四置換エナミドの形成およびこの立体選択的還元
本発明は、以下に示すように、第1級アミド(IV)と構造式(III)の化合物とをパラジウムで触媒してカップリングさせることにより、エナミド(II)を調製するための実用的な方法を対象とし、加えてこの方法により生成される化合物の結晶形態、特に無水結晶形態、形態B、ならびにタイプ1、タイプ2、およびタイプ3の3種類に分類される結晶性溶媒和物、ならびにこの方法において生成される結晶性中間化合物を対象とする。さらに、本発明は、四置換エナミド(II)を、対応するアミド(I)へ立体選択的還元することに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四置換エナミドの合成の方法およびキラルアミドを形成するための四置換エナミドの不斉還元の方法およびこの方法の間に得られる中間化合物に関する。これらの方法は、薬剤として有用な化合物、特にWO03/077847に記載のものを合成する際に役立つ。
【背景技術】
【0002】
WO03/077847においてこれらの化合物の合成は、非立体選択的手段およびキラルHPLCによる異性体の分割によって行なわれ、大規模な生産に適用できず、望ましくない異性体を過剰に生成する。
【0003】
米国特許出願公開第2004/0019216号およびHuangら、JACS 125:6653〜6655(2003)には、銅により触媒された炭素−ヘテロ原子結合の形成、特にアミドまたはアミン部分の窒素と、アリール、ヘテロアリールまたはハロゲン化ビニルまたはビニルスルホネートの活性化された炭素との間の炭素−窒素結合の形成が、開示されている。Wallaceら、Org.Lett.5(24):4749〜4752(2003)は、エノールトリフラートと、アミド、カルバメートおよびスルホンアミドとの、パラジウムで触媒されたカップリングによるエナミドの形成について記述している。WO03/066570は、弱塩基ならびに8族の金属および少なくとも1つのカルベン含有配位子を含む遷移金属触媒の存在下において、第1級または第2級アミノまたはアミド基を有する化合物と、アリール化化合物との反応による、N−アリールアミドおよびN−アリールアミンの形成を対象とする。米国特許第6235936号および米国特許第6465693号は、それぞれ、活性化された炭素を有する適切なアリールまたはビニル化合物と脱離基とを、遷移金属触媒により反応させて炭素−ヘテロ原子結合を形成させることによる、ヒドラジン、ヒドラゾン、ヒドロキシアミンおよびオキシムのアリール化およびビニル化に関する。米国特許第5817877号は、塩基ならびに8族金属およびキレート配位子を含む遷移金属触媒、例えば15族−置換アリーレンまたは15族−置換メタロセン、の存在下において、不飽和有機スルホネートを反応物アミンと接触させることによる、少なくとも1つの不飽和基を有する有機アミンの調製を対象とする。米国特許第6235938号は、塩基と、8族金属および少なくとも1つの立体障害性アルキル置換基を有するキレートビスホスフィン配位子を含む遷移金属触媒との存在下において、アミノ基を有する化合物をアリール化化合物と反応させることによって、N−アリールアミン化合物を調製することを対象とする。米国特許第6323366号は、活性化されたアリールまたはビニル基を、遷移金属触媒の存在下においてイミンと化合させ、その結果得られたN−アリールイミンを所望の第1級アリールまたはビニルアミンに変換させることによる、第1級アリールまたはビニルアミンの調製を対象とする。米国特許第6100389号および第5977361号は、N−アリールアミンおよびアミド化合物の調製に関する。Andersonら、J.Org.Chem.68:9563〜9573(2003)は、アリールノナフラート(ArOSO2(CF2)3CF3)のPd触媒によるアミノ化を記述している。Yinら、JACS 124:6043〜6048(2002)は、ハロゲン化アリールのPd触媒によるアミド化について記述している。
【0004】
本発明は、第1級アミドとビニルトシラートとの、パラジウム触媒によるカップリングを含む。ビニルトシラートを使用することにより、大規模生産に適用できないビニルトリフラートの使用を回避する。さらに、トシラート中間生成物は結晶であり、取り扱いが容易である。この方法は、高純度でZ異性体を生産する、立体選択的エノール化およびカップリングである。
【0005】
本発明は、四置換エナミドの不斉ロジウム触媒による水素化を含む。この反応は高い立体選択性を有する。さらに、BF3・MeOH(または、ある種の別のBF3源)などのルイス酸を使用することによって、低いH2圧力および反応温度において水素化が実行できるようになり、さもなければ必要となるはずのものより少量の触媒を使用することによる、安全性とコスト面の優位性とをもたらす。さらに、好ましい実施形態において、本発明は、同一反応に2つのキラル中心を設定する。全体として、本発明の合成ルートは、アジドを使用する必要がないというさらなる利益を提供する。
【0006】
米国特許第6465664号は、銅および不斉二座ビスホスフィン配位子を含む触媒を使用して、環式および非環式エノエートおよびエノンに対する不斉1,4−水素化のための方法を対象とする。米国特許第5489682号は、3、4、5または6族のランタニドおよびアクチニドから選択されるキラル金属触媒による、エナミンの、触媒を用いた不斉還元を対象とする。米国特許第5292893号、米国特許第5491233号および米国特許第5442119号は、三置換オレフィンおよびエナミンを水素化するための、触媒を用いた不斉水素化プロセスを対象とする。
【0007】
本発明は、キラル遷移金属触媒を利用する。立体選択的水素化のためにキラル触媒を使用することは、Tangら、Chem.Rev.103:3029(2003);Blaserら、Adv.Synth.Catal.345:103(2003);およびBlaserら、Applied Catalysis A:General、221:119(2001)に記載されている。欧州第0770085号、米国特許第5907045号、米国特許第6077958号、米国特許第6586357号には、キラルホスフィン、および、
【0008】
【化21】
などの芳香族五原子二複素環式系を含む、これらジホスフィンと遷移金属との錯体が記載され、ならびに立体制御還元におけるこれらの使用が記載されている。これらの配位子は、また、Benincoriら、J.Org.Chem.65:2043〜2047(2000)にも記載されている。欧州第1070075号は、C1対称を有するアトロプ異性キラルリン含有配位子および光学活性形状のリン含有配位子を含む有機金属錯体を対象とし、ならびに立体選択的有機合成におけるこれらの使用を対象とする。
【0009】
WO00/29370、米国特許第6566552号、米国特許第6545165号、米国特許出願第2002/0165408号は、[(+)TMBTP)Ru(p−シメン)I2]を使用して、オキソ基を光学活性ヒドロキシル基へエナンチオ選択的還元することによって、L−カルニチンを生産するための方法を扱っている。
【0010】
WO01/57014、米国特許出願第2003/0158422号、米国特許出願第2003/0158423号、米国特許出願第2003/0171602号、欧州第1127886号は、エナンチオ選択性還元において好ましくはルテニウム(R)MeOBIPHEP触媒を使用して、ハロゲン化アシルからδ−ラクトンを多段階製造することを対象とする。
【0011】
WO03/078399は、次式:
【0012】
【化22】
のいずれかのキラルジホスフィン配位子を含むイリジウムまたはロジウム触媒を使用することによる、ヘキサヒドロキノリン塩の不斉水素化を対象とする。
【0013】
エナミドを含有するピリジンの、Rh触媒による水素化においてHBF4を使用することは、Doebler、Tetrahedron:Asymmetry 7:117(1996)に記載されている。さらに、Shriverは、Inorganic Chemistry 17:3069(1978)において、ルイス酸を使用してRh触媒によるエチレンの水素化(不斉反応ではない)を促進することを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、パラジウム触媒存在下における、第1級アミンとビニルトシラートとのパラジウム触媒によるカップリングを提供する。
【0015】
本発明は、また、不斉ロジウム触媒による四置換エナミドの不斉水素化を提供する。
【0016】
さらに、本発明は、本発明のカップリングおよび水素化から生産できる生産物である、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドの特定の結晶形態を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以下に示される通りの、第1級アミン(IV)と構造式(III)の化合物との、パラジウムで触媒されるカップリングにより、エナミドを調製するための実用的な方法を対象とする。
【0018】
【化23】
[式中、
R1は、水素、ハロゲン、−C(O)ORe、−C(O)NRf2−NRf2およびシアノから選択され;
R2は、水素、ハロゲンおよびヒドロキシルから選択され;
R3は、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキルから選択され、前記アルキル部分は、置換されていないか、ハロゲン、CF3、OCF3およびORaから選択される置換基によって置換されており;
Raは、置換されていないか、ハロゲン、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択される1つまたは2つのRb置換基によって置換されているシクロアルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル−およびヘテロアルキルから選択され;
R4は、アリール、ヘテロアリールおよびC1〜10アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており;
それぞれのRcは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
それぞれのRdは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
Reは、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキル、アリール−C1〜6アルキル−、アリール、ヘテロアリールから選択され、アリールおよびヘテロアリール部分は、1つから3つのRc置換基によって場合により置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRd部分によって置換されており;
それぞれのRfは、水素、直鎖または分枝状C1〜6アルキル、フェニル−C1〜6アルキル−から独立に選択され、アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており、前記フェニル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRc置換基によって置換されている。]
【0019】
さらに、本発明は、四置換エナミド(II)の対応するアミド(I)への立体選択的還元に関する。
【0020】
【化24】
[式中、R1、R2およびR3は上記の通りである。]。
【0021】
別の態様において本発明は、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドの結晶形態、特に無水結晶形態、形態B、ならびにタイプ1、タイプ2およびタイプ3の3種類に分類される結晶性溶媒和物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、エナミド(II):
【0023】
【化25】
[式中、
R1は、水素、ハロゲン、−C(O)ORe、−C(O)NRf2、−NRf2およびシアノから選択され;
R2は、水素、ハロゲンおよびヒドロキシルから選択され;
R3は、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキルから選択され、前記アルキル部分は、置換されていないか、ハロゲン、CF3、OCF3およびORaから選択される置換基によって置換されており;
Raは、置換されていないか、ハロゲン、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択される1つまたは2つのRb置換基によって置換されているシクロアルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル−およびヘテロアリールから選択され;
それぞれのRcは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
それぞれのRdは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
Reは、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキル、アリール−C1〜6アルキル−、アリール、ヘテロアリールから選択され、アリールおよびヘテロアリール部分は、1つから3つのRc置換基によって場合により置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRd部分によって置換されており;および
それぞれのRfは、水素、直鎖または分枝状C1〜6アルキル、フェニル−C1〜6アルキル−から独立に選択され、アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており、前記フェニル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRc置換基によって置換されている。]
を製造するための方法であり、
式(III):
【0024】
【化26】
[式中、R1およびR2は上記で定義され、R4は、アリール、ヘテロアリールおよびC1〜10アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されており、および前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されている。]
の化合物を、アミド(IV):
【0025】
【化27】
[式中、
R3は上記で定義されている。]
によって、塩基およびパラジウム触媒の存在下において処理することを含む、方法を対象とする。
