説明

商品販売データ処理装置及びコンピュータプログラム

【課題】注文し放題を選んだ場合のお得感を顧客に知らしめ、注文し放題による顧客取り込み効果を全うさせ得るようにする。
【解決手段】入力されたメニュー品目の単価をメニューファイルから取得してその合計金額を算出し、入力された注文し放題の宣言に基づいてメニューファイルから注文された個々のメニュー品目が注文し放題対象品目であるかどうかを判別し、注文し放題ではないと判別したメニュー品目についての合計金額と注文し放題に課金する金額との加算金額を売上合計金額として算出し、注文し放題であると判別したメニュー品目の合計金額に対する注文し放題に課金する金額の差額を算出し、その差額がプラス金額である場合には当該金額を顧客が得をした金額としてレシートRに印字するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店での使用に適した商品販売データ処理装置、これに用いるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店での使用に適した商品販売データ処理装置としては、入力されたメニューデータに基づいてレシートの印字発行を伴う会計処理を実行するようにしたものが従来から用いられている。レシートには、一例として、顧客が食したメニュー品目とその単価とが印字され、更に、税額、サービス料、合計金額等も印字される。
【0003】
一方、飲食店では、例えば期間や時間を限り、飲み放題や食べ放題というような注文し放題を実施することがある。注文し放題は、一律料金の下、対象となっているメニュー品目をいくつ注文しても当該一律料金しか請求しないという取引システムである。このような注文し放題は、顧客取り込み効果を果たし、店舗への顧客吸引力を高める。
【0004】
特許文献1には、そのような注文し放題をメニュー品目として捉え、その適切な入力管理を実行し得るようにした発明が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−303375公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
飲み放題や食べ放題というような注文し放題が実施される場合、顧客は、その注文し放題に設定されている一律料金が得なのか損なのかを判断しにくい。例えば、1時間2,000円という一律料金が設定された飲み放題を例に挙げると、その1時間の間に飲んだ飲物の通常の合計金額が果たして2,000以上になったのかどうか、顧客は容易に判断できない。とりわけ、人数が多い場合には益々判断が困難となる。このため、ともすれば顧客にお得感を与えることができず、この場合には顧客取り込み効果という注文し放題の効果が果たされなくなってしまうおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、飲み放題を注文したことによって得をしたのか損をしたのかという顧客の不信感を払拭することができ、また、注文し放題を選んだ場合のお得感を顧客に知らしめることができ、これらによって、注文し放題による顧客取り込み効果を全うさせ得るようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の商品販売データ処理装置は、情報処理を実行する情報処理部を備え、前記情報処理部が、注文されたメニュー品目と注文し放題の宣言と一取引の終了の宣言とを含む情報の入力を受け付け、入力を受け付けたメニュー品目に基づいて、個々のメニュー品目毎に単価と注文し放題の有無との対応付けを定義する記憶領域に記憶されているメニューファイルを検索し、注文されたメニュー品目の単価を取得してその合計金額を算出し、入力を受け付けた注文し放題の宣言に基づいて、前記メニューファイルを検索し、注文された個々のメニュー品目について注文し放題の有無を判別し、入力を受け付けた注文し放題の宣言に基づいて、注文し放題ではないと判別したメニュー品目についての前記合計金額と注文し放題に課金する金額との加算金額を売上合計金額として算出し、入力を受け付けた注文し放題の宣言に基づいて、注文し放題であると判別したメニュー品目の前記合計金額に対する注文し放題に課金する金額の差額を算出し、入力を受け付けた一取引の終了の宣言に基づいて、前記売上合計金額を請求金額として印字し、前記差額がプラス金額である場合には当該金額を顧客が得をした金額として印字したレシートのレシートプリンタによる印字発行を伴う会計処理を実行するようにした。
【0009】
