説明

営巣防止網支持具

【課題】営巣防止網を鉄道軌道の上方に架設された梁に取り付ける作業の労力を軽減する営巣防止網支持具を提供する。
【解決手段】営巣防止網支持具1は、車両軌道の上方を幅方向に跨いで支持されたフレーム構造の梁の内側に営巣防止網を設けるためのものであり、営巣防止網の内面の一端側から他端側に亘って接触して延びて該営巣防止網を支持する支持本体部3を備える。支持本体部3は、営巣防止網を支持した状態で梁の内側上部に梁の延びる方向に沿って取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラス等の比較的に大型の鳥類が、車両軌道の上方を幅方向に跨いで支持されたフレーム構造の梁に巣作り材料を持ち込んで営巣するのを防止するための網を梁内に設けるための営巣防止網支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道軌道の上方を幅方向に跨いで架線を支持するフレーム構造の梁では、例年春先にカラス等の比較的大型の鳥類が巣を作る営巣行為がしばしば行われる。この営巣行為は、例えば金属製ハンガーや針金や侵入防止網等の金属物又はツタやカズラ等の長尺植物の枝を梁内に持ち込んで巣作りが行われる。梁に吊下されている架線は絶縁被覆の無い裸線であるために、金属製の巣作り用材料が架線から垂れ下がって地面と接触すると地絡事故が発生して輸送障害が生じる虞がある。
【0003】
そこで、特許文献1に記載されているように、梁内に三角柱構造体を梁の長手方向に連続して設け、この三角柱構造体の傾斜面と底面に営巣防止網(文献では進入防止網)を取り付けて、梁内へのカラス等の鳥類の進入を防止している。
【0004】
しかしながら、この梁は、梁内に設ける三角柱構造体に営巣防止網を取り付けて構成されているので、構造が複雑であり、製造コストが高くなる。
【0005】
そこで、矩形状に形成された営巣防止網を梁の上面、側面に取り付けて、カラス等の鳥類の進入を防止する方法が提案されている。この方法は、矩形状に形成された営巣防止網を丸めて外径を小さくしたものを、梁の長手方向の一方側端部から挿入し、梁内で営巣防止網を広げ、枠の上面、側面に営巣防止網を紐部材で緊縛して取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−232261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の営巣防止網を梁内に緊縛して取り付ける方法では、営巣防止網自体が堅い材料で形成されたものを使用しているため、営巣防止網を細く丸める作業が大変であり、また細く丸めた営巣防止網を梁内で広げる作業も大変であった。このため、営巣防止網を梁に取り付ける作業の労力を軽減するために治具の開発が望まれていた。
【0008】
本発明は、このような要望に応えるためになされたものであり、営巣防止網を梁に取り付ける作業の労力を軽減する営巣防止網支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するため、本発明は、フレーム構造の梁の内側に営巣防止網を設けるための営巣防止網支持具であって、営巣防止網の内面の一端側から他端側に亘って接触して延びて該営巣防止網を支持する支持本体部を備え、支持本体部は、営巣防止網を支持した状態で梁の内側上部に該梁の延びる方向に沿って取り付けられることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
これにより、営巣防止網は、梁内で支持本体部を中心として支持本体部の両側の営巣防止網が下方へ延びた状態にすることができる。このため、梁内に挿入された営巣防止網を梁内で広げる作業の労力を軽減することができる。
【0011】
本発明の「営巣防止網の内面の一端側から他端側」とは、外側形状が所定形状に形成された営巣防止網の内面のうちの一端側から他端側をいい、具体的には、営巣防止網の幅方向中央部の内面の一端側から他端側をいう。
【0012】
本発明の「前記支持本体部は、前記営巣防止網を支持した状態で前記梁の内側上部に該梁の延びる方向に沿って取り付けられる」とは、具体的には、支持本体部が梁の長手方向に延びた状態で梁の内側上部に取り付けられることをいう。これにより、支持本体部に支持された営巣防止網を梁内で広げた際に梁の側面に営巣防止網を沿わせることが容易になる。
