説明

喫煙室

【課題】 喫煙者が喫煙のために使用した場合にもその後非喫煙者に不快感を与えることなく、また、喫煙者自身の健康を回復補助することが可能な喫煙室を提供する。
【解決手段】 外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間1Aにその喫煙空間1Aに出入りするための入口と、その入口と兼用又は別個の出口とを設け、喫煙空間1Aにおいて利用者の頭髪を含む身体、或いは身に付けた衣服に付着した煙草の粉塵や臭いを低減又は除去する煙草臭除去手段が少なくとも出口となる位置に隣接して設置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙室に関する。
【背景技術】
【0002】
厚生労働省により平成15年5月1日に施行された「健康増進法」では、「学校、体育館、病院、劇場、観覧車、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人の煙草の煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない」と定められている。
【0003】
また、労働者の健康確保と快適な職場環境の形成を図る観点から、一層の受動喫煙防止対策の充実を図るための、「(新)職場における喫煙対策のためのガイドライン」が策定され、受動喫煙を確実に防止するため、可能な限り非喫煙場所に煙草の煙が漏れない喫煙室の設置が推奨されている。これにより、事業場内でも喫煙者・非喫煙者のための喫煙室が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、所定の塵埃の除去、及び化学物質、浮遊菌、ウイルスなどの分解・除去が可能なエアシャワー装置が考案されている(特許文献2,3,4)。
【特許文献1】特開2005−308237号公報
【特許文献2】特開平8−178388号公報
【特許文献3】特開2004−28532号公報
【特許文献4】特開2004−150645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような喫煙室が設けられることで非喫煙者の受動喫煙のリスクは大きく改善されるが、喫煙者が喫煙室での喫煙により、自身の喫煙による主流煙、吐き出す煙に加えて喫煙室内に残存する副流煙、並びに他者の喫煙による煙を被るため、喫煙者の頭髪等の身体や着ている衣服に煙草の臭いや粉塵(有害物質)が付着し、また喫煙による煙草自身の臭いと歯周病等の因果関係により口臭が発現することもある。
【0006】
つまり、煙草煙に含まれる有害ガス成分が身体や着ている衣服に付着することで喫煙者が喫煙室から退出する際にその有害ガス成分も同時に非喫煙エリアへと持ち出してしまい、非喫煙エリアでの煙草臭の原因となり、非喫煙者へ煙草煙の有害ガス成分の弊害を与えることにもなってしまう。例えば、その喫煙室を使用した喫煙者と長時間同席する状況(例えば仕事、交通機関、コンサート、映画館等の非喫煙場所)においてその喫煙者の頭髪や衣服等に付着した粉塵や臭いの再飛散や口臭により不快感を感じるといった問題がある。
【0007】
また、喫煙室では、自身の喫煙による主流煙、吐き出す煙に加えて喫煙室内に残存する副流煙、並びに他者の喫煙による煙を被るため、喫煙者が更に過酷な喫煙環境で喫煙を行うことになるので、身体への健康影響が更に悪化するという問題がある。
【0008】
上記問題を背景として、本発明の課題は、喫煙者が喫煙のために使用した場合にもその後非喫煙者に不快感を与えることなく、また、喫煙者自身の健康を回復補助することが可能な喫煙室を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の喫煙室は、
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間にその喫煙空間に出入りするための入口と、その入口と兼用又は別個の出口とを設け、喫煙空間において利用者の頭髪を含む身体、或いは身に付けた衣服に付着した煙草の粉塵や臭いを低減又は除去する煙草臭除去手段が少なくとも出口となる位置に隣接して設置されることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の喫煙室は、
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間と、
外部と喫煙空間との間に設けられ、喫煙空間への出入りをするための入口用通路及びこれと兼用又は別個の出口用通路となる連絡空間と、
少なくとも出口用通路となる連絡空間に設置され、喫煙空間において利用者の頭髪を含む身体、或いは身に付けた衣服に付着した煙草の粉塵や臭いを低減又は除去する煙草臭除去手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
上記本発明によれば、外部と遮断又は区画された空間である喫煙空間に煙草臭除去手段が設置されている。喫煙室の本来の目的である外部(非喫煙空間)との分煙を達成するとともに、利用者(喫煙者)の頭髪等の身体や衣服に付着してしまう煙草の粉塵や臭いを低減又は除去する煙草臭除去手段を備えているので、その喫煙室を利用した喫煙者は喫煙室を利用する前のその粉塵や臭いが付着していない状態に近い状態で退出することができ、その喫煙者が外部(非喫煙空間)に戻った際に非喫煙者(利用していない者)が、煙草臭いと感じることを軽減できるようになる。
【0012】
さらに、その喫煙空間への出入りをするための連絡空間を設け、その連絡空間に煙草臭除去手段が設置されている。連絡空間は、喫煙空間と遮断又は区画されて形成されているので、喫煙空間内のように煙草の粉塵や煙が滞留しておらず、煙草臭除去手段で効率よく付着した粉塵や臭いを低減・除去することができる。これによって、喫煙者にとっては粉塵や煙、所謂汚れ成分を低減・除去して清浄な状態となり、周囲の者又は環境にとっては副流煙による問題、さらには、喫煙後の悪臭などの問題を回避できるという相乗効果が得られる。ひいては、相互に不快感などを与えることがないので仕事等の効率向上に貢献することができる。
【0013】
また、本発明の喫煙室は、
煙草の煙を遮断するエアカーテン発生装置を備え、
エアカーテン発生装置が生成するエアカーテンにより連絡空間が形成されているようにすることができる。エアカーテン発生装置は外部の空気を取り込んで送風することによりエアカーテンを発生することができる。これにより、煙草の粉塵や煙をエアカーテンで連絡空間への流出を阻止するとともに、喫煙者は自由に移動することができる。すなわち、扉などを開けるといった動作が必要ないので利便性がよい。
