説明

噴射部材およびそれを用いた噴射装置

【課題】自然に把持するように噴射操作でき、かつ、使用後の保管が容易な噴射部材およびそれを用いた噴射装置を提供する。
【解決手段】噴射する内容物を充填したエアゾール容器11のステム20と係合するステム係合部31および噴射孔32aを有するノズル22と、そのノズル22を収容してエアゾール容器に装着される装着部材21と、前記ノズルを下方に押すレバー23とを備え、前記レバーが、装着部材の外側に突出し、下方に円弧状に伸びる操作部37を備えている噴射部材12。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射部材およびそれを用いた噴射装置に関する。さらに詳しくは、レバーを備えた噴射部材およびそれを用いた噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平11−208751号公報
【特許文献2】特開平9−2550号公報
【0003】
従来、特許文献1あるいは特許文献2に開示されているトリガー式の噴射部材を備えたエアゾール装置が知られている。このようなエアゾール装置は、特許文献2の図1に示すように、手でエアゾール容器の首部あるいは胴部を把持し、人差し指等でトリガーを引くことによって使用する。それにより、押しボタンを押し下げて噴射操作する一般的なエアゾール式噴射装置やポンプ式噴射装置と比較すると、人指し指をほぼ垂直に立てて噴射操作する必要がなく、使用者はエアゾール容器内に充填されている内容物を任意の方向に、簡単に噴射することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のトリガー式の噴射部材は、いずれもレバーの操作部分が内側に突出した三日月のように窪み、その下端が斜め下方に突出するように伸びている。この噴射部材をエアゾール式噴射装置に採用した場合、レバーの操作部分がエアゾール容器に装着する噴射部材の下端よりも上方に位置するため、噴射操作する際には操作する指を幾分か垂直方向に立ててレバーの先端よりも上方に指を掛け、その状態で指を引かなくてはならない。そのため、容器の大きさ、操作する人の手の大きさ、指の長さなどにより、必ずしも使い勝手の良いものではなかった。本発明は、操作する指をほとんど立てる必要がなく、自然に把持するような操作で噴射でき、さらに、使用後の保管が容易な噴射部材および噴射装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の噴射部材は、噴射する内容物を充填した噴射用容器の弁棒と係合する弁係合部および噴射孔を有するノズルと、そのノズルを収容して噴射用容器に装着される装着部材と、前記ノズルを下方に押すレバーとを備え、前記レバーが、装着部材の外側に突出し、下方に円弧状に伸びる操作部を備えていることを特徴としている。
【0006】
このような噴射部材であって、前記レバーが、装着部材に支持される支持部と、ノズルと当接して下方に押し下げる作用部とを備えているものが好ましい。また、前記レバーの操作部が上方に移動可能であるものが好ましい。さらに、前記ノズルが、その下端にフランジ部を備えており、前記レバーの操作部を噴射用容器あるいは装着部材の方向に引くことによって、レバーの作用部がフランジ部を押圧し、ノズルを下方に移動させるものが好ましい。さらに、前記レバーの操作部が、ノズルのフランジ部よりも下方に位置するものが好ましい。さらに、前記レバーが、突出する方向に移動でき、収納状態から使用状態に切り替えることができるものが好ましい。
また、前記ノズルが、装着部材に支持される支持部と、レバーとを備えているものが好ましく、前記レバーが、ノズルと脱着可能であり、装着部材が、取り外したレバーを保持する保持部を備えているものが好ましい。
【0007】
本発明の噴射装置は、噴射する内容物を充填した噴射用容器と、前述の噴射部材とからなることを特徴としている。
このような噴射装置であって、噴射用容器が、有底筒状の胴部と、その胴部の上端から延びるテーパ状の肩部と、その肩部の上端から延びる円筒状の首部と、首部の上端に形成される弁装着部と、弁装着部に装着される弁とを備えているものが好ましい。また、前記首部の直径:胴部の直径の比が1:1.3〜1:3であるものが好ましい。さらに、前記レバーの下端が、胴部より外方にあり、胴部の上端から首部の上端までの高さに位置するものが好ましい。さらに、前記噴射装置がエアゾール式噴射装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の噴射部材は、噴射する内容物を充填した噴射用容器の弁棒と係合する弁係合部および噴射孔を有するノズルと、そのノズルを収容して噴射用容器に装着される装着部材と、前記ノズルを下方に押すレバーとを備え、前記レバーが、装着部材の外側に突出し、下方に円弧状に伸びる操作部を備えているため、使用者は操作する指を上方にほとんど立てることなくレバーを引くことができ、噴射操作が容易になる。さらに、レバー操作時にレバーの操作部が弾性変形しやすいため、操作した状態で維持しやすい(請求項1)。
