説明

噴射アダプター装置

【課題】ディスペンサーやエアゾール容器等の噴射容器に装着したアダプターの操作部をてこの原理で駆動させることにより、適切な操作感で適切量の液体を噴射容器から噴射させることができるとともに、操作が容易で所望位置に噴射できる噴射アダプター装置を提供する。
【解決手段】収納部18に収納した噴射容器14の容器本体10を押し上げる操作レバー20の押上部26が、収納部18の幅方向外側よりも内側が後方に位置する傾斜構造を有し、前記操作レバー20の収納部18内に向けての押し込み動作によって前記押上部26の傾斜構造を介して前記容器本体10を押し上げて噴射ボタン12を没しさせて噴射し、一方、前記押し込み動作を解除したときに噴射ボタン12の弾性体による突状態への復帰動作によって前記容器本体10が後方に移動し、前記押上部26を介して操作レバー20が復帰するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンサーやエアゾール容器等の噴射容器の噴射操作を簡便にする噴射アダプター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のディスペンサーやエアゾール容器等の噴射容器は、噴射口が噴射ボタンに設けられているので噴射口が操作部に近く、使用時には、容器本体を握り噴射ボタンに指をかけた状態で手の届くごく限られた範囲にしか噴霧を行うことができなかった。特に、手指の届きにくい背中や、衣類が邪魔となる脇の下等への吹き付けは、必ずしも簡便に行うことができなかった。
【0003】
そのため、ディスペンサーやエアゾール容器等の噴射容器にアダプターを付けて操作部の位置を変更する等して使用しやすくしたものが提案されている。
【0004】
特開平3−148480号(特許文献1)では、アダプター(ディスペンサーケース)内にディスペンサーを収容して、ディスペンサーを覆う蓋をアダプターの上面部付近にヒンジ結合したポンプ型容器が提案されている。このポンプ型容器では、蓋を握り込むことにより蓋をアダプター内に押し込み、蓋がレバーとなってディスペンサーを上方に押し上げてそのノズルを作動させるようにしている。把持部を握るだけで容器が上下に可動するので操作しやすいものにしている。
【0005】
しかしながら、この特許文献1に記載のポンプ型容器では、レバー部の支点がアダプターの上部に位置するため、レバーを把持したときの回転半径が大きくなるにもかかわらず、ディスペンサーの押し上げ量が少なくなる。
【0006】
また、特開平10−179739号(特許文献2)では、充填容器を内部に収容するホールド部材に支点を中心にレバーが回動するようになっており、その可動部の支点が中の容器のほぼ下面部に位置した手動式ポンプの液体吐出容器が開示されている。このポンプにおいて、レバーを握ると、支点を中心に充填容器を押し上げて畜圧する機構が付加されるものであるため操作者に恐怖心を生じさせない構造になっている。
【0007】
しかしながら、この特許文献2に記載の液体吐出容器では、支点が液体吐出容器本体の下部に位置し、操作レバー開口部上方を向いているため、レバーと容器本体との間に埃や塵が溜まったり、ものが挟まって作動不良を起こしたりする虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平3−148480号公報
【特許文献2】特開平10−179739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、ディスペンサーやエアゾール容器等の噴射容器に装着したアダプターの操作部をてこの原理で駆動させることにより、適切な操作感で適切量の液体を噴射容器から噴射させることができるとともに、操作が容易で所望位置に噴射できる噴射アダプター装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、容器本体の軸方向先端部に、弾性体の付勢力によって該容器本体に対して突状態に維持されている噴射ボタンを設け、その噴射ボタンを弾性体の付勢力に抗して突状態から没状態にして容器本体内の内容物を噴射させる噴射容器に用いる噴射アダプター装置であって、
