説明

商品販売データ処理装置及びその制御プログラム

【課題】店舗や顧客の要望を適確に反映しつつレシート用の印字媒体を節約し、店舗運営のコスト削減及び資源の節約に資すること。
【解決手段】一商取引内に入力手段を介して入力される商品に関する情報に基づいて、当該取引の明細情報を有するレシートを、レシートプリンタにより印字させるための印字データを作成する。作成された印字データに基づいてレシートプリンタにより印字されるレシートの印字媒体の搬送方向長さが縮小されるように、当該印字データを補正する。そして、作成された印字データ、又は、補正された印字データのいずれか一方に基づくレシートを、レシートプリンタに印字させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の販売店舗或いは役務の提供店舗にて、取引の会計処理に使用される商品販売データ処理装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
小売店等の商品販売店舗や、飲食店等の役務提供店舗では、POS(Point Of Sales)端末やECR(Electric Cash Register)等の商品販売データ処理装置が、取引の会計に使用されている。この装置は、スキャナによるバーコードの読み取りや、キーボード又はタッチパネルの操作を介して取引に係る商品等の情報の入力を受け付け、入力された情報を所定の記憶手段に登録していく。そして、取引の締めが宣言されると、前記記憶手段に登録された情報を基に代金を算出し、現金,デビットカード,クレジットカード又は電子マネーによる代金の支払いを受け付ける。通常、商品販売データ処理装置には、感熱紙等の印字媒体に取引の明細情報や店舗情報を印字するプリンタが接続或いは内蔵されており、商取引が確定した際に、該プリンタから顧客用のレシート及び店舗用のジャーナルが印字、発行される。
【0003】
近年では、エコロジーや消耗品に要するコストの削減の観点から、前記プリンタで使用される印字媒体の節約の要望が高まっている。このような事情に応えるべく、前記印字媒体の節約を目的とした発明もなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ジャーナルに印字される文字列のサイズを縮小することで、印字媒体の節約を可能としたプリンタに関する発明が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
顧客に手渡されるレシートに関しては、ある程度良好な視認性を確保する必要がある。このような観点から、特許文献1に開示されたプリンタは、レシートに印字される文字列のサイズは縮小せずに、従来通りのものを発行している。しかしながら、長いレシートは財布に収納すると嵩張るし、その後の保管も面倒であるため、扱い易さの観点から短いレシートを所望する顧客も多く存在しているとの現状がある。
【0006】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、店舗や顧客の要望を適確に反映しつつレシート用の印字媒体を節約し、店舗運営のコスト削減及び資源の節約に資することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するため、本発明は、次のような手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の視点は、レシートを印字する印字手段と、商品に関する情報の入力を受け付ける入力手段と、一商取引内に前記入力手段を介して入力された商品に関する情報に基づいて、当該取引の明細情報を有するレシートを、前記印字手段により印字させるための印字データを作成する印字データ作成手段と、前記印字データに基づいて前記印字手段により印字されるレシートの長さが縮小されるように、当該印字データを補正する補正手段と、前記印字データ作成手段により作成された印字データ、又は、前記補正手段により補正された印字データのいずれか一方に基づくレシートを、前記印字手段に印字させる印字制御手段とを備えた商品販売データ処理装置である。
【0009】
本発明の第2の視点は、前記商品販売データ処理装置の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
このような手段を講じた本発明によれば、店舗や顧客の要望を適確に反映しつつレシート用の印字媒体を節約し、店舗運営のコスト削減及び資源の節約に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態における商品販売データ処理装置の外観斜視図。
【図2】同商品販売データ処理装置の制御回路を示すブロック図。
【図3】同商品販売データ処理装置が有する商品データ登録エリアのデータ構造を示す図。