【0009】
このような噴射部材であって、前記レバーが、装着部材に支持される支持部と、ノズルと当接して下方に押し下げる作用部とを備えている場合は(請求項2)、支持部が支点、操作部が力点、作用部が作用点となり、テコを使ってノズルを押し下げることができるため、噴射操作が容易になる。
前記レバーの操作部が上方に移動可能である場合は(請求項3)、レバーを上方に持ち上げることで、レバーの先端と噴射部材を装着する噴射用容器との間で隙間を作ることができ、洗面台や棚などに設けられている転倒・落下防止用の横棒、洗濯用ロープ、ハンガー、タオル掛け、ホースなど、家庭や店頭で使用しているあるいは設置されている棒状の部分などに引っ掛けやすくなる。
【0010】
前記ノズルが、その下端にフランジ部を備えており、前記レバーの操作部を噴射用容器あるいは装着部材の方向に引くことによって、レバーの作用部がフランジ部を押圧し、ノズルを下方に移動させる場合は(請求項4)、ノズルを介して弁棒を軸線下方に移動させることができ、弁棒を確実に作動し噴射することができる。
前記レバーの操作部が、ノズルのフランジ部よりも下方に位置する場合は(請求項5)、レバーを操作しやすく、さらに操作力がノズルのフランジ部に伝わりやすい。
前記レバーが、突出する方向に移動でき、収納状態と使用状態との切り替えができる場合は(請求項6)、使用者の手の大きさや指の長さなどに応じてレバーの位置を調整することができるため、噴射操作が容易になる。
前記ノズルが、装着部材に支持される支持部と、レバーとを備えている場合は(請求項7)、部品点数が少なくなりコストが安くなる。
前記レバーが、ノズルと脱着可能であり、装着部材が、取り外したレバーを保持する保持部を備えている場合は(請求項8)、レバーをノズルから外した状態では噴射操作できないため誤使用がない。
【0011】
本発明の噴射装置は、噴射する内容物を充填した噴射用容器と、前述の噴射部材とからなることを特徴としているため、噴射装置が前述の効果を有する(請求項9)。
このような噴射装置であって、噴射用容器が、有底筒状の胴部と、その胴部の上端から延びるテーパ状の肩部と、その肩部の上端から延びる円筒状の首部と、首部の上端に形成される弁装着部と、弁装着部に装着される弁とを備えている場合は(請求項10)、噴射用容器の把持が容易になり、さらに噴射部材の操作も容易になる。
【0012】
前記首部の直径:胴部の直径の比が1:1.3〜1:3である場合は(請求項11)、胴部を把持したままでのレバーの操作を、より自然な把持姿勢で行うことができる。
前記レバーの下端が、胴部より外方にあり、胴部の上端から首部の上端までの高さに位置する場合は(請求項12)、噴射用容器の首部とレバーの円弧状の操作部との間に空間ができるため、使用しないときは家庭や店頭の棒状の部分に安定して引っ掛けやすく、また、噴射操作しやすい。
前記噴射装置がエアゾール式噴射装置である場合は(請求項13)、耐圧性の点から首部や胴部が筒状に限定される噴射用容器であっても、噴射操作しやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置を図面を用いて説明する。図1a、bは本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置の一実施形態を示す一部断面側面図、正面図、図2a、bは図1の噴射部材の装着部材を示す側面断面図、正面図、図2cはノズルの側面断面図、図2d、eはレバーの天面図、X−X線断面図、図3a、bは図1の噴射装置の保管状態を示す概略図、図4、図5、図6は本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置の他の実施形態を示す一部断面側面図、図7a、bは本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置のさらに他の実施形態の一部を示す一部断面側面図、図7cはそのレバー支持部を示す断面図、図7dは、レバー支持部の他の実施形態を示す断面図、図8a、bは本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置のさらに他の実施形態の一部を示す一部断面側面図、図9a、bは本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置のさらに他の実施形態の一部を示す一部断面側面図、図10は本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置のさらに他の実施形態の一部を示す一部断面側面図である。