本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータである情報処理部に、上記処理を実行させ得るようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、注文し放題の対象となっているメニュー品目の合計金額に対する注文し放題に課金する金額の差額がプラス金額であれば、その金額を顧客が得をした金額としてレシートに印字するようにしたので、注文し放題を選んだ場合のお得感を顧客に知らしめ、注文し放題による顧客取り込み効果を全うさせ得るようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の一形態を図1ないし図8に基づいて説明する。本実施の形態は、飲食店向けのECR(Electronic Cash Register)への適用例である。
【0012】
図1は、ECR101を示す斜視図である。ECR101は、ドロワ102の上に載置されており、ドロワ102の引出し103の開放動作を制御することができる。ECR101の上面右側にはキーボード104とオペレータ用表示器105とが配列され、上面左側にはレシートプリンタ106が配列されている。ECR101の上面後方には、客用表示器107が立設されている。図1中、ECR101の右側面近傍に設けられている溝は、カードリーダライタ108(図2参照)によるカード情報の読み取り等をするためにカードをスキャンするためのカード読取溝109である。ECR101での各種情報の入力は、入力装置としての機能するキーボード104によって可能である。
【0013】
図2は、ECR101のハードウェア構成を示すブロック図である。ECR101は、各種演算処理を実行し各部を制御する情報処理部としてのCPU201を備えている。CPU201には、固定データを固定的に記憶保存するROM202と、可変データを書き換え自在に記憶してワークエリアとして使用されるRAM203と、HDD204と、CD−ROMドライブ205とがバスライン206を介して接続されている。HDD204は、オペレーティングシステムや商品販売データ処理を実行するためのコンピュータプログラム等をインストールしている。これらのコンピュータプログラムは、ECR101の起動時、その全部又は一部がRAM203にコピーされる。CPU201は、RAM203にコピーされたコンピュータプログラムに従った処理を実行する。
【0014】
前述したドロワ102、キーボード104、オペレータ用表示器105、レシートプリンタ106、客用表示器107、カードリーダライタ108は、いずれも各種の入出力回路(全て図示せず)とバスライン206とを介してCPU201に接続され、CPU201によって動作制御される。
【0015】
HDD204にインストールされている各種のコンピュータプログラムは、一例として、CD−ROM205aに記録され、CD−ROMドライブ205によって読み取られてHDD204にインストールされる。これに対して、磁気ディスクドライブがCPU201に接続されていれば磁気ディスクが記憶するコンピュータプログラムをHDD204にインストールすることができ、他の種類の光メディアドライブがCPU201に接続されていれば対応する光メディアが記憶するコンピュータプログラムをHDD204にインストールすることができる。UDBメモリやフラッシュディスク等も同様である。あるいは、CPU201に通信インターフェースが接続されていれば、例えば上位機からダウンロードしたコンピュータプログラムをHDD204にインストールすることも可能である。
【0016】
図3は、メニューファイルのファイル構造を示す模式図である。HDD204にインストールされている商品販売データ処理用のコンピュータプログラムは、メニューファイル301を有している。メニューファイル301は、メニュー品目を特定するメニュー番号301aにメニュー品目301b、単価301c及び飲み放題フラグ301dを対応付けている。メニュー品目301bは、対応するメニュー品目を表現するテキストデータである。このメニュー品目301bには、「飲み放題」というメニュー品目も設定されている。単価301cは、対応するメニュー品目の単価である。そして、飲み放題フラグ301dは、飲み放題対象商品であるかどうかを「1」という設定値で表現している。例えば、「ビール」、「焼酎」及び「日本酒」には飲み放題フラグ301dに「1」が設定され、飲み放題対象商品としての設定がなされている。これに対して、飲み放題フラグ301dの「2」という設定値は、「飲み放題」というメニュー品目であることを示している。「飲み放題」というメニュー品目の入力は、「ビール」や「モズク」というような一般的なメニュー品目の入力ではなく、飲み放題の処理をすべきことをCPU201に知らせることになる。
【0017】
なお、本実施の形態は、注文し放題の一態様として、飲み放題についての処理を支援するECR101の一例を示している。これは、食べ放題等の他の種類の注文し放題を排斥する意図ではなく、単に一例として飲み放題を支援するECR101について説明しているに過ぎない。飲み放題であろうと食べ放題であろうと仕組みは同一である。