【0026】
本発明の一実施形態においてR1は、水素、ハロゲン、−C(O)ORe、−C(O)NRf2、−NRf2およびシアノから選択される。この実施形態の1つの分類においてR1は、水素、塩素、臭素、−C(O)OCH3、NH2およびシアノから選択される。この実施例の1つの分類においてR1は、−NH2およびシアノから選択される。この分類の1つの下位分類においてR1はアミド(−NH2)である。この分類の別の下位分類においてR1はシアノである。この実施形態の別の分類においてR1は塩素および臭素から選択される。1つの下位分類においてR1は臭素である。別の下位分類においてR1は水素である。
【0027】
本発明の別の実施形態においてR2は、水素、フッ素、塩素および臭素から選択される。1つの分類においてR2は水素および塩素から選択される。1つの下位分類においてR2は水素である。別の下位分類においてR2は塩素である。
【0028】
本発明の別の実施形態においてR3は、水素および直鎖または分枝状C1〜10アルキルから選択され、前記アルキル部分は、置換されていないか、ハロゲン、−CF3、−OCF3および−ORaによって置換されている。この実施形態の1つの分類においてR3は、置換されていないか、ハロゲン、−CF3、−OCF3および−ORaによって置換されている、直鎖または分枝状C1〜8アルキルである。この分類の1つの下位分類においてR3は、ORaによって置換された分枝状C3〜6アルキルから選択される。1つの下位分類においてR3は:
【0029】
【化28】
である。
【0030】
本発明の一実施形態においてRaは、C4〜6シクロアルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル−およびヘテロアリールから選択され、Raは、置換されていないか、1つまたは2つのRb置換基によって置換されていることがありうる。この実施形態の1つの分類においてRaは、フェニル、ベンジル、ピリジルおよびピリミジルから選択され、Raは、置換されていないか、Rb置換基によって置換されていることがありうる。下位分類においてRaはトリフルオロメチルによって置換されたピリジルである。別の下位分類においてRaは:
【0031】
【化29】
である。
【0032】
本発明の1つの実施形態においてそれぞれのRbは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メチル、シアノおよびトリフルオロメチルから独立に選択される。1つの分類においてそれぞれのRbは、クロロ、ヨード、メチル、シアノおよびトリフルオロメチルから独立に選択される。下位分類においてそれぞれのRbは、トリフルオロメチルである。
【0033】
本発明の1つの実施形態においてR4は、アリール、ヘテロアリールおよびC1〜10アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており;
R4は、アリール、ヘテロアリールおよびC1〜6アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されている。この実施形態の1つの分類においてR4は、フェニル、ピリジル、ピリミジル、およびC1〜6アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されている。この分類の1つの下位分類においてR4は、フェニルおよびピリジル、C3〜6アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRc置換基によって置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されている。別の下位分類においてR4は選択されたフェニルであり、前記フェニルは、置換されていないか、Rc置換基によって置換されている。別の下位分類においてR4は4−メチルフェニルである。
【0034】
本発明の1つの実施形態においてそれぞれのRcは、ハロゲン、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択される。この実施形態の1つの分類においてそれぞれのRcは、フルオロ、クロロ、メチル、およびトリフルオロメチルから独立に選択される。この実施形態の下位分類においてRcは、フルオロ、クロロおよびメチルから選択される。別の下位分類においてRcはメチルである。
【0035】
本発明の別の実施形態においてそれぞれのRdは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択される。この実施形態の1つの分類においてそれぞれのRdは、フルオロ、クロロおよびトリフルオロメチルから独立に選択される。この分類の1つの下位分類においてそれぞれのRdは、フルオロおよびクロロから独立に選択される。
【0036】
本発明の別の実施形態においてReは、ハロゲン、直鎖または分枝状C1〜10アルキル、アリール−C1〜6アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択され、アリールおよびヘテロアリール部分は、1つから3つのRc置換基によって、場合により置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRd部分によって置換されている。この実施形態の1つの分類においてReは、水素、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ベンジル、フェニルおよびピリジルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、1つから3つのRc置換基によって、場合により置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されている。この分類の1つの下位分類においてReは、水素、メチル、t−ブチル、ベンジルおよびフェニルから選択される。別の下位分類においてReは、水素またはメチルである。
【0037】
本発明の別の実施形態においてそれぞれのRfは、水素、直鎖または分枝状C1〜6アルキル、フェニル−C1〜6アルキル−から独立に選択され、アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており、前記フェニル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRc置換基によって置換されている。この実施形態の1つの分類においてそれぞれのRfは、水素、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、およびベンジルから独立に選択され、アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており、前記フェニル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRC置換基によって置換されている。この分類の1つの下位分類においてそれぞれのRfは、水素およびメチルから独立に選択される。
【0038】
本発明の1つの実施形態において塩基は無機塩基である。この実施形態の1つの分類において塩基は炭酸カリウムである。本発明の別の実施形態においてパラジウム触媒は、パラジウム原子を含有する化合物のいずれかである。この実施形態の1つの分類においてパラジウム触媒は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、およびビス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)から選択される。この分類の下位分類においてパラジウム触媒は、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)である。
【0039】
本発明の1つの実施形態においてパラジウム触媒は、ホスフィン配位子を含む。この実施形態の1つの分類においてホスフィン配位子はジホスフィン配位子である。この分類の1つの下位分類においてホスフィン配位子は、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセンから選択される。
【0040】
本発明の1つの実施形態において反応は、第3級アルコール溶媒、アレーン溶媒またはこれらの混合物において実行される。この実施形態の1つの分類において反応は第3級アルコール溶媒において実行される。この分類の1つの下位分類において溶媒はtert−アミルアルコールである。この実施形態の別の分類において反応は、第3級アルコール溶媒およびアレーン溶媒の混合物において実行される。この分類の下位分類において反応は、tert−アミルアルコールおよびトルエンの混合物において実行される。
【0041】
この反応は、広い温度範囲にわたって実行できる。1つの実施形態においてこの反応混合物は室温以上に加熱される。この実施形態の1つの分類において反応は、50℃と140℃との間に加熱される。この実施例の1つの下位分類において反応は、80℃から120℃の間に加熱される。この実施形態の別の下位分類において反応は、90℃から110℃の間に加熱される。
【0042】
同様に、この反応は、広い濃度範囲にわたって実行できる。
【0043】
さらに、本発明は、エナミド(II):
【0044】
【化30】
[式中、R1、R2、およびR3は上記で定義された通りである。]
を、アミド(I):
【0045】
【化31】
[式中、R1、R2、およびR3は上記で定義された通りである。]
へ、キラル触媒の存在下における水素ガス処理により、立体選択的に還元することに関する。
【0046】
エナミド(II)は、一般に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トリフルオロエタノール、THF、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、DMA、DMF、水およびこれらの溶媒の組合せから選択される溶媒に溶解される。この反応は、一般に、約5から200g/L溶媒の濃度において実行される。この反応は、0から100℃の間の温度において行われうる。水素ガスは、一般に、1気圧と100気圧(101.3kPaから10130kPaまで)との間の圧力において使用される。
【0047】
添加剤、例えば、酢酸、四フッ化ホウ酸、三フッ化酢酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、クエン酸またはルイス酸(例えば、BF3、BF3・溶媒、B(OMe)3、B(O−iPr)3、LiBF4、LiOTf、NaPF6、Cs2CO3、MgSO4、Sc(O−iPr)3、Cu(OTf)2、[[Cu(OTf)]2・ベンゼン]、Cu(COCF3)2・H2O、Zn(OTf)3、Sc(OTf3)、La(OTf)3、Mg(OTf)2、LiBF4(DME)3、K(BPh4)およびBEt3など)などは、反応混合物中において場合により使用できる。1つの実施形態においてこの添加剤は、四フッ化ホウ酸、三フッ化ホウ酸、BF3、BF3・IPAおよびBF3・MeOHから選択される。この実施形態の1つの分類においてこの添加剤は、BF3・IPAおよびBF3・MeOHから選択される。この添加剤は、0mol%と200mol%との間で有利に使用できる。
【0048】
キラル触媒は、金属前駆体、配位子および場合により助触媒を接触させることにより、その場で(in situ)形成できる。別法として、予め形成された触媒錯体が使用できる。
【0049】
キラル触媒がその場で形成される場合は、金属前駆体は、(COD)Ru(メタリル)2、[(COD)RhCl]2、(COD)2RhX、(NBD)2RhX、Rh(acac)(CO)2、Rh(エチレン)2(acac)、Rh(CO2)Cl2、RuCl2(COD)、Ru(Ar)X2、[(COD)IrCl]2および(COD)2IrX[式中、Xは、すべての場合に、Cl、Br、I、OTf、BF4、PF6、Sb6、ClO4から独立に選択され;Arは、ベンゼン基であり、置換されていないか、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの、直鎖または分枝状6C1〜6アルキル置換基によって置換されている。]から有利に選択される。本発明の1つの実施形態においてArは、置換されていないか、1つから6つのメチル基によって置換されているベンゼンである。本発明の1つの分類においてArは、ベンゼン、p−シメン、トルエン、ヘキサメチルベンゼン、メシチレンから選択される。本発明の1つの分類においてこの金属前駆体は、(COD)2RhBF4、(COD)2RhOTf、(NBD)2RhBF4、(NBD)2RhOTfおよび(COD)Ru(メタリル)2から選択される。本発明のこの分類の1つの下位分類においてこの金属前駆体は、(COD)2RhBF4、(COD)2RhOTf、(NBD)2RhBF4および(NBD)2RhOTfから選択される。いかなるキラルジホスフィンも配位子として有利に使用できる。特に、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジフェニルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−4−メトキシフェニルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−4−トリフルオロメチルフェニルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(R,S)−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−t−ブチルホスフィン、(−)−TMBTP、(R)−BINAP、(R)−tol−BINAP、(R)−xyl−BINAP、(R)−Hexaphemp、(R)−Synphosまたは(S)−xyl−Phanephosは、配位子として使用できる。本発明の1つの実施形態においてこの配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−1−ナフチルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(R,S)−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−t−ブチルホスフィン、(−)−TMBTP、(R)−hexaphemp、(R)−xyl−BINAPから選択される。この実施形態の1つの分類においてこの配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィンおよび(−)−TMBTPから選択できる。触媒活性剤が場合により使用できる。本発明の方法において有用な、特別な触媒活性剤には、四フッ化ホウ酸、酢酸、トリフリック酸、三フッ化酢酸、トルエンスルホン酸およびメタンスルホン酸が含まれる。本発明の1つの下位分類においてこの触媒活性剤は、四フッ化ホウ酸である。本発明の別の下位分類においてこの触媒活性剤は使用されない。