【0014】
図1に示すエアゾール装置(エアゾール式噴射装置)10は、耐圧容器13およびエアゾールバルブ(弁)14からなるエアゾール容器(噴射用容器)11と、そのエアゾール容器に取り付けられる噴射部材12とから構成されている。
【0015】
耐圧容器13は、アルミニウム、ブリキなどの金属円盤を絞り・しごき加工またはインパクト加工などにより胴部15と底部16とを有する有底筒状に形成し、ついで、その胴部上端にネッキング加工などによりテーパ状の肩部17および円筒状の首部18を形成し、首部上端にカーリング加工によりビード部(弁装着部)を形成したものである。また、このエアゾール容器11は、首部18の直径と胴部の直径との比が1:1.3〜1:3であり、首部の長さは耐圧容器全体の2/3〜1/10、特に、1/2〜1/8となっている。なお、耐圧容器は合成樹脂や耐圧ガラスなど、耐圧性を有する他の材質のものを用いてもよい。
【0016】
エアゾールバルブ14は、従来公知のものであり、耐圧容器11のビード部にクリンプして固定され、耐圧容器の開口部を閉じるマウンティングカップ19を有しており、その中心からステム(弁棒)20が上方に突出しているものである。そして、マウンティングカップ19が、ステム20を上下移動自在に収容し、筒状で合成樹脂製のハウジング(図示せず)を保持する。これらの部材の材料は特に限定されず、金属から形成しても、合成樹脂により形成してもよい。
【0017】
噴射部材12は、マウンティングカップの被せ部に装着される装着部材21と、ステムに取り付けられるノズル22と、そのノズルを下方に押し下げるレバー23とからなる。これらの部材は、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステルなどの合成樹脂を用いてそれぞれ成型される。
【0018】
図2a、bに示すように装着部材21は、上底26を有する筒状体27と、その下端に形成される容器装着部28と、筒状体27の一部にノズル22とレバー23が突出するように形成された窓29とを備えている。また、筒状体27の内面には、後述するレバー23の取付部35を回動自在に支持するレバー支持部25が形成されている。
【0019】
図2cのノズル22は、くの字状の筒状のノズル本体30と、その下端の内面に形成されたステム係合部(弁係合部)31と、エアゾール装置の中心軸に対して横側に向いている先端開口と、その先端開口に挿入される噴射孔32aを備えたノズルチップ32と、噴射孔32aとステム係合部31との間をつなぐノズル内通路33と、下端の外面に形成された環状に外側に突出したフランジ部34とを備えている。
【0020】
図2d、eに示すレバー23は、装着部材21のレバー支持部25に支持され、レバーの支点となる取付部(支持部)35と、ノズルのフランジ部34と係合するノズル係合部(作用部)36と、ノズルの噴射孔32aと同じ方向に延びており、装着部材の筒状体の窓29から外側に突出し、下方に円弧状に伸びる操作部37とを備えている。レバー23は、取付部35から、または、ノズル係合部36から装着部材の窓29に至るまでは棒状ないしは板状であり、窓29から突出する部分が外側に突出した円弧状になっており、全体の形状は釣針状になっている。
取付部35は、レバー支持部25にピン35aを差し込んで装着部材21に回動自在に支持される。
【0021】
ノズル係合部36は、ノズル本体30の外周を囲むようにリング状または段状に形成されている。これによりノズル係合部36を下方に押し下げると、ノズル係合部36の下面がフランジ部34の上面と当接し、ノズル全体を下方に押し下げる。
【0022】