【図4】同商品販売データ処理装置のCPUの動作を示すフローチャート。
【図5】同商品販売データ処理装置が作成する通常モードのレシートの印字データを示す図。
【図6】同商品販売データ処理装置が作成する節約モードのレシートの印字データを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、本実施形態は、本発明を飲食店にて使用されるPOS端末等の商品販売データ処理装置に適用した一例である。
【0013】
図1は、本実施形態における商品販売データ処理装置1の外観斜視図である。
商品販売データ処理装置1の本体2には、鍵スイッチ3と、機械式のキーボード4と、キャッシャ側に表示面が向けられたキャッシャ側ディスプレイ5と、キャッシャ側ディスプレイ5の前面に設けられたタッチパネル6と、客側に表示面が向けられた客側ディスプレイ7と、スライド式のカードリーダ8と、本実施形態における印字手段として機能するレシートプリンタ9とを備えている。
【0014】
鍵スイッチ3は、専用の操作キーの挿入を受け付ける鍵穴を有する回動式のスイッチであり、回動の停止位置に応じて商品販売データ処理装置1の動作モードを切り替える。
キーボード4は、数値入力用のテンキーや、本実施形態における選択受付手段として機能する印字モード選択キー34等が設けられている。印字モード選択キー34は、後述の会計処理にて、通常モード又は節約モードのいずれでレシートを印字するかを指定する際に使用される。通常モードとは、従来通りのレシートを印字するモードであり、節約モードとは、通常モードで印字されるレシートよりも短いレシートを印字してレシート用紙を節約するモードである。
【0015】
キャッシャ側ディスプレイ5は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であり、客が飲食した商品を指定するプリセットキー等を選択的に表示する。前記プリセットキーは、タッチパネル6を介して接触操作可能であり、接触操作時には各キーにプリセットされた商品データを本体2に入力する。すなわち、プリセットキーは、本実施形態における入力手段として機能する。
客側ディスプレイ7は、例えばVFD(Vacuum Fluorescent Display)であり、前記プリセットキーを介して入力された商品の名称や価格,取引の合計金額,釣り銭額等を選択的に表示する。
【0016】
カードリーダ8は、スライド溝にスライドされたクレジットカードやポイントカード等の磁気カードからカード情報を読み取る。
レシートプリンタ9は、例えばサーマルプリンタであり、ロール状に巻回された感熱紙等のレシート用紙(印字媒体)をサーマルヘッドとプラテンローラとの当接位置に搬送し、前記サーマルヘッドへの通電を制御して文字或いは図形,又はこれらが結合されたパターンによって構成されるレシートを印字する。
【0017】
次に、商品販売データ処理装置1の制御回路について説明する。
図2は、商品販売データ処理装置1の制御回路を示すブロック図である。
商品販売データ処理装置1の本体2には、制御の中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)10が搭載されている。そして、CPU10に対して、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、時計回路13、通信I/F(Interface)14、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ15、キーボードコントローラ16、表示コントローラ17、タッチパネルコントローラ18、表示コントローラ19、カードリーダコントローラ20、プリンタコントローラ21等が、アドレスバスやデータバス等のバスライン22を介して接続されている。
【0018】
さらに、通信I/F14にLAN(Local Area Network)32が接続され、HDDコントローラ15にHDD33が接続され、キーボードコントローラ16に前記鍵スイッチ(SW)3とキーボード4とが接続され、表示コントローラ17に前記キャッシャ側ディスプレイ5が接続され、タッチパネルコントローラ18に前記タッチパネル6が接続され、表示コントローラ19に前記客側ディスプレイ7が接続され、カードリーダコントローラ20に前記カードリーダ8が接続され、プリンタコントローラ21に前記レシートプリンタ9が接続されている。
【0019】
ROM11は、BIOS(Basic Input/Output System)等の固定的データを記憶している。
RAM12には、処理場面に応じて各種の作業用記憶エリアが形成される。特に、会計処理の実行中には、前記プリセットキーを介して入力される商品名称や商品単価等の商品データ及び各商品の販売点数が登録される商品データ登録エリア30と、レシートの印字データが作成される印字データ作成エリア31とが形成される。