【0013】
営巣防止網は、フレーム構造の梁の内側に配置されて梁の上面、側面を覆い、梁内にカラス等の鳥類が営巣するのを防止するものであり、具体的には、営巣防止網は、営巣防止網を容易に丸めることができ、また丸めた営巣防止網が容易に広がるように弾性を有するものが好ましい。
【0014】
本発明の支持本体部は、対向配置される第1板部材及び第2板部材を備え、第1板部材の一方側の面に凸部が設けられ、第2板部材に凸部を挿入可能な係合孔部が設けられ、凸部の基部及び係合孔部の開口端部のいずれか一方の周囲に段部が突出して設けられ、段部は、凸部の係合孔部への挿入時に段部の先端部が対向する第1板部材及び第2板部材のいずれか他方の面に接触して、第1板部材及び第2板部材間に営巣防止網を挟持可能な隙間を形成する高さを有するとともに、営巣防止網の網目に挿入可能な大きさを有して、営巣防止網を支持本体部に係止することを特徴とする(請求項2)。
【0015】
これにより、対向配置された第1板部材と第2板部材との間に営巣防止網を配置し、凸部が営巣防止網の網目に挿入されるように凸部を係合孔部に挿入すると、段部の先端部が対向する第1板部材及び第2板部材のいずれか他方の面に接触して、第1板部材及び第2板部材間に形成された隙間に営巣防止網を挟持することができるとともに、段部が営巣防止網の網目に挿入されて営巣防止網を支持本体部に係止する。このため、営巣防止網を支持本体部に確実に固定することができる。
【0016】
段部は、営巣防止網の網目と相似する形状が好ましく、具体的には、網目が矩形状であれば段部の外形も矩形状に形成される。
【0017】
また本発明の第1板部材及び第2板部材は、いずれか一方に係止突起部が設けられ、いずれか他方に第1板部材及び第2板部材が対向配置された状態で係止突起部を係止する係合凹部(実施の形態における係合孔部42)が設けられていることを特徴とする(請求項3)。
【0018】
これにより、第1板部材及び第2板部材を対向配置した状態で、これらの部材を一体的に結合した状態にすることができる。係止突起部とこれに対応する係合凹部は、一組に限るものではく、複数の組をこれらの部材に設けてもよい。
【0019】
また本発明は、第1板部材の長手方向の一端部に、該第1板部材の内側及び一端側が開口する第1凹部が設けられ、第2板部材の長手方向の一端部に、該第2板部材の内側及び一端側が開口する第2凹部が設けられ、第1板部材及び第2板部材の内側同士を対向配置すると、第1凹部及び第2凹部によって囲まれて一端側が開口して支持本体部の他端部を挿入可能な係合凹部が形成されることを特徴とする(請求項4)。
【0020】
これにより、係合凹部に支持本体部の他端部を挿入することで、複数の支持本体部を直線状に連結することができる。このため、梁の長手方向の長さに応じて支持本体部を直線状に連結することで、営巣防止網を梁内に装着したい長さに応じて営巣防止網を梁内に移動させることができる。
【0021】
さらに本発明の係合凹部は、支持本体部の長手方向に直交する幅方向の寸法が他の支持本体部の他端部の幅方向の寸法よりも大きく形成され、係合凹部に挿入された他の支持本体部の他端部を支点として、他の支持本体部の挿入側が係合凹部の幅方向に移動自在であることを特徴とする(請求項5)。
【0022】
これにより、丸めた営巣防止網を梁の長手方向の一端部から梁内に挿入する際に、営巣防止網の端部が梁内で引っ掛かっても、支持本体部に連結された他の支持本体部の方向を変えて営巣防止網の挿入方向に他の支持本体部を押圧すると、営巣防止網の引っかかりが解除されてより梁の内部に営巣防止網を挿入することができる。このため、営巣防止網を梁内に挿入する作業の作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、営巣防止網支持具は、営巣防止網の内面の一端側から他端側に亘って接触して延びて該営巣防止網を支持する支持本体部を備え、支持本体部は、営巣防止網を支持した状態で梁の内側上部に該梁の延びる方向に沿って取り付けられることで、梁内で支持本体部を中心として支持本体部の両側の営巣防止網を下方へ延ばした状態にすることができる。このため、梁内に挿入された営巣防止網を梁内で広げる作業が容易になり、営巣防止網を梁に取り付ける作業の労力を軽減する営巣防止網支持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る営巣防止網支持具を示し、同図(a)は営巣防止網支持具の裏面側矢視の斜視図であり、同図(b)は営巣防止網支持具の表面側矢視の斜視図である。