操作部37は、その外周に指等を掛ける操作溝38が形成されており、内周も外周と平行するように外側に突出しており、棒状ないしは板状になっている。これにより、レバー23と装着部材21あるいは耐圧容器の首部18との間には空間39が形成される(図1a参照)。この空間39を利用して、レバー23を、家庭や店頭で使用しているあるいは設置している棒状の部分Sに引っ掛けてエアゾール装置10を保管することができる(図3a参照)。さらに、壁に取り付けたフックあるいは縦向きに配置した板Wの上端にも引っ掛けることができる(図3b参照)。また、このレバー23は、操作部38が下方に円弧状に延びているため、その操作部38の内周が棒状の部分Sあるいは板Wと係合し、安定に保管され、簡単に落ちたりしない。さらに、図3bのように板Wに引っ掛ける場合は、耐圧容器は、その胴部が板側を押圧するようにして板Wと接するのでより安定に保管される。またレバー23を棒状の部分Sや板Wに引っ掛けている状態では、レバー23を作動することができない。仮に、レバー23が作動したとしても棒状の部分Sや板Wによりレバー23の作動量が規制されているため、誤って噴射されるおそれがない。
【0023】
この操作部37の長さは、エアゾール容器に装着した状態で、下端が耐圧容器の胴部の上端から首部の上端の間に位置することが好ましい。このように操作部を円弧状にして長くすることにより、円弧状部分を容器の方向(円弧の中心方向)に引くように操作するとレバー23が、弾性変形しやすく、操作した状態で維持しやすい。また、棒状の部分にレバー23を安定して引っ掛けることができる。さらに、操作部37の下端は耐圧容器の胴部15より外方に突出するように構成されている。そのため、レバーの下端とエアゾール容器との間には大きな隙間Sができ、棒状の部分を空間39内に導きやすい。さらに、レバー22は取付部を軸としてノズル22と当接するまで上方に回動することができ、操作部37を上方に移動させることができる。そのため、レバーの下端とエアゾール容器との間の隙間Sを大きくすることができ、より一層引っ掛けやすく、また、取り外し易くなる。
【0024】
このように構成されたエアゾール装置10は、エアゾール容器11の首部18から胴部15に掛けて把持し、人指し指などをレバーの操作溝38に掛けて使用する。たとえば、親指および中指で首部の下端から肩部を把持し、掌と薬指、小指で胴部を把持する。この状態で人差し指をレバーの操作溝38に掛ける。そして、操作溝38を指で手前に引くことにより操作する。これにより、取付部35を支点としてレバー23は押し下げられ、ノズル係合部36がノズルのフランジ部34と当接し、さらには、フランジ部34を押し下げ、エアゾールバルブ14を開放する。これにより、エアゾール容器11内のエアゾール組成物が、ステム20、ノズル内通路33を通り、噴射孔32aから噴射される。
【0025】
このエアゾール装置10は、レバー23が装着部材の外側に突出し、下方に円弧状に延びる操作部37を備えているため、エアゾール装置10を自然に握るような姿勢で把持することができ、握り易く、レバーの引き操作もしやすい。
【0026】
図4に示すエアゾール装置40は、耐圧容器の首部が実質的にないものを用いている。そのため、図1のエアゾール装置10に比べてレバー23によってできるエアゾール容器11との空間39は小さくなり、レバーの下端とエアゾール容器との隙間Sが小さくなる。しかし、図1のエアゾール装置10と同様にレバーを幾分か上方に回動することができるため、棒状の部分等に引っ掛けて保持することができる。また、この実施の形態では把持する部分が胴部になり、その幅が大きくなるため、胴部の直径が30〜40mmである小径のエアゾール装置に適している。
【0027】
図5に示すエアゾール装置45は、レバーとノズルとが一体となったものであり、ノズル46が、筒状の本体47と、その先端に取り付けられるノズルチップ48とからなり、ノズルチップ48にレバー49が設けられたものである。また、レバー49の支点となる取付部49aがノズルの本体47の外周に突出して形成されている。レバー49は、ノズルチップ48の下部から下方に、そして、外側に突出するように円弧状に形成されている。
このエアゾール装置45は、レバー49を引くことにより、取付部49aを支点として、ノズル46の全体を下方に下げ、ステム20を下方に下げる。
【0028】
また、図5の想像線で示すように、本体47からノズルチップ48を取り外し、装着部材21の外周に挿入孔などの保持部を設けて直接保持できるようにしてもよい。このようにノズルチップ48を装着部材21に保持させることにより、レバーが耐圧容器の胴部から突出せず、エアゾール装置45全体としての幅を小さくすることができる。これによりノズルチップ48を取り外している状態では、装着部材21内にノズルの本体47が収容されているため、製品の包装が簡単になり、また製品を輸送するときや店頭に陳列するときに誤ってノズルが作動し、噴射される心配がない。製品が使用者の手元に渡り、ノズルチップ48を装着して使用したあとは、レバーや空間を利用して保管することができるため、再度ノズルチップ48を装着部材21に固定する必要はない。なお、この実施の形態でも、ノズルチップ48を装着している状態では、円弧状のレバー49とエアゾール容器11との間に空間39が形成されるため、棒状の部分に引っ掛けて保存することができる。