該噴射容器を収納する筐体構造の収納部と、該収納部内に収納した前記噴射容器の容器本体を押し上げて噴射ボタンを没状態にして内容物を噴射可能にする操作レバーとを備え、
前記収納部には、その幅方向の片側の後部に操作レバーが出没する挿入孔を開口し、その挿入孔と同じ側であって該挿入孔の上方位置に回動ヒンジを設け、前記回動ヒンジを回転軸として操作レバーを収納部に対して回動可能に接続し、
前記操作レバーには、前記容器本体の軸方向後方に回り込んで前記容器本体の底面部に対向する押上部を設けており、該押上部が、前記収納部の幅方向外側よりも内側が後方に位置する傾斜構造を有しており、
前記操作レバーの収納部内に向けての押し込み動作によって前記押上部の傾斜構造を介して前記容器本体を押し上げて前記噴射ボタンを没状態にして噴射し、一方、前記押し込み動作を解除したときに前記噴射ボタンの弾性体による突状態への復帰動作によって前記容器本体が後方に移動し、この後方への移動によって前記押上部を介して操作レバーが復帰することを特徴とする噴射アダプター装置である。
【0011】
本発明においては、前記操作レバーは、収納部の幅方向および厚さ方向に展設する第1の側壁および第2の側壁と前記押上部を設けた底壁部とで前記容器本体を囲むように形成されたことが好適である。
【0012】
また、本発明においては、前記操作レバーの押上部は、複数のレール状部材が傾斜構造に設けられたものであり、前記容器本体の底面部にこのレール状部材に摺接する摺接部材を設け、該レール状部材と該摺接部材の各摺接面同士が平坦面に形成されていることが好適である。
【0013】
また、本発明においては、前記操作レバーの回動ヒンジの位置は、前記収納部の後端から前記収納部の全長の2/3以下の箇所にすることが好適である。
【0014】
また、本発明においては、前記噴射容器の噴射ボタンおよび容器本体の全体が収納部に覆われていて、噴射ボタンに設けられた噴射口の噴射方向が収納部の軸方向に垂直方向に沿って設けられることが好適である。
【0015】
また、本発明においては、前記噴射容器の噴射ボタンおよび容器本体の全体が収納部に覆われていて、噴射ボタンに設けられた噴射口の噴射方向が収納部の軸方向に平行に設けられることが好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の噴射容器に用いる噴射アダプター装置によれば、該噴射容器を収納する筐体構造の収納部と、該収納部内に収納した前記噴射容器の容器本体を押し上げて噴射ボタンを没状態にして内容物を噴射可能にする操作レバーとを備え、前記収納部には、その幅方向の片側の後部に操作レバーが出没する挿入孔を開口し、その挿入孔と同じ側であって該挿入孔の上方位置に回動ヒンジを設け、前記回動ヒンジを回転軸として操作レバーを収納部に対して回動可能に接続し、前記操作レバーには、噴射容器の軸方向後方に回り込んで前記容器本体の底面部に対向する押上部を設けているものとしている。そして、該押上部が、前記収納部の幅方向外側よりも内側が後方に位置する傾斜構造を有している。上記の構造により、前記操作レバーの収納部内に向けての押し込み動作によって前記押上部の傾斜構造を介して前記容器本体を押し上げて前記噴射ボタンを没状態にして噴射し、一方、前記押し込み動作を解除したときに前記噴射ボタンの弾性体による突状態への復帰動作によって前記容器本体が後方に移動し、この後方への移動によって前記押上部を介して操作レバーが復帰するようにしている。
【0017】
したがって、操作レバーを操作することにより容易に噴射容器から噴射することができる。また、噴射容器のディスペンサーやエアゾール容器は噴射口が噴射ボタンに近く、手の届く範囲の極限られた部位への塗付しか行うことができない場合があったが、本発明では収納部の片側の後部の挿入孔に操作レバーを出没させるという操作によって噴射させるので、操作レバーが噴射ボタンから離れた部位になり、従来手指が届きにくい背中や衣類の邪魔になる脇の下等への塗付を簡便に行うことができる。
【0018】
また、噴射容器のディスペンサーやエアゾール容器は、主に人差し指1本で噴射ノズルを操作することにより内容液を噴霧するが、本発明の噴射アダプター装置を用いることにより、手全体で収納部および操作レバーを握りこんでもしくは複数の指を使って操作レバーを握り込むことにより内容液を噴射できるので、軽い力で噴射させることができる。
