四方切換弁およびこれを用いた空気調和機
【課題】弁台座を介した熱交換量を効果的に抑制可能な四方切換弁を提供すること。
【解決手段】弁本体4と、高圧側接続配管端部13と、低圧側接続配管端部11と、室外側接続配管端部12と、室内側接続配管端部10と、低圧側接続口6、室外側接続口7、室内側接続口5を開口させた弁シート面を有する略蒲鉾状の弁台座2と、室外側接続口と室内側接続口の内の一方の接続口が低圧側接続口と連通状態となるように切換える椀状の弁体3と、を備えた四方切換弁であって、弁台座2の弁シート面に開口部を形成するとともに弁シート面に対して垂直である垂直溝22a,22b,22cを設け、垂直溝の開口部を弁体3のフランジ部(弁体の外周辺部)で覆う構成とすることによって、高温側冷媒流路から低温側冷媒流路への前記弁台座を通した熱交換量を抑制すること。
【解決手段】弁本体4と、高圧側接続配管端部13と、低圧側接続配管端部11と、室外側接続配管端部12と、室内側接続配管端部10と、低圧側接続口6、室外側接続口7、室内側接続口5を開口させた弁シート面を有する略蒲鉾状の弁台座2と、室外側接続口と室内側接続口の内の一方の接続口が低圧側接続口と連通状態となるように切換える椀状の弁体3と、を備えた四方切換弁であって、弁台座2の弁シート面に開口部を形成するとともに弁シート面に対して垂直である垂直溝22a,22b,22cを設け、垂直溝の開口部を弁体3のフランジ部(弁体の外周辺部)で覆う構成とすることによって、高温側冷媒流路から低温側冷媒流路への前記弁台座を通した熱交換量を抑制すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルに用いられる四方切換弁とこれを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル内に設けた四方切換弁を用いて冷媒流路を切換えることによって、冷房運転と暖房運転を共に可能とした空気調和機が知られており、例えば図16に示す構造のものがある。図16に示す四方切換弁1は、シリンダ状の弁本体4の、一方の側面に圧縮機吐出口への接続配管13を配置し、その反対側の側面に圧縮機吸込口への接続配管11と、室内熱交換器への接続配管10と、室外熱交換器への接続配管12と、を隣接して配置する構成となっており、椀状の弁体3を弁台座2上で摺動させることで、圧縮機吸込口への接続配管11と連通する接続配管を、室内接続配管10と室外接続配管12との間で任意に選択可能としている。これにより冷媒の流れを可逆的に切換えて冷房運転と暖房運転を可能としている。
【0003】
四方切換弁では高温の吐出冷媒と低温の吸込冷媒が熱交換することにより、例えば冷房能力が低下するなどの不具合が生じる。このような課題に対して、弁体を、金属板体を埋め込んで一体成型した合成樹脂製とする技術が特許文献1に開示されており、この特許文献1によると、弁体が合成樹脂製であるため断熱性が良く、伝熱損失を少なくできる旨が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、四方弁の配管接続口部において高温高圧の冷媒と低温低圧の冷媒との交換熱量を減少させるという目的のために、四方弁と冷凍サイクルの冷媒配管とを接続するための接続口の部材を、冷凍サイクルの冷媒配管部材である銅よりも熱伝導率の低い材料とする技術が開示されている。
【0005】
また、四方切換弁のバルブシートを介して生じる高温高圧の冷媒と低温低圧の冷媒との熱交換量を減少させるために、バルブシートにおいて導管周囲部に閉口するスリット溝(バルブシートの下面側のみ)を設けることが、例えば特許文献3に提案されている。
【特許文献1】特開平7−151251号公報
【特許文献2】特開平1−314870号公報
【特許文献3】特開2002−221375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
四方切換弁では、内部を流れる高温冷媒から低温冷媒へ、弁体や接続配管だけでなく、弁台座や弁本体からも熱が伝わる。従来技術では、このうち弁体や接続配管の材料を変更し、熱伝導率を抑制することについて上記特許文献1や特許文献2に開示されているが、弁台座や弁本体を通じて伝わる熱量を抑制することについては、抑制するための効果的な構造に関して十分な配慮がなされていなかった。
【0007】
特に、弁台座は高温冷媒の流路と低温冷媒の流路が隣接した状態で設置されるだけでなく、弁本体と比べても熱の伝わる経路の断面積が大きく、また、一般に金属製であることから、熱交換量の大きな構成部品である。また、弁台座内部に設けられた各冷媒流路は、弁本体内部の流路(図16の例で、高圧側接続配管13から弁本体4に流入した冷媒が室外側接続口7から流出する際に冷媒が弁本体4中を流れる流路もしくは、室内側接続口5から弁本体4に流入した冷媒が低圧側接続口6から流出する際に弁本体4中を流れる流路)に比べて流路断面積が小さいために、冷媒の流速も早く、冷媒と弁台座間の熱伝達率が高くなるので熱が伝わりやすい。
【0008】
したがって、弁台座を通しての交換熱量を抑制することが、空気調和機の性能を向上する上で重要な課題となっている。上記特許文献3においては、弁台座を通した熱伝導を抑制するために弁台座にスリット溝を設けているが、高温高圧冷媒の熱伝達経路を吟味すると効果的な熱伝導の抑制達成に課題を残している。
【0009】
本発明の目的は、上記課題を解決するために、弁台座を介した熱交換量を効果的に抑制可能な四方切換弁およびこれを用いた空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
筒状容器の両端を密閉した弁本体と、圧縮機の吐出口に連通する高圧側接続配管端部と、前記圧縮機の吸込口に連通する低圧側接続配管端部と、前記低圧側接続配管端部の一方の側に隣接して配置された室外熱交換器に連通する室外側接続配管端部と、前記低圧側接続配管端部の他方の側に隣接して配置された室内熱交換器に連通する室内側接続配管端部と、前記弁本体の内側に設置され、前記低圧側接続配管端部に連通する低圧側接続口、前記室外側接続配管端部に連通する室外側接続口、前記室内側接続配管端部に連通する室内側接続口、を開口させた平面状の弁シート面を有する略蒲鉾状の弁台座と、前記弁シート面を摺動して、前記室外側接続口と前記室内側接続口の内の一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるように切換える椀状の弁体と、を備えた四方切換弁であって、
前記椀状の弁体は、前記一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるような前記弁体の中央部に凹部を有するとともに、前記弁体の外周辺部に前記弁シート面に当接するフランジ部を有し、前記弁台座の弁シート面に開口部を形成するとともに前記弁シート面に対して垂直である垂直溝を設け、前記垂直溝の開口部を前記弁体のフランジ部で覆う構成とすることによって、高温側冷媒流路から低温側冷媒流路への前記弁台座を通した熱交換量を抑制する構成とする。
【0011】
また、前記四方切換弁において、前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝に加えて、前記低圧側接続口、前記室外側接続口、及び前記室内側接続口のそれぞれの周辺に沿うとともに前記弁本体に開口部を対向配置する他の溝を設ける構成とする。さらに、前記四方切換弁において、前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝と前記他の溝とが千鳥状に配置される構成とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、四方切換弁における、高温冷媒から低温冷媒への熱移動を効果的に抑制することができるので、この四方切換弁を用いた冷凍サイクルの効率を向上させ、省エネルギー性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第1〜第5の実施形態に係る四方切換弁について、図1〜図15を参照しながら以下詳細に説明する。
【0014】
「第1の実施形態」
本発明の第1の実施形態に係る四方切換弁について、図1〜図6を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。図2は本発明の第1の実施形態に係る四方切換弁における暖房運転時の動作態様を示す構成図である。図3は本実施形態における弁台座に設けた、弁シート面に開口部を形成する直線状の溝を示す上面図である。図4は図1に示すA−A線から見た四方切換弁の断面図である。図5は図3に示す直線状の溝22b,22cの長さL1と弁体の凹部長さL2の長さ関係を示す図である。図6は本実施形態における弁台座に設けた、弁シート面に開口部を形成する環状の溝を示す上面図である。
【0015】
図面において、1は四方切換弁、2は弁台座、3は弁体(椀状弁体)、4は弁本体、5は室内側接続口、6は低圧側接続口、7は室外側接続口、10は室内接続配管、11は低圧側接続配管、12は室外接続配管、13は高圧側接続配管、21,22は溝(空隙部)、30は圧縮機、31は室内熱交換器、32は膨張弁、33は室外熱交換器、をそれぞれ表す。
【0016】
図1において、冷房運転時には、圧縮機30で圧縮された冷媒(図示せず)は、高圧側接続配管13から四方切換弁1へ流入し、弁本体4内の流路を通り、室外接続配管12から流出する。その後、室外熱交換器33にて室外空気へ放熱することによって凝縮・液化し、膨張弁32によって減圧される。減圧されて低温・低圧となった冷媒は室内熱交換器31にて室内空気から熱を奪うことによって蒸発・ガス化し、室内接続配管10から四方切換弁1に流入する。四方切換弁1内で弁台座2に設けられた室内側接続口5から流入した冷媒は、椀状の弁体3の内部を通って低圧側接続口6から流出し、低圧側接続配管11を通って圧縮機30の吸込側へ戻り、再度圧縮される。