【0050】
予め形成された触媒錯体が使用される場合は、((ビスホスフィン)(COD)RhX)、(ビスホスフィン)(NBD)RhX)および(ビスホスフィン)RuX2が有利に使用される(Xは上記で定義された通りである。)。反応は、一般に、1から48時間にわたって実行される。特に、反応は、6から36時間にわたって実行できる。
【0051】
本発明の1つの実施形態においてR1はアミドである。この実施形態の1つの分類において溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2,2,2−三フッ化エタノール(「三フッ化エタノール」)、THFおよび1,2−ジクロロエタンから選択される。この分類の1つの下位分類においてこの溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよび三フッ化エタノールから選択される。この分類の別の下位分類においてこの溶媒はイソプロピルアルコールである。
【0052】
この実施形態の別の分類において水素の圧力は、1気圧と100気圧との間である。下位分類において水素の圧力は、5気圧と60気圧との間である。この分類の別の下位分類において水素の圧力は、20気圧と40気圧との間である。この分類のさらに別の下位分類において水素の圧力は、10気圧から40気圧である。この実施形態のさらに別の分類において添加剤は、四フッ化ホウ酸、三フッ化酢酸およびBF3・MeOHから選択される。この実施形態の1つの下位分類においてこの添加剤は、BF3・MeOHである。この添加剤は、3モル%と40モル%との間、好ましくは20から40モル%の間で有利に使用できる。
【0053】
この実施形態の別の分類において触媒は、予め形成された触媒錯体(−)−TMBTP(COD)RhBF4、または金属前駆体、配位子および場合により触媒活性剤を接触させることにより、その場で形成された触媒から選択される。この分類の1つの下位分類において金属前駆体は(COD)2RhBF4である。この分類の別の下位分類においてこの配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン、(R,S)−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−t−ブチルホスフィン、(−)−TMBTP、(R)−Hexaphempおよび(R)−xyl−BINAPから選択される。別の下位分類においてこの配位子は、(−)−TMBTPである。本発明の別の下位分類において触媒活性剤は、四フッ化ホウ酸である。本発明の別の下位分類において触媒活性剤は存在しない。
【0054】
この実施形態の別の分類において担体:触媒の比は、10から5000である。この分類の下位分類において担体:触媒の比は100から1000である。この分類の別の下位分類において担体:触媒の比は200から500である。この実施形態の別の分類において反応温度は周囲温度から90℃である。1つの下位分類において反応温度は20から50℃である。この分類の別の下位分類において反応温度は25から35℃である。この分類のさらに別の下位分類においてこの温度は35から65℃である。この実施形態の別の分類において反応は、18時間と24時間との間で行われる。本発明のさらに別の分類において反応は、50から150g/L溶媒の濃度で行われる。本発明の下位分類において80から120g/L溶媒の濃度が、有利に使用される。
【0055】
本発明の別の実施形態においてR1はシアノである。
【0056】
この実施形態の分類においてシアノエナミドIIが、メタノール、THFおよびジクロロエタンから選択される溶媒に溶解される。この分類の下位分類においてシアノエナミドIIが、ジクロロエタンに溶解される。
【0057】
この実施形態の1つの分類において水素の圧力は、20気圧と80気圧との間である。この分類の下位分類において水素の圧力は、30気圧と60気圧との間である。この実施形態の別の下位分類において添加剤は、存在しないかまたはBF3・MeOHである。この分類の下位分類においてこの添加剤は、反応混合物中に存在せず、使用されない。この添加剤は、0mol%と40mol%との間で有利に使用できるが、好ましくは、添加剤は存在しない(0mol%)。
【0058】
この実施形態の別の分類においてシアノエナミド用に選択された触媒は、予め形成された触媒錯体:(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン(COD)RhBF4、および金属前駆体、配位子および場合により触媒活性剤を接触させることによってその場で形成された触媒から選択される。この分類の1つの下位分類においてこの金属前駆体は、(NBD)2RhBF4である。この分類の別の下位分類においてこの配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(−)−TMBTPおよび(R)−Hexaphempから選択される。この分類のさらに別の下位分類においてこの配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィンである。別の下位分類においてこの触媒活性剤は、四フッ化ホウ酸である。本発明の別の下位分類においてこの触媒活性剤は存在しない。
【0059】
この実施形態の別の分類においてシアノエナミド反応における担体:触媒のモル比は、10から500である。この分類の下位分類において担体:触媒のモル比は20から100である。この分類の別の下位分類において担体:触媒のモル比は、30から50である。
【0060】
この実施形態の追加の分類においてシアノエナミド反応の反応温度は、50℃から90℃である。この分類の下位分類において反応温度は75℃から85℃である。別の分類においてシアノエナミド反応は、10から100g/L溶媒の濃度で行われる。本発明の下位分類において60〜100g/L溶媒の濃度が有利に使用される。
【0061】
本発明の別の実施形態は、無水および溶媒和N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチルー2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドを対象とする。
【0062】
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドの形態Bは、無水結晶形態である。この構造は、単結晶X線結晶学により決定された。この結晶は、三斜晶系であり、空間群はP1、格子定数はa=10.6199Å、b=11.058Å、c=12.299Å、α=112.476°、β=92.403°、およびγ=93.453°である。不斉構成単位内には、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドが2分子存在する。不斉構成単位内のこの2分子の、コンピュータによって作成された透視図が、図16に示されている。原子パラメータのリストは、表1に与えられている。
【0063】
【表1】
【0064】
形態Bの試料の粉末X線回折パターンは、図17に示されている。この回折パターンは、3.6、4.3、4.7、4.9、5.7および11.3Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。図18は、形態Bの試料の、固体フッ素−19MAS NMRスペクトルを示す。形態Bは、−58.7および−61.4ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。図19は、形態Bの試料の、固体炭素−13CPMAS NMRスペクトルを示す。形態Bは、164.6、137.1、111.3、23.6および16.9ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。
【0065】
さらに、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドは、さまざまな溶媒系、例えば、iPAc−ヘキサン、iPAc−シクロヘキサン、iPAc−メチルシクロヘキサン、iPAc−n−ヘキサン、iPAc−n−ヘプタン、トリフルオロトルエン−ペンタン−メチルシクロヘキサン、MTBE−ヘキサン、トルエン−ヘキサン、トルエン−イソ−オクタンおよびiPAc−イソ−オクタンなどと、溶媒和物を形成することができる。これらの溶媒和物は、類似の粉末X線回折パターンを示す。図20(タイプ1パターン)、図21(タイプ2パターン)および図22(タイプ3パターン)は、3つの代表的なパターンである。タイプ1パターンは、3.3、4.3、4.6、5.1および12.6Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。タイプ2パターンは、4.3、4.6、5.1、5.6および12.6Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。タイプ3パターンは、4.3、4.6、5.1、5.7および12.7Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。図23は、タイプ1溶媒和物試料の固体フッ素−19MAS NMRスペクトルを示す。タイプ1溶媒和物は、−59.9および−60.8ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。図24は、タイプ2溶媒和物試料の固体フッ素−19MAS NMRスペクトルを示す。タイプ2溶媒和物は、−59.8および−60.5ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。図25は、タイプ3溶媒和物試料の固体フッ素−19MAS NMRスペクトルを示す。タイプ3溶媒和物は、−60.5ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。図26は、タイプ1溶媒和物試料の固体炭素−13CPMAS NMRのスペクトルを示す。タイプ1溶媒和物は、164.1、142.3、112.5、26.6および18.6ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。図27は、タイプ2溶媒和物の固体炭素−13CPMAS NMRのスペクトルを示す。タイプ2溶媒和物は、48.7ppmの化学シフト値を有する特性信号に加えて、タイプ1溶媒和物と類似の化学シフト値を有する信号を示した。図28は、タイプ3溶媒和物試料の固体炭素−13CPMAS NMRのスペクトルを示す。タイプ3の溶媒和物は、143.6、140.3、25.6、29.7、24.1、および20.9ppmの化学シフト値を有する特性信号に加えて、タイプ1の溶媒和物と類似の化学シフト値を有する信号を示した。
【0066】
例示的合成スキームは、特定の第1級アミドIV(下記の化合物4)と構造式IIの化合物(下記の化合物3)との、パラジウムにより触媒されたカップリングによる、特定のエナミドII(下記の化合物5)の形成、ならびに引き続く前記エナミドII(下記の化合物5および6)の、対応するアミドI(それぞれ、下記の化合物7および8)への立体特異的還元の2つの経路を示す。化合物7は、薬剤として有用な化合物8、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドに変換される。
【0067】
【化32】
【0068】
出発アミド、化合物4は、対応する酸、化合物Aから調製できる。酸化合物Aは、WO03/077847に記載されている通りに、または当業者に知られているその他の手段によって、製造できる。酸、化合物Aは、当業者に知られている手順により、アミド、化合物4に変換できる。そのような1つの手順は、適切な溶媒中で、1つの実施形態においてはアセトニトリルなどの非プロトン性溶媒中で、塩化チオニルによって処理することにより酸塩化物を形成し、続いてアンモニアによって処理することによりアミドを形成することである。
【0069】
ビニルトシラート(3)は、対応するケトン(2)を、塩基、例えば任意のアルコキシド塩基など、特に、ナトリウムt−ブトキシドおよびp−トルエンスルホニル無水物により、溶媒中で、特にN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンまたはDMF中で、処理することによって形成できる。スキームIにおいて図示されている特別な例においてベンゾニトリル置換されたケトン(2)は、対応するフェニルブロミド(1)を、DMFまたはDMACなどの適切な極性非プロトン溶媒中で、パラジウム触媒および還元剤、例えばジエチル亜鉛などの存在下において、シアン化亜鉛処理することにより、それだけで形成される。ケトンのフェニル基上の、他のR1およびR2置換基は、J.Organometallic Chem.689(2004)、pp.4576〜4583において開示されているカリウムヘキサシアノフェライト(II)を使用することを含めて、当業者に知られている手順に従って合成される。
【0070】
ビニルトシラート(3)は、塩基、特に炭酸カリウムなどの無機塩基、およびパラジウム触媒、特にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)および適切なホスフィン配位子、特に1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンまたは1,1’−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセンなどのジホスフィン配位子の存在下で、適切な溶媒、特にt−アミルアルコールなどの第3級アルコール、またはトルエンなどのアレーン、または(tert−アミルアルコールとトルエンとの混合物などの)第3級アルコールとアレーンとの混合物中で、アミド(4)によって処理されて、シアノエナミド(5)を形成する。
【0071】
シアノエナミド(5)は、所望のシアノアミド(8)に、直接、立体特異的に還元できるか(経路A)、またはシアノエナミド(5)は、アミド−エナミド(6)へまず変換され、対応するキラルアミド(7)へ立体特異的に還元され、次いで、シアノ−アミド(8)へ変換できる(経路B)。
