、RES群の1つ)を排除した。18個のチップをジ−ンデータ・エキスプレッショニスト(Genedata Expressionist)(登録商標)プロ・アナリスト(Pro.Analyst)を使用してさらに分析した。
【0039】
0.065のアフィメトリックス品質値(辺縁発現のための閾値)を使用して、さらなる処理のために存在シグナルおよび辺縁シグナルを選択した。全てのデータを各チップの中央値に正規化した。
【0040】
さらなる分析では、同一処置群に由来するチップを共にグループ化し、各プローブについて群平均を群の中央値として設定した。5個のチップの内少なくとも3個(または4個の内3個)が存在/辺縁であるシグナルのみをさらなる選択のために使用した。
【0041】
[ステップ2 不明瞭なプローブセットの消去]
アフィメトリックスの「データ分析の基礎(Data Analysis Fundamentals)」マニュアル(http://www.affymetrix.com/support/downloads/manuals/data_analysis_fundamentals_manual.pdf)によれば、テキスト「_x_at」または「_s_at」を含有するプローブセットは単一遺伝を確信的にクエリーしないので、それらをデータセットから除外した。さらに良好に特徴づけられる遺伝子をクエリーしないプローブセットは、さらなる分析から除外した。例としては、cDNA配列を表すプローブセット、発現した配列タグ(EST)、理研cDNA配列、DNAセグメントまたは仮説的タンパク質が挙げられる。
【0042】
[ステップ3 統計学的分析]
[1)加齢に伴う遺伝子変化]
YCとOC群とを比較して、加齢に伴って変化する遺伝子(加齢マーカー)を選択した。レスベラトロールによって遺伝子発現に変化があったかどうかを判定するために、それぞれOCとRESマウスとで比較を行った。有意性がP<0.01で試験される2標本検定と組み合わさった、変化>1.25倍のn−倍検定、または一貫して1群に存在するが別の群には不在を使用して、顕著に変化した遺伝子を選択した(統計的有意性を計算するのにt−検定およびウエルチ検定の双方を使用した)。
【0043】
[2)加齢に伴う不変の遺伝子]
最初に分散<0.05でフィルターし、次に<1.25倍の変化に、有意性がp>0.01(すなわちYCおよびOC群の間で顕著に不変)で試験される2標本検定を加えてさらに選択し、YCおよびOC群を比較して、加齢に伴って不変の遺伝子(非加齢マーカー)を選択した。同様に、>1.25倍の変化または一貫して1群に存在するが別の群には不在のどちらかを使用して、顕著に変化した遺伝子を判定した。統計的有意性を計算するのに両側t−検定およびウエルチ検定の双方を使用し、P<0.01は顕著な変化と見なされた。
【0044】
[ステップ4 教師あり学習を使用した分類]
分類は、教師あり学習および検定相の2相に分割される複合課題である。分類の目的は、個々の入力データを所与として出力変数(この場合、年齢)を予測することである。教師あり学習相は、それによって出力変数を予測できる規則を学習する目的で、訓練データにアルゴリズムを適用することを伴う一方、検定相は、学習相で収集された規則を適用して、新しい個体に対して予測を立てることを構成する。提供される訓練データに基づいて、予測を立てることもまた可能である。
【0045】
分類分析のために、提供される訓練データ「若年(YC)」および「高齢(OC)」群に基づいて、サポートベクターマシーン(Support Vector Machine)(SVM)を使用した教師あり学習を実施し、出力変数「年齢」を予測する規則を見いだした。清浄にしたプローブセット(上記参照)を用いた。次に出力変数「年齢」を予測するための分類機能を使用して、レスベラトロール群からの結果を分析した。4個のチップは全て若年に分類された。+1〜−1の分類出力範囲の数値が各チップに割当てられ、+1は特異的カテゴリーに対する完全一致を示唆し、−1は最高度のミスマッチを示す。
【0046】
【表1】

【0047】
表I:この表は各チップからの分類子出力数値を含み、平均(average)(平均(mean))および標準偏差は各群について計算される。レスベラトロール群は0.34855の平均分類出力を有し、これは明らかに高齢群よりも若年群について計算される値にはるかに近かった。
【0048】
マウスアフィメトリックス遺伝子配列を使用して、若年、高齢およびレスベラトロール給餌マウス群における心臓組織中の全ゲノムでの遺伝子発現をモニターした。チップ上で利用できる26,000個のプローブセットの中で、1285個の遺伝子は、若年マウスおよび高齢マウス群の間で顕著に変化していた(少なくとも1.25倍、p<0.01)。高齢マウス群では、それらの中の501個の遺伝子が上方制御され、724個の遺伝子が下方制御されていた。レスベラトロール処置群では、1285個の遺伝子中、585個の遺伝子の発現がより若い成体マウス群の方向に変化しており(45.5%、表II参照)、心臓を健康で若年状態に保つ上での顕著なレスベラトロールの効果が示された。レスベラトロール効果の範囲を要約すると、レスベラトロール処置によって変化した1023個の前述の遺伝子中、342個は若年群の発現レベルに類似しまたはそれを超えており(58.1%)、62個の遺伝子は若年群と比較して80〜90%のレベルであり、53個の遺伝子は70〜80%のレベルに達していた。したがって高齢動物群のマウスと同じ生物学的年齢であるにもかかわらず、レスベラトロール補給食を給餌された高齢動物は、意外にも若年動物のそれに近い遺伝子プロフィールを示した。
【0049】
【表2】