【0017】
次に、冷房運転から暖房運転へ切換える場合には、図2に示す位置へ弁体3を摺動させる。この場合には、圧縮機30から吐出された高温・高圧の冷媒は高圧側接続配管13から流入して、室内接続配管10から流出し、室内熱交換器31へ流れることになるので、室内空気へ放熱することによって暖房運転を行うことができる。その後、膨張弁32で減圧された冷媒は室外熱交換器33で室外空気との熱交換により蒸発・ガス化し、室外接続配管12から四方切換弁1に流入する。そして椀状の弁体3の内部を通った後、低圧側接続配管11から流出した冷媒は圧縮機30に再度吸込まれる。
【0018】
四方切換弁1の内部では高温の冷媒から、弁体3、弁台座2、及び弁本体4を通して低温の冷媒へ熱が移動する。例えば冷房運転時には、この伝熱経路の1つとして、室外側接続口7内を流れる冷媒から低圧側接続口6へ弁台座2を通して伝わる経路がある。室外側接続口7や低圧側接続口6内の冷媒流路は弁本体4内部の流路(図1の例で、高圧側接続配管13から弁本体4に流入した冷媒が室外側接続口7から流出する際に冷媒が弁本体4中を流れる流路)よりも断面積が小さく、流速が速いので冷媒と弁台座2との間の熱伝達率が高いので、熱が伝わりやすい伝熱経路である。
【0019】
本実施形態では、図1に示すように、弁台座2に溝22c、溝21を設けているので、伝熱経路の断面積を抑制することができ、熱通過率が低下するので、同一の材料を用いた場合であっても移動熱量を低減することができ、この溝(空隙部とも称する)の構成が本実施形態の構造上の特徴である。ここで、溝22a〜22dの形状は後述する図3で説明するが、弁台座2の弁シート面(弁体3と摺動する面)に開口部を形成した、一方開口の空隙部であり、この開口部が弁体で覆われることで当該溝平面に対する鉛直方向(図1の図示例で室外側接続口7から低圧側接続口6への紙面右から左の方向)に伝わる熱伝導(直線状に伝わる熱伝導経路)の抑制効果を発揮している。
【0020】
また、室内側接続口5においても同様に熱伝達率が高く、弁本体4内部を満たしている高温の冷媒との間で熱移動が生じる。本実施形態では、このような伝熱経路に対しても溝22aや溝21を設けているので、交換熱量を抑制することが可能となる。なお、図2に示す暖房運転時には、溝22bと溝21、及び溝22dと溝21によって高温の冷媒から低温の冷媒への熱移動を抑制することができる。
【0021】
ここで、溝22は弁台座2の弁体3との摺動面(図1で弁台座の上面)に開口させて設けている。冷房運転時には、図1に示すように、弁体3によって覆われた溝22aと、溝22cの両側は、一方が高温側流路で他方が低温側流路となっており、これらの溝によって交換熱量を抑制することができる。溝22aと22cには冷媒又は油が浸入して満たされ得るが、この流体は弁台座の材質(一般的に金属、例えば真鍮)よりも遙かに熱伝導抑制効果を発揮する。また、弁台座の下側に開口をもつ溝21(弁本体4で下側開口を覆っている)は、溝22との連係構造によって熱移動を抑制する。溝21は後述するが接続口5,6,7の周りの環状の溝である。一方、弁体3で覆われていない溝22bと溝22dは流路に対して開口されており、断熱性は低下するが、溝の両側が共に、それぞれ低温冷媒もしくは高温冷媒の流路となっているので、断熱性が低下することによる不具合は発生しない。
【0022】
本実施形態における、弁台座の弁シート面に開口部を形成する溝22が、弁台座を通した熱交換量の効果的な抑制機能を果たすことについて説明する。上述したように、図1の例で、弁台座内部に設けられた各冷媒流路の断面積は弁本体4内部の流路断面積よりも小さく、流速が速いので、弁台座との熱伝達率が高くなる。その中でも特に断面積が変化する出入口(即ち、弁台座の上面側)付近では、断面積変化のない弁台座の下面側の流路に対して、熱伝達率がさらに高くなり、熱が伝わり易い伝熱経路が形成される。したがって、熱伝達率の高い弁台座の上面側に溝22を設けることで、上記の特許文献3に開示されたような、弁台座の下面側にスリット溝を設けた構造に比べて、高温冷媒から低温冷媒への熱交換量を効果的に抑制することができる。
【0023】
さらに加えて、図1に示す接続配管13から流入した高温の冷媒は、後述する図4と図5の図示構造から分かるように、まず、金属製の弁本体4に熱が伝わり、この弁本体4を通して高温熱が弁台座2の上面側に伝わることとなる。その後、低温側の接続口(即ち、図1における室内側接続口5および、低圧側接続口6)に熱が伝わる伝熱経路となる弁台座の上面側に溝(40a〜40f)を設けることで、上記の特許文献3に開示されたような、弁台座の下面側にスリット溝を設けた構造に比べて、低圧側接続口6への熱交換量を効果的に抑制することができる。以上のように、本実施形態の溝22は、上述した2つの観点で、弁台座の下面側にスリット溝を設けたものに比べて、効果的な熱交換量の抑制機能を果たすものである。
【0024】
また、暖房運転時には、図2に示すように、弁体側摺動面の溝22aと、22cは上部が開口した状態となるが、溝22bと22dが弁体3によって開口部を覆われて閉空間となるので、高温側冷媒流路から低温側冷媒流路への熱移動を抑制することができる。また、溝21は冷房運転時と同様に、熱移動を抑制することができる。
【0025】
以上のように、冷房運転時、暖房運転時ともに弁台座2に設けた溝21(弁本体4の内部空間に開口部を有しない)および溝22(弁本体4の内部空間に開口しているが弁体3で覆われ得る)によって熱の移動を抑制することができるので、冷凍サイクルの効率を向上させ、省エネルギー性を向上させた空気調和機を提供することができる。
【0026】
図3に弁台座2単体を弁シート面(図1の例で、弁台座2の上面)側から見た場合の構成図を示す。溝22は複数本の直線状の溝でなっており、この溝により伝熱経路の断面積を抑制している。これらの溝22は、高圧側冷媒流路と低圧側冷媒流路の一方と連通することはあっても、両方と同時に連通することはない。したがって、溝を通して冷媒が高圧側から低圧側へ漏れるという不具合は生じない。
【0027】
また、弁本体4内を満たしている高圧冷媒を利用して、弁体3を弁台座2に対して押し付けることで、弁体3と弁台座2のシール性を高めているが図5を参照すると、溝22cの溝長さL1(図3の例で溝の上下方向長さ)は弁体3の凹部の径L2よりも小さくなっているので、弁台座2と弁体3のシール面(弁体3と弁台座2とで形成される面)と低温冷媒流路が連通することはなく、シール性の低下により内部冷媒漏れが生じるといった課題が発生することはない。また、溝22を設けることによって溝22の内部に油が保持され易くなるだけでなく、溝22を伝わって油が広がることになるので、油によるシール性の向上効果を高め、高圧冷媒側から低圧冷媒側への内部冷媒漏れを抑制できるという効果も得られる。
【0028】
図1において、弁台座2の円筒側面部には、溝21が設けられている。溝21は、低圧側接続口6、室外側接続口、室内側接続口5の周囲に設けた環状の溝である。溝21は、弁本体4側に開口しており、その開口部の周囲を弁本体4とロウ付け等にて接合しているので、高温冷媒から低温冷媒への熱移動を抑制できるだけでなく、弁台座2の空隙部(溝)周囲の強度を確保している。
【0029】
図4に、図1に示すA−A方向の断面図を示す。弁本体4は内壁面が高温の冷媒に触れており、弁本体4から弁台座2を通じて、例えば室内接続口5の内部を通る冷媒に熱が伝わることになる。溝22のような直線状の溝では、一方向からの熱移動しか抑制することはできないが、本実施形態では、弁台座2に環状の溝21(図4で室内側接続口5の外周を巡る環状溝)を設けているため、全周方向からの熱移動を抑制することができるので、弁本体4から弁台座2を介して伝わる伝熱経路の断面積も抑制することができ、交換熱量をさらに低減することができる。
【0030】
また、本実施形態では図1において、溝21と溝22が千鳥状に配置されているので、一方の溝があまり深く形成されていない場合であっても、伝熱経路の断面積を大きく抑制(減小)できる。また、本実施形態のように溝を千鳥状に配置し、かつ溝21と溝22が重なるように配置することによって、熱は溝21と溝23の間に挟まれた金属部を通り、蛇行して伝わることになるので、これらの溝がなく直線的に伝わる場合に比べて、熱移動距離も増えることになる。したがって、熱が伝わる経路の断面積を低減できるだけでなく、伝熱距離も延長することができるので、交換熱量を大幅に抑制することが可能となる。
【0031】
図6に示すように、弁台座2の弁シート面に開口部を形成する溝(空隙部)が室内側接続口5、低圧側接続口6、室外側接続口7(図6の図示では、環状溝22が、室内接続配管10、低圧側接続配管11、室外接続配管12との関連で示されているが、環状溝22がこのような配置構造であっても構わない)の周囲を囲むような環状の溝22a,22b,22cであってもよい(直線状の溝に代えて)。なお、以上の説明では溝22を直線状又は環状とし、溝21を環状としたが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、溝22と21の形状や組み合わせを種々変更した構成の組み合わせであっても良い。
【0032】
このように、第1の実施形態では、弁台座における椀状弁体と対向するシート面に開口部を形成した溝を設けることを本質的な特徴とするものである。ここで、椀状弁体は円形椀状ではなくて、長円形又は長多角形の椀状であり、この椀状弁体はその中央部に凹部を持ち、その周辺部にフランジ部(前記シート面と接する面)を持つものである(図5を参照)。そして、弁台座のシート面に設けられた開口部を椀状弁体のフランジ部(弁体周辺部に設けたシート面に接する平面)で覆うように配置することによって、溝内の冷媒を滞留させて滞留冷媒の低い熱伝達率(金属製の弁台座の熱伝達率と比べて)によって、弁台座を通した交換熱量の一層の抑制を図るものである。