【0019】
また、噴射ボタンの突没時に容器本体を軸方向に上下動させ噴射口が固定されているので、噴射口が動かないことから狙った部分に正確に塗布することが容易となる。
【0020】
本発明において、前記操作レバーを、収納部の幅方向および厚さ方向に展設する第1の側壁および第2の側壁と前記押上部を設けた底壁部とで前記噴射容器の容器本体を囲むように形成すれば、操作レバー自体によって噴射容器を取り囲んで覆うことができる。したがって、噴射アダプター自体を手全体で覆って握りこんで噴射させることができる。
【0021】
また、本発明において、前記操作レバーの押上部は、複数のレール状部材が傾斜構造に設けられたものであり、前記噴射容器の底面部にこのレール状部材に摺接する摺接部材を設け、該レール状部材と該摺接部材の各摺接面同士が平坦面に形成することができる。この構成によって、操作レバーの幅方向への移動を噴射容器の上下方向への移動に変換するときに、レール状部材と摺接部材の各摺接面が平坦面に形成されていることから、少ない力で操作レバーを押しこんで噴射容器を上昇させて内容液を噴射させることができる。
【0022】
本発明において、前記操作レバーの回動ヒンジの位置は、前記収納部の後端から前記収納部の全長の2/3以下の箇所にすることが好ましい。
すなわち、操作レバーの支点である回動ヒンジの位置が、噴射アダプター装置の先端の近くの位置に設けると操作レバーが長くなり該操作レバーの回転半径が大きくなるため、噴出に必要な上下ストロークを確保するのに幅方向のストロークを大きくしなければならないが、その結果、噴射アダプター装置の幅が大きくなってしまいレバーが押しにくかったり、携帯時に嵩張ったりする等の不具合の原因となる場合があった。そこで、上記のように回動ヒンジの位置を前記収納部の後端から前記収容部の全長の2/3以下の箇所、さらに好ましくは全長の1/2以下の箇所に位置させることによってアダプターの幅が小さくなり、押しやすく、携帯性が向上する。
【0023】
一方、操作レバーの回動ヒンジの位置が噴射アダプター装置の収納部の後端近くに位置すると、操作レバーの回転半径が小さく、支点と力点との距離が短すぎるため、本体容器を上下させるために必要な力が大きすぎて使いにくい等の不具合の原因となる場合があった。そこで、回動ヒンジの位置は前記収納部の後端から収容部の全長の1/4以上、好ましくは1/3以上の箇所に位置させることにより、操作レバーを押す力が充分に小さくすることができるので、使用性が向上する。
つまり、収納部の全長をLとすると、回動ヒンジの位置Pは収納部の後端から(2/3)L≧P≧(1/4)Lが好適で、より好適には、(1/2)L≧P≧(1/3)Lとする。
【0024】
また、本発明において、噴射容器の噴射ノズルおよび本体容器の全体が収納部に覆われていて、噴射ボタンに設けられた噴射口の噴射方向が収納部の軸方向に垂直方向に沿って設けられるものにできる。このようにすれば、手の届き難い正面、背面に噴射しやすい。
【0025】
また、本発明において、噴射容器の噴射ノズルおよび本体容器の全体が収納部に覆われていて、噴射ボタンに設けられた噴射口の噴射方向が収納部の軸方向に平行に設けられるものにできる。このようにすれば、噴射アダプター装置を真っ直ぐに向けて使用箇所に噴射できる。例えば、洋服を着たまま袖口や胸元から噴射アダプター装置を挿入して脇の下に直接噴射できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る噴射アダプター装置の説明図で、(a)が正面外観図、(b)が正面断面図である。
【図2】図1の示す噴射アダプター装置の操作レバーおよび摺接部材の構成例の説明図であって、(a)が操作レバーの斜視図、(b)が操作レバーの一部縦断した説明図、(c)が駒(摺接部材)の表側から見た斜視図、(d)が駒の裏側から見た斜視図である。
【図3】図1の示す噴射アダプター装置の操作レバーおよび摺接部材同士の組み立て説明図であって、(a)が操作レバーを一部縦断した斜視図、(b)が同外観斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る噴射アダプター装置の説明図で、(a)が正面外観図、(b)が正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0028】
