説明

噴霧装置

【課題】 気流全体を均一な噴霧にでき、しかも濃霧のために給水量を増加させても水滴になり難い噴霧装置を提供する。
【解決手段】 蛇腹状の通風ダクト2の後端部に電動の送風ファン3を取り付け、6本の給水パイプ4を通風ダクト2の吹出口外周の上半分位置から吹出方向へ突出するようにU字状の支持部材5で等間隔に軸支し、各給水パイプ4の途中位置に気流側へ向けた噴射ノズル6を5体づつ等間隔に取り付ける。噴射ノズル6と給水パイプ4は水路を連通させ、給水パイプ4に対して一定範囲の角度に回転させることで、噴射方向を微調整できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル発破工事における粉塵の飛散抑制等に用いられる噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の噴霧装置が特許文献1,2に開示されている。特許文献1の技術は、内部に送風ファンが配置された通風ダクトの吹出口外周に通風ダクトより拡径の筒体を取り付け、筒体と通風ダクトの間の位置に複数の噴射ノズルを吹出方向へ向けて取り付けたことを特徴としている。特許文献2の技術は、内部に送風ファンが配置された通風ダクトの吹出口周内に複数の噴射ノズルを吹出方向へ向けて取り付けたことを特徴としている。
【0003】
ところで、前記技術はいずれも噴射ノズルが吹出方向へ向けて取り付けられているから、噴水が気流の表面に乗って飛んで気流の内部には入り難く、気流全体が均一な噴霧になり難い問題があった。また、濃霧にするために給水量を増加させると、噴水が自重で細霧になり難くなり、風量を向上させないと水滴のまま飛散してしまう問題があった。
【特許文献1】実用新案登録第3122136号公報
【特許文献2】実開平7−9457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、気流全体を均一な噴霧にでき、しかも濃霧のために給水量を増加させても水滴になり難い噴霧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 通風ダクトの内部又は後端部に送風ファンを取り付け、高圧水を給水する複数の給水パイプを通風ダクトの吹出口外周位置から吹出方向へ向けて取り付け、各給水パイプの途中位置に給水パイプの高圧水を噴射する複数の噴射ノズルを気流側へ向けて所定間隔をおいて取り付けた、噴霧装置
2) 各給水パイプを通風ダクトの上半分の位置に取り付けた、前記1)記載の噴霧装置
3) 噴射ノズルを給水パイプに対して回転可能に取り付けて噴射角度を調整できるようにした、前記1)又は2)記載の噴霧装置
4) 通風ダクトが、吹出方向を変更できる変形可能な蛇腹で構成したものである、前記1)〜3)いずれか記載の噴霧装置
5) 通風ダクトを基台に配置し、吊下部材の中央部を基台に軸支し、吊下部材と通風ダクトの先端部同士を吊ワイヤで連結し、吊下部材の後端に掛止するフックを基台に対して上下位置調整可能に設け、フックの上下位置を保持する保持具を基台に設け、フックの上下動で通風ダクトの吹出方向を変更できるようにした、前記4)記載の噴霧装置
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、噴射ノズルが気流側へ向けられているから、噴水が気流の内部に強制的に入り込み、気流全体が均一な噴霧となる。また、複数の噴射ノズルを吹出方向に沿って所定間隔をおいて取り付けているから、噴射ノズル1体当りの噴射量を従来技術より相対的に減少でき、濃霧のために給水量を増加しても各噴射ノズルは多量に噴射させる必要がないから、噴水が水滴となり難く、風量を向上させる必要もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、各給水パイプを通風ダクトの上半分の位置に取り付けると、噴水が気流より下方へ落下し難くなり、噴水を無駄なく噴霧にできる。従来技術では、下方の噴射ノズルからの噴水は自重で気流より下方へ落下し、一部が噴霧になり難いことがあった。噴射ノズルを給水パイプに対して回転可能に取り付けると、風量及び風向に適した噴射角度に容易に微調整できる。通風ダクトとしては、蛇腹など吹出方向を容易に変更できる変形可能な材質で構成される。給水タンク内の水は必要に応じて除菌等の浄化処理をして用いられ、浄化装置を併設してもよい。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は実施例の噴霧装置の説明図、図2は実施例の噴霧装置の正面図、図3は実施例の噴霧装置の背面図、図4は実施例の噴射ノズルの説明図、図5は実施例の噴霧装置の使用状態を示す説明図である。
【0009】
図中、1は噴霧装置、2は通風ダクト、3は送風ファン、4は給水パイプ、5は支持部材、6は噴射ノズル、7は給水ホース、8は分配器、9は給水ポンプ、10は給水タンク、11は台車、12は車輪、13はネット、14は横棒、15は保持具、16はフック、17は掛止部、18は吊下部材、19は吊ワイヤ、20は取っ手である。
【0010】