【0033】
「第2の実施形態」
本発明の第2の実施形態に係る四方切換弁について、図7〜図9を参照しながら以下説明する。図7は本発明の第2の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。図8は第2の実施形態における弁台座の弁本体側に設けた直線状の溝を示す図である。図9は図8に示すB−B線から見た四方切換弁の断面図である。
【0034】
本発明の第2の実施形態に係る四方切換弁は、弁台座2における、弁本体4側に設けた溝23を環状ではなく、直線状の溝とした点が図1に示す第1の実施形態の溝21とは異なっている。図7は弁本体4側に設けた溝23を弁本体側から見た図である。各接続口5,6,7の間に設ける溝を1列とすることができるので、この間の距離が短い小型の四方切換弁では特に有効である。図8に、弁台座2単体を弁本体4との接触面側から見た場合の形状を示す。図8で網掛け部は弁本体4とロウ付け等で接合される部分を示している。図8のB−B断面における溝23の断面図を図9に示す。弁台座2は蒲鉾状の形状のため、このように切削加工等により一部分を除去することで容易に、図8に示すような溝23を加工することができる。
【0035】
「第3の実施形態」
図10は本発明の第3の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。第3の実施形態では弁台座2に設けた溝24を弁本体4側(図10では下側)から弁体3側まで連通するとしている点が、第1と第2の実施形態と異なっている。弁台座2に設けた溝24はすべて弁本体側に開口しているため、空隙部が密閉されることはない。密閉された閉空間を作ると、ロウ付け作業時の温度変化や、使用時の温度変化等により、内部に閉じ込められた気体が膨張・収縮し、溶接不良等の事態を引き起こす可能性がある。しかし、第3の実施形態では溝24を弁本体3側に開口させているので、このような事態を確実に回避することができる。
【0036】
「第4の実施形態」
本発明の第4の実施形態に係る四方切換弁について、図11、図12及び図13を参照しながら以下説明する。図11は本発明の第4の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。図12は図11に示す第4の実施形態に係る四方切換弁の変形例を示す図である。図13は図12に示す四方切換弁における弁台座を上方から見た上面図である。
【0037】
図11に示す第4の実施形態に係る四方切換弁は、冷凍サイクルとの接続配管10,11,12の外周部に空隙部25を設けた点が、他の実施形態と異なっている。本実施形態では、弁台座2の内部に挿入する接続配管10,11,12の外径よりも径の大きな穴を弁台座に開けておくことにより、接続配管10、11、12と弁台座との間に空隙部25を設けており、環状の溝を周囲に加工した場合と同様に、全周囲方向からの熱移動を抑制することが可能であり、かつ加工が容易となる。
【0038】
また、溝を加工する場合には、溝と流路との間を隔てる壁面の強度を考慮する必要があり、あまり薄くすることができないという課題があるが、本実施形態では配管が壁面の役割を担うため、このような課題は生じない。したがって、各接続配管の間隔が狭い場合であっても、容易に強度を確保することができるので、本実施形態を適用できるという利点がある。
【0039】
また、各接続配管10,11,12と弁台座2は、ロウ付け等により接続しなくてもよい。この場合には、空隙部25が各接続配管10,11,12内と連通することになるが、空隙部25内の冷媒はあまり流動しないので、壁面との熱伝達率は低く、断熱性を向上できる。また、各接続配管10,11,12と弁台座2の接触部では、ロウ付けする場合と比べて接触熱抵抗を増すことができるので、接触部からの熱伝導も抑制することができる。したがって、この四方切換弁を用いることで伝熱による損失の少ない冷凍サイクルを形成することができ、省エネルギー性の高い空気調和機を提供することが可能となる。
【0040】
図12は図11に示す四方切換弁の変形例であり、図13は図12の弁台座の上面図である。図12及び図13に示す四方切換弁の変形例は、接続配管周りの空隙部25(環状溝)の上方の弁台座に開口部26a,26cを設ける構成である。この開口部26a,26cは、全体が開口されているのではなくて、図13に示すように、弁体3に覆われる部分にのみ開口するような連結孔26である。
【0041】
この連結孔26の構造によって、接続配管12の流路の周囲に設けられた空隙部25cの内部に高温冷媒が流入することはない。というのも、後述する第5の実施形態を示す図14を参照すると、弁台座上部に接続配管周りの空隙部を形成すると、空隙部に冷媒が滞留するため、台座の熱伝導距離(図14の矢印の距離)が短くなるというデメリットが生じ得るが、図12に示す連結穴構造では、このデメリットを生じ得ない。図12に示すように、低圧側接続配管11の周りの空隙部25bは、弁台座2のシート面(上面)まで貫通しているので、熱伝導抑制効果は大きいものである。なお、連結穴は円形の外に矩形やキー溝であってもよい。
【0042】
「第5の実施形態」
本発明の第5の実施形態について、図14と図15を参照しながら以下説明する。図14は本発明の第5の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。図15は図14に示す第5の実施形態に係る四方切換弁の変形例を示す図である。
【0043】
第5の実施形態に係る四方切換弁は、空隙部26を弁体3側に設けた点が第4の実施形態とは異なっている。本実施形態においても、第4の実施形態と同様に周囲に溝を加工する場合に対して、強度を向上できるという利点が得られる。一方、空隙部26が高圧側流路もしくは低圧側流路に対して開口された状態となっているので、断熱性能は閉空間とする場合に対して低下するが、空隙部26内では流れが淀んだ状態となっており、流体である冷媒と壁面との熱伝達率は低く、空隙部を設けない場合に対して、交換熱量を低減することができる。
【0044】
換言すると、上部に開口させた空隙部である円形溝26は、溝の中に冷媒が対流するために弁台座2の熱伝導距離(図14で矢印で記載した距離)が短くなるというデメリットが一応あるが、このデメリットよりも滞留部分の熱伝達率が低いことによるメリットの方が弁台座を通した熱交換量の抑制効果が大きいと云える。また、接続配管10,11,12を弁台座2のシート面近くまで延設すると(図1における接続配管の上端との比較)、第1の実施形態の変形例を示した図6の場合よりも熱伝導距離を長くすることができ、上述した抑制効果が一層向上する。
【0045】
また、各接続配管10,11,12の開口部は、弁シート8面よりも低くなるように設けているので、弁体3との摺動性を損ねるなどの不具合は生じない。なお、図15に示す四方切換弁の変形例は、空隙部26を弁台座の下部まで貫通させたものであり、空隙部の深さが深くなった分だけ弁台座を通した交換熱量をさらに抑制することができる。
【0046】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る四方切換弁の特徴は、次のような構成を備え、機能ないし作用を奏するものである。すなわち、本実施形態に係る四方切換弁において、弁台座に空隙部を備え、空隙部内の気体が断熱材としての役割を担うことになるので、空隙部を通じての交換熱量を大幅に抑制することができる。これにより、熱は主として、弁台座の空隙部以外の経路から伝わることになるので、熱伝導経路の断面積を抑制した場合と同様に、熱移動を抑制することができる。したがって、弁台座を熱伝導率の低い材料に変更することなく、弁台座の熱通過率を低下させ、熱交換量を抑制することが可能となるので、この四方切換弁を用いた空気調和機の性能を向上させ、省エネルギー性を高めることができる。
【0047】
また、この空隙部を弁台座に開口した低圧側接続口、室内側接続口、室外側接続口の3つの接続口を含み、かつ弁シート面(弁台座2の上方平面)に対して垂直な平面内に設けた場合には、この平面内における熱移動を抑制することができる。弁台座の弁シート側の外表面には樹脂製の弁体があるが、側方の外表面は弁本体内部の高温冷媒と直接接しており、熱移動が容易となっている。このため、この平面内に空隙部を設けることで、弁本体内部の高温冷媒と弁台座内部の低温冷媒との熱移動を抑制することができる。
【0048】
また、各接続口の流路断面積は弁本体の流路断面積よりも小さいので、冷媒の流速が早く壁面との熱伝達率が高くなるので、各接続口の間に空隙部を設けることにより、各接続口の間の熱移動を抑制することができ、さらに好ましくは、低圧側接続口の両側に設けるのが良く、冷房時と暖房時で四方切換弁内部の連通路を切換えた状態であっても、常に熱移動を抑制することが可能となる。
【0049】
また、空隙部を圧縮機から吐出される高圧冷媒の流れる高圧側流路と、圧縮機へ吸込される低圧冷媒の流れる低圧側流路のうち、少なくとも一方とは連通することのないように隔てて構成することにより、空隙部を介して高圧冷媒が低圧側へ漏れる不具合を回避することができる。
【0050】
また、空隙部を弁台座と弁本体もしくは弁体とによって囲まれた空間としてもよく、具体的には空隙部を弁台座と弁体との摺動面に開口させておき、弁体を所定の位置に摺動させることによって空隙部を塞ぐ構成とし、高圧側冷媒流路もしくは低圧側冷媒流路との連通状態を弁体の位置によって切換えるとしてもよい。このような構成とすることによって、弁台座に簡易な加工を施せば良いので、製作が容易となる。また、弁体はその内側と外側とで高温冷媒と低温冷媒を隔てている部材であるため、弁体と弁台座との接触面近傍においても、高温冷媒から低温冷媒へ熱が多く伝わる。したがって、この接触面にある空隙部を弁体で覆い、高温冷媒や低温冷媒の流路に対して独立した空間とすることで、弁体の断熱性を高め、交換熱量を低減することが可能となる。
