説明

唇用化粧料

【課題】ツヤがあり、唇のシワの目立ちを抑え、化粧持ちに優れた唇用化粧料を提供する。
【解決手段】(A)平均粒径が0.2〜0.4μmで、平均摩擦係数(MIU値)が0.4〜0.6であるルチル型酸化チタン凝集粒子:1〜15質量%と、(B)半固形油分:1〜40質量%、を配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は唇用化粧料に関し、さらに詳しくは、唇のシワの目立ちを抑え、かつ化粧持ちのよい唇用化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料に配合される酸化チタンは、白色顔料としての隠蔽を目的とする顔料級酸化チタン(一次粒子径0.15〜0.3μm)と、紫外線防御を目的とする超微粒子酸化チタン(一次粒子径0.01〜0.05μm)の2つの流れで開発が行われてきた。
こうした中で、特許文献1によれば、顔料級酸化チタンと超微粒子酸化チタンの中間の領域にある平均一次粒子径が0.10μmを超えて0.14μm以下の範囲にある酸化チタン(以後、中間粒径酸化チタンと言う)が適度な仕上がりと自然な隠蔽力を持つことが開示されている。
また、特許文献2では、平均一次粒子径が0.01〜0.07μmの球状二酸化チタンの小球状粒子から形成される見かけ上の平均粒子径が0.1〜3μmである球状二酸化チタン集合体が、良好なすべり性や耐光性を付与するために、化粧料に使用されることが記載されている。
さらに、特許文献3では、0.5〜1.5μmの二酸化チタンを配合した化粧料、特に0.1〜0.5μmの二酸化チタンと0.5〜1.5μmの二酸化チタンを組み合わせて配合した化粧料が記載され、自然な肌色と被覆力を有するものであるとされている。
特許文献4には、平均粒径が0.1〜5.0μmのルチル型二酸化チタン凝集粒子が記載されている。この酸化チタン凝集粒子を用いた化粧料は、のびや仕上がり感に優れ、肌への着色力と隠ぺい力に優れ、色浮きしない素肌感を有するものであるとされている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−221411号公報
【特許文献2】特開2000−191325号公報
【特許文献3】特開2005−225827号公報
【特許文献4】特開2008−56535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記各公報に記載された方法にて再現実験を行うと、酸化チタンの持つ白色の美しさと言う点では、従来の顔料級酸化チタンと比較して優れているが、唇用の化粧料とした時には、ツヤに劣り、また唇のシワ隠し効果は不十分であった。
そこで本発明は、ツヤがあり、また唇のシワ隠し効果に優れた唇用化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(A)平均粒径が0.2〜0.4μmで、平均摩擦係数(MIU値)が0.4〜0.6であるルチル型酸化チタン凝集粒子:1〜15質量%、(B)半固形油分:1〜40質量%、を含有することを特徴とする唇用化粧料である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の唇用化粧料は、ツヤがあり、唇のシワの目立ちを抑え、隠ぺい力があって、化粧持ちにも優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の最良の実施の形態について説明する。
本発明においては(A)平均粒径が0.2〜0.4μmで、平均摩擦係数(MIU値)が0.4〜0.6であるルチル型酸化チタン凝集粒子と(B)半固形油分:1〜40質量%とを配合することで、唇のシワの目立ちを抑え、しかも隠ぺい力に優れ、化粧持ちの良い唇用化粧料とすることができる。
【0008】
次に各成分の詳細について説明する。
((A)ルチル型酸化チタン凝集粒子)
本発明で用いられる(A)平均粒径が0.2〜0.4μmであるルチル型酸化チタン凝集粒子は、辺の大きさが0.05〜0.2μm、厚さ方向が0.02〜0.1μmの寸法を有する棒状粒子が集合及び/又は結合した扇状のルチル型酸化チタン粒子が更に凝集して形成されたものである。平均摩擦係数(MIU値)は0.4〜0.6であることが好ましく、前記凝集粒子の形状は球状とすることが好ましい。
【0009】
凝集粒子ではない顔料級の酸化チタンは、同じ粒径(0.2〜0.4μm)であっても平均摩擦係数(MIU値)は高く、例えば0.75(0.3μm)となる。
【0010】
ここで、凝集粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡による観察粒径とすることが好ましい。
また、平均摩擦係数の測定は、例えば、カトーテック(株)製 摩擦感テスター KES−SEを使用し、測定粉末を人工皮革上に1mg/cm2となるように指で均一に塗り広げ、荷重25gの条件で求めることができる。
【0011】
本発明のルチル型酸化チタン凝集粒子は、棒状の一次粒子からなる扇状ルチル型酸化チタン粒子の凝集体で構成されていること、およびルチル型酸化チタン凝集粒子を製造する際に、全く焼成工程を経ないことを特徴とする。