【図2】鉄道軌道の上方に架設され営巣防止網支持具を用いて営巣防止網が装着された梁の説明図を示す。
【図3】広げた状態の営巣防止網の平面図を示す。
【図4】営巣防止網支持具を構成する第1板部材を示し、同図(a)は第1板部材の内面側の斜視図であり、同図(b)は第1板部材の外面側の斜視図である。
【図5】第1板部材を示し、同図(a)は第1板部材の幅方向一方側の側面図であり、同図(b)は第1板部材の平面図であり、同図(c)は第1板部材の幅方向他方側の側面図であり、同図(d)は第1板部材の長手方向一方側の側面図であり、同図(e)は第1板部材の長手方向他方側の側面図である。
【図6】第1板部材の裏面図を示す。
【図7】第2板部材を示し、同図(a)は第2板部材の内面側矢視の斜視図であり、同図(b)は第2板部材の外面側矢視の斜視図である。
【図8】第2板部材を示し、同図(a)は第2板部材の幅方向一方側の側面図であり、同図(b)は第2板部材の平面図であり、同図(c)は第2板部材の幅方向他方側の側面図であり、同図(d)は第2板部材の長手方向一方側の側面図であり、同図(e)は第2板部材の長手方向他方側の側面図である。
【図9】第2板部材の裏面図を示す。
【図10】第1板部材と第2板部材が結合した営巣防止網支持具を示し、同図(a)は営巣防止網支持具の幅方向一方側の側面図であり、同図(b)は営巣防止網支持具の平面図であり、同図(c)は営巣防止網支持具の幅方向他方側の側面図であり、同図(d)は営巣防止網支持具の長手方向一方側の側面図であり、同図(e)は営巣防止網支持具の長手方向他方側の側面図である。
【図11】営巣防止網支持具の裏面図である。
【図12】営巣防止網支持具が装着された営巣防止網の斜視図を示す。
【図13】営巣防止網支持具が装着された営巣防止網を丸めて縛った状態の営巣防止網の斜視図である。
【図14】営巣防止網支持具が装着されて丸められた営巣防止網を梁の内側上部に固定するための説明図である。
【図15】梁の内側上部に固定された営巣防止網の斜視図である。
【図16】梁の内側上部に固定されて拘束が解かれた状態の営巣防止網の斜視図である。
【図17】梁の内側上部に固定されて拘束が解かれた営巣防止網の内部を説明するための説明図である。
【図18】梁の内側上部に固定されて拘束が解かれた営巣防止網が梁の側部の斜材に固定するための説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係わる営巣防止網支持具の最良の実施の形態を図1から図18に基づいて説明する。先ず、営巣防止網支持具を説明する前に、梁及び梁に装着される営巣防止網について説明する。
【0026】
梁70は、図2に示すように、鉄道軌道Lの上方で架線Wを支持するためのものであり、鉄道軌道Lの上方を幅方向に跨ぐようにして、鉄道軌道Lの幅方向の両側に立設された柱Cの上部間に架け渡されて固定されている。
【0027】
梁70は、側面視において四角形の交点に配設される互いに平行な鋼鉄製の弦材70aと、これらの弦材70aに対してトラス状に架設される鋼鉄製の斜材70bとを有して、フレーム構造になっている。このため、梁70の内部には梁70の長手方向に沿った空間部70cが形成され、この空間部70cにカラス等の鳥類が営巣する場合がある。このため、梁70に後述する営巣防止網が装着されて、鳥類の進入を防止している。
【0028】
営巣防止網80は、図3に示すように、広げた状態で長方形状に形成され、正方形状の網目81が縦方向及び横方向に一定の間隔を有して形成されている。営巣防止網80は、合成樹脂材料(例えば、低密度ポリエチレン)で形成されて弾性変形可能である。営巣防止網80は広げた状態が弾性変形していない元の状態であり、広げた状態から容易に丸めることができる弾性を有している。このため、丸めた状態の営巣防止網80の拘束を解くと、営巣防止網80は広がって元の形状に戻る。この営巣防止網80は営巣防止網支持具1に支持されて、営巣防止網支持具1を介して梁70に設けられる。
【0029】
営巣防止網支持具1は、図1(a)及び図1(b)に示すように、板状に形成された支持本体部3を備える。支持本体部3は、対向配置されて結合且つ分離可能な第1板部材10及び第2板部材30を有してなる。営巣防止網支持具1を構成する支持本体部3は、合成樹脂材料(例えば、ポリカーボネート)で形成されている。