【0014】
また、本発明の喫煙室は、
煙草臭除去手段は、喫煙空間において身体及び衣服、或いは身体又は衣服に付着した煙草の粉塵や臭いを噴出する気流により低減又は除去するエアシャワー発生装置として構成されているようにすることができる。これにより、エアシャワーを発生させることで、喫煙者の身体や衣服に付着した粉塵や臭いが低減・除去することができる。
【0015】
また、本発明の喫煙室は、
煙草臭除去手段は、喫煙空間において身体及び衣服、或いは身体又は衣服に付着した煙草の粉塵や臭いを噴霧するミストにより低減又は除去するミスト噴霧装置を含み構成されているようにすることができる。これにより、ミストを噴霧させることで、煙草に含まれる悪臭成分の多くは水溶性の為、その悪臭成分を吸収し消臭効果を得ることができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の喫煙室は、
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間にその喫煙空間に出入りするための入口と、その入口と兼用又は別個の出口とを設け、喫煙空間において利用者の喫煙に起因した口臭を低減又は除去する口臭除去手段が少なくとも出口となる位置に隣接して設置されることを特徴とする。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の喫煙室は、
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間と、
外部と喫煙空間との間に設けられ、喫煙空間への出入りをするための入口用通路及びこれと兼用又は別個の出口用通路となる連絡空間と、
少なくとも出口用通路となる連絡空間又はその連絡空間に隣接する外部に設置され、喫煙空間において利用者の喫煙に起因した口臭を低減又は除去する口臭除去手段と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
上記本発明によれば、外部と遮断又は区画された空間である喫煙空間に口臭除去手段が設置されている。喫煙室の本来の目的である外部(非喫煙空間)との分煙を達成するとともに、喫煙空間において利用者の喫煙に起因した口臭を低減又は除去する口臭除去手段を備えているので、その喫煙室を利用した喫煙者は喫煙室を利用する前のその喫煙に起因する口臭のない状態に近い状態で退出することができ、その喫煙者が外部(非喫煙空間)に戻った際に非喫煙者(利用していない者)が、煙草臭いと感じることを軽減できるようになる。
【0019】
さらに、その喫煙空間への出入りをするための連絡空間を設け、その連絡空間に口臭除去手段が設置されている。連絡空間は、喫煙空間と遮断又は区画されて形成されているので、喫煙空間内のように煙草の粉塵や煙が滞留しておらず、新たに口臭の原因となる煙を吸い込む事がないので、口臭除去手段で効率よく口臭を低減・除去することができる。これによって、喫煙者にとっては口の中が清浄な状態となり、周囲の者又は環境にとっては副流煙による問題、さらには、喫煙後の悪臭などの問題を回避できるという相乗効果が得られる。ひいては、相互に不快感などを与えることがないので仕事効率の向上に貢献することができる。
【0020】
口臭除去手段の態様としては、口臭除去に効果のあるガム、飴、タブレット、うがい用液剤のうちから選ばれる1種もしくは2種以上のもの用いることができ、簡単に上記作用効果を得ることができる。
【0021】
また、本発明の喫煙室は、
口臭除去手段は、喫煙空間における利用者の喫煙に起因した口臭を検出する口臭検出手段と、口臭検出手段で検出される口臭の有無を判定する判定手段と、判定手段により、口臭が有るとされた場合には、口臭除去に効果のあるガム、飴、タブレット、うがい用液剤のうちから選ばれる1種もしくは2種以上のものである口臭除去剤を利用者が取り出し可能となるように供給する口臭除去剤供給手段とを含み構成されるようにすることができる。これにより、口臭検出手段が口臭を検出し、判定手段がその口臭の有無、すなわち悪臭を発しているか否かを判定し、口臭がある場合には口臭除去剤供給手段により口臭除去剤が供給されるので、喫煙者は、供給された口臭除去剤を使用することで、口臭の低減・除去を行うことができ、その後周囲の者に不快感を与えずにすむ。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の喫煙室は、
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間にその喫煙空間に出入りするための入口と、その入口と兼用又は別個の出口とを設け、喫煙空間において利用者の喫煙に起因して損なわれた健康を回復補助する健康回復補助手段が少なくとも出口となる位置に隣接して設置されることを特徴とする。
【0023】
また、上記課題を解決するために、本発明の喫煙室は、
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間と、
外部と喫煙空間との間に設けられ、喫煙空間への出入りをするための入口用通路及びこれと兼用又は別個の出口用通路となる連絡空間と、
少なくとも出口用通路となる連絡空間又はその連絡空間に隣接する外部に設置され、喫煙空間において利用者の喫煙に起因して損なわれた健康を回復補助する健康回復補助手段と、を備えることを特徴とする。
【0024】
上記本発明によれば、外部と遮断又は区画された空間である喫煙空間に健康回復補助手段が設置されている。喫煙室の本来の目的である外部(非喫煙空間)との分煙を達成するとともに、喫煙空間において利用者の喫煙に起因して損なわれた健康の回復補助する健康回復補助手段を備えているので、その喫煙室を利用した喫煙者は喫煙室を利用する前の肉体的な健康状態に近い状態で退出することができる。
【0025】
さらに、その喫煙空間への出入りをするための連絡空間を設け、その連絡空間に健康回復補助手段が設置されている。連絡空間は、喫煙空間と遮断又は区画されて形成されているので、喫煙空間内のように煙草の粉塵や煙が滞留しておらず、新たに健康を損なう原因となる煙を吸い込む事がないので、健康回復補助手段で効率よく肉体的な健康状態を回復補助することができる。これによって、喫煙者にとっては肉体的な健康状態が回復補助され、周囲の者又は環境にとっては副流煙による問題、さらには、喫煙後の悪臭などの問題を回避できるという相乗効果が得られる。