【0012】
特に、扇状酸化チタン粒子の「扇状」という形状、ならびに、当該粒子が適度な大きさを有する凝集体を形成し、摩擦感テスターによる平均摩擦係数(MIU値)が0.4〜0.6とすることで、シワ隠し効果が高く、きしみ感がなくのびが良い感触を有し、さらにその形状ならびに大きさに起因した適度な着色力と隠蔽力により、白浮きせずに自然な素肌感を演出する化粧料に有用である。また、前述した様に製造工程において焼成工程を経ないことにより焼結粒子がなく、化粧品へ配合する際の分散性が非常に優れていることも感触を良好とする要因となっている。
【0013】
さらに、本発明のルチル型酸化チタン凝集粒子は、辺の大きさが0.05〜0.2μm、厚さ方向が0.02〜0.1μmの寸法を有する棒状粒子が集合及び/又は結合した扇状のルチル型酸化チタン粒子が更に凝集して形成されたものであるため、粒子表面には微細な空隙が無数に存在しており、この空隙に余分な皮脂や汗を徐々に吸収することで化粧持ちが良好であるという特徴も有している。
【0014】
本発明で用いられるルチル型酸化チタン凝集粒子は、凝集粒子の粒径が0.2μmより小さくなると唇のシワの目立ちを抑える効果が低くなり、0.4μmよりも大きくなると隠ぺい力が劣るようになるため好ましくない。
【0015】
従って、本発明のルチル型酸化チタン凝集粒子を配合した唇用化粧料において、唇のシワの目立ちを抑える効果を有し、隠ぺい力も有する唇用化粧料を得るためには、平均粒径が0.2〜0.4μmに凝集したルチル型酸化チタン凝集粒子を用いることが好ましい。また、凝集粒子の形状は球状である方が、肌への滑らかさをいっそう良好とするので好ましい。ここでいう球状とは、毬藻状や毬栗状のものも含まれる。なお、顔料級の酸化チタンを用いた場合は、シワの目立ちを抑えることができない。
【0016】
本発明で用いられるルチル型酸化チタン凝集粒子は、下記の方法で測定した時の平均透過率が20〜80%であることが好ましい。この範囲の透過率を有するルチル型酸化チタン凝集粒子を用いることで、シワの目立ちを抑制し、かつ隠ぺい力に優れた唇用化粧料とすることができる。
(平均透過率の測定方法)
酸化チタン凝集粒子のリンゴ酸ジイソステアリル10質量%溶液を調製し、これから作製した厚さ10μmの塗膜を用いて波長光400〜700nmの平均透過率を測定する。
【0017】
本発明の化粧料に配合する、ルチル型酸化チタン凝集粒子の製造方法は、10℃以下の温度で硫酸チタニル溶液をアルカリ中和して得られたオルソチタン酸に10℃以下の温度で塩酸を添加してオルソチタン酸を完全に溶解した後、加熱して加水分解を行うことにより得られる。その時のTiO2濃度は50〜140g/L、好ましくは70〜120g/L、塩酸濃度は70〜170g/L、好ましくは90〜160g/Lである。また、加水分解の温度は25〜60℃、好ましくは30〜55℃である。
【0018】
また、本発明のルチル型酸化チタン凝集粒子は、オルソチタン酸の他に四塩化チタン溶液やメタチタン酸をアルカリで処理したチタン酸のアルカリ塩を塩酸にて加水分解が起こらない温度において溶解した溶液を用いて加水分解を行っても得ることができる。
【0019】
前記ルチル型酸化チタン凝集粒子には、化粧料を製造する際の分散媒体中での分散安定性および耐久性向上のため、その凝集粒子表面にアルミニウム、珪素、亜鉛、チタニウム、ジルコニウム、鉄、セリウム及びスズ等の金属の含水酸化物又は酸化物を被覆することができるが、これに用いられる前記金属塩には何ら使用制限はない。更に、これらの酸化チタンは化粧料に配合する前に、あらかじめ撥水及び/又は撥油化処理を施すことが有用である。撥水及び/又は撥油化処理は、ルチル型酸化チタン凝集粒子表面を、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン化合物、シラン系、アルミニウム系、チタニウム系およびジルコニウム系等のカップリング剤、パーフルオロアルキルリン酸化合物等のフッ素化合物、炭化水素、レシチン、アミノ酸、ポリエチレン、ロウ、金属石けん等を処理することにより行う。
【0020】
本発明に用いられる(A)ルチル型酸化チタン凝集粒子は、市販品として、シルキータッチ酸化チタンST−700シリーズ(チタン工業株式会社製)が挙げられる。
【0021】
本発明の唇用化粧料において、(A)ルチル型酸化チタン凝集粒子の配合量は、化粧料全量中、1〜15質量%であり、より好ましくは5〜10質量%である。(A)ルチル型酸化チタン凝集粒子の配合量が1質量%未満では、隠ぺい力に劣るようになる。また15質量%を超えると、塗布時のツヤに欠け、唇のシワの目立ちを抑える効果も劣るようになる。
【0022】
((B)半固形油分)
