説明

商品販売データ処理装置

【課題】単価等の商品データを指定された期日に変更する販売方式に容易にかつ営業に支障を来たすことなく対応できるようにする。
【解決手段】単価等の商品データを変更する日付を管理する。そして、商品データ記憶部は、商品毎に、適用日に関するデータと当該適用日が対象となる単価等の商品データで構成される適用日対象商品データと当該適用日が対象外となる単価等の商品データで構成される適用日対象外商品データとを記憶する。処理手段は、管理される日付がコード入力手段を介して入力されたコードで特定される商品に対して商品データ記憶部で記憶されている適用日に該当するか否かを判断し、該当する場合には当該商品の適用日対象商品データを読出し、該当しない場合には当該商品の適用日対象外商品データを読出して、その読み出した商品データに基づいて当該商品の販売データを処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各商品のコード,商品名,単価等の商品データを記憶してなる商品ファイルを有し、コード入力手段を介して客が購入する商品固有のコードが入力されると、前記商品ファイルから当該コードを含む商品データを読み出して販売処理を行う商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店では、従来から商品販売データの管理にPOS(Point Of Sales)システムが導入されている。このPOSシステムは、バーコードスキャナ等のコード入力手段を備えたPOS端末と、商品ファイルを備えた店舗サーバとを通信回線で接続してなる。商品ファイルには、各商品の商品コード,商品名,単価,部門コード等の商品データが商品別に格納されている。各商品には、それぞれその商品固有の商品コードが例えばバーコードの形態で付されている。
【0003】
しかして、POS端末のコード入力手段を介して客が買上げる商品の商品コードが入力されると、当該POS端末は、前記店舗サーバに当該商品コードで特定される商品の商品名,単価等の商品データの問合せを行う。この問合せに応じて、前記店舗サーバは前記商品ファイルを検索し、当該商品コードに対応して格納されている商品名,単価等の商品データを読み出す。そして、この商品データを問合せ元のPOS端末に応答する。上記商品データの応答を受けたPOS端末は、商品データ中の単価等に基づいて客が買上げる商品の販売データを算出し、メモリに売上登録処理する。
【0004】
このような構成のPOSシステムが導入された小売店では、商品ファイルに格納されている単価データを変更することによって商品の価格変更に対処することができる。例えば特売期間を定め、その期間内は特売対象商品の価格を値引して販売する場合、特売期間開始日の営業前までに特売対象商品の単価を値引後の単価に変更し、特売期間終了日の営業後に特売対象商品の単価を値引前の単価に戻せばよい。
【0005】
このように、指定された期日に商品ファイルの単価データを自動的に変更する機能を有した商品販売データ処理装置は既に知られている。
【0006】
その一例としては、単価変更対象商品の商品コード,変更実施日及び変更後単価からなる変更予約データを記憶保持する変更予約ファイルを設け、単価変更処理の開始が指令されると、変更予約ファイルから変更実施日が単価変更処理開始日(現在日付)の変更予約データを検索し、該当する変更予約データを検出すると、該当変更予約データの商品コードに対応して商品ファイルに記憶されている単価データを該当変更予約データの変更後単価データに書き換えるようにした商品販売データ処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−007586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、単価等の商品データを指定された期日に変更する販売方式に対応可能な従来の商品販売データ処理装置においては、その期日の営業前に商品ファイルの単価データ等を最新のデータに変更するための処理が必要であった。このため、例えばコンビニエンスストア等のように24時間営業の小売店の場合、システム上の日付が翌営業日に更新される直前に上述した商品ファイルのデータを変更しなければならず、その間は客が買上げる商品の販売データを登録処理できないという問題があった。