【0018】
図4は、会計処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ECR101の起動時、その全部又は一部がRAM203にコピーされるHDD204にインストールされている商品販売データ処理用のコンピュータプログラムに従いCPU201により実行される。
【0019】
CPU201は、メニュー番号の入力有無の判定に待機している(ステップS101)。そこで、例えばキーボード104によってメニュー番号の入力があれば、CPU201はメニュー品目の入力としてメニュー番号の入力を受け付け、メニュー番号の入力ありを判定する(ステップS101のY)。そして、入力を受け付けたメニュー番号をキーとして、メニューファイル301を検索する。つまり、CPU201は、メニューファイル301中の該当するメニュー番号301aに対応する情報であるメニュー品目301b、単価301c及び飲み放題フラグ301dを取得し、オペレータ用表示器105及び客用表示器107へのメニュー品目301bの表示と、RAM203のワークエリアへの取得情報の一時保存とを実行する(ステップS102)。
【0020】
ステップS101の処理によって、注文されたメニュー品目と注文し放題の宣言とを含む情報の入力を受け付ける機能が実行される。入力されたメニュー番号301aに対応付けられている飲み放題フラグ301dの設定値が「1」である場合、注文し放題というメニュー品目が注文されたことになるので、この場合の情報の入力が注目し放題の宣言の入力ということになる。
【0021】
そして、CPU201は、ステップS102で取得した単価301cの金額の合計金額(A)を算出し、オペレータ用表示器105及び客用表示器107への表示と、RAM203のワークエリアへの一時保存とを実行する(ステップS103)。合計金額(A)は、飲み放題というメニューが注文されない限り、売上合計金額である。
【0022】
ステップS102及びステップS103の処理によって、入力を受け付けたメニュー品目に基づいて、個々のメニュー品目(メニュー番号301a)毎に単価301cと注文し放題の有無(放題フラグ301d)との対応付けを定義するRAM203に記憶されているメニューファイル301を検索し、注文されたメニュー品目の単価301cを取得してその合計金額を算出する機能が実行される。
【0023】
商品販売データ処理用のコンピュータは、RAM203のワークエリアに飲み放題注文フラグ(N)を設定させる。この飲み放題注文フラグ(N)は、デフォルトがNull値であり、ステップS102の処理によって取得した飲み放題フラグ301dに「2」が設定されている場合、つまり、取得したメニュー番号に対応するメニュー品目が「飲み放題」である場合には、飲み放題注文フラグ(N)に「1」が設定される。つまり、飲み放題注文フラグ(N)の値を参照することで、「飲み放題」というメニュー品目が選択されたかどうかを判定することができる。
【0024】
そこで、CPU201は、ステップS103に続く処理として、飲み放題注文フラグ(N)の値を参照する処理を実行する。その結果、飲み放題注文フラグ(N)に「1」が設定されていなければ(ステップS104のN)、ステップS102で取得した飲み放題フラグ301dに「2」が設定されているかどうか、つまり、取得したメニュー番号に対応するメニュー品目が「飲み放題」であるかどうかを判定する(ステップS105)。そして、取得したメニュー番号に対応するメニュー品目が「飲み放題」である場合(ステップS105のY)、飲み放題注文フラグ(N)に「1」を設定する(ステップS106)。ステップS104の判定処理は、既に飲み放題注文フラグ(N)に「1」が設定されている場合に(ステップS104のY)、それらのステップS105及びステップS106の処理の実行をスキップさせるための処理である。
【0025】
ステップS104及びステップS105の処理によって、入力を受け付けた注文し放題の宣言に基づいて、メニューファイル301を検索し、注文された個々のメニュー品目について注文し放題の有無を判別する機能が実行される。
【0026】
CPU201は、飲み注文放題フラグ(N)に「1」が設定されているか(ステップS104のY)、あるいは「飲み放題」というメニュー品目が注文されている場合(ステップS105のY)、ステップS103で取得した飲み放題フラグ301dに「1」が設定されているメニュー品目、つまり飲み放題対象メニュー品目の単価の合計金額(B)を算出し(ステップS107)、(A)−(B)=(C)を算出する処理を実行する(ステップS108)。つまり、(A)はステップS102で取得したメニュー品目(飲み放題というメニュー品目の単価301c)についての単価301cの金額の合計金額であり(B)は飲み放題対象メニュー品目の単価の合計金額であるので、(C)は売上合計金額ということになる。ここに、入力を受け付けた注文し放題の宣言に基づいて、注文し放題ではないと判別したメニュー品目についての合計金額と注文し放題に課金する金額との加算金額を売上合計金額(C)として算出する機能が実行される。