【0029】
図6に示すエアゾール装置50は、装着部材21のレバー支持部25が筒状体27の内部ではなく、外部に突出するように形成されている。つまり、筒状体27は、その外周面に突出したボックス状のレバー支持部51を備えている。このレバー支持部51は、耐圧容器の胴部から突出しないように設けることが好ましい。他の構成は、図1のエアゾール装置10と実質的に同じである。
これにより、エアゾール装置50全体の幅を大きくすることなく、取付部35から操作部37までの距離を長くすることができ、ノズルを下方に下げる操作性が良い。また、この場合も、レバー23とエアゾール容器11との間の空間39は維持される。そのため、図1のエアゾール装置10と同様の効果が得られる。
【0030】
図7a、bに示すエアゾール装置60は、図6のエアゾール装置50と同様に、装着部材21のレバー支持部25が筒状体の外周面に突出しており、さらに、レバー支持部の内面に取付部36のピン36aが摺動できる溝61を備えているものである。また、その溝61の両端には、ピン36aを固定する突起63a、bが形成されている(図6c参照)。
このため、レバー23を突出させる方向に引っ張ってピン36aをレバー支持部25の左端から右端に移動させることができ、つまり、エアゾール装置60は、図7aの収納状態から図7bの使用状態に切り替えることができる。
【0031】
図7aの収納状態では、レバー23の外周が耐圧容器の胴部15の外周線Yから半径方向に突出しないように構成されており、レバーの下端は耐圧容器の肩部に当接している。そのため、製品の陳列時や搬送時に製品同士が衝突してもレバーに当ることがなく、さらにレバーに当ったとしてもレバーの下端が耐圧容器の肩部に当接しているためレバーは作動しない。
【0032】
一方、図7bの使用状態では、レバー23をエアゾール容器11に対して大きく突出させることができ、レバーの下端が耐圧容器の胴部15の外周線Yから半径方向に突出するように構成されており、空間39および隙間Sを大きくすることができる。そのため、噴射操作がしやすい。なお、レバー23をレバー支持部25側へ押すことにより、ピン36aをレバー支持部25の右端から左端に移動させることができ、図7aの収納状態に戻すことができる。しかし、空間39および隙間Sを用いて家庭の棒状の部分あるいは段部に引っ掛けて保管することができるため、収納状態に戻す必要はない。この場合も、支持部36を中心にレバー23は回動するため、操作部37を上方に移動させることができる。
【0033】
また、図7dに示す溝66のように、溝66を段状に形成してもよい。この溝66は、左端から下がるようにして段部が形成されているため、使用状態のレバー23は、収納状態のレバー23に比べて、右下方向に伸びることになる。このように、何段階かにノズルの位置を調整できるようにすることにより、使用者自身が操作しやすい位置に調整することができる。さらに、図7cと同様に各段部にピンを固定する突起63c、d、eを設けてもよく、突起の数によりさらに使用状態におけるノズルの位置を調整することができる。
【0034】
さらに、図8aに示すエアゾール装置70のように、レバー支持部25の溝71が右上がり傾いていてもよい。これにより図8aに示す収納状態からレバーを右上方向に移動させることができ、図8bに示す使用状態になり、レバー23は右上方向に伸びて隙間Sを形成する。このような、レバー23が右上方向に移動するエアゾール装置は、使用状態における隙間Sが一層大きくなり、棒状の部分等を空間39に挿入しやすくなる。
【0035】
これまで開示してきた噴射部材は、レバーの取付部35を回動させることにより、レバーの操作部37を上方に持ち上げ、隙間Sを大きくし、棒などへの引っ掛けを容易にするものであった。
図9aに示すエアゾール装置75は、レバー支持部76が下向きの凹部76aを備えており、レバーの取付部77が突起77aを備えている。そして、突起77aが凹部76aと係合することにより、レバーを支持する。
そのため、レバーを上方に上げると、図9bに示すように突起77aと凹部76aとの係合が外れ、ノズル係合部36とフランジ部34とが係合し、この係合部を軸にレバー23は回動し、レバーの操作部37は上方に移動する。