図3に商品データ登録エリア30のデータ構造の一例を示している。この例では、商品名“タラコスパゲッティ”に対して単価“¥680”数量“1”が登録され、商品名“和風ハンバーグ”に対して単価“¥980”数量“1”が登録され、商品名“エビフライ”に対して単価“¥720”数量“1”が登録され、商品名“春巻き”に対して単価“¥420”数量“1”が登録されている。
【0020】
通信I/F14は、LAN32を介して接続されたストアサーバ等の上位機器との通信を制御する。
HDD33は、OSファイルやアプリケーションファイル等、商品販売データ処理装置としての機能を実現するために必要なソフトウェア及びデータベースが記憶されている。HDDコントローラ15は、HDD33に対するデータの書き込み/読み出しを制御する。
キーボードコントローラ16は、鍵スイッチ3から回動の停止位置に応じて出力される電気信号や、キーボード4から押下げられた操作キーに応じて出力される電気信号に基づいて、選択された動作モードや押下げられた操作キーの種別を示すデジタル信号を生成し、CPU10に通知する。
【0021】
表示コントローラ17は、CPU10からの指令に応じてキャッシャ側ディスプレイ5の画面表示を制御する。
タッチパネルコントローラ18は、タッチパネル6が接触操作されたときに出力する電気信号に基づいて接触操作位置を特定し、CPU10に通知する。
表示コントローラ19は、CPU10からの指令に応じて客側ディスプレイ7の画面表示を制御する。
【0022】
カードリーダコントローラ20は、カードリーダ8による磁気カードの読み取りタイミングを制御し、カードリーダ8が読み取ったカード情報をCPU10に通知する。
プリンタコントローラ21は、印字データ作成エリア31に作成された印字データに基づいてレシートプリンタ9を駆動し、取引の明細情報を有するレシートを発行させる。
【0023】
CPU10は、ROM11或いはHDD33に記憶された動作プログラムを実行することで、商品販売データ処理装置1に次の(1)〜(3)の機能を実現させる。
【0024】
(1)一商取引内に前記プリセットキーを介して入力された商品に関する情報に基づいて、当該取引の明細情報を有するレシートを、レシートプリンタ9に印字させるための印字データを作成する印字データ作成機能。
【0025】
(2)印字データ作成機能により作成された印字データに基づいてレシートプリンタ9に印字されるレシートの長さが縮小されるように、当該印字データを補正する補正機能。
【0026】
(3)印字データ作成機能により作成された印字データ、又は、補正機能により補正された印字データのいずれか一方に基づくレシートを、レシートプリンタ9に印字させる印字制御機能。
【0027】
次に、会計時における商品販売データ処理装置1の動作について説明する。
店舗内にて飲食を終えた顧客がレジに進むと、キャッシャがキーボード4を操作して会計処理の開始を宣言する。これに応じて、CPU10が会計処理用の動作プログラムを実行する。
【0028】
図4は、一連の会計処理におけるCPU10の動作のフローチャートである。
先ず、CPU10は、キャッシャ側ディスプレイ5に表示された前記プリセットキーを介しての商品データの入力を待ち受ける(ステップS1,ステップS2のNo)。このときキャッシャは、顧客が飲食した商品を示すプリセットキーを探し出し、指先或いはタッチペンにて該当するプリセットキーの表示位置を接触操作する。プリセットキーの表示位置が接触操作されると、既述の如くタッチパネルコントローラ18から接触操作位置がCPU10に通知される。このとき、CPU10は、商品データが入力されたと判断し(ステップS2のYes)、接触操作位置に表示されたプリセットキーに対応する商品データを、商品データ登録エリア30に登録する。さらに、プリセットキーの操作に併せてキーボード4に設けられたテンキーを介して数値が入力されていたならば、CPU10は、商品データ登録エリア30に登録した商品データの販売数量を入力された数値に更新する。プリセットキーの操作に併せて数値が入力されていない場合には、その商品の販売数量を“1”とする。
【0029】
このようにして商品データが商品データ登録エリア30に登録された後、CPU10は、当該取引に係る全ての商品データの入力完了が宣言されたか否かを判断する(ステップS4)。この判断は、キーボード4に設けられた小計キーが押し下げられているか否かに基づいて行われる。未だ小計キーが押下げられていないならば、CPU10は、商品データの入力が完了していないと判断し(ステップS4のNo)、再び商品データの入力を待ち受ける(ステップS1,ステップS2のNo)。
【0030】