【0026】
健康回復補助手段の態様としては、健康回復に効果のあるガム、飴、ビタミン剤タブレット、ビタミン入り飲料水、吸引用高酸素濃度空気のうちから選ばれる1種もしくは2種以上のものを用いることができ簡単に上記作用効果を得ることができる。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明の喫煙室は、
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間と、
外部と喫煙空間との間に設けられ、喫煙空間への出入りをするための入口用通路及びこれと兼用又は別個の出口用通路となる連絡空間と、
少なくとも出口用通路となる連絡空間に設置され、喫煙空間において利用者の頭髪を含む身体、或いは身に付けた衣服に付着した煙草の粉塵や臭いを低減又は除去する煙草臭除去手段と、
少なくとも出口用通路となる連絡空間又はその連絡空間に隣接する外部に設置され、喫煙空間において利用者の喫煙に起因した口臭を低減又は除去する口臭除去手段と、
少なくとも出口用通路となる連絡空間又はその連絡空間に隣接する外部に設置され、喫煙空間において利用者の喫煙に起因して損なわれた健康を回復補助する健康回復補助手段と、を備えることを特徴とする。
【0028】
上記本発明によっても、上記作用効果を有し、課題を解決し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1に本発明に係る喫煙室1の概略図、図2に図1の横断面図を示す。喫煙室1は、オフィス等の喫煙が禁止された非喫煙空間100(外部)に設けられており、その非喫煙空間100と遮断又は区画された空間であって、その内部で喫煙が許容されている喫煙空間1Aと、その喫煙空間1Aへ出入りをするための通路となる連絡空間1Bとを備えている。
【0030】
喫煙空間1Aは、図示しない排気ファンを含む排気装置2、空気清浄機3、給気口4、一酸化炭素濃度センサ6、粉塵濃度センサ7、制御装置8、表示器9を備えている。一方、連絡空間1Bは、エアシャワー発生装置15、喫煙空間1Aへの入退室のための入室用カードリーダ22、退室用カードリーダ23、扉24A,24B等を備えている。なお、排気装置2、空気清浄機3、給気口4、一酸化炭素濃度センサ6、粉塵濃度センサ7、制御装置8、表示器9、入室用カードリーダ22、退室用カードリーダ23を含まない構成としてもよい。
【0031】
なお、本実施形態として喫煙室を専用に設けられた喫煙空間として例示しているがこれに限定するものでなく、いわゆる喫煙室のような閉空間の他に、車両、住居、建物内の所定の区画(仕切りの有無を問わない)等の喫煙が可能である空間とすることができる。
【0032】
喫煙空間1A(喫煙室1)の外部の非喫煙空間100の汚染されていない清浄空気が給気口4を通過して喫煙空間1Aの内部に流入し、喫煙時に発生する煙は天井に設けた排気装置2を通じて屋外に排出される。これにより、空気の流入及び排出を調整して喫煙空間1Aを負圧状態に保持することで煙草の煙などが非喫煙空間100や連絡空間1Bに流出するのを防止する効果がある。
【0033】
空気清浄機3は、その上面にある吸込口10から煙草の煙を含む汚染空気をファン12によって吸引し、フィルタ11を介して除塵・脱臭され、清浄な空気に濾過し、下部の吹出口13から四方へ向けて排出する。また、ロータリエンコーダ等で構成される回転センサ14でファン12の回転数を検出して制御装置8へ送る。なお、空気清浄機として、フィルタで物質を、捕獲(集塵、吸着)する、電気化学的に分解する、あるいは電気化学的に吸着する構成に加えて、汚れた空気を外部へ排出する換気扇、ファンの他、所定空間の空気を清浄化するものは、その構成、手段を問わず変更が可能である。
【0034】
制御装置8は、図3のように周知のCPU8a、ROM8b、RAM8c、外部機器との通信を行う通信インターフェース(I/F)8e、信号の遣り取りを行う入出力回路8f、およびこれらが接続されるバスライン8d等を含むコンピュータとして構成され、CPU8aがROM8bに記憶される制御プログラム8pを実行することで、一酸化炭素濃度センサ6、粉塵濃度センサ7からのデータの取り込み、排気装置2や空気清浄機3への指令、あるいはローカルコントローラ21との間でデータの送受信を行う。制御装置8の構成をローカルコントローラ21に含める構成としてもよい。なお、別途ホストコンピュータを設けインターネットを含む通信ネットワークを介してデータの送受信を行いそれらの制御をすることも可能である。
【0035】
図1に戻り、一酸化炭素濃度センサ6は周知の非分散形赤外線吸収式センサ等により構成される。非分散形赤外線吸収式とは、多くのガスが各々固有の赤外線波長を吸収する性質を利用して、ガスに全波長の赤外線を放射したとき、どの波長がどれくらい吸収されたかを調べて、ガス中の成分と濃度を測定する方式である。一酸化炭素が吸収する波長域の赤外線を受光素子により検出し、検出された赤外線量に応じた電気信号を制御装置8に伝達する。信号を受信した制御装置8は一酸化炭素濃度が一定値未満になるように排気装置2に指令信号を伝達する。排気装置2は指令信号に基づいて風量を変化させる。
【0036】
粉塵濃度センサ7は周知の光散乱方式を用いて粉塵濃度を測定する。すなわち、気体に光(レーザ光)を照射すると、光は気体に含まれる粒子によって散乱しその強さは粒子の濃度に比例する。この散乱する光を光学系で集光した上、フォトダイオード等の光電変換素子によって電気信号に変換し計測する。電気信号は制御装置8に送られ、信号を受信した制御装置8は粉塵濃度が一定値未満になるように排気装置2や空気清浄機3に指令信号を伝達する。排気装置2や空気清浄機3は指令信号に基づいて風量を変化させる。
【0037】
空気清浄機3、粉塵濃度センサ7、および制御装置8の組み合わせで、喫煙室1内の粉塵濃度が所定の値を超えた場合に、制御装置8から空気清浄機3に指令を送り、喫煙室1内の粉塵を除去するようにしてもよい。なお、一酸化炭素を空気清浄機3で除去する場合にはフィルタ11に酸化触媒を含み構成させ、その酸化触媒により一酸化炭素を二酸化炭素にして吹出口13から排出すればよい。
【0038】
また、二酸化炭素濃度および酸素濃度を検出するためのセンサを設置して、喫煙室1内の二酸化炭素濃度と酸素濃度とのバランスが、大気中における通常のバランスと異なった場合に制御装置8から排気装置2に指令を送り、喫煙室1内の二酸化炭素を除去するようにしてもよい。
【0039】
これにより、空気清浄機3と排気装置2を併用して、喫煙室1内の一酸化炭素あるいは二酸化炭素を除去するようにしてもよい。