【0051】
また、空隙部の開口端を前記弁本体と接合するとしてもよく、弁本体と接合することによって、空隙部壁面の強度を確保することができる。また、弁台座に設けた空隙部を千鳥状に配置するとしてもよく、たとえば強度を確保するために深さや幅に制限を設ける必要がある場合などでは、小さな空隙部を千鳥状に配置することで、熱が伝わる断面積を小さくして、交換熱量を抑制することができる。
【0052】
また、空隙部は冷凍サイクルとの接続配管と弁台座との間に設けるとしてもよく、配管が内部流体と隔てる壁面としての役割を担うことになるので、周囲に環状の溝を作るよりも壁面を低減できる分だけ小さくすることができ、加工も容易である。また強度も容易に確保できるという利点があり、小型の四方弁では特に有効である。また、接続配管の全周囲に空隙を設けることができるので、周囲弁台座との交換熱量を抑制することができ、隣接する接続口からの熱移動だけでなく、弁本体から弁台座を通して伝わる熱も抑制することができる。
【0053】
また、接続配管の外径よりも大きな径の穴を弁台座に設け、内部に挿入した接続配管との間に空隙部を作る構成としてもよく、各接続口を加工する際に径を変えた穴を加工すればよく、容易に製作することができる。また、空隙部を密閉空間とすると、ロウ付け作業時の温度変化や、冷凍サイクル作動時の温度変化等により、内部に存在する気体が膨張・収縮し、溶接不良や破損等を引き起こす可能性があるので、空隙部を高圧側流路と低圧側流路台座のどちらか一方へ連通させておくことにより、このような事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る四方切換弁における暖房運転時の動作態様を示す構成図である。
【図3】本実施形態における弁台座に設けた、弁シート面に開口部を形成する直線状の溝を示す上面図である。
【図4】図1に示すA−A線から見た四方切換弁の断面図である。
【図5】図3に示す直線状の溝22b,22cの長さL1と弁体の凹部長さL2の長さ関係を示す図である。
【図6】本実施形態における弁台座に設けた、弁シート面に開口部を形成する環状の溝を示す上面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。
【図8】第2の実施形態における弁台座の弁本体側に設けた直線状の溝を示す図である。
【図9】図8に示すB−B線から見た四方切換弁の断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。
【図12】図11に示す第4の実施形態に係る四方切換弁の変形例を示す図である。
【図13】図12に示す四方切換弁における弁台座を上方から見た上面図である。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。
【図15】図14に示す第5の実施形態に係る四方切換弁の変形例を示す図である。
【図16】従来技術に関する四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。
【符号の説明】
【0055】
1 四方切換弁
2 弁台座
3 弁体(椀状弁体)
4 弁本体
5 室内側接続口
6 低圧側接続口
7 室外側接続口
10 室内接続配管
11 低圧側接続配管
12 室外接続配管
13 高圧側接続配管
21,22,23,24,25,26 空隙部
26a,26c 連結穴
30 圧縮機
31 室内熱交換器
32 膨張弁
33 室外熱交換器
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルに用いられる四方切換弁とこれを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル内に設けた四方切換弁を用いて冷媒流路を切換えることによって、冷房運転と暖房運転を共に可能とした空気調和機が知られており、例えば図16に示す構造のものがある。図16に示す四方切換弁1は、シリンダ状の弁本体4の、一方の側面に圧縮機吐出口への接続配管13を配置し、その反対側の側面に圧縮機吸込口への接続配管11と、室内熱交換器への接続配管10と、室外熱交換器への接続配管12と、を隣接して配置する構成となっており、椀状の弁体3を弁台座2上で摺動させることで、圧縮機吸込口への接続配管11と連通する接続配管を、室内接続配管10と室外接続配管12との間で任意に選択可能としている。これにより冷媒の流れを可逆的に切換えて冷房運転と暖房運転を可能としている。
【0003】
四方切換弁では高温の吐出冷媒と低温の吸込冷媒が熱交換することにより、例えば冷房能力が低下するなどの不具合が生じる。このような課題に対して、弁体を、金属板体を埋め込んで一体成型した合成樹脂製とする技術が特許文献1に開示されており、この特許文献1によると、弁体が合成樹脂製であるため断熱性が良く、伝熱損失を少なくできる旨が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、四方弁の配管接続口部において高温高圧の冷媒と低温低圧の冷媒との交換熱量を減少させるという目的のために、四方弁と冷凍サイクルの冷媒配管とを接続するための接続口の部材を、冷凍サイクルの冷媒配管部材である銅よりも熱伝導率の低い材料とする技術が開示されている。
【0005】
また、四方切換弁のバルブシートを介して生じる高温高圧の冷媒と低温低圧の冷媒との熱交換量を減少させるために、バルブシートにおいて導管周囲部に閉口するスリット溝(バルブシートの下面側のみ)を設けることが、例えば特許文献3に提案されている。
【特許文献1】特開平7−151251号公報
【特許文献2】特開平1−314870号公報
【特許文献3】特開2002−221375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
四方切換弁では、内部を流れる高温冷媒から低温冷媒へ、弁体や接続配管だけでなく、弁台座や弁本体からも熱が伝わる。従来技術では、このうち弁体や接続配管の材料を変更し、熱伝導率を抑制することについて上記特許文献1や特許文献2に開示されているが、弁台座や弁本体を通じて伝わる熱量を抑制することについては、抑制するための効果的な構造に関して十分な配慮がなされていなかった。
【0007】
特に、弁台座は高温冷媒の流路と低温冷媒の流路が隣接した状態で設置されるだけでなく、弁本体と比べても熱の伝わる経路の断面積が大きく、また、一般に金属製であることから、熱交換量の大きな構成部品である。また、弁台座内部に設けられた各冷媒流路は、弁本体内部の流路(図16の例で、高圧側接続配管13から弁本体4に流入した冷媒が室外側接続口7から流出する際に冷媒が弁本体4中を流れる流路もしくは、室内側接続口5から弁本体4に流入した冷媒が低圧側接続口6から流出する際に弁本体4中を流れる流路)に比べて流路断面積が小さいために、冷媒の流速も早く、冷媒と弁台座間の熱伝達率が高くなるので熱が伝わりやすい。
【0008】
したがって、弁台座を通しての交換熱量を抑制することが、空気調和機の性能を向上する上で重要な課題となっている。上記特許文献3においては、弁台座を通した熱伝導を抑制するために弁台座にスリット溝を設けているが、高温高圧冷媒の熱伝達経路を吟味すると効果的な熱伝導の抑制達成に課題を残している。
【0009】
本発明の目的は、上記課題を解決するために、弁台座を介した熱交換量を効果的に抑制可能な四方切換弁およびこれを用いた空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
筒状容器の両端を密閉した弁本体と、圧縮機の吐出口に連通する高圧側接続配管端部と、前記圧縮機の吸込口に連通する低圧側接続配管端部と、前記低圧側接続配管端部の一方の側に隣接して配置された室外熱交換器に連通する室外側接続配管端部と、前記低圧側接続配管端部の他方の側に隣接して配置された室内熱交換器に連通する室内側接続配管端部と、前記弁本体の内側に設置され、前記低圧側接続配管端部に連通する低圧側接続口、前記室外側接続配管端部に連通する室外側接続口、前記室内側接続配管端部に連通する室内側接続口、を開口させた平面状の弁シート面を有する略蒲鉾状の弁台座と、前記弁シート面を摺動して、前記室外側接続口と前記室内側接続口の内の一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるように切換える椀状の弁体と、を備えた四方切換弁であって、
前記椀状の弁体は、前記一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるような前記弁体の中央部に凹部を有するとともに、前記弁体の外周辺部に前記弁シート面に当接するフランジ部を有し、前記弁台座の弁シート面に開口部を形成するとともに前記弁シート面に対して垂直である垂直溝を設け、前記垂直溝の開口部を前記弁体のフランジ部で覆う構成とすることによって、高温側冷媒流路から低温側冷媒流路への前記弁台座を通した熱交換量を抑制する構成とする。
【0011】
また、前記四方切換弁において、前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝に加えて、前記低圧側接続口、前記室外側接続口、及び前記室内側接続口のそれぞれの周辺に沿うとともに前記弁本体に開口部を対向配置する他の溝を設ける構成とする。さらに、前記四方切換弁において、前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝と前記他の溝とが千鳥状に配置される構成とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、四方切換弁における、高温冷媒から低温冷媒への熱移動を効果的に抑制することができるので、この四方切換弁を用いた冷凍サイクルの効率を向上させ、省エネルギー性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第1〜第5の実施形態に係る四方切換弁について、図1〜図15を参照しながら以下詳細に説明する。