【0027】
CPU201は、オペレータ用表示器105及び客用表示器107の売上合計金額の表示を、(C)の金額に更新する(ステップS109)。
【0028】
CPU201は、ステップS101〜ステップS109の処理を締め操作があるまで実行する(ステップS110)。締め操作は、一例として、キーボード104における締めキーの押下によってなされる。CPU201は、締めキーが押下されることによって発生した信号を受信すると、一取引の終了の宣言を認識する。そこで、CPU201は、締め操作ありの判定をした場合(ステップS103のY)、RAM203のワークエリアに一時保存した飲み放題注文フラグ(N)のステータスを参照することで、飲み放題というメニュー品目の注文の有無を判定する(ステップS111)。
【0029】
CPU201は、飲み放題注文フラグ(N)の設定値がNullであった場合、つまり飲み放題というメニュー品目が注文されなかった場合には(ステップS111のN)、そのまま会計処理を実行する。つまり、レシートフォーマット(1)というレシートフォーマットを選択し(ステップS112)、レシートプリンタ106にレシートR(図5参照)を印字発行させ(ステップS113)、売上処理を実行する(ステップS114)。
【0030】
図5は、飲み放題メニューが選択されなかった場合に印字発行されるレシートRの一例を示す模式図である。図4のステップS113で実行されるレシートRの印字発行処理において、CPU201は、RAM203のワークエリアに一時保存したステップS102での取得情報中、メニュー品目301bのテキストデータに基づく売上があった各メニュー品目の表示と、単価301cの値から導くそのメニュー品目に対応付けた単価の表示と、単価301cの値から算出した売上合金額及び消費税金額の値とをレシートプリンタ106に印字させる。これらの印字内容は、図5中、点線で示す領域内に印字される。また、「領収書」という文字及びレシート番号もレシートプリンタ106に印字させる。
【0031】
図4に示すフローチャートに基づく説明に戻る。CPU201は、飲み放題注文フラグ(N)の設定値が「1」であった場合、つまり飲み放題というメニュー品目が注文された場合には(ステップS111のY)、(A)−(a)−(C)=(X)を算出する処理を実行する。ここで、(a)は、飲み放題に課金する金額である。つまり、ステップS102で取得した飲み放題というメニュー品目の単価301cの合計金額である。したがって、(A)−(a)は、飲み放題フラグ301dの設定値が「1」である飲み放題対象メニュー品目をも含んだ全ての注文メニュー品目の単価合計から飲み放題というメニュー品目の単価301cの単価合計を減じた値ということになる。(C)は、前述したように、売上合計金額である。したがって、(X)の値は、顧客が実際に飲食した各々のメニューの定価に基づく売上合計金額に対する実際の売上合計金額の差額ということになる。(X)の値が0よりも大きい場合、顧客は得をしたことになるし、(X)の値が0よりも小さい場合、顧客は損をしたことになる。ここに、入力を受け付けた注文し放題の宣言に基づいて、注文し放題であると判別したメニュー品目の合計金額に対する注文し放題に課金する金額の差額を算出する機能が実行される。
【0032】
そこで、CPU201は、(X)の値が0よりも大きい場合(ステップS116のY)、レシートフォーマット(2)というレシートフォーマットを選択し(ステップS117)、レシートプリンタ106にレシートR(図5参照)を印字発行させ(ステップS118)、売上処理を実行する(ステップS114)。この際、ステップS117で選択されるレシートフォーマット(2)には、飲み放題を注文したことによって顧客が得をしたことを示すメッセージ表示欄及び対応メッセージと、得をした金額を示すための金額表示欄とが含まれている。そこで、CPU201は、ステップS118のレシートRに対する印字処理として、レシートフォーマット(2)に含まれている金額表示欄にステップS115で算出した0よりも大きい(X)の値を印字するようにレシートプリンタ106を駆動制御する。
【0033】
ここに、入力を受け付けた一取引の終了の宣言に基づいて、売上合計金額を請求金額として印字し、差額がプラス金額である場合には当該金額を顧客が得をした金額として印字したレシートRのレシートプリンタ106による印字発行を伴う会計処理を実行する機能が実行される。
【0034】