【0040】
また、ニコチンやタール等のにおいを発する物質(「におい物質」)の濃度を検出するためのセンサを設置して、喫煙室1内の「におい物質」の濃度変化から、喫煙室1内あるいは空気清浄機3への汚れの付着を判別してもよい。「におい物質」の濃度変化により、喫煙室1内あるいは空気清浄機3等の清掃やメンテナンスの時期を判定することができる。例えば、喫煙室1に喫煙者がいない時間が所定の時間経過した場合に、「におい物質」の濃度が所定の割合で変化(減少)しない場合は、空気清浄機3の浄化能力が低下していると判定できるので、メンテナンスの時期になったと判定できる。
【0041】
表示器9は、制御装置8、ローカルコントローラ21から送られてくる情報を表示する。表示内容としては、現在(喫煙空間1A)の在室人数、連絡空間1Bの在室人数(使用の有無)、一酸化炭素濃度、粉塵濃度等の喫煙室1内の状況が挙げられる。
【0042】
エアシャワー発生装置15(煙草臭除去手段)は、後述するミスト噴霧装置16を含みローカルコントローラ21に接続され、除塵、脱臭及び有害物質を除去するとともに、送風ファン15aにより図示しない噴出口から清浄な空気を給気する。除塵手段としては、電気集塵、メカフィルタ(布状となったヘパフィルタ(HEPA:High Efficiency Air Filter;0.3μmの粒子を99.7%以上除去する能力を有するフィルタ),ウルパフィルタ(ULPA:Ultra Low Penetration Air Filter;0.1μmの粒子を99.999%以上除去する能力を有するフィルタ等)等を使用することができ、脱臭・有害物質除去手段としては、活性炭フィルタやイオン交換フィルタ等を使用することができる。また、給気する清浄な空気(エアシャワー)の中に芳香剤や消臭剤を加え、或いはイオン発生器によりマイナス及びプラスイオンにイオン化した空気を給気することも可能であり、効果的に浮遊菌や化学物質をも分解・除去できる。図1においてエアシャワー発生装置15は天井面に設けられているが、床面を除く側壁に設けることができ、そのエアシャワーの噴き出しは天井から下方向(床に向かって)を含む5方向何れでも良い。なお、排気についても給気同様、除塵、脱臭及び有害物質除去が行われる。これにより、その清浄な空気(エアシャワー)により喫煙空間において喫煙者(利用者)の頭髪を含む身体、或いは身に付けた衣服に付着した煙草の粉塵や臭いを低減又は除去することができる。使用状態については後述する。
【0043】
また、煙草臭除去手段として、ミストを噴霧するミスト噴霧装置16を含む構成としてもよい。煙草に含まれる悪臭成分の多くは水溶性の為、エアシャワー発生装置15を作動させる前に、すなわちミストを噴霧した後、又は噴霧しながらエアシャワーを噴き出すことで、喫煙者(利用者)の頭髪を含む身体、或いは身に付けた衣服に付着した煙草の粉塵や臭いの消臭効果の増大が見込める。
【0044】
また、連絡空間1Bには入室用カードリーダ22と退室用カードリーダ23が設置され、IDカード30により入退室を行う。図3を用いてその詳細について説明する。入退室管理は、入室用カードリーダ22、退室用カードリーダ23、非喫煙空間1B側扉(以下、外部側扉ともいう)24A、喫煙空間1A側扉(以下、内部側扉ともいう)24B、センサ部31と32、これらが接続されたローカルコントローラ21により行われる。
【0045】
入室用カードリーダ22は連絡空間1Bの非喫煙空間100側(外部側)、退室用カードリーダ23は連絡空間1Bの喫煙空間1A側(内部側)に設置され、それぞれ、IDカード30の読取結果等の各種情報を表示する液晶ディスプレイ等の表示部22a,23a、音声メッセージを送出するスピーカ22b,23b、IDカード30に記憶された情報あるいはデータを読み取る読取部22c、23c、メカニカルキーを含み各種入力操作を行う操作部22d,23d、および生体認証部22e,23eを含んで構成される。また、操作部22d,23dとして、表示部22a,23aに含まれる周知のタッチパネルを用いてもよい。
【0046】
ローカルコントローラ21は、例えば連絡空間1B(喫煙室1)の外側に設置され、CPU21a、ROM21b、RAM21c、外部機器との通信を行う通信I/F(インターフェース)21e、信号の遣り取りを行う入出力回路21f、およびこれらが接続されるバスライン21d等を含むコンピュータとして構成されている。ROM21bにはローカルコントローラ21を動作させるための制御プログラム21pおよびデータが記憶される。RAM21cには喫煙室1に入室が許可された喫煙者の識別コードが入室許可リストとして記憶される。RAM21cの代わりにフラッシュメモリ等の不揮発メモリを用いてもよい。
【0047】
生体認証部22e、23eは、各人の指紋を読み取って認証する指紋読取センサ、指の中や掌を走る各人固有の静脈パターンを透過光で読み取り画像処理して認証する静脈センサ、あるいは虹彩や網膜を撮影し画像処理して認証する撮影装置を含んで構成される。指紋、静脈パターン、虹彩、網膜等の認証に必要なデータは、予めデータベースを設け、そのデータベースに喫煙者毎に登録することができる。
【0048】
IDカード30は、喫煙室1の利用を許可されているかを識別するための識別コード等のID情報が書き込まれているICカードあるいは磁気カード等の情報記録媒体である。IDカード30がICカードである場合、IDカード30を入室用カードリーダ22に近づけると、IDカード30と読取部22cとの間で通信が行われ、IDカード30から読み取られたID情報がローカルコントローラ21に送られる。
【0049】
ローカルコントローラ21では、入室用カードリーダ22から送られた識別コードがRAM21cに記憶することができる入室許可リストに含まれているかの認証が行われる。入室用カードリーダ22から送られた識別コードが入室許可リストに含まれている場合は、当該喫煙者の入室が許可され、ローカルコントローラ21から外部側扉24Aと枠間を通線するための通電金具25Aを介して解錠信号が送られ、電気錠26Aが解錠状態となり連絡空間1B(喫煙室1)に入室することができる。
【0050】
同様に、IDカード30を退室用カードリーダ23に近づけると、ローカルコントローラ21おいて認証が行われ、退室が許可された場合は電気錠26Bが解錠状態となり喫煙空間1A(喫煙室1)から退室することができる。
【0051】