【0014】
「第1の実施形態」
本発明の第1の実施形態に係る四方切換弁について、図1〜図6を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。図2は本発明の第1の実施形態に係る四方切換弁における暖房運転時の動作態様を示す構成図である。図3は本実施形態における弁台座に設けた、弁シート面に開口部を形成する直線状の溝を示す上面図である。図4は図1に示すA−A線から見た四方切換弁の断面図である。図5は図3に示す直線状の溝22b,22cの長さL1と弁体の凹部長さL2の長さ関係を示す図である。図6は本実施形態における弁台座に設けた、弁シート面に開口部を形成する環状の溝を示す上面図である。
【0015】
図面において、1は四方切換弁、2は弁台座、3は弁体(椀状弁体)、4は弁本体、5は室内側接続口、6は低圧側接続口、7は室外側接続口、10は室内接続配管、11は低圧側接続配管、12は室外接続配管、13は高圧側接続配管、21,22は溝(空隙部)、30は圧縮機、31は室内熱交換器、32は膨張弁、33は室外熱交換器、をそれぞれ表す。
【0016】
図1において、冷房運転時には、圧縮機30で圧縮された冷媒(図示せず)は、高圧側接続配管13から四方切換弁1へ流入し、弁本体4内の流路を通り、室外接続配管12から流出する。その後、室外熱交換器33にて室外空気へ放熱することによって凝縮・液化し、膨張弁32によって減圧される。減圧されて低温・低圧となった冷媒は室内熱交換器31にて室内空気から熱を奪うことによって蒸発・ガス化し、室内接続配管10から四方切換弁1に流入する。四方切換弁1内で弁台座2に設けられた室内側接続口5から流入した冷媒は、椀状の弁体3の内部を通って低圧側接続口6から流出し、低圧側接続配管11を通って圧縮機30の吸込側へ戻り、再度圧縮される。
【0017】
次に、冷房運転から暖房運転へ切換える場合には、図2に示す位置へ弁体3を摺動させる。この場合には、圧縮機30から吐出された高温・高圧の冷媒は高圧側接続配管13から流入して、室内接続配管10から流出し、室内熱交換器31へ流れることになるので、室内空気へ放熱することによって暖房運転を行うことができる。その後、膨張弁32で減圧された冷媒は室外熱交換器33で室外空気との熱交換により蒸発・ガス化し、室外接続配管12から四方切換弁1に流入する。そして椀状の弁体3の内部を通った後、低圧側接続配管11から流出した冷媒は圧縮機30に再度吸込まれる。
【0018】
四方切換弁1の内部では高温の冷媒から、弁体3、弁台座2、及び弁本体4を通して低温の冷媒へ熱が移動する。例えば冷房運転時には、この伝熱経路の1つとして、室外側接続口7内を流れる冷媒から低圧側接続口6へ弁台座2を通して伝わる経路がある。室外側接続口7や低圧側接続口6内の冷媒流路は弁本体4内部の流路(図1の例で、高圧側接続配管13から弁本体4に流入した冷媒が室外側接続口7から流出する際に冷媒が弁本体4中を流れる流路)よりも断面積が小さく、流速が速いので冷媒と弁台座2との間の熱伝達率が高いので、熱が伝わりやすい伝熱経路である。
【0019】
本実施形態では、図1に示すように、弁台座2に溝22c、溝21を設けているので、伝熱経路の断面積を抑制することができ、熱通過率が低下するので、同一の材料を用いた場合であっても移動熱量を低減することができ、この溝(空隙部とも称する)の構成が本実施形態の構造上の特徴である。ここで、溝22a〜22dの形状は後述する図3で説明するが、弁台座2の弁シート面(弁体3と摺動する面)に開口部を形成した、一方開口の空隙部であり、この開口部が弁体で覆われることで当該溝平面に対する鉛直方向(図1の図示例で室外側接続口7から低圧側接続口6への紙面右から左の方向)に伝わる熱伝導(直線状に伝わる熱伝導経路)の抑制効果を発揮している。
【0020】
また、室内側接続口5においても同様に熱伝達率が高く、弁本体4内部を満たしている高温の冷媒との間で熱移動が生じる。本実施形態では、このような伝熱経路に対しても溝22aや溝21を設けているので、交換熱量を抑制することが可能となる。なお、図2に示す暖房運転時には、溝22bと溝21、及び溝22dと溝21によって高温の冷媒から低温の冷媒への熱移動を抑制することができる。
【0021】
ここで、溝22は弁台座2の弁体3との摺動面(図1で弁台座の上面)に開口させて設けている。冷房運転時には、図1に示すように、弁体3によって覆われた溝22aと、溝22cの両側は、一方が高温側流路で他方が低温側流路となっており、これらの溝によって交換熱量を抑制することができる。溝22aと22cには冷媒又は油が浸入して満たされ得るが、この流体は弁台座の材質(一般的に金属、例えば真鍮)よりも遙かに熱伝導抑制効果を発揮する。また、弁台座の下側に開口をもつ溝21(弁本体4で下側開口を覆っている)は、溝22との連係構造によって熱移動を抑制する。溝21は後述するが接続口5,6,7の周りの環状の溝である。一方、弁体3で覆われていない溝22bと溝22dは流路に対して開口されており、断熱性は低下するが、溝の両側が共に、それぞれ低温冷媒もしくは高温冷媒の流路となっているので、断熱性が低下することによる不具合は発生しない。
【0022】
本実施形態における、弁台座の弁シート面に開口部を形成する溝22が、弁台座を通した熱交換量の効果的な抑制機能を果たすことについて説明する。上述したように、図1の例で、弁台座内部に設けられた各冷媒流路の断面積は弁本体4内部の流路断面積よりも小さく、流速が速いので、弁台座との熱伝達率が高くなる。その中でも特に断面積が変化する出入口(即ち、弁台座の上面側)付近では、断面積変化のない弁台座の下面側の流路に対して、熱伝達率がさらに高くなり、熱が伝わり易い伝熱経路が形成される。したがって、熱伝達率の高い弁台座の上面側に溝22を設けることで、上記の特許文献3に開示されたような、弁台座の下面側にスリット溝を設けた構造に比べて、高温冷媒から低温冷媒への熱交換量を効果的に抑制することができる。
【0023】
さらに加えて、図1に示す接続配管13から流入した高温の冷媒は、後述する図4と図5の図示構造から分かるように、まず、金属製の弁本体4に熱が伝わり、この弁本体4を通して高温熱が弁台座2の上面側に伝わることとなる。その後、低温側の接続口(即ち、図1における室内側接続口5および、低圧側接続口6)に熱が伝わる伝熱経路となる弁台座の上面側に溝(40a〜40f)を設けることで、上記の特許文献3に開示されたような、弁台座の下面側にスリット溝を設けた構造に比べて、低圧側接続口6への熱交換量を効果的に抑制することができる。以上のように、本実施形態の溝22は、上述した2つの観点で、弁台座の下面側にスリット溝を設けたものに比べて、効果的な熱交換量の抑制機能を果たすものである。
【0024】
また、暖房運転時には、図2に示すように、弁体側摺動面の溝22aと、22cは上部が開口した状態となるが、溝22bと22dが弁体3によって開口部を覆われて閉空間となるので、高温側冷媒流路から低温側冷媒流路への熱移動を抑制することができる。また、溝21は冷房運転時と同様に、熱移動を抑制することができる。
【0025】
以上のように、冷房運転時、暖房運転時ともに弁台座2に設けた溝21(弁本体4の内部空間に開口部を有しない)および溝22(弁本体4の内部空間に開口しているが弁体3で覆われ得る)によって熱の移動を抑制することができるので、冷凍サイクルの効率を向上させ、省エネルギー性を向上させた空気調和機を提供することができる。
【0026】
図3に弁台座2単体を弁シート面(図1の例で、弁台座2の上面)側から見た場合の構成図を示す。溝22は複数本の直線状の溝でなっており、この溝により伝熱経路の断面積を抑制している。これらの溝22は、高圧側冷媒流路と低圧側冷媒流路の一方と連通することはあっても、両方と同時に連通することはない。したがって、溝を通して冷媒が高圧側から低圧側へ漏れるという不具合は生じない。
【0027】
また、弁本体4内を満たしている高圧冷媒を利用して、弁体3を弁台座2に対して押し付けることで、弁体3と弁台座2のシール性を高めているが図5を参照すると、溝22cの溝長さL1(図3の例で溝の上下方向長さ)は弁体3の凹部の径L2よりも小さくなっているので、弁台座2と弁体3のシール面(弁体3と弁台座2とで形成される面)と低温冷媒流路が連通することはなく、シール性の低下により内部冷媒漏れが生じるといった課題が発生することはない。また、溝22を設けることによって溝22の内部に油が保持され易くなるだけでなく、溝22を伝わって油が広がることになるので、油によるシール性の向上効果を高め、高圧冷媒側から低圧冷媒側への内部冷媒漏れを抑制できるという効果も得られる。
【0028】
図1において、弁台座2の円筒側面部には、溝21が設けられている。溝21は、低圧側接続口6、室外側接続口、室内側接続口5の周囲に設けた環状の溝である。溝21は、弁本体4側に開口しており、その開口部の周囲を弁本体4とロウ付け等にて接合しているので、高温冷媒から低温冷媒への熱移動を抑制できるだけでなく、弁台座2の空隙部(溝)周囲の強度を確保している。
【0029】
図4に、図1に示すA−A方向の断面図を示す。弁本体4は内壁面が高温の冷媒に触れており、弁本体4から弁台座2を通じて、例えば室内接続口5の内部を通る冷媒に熱が伝わることになる。溝22のような直線状の溝では、一方向からの熱移動しか抑制することはできないが、本実施形態では、弁台座2に環状の溝21(図4で室内側接続口5の外周を巡る環状溝)を設けているため、全周方向からの熱移動を抑制することができるので、弁本体4から弁台座2を介して伝わる伝熱経路の断面積も抑制することができ、交換熱量をさらに低減することができる。