【0008】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、単価等の商品データを指定された期日に変更する販売方式に容易にかつ営業に支障を来たすことなく対応できる商品販売データ処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、商品毎に付された商品固有のコードを入力するためのコード入力手段、例えばスキャナと、各商品のコード,商品名,単価等の商品データを記憶する商品データ記憶部と、コード入力手段を介してコードが入力されると、そのコードで特定される商品の商品データを商品データ記憶部から読出し、その読み出した商品データに基づいて当該商品の販売データを処理する処理手段とを備えた商品販売データ処理装置において、日付を管理する日付管理手段をさらに備える。そして、商品データ記憶部は、商品毎に、適用日に関するデータと当該適用日が対象となる単価等の商品データで構成される適用日対象商品データと当該適用日が対象外となる単価等の商品データで構成される適用日対象外商品データとを記憶する。処理手段は、日付管理手段により管理される日付がコード入力手段を介して入力されたコードで特定される商品に対して商品データ記憶部で記憶されている適用日に該当するか否かを判断し、該当する場合には当該商品の適用日対象商品データを読出し、該当しない場合には当該商品の適用日対象外商品データを読出して、その読み出した商品データに基づいて当該商品の販売データを処理する。
【発明の効果】
【0010】
かかる手段を講じた本発明によれば、単価等の商品データを指定された期日に変更する販売方式に容易にかつ営業に支障を来たすことなく対応できる商品販売データ処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
【0012】
この実施の形態は、コンビニエンスストア等のように24時間営業の小売店に構築されるPOSシステムに本発明を適用した場合である。
【0013】
図1は、本実施の形態のシステム構成図である。同図において、破線で囲った領域1は、チェーン展開されている各店舗A,B,…にそれぞれ構築されるPOSシステム1を示している。POSシステム1は、それぞれスキャナ2を備えた複数台のPOS端末3と、商品ファイル4を備えた店舗サーバ5とで構成されている。各POS端末3と店舗サーバ5とは、LAN(Local Area Network)等の通信回線6で接続されている。
【0014】
各店舗A,B,…の店舗サーバ5は、各店舗A,B,…を統轄する本部の本部サーバ7とISDN(Integrated Services Digital Network),インターネット等の広域通信網8を介して接続されている。
【0015】
本部サーバ7は、営業日に対応した商品ファイル4を日々作成する商品ファイル作成手段71と、この商品ファイル作成手段71により作成した商品ファイル4を、対応する営業日の前日に広域通信網8を介して各店舗サーバ5に配信する商品ファイル配信手段72とを有している。
【0016】
スキャナ2は、バーコードを光学的に読取るもの(バーコードリーダとも称される)で、各店舗A,B,…でそれぞれ販売される商品には、それぞれその商品固有のコードであるPLU(Price Look Up)コードに対応したバーコードが直接またはラベルを介して付されている。なお、図ではハンディ式のスキャナ2を示しているが、スキャナ2はハンディ式に限らず、例えば定置式であってもよい。ここに、スキャナ2は、商品毎に付された商品固有のコードを入力するためのコード入力手段として機能する。
【0017】
なお、各商品にそれぞれ付されるコードを二次元データコードとし、この二次元データコードを光学的に読取ることができる二次元データコードリーダをスキャナ2として用いてもよい。あるいは、各商品にRFID(Radio Frequency Identification)タグを付してこのタグに商品コードを記録し、このRFIDタグのデータを非接触で読取ることができるRFIDリーダをスキャナ2として用いることもできる。
【0018】
商品ファイル4には、各商品のPLUコード、商品名、単価、部門コード等の商品データがPLUコードを検索キーとして格納されている。ここに、商品ファイル4は商品データ記憶部として機能する。
【0019】
しかして、POS端末3のスキャナ2を介して客が買上げる商品のPLUコードが入力されると、当該POS端末3の処理手段は、店舗サーバ5に当該PLUコードで特定される商品の商品名,単価等の商品データの問合せを行う。この問合せに応じて、店舗サーバ5は、商品ファイル4を検索し、当該PLUコードに対応して格納されている商品名,単価等の商品データを読み出す。そして、この商品データを問合せ元のPOS端末3に応答する。上記商品データの応答を受けたPOS端末3の処理手段は、商品データ中の単価等に基づいて客が買上げる商品の販売データを算出し、メモリに売上登録処理するものとなっている。
【0020】