【0030】
第1板部材10は、図4(a)に示すように、板状に延びる第1支持本体部11を有する。第1支持本体部11は側面視において長方形状に形成され、その内面には第1支持本体部11の長手方向に所定距離を有して配置された凸部13が複数設けられている。
【0031】
凸部13は、その先端部に第2板部材30を係止するための係止突起14aが設けられた第1凸部14と、係止突起を備えない第2凸部17とを有する。第1凸部14と第2凸部17は、第1支持本体部11の一端側から他端側に交互に配置されている。なお、これらの凸部の配置は、交互に限るものではなく、少なくとも第1凸部14が第1支持本体部11に設けられていれば、配置の順序は任意でよい。
【0032】
第1凸部14は、図5(a)、図5(b)、図5(c)、図5(d)、図5(e)、図6に示すように、先端部に外側に突出する係止突起14aを備える突出片14bを正方形状に配置して構成される。突出片14bはその基部を支点として先端側が撓み変形可能であり、後述するが第2板部材30に設けられた係合孔部33に係止される。第1凸部14の高さ寸法は、第1凸部14が係合孔部33に挿入されて第1凸部14の先端部が係合孔部33から突出して係止突起14aが係合孔部33の端部に係止可能な長さを有している。このため、第1凸部14を係合孔部33に挿入すると、係止突起14aを係合孔部33に係止させることができる。
【0033】
第2凸部17は、第1凸部14と略同じ高さ寸法を有するとともに、外形が第1凸部14と略同じ寸法を有して正方形状に形成されている。第2凸部17の内部にはこの突出方向に貫通する矩形状の貫通孔17aが形成されている。
【0034】
第1板部材10の長手方向の一端部には、第1板部材10の内面側及び一端側が開口する矩形状の第1凹部19が形成されている。第1凹部19は、第1板部材10の一端部の幅方向両端部から第1板部材10の長手方向に平行に延びる一対の側板部20と、一対の側板部20の外側端部間に繋がる底板部21と、第1板部材10の一端側の端面11aとで囲まれて形成されている。この第1凹部19は、後述する第2板部材30に設けられる第2凹部39(図8(b)参照)と対向配置される。
【0035】
第1凹部19の一対の側板部20には、側板部20の高さ方向に突出する突出片22が設けられ、この突出片22の先端部には内側に突出する係止突起部22aが設けられている。係止突起部22aは、後述する第2板部材30の第2凹部に設けられた係合孔部42(図8(a)参照)に係止される。
【0036】
このように構成された第1板部材10と対向配置される第2板部材30は、図7(a)、図7(b)に示すように、板状に延びる第2支持本体部31を有する。第2支持本体部31は側面視において長方形状に形成され、その内面には第2支持本体部31の長手方向に所定距離を有して複数の係合孔部33が設けられている。
【0037】
係合孔部33は、第1凸部14及び第2凸部17(図4(a)参照)が挿入可能に矩形状に形成されている。係合孔部33の第2板部材内面側の開口端部の周囲には、図8(a)、図8(b)、図8(c)、図8(d)、図8(e)、図9に示すように、開口端部に沿った矩形状の段部34が突出して設けられている。段部34は、第1板部材10に設けられた第1凸部14及び第2凸部17(図4(a)参照)の係合孔部33への挿入時に、段部34の先端部が対向する第1支持本体部11の内面に接触して、第1支持本体部11及び第2支持本体部31間に営巣防止網80を挟持可能な隙間37(図10(a)参照)を形成する高さを有するとともに、営巣防止網80の網目81(図3参照)に挿入可能な大きさを有している。
【0038】
第2板部材30の長手方向の一端部には、第2板部材30の内面側及び一端側が開口する矩形状の第2凹部39が形成されている。第2凹部39は、第2板部材30の一端部の幅方向両端部から第2板部材30の長手方向に平行に延びる一対の側板部40と、一対の側板部40の外側端部間に繋がる底板部41と、第2板部材30の一端側の端31aとによって囲まれて形成されている。この第2凹部39は、前述した第1板部材10に設けられた第1凹部19と対向配置されると、他の支持本体部の他端部(挿入側)を挿入可能な係合凹部4を形成する(図1(a)参照)。
【0039】