【0030】
また、本実施形態では図1において、溝21と溝22が千鳥状に配置されているので、一方の溝があまり深く形成されていない場合であっても、伝熱経路の断面積を大きく抑制(減小)できる。また、本実施形態のように溝を千鳥状に配置し、かつ溝21と溝22が重なるように配置することによって、熱は溝21と溝23の間に挟まれた金属部を通り、蛇行して伝わることになるので、これらの溝がなく直線的に伝わる場合に比べて、熱移動距離も増えることになる。したがって、熱が伝わる経路の断面積を低減できるだけでなく、伝熱距離も延長することができるので、交換熱量を大幅に抑制することが可能となる。
【0031】
図6に示すように、弁台座2の弁シート面に開口部を形成する溝(空隙部)が室内側接続口5、低圧側接続口6、室外側接続口7(図6の図示では、環状溝22が、室内接続配管10、低圧側接続配管11、室外接続配管12との関連で示されているが、環状溝22がこのような配置構造であっても構わない)の周囲を囲むような環状の溝22a,22b,22cであってもよい(直線状の溝に代えて)。なお、以上の説明では溝22を直線状又は環状とし、溝21を環状としたが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、溝22と21の形状や組み合わせを種々変更した構成の組み合わせであっても良い。
【0032】
このように、第1の実施形態では、弁台座における椀状弁体と対向するシート面に開口部を形成した溝を設けることを本質的な特徴とするものである。ここで、椀状弁体は円形椀状ではなくて、長円形又は長多角形の椀状であり、この椀状弁体はその中央部に凹部を持ち、その周辺部にフランジ部(前記シート面と接する面)を持つものである(図5を参照)。そして、弁台座のシート面に設けられた開口部を椀状弁体のフランジ部(弁体周辺部に設けたシート面に接する平面)で覆うように配置することによって、溝内の冷媒を滞留させて滞留冷媒の低い熱伝達率(金属製の弁台座の熱伝達率と比べて)によって、弁台座を通した交換熱量の一層の抑制を図るものである。
【0033】
「第2の実施形態」
本発明の第2の実施形態に係る四方切換弁について、図7〜図9を参照しながら以下説明する。図7は本発明の第2の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。図8は第2の実施形態における弁台座の弁本体側に設けた直線状の溝を示す図である。図9は図8に示すB−B線から見た四方切換弁の断面図である。
【0034】
本発明の第2の実施形態に係る四方切換弁は、弁台座2における、弁本体4側に設けた溝23を環状ではなく、直線状の溝とした点が図1に示す第1の実施形態の溝21とは異なっている。図7は弁本体4側に設けた溝23を弁本体側から見た図である。各接続口5,6,7の間に設ける溝を1列とすることができるので、この間の距離が短い小型の四方切換弁では特に有効である。図8に、弁台座2単体を弁本体4との接触面側から見た場合の形状を示す。図8で網掛け部は弁本体4とロウ付け等で接合される部分を示している。図8のB−B断面における溝23の断面図を図9に示す。弁台座2は蒲鉾状の形状のため、このように切削加工等により一部分を除去することで容易に、図8に示すような溝23を加工することができる。
【0035】
「第3の実施形態」
図10は本発明の第3の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。第3の実施形態では弁台座2に設けた溝24を弁本体4側(図10では下側)から弁体3側まで連通するとしている点が、第1と第2の実施形態と異なっている。弁台座2に設けた溝24はすべて弁本体側に開口しているため、空隙部が密閉されることはない。密閉された閉空間を作ると、ロウ付け作業時の温度変化や、使用時の温度変化等により、内部に閉じ込められた気体が膨張・収縮し、溶接不良等の事態を引き起こす可能性がある。しかし、第3の実施形態では溝24を弁本体3側に開口させているので、このような事態を確実に回避することができる。
【0036】
「第4の実施形態」
本発明の第4の実施形態に係る四方切換弁について、図11、図12及び図13を参照しながら以下説明する。図11は本発明の第4の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。図12は図11に示す第4の実施形態に係る四方切換弁の変形例を示す図である。図13は図12に示す四方切換弁における弁台座を上方から見た上面図である。
【0037】
図11に示す第4の実施形態に係る四方切換弁は、冷凍サイクルとの接続配管10,11,12の外周部に空隙部25を設けた点が、他の実施形態と異なっている。本実施形態では、弁台座2の内部に挿入する接続配管10,11,12の外径よりも径の大きな穴を弁台座に開けておくことにより、接続配管10、11、12と弁台座との間に空隙部25を設けており、環状の溝を周囲に加工した場合と同様に、全周囲方向からの熱移動を抑制することが可能であり、かつ加工が容易となる。
【0038】
また、溝を加工する場合には、溝と流路との間を隔てる壁面の強度を考慮する必要があり、あまり薄くすることができないという課題があるが、本実施形態では配管が壁面の役割を担うため、このような課題は生じない。したがって、各接続配管の間隔が狭い場合であっても、容易に強度を確保することができるので、本実施形態を適用できるという利点がある。
【0039】
また、各接続配管10,11,12と弁台座2は、ロウ付け等により接続しなくてもよい。この場合には、空隙部25が各接続配管10,11,12内と連通することになるが、空隙部25内の冷媒はあまり流動しないので、壁面との熱伝達率は低く、断熱性を向上できる。また、各接続配管10,11,12と弁台座2の接触部では、ロウ付けする場合と比べて接触熱抵抗を増すことができるので、接触部からの熱伝導も抑制することができる。したがって、この四方切換弁を用いることで伝熱による損失の少ない冷凍サイクルを形成することができ、省エネルギー性の高い空気調和機を提供することが可能となる。
【0040】
図12は図11に示す四方切換弁の変形例であり、図13は図12の弁台座の上面図である。図12及び図13に示す四方切換弁の変形例は、接続配管周りの空隙部25(環状溝)の上方の弁台座に開口部26a,26cを設ける構成である。この開口部26a,26cは、全体が開口されているのではなくて、図13に示すように、弁体3に覆われる部分にのみ開口するような連結孔26である。
【0041】
この連結孔26の構造によって、接続配管12の流路の周囲に設けられた空隙部25cの内部に高温冷媒が流入することはない。というのも、後述する第5の実施形態を示す図14を参照すると、弁台座上部に接続配管周りの空隙部を形成すると、空隙部に冷媒が滞留するため、台座の熱伝導距離(図14の矢印の距離)が短くなるというデメリットが生じ得るが、図12に示す連結穴構造では、このデメリットを生じ得ない。図12に示すように、低圧側接続配管11の周りの空隙部25bは、弁台座2のシート面(上面)まで貫通しているので、熱伝導抑制効果は大きいものである。なお、連結穴は円形の外に矩形やキー溝であってもよい。
【0042】
「第5の実施形態」
本発明の第5の実施形態について、図14と図15を参照しながら以下説明する。図14は本発明の第5の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。図15は図14に示す第5の実施形態に係る四方切換弁の変形例を示す図である。
【0043】
第5の実施形態に係る四方切換弁は、空隙部26を弁体3側に設けた点が第4の実施形態とは異なっている。本実施形態においても、第4の実施形態と同様に周囲に溝を加工する場合に対して、強度を向上できるという利点が得られる。一方、空隙部26が高圧側流路もしくは低圧側流路に対して開口された状態となっているので、断熱性能は閉空間とする場合に対して低下するが、空隙部26内では流れが淀んだ状態となっており、流体である冷媒と壁面との熱伝達率は低く、空隙部を設けない場合に対して、交換熱量を低減することができる。
【0044】
換言すると、上部に開口させた空隙部である円形溝26は、溝の中に冷媒が対流するために弁台座2の熱伝導距離(図14で矢印で記載した距離)が短くなるというデメリットが一応あるが、このデメリットよりも滞留部分の熱伝達率が低いことによるメリットの方が弁台座を通した熱交換量の抑制効果が大きいと云える。また、接続配管10,11,12を弁台座2のシート面近くまで延設すると(図1における接続配管の上端との比較)、第1の実施形態の変形例を示した図6の場合よりも熱伝導距離を長くすることができ、上述した抑制効果が一層向上する。
【0045】
また、各接続配管10,11,12の開口部は、弁シート8面よりも低くなるように設けているので、弁体3との摺動性を損ねるなどの不具合は生じない。なお、図15に示す四方切換弁の変形例は、空隙部26を弁台座の下部まで貫通させたものであり、空隙部の深さが深くなった分だけ弁台座を通した交換熱量をさらに抑制することができる。
【0046】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る四方切換弁の特徴は、次のような構成を備え、機能ないし作用を奏するものである。すなわち、本実施形態に係る四方切換弁において、弁台座に空隙部を備え、空隙部内の気体が断熱材としての役割を担うことになるので、空隙部を通じての交換熱量を大幅に抑制することができる。これにより、熱は主として、弁台座の空隙部以外の経路から伝わることになるので、熱伝導経路の断面積を抑制した場合と同様に、熱移動を抑制することができる。したがって、弁台座を熱伝導率の低い材料に変更することなく、弁台座の熱通過率を低下させ、熱交換量を抑制することが可能となるので、この四方切換弁を用いた空気調和機の性能を向上させ、省エネルギー性を高めることができる。