図2は、商品ファイル4に記憶される1商品分の商品データレコード9を示す模式図である。商品データレコード9は、ヘッダ部91と共通データ部92と適用日対象データ部93と適用日対象外データ部94とから構成されている。ヘッダ部91には、適用日対象データ部93に記憶されている商品データを適用する日付(以下、適用日と称する)等がセットされている。共通データ部92には、適用日と適用日以外とで共通であるPLUコード,商品名,部門コード等の商品データがセットされている。適用日対象データ部93には、適用日が対象となる単価,税率等の商品データがセットされている。適用日対象外データ部94には、適用日が対象外となる単価,税率等の商品データがセットされている。
【0021】
図3は、店舗サーバ5の要部構成を示すブロック図である。店舗サーバ5は、制御部本体を構成するCPU(Central Processing Unit)11、読出専用メモリであるROM(Read Only Memory)12、書換自在なメモリであるRAM(Random Access Memory)13、システム日付及び時刻を計時する時計部14、前記通信回線6を介して各POS端末3が接続される通信インターフェイス15、前記広域通信網8を介して前記本部サーバ7との間で行うデータ通信を制御するネットワークコントローラ16及び大容量の記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)装置17等で構成されている。CPU11と、ROM12,RAM13,時計部14,通信インターフェイス15,ネットワークコントローラ16及びHDD装置17とは、アドレスバス,データバス等のバスライン18で接続されている。
【0022】
前記HDD装置17には、第1の商品ファイル保存領域171と第2の商品ファイル保存領域172とが形成されている。これら2つの商品ファイル保存領域171,172には、前記本部サーバ7から広域通信網8を介してダウンロードされる商品ファイル4がそれぞれ保存される。
【0023】
RAM13には、前記第1の商品ファイル保存領域171に保存された商品ファイル4と第2の商品ファイル保存領域172とに保存された商品ファイル4のどちらを有効にするかを切り換える切換フラグFが記憶されている。本実施の形態では、切換フラグFが“0”のときには第1の商品ファイル保存領域171に保存された商品ファイル4を有効とし、切換フラグFが“1”のときには第2の商品ファイル保存領域172に保存された商品ファイル4を有効とする。
【0024】
かかる構成の店舗サーバ5は、CPU11が特に図4〜図6の各種処理を実行するように、プログラムで構成されている。
【0025】
図4は、本部サーバ7から広域通信網8を介してダウンロードされる商品ファイル4の受信処理を示す流れ図である。すなわちCPU11は、ネットワークコントローラ16を介して受信したデータが商品ファイル4であると認識すると(ST21のYES)、CPU11は、ST22として切換フラグFをチェックする。そして、切換フラグFが“0”であった場合には(ST22のYES)、CPU11は、ST23として受信した商品ファイル4を第2の商品ファイル保存領域172に上書き保存する。他方、切換フラグFが“1”であった場合には(ST22のNO)、CPU11は、ST24として受信した商品ファイル4を第1の商品ファイル保存領域171に上書き保存する。
【0026】
かかる処理動作により、切換フラグFが“0”であるとき、すなわち、第1の商品ファイル保存領域171に保存された商品ファイル4が有効であるときに、本部サーバ7から新たな商品ファイル4のダウンロードを受信すると、ダウンロードされた商品ファイル4は、第2の商品ファイル保存領域172に上書き保存される。同様に、切換フラグFが“1”であるとき、すなわち、第2の商品ファイル保存領域172に保存された商品ファイル4が有効であるときに、本部サーバ7から新たな商品ファイル4のダウンロードを受信すると、ダウンロードされた商品ファイル4は、第1の商品ファイル保存領域171に上書き保存される。
【0027】
図5は、例えば1分タイマから出力される割込信号に応じて実行するタイマ割込処理の要部手順を示す流れ図である。なお、割込信号が出力されるタイミングは1分に限定されるものではない。
【0028】
割込信号が入力されると、CPU11は先ず、ST31として時計部14で計時されているシステム日付を取得する。なお、システム日付は現在の日付に必ずしも一致している必要はなく、例えば24時間営業の店舗において1営業日を午前2時〜翌日午前2時までと定めた場合は、現在時刻が午前2時になった時点でシステム日付が翌営業日に切り替る。
【0029】
次に、CPU11は、ST32としてRAM13のワークメモリに記憶されている日付に対して今回取得したシステム日付が翌日以降に更新されているか否かを判断する。なお、ワークメモリには、前回のタイマ割込処理で取得したシステム日付が記憶されている。
【0030】