また、表示部22a,23aの表示にしたがって、喫煙者が操作部22d,23dを操作してID、あるいはIDおよびパスワードを入力し、ローカルコントローラ21のデータベースに予め登録することができる喫煙者毎のID、パスワードと照合して、入力されたID、パスワードと一致した場合に電気錠26A,26Bを解錠状態として入退室を許可する構成としてもよい。
【0052】
生体認証部22e,23eを用いる場合は、センサ等で読み取られた。指紋、静脈パターン、虹彩、網膜等が、予めデータベースに喫煙者毎に登録されたデータと一致した場合に電気錠26A,26Bを解錠状態として入退室を許可する。
【0053】
認証方法は、上述のIDカード30、ID入力、IDおよびパスワード入力、生体認証のうちの一つを用いても二つ以上の組み合わせを用いてもよい。二つ以上の組み合わせを用いる場合には、例えばIDカード30を忘れても生体認証を行って喫煙室1へ入室することが可能となる。さらに、例えば3回のように、所定の回数内で正しく認証されなかった場合(パスワード誤入力)には、該当するIDの喫煙者の入室を所定の期間(1時間,当日一杯等)禁止するようにしてもよい。
【0054】
センサ部31,32は、連絡空間1B(喫煙室1)の出入口の近傍に設置されて入退室の様子を撮影するカメラ(画像処理装置を含む),喫煙室1の出入口の床に設置される周知の体重センサ,あるいは喫煙室1の出入口の近傍に設置される周知の赤外線センサ等の各種センサで構成され、喫煙者の喫煙室1への出入りの状態を監視するものである。例えば、1枚のカードしか読み取られていないのに複数の喫煙者の出入りが撮影されている場合、出入りする喫煙者の体重を検出して所定の値を超えた場合、あるいは、複数の喫煙者の存在を示す熱源が検出された場合、1枚のIDカードで複数の喫煙者が出入りする、いわゆる「共連れ」等の不正入退室であると判定することができる。
【0055】
ここで、喫煙空間1A及び連絡空間1Bは、壁などにより囲まれており、喫煙者が非喫煙空間100から喫煙空間1Aに入るためには、外部側扉24Aを開けて、一旦連絡空間1Bに入り、その後で内部側扉24Bを開けて喫煙空間1Aに入る必要がある。逆に喫煙者が喫煙空間1Aから非喫煙空間100に出るためには、内部側扉24Bを開けて、一旦連絡空間1Bに入り、その後で内部側扉24Aを開けて非喫煙空間1Bに出る必要がある。通常、喫煙空間1Aは、排気装置2や空気清浄機3などによって煙が吸い出されその内部が負圧状態に保持されており、連絡空間1Bにより入退室する際に、外部側扉24A、内部側扉24Bのどちらか一方を開けても内部の気圧が上昇することがないので、煙草の煙が給気口4等から非喫煙空間100へ逆流することを抑制・防止している。
【0056】
図2に示すように、喫煙室1は全体を直方体等に形成し、その中に喫煙空間1Aと連絡空間1Bとを設けることができる。すなわち、連絡空間1Bが喫煙空間1Aから突出しない形で設けることができる。これによると、喫煙室1を製造(組立)する際に、その製造(組立)作業が簡単になる。また、本実施形態においては、連絡空間1Bは入口(入口用通路)と出口(出口用通路)とを兼ねる形で1つ形成されているので、十分な喫煙空間1を確保することができ、ひいては、オフィスなどに喫煙室1を設置した場合にコンパクトになってよい。
【0057】
次に、本発明に係る喫煙室1の使用状態について説明する。図4Aは、喫煙室1の使用状態を説明するフロー図である。連絡空間1Bに設けられた2つの扉、つまり外部側扉24Aと内部側扉24Bとは同時に開放されないようにローカルコントローラ21により制御されている。その動作は、まず、ステップS1において外部側扉24Aが解錠状態であるか否かを判断する。つまり、喫煙者が入室用カードリーダ22で上記した認証手段を行い、外部側扉24Aの電気錠26Aを解錠状態として入室可能とした場合(S1:Yes)、ステップS2で内部側扉24Bの電気錠26Bをロックする。すなわち、既に喫煙空間1Aで喫煙した他の喫煙者が退室用カードリーダ23で上記した認証手段を行って退室が許可された場合にも内部側扉24Bの電気錠26Bは解錠状態とはならず、他の喫煙者は内部側扉24Bを開けることができないようになっている。その後、ステップS3において、喫煙者が外部側扉24Aを閉じたか否かを判断し、閉じた場合には(ステップS3:Yes)自動的に外部側扉24Aの電気錠26Aが施錠状態となり、内部側扉24Bの電気錠26Bのロックを解除する(ステップS4)。
【0058】
一方、ステップS1おいて、外部側扉24Aが閉じられている場合には(S1:No)、ステップS5で、内部側扉24Bが解錠状態であるか否かを判断する。つまり、図5(5−1)に示すように、喫煙者Pが喫煙空間1Aで喫煙をした後、その喫煙者Pが退室用カードリーダ23で上記した認証手段を行い、内部側扉24Bの電気錠26Bを解錠状態として退室可能とした場合(S5:Yes)、ステップS6で外部側扉24Aの電気錠26Aをロックする。すなわち、これから喫煙空間1Aで喫煙しようとする他の喫煙者が入室用カードリーダ22で認証手段を行って入室を許可された場合にも外部側扉24Aの電気錠26Aは解錠状態とはならず、他の喫煙者は外部側扉24Aを開けることができないようになっている。そして、図5(5−2)に示すように、喫煙者Pは内部側扉24Bを開けて連絡空間1Bに移動することができる。その後、ステップS7において、喫煙者が内部側扉24Bを閉じたか否かを判断し、閉じた場合には(ステップS7:Yes)自動的に内部側扉24Bの電気錠26Bが施錠状態となる。
【0059】
図6(6−1)に示すように、喫煙空間1Aには、喫煙者P自身或いは同席した他の喫煙者Pの喫煙による吐き出す煙や副流煙などの煙草の煙Sが少なからず残存しており、それらの臭いや粉塵が喫煙者Pの頭髪などの身体や身に付けている衣服に付着してしまう。ここで、本発明に係る喫煙室1は、連絡空間1Bにエアシャワー発生装置15及びミスト噴霧装置16を備えているため、図4Aに戻り、ステップ8で該連絡空間1B内に喫煙者Pが居るか否かを判断し、喫煙者Pが居ると判断した場合には(S8:Yes)、S9でミスト噴霧装置16を作動させて連絡空間1B内にミストを噴霧し(図6(6−2)参照)、さらにS10でエアシャワー発生装置15を作動させてエアシャワーを発生させる(図7(7−1)参照)。エアシャワーを発生させた後、S11で、外部側扉24Aの電気錠26Aのロックを解除する。これにより、図7(7−2)に示すように、喫煙者Pは外部側扉24Aを開けて非喫煙空間100に出ることができる。このように、喫煙者Pは、喫煙空間1Aを使用した後非喫煙空間100に出る際に連絡空間1Bを通過するだけで、自動的に頭髪や衣服等に付着した煙草の粉塵や臭いが除菌・脱臭されるので、非喫煙空間100で非喫煙者と長時間同席した場合にも、非喫煙者に不快感を与えないようにすることができる。なお、ステップ8の判断手段としては、例えば連絡空間1B内に人感センサを設けその検出結果から判断することができる。