図1〜図3によって、実施形態に係る噴射アダプター装置16について説明する。
【0029】
図1に全体図を示すように、容器本体10の軸方向先端部に、弾性体(図示省略)の付勢力によって容器本体10に対して突状態に維持されている噴射ボタン12を設け、その噴射ボタン12を弾性体の付勢力に抗して突状態から没状態にして容器本体10内の内容物を噴射させる噴射容器14に用いる噴射アダプター装置16に係るものである。
【0030】
前記噴射アダプター装置16は、該噴射容器14の噴射ノズルおよび容器本体10の全体を収納する筐体構造の収納部18と、該収納部18内に収納した噴射容器14の容器本体10の下端部を押し上げたときに噴射ボタン12を容器本体10に向けて没しさせて(没状態にして)内容物を噴射可能にする操作レバー20とを備えている。
【0031】
前記収納部18には、その幅方向の片側の後部に操作レバー20が出没する挿入孔22を開口し、その挿入孔22と同じ側であって該挿入孔22の上方位置に回動ヒンジ24を設け、前記回動ヒンジ24を回転軸として操作レバー20を収納部18に対して回動可能に接続している。
【0032】
前記操作レバー20には、前記容器本体10の軸方向後方に回り込んで前記容器本体10の底面部10aに対向する押上部26を設けており、該押上部26が、前記収納部18の幅方向(図1では左右方向)外側よりも内側が後方に位置する傾斜構造を有している。
【0033】
前記操作レバー20は、図2に示すように、収納部18の幅方向Wおよび厚さ方向Tに展設する第1の側壁28aおよび第2の側壁28bと前記押上部26を設けた底壁部30とで前記容器本体10を囲むように形成されている。
【0034】
また、前記操作レバー20の押上部26は、三角形状の概略板状のレール状部材が複数枚並設されたそれぞれの板状部が傾斜して設けられたものであり、前記容器本体10の底面部10aにこのレール状部材に摺接する摺接部材32を設け、該レール状部材と該摺接部材32の各摺接面同士が平坦面に形成されている。詳しくは、押上部26は三角形状の板状部をその平面が平行に上下に沿い端面26aを上方に向けてレール状を呈するように配置したものである。その板状部端部(端面26a)が平坦な直線状かつ傾斜して形成されているものである。
【0035】
また、摺接部材32は図2(c)、(d)に詳細に示すように、中実円筒の本体32aの上面が平坦で下面が傾斜面に形成され、上面周囲からは突部32bが上方に向けて延びている。この突部32bは、複数突設され容器本体10の底面部10aを周囲から挟んで固定するようになっている。摺接部材32の底面では下面は左右が溝部32cで中央が段状に突出する段差面32dに形成され、左右溝部32cが前記押上部26のレール状部材に嵌ってレール状部材間に段差面32dが嵌り込んで摺動するようになっている(図3も参照)。
【0036】
前記回動ヒンジ24は、収納部18側にその厚さ方向(図2のW方向)に円柱状突設した支点ピン構造であり、前記操作レバー20には、この支点ピンの回動ヒンジ24が嵌入する凹部20aが形成されているものである。この回動ヒンジ24の位置は、噴射アダプター装置16の軸方向の先端すなわち、前記収納部18の後端18aから前記収納部18の全長の2/3以下の箇所に位置する。
すなわち、操作レバー20の支点である回動ヒンジ24の位置が、噴射アダプター装置16の先端に近くに位置すると操作レバー20の回転半径が大きいため、噴出に必要な上下ストロークを確保するのに幅方向のストロークを大きくしなければならないが、その結果、噴射アダプター装置16の幅が大きくなってしまい操作レバー20が押しにくかったり、携帯時に嵩張ったりする等の不具合の原因となる場合があった。そこで、上記のように回動ヒンジ24の位置を収容部18の後端18aから前記収納部18全長の2/3以下の箇所、さらに好ましくは全長の1/2以下の箇所に位置させることによって噴射アダプター装置16の幅が小さくなり、押しやすく、携帯性が向上する。
【0037】