ここで、今回取得したシステム日付が更新されていない場合には(ST32のNO)、CPU11は、ST36の処理に進み、今回取得したシステム日付を前記ワークメモリに上書きして、今回の割込処理を終了する。
【0031】
これに対し、今回取得したシステム日付が翌日以降に更新されていた場合には(ST32のNO)、CPU11は、ST33として切換フラグFをチェックする。そして、切換フラグFが“0”であった場合には(ST33のYES)、ST34としてこの切換フラグFを“1”に変更する。すなわち、第2の商品ファイル保存領域172に保存された商品ファイル4を有効とする。他方、切換フラグFが“1”であった場合には(ST33のNO)、ST35としてこの切換フラグFを“0”に変更する。すなわち、第1の商品ファイル保存領域171に保存された商品ファイル4を有効とする。しかる後、CPU11は、ST36の処理に進み、今回取得したシステム日付を前記ワークメモリに上書きして、今回の割込処理を終了する。
【0032】
なお、ST32にて今回取得したシステム日付が更新されていない場合、ST36の処理を行わずに、つまりは今回取得したシステム日付を前記ワークメモリに上書きしないで、今回の割込処理を終了するように構成してもよい。
【0033】
かかる処理動作により、時計部14で計時されるシステム日付が更新される毎に、第1の商品ファイル保存領域171に保存された商品ファイル41と第2の商品ファイル保存領域172とに保存された商品ファイル42とが交互に有効となる。
【0034】
具体的には、例えば切換フラグFが“0”のとき、すなわち第1の商品ファイル保存領域171に保存された商品ファイル4が有効である期間中に、本部サーバ7から新たな商品ファイル4を受信すると、この商品ファイル4は第2の商品ファイル保存領域172に保存される。そして、システム日付が更新されると、切換フラグFが“1”に変更される。すなわち、第2の商品ファイル保存領域172に保存された商品ファイル4が有効となる。この商品ファイル4は、第1の商品ファイル保存領域171に保存された商品ファイル4が有効である期間中にダウンロードされたものである。
【0035】
その後、この第2の商品ファイル保存領域172に保存された商品ファイル4が有効である期間中(切換フラグは“1”)に、本部サーバ7から新たな商品ファイル4を受信すると、この商品ファイル4は第1の商品ファイル保存領域171に保存される。そして、システム日付が更新されると、切換フラグFが“0”に変更される。すなわち、第1の商品ファイル保存領域171に保存された商品ファイル4が有効となる。この商品ファイル4は、第2の商品ファイル保存領域172に保存された商品ファイル4が有効である期間中にダウンロードされたものである。以後、同様な動作が繰り返される。
【0036】
したがって、本部サーバ7においては、適時、商品ファイル作成手段71によって翌営業日に対応した商品ファイル4を作成し、システム日付が更新される前の適当な時刻に商品ファイル配信手段72によって各店舗A,B,…の店舗サーバ5に配信すればよい。一方、各店舗サーバ5での商品ファイル4の切換に必要な処理は、切換フラグFを“0”から“1”、または“1”から“0”に書き換えるだけである。したがって、極めて小さな処理負荷で切り替えることができるので、各POS端末3からの商品データ問合せに対して応答できない時間帯が生じることはない。よって、店舗の営業に支障を来たすこともない。
【0037】
図6は、後述するPOS端末3からの商品データ問合せコマンド受信に対する応答処理の要部手順を示す流れ図である。すなわちCPU11は、通信インターフェイス15を介して接続されたいずれかのPOS端末3からコマンドを受信し、そのコマンドが商品問合せコマンドであることを確認すると(ST41のYES)、CPU11は、ST42として切換フラグFをチェックする。そして、切換フラグFが“0”であった場合には(ST42のYES)、ST43として第1の商品ファイル保存領域171に保存された商品ファイル41を検索する。これに対し、切換フラグFが“1”であった場合には(ST42のNO)、ST44として第2の商品ファイル保存領域172に保存された商品ファイル42を検索する。
【0038】
その結果、問合せのあったPLUコードを含む商品データレコード9を検出できた場合には(ST45のYES)、CPU11は、ST46として当該商品データレコード9を問合せ元のPOS端末3に通信回線6を介して返信する。一方、該当商品データレコード9を検出できなかった場合には(ST45のNO)、CPU11は、ST47として所定のエラー応答データを問合せ元のPOS端末3に通信回線6を介して返信するものとなっている。
【0039】