一方、既に小計キーが押下げられているならば、CPU10は、商品データの入力完了が宣言されたと判断する(ステップS4のYes)。このとき、CPU10は、商品データ登録エリア30に登録された商品データに基づいて当該取引の小計金額及び合計金額を算出し、算出した小計金額等を表示コントローラ17,19を介してキャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ7に表示させる(ステップS5)。しかる後、CPU10は、キーボード4を介しての顧客からの預り金額の入力を受け付けつつ、取引の締めの宣言を待つ(ステップS6のNo)。
【0031】
預り金額が入力された状態でキーボード4に設けられた締めキーが押下げられると、CPU10は、取引の締めが宣言されたと判断する(ステップS6のYes)。このとき、CPU10は、入力された預り金額から合計金額を減算して釣り銭額を算出し、算出した釣り銭額等を表示コントローラ17,19を介してキャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ7に表示させる(ステップS7)。
【0032】
続いて、CPU10は、当該取引において商品データ登録エリア30に登録された情報に基づいて、当該取引の明細情報を有するレシートの印字データを印字データ作成エリア31に作成する(ステップS8)。
【0033】
ステップS8の動作にて印字データ作成エリア31に作成される印字データ50の一例を、図5に示している。この印字データ50は、レシートプリンタ9から発行されるレシートの先端を上側とし、後端を下側として表示している。したがって、レシートプリンタ9にて当該印字データに基づくレシートが印字される際のレシート用紙の搬送方向は、矢印60の指す方向となる。
【0034】
印字データ50は、先端側に設けられた店舗情報表示エリアと、店舗情報表示エリアの下方に設けられた商品データ表示エリアと、商品データ表示エリアの下方に設けられた合計金額等表示エリアとを有している。
【0035】
前記店舗情報表示エリアには、当該商品販売データ処理装置1が会計する取引が行われた店舗のロゴマークが表示される。前記商品データ表示エリアには、商品データ登録エリア30に登録された商品データが搬送方向に沿って1列となるように、フォントf1で表示される。前記合計金額等表示エリアには、取引の小計金額,合計金額,顧客からの預り金額,釣り銭額等が、フォントf2で表示される。各表示エリアの中で、店舗情報表示エリアと合計金額等表示エリアに使用されるレシートの搬送方向長さは、取引内容に影響されず一定となる。これに対し、商品データ表示エリアに使用されるレシートの搬送方向長さは、商品データ登録エリア30に登録された商品データ数が多いほど長くなる。したがって、ステップS8の動作にて作成される印字データに基づいて発行されるレシートの長さL1(L1>0)は、商品データ登録エリア30に登録された商品データ数に比例して増減する。
【0036】
ステップS5及びステップS6の動作が実行されている間に、キャッシャは、顧客に対して通常通り印字されたレシート或いは通常よりも短いレシートのいずれを所望するかを尋ねる。そして、顧客から通常よりも短いレシートを所望する旨の申し出を受けた場合、キャッシャは、前記印字モード選択キー34を押下げる。
【0037】
印字データ作成エリア31に印字データを作成し終えた後、CPU10は、印字モードが前記通常モード又は前記節約モードのいずれに設定されているかを判定する(ステップS9)。キャッシャが印字モード選択キー34を押下げていない場合、CPU10は、通常モードが選択されたと判定し(ステップS9の通常モード)、ステップS8の動作にて印字データ作成エリア31に作成した印字データに基づくレシートを、プリンタコントローラ21を介してレシートプリンタ9に印字させる(ステップS10)。レシートプリンタ9がレシートを印字し終えると、CPU10は、図示せぬカッタ機構を動作させて連続紙たるレシート用紙からレシート印字部分を切り離し(ステップS11)、一連の会計処理を終了する。かくして発行されたレシートは、キャッシャから顧客に手渡される。
【0038】
一方、印字モード選択キー34が押下げられている場合、CPU10は、節約モードが選択されていると判定する(ステップS9の節約モード)。この場合、CPU10は、印字データ作成エリア31に作成された印字データを補正して、節約レシートの印字データを作成する(ステップS12)。
【0039】
このとき作成される節約レシートの印字データ51の一例を、図6に示している。この印字データ51は、図5に示した印字データ50を補正した例であり、店舗情報表示エリアの店舗のロゴマークを削除して、1行の文字列で表示された店舗名に置き換えている。加えて、商品データ表示エリアに表示されていた商品データのフォントをf3(f3<f1)に縮小するとともに、搬送方向に沿って2列となるように配置している。但し、合計金額等表示エリアに表示される情報は、最終的な取引金額を認識する上で重要であるため、フォントや配置を変更していない。