【0072】
経路Aにおいてシアノエナミド(5)は、不斉触媒の存在下で水素によって処理され、所望のシアノ−アミド生成物(8)を形成する。シアノアミドは、適切な溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トリフルオロエタノール、THF、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、DMA、DMF、水またはこれらの溶媒の組合せなど、特にメタノール、THFまたはトリクロロエタン、および最も特別にはジクロロエタンに溶解される。反応は、一般に、約5から200g/L溶媒、特に10から100g/L溶媒または60から100g/L溶媒の濃度で実行される。水素ガスは、一般に、1気圧と100気圧、特に20気圧と80気圧、より特別には30気圧と60気圧の間で使用される。添加剤、例えば酢酸、四フッ化ホウ酸、三フッ化酢酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、クエン酸またはルイス酸(例えばBF3・溶媒、B(OMe)3、B(O−iPr)3、LiBF4、LiOTf、NaPF6、Cs2CO3、MgSO4、Sc(O−iPr)3、Cu(OTf)2、[[Cu(OTf)]2・ベンゼン]、Cu(COCF3)2・H2O、Zn(OTf)3、Sc(OTf3)、La(OTf)3、Mg(OTf)2、LiBF4(DME)3、K(BPh4)、およびBEt3、特にBF3・MeOH)などは、反応混合物中において場合により使用できる。1つの例においてこの添加剤は全く使用されない。この添加剤は、0mol%と200mol%の間で、特に0mol%と40mol%の間で有利に使用できるものであり、好ましくは、この添加剤は存在していない(0mol%)。不斉触媒は、予め形成された触媒錯体、特に(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン(COD)RhBF4であることができ、または不斉触媒錯体は、(NBD)2RhBF4などの金属前駆体、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(−)−TMBTPまたは(R)−Hexaphempなどの配位子および場合により四フッ化ホウ酸などの触媒活性剤を接触させることによりその場で形成できる。触媒の担体に対するモル比は、10から500、特に20から100、最も特別には30から50である。
【0073】
経路Bにおいてシアノ−エナミド(5)は、当業者によく知られた方法によって、対応するアミド−エナミド(6)に変換される。特に、シアノ−アミド(5)は、DMSOなどの適切な溶媒中で、塩基、特に炭酸カリウムなどの無機塩基の存在下において過酸化水素水によって処理される。得られたアミド−エナミド(6)は、不斉触媒の存在下において水素によって処理され、所望の不斉アミド生成物(7)を形成する。アミド−エナミドは、適切な溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トリフルオロエタノール、THF、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、DMA、DMF、水またはこれらの溶媒の組合せなど、特にメタノール、エタノール、イソプロパノールまたはトリフルオロエタノール、および最も特別にはイソプロパノールに溶解される。反応は、一般に、溶媒1リットル当たり、アミド−エナミド(6)が約5から300gの濃度において実行される。1つの実施形態において反応は、溶媒1リットル当たり、アミド−エナミド(6)が5から200g、特に、10から100g/L溶媒、または60から100g/L溶媒の状態で実行される。別の実施形態において反応は、10から250g/L溶媒または150から250g/Lの状態で実行される。水素ガスは、一般に、1気圧と100気圧の間で、1つの実施形態においては5気圧と40気圧の間で、別の実施形態においては20気圧と40気圧の間で使用される。添加剤、例えば、酢酸、四フッ化ホウ酸、三フッ化酢酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、クエン酸またはルイス酸(例えば、BF3・溶媒、B(OMe)3、B(O−iPr)3、LiBF4、LiOTf、NaPF6、Cs2CO3、MgSO4、Sc(O−iPr)3、Cu(OTf)2、[[Cu(OTf)]2・ベンゼン]、Cu(COCF3)2・H2O、Zn(OTf)3、Sc(OTf3)、La(OTf)3、Mg(OTf)2、LiBF4(DME)3、K(BPh4)およびBEt3など)、特に四フッ化ホウ酸、三フッ化酢酸およびBF3・MeOH、より特別にはBF3・MeOHが、反応混合物中において場合により使用できる。添加剤は、0mol%と200mol%の間で、特に3mol%と40mol%の間で、好ましくは20〜40mol%の間で有利に使用できる。不斉触媒は、予め形成された触媒錯体、特に(−)−TMBTP(COD)RhBF4でありうるか、または不斉触媒錯体は、(COD)2RhBF4または(NBD)2RhBF4などの金属前駆体、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−ホスフィン、(R,S)−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−t−ブチルホスフィン、(−)−TMBTP、(R)−Hexaphermpおよび(R)−xyl−BINAP、特に四フッ化ホウ酸などの配位子、および四フッ化ホウ酸などの触媒活性剤を接触させることによりその場で形成できる。触媒の担体に対するモル比は、10から5000である。1つの実施形態において触媒の担体に対するモル比は、200から2000、特に300から1000である。別の実施形態において触媒の担体に対するモル比は、200から500、最も特別には30から50である。
【0074】
新規な方法を利用する代表的な実験手順が、以下に詳細に述べられる。これらの手順は、単なる例示であり、本発明の新規な方法を限定するものであると解釈されるべきではない。
【0075】
略号:Ac:アセチル;Acac:アセトアセチル;(COD):シクロオクタジエン;DARCO KB−B:炭素樹脂の商品名;dipf:ビス−1,1’−ジイソプロピルホスフィノフェロセン;DMAC:ジメチルアセトアミド;DMA:N,N−ジメチルアセトアミド;DME:1,2−ジメトキシエタン;DMF:ジメチルホルムアミド;dppb:1,4−ジフェニルホスフィノブタン;ee:鏡像体過剰率;in:インチ;IPA:イソプロピルアルコール;IPAc:酢酸イソプロピル;LCAP:液体クロマトグラフィー検定パーセント;LHMDS:リチウムビス(トリメチルシリル)アミド;Me:メチル;MTBE:メチルtert−ブチルエーテル;NBD:ノルボルナジエン;Pd2dba3:ビス−パラジウムトリ(ジベンジリデンアセトン);RT:室温;SOLKA FLOC:濾過助剤;tBu:第3級ブチル;TEA:トリエチルアミン;Tf:トリフルオロメチルスルホニル(トリフラート);THF:テトラヒドロフラン;TMBTP:テトラメチルビスジフェニルホスフィノ−チオフェン;Ts:p−トルエンスルホニル(トシル)。
【実施例1】
【0076】
2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド
【0077】
【化33】
【0078】
オーバーヘッドスターラ、窒素入口および熱電対を装備した12Lの三ツ口分液漏斗内に、MeCN(6.5L)中の2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノン酸(772g)の溶液を調製した。塩化チオニル(316mL)を、30分にわたって添加した。得られた溶液を、室温で2時間撹拌した。オーバーヘッドスターラ、窒素入口および熱電対を装備した、分離22L三ツ口丸底フラスコに、30%NH4OH(aq)(5L)を投入し、−20℃に冷却した。分液漏斗からの塩酸溶液を、内部反応温度が、2時間にわたって−15から−20℃に維持されるような速度で、NH4OHの溶液に添加した。添加が完了した後、得られたスラリを室温まで暖め、さらに1時間撹拌した。反応混合物を、トルエン(15L)および水(15L)を収容している50Lの抽出器に移し、層を分離した。有機層を、NaHCO3の飽和水溶液(5L)により、次いで、水(5L)により洗浄した。有機層を、12Lの四つ口丸底フラスコへ移し、50℃における真空下で約2Lの体積まで濃縮した。
【0079】
濃縮の終わり近くで、固体が析出し始め、バッチを78℃に加熱して固体のすべてを溶解させた。ヘプタン(5L)を添加し、バッチがゆっくりと冷却できるようにして、結晶性固体を生じさせた。スラリを濾過し、濾過ケーキを、n−ヘプタン(1L)により洗浄した。得られた固体を、窒素気流下で乾燥し、表題の化合物626gを得た(99.6LCAP、98.0wt%、81%の単離収量)。
【実施例2】
【0080】
3−[1−(4−クロロベンジル)−2−オキソプロピル]ベンゾニトリル
【0081】
【化34】
【0082】
ステップA:触媒調製
熱電対、オーバーヘッドスターラ、ゴム隔壁、N2入口、およびバブラに連結されたガスアダプタを装備した、四つ口の12L丸底フラスコに、酢酸パラジウム(12.8g)、トリ−o−トリルホスフィン(69.9g)、およびジメチルホルムアミド(2.8L)を投入した。周囲温度で20分間、溶液をN2で通気した。次いで、フラスコを加熱マントル上で56℃に加熱し、混合物を60℃で20分間撹拌した。トルエンに溶解させたジエチル亜鉛溶液(1.1M、78.0mL)を、注入器を介して添加した。得られた懸濁液を56℃で45分間撹拌した。
【0083】
ステップB:シアン化反応
機械的スターラ、熱電対、窒素入口、およびバブラに連結されたガスアダプタを装備した、四つ口の12L丸底フラスコに、3−(3−ブロモフェニル)−4−(4−クロロフェニル)ブタン−2−オン、シアン化亜鉛(201g)、およびジメチルホルムアミド(4.0L)を投入した。懸濁液を、室温で30分間、加熱マントルを用いて56℃で1時間、窒素で通気した。(56℃の)ブロモケトン/Zn(CN)2スラリを、(56℃の)触媒溶液に添加した。移し替えが完了した後、反応混合物を、N2の下で56℃で4.5時間撹拌した。得られた懸濁液を、氷浴内で冷却し、温度を30℃以下に維持しながら、30%水酸化アンモニウム水溶液(971mL)を、5分間かけて添加した。懸濁液を室温に暖め、60分間撹拌し、次いで、SOLKA FLOCのパッド(pad)を用いて濾過し、トルエン(5L)により溶出させた。濾液を、20%水酸化アンモニウム水溶液(6.9L)およびトルエン5Lを収容している抽出器に添加した。二相の混合物を、室温で15分間撹拌し、分離した。有機層を、食塩水(1:1飽和NaCl:水)7Lで、次いで水7Lで洗浄した。有機相を、オーバーヘッドスターラ、熱電対、機械的スターラを装備し、バッチ濃縮器に連結された、12Lの四つ口フラスコに移した。バッチを、15〜38℃において真空下で1.5Lの体積に濃縮し、次いで、ヘプタン(850mL)を添加した。
【0084】
試料をこの時点で取り出し、ガラス瓶(vial)内で結晶化させた。この種試料をフラスコへ戻して投入し、結晶化のための種床(seed bed)を作った。種床ができた後(〜30分)、ヘプタン6.5Lを40分かけて添加し、バッチを0℃に冷却した。バッチを濾過し、濾過ケーキをヘプタン(2L)によって洗浄した。得られた固体を、窒素気流下で乾燥し、表題の化合物755gを得た(98.9面積%、>99重量%、93%単離収量)。
XRPD:図1は、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置(Philips Analytical X’ Pert PRO X−ray Diffraction System)により作成された、表題の化合物の粉末X線回折パターン(XRPD)を示す。この表題の化合物は、7.4、4.6、4.0、3.8、3.5、3.4Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示した。
熱分析(TGおよびDSC):表題の化合物の熱重量分析(TG)データを、窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得て、図2に示した。0.07%の重量損失を、44℃から100℃までで観測した。示差走査熱量測定(DSC)データを、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集した。この表題の化合物のDSC曲線は図3に示されており、69.3℃の外挿された開始温度、71.6℃のピーク温度、および104J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【実施例3】
【0085】
3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルホネート
【0086】
【化35】
【0087】
機械的スターラ、熱電対、およびN2入口を装備した、四つ口の12L丸底フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド(7.2L)を、引き続き3[1−(4−クロロベンジル)−2−オキソプロピル]ベンゾニトリル(実施例2、744g)を投入し、次いで、反応混合物を、室温で30分間窒素により通気した。
混合物を−10℃に冷却し、NaOtBu(265g)を固体として一度に、撹拌しながら添加した(tmax=−2℃)。溶液を撹拌しながら、発熱が停止するまで冷却すると、温度は下がり始めた(約2分)。冷却バスを除去し、反応物を室温まで暖め、次いで1時間撹拌した。混合物を−20℃まで冷却し、温度を−5℃未満に維持しながら、p−トルエンスルホン酸無水物(Ts2O、893g)を、二度に分けて固体として、撹拌しながら添加した(tmax=−8℃)。混合物を−10℃まで冷却し直し、1時間撹拌した。反応を、1M NaHCO3(1.9L)によって停止させ、IPAcを15Lおよび水を13L収容している50Lの抽出器へ移した。層は分離され、有機層を7.5Lの水で2回洗浄した。有機層を、55℃における弱い真空下(25in Hg:水銀柱25インチ)において、約2Lまで濃縮した。2Lの体積に到達すると、バッチが結晶化を始めたので、真空を止め、フラスコを73℃に加熱して、均一な溶液を生成した。混合物をゆっくりと室温まで冷却するに任せながら、ヘプタン(6.6L)を添加した。得られたスラリを室温で1時間熟成させ、次いで濾過した。濾過ケーキを3Lのヘプタンで洗浄し、窒素気流下で乾燥すると、表題の化合物974gを生じた(>99面積%、>99重量%、85%単離収量)。