図7は、POS端末3の要部構成を示すブロック図である。POS端末3は、置数キー,小計キー,預/現計キー,取消キー等の各種キーが配設されたキーボード21、オペレータに対して売上登録された商品の品名,価格や商取引の合計金額,釣銭額などを表示するオペレータ用ディスプレイ22、買物客に対して同様なデータを表示する客用ディスプレイ23、レシート印字等を行うためのプリンタ24等の入出力デバイスを備えている。
【0040】
また、前記処理手段としてCPU26を搭載している。そしてCPU26に、アドレスバス,データバス等のバスライン27を介して、ROM28、RAM29、HDD装置30、時計部31及び通信インターフェイス32の他、前記スキャナ2で読取られたコードデータを取り込むスキャナインターフェイス33、前記キーボード21から操作キーに対応したキー信号を取り込むキーボードコントローラ34、前記オペレータ用ディスプレイ22の表示を制御する表示コントローラ35、前記客用ディスプレイ23の表示を制御する表示コントローラ36、前記プリンタ24の印刷動作を制御するプリンタコントローラ37等を接続している。
【0041】
前記時計部31は、前記店舗サーバ5に搭載されている時計部14と同様にシステム日付を管理する部位であり、日付管理手段を構成する。
【0042】
通信インターフェイス32には、前記通信回線6を介して同一店内の店舗サーバ5が接続されている。
【0043】
かかる構成のPOS端末3は、特に図8に示すように、1商取引として処理する各商品の販売金額を合計する取引合計器291、1商取引の処理中か否かを識別するための登録中フラグF1のフラグメモリ292、1商取引の実施日が適用日であるか否かを識別するための適用日対象フラグF2のフラグメモリ293等が、RAM29に形成されている。因みに、この実施の形態では、登録中フラグF1は、1商取引の処理中のとき“1”となり、1商取引の締め処理が完了すると“0”に戻る。適用日対象フラグF2は、1商取引の実施日が適用日であるとき“1”となり、適用日外であるとき“0”となる。
【0044】
しかして、オペレータがスキャナ2を操作して販売商品に付されたバーコードをスキャニングすると、CPU26が図9の流れ図に示す商品登録処理を実行するようにプログラム構成されている。
【0045】
すなわち、スキャナインターフェイス33を介してバーコードデータが入力されると、CPU26は先ず、ST1としてスキャニング入力されたバーコードデータを復号して商品のPLUコードを取得する。そして、このPLUコードを含む商品データ問合せコマンドを生成し、このコマンドを、通信インターフェイス32を介して店舗サーバ5に伝送する。
【0046】
ここで、この問合せコマンドを受信した店舗サーバ5においては、図6に示した処理手順の応答処理が実行される。
【0047】
そこでCPU26は、ST2として店舗サーバ5から商品データレコード9の応答データを受信するのを待機する。そして、商品データレコード9の応答データを受信したならば(ST2のYES)、ST3としてフラグメモリ292の登録中フラグF1が“1”であるか否かを判断する。
【0048】
ここで、登録中フラグF1が“1”でない、つまり“0”である場合には、1商取引として処理する最初の商品のバーコードデータがスキャニング入力されたので、CPU26は、ST4として店舗サーバ5から応答のあった商品データレコード9のヘッダ部91にセットされている適用日データを取得する。そして、この適用日が時計部31で計時されているシステム日付に一致するか否かを判断する。その結果、一致する場合には(ST4のYES)、CPU26は、フラグメモリ293の適用日対象フラグF2を“1”とする。これに対し、一致しない場合には(ST4のNO)、CPU26は上記適用日対象フラグF2を“0”とする。しかる後、CPU26は、ST7として取引合計器291のデータAを”0”にリセットする。また、フラグメモリ292の登録中フラグF1を“1”としたならば、ST9の処理に進む。
【0049】
ST3にて登録中フラグF1が既に“1”であった場合には(ST3のYES)、1商取引として処理する2点目以降の商品のバーコードデータがスキャニング入力されたので、CPU26は、前記ST4〜ST8の各処理を実行することなく,ST9の処理に進む。
【0050】
ST9では、CPU26は、店舗サーバ5から応答のあった商品データレコード9の共通データ部92にセットされているPLUコード,商品名,部門コード等の商品データを読み出す。次いで、ST10として適用日対象フラグF2をチェックする。そして、適用日対象フラグF2が“1”であった場合には(ST10のYES)、CPU26は、ST11として上記商品データレコード9の適用日対象データ部93にセットされている単価,税率等の商品データを読み出す。これに対し、適用日対象フラグF2が“0”であった場合には(ST10のNO)、CPU26は、ST12として上記商品データレコード9の適用日対象外データ部94にセットされている単価,税率等の商品データを読み出す。