これにより、隙間Sを大きくすることができる。
【0036】
次に、噴射装置としてポンプ付容器を用いた実施形態を示す。
図10のポンプ式噴射装置80は、容器81と、その容器に取り付けられるポンプ82と、そのポンプを覆うように容器に取り付けられる噴射部材83とからなる。
容器81は、胴部、肩部、首部を備えたものであり、首部に噴射部材装着部84を備えている。
噴射部材83は、ノズル12が後述するピストン軸87に取り付けられていること、そして、容器装着部28が容器の噴射部材装着部84に取り付けられること以外は、実質的にエアゾール装置10の噴射部材21と同じものである。
【0037】
ポンプ82は、筒状のハウジング86と、その内部を昇降するピストン軸87と、そのピストン軸87内に上下移動自在に収容された内軸88と、その内軸88を常時上方に付勢するバネ89とを備えている。ピストン軸87の上端には、内容物を噴射するための噴射部材のノズル12が取り付けられている。ハウジング86の上端には、フランジ91が設けられ、その下面には容器81の上端とのあいだでシール作用を奏するリング状のガスケット92が設けられている。さらに、フランジ91と蓋93との間には、両者の間をシールするシーリング94が介在している。ハウジング86の上端近辺には、その内外を連通する横穴95が形成されており、下端には、ディップチューブ96が連結されている。ピストン軸87の内面と内軸88との間はシールされておらず、内容物の通路となる。内軸88の上端部にはテーパ面97が設けられ、ピストン軸87の段部98と係合したときはシール作用を奏する。
【0038】
前記ポンプ82では、レバーの操作部を指で引くと作用部がノズルのフランジと当接して押し下げ、ピストン軸87と内軸88を下降させる。ついで、レバーの操作を止めると、バネ89により内軸88及びピストン軸87が上昇し、逆止弁99が通す方向にあるので、ディップチューブ96を通してハウジング86内に内容物を吸い上げる。そのとき蓋93とピストン軸87との隙間から容器内に外部の空気が入る。再度、レバーを引きノズルを降下させると、第1ピストン100と第2ピストン101との間の筒状の空間の容積が小さくなり、逆止弁98が通さない方向にあるので、その空間の内圧が上昇する。そして、その内圧による内軸88を下降させる力がバネ89の付勢力を上回ったとき、内軸88がピストン軸87に対して相対的に下降する。それによりテーパ面97のシール部が開き、内容物はピストン軸87と内軸88との隙間およびシール部を通って、ノズルの噴射孔から噴射される。
【0039】
ポンプ式噴射装置は、エアゾール式噴射装置よりも弁棒(ピストン軸)を降下させる距離が長くなるため、レバーの操作量も長くなる。しかし、本発明の噴射部材を用いることにより噴射操作は容易である。さらに、前述のエアゾール式噴射装置と同様に、レバーと噴射用容器との間の空間を利用して洗面台等のレバーに掛けて保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1a、bは本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置の一実施形態を示す一部断面側面図、正面図である。
【図2】図2a、bは図1の噴射部材の装着部材を示す側面断面図、正面図であり、図2cはノズルの側面断面図であり、図2d、eはレバーの天面図、X−X線断面図である。
【図3】図3a、bは図1の噴射装置の保管状態を示す概略図である。
【図4】本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置の他の実施形態を示す一部断面側面図である。
【図5】本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置のさらに他の実施形態を示す一部断面側面図である。
【図6】本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置のさらに他の実施形態を示す一部断面側面図である。
【図7】図7a、bは本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置のさらに他の実施形態の一部を示す一部断面側面図であり、図7cはそのレバー支持部を示す断面図であり、図7dは、レバー支持部の他の実施形態を示す断面図である。