【0060】
一方、ステップS1において、外部側扉24Aが解放していないと判断した場合(ステップS1:No)は、ステップS5に移る。ステップS5では内部側扉24Bが解放しているか否かを判断し、解放している場合(ステップS5:Yes)にはステップS6〜S11へ進む。また、ステップS5において内部側扉24Bが解放していない判断された場合(ステップS5:No)は、ステップS1に戻る。すなわち、外部側及び内部側扉24A,24Bがどちらも閉じられている時には、ステップS1およびS5の処理を交互に、略同時的に行うこととなる。
【0061】
なお、上記フロー図では、ステップS3においてYesと判断された後、直ぐにステップS4を実行してロック解除しているが、一定の時間、ロック解除を禁止することもできる。つまり、ローカルコントローラ21にタイマーを設けておき、予め決められた時間、内部側扉24Bをロック解除できないようにするのである。このようにすると、連絡空間に滞留した煙を消失ないし低減され、非喫煙空間100へ流出する煙の量をさらに少なくできる。本実施例においてロックとは、施錠状態から解錠状態への移行を禁止することとして使用している。
【0062】
図4Bは、図4Aの喫煙室1の使用状態を説明するフロー図において破線で囲んだ流れを付加したものである。すなわち、ステップS10でエアシャワー発生装置15を作動させた後、ステップS12でそのエアシャワー発生装置15の作動によって喫煙者Pの身体又は衣服に付着した粉塵や煙など有害物質が除去できたか否かを判断し、除去できたと判断した場合(ステップS12:Yes)には、ステップS11で外部側扉24Aの電気錠26Aのロックを解除するようにしてもよい。そして、まだ除去できていないと判断した場合(ステップS12:No)には、エアシャワー発生装置15、必要に応じてミスト噴霧装置16の作動が継続する。ここで除去したか否かの判断としては、上記したようにエアシャワー発生装置15(連絡空間1B)では給気及び排気が行われるため、その排気側で除塵、脱臭及び有害物質除去した量をセンサで検出し、その検出結果によって付着物を除去したか否かの判断をすることが可能である。これにより、ミスト噴霧、エアシャワー発生を無駄なく発生させることができる。
【0063】
また、ステップS12の判断としては、喫煙空間1A内に設置された一酸化炭素センサ6、粉塵濃度センサ7から喫煙空間1A内の粉塵量等を検出し、その粉塵量における付着した粉塵や臭いを除去するのに要するエアシャワー発生及び/又はミスト噴霧の時間を予めメモリしておき、その検出結果に基づいてその予め定められた時間作動させた後、付着物を除去したとみなして、ステップS11に移行するようにしてもよい。
【0064】
図8ないし図10は、別の態様の喫煙室を示す横断面図、図11及び図12は、別の態様の喫煙室を使用状態とともに示した図である。図8に示すように、喫煙室1aは、喫煙空間1Aを直方体等に形成し、連絡空間1Bが喫煙空間1Aに隣接するとともに突出する形で設けられている。これによると、喫煙空間1Aが十分なスペースを確保することができるので、喫煙空間1A内で発生する煙が拡散され、頭髪や衣服等への粉塵や臭いの付着を低減することができる。ひいては、喫煙空間に別個で入口(入口用通路)と出口(出口用通路)とを兼ねる形で1つ連絡空間を設けているので、喫煙室1aを製造(組立)する際に、既存の喫煙室の出入口に連絡空間を隣接して設置することができ汎用的である。
【0065】
図9に示すように、喫煙室1bは全体を直方体等に形成し、その中に喫煙空間1Aと複数の連絡空間1Bを設けることができる。すなわち、連絡空間1Bが喫煙空間1Aから突出しない形で設けられている。また、連絡空間1Bは、それぞれを入口(入口用通路)と出口(出口用通路)とを兼ねる形で形成してもよく、或いは入口専用の連絡空間1Bと別個で出口専用の連絡空間1Bとして構成してもよい。入口専用と出口専用とを別個設けることで喫煙者は入退室を円滑に遂行することができる。本発明では、煙草臭除去手段としてエアシャワー発生装置15を備えるため、出口用通路の連絡通路1Bを複数設けることでより円滑に退室を行うことができる。
【0066】
図10に示すように、喫煙室1cは、喫煙空間1Aを直方体等に形成し、連絡空間1Bが喫煙空間1Aに隣接するとともに突出する形で複数設けられている。上記喫煙室1a(図8)と同様に、喫煙空間1Aを十分なスペースを確保することができるので、喫煙空間1A内で発生する煙が拡散され、頭髪や衣服等への粉塵や臭いの付着を低減することができる。また上記喫煙室1b(図9)と同様に、それぞれを入口(入口用通路)と出口(出口用通路)とを兼ねる形で形成してもよく、或いは入口専用の連絡空間1Bと別個で出口専用の連絡空間1Bとして構成してもよい。入口専用と出口専用とを別個設けることで喫煙者は入退室を円滑に遂行することができる。本発明では、煙草臭除去手段としてエアシャワー発生装置15を備えるため、出口用通路の連絡通路1Bを複数設けることでより円滑に退室を行うことができる。
【0067】
図11に示すように、喫煙室1dは、連絡空間が省略され、その内部で喫煙が許容されている喫煙空間1Aで構成され、その喫煙空間1Aへ出入りをするための内部側扉(入口用扉)24A及び外部側扉(出口用扉)24Bが形成されており、その外部側扉24Bに隣接する天井部分にエアシャワー発生装置15及びミスト噴霧装置16を備える。これにより、喫煙空間1Aで喫煙した喫煙者Pは、その喫煙空間で頭髪や衣服等に付着した煙草の粉塵や臭いが出口近傍に設けられたエアシャワー発生装置15やミスト噴霧装置16などの煙草臭除去手段により除去、脱臭され、清浄な状態で非喫煙空間100へと退出することができる。なお、この扉24A,24Bは、入口と出口とを兼用する形で1つとしてもよい。その場合には、出入り口を兼用する扉の近傍にエアシャワー発生装置15やミスト噴霧装置16などの煙草臭除去手段が設置されることになる。
【0068】