本発明において用いられる半固形油分としては、例えば、トリラノリン脂肪酸グリセリル、軟質ラノリン脂肪酸、分岐またはヒドロキシル化した脂肪酸コレステリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット等)、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド、乳酸ミリスチル、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、オレイン酸フィトステリル、テトラ(べヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル等が挙げられる。これらの半固形油分のうち特に好ましいものは、テトラ(べヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチルである。
【0023】
(B)半固形油分の配合量は、唇用化粧料全量中、1〜40質量%であり、好ましくは20〜30質量%である。1質量%未満では化粧持ちが悪く、シワ隠し効果も劣り、40質量%を超えると、塗布時のなめらかさに欠けるようになる。
また半固形油分に代えて高粘度油分を用いた時にも化粧持ちに劣るようになる。
【0024】
本発明の唇用化粧料には、通常の化粧料に使用される無機粉末、有機粉末等の各種成分を必要に応じて併用できる。併用できる無機粉末には、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、酸化セリウム、タルク、白雲母、合成雲母、金雲母、黒雲母、合成フッ素金雲母、雲母チタン、雲母状酸化鉄、セリサイト、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、クレー、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チッ化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、カラミン、ヒドロキシアパタイトおよびこれらの複合体等を用いることができる。同じく併用できる有機粉末には、シリコーン粉末、シリコーン弾性粉末、ポリウレタン粉末、セルロース粉末、ナイロン粉末、ウレタン粉末、シルク粉末、PMMA粉末、スターチ、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、カーボンブラック、タール色素、天然色素、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸等およびこれらの複合体等を用いることができる。
【0025】
また、上記の粉末は、従来公知の各種表面処理、例えば、シリコーン処理、シラン処理、フッ素化合物処理、油剤処理、金属石鹸処理、ワックス処理、N−アシル化リジン処理、水溶性高分子化合物処理、樹脂処理、金属酸化物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理、粘剤処理などが行われていてもいなくても構わない。
【0026】
本発明においては、特にルチル型酸化チタン被覆球状シリカを1〜5質量%含ませることがシワの目立ちを抑える効果が高まる点から好ましい。ルチル型酸化チタン被覆球状シリカとしては、例えば、グローバルレッドTS(日本光研社製)が挙げられる。
【0027】
なお、本発明の唇用化粧料は、上記成分の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で他の成分を配合することができる。例えば、上記以外の油性成分、色素、pH調整剤、保湿剤、増粘剤、界面活性剤、分散剤、安定化剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、収斂剤、消炎剤、紫外線吸収剤、香料等も、本発明の目的を達する範囲内で適宜配合することができる。
【0028】
半固形油分以外の油性成分としては、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノールなどの高級アルコール、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸などの脂肪酸、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチルなどのエステル類、流動パラフィン、ワセリン、スクワランなどの炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウなどのロウ、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油などの油脂、エチレン・α−オレフィン・コオリゴマーなどが挙げられる。
【0029】
また、別の形態の油性成分の例としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコーン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴムなどのシリコーン化合物、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フッ素化シリコーンレジンなどのフッ素化合物が挙げられる。
【0030】