【図8】図8a、bは本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置のさらに他の実施形態の一部を示す一部断面側面図である。
【図9】図9a、bは本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置のさらに他の実施形態の一部を示す一部断面側面図である。
【図10】本発明の噴射部材およびそれを用いた噴射装置のさらに他の実施形態の一部を示す一部断面側面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 エアゾール装置
11 エアゾール容器
12 噴射部材
13 耐圧容器
14 エアゾールバルブ
15 胴部
16 底部
17 肩部
18 首部
19 マウンティングカップ
20 ステム
21 装着部材
22 ノズル
23 レバー
25 レバー支持部
26 上底
27 筒状体
28 容器装着部
29 窓
30 ノズル本体
31 ステム係合部
32 ノズルチップ
32a 噴射孔
33 ノズル内通路
34 フランジ部
35 取付部
35a ピン
36 ノズル係合部
37 操作部
38 操作溝
39 空間
40 エアゾール装置
45 エアゾール装置
46 ノズル
47 本体
48 ノズルチップ
49 レバー
49a 取付部
50 エアゾール装置
51 レバー支持部
60 エアゾール装置
61 溝
63a、b、c、d、e 突起
66 溝
70 エアゾール装置
71 溝
75 エアゾール装置
76 レバー支持部
76a 凹部
77 レバーの取付部
77a 突起
80 ポンプ式噴射装置
81 容器
82 ポンプ
83 噴射部材
84 噴射部材装着部
86 ハウジング
87 ピストン軸
88 内軸
89 バネ
91 フランジ
92 ガスケット
93 蓋
94 シーリング
95 横穴
96 ディップチューブ
97 テーパー面
98 段部
99 逆止弁
100 第1ピストン
101 第2ピストン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射する内容物を充填した噴射用容器の弁棒と係合する弁係合部および噴射孔を有するノズルと、そのノズルを収容して噴射用容器に装着される装着部材と、前記ノズルを下方に押すレバーとを備え、
前記レバーが、装着部材の外側に突出し、下方に円弧状に伸びる操作部を備えている、噴射部材。
【請求項2】
前記レバーが、装着部材に支持される支持部と、ノズルと当接して下方に押し下げる作用部とを備えている、請求項1記載の噴射装置。
【請求項3】
前記レバーの操作部が、上方に移動可能である、請求項1記載の噴射部材。
【請求項4】
前記ノズルが、その下端にフランジ部を備えており、前記レバーの操作部を噴射用容器あるいは噴射部材の方向に引くことによって、レバーの作用部がフランジ部を押圧し、ノズルを下方に移動させる、請求項1記載の噴射部材。
【請求項5】
前記レバーの操作部が、ノズルのフランジ部よりも下方に位置する、請求項4記載の噴射部材。
【請求項6】
前記レバーが、突出する方向に移動でき、収納状態と使用状態との切り替えができる、請求項1記載の噴射部材。
【請求項7】
前記ノズルが、装着部材に支持される支持部と、レバーとを備えている、請求項1記載の噴射部材。
【請求項8】
前記レバーが、ノズルと脱着可能であり、装着部材が、取り外したレバーを保持する保持部を備えている、請求項7記載の噴射部材。
【請求項9】
噴射する内容物を充填した噴射用容器と、請求項1〜8記載の噴射部材とからなる、噴射装置。
【請求項10】
前記噴射用容器が、有底筒状の胴部と、その胴部の上端から延びるテーパ状の肩部と、その肩部の上端から延びる円筒状の首部と、首部の上端に形成される弁装着部と、弁装着部に装着される弁とを備えている、請求項9記載の噴射装置。
【請求項11】
前記首部の直径:胴部の直径の比が1:1.3〜1:3である、請求項10記載の噴射装置。
【請求項12】
前記レバーの下端が、胴部より外方にあり、胴部の上端から首部の上端までの高さに位置する、請求項10記載の噴射装置。
【請求項13】
前記噴射装置がエアゾール式噴射装置である、請求項9記載の噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−30830(P2008−30830A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208369(P2006−208369)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】