一方、操作レバー20の回動ヒンジ24の位置が噴射アダプター装置16の収納部18の後端近くに位置すると、操作レバー20の回転半径が小さく、支点と力点との距離が短すぎるため、本体容器10を上下させるために必要な力が大きすぎて使いにくい等の不具合の原因となる場合があった。回動ヒンジ24の位置は収容部18の後端から前記収納部18の全長の1/4以上、好ましくは1/3以上の箇所に位置させることにより、操作レバー20を押す力が充分に小さくすることができ使用性が向上する。
つまり、図1示すように、収納部18の全長をLとすると、回動ヒンジの位置Pは収納部18の後端から(2/3)L≧P≧(1/4)Lが好ましく、さらに好ましくは、(1/2)L≧P≧(1/3)L
【0038】
前記噴射アダプター装置16では、噴射容器14の噴射ボタン12および容器本体10の全体が収納部18に覆われていて、噴射ボタン12に設けられた噴射口の噴射方向が収納部18の軸方向(図1の上下方向)に垂直方向に沿って設けられている。収納部18内には、噴射容器14を周囲からがたつかないように保持する保持部18bと噴射口12aからの噴射に邪魔にならないようにする通過孔18cとが形成されている。また噴射ボタン12を上方に移動しないように押える保持部18dも形成されている。
なお、噴射アダプター装置16の材質は、樹脂材、金属材、それらの組み合わせを適宜に採用できる。成型の容易さから樹脂材(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等)が好ましい。
【0039】
実施形態の噴射アダプター装置16の構成によれば、前記操作レバー20の収納部18内に向けての押し込み動作によって前記押上部26の傾斜構造を介して前記容器本体10の底部を押し上げて噴射ボタン12を没しさせて噴射する。
一方、前記押し込み動作を解除したときに噴射ボタン12の弾性体による突状態への復帰動作によって前記容器本体10が後方に移動し、この後方への移動によって前記押上部26を介して操作レバー20が復帰するものである。
【0040】
したがって、操作レバー20を操作することにより容易に噴射容器14から噴射することができる。
【0041】
また、噴射容器14のディスペンサーやエアゾール容器は噴射口が噴射ボタン12に近く、手の届く範囲の極限られた部位への塗付しか行うことが出来ない場合があったが、実施形態では、収納部18の片側の後部の挿入孔22に操作レバー20が出没するようにしてこの操作レバー20の操作によって噴射させるようにしているので、操作レバー20が噴射ボタン12から離れた部位であるため、従来手指が届きにくい背中や衣類の邪魔になる脇の下等への塗付を簡便に行うことができる。
【0042】
また、噴射ボタン12に設けられた噴射口の噴射方向が収納部18の軸方向に垂直方向に沿って設けられるものなので手の届き難い正面、背面に噴射しやすい。
【0043】
また、噴射容器14のディスペンサーやエアゾール容器は、主に人差し指1本で噴射ノズルを操作することにより内容液を噴霧するが、実施形態の噴射アダプター装置16を用いることにより、手全体で収納部18および操作レバー20を握りこんでもしくは複数の指を使って操作レバー20を握り込むことにより内容液を噴射できるので、軽い力で噴射させることができる。
【0044】
また、噴射ボタン12の突没時に容器本体10を軸方向に上下動させ噴射ボタン12が固定されているので、噴射口12aが動かないことから狙った部分に正確に塗布することが容易となる。
【0045】
本発明では、上記実施形態に限定されず、例えば、図4に示す他の実施形態の構成とすることができる。
【0046】
図4に示す、他の実施形態の噴射アダプター装置16では、噴射容器14の噴射ノズルおよび本体容器の全体が収納部18に覆われていて、噴射ボタン12に設けられた噴射口12aの噴射方向が収納部18の軸方向に平行に設けられるものにしている。上記図1〜図3の実施形態と同様部分に同様の符号を付している。
【0047】