これに対して、CPU201は、(X)の値が0よりも小さい場合、レシートフォーマット(3)というレシートフォーマットを選択し(ステップS120)、(X)の値に基づいてクーポン金額(Y)を求め(ステップS121)、レシートプリンタ106にレシートR(図5参照)を印字発行させ(ステップS122)、売上処理を実行する(ステップS114)。この際、ステップS120で選択されるレシートフォーマット(3)には、飲み放題を注文したことによって顧客が損をしたことを示すメッセージ表示欄及び対応メッセージと、損をした金額を示すための金額表示欄と、その損を埋め合わすためにクーポン券を発行することを示すメッセージ表示欄及び対応メッセージと、発行するクーポン券の金額を示すための金額表示欄とが含まれている。ステップS121で求めるクーポン金額(Y)は、一例として、(X)の金額をプラスにした金額として求めることができ、他の一例として、(X)の金額範囲とクーポン金額(Y)との対応関係の定義から求めることができ、さらに他の一例として、(X)の金額をプラスにして所定の係数を掛けることによって求めることができる。CPU201は、ステップS122のレシートRに対する印字処理として、レシートフォーマット(2)に含まれている損をした金額の金額表示欄にステップS115で算出した0よりも大きい(X)の値を印字し、発行するクーポン券の金額の金額表示欄にステップS121で求めた金額を印字するようにレシートプリンタ106を駆動制御する。
【0035】
ここに、差額がマイナス金額である場合には当該金額に基づいてクーポン金額を算出する機能と、差額がマイナス金額である場合には算出したクーポン金額をレシートプリンタ106によってレシートRに印字させる機能とが実行される。
【0036】
図6は、飲み放題メニューが選択された場合に印字発行されるレシートの一例として、(a)は飲み放題分の金額を超えて飲み物を注文した顧客に向けて印字発行するレシート、(b)は注文した飲み物の金額が飲み放題分の金額に至らなかった顧客に向けて印字発行するレシートをそれぞれ示す模式図である。図6に示すレシートRにおいても、「領収書」という文字、取引情報及びレシート番号については、図5に示すレシートRと同様に印字される。
【0037】
これに対して、飲み放題分の金額を超えて飲み物を注文した顧客に発行される図6(a)に示すレシートRには、囲みつきで標記された「飲み放題」という文字と「××××円分お得となりました。」という文字とが印字されている。このような表記がなされている欄及び表記は、レシートフォーマット(2)に含まれている飲み放題を注文したことによって顧客が得をしたことを示すメッセージ表示欄及び対応メッセージに基づく印字内容である。また、「××××円分お得となりました。」中の「××××」には、ステップS115で算出された(X)の値が当て嵌められて印字される。
【0038】
また、図6(b)に示すレシートRには、「=飲み放題=」という文字と「××××円分だけ飲み足りませんでした。○○○○円分のクーポンを差し上げます。」という文字とが印字されている。このような表記がなされている欄及び表記は、レシートフォーマット(3)に含まれている飲み放題を注文したことによって顧客が損をしたことを示すメッセージ表示欄及び対応メッセージと、損をした金額を示すための金額表示欄と、その損を埋め合わすためにクーポン券を発行することを示すメッセージ表示欄及び対応メッセージとに基づく印字内容である。また、「××××円分だけ飲み足りませんでした。」中の「××××」には、ステップS115で算出された(X)の値が当て嵌められて印字される。そして、「○○○○円分のクーポンを差し上げます。」中の「○○○○」には、ステップS121で求めたクーポン金額(Y)の金額が当て嵌められて印字される。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態によれば、注文し放題の対象となっているメニュー品目の合計金額に対する注文し放題に課金する金額の差額がプラス金額であれば、その金額を顧客が得をした金額としてレシートに印字するようにしたので、飲み放題を注文したことによって得をしたのか損をしたのかという顧客の不信感を払拭することができ、また、注文し放題を選んだ場合のお得感を顧客に知らしめることができ、これらによって、注文し放題による顧客取り込み効果を全うさせ得るようにすることができる。また、注文し放題の対象となっているメニュー品目の合計金額に対する注文し放題に課金する金額の差額がマイナス金額であれば、その金額を顧客が損をした金額としてレシートに印字すると共に、その損をした金額に基づく金額のクーポン券を発行するようにしたので、飲み放題を注文したことによって得をしたのか損をしたのかという顧客の不信感を払拭させることができ、また、損をした分がクーポン券の発行として埋め合わさせていることを顧客に知らしめることができ、これらによって、注文し放題による顧客取り込み効果を全うさせ得るようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の一形態を示す全体の斜視図である。