【0051】
なお、ST9の共通データ読出処理の前にST10の適用日対象フラグF2の判断処理を行い、適用日対象フラグF2が“1”であったときには、ST9の共通データ読出処理とST11の適用日対象データ読出処理とを行い、適用日対象フラグF2が“0”であったときには、ST9の共通データ読出処理とST12の適用日対象外データ読出処理とを行うようにしてもよい。
【0052】
しかる後、CPU26は、ST13として上記ST9の処理で読み出した共通データ部92の商品データと、ST10またはST11の処理で読み出した適用日対象データ部93または適用日対象外データ部94の商品データとに基づいて商品販売データの登録処理を行う。また、ST14として適用日対象データ部93または適用日対象外データ部94の商品データに含まれる単価等に基づいて算出された販売金額を取引合計器291のデータAに加算する。さらに、ST15としてこの販売金額を共通データ部92の商品データに含まれる商品名等とともにオペレータ用ディスプレイ22及び客用ディスプレイ23に表示する。
【0053】
なお、これらST13〜ST15の各処理は、従来周知のPOS端末3において商品ファイル4から読み出した商品データに基づき実施される既存の処理と同様である。
以上で、CPU26は、1商品に対する商品登録処理を終了する。
【0054】
このように本実施の形態においては、商品ファイル4に記憶される商品データレコード9のコード体系を、ヘッダ部91と共通データ部92と適用日対象データ部93と適用日対象外データ部94とで構成する。そして、ヘッダ部91には適用日対象データ部93に記憶される商品データを適用する日付をセットし、共通データ部92には適用日と適用日以外とで共通である商品名等の商品データをセットし、適用日対象データ部93には適用日が対象となる単価,税率等の商品データをセットし、適用日対象外データ部94には適用日が対象外となる単価,税率等の商品データをセットするようにしている。
【0055】
例えば今、11月1日から7日までの1週間を特売期間とする。この場合、本部サーバ7においては、特売期間の前日(10月31日)までは、各商品にそれぞれ対応した商品データレコード9の適用日を特売期間開始日の11月1日とし、特売対象商品については適用日対象データ部93には特売単価をセットし、かつ適用日対象外データ部94には通常単価をセットし、特売対象外商品については、適用日対象データ部93及び適用日対象外データ部94の双方に通常単価をセットした商品ファイル4(説明の便宜上、商品ファイル4Aとする)を作成して、各店舗サーバ5に配信する。
【0056】
その後、特売期間に入ると、特売期間終了日の前日(11月6日)までは、各商品にそれぞれ対応した商品データレコード9の適用日を翌営業日とし、共通データ部92,適用日対象データ部93及び適用日対象外データ部94のデータは今までと同一の商品ファイル4(説明の便宜上、商品ファイル4Bとする)を作成して、各店舗サーバ5に配信する。
【0057】
そして、特売期間終了日以降は、特売期間終了日の前日(11月6日)に配信した商品ファイル4Bと同一の商品ファイル4(すなわち商品ファイル4B)を作成して、各店舗サーバ5に配信する。
【0058】
こうすることにより、特売期間開始日の前日までは、店舗サーバ5のHDD装置17における第1の商品ファイル保存領域171と第2の商品ファイル保存領域172には、いずれも商品ファイル4Aが保存される。そして、システム日付が更新される毎に交互に有効となる。このとき、商品ファイル4Aに記憶されている各商品データレコード9の適用日は、POS端末3の時計部31で計時されているシステム日付と一致しないので、スキャニング入力された商品は全て適用日対象外データ部94の単価、つまりは通常単価で商品販売データが登録処理される。
【0059】
その後、特売期間開始日になると、その日は無効化されている一方の商品ファイル保存領域171または172に、商品ファイル4B(適用日=11月2日)が格納される。ただし、この日に有効である商品ファイル4は、他方の商品ファイル保存領域172または171に保存されている商品ファイル4Aである。そして、商品ファイル4Aに記憶されている各商品データレコード9の適用日は、POS端末3の時計部31で計時されているシステム日付と一致するので、スキャニング入力された商品は全て適用日対象データ部93の単価、つまりは特売商品に関しては特売単価で商品販売データが登録処理される。
【0060】