【0047】
また、この空隙部を弁台座に開口した低圧側接続口、室内側接続口、室外側接続口の3つの接続口を含み、かつ弁シート面(弁台座2の上方平面)に対して垂直な平面内に設けた場合には、この平面内における熱移動を抑制することができる。弁台座の弁シート側の外表面には樹脂製の弁体があるが、側方の外表面は弁本体内部の高温冷媒と直接接しており、熱移動が容易となっている。このため、この平面内に空隙部を設けることで、弁本体内部の高温冷媒と弁台座内部の低温冷媒との熱移動を抑制することができる。
【0048】
また、各接続口の流路断面積は弁本体の流路断面積よりも小さいので、冷媒の流速が早く壁面との熱伝達率が高くなるので、各接続口の間に空隙部を設けることにより、各接続口の間の熱移動を抑制することができ、さらに好ましくは、低圧側接続口の両側に設けるのが良く、冷房時と暖房時で四方切換弁内部の連通路を切換えた状態であっても、常に熱移動を抑制することが可能となる。
【0049】
また、空隙部を圧縮機から吐出される高圧冷媒の流れる高圧側流路と、圧縮機へ吸込される低圧冷媒の流れる低圧側流路のうち、少なくとも一方とは連通することのないように隔てて構成することにより、空隙部を介して高圧冷媒が低圧側へ漏れる不具合を回避することができる。
【0050】
また、空隙部を弁台座と弁本体もしくは弁体とによって囲まれた空間としてもよく、具体的には空隙部を弁台座と弁体との摺動面に開口させておき、弁体を所定の位置に摺動させることによって空隙部を塞ぐ構成とし、高圧側冷媒流路もしくは低圧側冷媒流路との連通状態を弁体の位置によって切換えるとしてもよい。このような構成とすることによって、弁台座に簡易な加工を施せば良いので、製作が容易となる。また、弁体はその内側と外側とで高温冷媒と低温冷媒を隔てている部材であるため、弁体と弁台座との接触面近傍においても、高温冷媒から低温冷媒へ熱が多く伝わる。したがって、この接触面にある空隙部を弁体で覆い、高温冷媒や低温冷媒の流路に対して独立した空間とすることで、弁体の断熱性を高め、交換熱量を低減することが可能となる。
【0051】
また、空隙部の開口端を前記弁本体と接合するとしてもよく、弁本体と接合することによって、空隙部壁面の強度を確保することができる。また、弁台座に設けた空隙部を千鳥状に配置するとしてもよく、たとえば強度を確保するために深さや幅に制限を設ける必要がある場合などでは、小さな空隙部を千鳥状に配置することで、熱が伝わる断面積を小さくして、交換熱量を抑制することができる。
【0052】
また、空隙部は冷凍サイクルとの接続配管と弁台座との間に設けるとしてもよく、配管が内部流体と隔てる壁面としての役割を担うことになるので、周囲に環状の溝を作るよりも壁面を低減できる分だけ小さくすることができ、加工も容易である。また強度も容易に確保できるという利点があり、小型の四方弁では特に有効である。また、接続配管の全周囲に空隙を設けることができるので、周囲弁台座との交換熱量を抑制することができ、隣接する接続口からの熱移動だけでなく、弁本体から弁台座を通して伝わる熱も抑制することができる。
【0053】
また、接続配管の外径よりも大きな径の穴を弁台座に設け、内部に挿入した接続配管との間に空隙部を作る構成としてもよく、各接続口を加工する際に径を変えた穴を加工すればよく、容易に製作することができる。また、空隙部を密閉空間とすると、ロウ付け作業時の温度変化や、冷凍サイクル作動時の温度変化等により、内部に存在する気体が膨張・収縮し、溶接不良や破損等を引き起こす可能性があるので、空隙部を高圧側流路と低圧側流路台座のどちらか一方へ連通させておくことにより、このような事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る四方切換弁における暖房運転時の動作態様を示す構成図である。
【図3】本実施形態における弁台座に設けた、弁シート面に開口部を形成する直線状の溝を示す上面図である。
【図4】図1に示すA−A線から見た四方切換弁の断面図である。
【図5】図3に示す直線状の溝22b,22cの長さL1と弁体の凹部長さL2の長さ関係を示す図である。
【図6】本実施形態における弁台座に設けた、弁シート面に開口部を形成する環状の溝を示す上面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。
【図8】第2の実施形態における弁台座の弁本体側に設けた直線状の溝を示す図である。
【図9】図8に示すB−B線から見た四方切換弁の断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。
【図12】図11に示す第4の実施形態に係る四方切換弁の変形例を示す図である。
【図13】図12に示す四方切換弁における弁台座を上方から見た上面図である。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。
【図15】図14に示す第5の実施形態に係る四方切換弁の変形例を示す図である。
【図16】従来技術に関する四方切換弁における冷房運転時の動作態様を示す構成図である。
【符号の説明】
【0055】
1 四方切換弁
2 弁台座
3 弁体(椀状弁体)
4 弁本体
5 室内側接続口
6 低圧側接続口
7 室外側接続口
10 室内接続配管
11 低圧側接続配管
12 室外接続配管
13 高圧側接続配管
21,22,23,24,25,26 空隙部
26a,26c 連結穴
30 圧縮機
31 室内熱交換器
32 膨張弁
33 室外熱交換器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状容器の両端を密閉した弁本体と、
圧縮機の吐出口に連通する高圧側接続配管端部と、
前記圧縮機の吸込口に連通する低圧側接続配管端部と、
前記低圧側接続配管端部の一方の側に隣接して配置された室外熱交換器に連通する室外側接続配管端部と、
前記低圧側接続配管端部の他方の側に隣接して配置された室内熱交換器に連通する室内側接続配管端部と、
前記弁本体の内側に設置され、前記低圧側接続配管端部に連通する低圧側接続口、前記室外側接続配管端部に連通する室外側接続口、前記室内側接続配管端部に連通する室内側接続口、を開口させた平面状の弁シート面を有する略蒲鉾状の弁台座と、
前記弁シート面を摺動して、前記室外側接続口と前記室内側接続口の内の一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるように切換える椀状の弁体と、を備えた四方切換弁であって、
前記椀状の弁体は、前記一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるような前記弁体の中央部に凹部を有するとともに、前記弁体の外周辺部に前記弁シート面に当接するフランジ部を有し、
前記弁台座の弁シート面に開口部を形成するとともに前記弁シート面に対して垂直である垂直溝を設け、前記垂直溝の開口部を前記弁体のフランジ部で覆う構成とすることによって、高温側冷媒流路から低温側冷媒流路への前記弁台座を通した熱交換量を抑制する
ことを特徴とする四方切換弁。
【請求項2】
請求項1において、
前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝に加えて、前記低圧側接続口、前記室外側接続口、及び前記室内側接続口のそれぞれの周辺に沿うとともに前記弁本体に開口部を対向配置する他の溝を設ける
ことを特徴とする四方切換弁。
【請求項3】
請求項2において、
前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝と前記他の溝とが千鳥状に配置されることを特徴とする四方切換弁。
【請求項4】
請求項1、2または3において、
前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝は、前記開口部が前記低圧側接続口、前記室外側接続口、及び前記室内側接続口を結ぶ線に対して直角方向の直線状開口部を形成することを特徴とする四方切換弁。
【請求項5】
請求項1、2または3において、
前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝は、前記開口部が前記低圧側接続口、前記室外側接続口、及び前記室内側接続口のそれぞれの周辺に沿う環状開口部を形成することを特徴とする四方切換弁。
【請求項6】
請求項1において、
前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝に加えて、前記垂直溝に対向して配置されるとともに前記弁本体側に開口部を有する他の溝を設けることを特徴とする四方切換弁。
【請求項7】
請求項1において、
前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝は、前記弁本体と接する弁台座を貫通する溝であることを特徴とする四方切換弁。
【請求項8】
筒状容器の両端を密閉した弁本体と、
圧縮機の吐出口に連通する高圧側接続配管端部と、
前記圧縮機の吸込口に連通する低圧側接続配管端部と、
前記低圧側接続配管端部の一方の側に隣接して配置された室外熱交換器に連通する室外側接続配管端部と、
前記低圧側接続配管端部の他方の側に隣接して配置された室内熱交換器に連通する室内側接続配管端部と、
前記弁本体の内側に設置され、前記低圧側接続配管端部に連通する低圧側接続口、前記室外側接続配管端部に連通する室外側接続口、前記室内側接続配管端部に連通する室内側接続口、を開口させた平面状の弁シート面を有する略蒲鉾状の弁台座と、