【図2】各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図3】メニューファイルのファイル構造を示す模式図である。
【図4】会計処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】飲み放題メニューが選択されなかった場合に印字発行されるレシートの一例を示す模式図である。
【図6】飲み放題メニューが選択された場合に印字発行されるレシートの一例として、(a)は飲み放題分の金額を超えて飲み物を注文した顧客に向けて印字発行するレシート、(b)は注文した飲み物の金額が飲み放題分の金額に至らなかった顧客に向けて印字発行するレシートをそれぞれ示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
106 レシートプリンタ、201 CPU(情報処理部)、301 メニューファイル、R レシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理を実行する情報処理部と、
前記情報処理部が、注文されたメニュー品目と注文し放題の宣言と一取引の終了の宣言とを含む情報の入力を受け付ける手段と、
前記情報処理部が、入力を受け付けたメニュー品目に基づいて、個々のメニュー品目毎に単価と注文し放題の有無との対応付けを定義する記憶領域に記憶されているメニューファイルを検索し、注文されたメニュー品目の単価を取得してその合計金額を算出する手段と、
前記情報処理部が、入力を受け付けた注文し放題の宣言に基づいて、前記メニューファイルを検索し、注文された個々のメニュー品目について注文し放題の有無を判別する手段と、
前記情報処理部が、入力を受け付けた注文し放題の宣言に基づいて、注文し放題ではないと判別したメニュー品目についての前記合計金額と注文し放題に課金する金額との加算金額を売上合計金額として算出する手段と、
前記情報処理部が、入力を受け付けた注文し放題の宣言に基づいて、注文し放題であると判別したメニュー品目の前記合計金額に対する注文し放題に課金する金額の差額を算出する手段と、
前記情報処理部が、入力を受け付けた一取引の終了の宣言に基づいて、前記売上合計金額を請求金額として印字し、前記差額がプラス金額である場合には当該金額を顧客が得をした金額として印字したレシートのレシートプリンタによる印字発行を伴う会計処理を実行する手段と、
を備える商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記情報処理部が、前記差額がマイナス金額である場合には当該金額に基づいてクーポン金額を算出する手段と、
前記情報処理部が、前記差額がマイナス金額である場合には算出したクーポン金額を前記レシートプリンタによってレシートに印字させる手段と、
を備える請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
コンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、
注文されたメニュー品目と注文し放題の宣言と一取引の終了の宣言とを含む情報の入力を受け付ける機能と、
入力を受け付けたメニュー品目に基づいて、個々のメニュー品目毎に単価と注文し放題の有無との対応付けを定義する記憶領域に記憶されているメニューファイルを検索し、注文されたメニュー品目の単価を取得してその合計金額を算出する機能と、
入力を受け付けた注文し放題の宣言に基づいて、前記メニューファイルを検索し、注文された個々のメニュー品目について注文し放題の有無を判別する機能と、
入力を受け付けた注文し放題の宣言に基づいて、注文し放題ではないと判別したメニュー品目についての前記合計金額と注文し放題に課金する金額との加算金額を売上合計金額として算出する機能と、
入力を受け付けた注文し放題の宣言に基づいて、注文し放題であると判別したメニュー品目の前記合計金額に対する注文し放題に課金する金額の差額を算出する機能と、
入力を受け付けた一取引の終了の宣言に基づいて、前記売上合計金額を請求金額として印字し、前記差額がプラス金額である場合には当該金額を顧客が得をした金額として印字したレシートのレシートプリンタによる印字発行を伴う会計処理を実行する機能と、
を実行させる、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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