システム日付が特売期間の2日目になると、他方の商品ファイル4B(適用日=11月2日)が有効となる。また、この他方の商品ファイル4Bが保存されている商品ファイル保存領域172または171とは別の商品ファイル保存領域171または172には、商品ファイル4B(適用日=11月3日)が格納される。この日も、商品ファイル4B(適用日=11月2日)に記憶されている各商品データレコード9の適用日は、POS端末3の時計部31で計時されているシステム日付と一致するので、スキャニング入力された商品は全て適用日対象データ部93の単価、つまりは特売商品に関しては特売単価で商品販売データが登録処理される。
【0061】
以後、特売期間終了日までは同様に動作する。そして、終了日になると、その日以降、第1の商品ファイル保存領域171と第2の商品ファイル保存領域172には、いずれも商品ファイル4B(適用日=11月7日)が保存される。したがって、終了日にスキャニング入力された商品は全て適用日対象データ部93の単価、つまりは特売商品に関しては特売単価で商品販売データが登録処理される。
【0062】
また、終了日の翌日からは第1の商品ファイル保存領域171及び第2の商品ファイル保存領域172にそれぞれ保存されている商品ファイル4Bに記憶された各商品データレコードの適用日はシステム日付と一致しないので、スキャニング入力された商品は全て適用日対象外データ部94の単価、つまりは通常単価で商品販売データが登録処理される。
【0063】
このように本実施の形態によれば、単価等の商品データを指定された期日に変更する販売方式に対して容易に、しかも営業に支障を来たすことなく対応できる効果を奏する。
【0064】
ところで、本実施の形態においては、1客が買上げる1点目の商品のコード入力時のみシステム日付がスキャナ2を介して入力されたPLUコードで特定される商品に対して商品ファイル4で記憶されている適用日に該当するか否かを判断し、その判断結果に応じて適用日対象フラグF2の状態を変化させ、当該客の2点目以降の商品のコードが入力された際は、上記適用日対象フラグF2の状態により1点目の判断結果に従って処理するようにしている。
【0065】
これは、24時間営業の店舗においては、システム日付が更新される前後に跨って1客が購入する商品の登録処理が行われる場合があるが、このような場合に、1客が買上げる商品に対して適用日対象データと適用日対象外データとが混在して処理される不具合を防止するためである。
【0066】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0067】
例えば、前記実施の形態では、商品データレコード9をヘッダ部91と共通データ部92と適用日対象データ部93と適用日対象外データ部94とから構成したが、図10に示すように、ヘッダ部91と適用日対象データ部93と適用日対象外データ部94とから構成し、共通データ部92にセットしていたPLUコード,商品名等のデータ項目を適用日対象データ部93と適用日対象外データ部94とにそれぞれ追加するようにしてもよい。
【0068】
この他の実施形態において、POS端末3のCPU26が実行する商品登録処理の要部手順を図11の流れ図に示す。なお、同図において、図9と共通する処理ステップには同一符号を付している。
【0069】
図9と図11とを比較すれば分かるように、この他の実施形態においては、ST9の処理を省略することができる。すなわち、CPU26は、ST13ではST10またはST11の処理で読み出した適用日対象データ部93または適用日対象外データ部94の商品データに基づいて商品販売データの登録処理を行うものとなる。この場合も、前記実施の形態と同様な作用効果を奏するのはいうまでもない。
【0070】
また、前記実施の形態では、1客が買上げる1点目の商品のコード入力時のみシステム日付がスキャナ2を介して入力されたPLUコードで特定される商品に対して商品ファイル4で記憶されている適用日に該当するか否かを判断したが、1客が買上げる全ての商品に対して適用日か否かを判断するように構成しても、単価等の商品データを指定された期日に変更する販売方式に容易にかつ営業に支障を来たすことなく対応できるという本発明の効果を奏することができる。
【0071】
また、前記実施の形態では、単価変更に対応した場合を示したが、変更項目は単価に限定されるものではない。今後、消費税の増税や商品によって税率が変更される場合が考えられるが、このような場合に、本発明を適用することによって容易に対処することができる。
【0072】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施の形態であるチェーン店に構築されるシステムの概略構成を示す模式図。
【図2】同実施の形態における商品データレコードのデータ構造を模式的に示す図。
【図3】同実施の形態における店舗サーバの要部構成を示すブロック図。
【図4】同実施の形態において、店舗サーバのCPUが実行する本発明に係わる受信処理の要部手順を示す流れ図。