一対の側板部40の基部側には、第1板部材10の係止突起部22aを係止する係合孔部42が設けられている。なお、前述した実施例では、係止突起部22aが第1板部材10の側板部20に設けられ、係合孔部42が第2板部材30の側板部40に設けられた場合を示したが、係止突起部22aが第2板部材30の側板部40に設けられ、係合孔部42が第1板部材10の側板部20に設けられてもよい。
【0040】
このように構成された第1板部材10及び第2板部材30の内面同士を対向配置して両板部材を接近させると、図10(a)、図10(b)、図10(c)、図10(d)、図10(e)、図11に示すように、第1凸部14及び第2凸部17が第2板部材30の対応する係合孔部33内に挿入されて、第1凸部14の係止突起14aが係合孔部33に係止され、また一対の突出片14bの係止突起14aが係合孔部42に係止されて、第1板部材10及び第2板部材30が一体的に結合されて、営巣防止網支持具1が完成する。
【0041】
次に、本願発明の営巣防止網支持具1を使用して鉄道軌道L(図2参照)の上方に架設された梁70内に営巣防止網80を取り付ける作業方法を説明する。先ず、図7(a)及び図12に示すように、営巣防止網支持具1の第2板部材30の段部34が上方へ向くように、第2板部材30を地面上に置き、この第2板部材30の一端側に設けられた第2凹部39に、他の第2板部材30の他端部(挿入側)を挿入して、複数の第2板部材30を一本の棒状に並べる。
【0042】
並べられた複数の第2板部材30上に営巣防止網80を被せる。営巣防止網80を複数の第2板部材30上に被せる際に、棒状に並べられた複数の第2板部材30が営巣防止網80の幅方向中間部の一端から他端側に向けって延びるように、営巣防止網80を複数の第2板部材30上に被せるとともに、営巣防止網80の網目81内に段部34を挿入する。
【0043】
そして、第2板部材30の上方から第1板部材10の内面が第2板部材30の内面に対向するように配置し、第1板部材10を第2板部材30側に接近させ、第1板部材10の第1凸部14及び第2凸部17を第2板部材30の係合孔部33に挿入して、第1凸部14を係合孔部33に係止させるとともに、突出片14bの係止突起14aを第2板部材30の係合孔部42に係止させる。従って、第1板部材10と第2板部材30とが一体的に結合されるとともに、これらの板部材間に営巣防止網80が挟持される。また営巣防止網80の網目81に段部34が挿入された状態で第1板部材10と第2板部材30とが一体的に結合されるので、営巣防止網支持具1に対して営巣防止網80を固定した状態で取り付けることができる。
【0044】
次に、図13に示すように、棒状に繋がる営巣防止網支持具1を境にして一方側に延びる営巣防止網80と他方側に延びる営巣防止網80のそれぞれを営巣防止網支持具1側に向かって丸めて、紐部材50で営巣防止網80の両側を緊縛する。
【0045】
そして、図14、図15に示すように、丸められて紐部材50で緊縛された営巣防止網80を梁70の内側上部に梁70の長手方向に沿って配置し(図15参照)、営巣防止網支持具1を梁70の上部に設けられ斜材70bに紐部材51で緊縛する。その結果、丸められた営巣防止網80が梁70の上部内側に固定される。
【0046】
なお、丸められた営巣防止網80を梁70内に配置する場合には、営巣防止網80を梁70の長手方向端部の開口から挿入する。営巣防止網80の挿入時には、作業者は営巣防止網支持具1を把持しながら移動させて営巣防止網支持具1を梁70内に挿入する。営巣防止網80の挿入時に、営巣防止網80の挿入方向先端部が梁70の斜材70b等に接触して営巣防止網80の移動が困難になると、把持している営巣防止網支持具1の先端側が梁70の内側に移動するように、営巣防止網支持具1を挿入方向に対して左右方向に押す。すると営巣防止網支持具1はこれに繋がる他の営巣防止網支持具に対して回動して、営巣防止網支持具1の先端側が梁70の内側に移動する。このため、移動した営巣防止網支持具1を把持しながら営巣防止網支持具1の延びる方向に押すと、営巣防止網80の引っ掛かりが解かれて営巣防止網80を梁70内に移動させることができる。
【0047】
次に、図16、図17に示すように、丸められた営巣防止網80を緊縛する紐部材50(図13参照)を解くと、丸められた営巣防止網80は元の形状に戻ろうとして、梁70内の下方へ延びる。下方へ延びる営巣防止網80は梁70の側面側に設けられた斜材(図18参照)に沿って下方へ延び、営巣防止網80の先端側は梁70の底面側に設けられた斜材70b上で内側に湾曲した状態で斜材70bを覆う。