【0040】
このように印字データ50を補正することで、補正前のレシート長さL1よりも短いレシート長さL2(L1>L2>0)の印字データが作成されることになる。補正後の印字データ51は、印字データ作成エリア31に作成された印字データ50に上書きして保存される。したがって、ステップS10の動作においては補正後の印字データに基づくレシートがレシートプリンタ9により印字される。
【0041】
以上説明したように、本実施形態における商品販売データ処理装置1は、商品データ登録エリア30に登録された商品データに基づいて取引の明細情報を有するレシートの印字データを作成し、顧客が短いレシートを所望している場合には印字データを補正して、搬送方向長さを短くしたレシートを発行する。これにより、通常のレシートを所望する顧客は従来通りのレシートを受け取ることができ、短いレシートを所望する顧客は財布への収納等が容易な短いレシートを受け取ることができる。さらに、節約レシートが選択される分だけレシート用紙を節約することができるので、店舗運営のコスト削減及び資源の節約を図ることができる。
【0042】
具体的には、店舗のロゴマークを1行の文字列で表示される店舗名に置き換え、商品データのフォントを縮小するとともに、縮小後の商品データをレシート用紙の搬送方向に沿って2列となるように配置することで、レシート長さを短くしている。店舗のロゴマークは顧客にとって不要な場合が多いため削除しても特に支障はないし、短いレシートを所望する顧客は個々の商品データよりも、むしろ合計金額を気にかける場合が多いと思われる。したがって、レシート長さを短く補正しても、レシートとしての役割を大きく損なうことはない。
【0043】
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0044】
例えば、前記実施形態では、飲食店にて使用される商品販売データ処理装置1に本発明を適用した一例について説明した。しかしながら、他種の役務の提供店舗にて使用される商品販売データ処理装置や、小売店等で使用される商品販売データ処理装置に本発明を適用してもよいことは言うまでもない。適用対象とする商品販売データの種別に応じて、商品データの入力手段をスキャナによるバーコードのスキャニング等に変更したり、レシートに印字する情報を追加すれば、本実施形態に開示した商品販売データ処理装置1が奏する効果と同様の効果を得ることができる。
【0045】
また、前記実施形態では、キャッシャに印字モード選択キー34を操作させて通常モードと節約モードとを切り替える場合について説明した。しかしながら、印字モード選択キー34に相当する操作キーを商品販売データ処理装置1の客面側に設け、顧客に通常モードと節約モードとを切り替えさせるようにしてもよい。このようにすれば、キャッシャが顧客に通常のレシートと節約レシートのいずれを希望するかを尋ねる手間が省けるので、会計処理の迅速化を図ることができる。
【0046】
また、会計処理中の所定のタイミングで、顧客に通常モードと節約モードのいずれを所望するかを尋ねるべき旨のメッセージと共に、印字モード選択キー34に相当する操作キーをキャッシャ側ディスプレイ5に表示させ、該操作キーのタッチパネル6を介した接触操作により通常モードと節約モードとを切り替えるようにしてもよい。このようにすれば、商品販売データ処理装置1の操作に不慣れなキャッシャであっても、本発明に係る機能を容易に使いこなせるので、円滑に会計処理を進行することができる。
【0047】
また、前記実施形態では、印字モード選択キー34が操作されない限り通常モードにてレシートが印字される場合について説明した。しかしながら、節約モードをデフォルトの設定とし、キャッシャ或いは顧客により通常モードが選択されない限り節約モードによりレシートを印字させるようにしてもよい。
【0048】
また、HDD33等に通常モード或いは節約モードのいずれか一方を指定するフラグを形成させ、このフラグによる指定に従って通常モード或いは節約モードにてレシートを印字させてもよい。この場合には、例えば鍵スイッチ3が操作されてメンテナンスモードに移行した場合に該フラグによるモードの指定を変更できるようにする。
【0049】
また、前記実施形態では、レシートの印字データに含まれる店舗のロゴマークを削除し、商品データのフォントを縮小すると共に、縮小した商品データがレシート用紙の搬送方向に沿って2列に配置されるように印字データを補正するとして説明した。しかしながら、印字データに含まれる文字列の行間を狭めたり、前記搬送方向に沿ってより複数列に商品データを配置したりしてレシートの長さを短くするようにしてもよい。