XRPD:図4は、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、表題の化合物の粉末X線回折パターンを示す。この表題の化合物は、9.3、8.1、6.6、5.7、4.1、3.4Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示した。
熱分析(TGおよびDSC):表題の化合物の熱重量分析(TG)データを、窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得て、図5に示した。0.17%の重量損失を、85℃から148℃までで観測した。示差走査熱量測定(DSC)データを、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集した。この表題の化合物のDSC曲線は図6に示されており、122.4℃の外挿された開始温度、125.2℃のピーク温度、および87J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【実施例4】
【0088】
N[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミドの調製1
【0089】
【化36】
【0090】
三ツ口の3L丸底フラスコに、tert−アミルアルコール(2.4L)を投入した。溶液を窒素ガスで2時間通気した。機械的スターラ、還流凝縮器および還流凝縮器の上に窒素/真空アダプタを装備した三ツ口の5L丸底フラスコに、Pd2dba3(27.5g)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(51.2g)、2−メチル−2{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド(313g)、3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルホネート(526g)および炭酸カリウム(332g)を投入した。フラスコを密閉し、排気し、窒素を再投入した。tert−アミルアルコール(2.4L)を反応フラスコに添加し、次いで、100℃に加熱し、100℃で18時間撹拌した。得られた懸濁液を25℃に冷却し、機械的スターラを装備した四つ口の22L丸底フラスコに移した。バッチを、MTBE7.2Lによって希釈し、次いで、DARCO KB−B(登録商標)(250g)を混合物に投入した。得られた混合物を、室温で2時間撹拌し、次いで、SOLKA FLOCのパッドの上で濾過した。濾過ケーキを、MTBE 7Lによって洗浄した。バッチを、オーバーヘッドスターラおよび熱電対を装備した、四つ口の12L丸底フラスコへ真空輸送した。バッチを、10〜20℃で濃縮して、すべてのMTBEを除去し、次いで、30〜40℃で、残りのt−アミルアルコールの体積を、約1.5Lに縮小させた。ヘプタン(5L)を約30分にわたって添加し、バッチを20℃に冷却した。濾過ケーキを、ヘプタン−MTBE(10:1)を2L使用して洗浄し、窒素気流下で乾燥し、表題の化合物553gを得た。
XRPD:図7は、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、表題の化合物の粉末X線回折パターンを示す。この表題の化合物は、7.6、5.7、5.3、5.1、4.6、4.1Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示した。
熱分析(TGおよびDSC):中間生成物シアノエナミドの熱重量分析(TG)データを、窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得て、図8に示した。0.06%の重量損失を、83℃から134℃までで観測した。示差走査熱量測定(DSC)データを、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集した。中間生成物シアノエナミドのDSC曲線は図9に示されており、124.4℃の外挿された開始温度、126.4℃のピーク温度、および80J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【実施例5】
【0091】
N[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド:調製2
【0092】
【化37】
【0093】
250mLの三ツ口丸底フラスコに、第1のネックの上に還流凝縮器を、中間のネックの上にオーバーヘッドスターラを装着した。窒素/真空入口アダプタを還流凝縮器の上に取り付けた。すべてのガラスジョイントに、ダウコーニングの高真空グリスを塗った。このフラスコに、Pd2dba3(0.687g)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(1.28g)、2−メチル−2{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド(7.82g)、3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルホネート(13.1g)および炭酸カリウム(4.15g)を投入し、フラスコの第3のネックの上でゴム隔壁によって蓋を被せ、排気し、窒素を再投入した。tert−アミルアルコール(60mL)を、注入器を介して添加した。テフロン(TEFLON)で被覆した熱電対を、第3のネックの上の隔壁に穴を開けることによって挿入し、この穴を、少量のダウコーニングの高真空グリスにより密閉した。撹拌および加熱(油浴)を開始した。反応混合物を、100℃において18時間、150rpmで撹拌し、この時点で、HPLC分析は、完全に変換されていることを示した。次いで、反応混合物をMTBE(180mL)によって希釈し、DARCO KB−B(6.0g)と共に、空気を排除することなく2時間撹拌し、SOLKA FLOCを用いて濾過し、MTBE(180mL)によって溶出した。濾液をHPLCにより分析すると、92%検定収量、7%アミド出発原料、および3%転位アミドであった。次いで、黄色の濾液を50mLの体積に濃縮した。30分かけてヘプタン(150mL)を添加することにより生成物を沈殿させ、同時に混合物を磁気的に撹拌した。室温で1時間撹拌した後、懸濁液を濾過し、ケーキを10:1ヘプタン−MTBE(100mL)によって洗浄した結果、母液は4.4重量%損失した。真空下で乾燥した後、青い黄色の粉末としての生成物13.6gを、87%単離収量、98.3重量%純度の状態で得、dppb酸化物純度は1.3%LCAPであった。
【実施例6】
【0094】
N−[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド:調製3
【0095】
【化38】
【0096】
100mLの24/40ジョイント三ツ口丸底フラスコに、第1のネックの上に還流凝縮器を、中間のネックの上にオーバーヘッドスターラを装着した。窒素/真空入口アダプタを還流凝縮器の上に取り付けた。すべてのガラスジョイントに、ダウコーニングの高真空グリスを塗った。このフラスコに、t−AmOH(24mL)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(0.512g)、2−メチル−2{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド(3.13g)、3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルホネート(5.26g)および炭酸カリウム(3.31g)を投入した。容器の上部空間を、窒素によってパージし(凝縮器の上に入口、フラスコの第3のネックの上に出口)、同時に50rpmで1時間撹拌した。
【0097】
分離した50mLの丸底フラスコに、Pd2dba3(0.275g)およびトルエン(12mL)を投入し、フラスコの上部空間を、窒素をゆっくりと流してパージし、同時に懸濁液を、室温で30分間磁気的に撹拌した。
【0098】
第1フラスコの不活性化が完了した後、第1フラスコの第3のネックの上の窒素出口アダプタを、ゴムの隔壁で置き換えた。第2フラスコからの触媒懸濁液を、注入器を介して、第1フラスコに添加した。テフロン(TEFLON)で被覆した熱電対を、第1フラスコの第3のネックの上の隔壁に穴を開けることによって挿入し、この穴を、少量のダウコーニングの高真空グリスにより密閉した。撹拌および加熱(油浴)を開始した。反応混合物を、100℃において16時間、150rpmで撹拌し、この時点におけるHPLC分析は、完全に変換されていることを示した。次いで、反応混合物を、MTBE(75mL)を使用して200mLの丸底フラスコへ移し、DARCO KB−B(2.6g)と共に空気を排除することなく3時間撹拌し、SOLKA FLOCを用いて濾過し、MTBE(75mL)によって溶出した。濾液をHPLCにより分析すると、95%検定収量、4%アミド出発原料、および2%転位アミドであった。黄色の濾液を20mLの体積に濃縮し、10分かけてヘプタン(60mL)を添加することにより生成物を沈殿させ、同時に混合物を磁気的に撹拌した。室温で3時間撹拌した後、懸濁液を濾過し、ケーキを10:1ヘプタン−MTBE(50mL)によって洗浄した結果、母液は3.3重量%損失した。真空下で乾燥した後、青い黄色の粉末としての生成物5.63gを、91%単離収量、99.2重量%純度の状態で得、dppb酸化物純度は0.45%LCAPであった。
【実施例7】
【0099】
3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド
【0100】
【化39】
【0101】
オーバーヘッドスターラ、熱電対および窒素入口を装備した、5Lの三ツ口丸底フラスコに、実施例4のシアノエナミド、N[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド524g、およびK2CO3112gを添加した。DMSO(2.7L)を投入し、容器を室温の水浴中に浸漬した。過酸化水素溶液(30%水溶液165mL)を、温度が決して25℃を超えないようにして、反応器にゆっくり添加した。添加が完了した後、反応物を1時間熟成させた。バッチを酢酸イソプロピル1Lによって希釈し、SOLKA FLOCの床の上で濾過した。床を酢酸イソプロピル4.5Lにより洗浄し、得られた溶液を、水5.5Lを収容している50Lの抽出器へ移した。層は分離され、有機層を、水3.1Lによって2回洗浄し、5Lに濃縮し、溶媒を、−60℃において5Lのトルエンに切り替えた。溶媒の切り替えが完了すると、ヘプタン500mLを添加し、混合物を20℃に冷却した。バッチを、20℃で30分熟成させ、次いで濾過し、トルエン1Lにより洗浄した。得られた固体を、窒素を流しながら一晩乾燥し、表題の化合物(99.4LCAP、98.0重量%、0.02%dppd酸化物、512g検定)522gを得た。
XRPD:図10は、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、表題の化合物の粉末X線回折パターンを示す。この表題の化合物は、6.2、5.9、5.2、4.6、4.2、3.9Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示した。
熱分析(TGおよびDSC):表題の化合物の熱重量分析(TG)データを、窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得て、図11に示した。0.17%の重量損失を、99℃から163℃までで観測した。示差走査熱量測定(DSC)データを、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集した。表題の化合物のDSC曲線は図12に示されており、151.1℃の外挿された開始温度、153.9℃のピーク温度、および91J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【実施例8】
【0102】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド:調製1
【0103】
【化40】
【0104】
ステップA:触媒の調製
N2を充満させたグローブボックス内で、(−)−TMBTP2.83gを、撹拌子を収容している0.5Lの瓶に添加した。(COD)2RhBF4(1.85g)を同じ瓶に添加し、次いでメタノール(360mL)を添加した。得られた溶液を、撹拌しながら1時間熟成させた。BF3−MeOH(41.2g、MeOH中で12重量%、4.94gBF3)を触媒溶液に添加し、得られた混合物を、1−Lのステンレス鋼ボンベに添加した。MeOH50mLを使用して、混合物をボンベにすすぎ入れた。イソプロパノール(200mL)を、ボンベのすすぎチャンバに投入し、次いで、ボンベの各チャンバを、グローブボックスから取り出す前に、密閉した。
【0105】
ステップB:水素化
3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド(486g、実施例7)を、5Lの瓶に投入し、イソプロパノール(3.3L)を瓶に添加してスラリを製造した。得られたスラリを、パイプラインを通して2ガロンのステンレス鋼オートクレーブへ真空輸送した。5−Lの瓶をイソプロパノール1Lですすぎ洗いし、すすぎ液体も、また、2ガロンのオートクレーブへ移した。オートクレーブをN2(5x)により脱ガスし、部分減圧下に置いた。触媒ボンベを、(N2によりフラッシングした)可撓性のポリエチレン配管を介してオートクレーブに連結し、触媒溶液をオートクレーブに引き入れ、次いで、すすぎチャンバからのイソプロパノール洗浄液を引き入れた。オートクレーブを密閉し、N2パージにより3回脱ガスし、H2パージにより3回脱ガスし、150psiまで加圧した。スターラを始動させ、温度を40℃に上げた。反応物を、150psiにおいて、40℃で18時間熟成させた。温度を室温に下げ、得られた溶液をポリエチレンの壺に移し、鏡像体過剰率および純度を検定した(表題の化合物475.7gの検定、98%検定収量、99.6LCAP、92.1%鏡像体過剰率)。
【実施例9】
【0106】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド:調製2
【0107】
【化41】
【0108】
ステップA:触媒の調製