油性成分としては、(C)高粘度油分をさらに含むことが唇のシワの目立ちを抑えるためには好ましい。(C)高粘度油分としては、例えば、重質流動イソパラフィン、ジペンタエリトリットモノイソステアリン酸エステル、ショ糖テトライソステアレート、ジグリセリンジイソステアレート、トリグリセリンジイソステアレート、デカグリセリンデカイソステアレート、ジメチルポリシロキサンの高粘度のものなどが挙げられ、特に重質流動イソパラフィンが好ましい。(C)高粘度油分の好ましい配合量は、15〜20質量%である。
【0031】
紫外線吸収剤の例としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、パラアミノ安息香酸(以後、PABAと略す)、サリチル酸ホモメンチル、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチルジメチルPABA、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、サリチル酸トリエタノールアミン、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェニン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、これらの高分子誘導体などが挙げられる。
【0032】
本発明の唇用化粧料では酸化防止剤を併用することが、配合成分の変質を防止するためにも好ましく、その抗酸化剤の例としては、例えば、トコフェロール類、SOD、フェノール類、テルペン類、ブチルヒドロキシトルエン、ビタミンC、ビタミンE、カテキン類、グルコース、ヒアルロン酸、β−カロチン、テトラヒドロクルクミン、茶抽出物、ゴマ抽出物、アントシアニン、配糖体などの植物系等の酸化防止剤など従来公知の物質を用いることができる。
【0033】
本発明の唇用化粧料は公知の方法で製造することができ、唇用化粧料としては、例えば口紅、リップクリーム、リップグロス等とすることができる。本発明のルチル型酸化チタン凝集粒子の効果を引き出すという点では、スティック状の口紅に使用することが好ましい。
【実施例】
【0034】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験方法について説明する。
【0035】
(1)効果の評価試験
20名の専門パネルによる実使用性試験を行った。評価項目は、唇のシワの目立ちのなさ、塗布時のツヤ、隠ぺい力(カバー力)、化粧持ち、塗布中のなめらかさであり、それぞれの評価項目について、下記の評価点基準に基づいて評価した。次いで、各人がつけた評価点を合計し、下記評価基準に基づいて評価した。
【0036】
(評価点基準)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
【0037】
(評価基準)
◎:合計点が80点以上である。
○:合計点が60点以上80点未満である。
△:合計点が40点以上60点未満である。
×:合計点が40点未満である。
【0038】
実施例1〜7、比較例1〜12
表1、2の処方で常法により唇用化粧料を調製した。なお、ルチル型酸化チタン凝集粒子としては、シルキータッチ酸化チタンST−700シリーズ(チタン工業株式会社製、平均摩擦係数(MIU値):0.54、透過率:20%(650nm))を用いた。
得られた唇用化粧料の実使用性試験を行った。評価項目として、唇のシワの目立ちのなさ、塗布時のツヤ、隠ぺい力(カバー力)、化粧持ち、塗布中のなめらかさを上記の評価基準で評価した。その結果を併せて表1、2に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
※1:酸化チタンMT−014V(テイカ社製)
※2:グローバルレッドTS(日本光研社製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)平均粒径が0.2〜0.4μmで、平均摩擦係数(MIU値)が0.4〜0.6であるルチル型酸化チタン凝集粒子:1〜15質量%
(B)半固形油分:1〜40質量%
を含有することを特徴とする唇用化粧料。
【請求項2】
前記ルチル型酸化チタン凝集粒子は、下記の方法で測定した時の平均透過率が20〜80%であることを特徴とする請求項1に記載の唇用化粧料。
(平均透過率の測定方法)
酸化チタン凝集粒子のリンゴ酸ジイソステアリル10質量%溶液を調製し、これから作製した厚さ10μmの塗膜を用いて波長光400〜700nmの平均透過率を測定する。
【請求項3】
前記ルチル型酸化チタン凝集粒子は、球状であることを特徴とする請求項1に記載の唇用化粧料。
【請求項4】
(C)高粘度油分をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の唇用化粧料。

【公開番号】特開2010−24189(P2010−24189A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188148(P2008−188148)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】