【0048】
そして、図18に示すように、梁70の側面側及び底面側に設けられた斜材70bに営巣防止網80を紐部材51で緊縛して、営巣防止網80の梁70への取付作業を終了する。
【0049】
このように、営巣防止網支持具1を介して営巣防止網80を梁70に取り付けるので、経年変化や列車振動により営巣防止網80がすり切れる事態を防止することができる。また、営巣防止網80は、梁70の上部に取り付けた状態で営巣防止網80を拘束する紐部材50の緊張を解くと、自然に広がって梁70内部の側面や底面を覆う。このため、営巣防止網80を梁70内で広げる作業が容易となり、営巣防止網80を梁70内部に装着する作業の労力を軽減することができ、営巣防止網80の装着作業の作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 営巣防止網支持具
3 支持本体部
4 係合凹部
10 第1板部材
13 凸部
19 第1凹部
22a 係止突起部
30 第2板部材
33 係合孔部
34 段部
37 隙間
39 第2凹部
42 係合孔部(係合凹部)
70 梁
80 営巣防止網
81 網目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム構造の梁の内側に営巣防止網を設けるための営巣防止網支持具であって、
前記営巣防止網の内面の一端側から他端側に亘って接触して延びて該営巣防止網を支持する支持本体部を備え、
前記支持本体部は、前記営巣防止網を支持した状態で前記梁の内側上部に該梁の延びる方向に沿って取り付けられることを特徴とする営巣防止網支持具。
【請求項2】
前記支持本体部は、対向配置される第1板部材及び第2板部材を備え、
前記第1板部材の一方側の面に凸部が設けられ、
前記第2板部材に前記凸部を挿入可能な係合孔部が設けられ、
前記凸部の基部及び前記係合孔部の開口端部のいずれか一方の周囲に段部が突出して設けられ、
前記段部は、前記凸部の前記係合孔部への挿入時に前記段部の先端部が対向する前記第1板部材及び前記第2板部材のいずれか他方の面に接触して、前記第1板部材及び前記第2板部材間に前記営巣防止網を挟持可能な隙間を形成する高さを有するとともに、前記営巣防止網の網目に挿入可能な大きさを有して、前記営巣防止網を前記支持本体部に係止することを特徴とする請求項1に記載の営巣防止網支持具。
【請求項3】
前記第1板部材及び前記第2板部材は、いずれか一方に係止突起部が設けられ、いずれか他方に前記第1板部材及び前記第2板部材が対向配置された状態で前記係止突起部を係止する係合凹部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の営巣防止網支持具。
【請求項4】
前記第1板部材の長手方向の一端部に、該第1板部材の内側及び一端側が開口する第1凹部が設けられ、
前記第2板部材の長手方向の一端部に、該第2板部材の内側及び一端側が開口する第2凹部が設けられ、
前記第1板部材及び前記第2板部材の内側同士を対向配置すると、前記第1凹部及び前記第2凹部によって囲まれて一端側が開口して前記支持本体部の他端部を挿入可能な係合凹部が形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の営巣防止網支持具。
【請求項5】
前記係合凹部は、前記支持本体部の長手方向に直交する幅方向の寸法が前記他の支持本体部の他端部の幅方向の寸法よりも大きく形成され、
前記係合凹部に挿入された前記他の支持本体部の他端部を支点として、前記他の支持本体部の挿入側が前記係合凹部の幅方向に移動自在であることを特徴とする請求項4に記載の営巣防止網支持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−161197(P2012−161197A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20432(P2011−20432)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(000115382)ヨツギ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】