注記:この実験において脱ガスした溶媒のみを使用し、何を投入するにしてもそれに先立って、シュレンクフラスコおよびオートクレーブを、アルゴンガスの雰囲気下に置いた。(COD)2RhOTf(23.41mg、0.05mmol)および29.95mg(0.0525mmol)(R,S)−((ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリル−ホスフィンを、20mLシュレンクフラスコに入れた。引き続き、2,2,2−トリフルオロエタノール10mLを添加し、反応混合物を60℃で1時間撹拌した。
【0109】
ステップB:水素化
3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド(26.6g、50.0mmol)を、250mLのシュレンクフラスコに入れ、2,2,2−トリフルオロエタノール(90mL)を添加した。このスラリを、均一な溶液を得るまで撹拌した。この溶液を、カニューレを介して300mLのステンレス鋼オートクレーブに移し、次いで、触媒溶液を移した。オートクレーブを密閉し、水素ガスによってパージし(3サイクル140ゲージpsi/14ゲージpsi)、反応器を60℃に加熱した。20分の後、圧力を150ゲージpsiH2に設定し、撹拌を開始した。反応物を16時間熟成させた。温度を室温まで下げ、水素を除去した。得られた溶液を、オートクレーブから取り出し、鏡像体過剰率および純度を検定した(表題の化合物25.7gの検定、96%検定収量、99.8LCAP、95.3%の鏡像体過剰率)。
【実施例10】
【0110】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド:調製3
【0111】
【化42】
【0112】
ステップA:触媒の調製
注記:この実験において脱ガスした溶媒のみを使用し、何を投入するにしてもそれに先立って、シュレンクフラスコおよびオートクレーブを、アルゴンガスの雰囲気下に置いた。(NBD)2RhBF4(18.7mg)および(R,S)−((ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリル−ホスフィン(29.95mg)を、20mLのシュレンクフラスコに入れた。引き続き、2,2,2−トリフルオロエタノール10mLを添加し、反応混合物を、室温で10分間撹拌した。
【0113】
ステップB:水素化
3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド(26.6g)を、250mLのシュレンクフラスコに入れ、2,2,2−トリフルオロエタノール(90mL)を添加した。このスラリを、均一な溶液を得るまで撹拌した。この溶液を、カニューレを介して300mLのステンレス鋼オートクレーブに移し、次いで、触媒溶液を移した。オートクレーブを密閉し、水素ガスによってパージし(3サイクル140ゲージpsi/14ゲージpsi)、反応器を60℃に加熱した。20分の後、圧力を150ゲージpsiH2に設定し、撹拌を開始した。反応物を17時間熟成させた。温度を室温まで下げ、水素を除去した。得られた溶液を、オートクレーブから取り出し、鏡像体過剰率および純度を検定した(表題の化合物23.9gの検定、90%検定収量、99.8LCAP、95.3%鏡像体過剰率)。
【0114】
ステップC:単離手順
不斉アミド7の2.68g(5.02mmol)のTFE溶液を、39℃、75mbarにおいて、約6.4gまたは1kg/Lに濃縮した。MTBE85.25mLを添加し、40〜45℃および450トルにおいて一定の体積で蒸留し、余分のTFEを除去した。TFEの最終濃度は、1.47重量%であった。ECOSORB C−941を添加し(0.271g)、溶液を40℃に加熱して20.75時間熟成させた。スラリを、SOLKA FLOCの上で濾過し、濾液を50%過飽和(46℃、365mbar)に濃縮した。溶液に、不斉アミド13.8mgの種晶を入れ(この時点における水の濃度は816ppm−重量基準)、20〜25℃で18時間熟成させた。総量が33.09mLのn−ヘプタンを16時間かけて添加し、スラリを20〜25℃で5時間熟成させた。追加のn−ヘプタン68mLを、20〜25℃で8時間かけて添加し、1時間熟成させた。スラリを濾過し、20〜25℃において、5:1n−ヘプタン/MTBE、40mLによって洗浄した。固体を、真空オーブン内において45℃および0.1in Hgで、17.75時間乾燥し、無水不斉アミドを得た(1.95g、73%収量、99.8%鏡像体過剰率、<0.1%のMTBE、TFEおよびn−ヘプタン、10ppmRh)。
XRPD:線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、表題の化合物の粉末X線回折パターン。不斉アミド7の無水結晶形態は、8.2、7.4、6.0、5.4、4.5、3.6Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示した。
熱分析(TGおよびDSC):不斉アミド7の無水結晶形態の熱重量分析(TG)データを、窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得た。0.14%の重量損失を、33℃から151℃までで観測した。示差走査熱量測定(DSC)データを、囲いのないパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集した。不斉アミド7の無水結晶形態のDSC曲線は、144.4℃の外挿された開始温度、148.5℃のピーク温度、および50J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【実施例11】
【0115】
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド:経路B
【0116】
【化43】
【0117】
実施例10による粗製水素化溶液の溶媒を、イソプロパノール4LからDMF約1Lへ切り替えた(40℃、30mm Hg)。その結果得られた、3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例10)470gをDMFに溶解した溶液を、機械的スターラ、熱電対および2Lの添加漏斗を装備した、12Lの四つ口丸底フラスコへ移した。塩化シアヌル(103g)をMTBE2L中に懸濁させ、得られたスラリを、2Lの添加漏斗を介し、約10分間にわたって反応物へ投入した。反応混合物を、撹拌しながら1時間熟成させた。バッチを10℃に冷却し、MTBE3Lで希釈した。温度を20℃未満に維持しながら、水2Lおよび飽和NaHCO32Lを反応物に添加した。得られたスラリを、MTBE3L、水3L、および飽和NaHCO33Lを収容している50Lの抽出器へ移した。追加の水12Lをバッチに添加し、層を安定させた。有機層を、水3Lで2回洗浄した。有機層の検定結果は、>99%検定収量である。
【0118】
エコソーブ(Ecosorb)処理/半溶媒和物単離:有機層は、〜11Lの体積を維持しながら、35℃、17in Hgにおいて共沸混合物となり、KFが219(特に500)になる。次いで、エコソーブC941を320g使用して、バッチを処理した。バッチを50℃で4時間熟成させ、次いで、SOLKA FLOCのパッドの上で濾過し、MTBE6Lで洗浄した。得られた濾液を22Lの容器に再投入し、11Lの体積に濃縮し、エコソーブC941を116g使用して再処理した。このスラリを、SOLKA FLOCの床の上で濾過し、MTBE6Lで洗浄した。得られた無色のMTBE層を、1ミクロンのインラインフィルタを通して、オーバーヘッドスターラおよび熱電対を装備した12Lの四つ口丸底フラスコへ移し、17in Hg、35℃において約2Lの体積に濃縮した。バッチを室温に冷却し、試料を除去して種床を作った。試料が結晶化してから、フラスコに戻し、バッチを30分間熟成させ、大きな種床を作った。単離した固体を、窒素気流上で乾燥させ、表題の化合物413.4gを半溶媒和物として得た(92.1%の鏡像体過剰率、94.6重量%の表題生成物、99.8面積%、(0.08面積%のメチルエステル)、7由来の86%単離収量)。
【実施例12】
【0119】
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド:経路B
【0120】
【化44】
【0121】
オーバーヘッドスターラおよび熱電対を装備した、三ツ口の2L丸底フラスコに、DMF(100mL)、MTBE(250mL)および塩化シアヌル(12.95g)を添加した。得られた溶液を2時間熟成させた。DMF(50mL)およびMTBE(92mL)中の3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例10、56.50g、88.5重量%、50g検定)の溶液を、約45分かけてフラスコに添加した。反応物を60分間熟成させ、MTBE(400mL)を添加し、溶液を0℃に冷却した。NH4Clの10%水溶液(500mL)を、温度を10℃未満に維持しながら、添加した。混合物を30分間熟成させ、層を安定させた。有機層を、水(500mL)で2回洗浄し、得られた有機溶液を、MTBEと共沸させ、水分濃度を<500ppmに低減させた。エコソーブC−941(40g)を乾燥有機溶液に添加し、混合物を40℃で一晩熟成させた。混合物を室温に冷却し、濾過し、MTBE(200mL)で洗浄した。溶液を、225〜250g/kg溶液に濃縮し、半溶媒和物50mgの種晶を入れ、室温で一晩熟成させた。N−ヘプタン(935mL)を、6時間にわたって投入し、スラリを0℃に冷却した。1時間熟成させた後、バッチを濾過し、n−ヘプタン(235mL)で洗浄すると、表題の化合物43.0gを半溶媒和物として得た(92.1%の鏡像体過剰率、94.6重量%の生成物、99.8%の面積%、83%の単離収量)。
【実施例13】
【0122】
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド多形Bの短離
オーバーヘッドスターラおよび熱電対を装備した、3Lの三ツ口丸底フラスコにおいて、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド半溶媒和物350gを、総量が1.82Lの、2:3酢酸イソプロピル:ヘプタンに懸濁させた。混合物を、1時間熟成させ、次いで、SOLKA FLOCの小さな床の上で濾過し、溶液を濾過床から完全に引き出し、母液の損失を最小限にした。濾過ケーキを、1Lの1:3IPAc:ヘプタンにより洗浄して分離フラスコ内に入れた。2つの濾液を一緒にした(一緒にした鏡像体過剰率=98.5%)。これらの2つの溶液を、1ミクロンのインラインフィルタを通して、22Lの四つ口丸底フラスコへ真空輸送した。このバッチを蒸気ポット上で45℃に加熱し、次いで、ヘプタン2.35Lを投入した。N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド多形Bの種晶(多形Bの種晶を、長期にわたって同じ溶媒系から得た)(15.0g)を、添加し、バッチを45℃で一晩熟成させた。次いで、得られたスラリに、ヘプタン150mLを5時間かけて投入し、次いで、ヘプタン220mLを2.0mL/分の割合で、次いでヘプタン1131mLを9mL/分の割合で、次いで、ヘプタン6783mLを60mL/分の割合で投入した。ヘプタンをすべて投入してから、バッチを室温に冷却し、一晩熟成させた。バッチを0℃に冷却して1時間熟成させ、濾過し、ヘプタン1Lで洗浄すると、表題の化合物、結晶の形態Bを得た(287g、87%の単離収量(半溶媒和物から、種晶用に収集した)、98.6%の鏡像体過剰率、99.5LCAP、99.5重量%検定)。
【実施例14】
【0123】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの単離
【0124】
【化45】
【0125】
水素化が完了した後(実施例8)、溶媒を、ロータリエバポレータ上で除去した。粗製油をトルエン(10ml/g)および10%NH4Cl溶液(10mL/g)によって希釈した。層は分離され、トルエン層を濃縮して油にした。油をMTBE(3mL/g)によって希釈し、5重量%不斉アミド(7)MTBE半溶媒和物の種晶を入れて一晩撹拌した。種床ができた後、ヘプタン(3mL/g)を添加し、バッチを、濾過する前に、10℃に冷却した。3g規模の表題の化合物を90%回収、液中に2%、いくらかはフラスコに粘着。99.6LCAP。0.2%メチルエステル純度。
XRPD:図13は、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、表題の化合物の粉末X線回折パターンを示す。この表題の化合物は、9.0、6.0、5.3、5.1、4.5、3.9Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示した。
熱分析(TGおよびDSC):中間体アミドの熱重量分析(TG)データを、窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得て、図14に示した。6.6%の重量損失を、周囲温度から100℃までで観測した。示差走査熱量測定(DSC)データを、気密のパン内で窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で収集した。中間体アミドのDSC曲線は図15に示されており、70.9℃の外挿された開始温度、75.5℃のピーク温度、および51J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【実施例15】
【0126】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの単離
【0127】
【化46】
【0128】
水素化が完了した後(実施例8)、溶液64.9gを、真空下、45℃までの温度において16.9gに濃縮した。IPAに溶解した不斉アミドの溶解度は、1350g/L(溶媒1リットル当たりの不斉アミドのグラム)を超える。MTBE(348.2g)を添加し、溶液を10%NH4Cl溶液250mLによって洗浄した。次いで、有機溶媒を水(各々の洗浄に248mL)でさらに3回洗浄した。残留有機溶媒をMTBE(284.4g)と共に濃縮し、水を共沸させた。溶液を、53±5g/kgに濃縮させた。最終の水の濃度は、532ppmであった。次いで、この溶液に、不斉アミドMTBE半溶媒和物、0.5重量%、の種晶を入れて、20〜25℃で20時間熟成させた。この時点で、ヘプタンを一定時間かけて3つのアリコートに投入した。ヘプタンの第1アリコート(54mL)を9時間で投入した。ヘプタンの第2アリコート(90mL)を、6時間で投入した。ヘプタンの第3アリコート(294mL)を、3時間で投入した。ヘプタンの投入が終了した時点で、溶液を20〜25℃で2時間熟成させた。この溶液を、5ミクロンのガラスフィルタ上で濾過した。5:1n−ヘプタン/MTBE、164mLを用いて、置換洗浄を実施し、固体を真空下で45℃未満の温度で乾燥した。最終の水の濃度は、<0.5重量%(KFによる)であった。最終のMTBE濃度は、11〜12重量%(半溶媒和物として)であり、最終のヘプタン濃度は、<0.5重量%(共に、GCによる)であった。不斉アミド/MTBE半溶媒和物を、90%収量、99.3LCAPで単離した。