この他の実施形態によれば、噴射アダプター装置16を真っ直ぐに向けて使用箇所に噴射できる。例えば、洋服を着たまま袖口や胸元から噴射アダプター装置16を挿入して脇の下に直接噴射できる利便性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の噴射アダプター装置は、化粧品、薬剤等のディスペンサーやエアゾール容器等の噴射容器の使用性、操作性の飛躍的向上させるために利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
10 容器本体
10a 底面部
12 噴射ボタン
12a 噴射口
14 噴射容器
16 噴射アダプター装置
18 収納部
18a 収納部の後端
18b 保持部
18c 通過孔
18d 先端側の保持部
20 操作レバー
20a 凹部
22 挿入孔
24 回動ヒンジ
26 押上部
26a 押上部の端面
28a 操作レバーの第1の側壁
28b 操作レバーの第2の側壁
30 底壁部
32 摺接部材
32a 摺接部材の本体
32b 突部
32c 溝部
32d 段差面
L 収納部の全長
W 幅方向
T 厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の軸方向先端部に、弾性体の付勢力によって該容器本体に対して突状態に維持されている噴射ボタンを設け、その噴射ボタンを弾性体の付勢力に抗して突状態から没状態にして容器本体内の内容物を噴射させる噴射容器に用いる噴射アダプター装置であって、
該噴射容器を収納する筐体構造の収納部と、該収納部内に収納した前記噴射容器の容器本体を押し上げて噴射ボタンを没状態にして内容物を噴射可能にする操作レバーとを備え、
前記収納部には、その幅方向の片側の後部に操作レバーが出没する挿入孔を開口し、その挿入孔と同じ側であって該挿入孔の上方位置に回動ヒンジを設け、前記回動ヒンジを回転軸として操作レバーを収納部に対して回動可能に接続し、
前記操作レバーには、前記容器本体の軸方向後方に回り込んで前記容器本体の底面部に対向する押上部を設けており、該押上部が、前記収納部の幅方向外側よりも内側が後方に位置する傾斜構造を有しており、
前記操作レバーの収納部内に向けての押し込み動作によって前記押上部の傾斜構造を介して前記容器本体を押し上げて前記噴射ボタンを没状態にして噴射し、一方、前記押し込み動作を解除したときに前記噴射ボタンの弾性体による突状態への復帰動作によって前記容器本体が後方に移動し、この後方への移動によって前記押上部を介して操作レバーが復帰することを特徴とする噴射アダプター装置。
【請求項2】
前記操作レバーは、収納部の幅方向および厚さ方向に展設する第1の側壁および第2の側壁と前記押上部を設けた底壁部とで前記容器本体を囲むように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の噴射アダプター装置。
【請求項3】
前記操作レバーの押上部は、複数のレール状部材が傾斜構造に設けられたものであり、前記容器本体の底面部にこのレール状部材に摺接する摺接部材を設け、該レール状部材と該摺接部材の各摺接面同士が平坦面に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の噴射アダプター装置。
【請求項4】
前記操作レバーの回動ヒンジの位置は、前記収納部の後端から前記収納部の全長の2/3以下の箇所にすることを特徴とする請求項1から3のうちの1項に記載の噴射アダプター装置。
【請求項5】
前記噴射容器の噴射ボタンおよび容器本体の全体が収納部に覆われていて、噴射ボタンに設けられた噴射口の噴射方向が収納部の軸方向に垂直方向に沿って設けられることを特徴とする請求項1から4のうちの1項に記載の噴射アダプター装置。
【請求項6】
前記噴射容器の噴射ボタンおよび容器本体の全体が収納部に覆われていて、噴射ボタンに設けられた噴射口の噴射方向が収納部の軸方向に平行に設けられることを特徴とする請求項1から4のうちの1項に記載の噴射アダプター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−254312(P2010−254312A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103516(P2009−103516)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】