【0050】
付録1(表II.1)に、表IIの585個の全ての遺伝子を具体的に同定した。老化過程は、タンパク質合成およびタンパク質折りたたみの機能低下を伴い、それは特に筋肉内のタンパク質代謝回転の不均衡をもたらすことが文献で十分に立証されている。運動は高齢者において、筋肉タンパク質合成およびミトコンドリア機能を増大させることが示されている。さらに生理学的および病理学的変化の結果として、タンパク質折りたたみおよびタンパク質修飾はまた、老化によっても影響される。アルツハイマー病およびパーキンソン病などの多数の疾患は、異常なタンパク質修飾と関連付けられている。高齢動物群では、タンパク質合成およびタンパク質折りたたみに関係した多数の遺伝子の顕著な減少が観察された(表I参照)。対照的にレスベラトロール補給食を給餌された高齢動物では、例えば真核生物翻訳開始因子4A1、2、3、4E、4g1などのタンパク質合成に関与する遺伝子など、これらの遺伝子の多くが若年動物に見られるレベルに、またはその近くに上方制御された。同様に、f−ボックスonlyタンパク質9、ホモシステイン誘導性、小胞体ストレス誘導性、ユビキチン様ドメインメンバー1、およびユビキチン特異的プロテアーゼ3などのタンパク質修飾に関与する遺伝子は、高齢動物群において全て顕著に下方制御された一方、レスベラトロール群ではこれらの効果が逆転した(表III参照)。
【0051】
結論として、本研究はレスベラトロールで経口的に処置された成体哺乳類の遺伝子発現プロフィールが、同一暦年齢を有する哺乳類よりも健康なより若い成体哺乳類により近いことを示した。レスベラトロール処置動物におけるこのより若い遺伝子発現プロフィールは、動物における健康状態を促進し、動物を若返らせる。
【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
【表7】

【0057】
【表8】

【0058】
【表9】

【0059】
本発明の目的で、レスベラトロール、誘導体、代謝産物または類似体の投薬量要件は、厳密に重要でない。関与する哺乳類の性質およびその病状と要件次第で、1日あたり約30mg/kg体重までの量、またはなおもより高い量が投与されてもよい。したがってヒト成体(体重約70kg)では、投薬量は約2000mg/日までであってもよい。特定の本発明の実施態様では、ヒト成体(体重約70kg)のための投薬量は、約500mg/日まで、特に約500mg/日までである。適切には、投薬量は0.5mg以上である。本発明の特定の実施態様では、ヒト成体(体重約70kg)のための投薬量は、2mg以上、特に5mg以上である。食物または飲料中で投与される場合、その中に含有されるレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体の量は、適切には一食当たり約0.2mg以上である。別の本発明の実施態様では、このような量は一食当たり2mg以上である。他方ではレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体は、一食当たり100、200または500mgまでの量で、食物または飲料中で投与されてもよい。レスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体が製剤処方として投与される場合、このような処方は、例えばカプセルまたは錠剤あたりなどの固体投薬単位あたり、約100、200または500mgまで、または液体製剤一日量あたり約2000mgまでを含有してもよい。レスベラトロールが天然起源の抽出物として使用される場合、上の投薬量値は、抽出物に含有される純粋なレスベラトロールの量を指す。
【0060】
「一食分」という用語は、本明細書での用法では常態では1回の食事でヒト成体によって摂取される食物または飲料の量を指し、例えば約100g〜約500gの範囲であってもよい。
【0061】
本発明の目的で、レスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体は、例えば正常な代謝機能の維持に必須であるビタミンおよびミネラルを含んでなるマルチビタミン製剤への添加剤として、補給食剤として投与してもよい。レスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体はまた、好ましくは経腸用途のための医薬組成物として投与されてもよく、それは固体または液体ガレヌス製剤であってもよい。固体ガレヌス製剤の例は、従来のガレヌス製剤キャリアと一緒に活性成分を含有する、錠剤、カプセル(例えば硬質または軟質シェルゼラチンカプセル)、丸薬、小袋、粉末、顆粒などである。あらゆる従来のキャリア材料を利用できる。キャリア材料は、投与に適した有機または無機不活性キャリア材料であることができる。適切なキャリアとしては、水、ゼラチン、アラビアゴム、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、滑石、植物油などが挙げられる。さらに医薬調剤の慣例に従って、着香剤、保存料、安定剤、乳化剤、緩衝液などの添加剤が添加されてもよい。個々の活性成分が単一組成物中で適切に投与される一方、それらはまた、個々の投薬単位中で投与されてもよい。
【0062】
以下の実施例で本発明をさらに詳しく例示する。
【0063】
医薬組成物は、従来の製剤手順によって調製されてもよい。
【0064】
[実施例1]
[軟質ゼラチンカプセル]
カプセルあたり30mgの活性成分レスベラトロールを含有する軟質ゼラチンカプセルを従来の手順によって調製する。
【0065】
[実施例2]
[硬質ゼラチンカプセル]
カプセルあたり20mgの活性成分レスベラトロールを含有する硬質ゼラチンカプセルを従来の手順によって調製する。
【0066】
[実施例3]
[錠剤]
活性成分として錠剤あたり10mgのレスベラトロール、および賦形剤として微晶質セルロース、二酸化シリコーン(SiO2)、ステアリン酸マグネシウム、クロスポビドンNF(崩壊剤)を200mgになるまで含有する錠剤を従来の手順によって調製する。
【0067】
[実施例4]
一食当たり0.2mg〜200mgの量のレスベラトロールを含有する食品は、従来の製剤手順によって調製されてもよい。このような食品の例は、清涼飲料、パン、クッキー、ヨーグルト、アイスクリーム、および甘味菓子類である。
【0068】
例えば10%ジュースおよびレスベラトロールを含有するオレンジ−レモンジュース飲料を以下の成分から調製する。
【0069】
【表10】