前記弁シート面を摺動して、前記室外側接続口と前記室内側接続口の内の一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるように切換える椀状の弁体と、を備えた四方切換弁であって、
前記椀状の弁体は、前記一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるような前記弁体の中央部に凹部を有するとともに、前記弁体の外周辺部に前記弁シート面に当接するフランジ部を有し、
前記低圧側接続配管端部、前記室外側接続配管端部及び前記室内側接続配管端部のそれぞれの一部に対向する弁台座に環状溝を設け、前記環状溝は前記弁本体と接する面で開口部を形成し、
前記環状溝には、前記弁シート面の開口部と連結する連結穴を設け、前記連結穴の開口部は前記弁体のフランジ部に覆われるように配置され、高温側冷媒流路から低温側冷媒流路への前記弁台座を通した熱交換量を抑制する
ことを特徴とする四方切換弁。
【請求項9】
筒状容器の両端を密閉した弁本体と、
圧縮機の吐出口に連通する高圧側接続配管端部と、
前記圧縮機の吸込口に連通する低圧側接続配管端部と、
前記低圧側接続配管端部の一方の側に隣接して配置された室外熱交換器に連通する室外側接続配管端部と、
前記低圧側接続配管端部の他方の側に隣接して配置された室内熱交換器に連通する室内側接続配管端部と、
前記弁本体の内側に設置され、前記低圧側接続配管端部に連通する低圧側接続口、前記室外側接続配管端部に連通する室外側接続口、前記室内側接続配管端部に連通する室内側接続口、を開口させた平面状の弁シート面を有する略蒲鉾状の弁台座と、
前記弁シート面を摺動して、前記室外側接続口と前記室内側接続口の内の一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるように切換える椀状の弁体と、を備えた四方切換弁であって、
前記椀状の弁体は、前記一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるような前記弁体の中央部に凹部を有するとともに、前記弁体の外周辺部に前記弁シート面に当接するフランジ部を有し、
前記低圧側接続配管端部、前記室外側接続配管端部及び前記室内側接続配管端部のそれぞれの一部に対向する弁台座に環状溝を設け、前記環状溝は前記弁シート面に開口部を形成し、高温側冷媒流路から低温側冷媒流路への前記弁台座を通した熱交換量を抑制する
ことを特徴とする四方切換弁。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つの請求項に記載の四方切換弁、圧縮機、膨張弁、室外熱交換器、及び室内熱交換器を備えた空気調和機。
【請求項1】
筒状容器の両端を密閉した弁本体と、
圧縮機の吐出口に連通する高圧側接続配管端部と、
前記圧縮機の吸込口に連通する低圧側接続配管端部と、
前記低圧側接続配管端部の一方の側に隣接して配置された室外熱交換器に連通する室外側接続配管端部と、
前記低圧側接続配管端部の他方の側に隣接して配置された室内熱交換器に連通する室内側接続配管端部と、
前記弁本体の内側に設置され、前記低圧側接続配管端部に連通する低圧側接続口、前記室外側接続配管端部に連通する室外側接続口、前記室内側接続配管端部に連通する室内側接続口、を開口させた平面状の弁シート面を有する略蒲鉾状の弁台座と、
前記弁シート面を摺動して、前記室外側接続口と前記室内側接続口の内の一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるように切換える椀状の弁体と、を備えた四方切換弁であって、
前記椀状の弁体は、前記一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるような前記弁体の中央部に凹部を有するとともに、前記弁体の外周辺部に前記弁シート面に当接するフランジ部を有し、
前記弁台座の弁シート面に開口部を形成するとともに前記弁シート面に対して垂直である垂直溝を設け、前記垂直溝の開口部を前記弁体のフランジ部で覆う構成とすることによって、高温側冷媒流路から低温側冷媒流路への前記弁台座を通した熱交換量を抑制する
ことを特徴とする四方切換弁。
【請求項2】
請求項1において、
前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝に加えて、前記低圧側接続口、前記室外側接続口、及び前記室内側接続口のそれぞれの周辺に沿うとともに前記弁本体に開口部を対向配置する他の溝を設ける
ことを特徴とする四方切換弁。
【請求項3】
請求項2において、
前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝と前記他の溝とが千鳥状に配置されることを特徴とする四方切換弁。
【請求項4】
請求項1、2または3において、
前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝は、前記開口部が前記低圧側接続口、前記室外側接続口、及び前記室内側接続口を結ぶ線に対して直角方向の直線状開口部を形成することを特徴とする四方切換弁。
【請求項5】
請求項1、2または3において、
前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝は、前記開口部が前記低圧側接続口、前記室外側接続口、及び前記室内側接続口のそれぞれの周辺に沿う環状開口部を形成することを特徴とする四方切換弁。
【請求項6】
請求項1において、
前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝に加えて、前記垂直溝に対向して配置されるとともに前記弁本体側に開口部を有する他の溝を設けることを特徴とする四方切換弁。
【請求項7】
請求項1において、
前記弁シート面に開口部を形成する垂直溝は、前記弁本体と接する弁台座を貫通する溝であることを特徴とする四方切換弁。
【請求項8】
筒状容器の両端を密閉した弁本体と、
圧縮機の吐出口に連通する高圧側接続配管端部と、
前記圧縮機の吸込口に連通する低圧側接続配管端部と、
前記低圧側接続配管端部の一方の側に隣接して配置された室外熱交換器に連通する室外側接続配管端部と、
前記低圧側接続配管端部の他方の側に隣接して配置された室内熱交換器に連通する室内側接続配管端部と、
前記弁本体の内側に設置され、前記低圧側接続配管端部に連通する低圧側接続口、前記室外側接続配管端部に連通する室外側接続口、前記室内側接続配管端部に連通する室内側接続口、を開口させた平面状の弁シート面を有する略蒲鉾状の弁台座と、
前記弁シート面を摺動して、前記室外側接続口と前記室内側接続口の内の一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるように切換える椀状の弁体と、を備えた四方切換弁であって、
前記椀状の弁体は、前記一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるような前記弁体の中央部に凹部を有するとともに、前記弁体の外周辺部に前記弁シート面に当接するフランジ部を有し、
前記低圧側接続配管端部、前記室外側接続配管端部及び前記室内側接続配管端部のそれぞれの一部に対向する弁台座に環状溝を設け、前記環状溝は前記弁本体と接する面で開口部を形成し、
前記環状溝には、前記弁シート面の開口部と連結する連結穴を設け、前記連結穴の開口部は前記弁体のフランジ部に覆われるように配置され、高温側冷媒流路から低温側冷媒流路への前記弁台座を通した熱交換量を抑制する
ことを特徴とする四方切換弁。
【請求項9】
筒状容器の両端を密閉した弁本体と、
圧縮機の吐出口に連通する高圧側接続配管端部と、
前記圧縮機の吸込口に連通する低圧側接続配管端部と、
前記低圧側接続配管端部の一方の側に隣接して配置された室外熱交換器に連通する室外側接続配管端部と、
前記低圧側接続配管端部の他方の側に隣接して配置された室内熱交換器に連通する室内側接続配管端部と、
前記弁本体の内側に設置され、前記低圧側接続配管端部に連通する低圧側接続口、前記室外側接続配管端部に連通する室外側接続口、前記室内側接続配管端部に連通する室内側接続口、を開口させた平面状の弁シート面を有する略蒲鉾状の弁台座と、
前記弁シート面を摺動して、前記室外側接続口と前記室内側接続口の内の一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるように切換える椀状の弁体と、を備えた四方切換弁であって、
前記椀状の弁体は、前記一方の接続口が前記低圧側接続口と連通状態となるような前記弁体の中央部に凹部を有するとともに、前記弁体の外周辺部に前記弁シート面に当接するフランジ部を有し、
前記低圧側接続配管端部、前記室外側接続配管端部及び前記室内側接続配管端部のそれぞれの一部に対向する弁台座に環状溝を設け、前記環状溝は前記弁シート面に開口部を形成し、高温側冷媒流路から低温側冷媒流路への前記弁台座を通した熱交換量を抑制する
ことを特徴とする四方切換弁。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つの請求項に記載の四方切換弁、圧縮機、膨張弁、室外熱交換器、及び室内熱交換器を備えた空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−151449(P2008−151449A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341338(P2006−341338)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
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