図12に示すように、喫煙室1eは、喫煙室1d(図11)の態様にエアカーテン発生装置17a,17b,17cを設けることができる。このうち第1及び第2エアカーテン発生装置17a,17bは、喫煙室1e内部の、内部側扉(入口用扉)24A及び外部側扉(出口用扉)24Bに近い天井部分に設けられている。これにより、扉が開いたときにも、発生するエアカーテン(図中破線矢印)の気流によって煙がブロックされ非喫煙空間100への煙の流出を抑制することが可能となる。また、出口近傍に設けられたエアシャワー発生装置15及びミスト噴霧装置16を第2エアカーテン発生装置17bとで挟み込む位置に第3エアカーテン発生装置17cが設けられている。すなわち、喫煙室1eは、第3エアカーテン発生装置17cのエアカーテンにより喫煙空間1Aと連絡空間1Bとに区画されている。これにより、喫煙空間1A内に煙を閉じ込め、連絡空間1B内で効率よくエアシャワー発生装置15及びミスト噴霧装置16により煙草の粉塵や臭いを除去・脱臭することができる。
【0069】
次に、図13に示すように、本発明に係る喫煙室1は、連絡空間1Bに、喫煙空間において喫煙者(利用者)の喫煙に起因した口臭を低減又は除去する口臭除去剤、又は、喫煙空間において喫煙者(利用者)の喫煙に起因して損なわれた健康を回復補助する健康回復補助剤を供給する自動供給機(口臭除去手段、健康回復補助手段)18を備えることができる。口臭除去剤としては、口臭除去に効果のあるガム、飴、タブレット、うがい用液剤などを挙げることができる。なお、うがい用液剤のように液状のものは専用の容器に注がれるように供給すればよい。健康回復補助剤としては、消費されたビタミンの補給補助をするビタミン剤等のタブレット、飴、ガム、ビタミン入り飲料水などを挙げることができる。また、健康回復補助手段として上述したエアシャワー発生装置15を用いることができ、噴出するエアシャワーを高酸素濃度空気として喫煙者に供給し、喫煙者はそれを吸引することで体内のCO排出を補助することが可能となる。
【0070】
図14に自動供給機の概略図を示す。図14に示すように、自動供給機18は、上述のように口臭除去剤及び/又は健康回復補助剤を無人(自動)で供給する装置であり、その正面に、「におい物質」の濃度等を検出する臭いセンサ18a(口臭検出手段)や、口臭除去剤及び/又は健康回復補助剤を供給する供給口18b(口臭除去剤供給手段)などを備えている。そして、これらは、CPU,ROM,RAM,I/O等からなるマイコンを主体として構成された制御装置18c(判定手段)によって自動供給機としての機能を実現するとともに、ローカルコントローラ21に接続されている。
【0071】
次に図15のフロー図を用いて自動供給機18の動作を説明する。喫煙者は上記した手順で連絡空間1Bを通過し喫煙空間1Aに入室して喫煙を済ませ、退出用カードリーダ23で認証を受け連絡空間1Bに入る。このとき、連絡空間1Bに備えられた自動供給機18の臭いセンサ18aに息を吹きかける。喫煙者から臭いセンサ18aに息吹きかけがあった場合は(S21:Yes)、ステップ22でその吹きかけられた息を検出する。検出した息が喫煙に起因した口臭と判断された場合には(S23:Yes)、予め自動供給機18に供給してある口臭除去剤を供給口18bから供給する。これにより、喫煙者は供給口18bから口臭除去剤を取り出すことができ、その口臭除去剤を使用することで非喫煙空間100に戻った際に、非喫煙者と長時間同席した場合にも、その非喫煙者に不快感を与えないようにすることができる。なお、口臭除去剤を健康回復補助剤に置き換え、同様の態様で健康回復補助剤を喫煙者に供給することが可能である。これにより、健康回復補助剤を使用することで喫煙により損なわれた健康の回復を補助することができる。
【0072】
また、自動供給機18は、ローカルコントローラ21に接続されており、図16Aに示すような喫煙者の入退室と連動させて喫煙者に口臭除去剤又は健康回復補助剤を供給することが可能である。図16Aのフロー図は、エアシャワー発生装置に係る図4Aのフロー図に対応しており、上記実施例と同様な部分の説明は同一の符号を付して詳細な説明を省略又は簡略化する。ステップ8において、ローカルコントローラ21は、該連絡空間1B内に喫煙者Pが居るか否かを判断し、喫煙者Pが居ると判断した場合には(S8:Yes)、S20で自動供給機18を作動させて供給口18bに口臭除去剤及び/又は健康回復補助剤を供給する。これにより、喫煙者Pは供給口18bに供給された口臭除去剤及び/又は健康回復補助剤を取り出し、その口臭除去剤及び/又は健康回復補助剤を使用することで喫煙に起因した口臭を除去・抑制することができ、喫煙に起因して損なわれた健康の回復を補助することができる。
【0073】
図16Bは、図16Aの動作の流れに破線で囲んだ流れを付加したものであり、喫煙者が口臭除去剤(健康回復補助剤)を使用したか否かを判断し、その口臭除去剤(健康回復補助剤)を使用しない場合には外部側扉24Aのロックが解除されず退室できないようにすることが可能である。例えば、供給口18bに重量センサを設けその重量センサ上に口臭除去剤(健康回復補助剤)を供給して、その後の重量センサの変化で口臭除去剤が取り出されたか否かを判断することができる。また、供給口18bに赤外線センサ等の人感センサを用いて取り出しがあったか否かを判断してもよい。
【0074】
なお、煙草臭除去手段としてのエアシャワー発生装置15及びミスト噴霧装置16と、口臭除去手段及び/健康回復補助手段としての自動供給機18とをそれぞれ別に設けてその機能・構成を説明したが、それらのうちから選ばれる2種または全部を同時に併設した状態で喫煙室(連絡空間)を構成してもよい。これにより、連絡空間を通過するだけで、頭髪などの身体や衣服に付着した煙草の粉塵や煙の除去・脱臭だけでなく、口臭の除去・低減・予防もすることができ、ひいては喫煙により損なわれた健康を回復補助することが可能となる。
【0075】
本発明において、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、目的、用途に応じて当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】喫煙室を示す概略図。
【図2】図1の横断面図。
【図3】喫煙室の構成を示すブロック図。
【図4A】喫煙室の使用状態を示すフロー図。
【図4B】図4に対応する喫煙室の使用状態を示すフロー図。
【図5】喫煙室の使用状態を示す図。
【図6】図5に続く図。
【図7】図6に続く図。
【図8】別の実施形態1に係る喫煙室の横断面図。
【図9】別の実施形態2に係る喫煙室の横断面図。
【図10】別の実施形態3に係る喫煙室の横断面図。
【図11】連絡空間を省略した実施形態を示す図。
【図12】エアカーテン発生装置を用いた実施形態を示す図。
【図13】自動供給機を用いた実施形態を示す図。
【図14】自動供給機を示す概略図。