【実施例16】
【0129】
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルフェニル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド:経路A
【0130】
【化47】
【0131】
ステップA:触媒の調製
N2を充満させたグローブボックス内で、((R,S)−((ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニル−ホスフィン)、300mg)を、撹拌子を収容している30mLの瓶に添加した。(NBD)2RhBF4(183mg)を同じ瓶に添加し、次いで、1,2−ジクロロエタン(20mL)を添加した。得られた溶液を撹拌しながら1時間熟成させ、得られた混合物を50mLのステンレス鋼のボンベに添加した。
【0132】
ステップB:水素化
N2を充満させたグローブボックス内で、出発シアノエナミド(実施例4の生成物、10g)を、1,2−ジクロロエタン100mLで希釈し、溶液を、触媒溶液を収容している50mLのステンレス鋼ボンベに連結している150mLのステンレス鋼ボンベに移した。150mLボンベを、可撓性のポリエチレン管状材料(N2により洗浄されている)を介してオートクレーブに連結し、下層溶液(substrate solution)をオートクレーブ中に引き入れ、続いて、より上方のチャンバから触媒溶液を引き入れた。オートクレーブを密閉し、N2パージによって3回脱ガスを行った。次いで、オートクレーブを、H2パージによって3回脱ガスし、500psiに加圧した。スターラを始動させ、温度を80℃に上げた。反応物を、500psi、80℃で18時間熟成させた。温度を室温まで下げ、得られた溶液をアンバ色の広口瓶に移し、鏡像体過剰率と純度を検定した(シアノエナミド9.5gの検定、95%検定収量、90%LCAP、85%鏡像体過剰率)。
【実施例17】
【0133】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド:((R,S)−((ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)を使用した経路Bの水素化
【0134】
【化48】
【0135】
N2を充満させたグローブボックス内で、(R,S)−((ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(57.1mg)を、撹拌子を収容している20mLのガラス瓶に添加した。(COD)2RhOTf(46.8mg)を同じガラス瓶に添加し、次いで、MeOH(20mL)を添加した。得られた溶液を撹拌しながら20分間熟成させ、得られた混合物を、150mLのステンレス鋼ボンベに添加した。N2を充満させたグローブボックス内で、エナミド6(8.0g、実施例7の生成物)を、MeOH50mLに溶解させ、この溶液を、触媒として10mLのフラスコリンス液と共に同じ150mLのステンレス鋼ボンベに移した。この150mLのステンレス鋼ボンベを、MeOH10mLを収容している25mLのステンレス鋼リンスボンベに連結した。ボンベアセンブリを、可撓性のポリエチレン管状材料(N2により洗浄されている)を介してオートクレーブに連結し、反応溶液をオートクレーブ中に引き入れ、続いて、より上方のチャンバからMeOHリンス溶媒を引き入れた。オートクレーブを密閉し、N2パージによって3回脱ガスを行った。次いで、オートクレーブを、H2パージによって3回脱ガスし、1000psiに加圧した。スターラを始動させ、温度を50℃に上げた。反応物を、1000psi、50℃で23.5時間熟成させた。温度を室温まで下げ、得られた溶液をアンバ色の広口瓶に移し、鏡像体過剰率と純度を検定した(98.0%LCAP7、92.8%鏡像体過剰率0.2%LCAPエナミド6)。
【実施例18】
【0136】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの結晶タイプ1の溶媒和物の単離
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(540g)を、IPAcで溶解して1.4Lの体積にした。シクロヘキサン(1.95L)を添加し、このバッチに、結晶性半溶媒和物3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例11)を、種床として入れた。20分間の熟成の後、シクロヘキサン(13.25L)を、1.5時間にわたって添加した。このバッチを室温で1.5時間熟成させ、次いで、水氷浴により5℃に冷却した。スラリを濾過し、シクロヘキサン(500mL)で洗浄した。このバッチを、窒素でスイープしながら35℃の真空オーブン内で乾燥した。ML損失は48g(8.8%)であった。最終の固体の重量は、442.8g(94重量%したがって416g)であった。
【実施例19】
【0137】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの結晶タイプ2の溶媒和物の単離
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(1012g)を、投入し、MTBEに溶解して4.1Lの体積にした。このバッチに、結晶性半溶媒和物3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例11)を、種床として入れた。20分間の熟成の後、ヘプタン(12.3L)を、1.5時間にわたって添加した。このバッチを室温で1.5時間熟成させ、次いで、水氷浴により5℃に冷却した。スラリを濾過し、ヘプタン(2.1L)で洗浄した。このバッチを、窒素でスイープしながら真空下で乾燥した。ML損失は38g(3.7%)であった。最終の固体の重量は、1011g(93重量%したがって940g)であった。
【実施例20】
【0138】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの結晶タイプ3の溶媒和物の単離
実施例7におけるような重炭酸塩処理に引き続いて、3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイルアミノ]−プロピル}ベンズアミド(2.4g)を、MTBE80mLに溶解させた。溶媒を、35℃においてMTBEからトルエンに切り替えた。約45mLの最終体積を維持した。エコソーブC941を15重量%(0.36g)添加し、バッチを70から75℃で90分間にわたり熟成させた。室温に冷却し、CELITEの上で濾過した。無色の溶液を濃縮して乾燥状態とし、IPAc3ML(約1.2V)を添加し、60℃に維持した。次いで、イソオクタン21mLを30分間にわたって投入した。溶液をゆっくりと冷却し、56℃において溶液自体で種床を発生させた(溶液を少量ガラス瓶中に試料採取し、室温に冷却して種床を発生させた)。試料が結晶化してから、バッチに戻した。バッチをゆっくりと(3時間にわたって)室温に冷却すると、バッチはスラリとなった。バッチを室温で2時間にわたり熟成させた。若干湿った固体を収集し、真空オーブン内に放置して35℃で一晩乾燥させた。固体HPLC検定によれば99.2A%および98重量%であった。不斉HPLC=90.4%の鏡像体過剰率。NMRの結果は、固体がイソオクタン溶媒和物であることを示す。
【実施例21】
【0139】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの結晶形態の分析
Bruker Smart Apex Systemにより、単結晶X線データを収集するために、単結晶を選択した。単位細胞を30秒の走査速度で収集し、自動指数付けした結果、格子胞は三斜であった。30秒の走査速度を用いて四半分のデータを収集した後、構造は三斜P1空間群に属すると解明された。
【0140】
粉末X線回折パターンを、PW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により生じさせた。PW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を線源として使用した。実験を周囲条件下で実施した。
【0141】
粉末X線回折パターンに加えて、3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの形態を、固体炭素−13およびフッ素−19核磁気共鳴(NMR)スペクトルによって、さらに特徴付けた。固体炭素−13NMRスペクトルを、Bruker 4mm 二重共鳴CRMASプローブを用いた、Bruker DSX 400WB NMR装置により得た。炭素−13NMRスペクトルは、可変−振幅交差分極によるプロトン/炭素−13交差分極マジック角回転を利用した。試料を15.0kHzで回転させた。FT(フーリエ変換)を実行する前に、40Hzのスペクトル線の広がりをスペクトルに適用した。化学シフトは、グリシンのカルボニル炭素(176.03p.p.m)を第2基準物質として用いたTMSスケールで報告する。
【0142】
固体フッ素−19NMRスペクトルを、Bruker 4mm CRMASプローブを用いた、Bruker DSX 400WB NMR装置により得た。NMRスペクトルは、シンプルパルス−アクワイアパルス(simple pulse−acquire pulse)プログラムを利用した。試料は、15.0kHzで回転させた。ベスペル(vespel)のエンドキャップを利用してフッ素のバックグラウンドを最小限に抑えた。100Hzのスペクトル線の広がりを、FTを実行する前にスペクトルに適用した。化学シフトは、ポリ(テトラフルオロエチレン)(TEFLON)を外部第2基準物質として用いて報告し、−122ppmの化学シフトが割り付けられた。
【0143】
以上本発明を、この一定の特別な実施形態を参照して述べ、説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明にさまざまな変化、変更および置換を加えることができることを、当業者は理解する。例えば、本明細書において上述した特定の溶媒以外の溶媒が、本明細書に記載の化学合成において有用でありうる。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲によって限定されること、およびそのような特許請求の範囲は、妥当である限り広く解釈されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、3−[1−(4−クロロベンジル)−2−オキソプロピル]ベンゾニトリル(実施例2)の粉末X線回折パターン(XRPD)を示す図である。
【図2】窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得られた、熱重量分析(TG)データ3−[1−(4−クロロベンジル)−2−オキソプロピル]ベンゾニトリル(実施例2)を示す図である。
【図3】3−[1−(4−クロロベンジル)−2−オキソプロピル]ベンゾニトリル(実施例2)について、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集された示差走査熱量測定(DSC)データを示す図であり、69.3℃の外挿された開始温度、71.6℃のピーク温度、および104J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【図4】線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルフォネート(実施例3)の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図5】窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得られ、図17において示されている3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルフォネート(実施例3)の熱重量分析(TG)データを示す図である。0.17%の重量損失が、85から148℃の間で観測された。
【図6】3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルフォネート(実施例3)について、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集された示差走査熱量測定(DSC)データを示す図であり、122.4℃の外挿された開始温度、125.2℃のピーク温度、および87J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【図7】線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、N−[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド(実施例4)の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図8】窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得られた、N−[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド(実施例4)の熱重量分析(TG)データを示す図である。