【0070】
[調製]
・安息香酸ナトリウムを撹拌しながら水に溶解する。
・撹拌を継続して、糖シロップ、アスコルビン酸、クエン酸、ペクチン溶液、ジュース配合物を相次いで添加する。高速ミキサーは使用しないこと。
・瓶詰めシロップを(炭酸)水で希釈して1Lの飲料にする。
【0071】
【表11】

【0072】
[ジュース配合物の調製]
・脱イオン水を果汁濃縮物に添加して穏やかに撹拌し、果汁濃縮物を水和させる。
・油性香料およびβ−カロテン10%CWS原液を添加して、ロータステータ−ホモジナイザー内で予備乳化する。
・200バールの高圧ホモジナイザー内で均質化する。
【0073】
[β−カロテン10%CWSの添加]
β−カロテン10%CWSはジュース化合物に、脱イオン水中の1〜10%原液として添加すべきである。
【0074】
[実施例5]
回復期の体重55kgの70歳のヒトに、レスベラトロールを1日あたり20mgの2ヶ月間にわたる投与計画で投与する。
【0075】
[実施例6]
スポーツイベントへの参加を意図する体重70kgの55歳のヒトに、1日あたり30mgのレスベラトロールを前記イベント前に3ヶ月にわたって投与する。
【0076】
[実施例7]
倦怠感および一般的意欲欠如の頻繁な発症を訴える体重75kgの60歳のヒトに、1日あたり50mgのレスベラトロールを3ヶ月にわたって投与する。
【0077】
【表12】

【0078】
【表13】

【0079】
【表14】

【0080】
【表15】

【0081】
【表16】

【0082】
【表17】

【0083】
【表18】

【0084】
【表19】

【0085】
【表20】

【0086】
【表21】

【0087】
【表22】

【0088】
【表23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類の健康状態を促進するための栄養補給食品組成物を製造するためのレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体の使用。
【請求項2】
栄養補給食品組成物を通じて、このような化合物の有効量を哺乳類に提供することによって哺乳類の健康状態を促進するためのレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体の使用。
【請求項3】
健康状態の促進が、より高齢の成体哺乳類における遺伝子発現プロフィールをより若い成体哺乳類に見られる発現プロフィールとの一致に向けて変化させることによって達成される、請求項1または2に記載のレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体の使用。
【請求項4】
遺伝子が、より若年およびより高齢の健康な哺乳類において異なって発現されるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
遺伝子が表II.1に列挙されるものであり、好ましくはその発現が、少なくとも60%、70%、80%、90%、100%または100%を超えて変化させられるものであり、最も好ましくはその発現が100%を超えて変化させられるものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
レスベラトロール誘導体、その代謝産物または類似体が合成起源のものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
レスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体が天然レスベラトロール源からのレスベラトロール含有抽出物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
レスベラトロールが天然レスベラトロール源から単離されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
栄養補給食品組成物が食品添加物、食物または飲料である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
食物または飲料が、一食当たり0.2mg以上を提供するのに十分な量でレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体を含有する、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
食物または飲料が、一食当たり2mg以上を提供するのに十分な量でレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体を含有する、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
栄養補給食品組成物が投薬単位組成物である、請求項1〜8に記載の使用。
【請求項13】
投薬単位が0.5mg以上のレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体を含有する、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
投薬単位が5mg以上のレスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体を含有する、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
栄養補給食品組成物で使用されることが多い1種以上のその他の活性成分の使用を含んでなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
レスベラトロール、その誘導体、代謝産物または類似体の有効量を栄養補給食品組成物を通じて哺乳類に提供するステップを含んでなる、前記哺乳類の健康状態を促進する方法。

【公表番号】特表2009−528028(P2009−528028A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555674(P2008−555674)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001256
【国際公開番号】WO2007/096078
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】