【図15】自動供給機の動作を示すフロー図。
【図16A】図4に対応した自動供給機の動作を示すフロー図。
【図16B】図16Aに対応した自動供給機の動作を示すフロー図。
【符号の説明】
【0077】
1 喫煙室
1A 喫煙空間
1B 連絡空間
2 排気装置
3 空気清浄機
15 エアシャワー発生装置(煙草臭除去手段)
16 ミスト噴霧装置(煙草臭除去手段)
17 エアカーテン発生装置
18 自動供給機(口臭除去手段、健康回復補助手段)
21 ローカルコントローラ
24 扉
25 通電金具
26 電気錠
100 非喫煙空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間にその喫煙空間に出入りするための入口と、その入口と兼用又は別個の出口とを設け、前記喫煙空間において利用者の頭髪を含む身体、或いは身に付けた衣服に付着した煙草の粉塵や臭いを低減又は除去する煙草臭除去手段が少なくとも出口となる位置に隣接して設置されることを特徴とする喫煙室。
【請求項2】
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間と、
前記外部と前記喫煙空間との間に設けられ、前記喫煙空間への出入りをするための入口用通路及びこれと兼用又は別個の出口用通路となる連絡空間と、
少なくとも出口用通路となる前記連絡空間に設置され、前記喫煙空間において利用者の頭髪を含む身体、或いは身に付けた衣服に付着した煙草の粉塵や臭いを低減又は除去する煙草臭除去手段と、
を備えることを特徴とする喫煙室。
【請求項3】
煙草の煙を遮断するエアカーテン発生装置を備え、
前記エアカーテン発生装置が生成するエアカーテンにより前記連絡空間が形成されている請求項2記載の喫煙室。
【請求項4】
前記煙草臭除去手段は、前記喫煙空間において身体及び衣服、或いは身体又は衣服に付着した煙草の粉塵や臭いを噴出する気流により低減又は除去するエアシャワー発生装置として構成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の喫煙室。
【請求項5】
前記煙草臭除去手段は、前記喫煙空間において身体及び衣服、或いは身体又は衣服に付着した煙草の粉塵や臭いを噴霧するミストにより低減又は除去するミスト噴霧装置を含み構成されている請求項4に記載の喫煙室。
【請求項6】
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間にその喫煙空間に出入りするための入口と、その入口と兼用又は別個の出口とを設け、前記喫煙空間において利用者の喫煙に起因した口臭を低減又は除去する口臭除去手段が少なくとも出口となる位置に隣接して設置されることを特徴とする喫煙室。
【請求項7】
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間と、
前記外部と前記喫煙空間との間に設けられ、前記喫煙空間への出入りをするための入口用通路及びこれと兼用又は別個の出口用通路となる連絡空間と、
少なくとも出口用通路となる前記連絡空間又はその連絡空間に隣接する前記外部に設置され、前記喫煙空間において利用者の喫煙に起因した口臭を低減又は除去する口臭除去手段と、
を備えることを特徴とする喫煙室。
【請求項8】
前記口臭除去手段は、口臭除去に効果のあるガム、飴、タブレット、うがい用液剤のうちから選ばれる1種もしくは2種以上のものである請求項6又は7に記載の喫煙室。
【請求項9】
前記口臭除去手段は、
前記喫煙空間における前記利用者の喫煙に起因した口臭を検出する口臭検出手段と、前記口臭検出手段で検出される口臭の有無を判定する判定手段と、前記判定手段により、口臭が有るとされた場合には、口臭除去に効果のあるガム、飴、タブレット、うがい用液剤のうちから選ばれる1種もしくは2種以上のものである口臭除去剤を前記利用者が取り出し可能となるように供給する口臭除去剤供給手段とを含み構成される請求項6又は7に記載の喫煙室。
【請求項10】
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間にその喫煙空間に出入りするための入口と、その入口と兼用又は別個の出口とを設け、前記喫煙空間において利用者の喫煙に起因して損なわれた健康を回復補助する健康回復補助手段が少なくとも出口となる位置に隣接して設置されることを特徴とする喫煙室。
【請求項11】
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間と、
前記外部と前記喫煙空間との間に設けられ、前記喫煙空間への出入りをするための入口用通路及びこれと兼用又は別個の出口用通路となる連絡空間と、
少なくとも出口用通路となる前記連絡空間又はその連絡空間に隣接する前記外部に設置され、前記喫煙空間において利用者の喫煙に起因して損なわれた健康を回復補助する健康回復補助手段と、
を備えることを特徴とする喫煙室。
【請求項12】
前記健康回復補助手段は、健康回復に効果のあるガム、飴、ビタミン剤タブレット、ビタミン入り飲料水、吸引用高酸素濃度空気のうちから選ばれる1種もしくは2種以上のものである請求項10又は11に記載の喫煙室。
【請求項13】
外部と遮断又は区画された空間であって、その内部において喫煙が許可された喫煙空間と、
前記外部と前記喫煙空間との間に設けられ、前記喫煙空間への出入りをするための入口用通路及びこれと兼用又は別個の出口用通路となる連絡空間と、
少なくとも出口用通路となる前記連絡空間に設置され、前記喫煙空間において利用者の頭髪を含む身体、或いは身に付けた衣服に付着した煙草の粉塵や臭いを低減又は除去する煙草臭除去手段と、
少なくとも出口用通路となる前記連絡空間又はその連絡空間に隣接する前記外部に設置され、前記喫煙空間において利用者の喫煙に起因した口臭を低減又は除去する口臭除去手段と、
少なくとも出口用通路となる前記連絡空間又はその連絡空間に隣接する前記外部に設置され、前記喫煙空間において利用者の喫煙に起因して損なわれた健康を回復補助する健康回復補助手段と、
を備えることを特徴とする喫煙室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【公開番号】特開2008−75349(P2008−75349A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256485(P2006−256485)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】