本実施例の噴霧装置1は、図1〜4に示すように蛇腹状の通風ダクト2の後端部に電動の送風ファン3を取り付け、6本の給水パイプ4を通風ダクト2の吹出口外周の上半分位置から吹出方向へ突出するようにU字状の支持部材5で等間隔に取り付け、各給水パイプ4の途中位置に気流側へ向けた噴射ノズル6を5体づつ等間隔に取り付けている。
【0011】
噴射ノズル6と給水パイプ4は水路が連通しており、給水パイプ4に対して一定範囲の角度に回転させることで、噴射方向を微調整できるようにしている。各給水パイプ4の後端には給水ホース7と分配器8と給水ポンプ9を介して給水タンク10と接続している。
【0012】
台車11は上段と下段を有するとともに下端に車輪12を備え、上段には通風ダクト2を配置し、下段には給水ポンプ9と給水タンク10を配置し、分配器8を左右の縦フレームに取り付けている。上段の背面には送風ファン3の異物吸引の防止及び作業者の安全性向上の為のネット13を取り付けている。
【0013】
上段の背面には横棒14を横架するとともに、上端に掛止部17を備えたフック16を横棒14と交差させ、フック16を横棒14に対して保持具15で固定位置を変更可能に取り付けている。台車11の上部には吊下部材18の中央部を軸支し、その吊下部材18の後部にフック16の掛止部17を掛止し、吊下部材18の前部と支持部材5とを吊ワイヤ19で連結している。背面の中段位置には運搬用の取っ手20を取り付けている。
【0014】
本実施例では、図5に示すように保持具15を緩めてフック16を上下にスライドさせると、吊ワイヤ19が通風ダクト2の先端部を引張して途中が柔軟に屈曲し、通風ダクト2の上下の向きが所定の角度に調整される。調整後は保持具15を締め付けて調整角度を保持する。通風ダクト2の左右の向きは台車11の位置をずらすことで成される。
【0015】
送風ファン3と給水ポンプ9を作動させると、通風ダクト2から送風されるとともに給水タンク10内の水が分配器8と給水ホース7を通じて各給水パイプ4へ給水され、噴射ノズル6から気流側(送風の吹出方向と略直角する方向)へ噴射される。噴水は気流の内部に行き渡って全体が均一な細霧となり、気流の勢力で目的位置に噴霧される。
【0016】
このように、本実施例によれば、噴射ノズル6が気流側へ向けられているから、噴水が気流の内部に強制的に入り込み、気流全体が均一な噴霧となった。また、複数の噴射ノズル6を吹出方向に沿って所定間隔をおいて取り付けているから、噴射ノズル6の1体当りの噴射量を従来技術より相対的に減少でき、濃霧のために給水量を増加しても各噴射ノズル6は多量に噴射させる必要がないから、噴水が水滴となり難く、風量を向上させる必要がないものとなった。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の噴霧装置は、トンネル発破工事における粉塵の飛散抑制と現場の低温化、解体現場の粉塵の飛散抑制、農作物への施湿・施肥・農薬散布、花粉抑制、熱中症対策等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例の噴霧装置の説明図である。
【図2】実施例の噴霧装置の正面図である。
【図3】実施例の噴霧装置の背面図である。
【図4】実施例の噴射ノズルの説明図である。
【図5】実施例の噴霧装置の使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
1 噴霧装置
2 通風ダクト
3 送風ファン
4 給水パイプ
5 支持部材
6 噴射ノズル
7 給水ホース
8 分配器
9 給水ポンプ
10 給水タンク
11 台車
12 車輪
13 ネット
14 横棒
15 保持具
16 縦棒
17 フック
18 吊下部材
19 吊ワイヤ
20 取っ手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風ダクトの内部又は後端部に送風ファンを取り付け、高圧水を給水する複数の給水パイプを通風ダクトの吹出口外周位置から吹出方向へ向けて取り付け、各給水パイプの途中位置に給水パイプの高圧水を噴射する複数の噴射ノズルを気流側へ向けて所定間隔をおいて取り付けた、噴霧装置。
【請求項2】
各給水パイプを通風ダクトの上半分の位置に取り付けた、請求項1記載の噴霧装置。
【請求項3】
噴射ノズルを給水パイプに対して回転可能に取り付けて噴射角度を調整できるようにした、請求項1又は2記載の噴霧装置。
【請求項4】
通風ダクトが、吹出方向を変更できる変形可能な蛇腹で構成したものである、請求項1〜3いずれか記載の噴霧装置。
【請求項5】
通風ダクトを基台に配置し、吊下部材の中央部を基台に軸支し、吊下部材と通風ダクトの先端部同士を吊ワイヤで連結し、吊下部材の後端に掛止するフックを基台に対して上下位置調整可能に設け、フックの上下位置を保持する保持具を基台に設け、フックの上下動で通風ダクトの吹出方向を変更できるようにした、請求項4記載の噴霧装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−56353(P2009−56353A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223906(P2007−223906)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(391039863)
【Fターム(参考)】