【図5】同実施の形態において、店舗サーバのCPUが実行する本発明に係わるタイマ割込処理の要部手順を示す流れ図。
【図6】同実施の形態において、店舗サーバのCPUが実行する本発明に係わる応答処理の要部手順を示す流れ図。
【図7】同実施の形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図8】同実施の形態において、POS端末のRAMに形成される主要なメモリエリアを示す模式図。
【図9】同実施の形態において、POS端末のCPUが実行する商品登録処理の要部手順を示す流れ図。
【図10】本発明の他の実施の形態における商品データレコードのデータ構造を模式的に示す図。
【図11】同他の実施の形態において、POS端末のCPUが実行する商品登録処理の要部手順を示す流れ図。
【符号の説明】
【0074】
2…スキャナ、3…POS端末、4…商品ファイル、5…店舗サーバ、7…本部サーバ、9…商品データレコード、11,26…CPU、14,31…時計部、71…商品ファイル作成手段、72…商品ファイル配信手段、171,172…第1,第2の商品ファイル保存領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品毎に付された商品固有のコードを入力するためのコード入力手段と、各商品の前記コード,商品名,単価等の商品データを記憶する商品データ記憶部と、前記コード入力手段を介して前記コードが入力されると、そのコードで特定される商品の商品データを前記商品データ記憶部から読出し、その読み出した商品データに基づいて当該商品の販売データを処理する処理手段とを備えた商品販売データ処理装置において、
日付を管理する日付管理手段をさらに備え、
前記商品データ記憶部は、商品毎に、適用日に関するデータと当該適用日が対象となる単価等の商品データで構成される適用日対象商品データと当該適用日が対象外となる単価等の商品データで構成される適用日対象外商品データとを記憶し、
前記処理手段は、前記日付管理手段により管理される日付が前記コード入力手段を介して入力されたコードで特定される商品に対して前記商品データ記憶部で記憶されている適用日に該当するか否かを判断し、該当する場合には当該商品の前記適用日対象商品データを読出し、該当しない場合には当該商品の前記適用日対象外商品データを読出して、その読み出した商品データに基づいて当該商品の販売データを処理することを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
商品毎に付された商品固有のコードを入力するためのコード入力手段と、各商品の前記コード,商品名,単価等の商品データを記憶する商品データ記憶部と、前記コード入力手段を介して前記コードが入力されると、そのコードで特定される商品の商品データを前記商品データ記憶部から読出し、その読み出した商品データに基づいて当該商品の販売データを処理する処理手段とを備えた商品販売データ処理装置において、
日付を管理する日付管理手段をさらに備え、
前記商品データ記憶部は、商品毎に、適用日に関するデータと当該適用日が対象となる単価等の商品データで構成される適用日対象商品データと当該適用日が対象外となる単価等の商品データで構成される適用日対象外商品データと適用日と適用日以外とで共通である商品名等の商品データで構成される共通商品データとを記憶し、
前記処理手段は、前記日付管理手段により管理される日付が前記コード入力手段を介して入力されたコードで特定される商品に対して前記商品データ記憶部で記憶されている適用日に該当するか否かを判断し、該当する場合には当該商品の前記適用日対象商品データを前記共通商品データとともに読出し、該当しない場合には当該商品の前記適用日対象外商品データを前記共通商品データとともに読出して、その読み出した商品データに基づいて当該商品の販売データを処理することを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記処理手段は、1客が買上げる1点目の商品のコード入力時のみ前記日付管理手段により管理される日付が前記コード入力手段を介して入力されたコードで特定される商品に対して前記商品データ記憶部で記憶されている適用日に該当するか否かを判断し、当該客の2点目以降の商品のコードが入力された際は1点目の判断結果に従って処理することを特徴とする請求項1または2記載の商品販売データ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−117064(P2008−117064A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297997(P2006−297997)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】