【0050】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、前記実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、要旨を逸脱しない範囲内で前記実施形態に示される全構成要素に周知技術や慣用技術を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…商品販売データ処理装置、2…本体、3…鍵スイッチ、4…キーボード、5…キャッシャ側ディスプレイ、6…タッチパネル、7…客側ディスプレイ、8…カードリーダ、9…レシートプリンタ、10…CPU、30…商品データ登録エリア、31…印字データ作成エリア、34…印字モード選択キー、50…印字データ、51…印字データ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開平7−148988号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシートを印字する印字手段と、
商品に関する情報の入力を受け付ける入力手段と、
一商取引内に前記入力手段を介して入力された商品に関する情報に基づいて、当該取引の明細情報を有するレシートを前記印字手段に印字させるための印字データを作成する印字データ作成手段と、
前記印字データに基づいて前記印字手段により印字されるレシートの長さが縮小されるように、当該印字データを補正する補正手段と、
前記印字データ作成手段により作成された印字データ、又は、前記補正手段により補正された印字データのいずれか一方に基づくレシートを、前記印字手段に印字させる印字制御手段と、
を備えていることを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記印字データ作成手段により作成された印字データ、又は、前記補正手段により補正された印字データのいずれを用いて前記レシートを印字するかの選択を受け付ける選択受付手段をさらに備え、
前記印字制御手段は、前記選択手段により受け付けた選択に従って、前記印字データ作成手段により作成された印字データ、又は、前記補正手段により補正された印字データのいずれか一方に基づくレシートを、前記印字手段に印字させることを特徴とする請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記印字データ作成手段は、商取引が行われた店舗のロゴマークを有するレシートの印字データを作成し、前記補正手段は、前記レシートから前記ロゴマークが削除されるように前記印字データを補正することを特徴とする請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記印字データ作成手段は、一商取引内に前記入力手段を介して入力された個々の商品に関する情報が印字されるレシートの印字データを作成し、前記補正手段は、前記レシートに印字される商品に関する情報のフォントを縮小することを特徴とする請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
前記印字データ作成手段は、一商取引内に前記入力手段を介して入力された個々の商品に関する情報が、前記印字手段による前記レシートの搬送方向に沿って一列に印字されるように前記レシートの印字データを作成し、前記補正手段は、前記レシートに印字される商品に関する情報が前記搬送方向に沿って複数列となるように前記印字データを補正することを特徴とする請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項6】
レシートを印字する印字部と、商品に関する情報の入力を受け付ける入力部とを備えた商品販売データ処理装置の制御プログラムであって、
前記商品販売データ処理装置に、
一商取引内に前記入力部を介して入力された商品に関する情報に基づいて、当該取引の明細情報を有するレシートを前記印字部に印字させるための印字データを作成する印字データ作成機能と、
前記印字データに基づいて前記印字部により印字されるレシートの長さが縮小されるように、当該印字データを補正する補正機能と、
前記印字データ作成機能により作成された印字データ、又は、前記補正機能により補正された印字データのいずれか一方に基づくレシートを前記印字部に印字させる印字制御機能と、
を実現させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−107774(P2011−107774A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259202(P2009−259202)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】