【図9】N−[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド(実施例4)について、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集された示差走査熱量測定(DSC)データを示す図であり、124.4℃の外挿された開始温度、126.4℃のピーク温度、および80J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【図10】線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド(実施例7)の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図11】窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得られた、3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド(実施例7)の熱重量分析(TG)データを示す図である。
【図12】3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド(実施例7)について、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集された示差走査熱量測定(DSC)データを示す図であり、151.1℃の外挿された開始温度、153.9℃のピーク温度、および91J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【図13】線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例8、14)の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図14】窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得られた、3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例8、14)の熱重量分析(TG)データを示す図である。
【図15】70.9℃の外挿された開始温度、75.5℃のピーク温度、および51J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す、3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例8、14)について、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集された示差走査熱量測定(DSC)データを示す図である。
【図16】形態BのN−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドの不斉構成単位における2つの分子の、コンピュータで作成された透視図を示す図である。
【図17】線源としてPW33373/00セラミックCU LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、形態BのN−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドの粉末X線回折パターンを示す図である。
【図18】形態BのN−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド試料の、固体フッ素19MAS NMRのスペクトルを示す図である。
【図19】形態BのN−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド試料の、固体炭素−13CPMAS NMR(交差分極マジック角度回転核磁気共鳴)のスペクトルを示す図である。形態Bは、164.6、137.1、111.3、23.6および16.9ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。
【図20】線源としてPW33373/00セラミックCU LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ1の結晶性溶媒和物の粉末X線回折パターンを示す図であり、3.3、4.3、4.6、5.1および12.6Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。
【図21】線源としてPW33373/00セラミックCU LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ2の結晶性溶媒和物の粉末X線回折パターンを示す図であり、4.3、4.6、5.1、5.6および12.6Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。
【図22】線源としてPW33373/00セラミックCU LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ3の結晶性溶媒和物の粉末X線回折パターンを示す図であり、4.3、4.6、5.1、5.7および12.7Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。
【図23】N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ1の結晶性溶媒和物試料の、固体フッ素−19MAS NMRのスペクトルを示す図である。タイプ1の溶媒和物は、−59.9および−60.8ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。
【図24】N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ2の結晶性溶媒和物試料の、固体フッ素−19MAS NMRのスペクトルを示す図である。タイプ2の溶媒和物は、−59.8および−60.5ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。
【図25】N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ3の結晶性溶媒和物試料の、固体フッ素−19MAS NMRのスペクトルを示す図である。タイプ3の溶媒和物は、−60.5ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。
【図26】N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ1の結晶性溶媒和物の、固体炭素−13CPMAS NMRのスペクトルを示す図である。タイプ1の溶媒和物は、164.1、142.3、112.5、26.6および18.6ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。
【図27】N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ2の結晶性溶媒和物の、固体炭素−13CPMAS NMRのスペクトルを示す図である。タイプ2の溶媒和物は、48.7ppmの化学シフト値を有する特性信号に加えて、タイプ1の溶媒和物と類似の化学シフト値を有する信号を示した。
【図28】N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ3の結晶性溶媒和物の、固体炭素−13CPMAS NMRのスペクトルを示す図である。タイプ3の溶媒和物は、143.6、140.3、25.6、29.7、24.1、および20.9ppmの化学シフト値を有する特性信号に加えて、タイプ1の溶媒和物と類似の化学シフト値を有する信号を示した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、四置換エナミドの合成の方法およびキラルアミドを形成するための四置換エナミドの不斉還元の方法およびこの方法の間に得られる中間化合物に関する。これらの方法は、薬剤として有用な化合物、特にWO03/077847に記載のものを合成する際に役立つ。
【背景技術】
【0002】
WO03/077847においてこれらの化合物の合成は、非立体選択的手段およびキラルHPLCによる異性体の分割によって行なわれ、大規模な生産に適用できず、望ましくない異性体を過剰に生成する。
【0003】
米国特許出願公開第2004/0019216号およびHuangら、JACS 125:6653〜6655(2003)には、銅により触媒された炭素−ヘテロ原子結合の形成、特にアミドまたはアミン部分の窒素と、アリール、ヘテロアリールまたはハロゲン化ビニルまたはビニルスルホネートの活性化された炭素との間の炭素−窒素結合の形成が、開示されている。Wallaceら、Org.Lett.5(24):4749〜4752(2003)は、エノールトリフラートと、アミド、カルバメートおよびスルホンアミドとの、パラジウムで触媒されたカップリングによるエナミドの形成について記述している。WO03/066570は、弱塩基ならびに8族の金属および少なくとも1つのカルベン含有配位子を含む遷移金属触媒の存在下において、第1級または第2級アミノまたはアミド基を有する化合物と、アリール化化合物との反応による、N−アリールアミドおよびN−アリールアミンの形成を対象とする。米国特許第6235936号および米国特許第6465693号は、それぞれ、活性化された炭素を有する適切なアリールまたはビニル化合物と脱離基とを、遷移金属触媒により反応させて炭素−ヘテロ原子結合を形成させることによる、ヒドラジン、ヒドラゾン、ヒドロキシアミンおよびオキシムのアリール化およびビニル化に関する。米国特許第5817877号は、塩基ならびに8族金属およびキレート配位子を含む遷移金属触媒、例えば15族−置換アリーレンまたは15族−置換メタロセン、の存在下において、不飽和有機スルホネートを反応物アミンと接触させることによる、少なくとも1つの不飽和基を有する有機アミンの調製を対象とする。米国特許第6235938号は、塩基と、8族金属および少なくとも1つの立体障害性アルキル置換基を有するキレートビスホスフィン配位子を含む遷移金属触媒との存在下において、アミノ基を有する化合物をアリール化化合物と反応させることによって、N−アリールアミン化合物を調製することを対象とする。米国特許第6323366号は、活性化されたアリールまたはビニル基を、遷移金属触媒の存在下においてイミンと化合させ、その結果得られたN−アリールイミンを所望の第1級アリールまたはビニルアミンに変換させることによる、第1級アリールまたはビニルアミンの調製を対象とする。米国特許第6100389号および第5977361号は、N−アリールアミンおよびアミド化合物の調製に関する。Andersonら、J.Org.Chem.68:9563〜9573(2003)は、アリールノナフラート(ArOSO2(CF2)3CF3)のPd触媒によるアミノ化を記述している。Yinら、JACS 124:6043〜6048(2002)は、ハロゲン化アリールのPd触媒によるアミド化について記述している。
【0004】
本発明は、第1級アミドとビニルトシラートとの、パラジウム触媒によるカップリングを含む。ビニルトシラートを使用することにより、大規模生産に適用できないビニルトリフラートの使用を回避する。さらに、トシラート中間生成物は結晶であり、取り扱いが容易である。この方法は、高純度でZ異性体を生産する、立体選択的エノール化およびカップリングである。
【0005】
本発明は、四置換エナミドの不斉ロジウム触媒による水素化を含む。この反応は高い立体選択性を有する。さらに、BF3・MeOH(または、ある種の別のBF3源)などのルイス酸を使用することによって、低いH2圧力および反応温度において水素化が実行できるようになり、さもなければ必要となるはずのものより少量の触媒を使用することによる、安全性とコスト面の優位性とをもたらす。さらに、好ましい実施形態において、本発明は、同一反応に2つのキラル中心を設定する。全体として、本発明の合成ルートは、アジドを使用する必要がないというさらなる利益を提供する。
【0006】
米国特許第6465664号は、銅および不斉二座ビスホスフィン配位子を含む触媒を使用して、環式および非環式エノエートおよびエノンに対する不斉1,4−水素化のための方法を対象とする。米国特許第5489682号は、3、4、5または6族のランタニドおよびアクチニドから選択されるキラル金属触媒による、エナミンの、触媒を用いた不斉還元を対象とする。米国特許第5292893号、米国特許第5491233号および米国特許第5442119号は、三置換オレフィンおよびエナミンを水素化するための、触媒を用いた不斉水素化プロセスを対象とする。
【0007】
本発明は、キラル遷移金属触媒を利用する。立体選択的水素化のためにキラル触媒を使用することは、Tangら、Chem.Rev.103:3029(2003);Blaserら、Adv.Synth.Catal.345:103(2003);およびBlaserら、Applied Catalysis A:General、221:119(2001)に記載されている。欧州第0770085号、米国特許第5907045号、米国特許第6077958号、米国特許第6586357号には、キラルホスフィン、および、
【0008】
【化21】
などの芳香族五原子二複素環式系を含む、これらジホスフィンと遷移金属との錯体が記載され、ならびに立体制御還元におけるこれらの使用が記載されている。これらの配位子は、また、Benincoriら、J.Org.Chem.65:2043〜2047(2000)にも記載されている。欧州第1070075号は、C1対称を有するアトロプ異性キラルリン含有配位子および光学活性形状のリン含有配位子を含む有機金属錯体を対象とし、ならびに立体選択的有機合成におけるこれらの使用を対象とする。
【0009】
WO00/29370、米国特許第6566552号、米国特許第6545165号、米国特許出願第2002/0165408号は、[(+)TMBTP)Ru(p−シメン)I2]を使用して、オキソ基を光学活性ヒドロキシル基へエナンチオ選択的還元することによって、L−カルニチンを生産するための方法を扱っている。
【0010】
WO01/57014、米国特許出願第2003/0158422号、米国特許出願第2003/0158423号、米国特許出願第2003/0171602号、欧州第1127886号は、エナンチオ選択性還元において好ましくはルテニウム(R)MeOBIPHEP触媒を使用して、ハロゲン化アシルからδ−ラクトンを多段階製造することを対象とする。
【0011】
WO03/078399は、次式:
【0012】
【化22】
のいずれかのキラルジホスフィン配位子を含むイリジウムまたはロジウム触媒を使用することによる、ヘキサヒドロキノリン塩の不斉水素化を対象とする。
【0013】
エナミドを含有するピリジンの、Rh触媒による水素化においてHBF4を使用することは、Doebler、Tetrahedron:Asymmetry 7:117(1996)に記載されている。さらに、Shriverは、Inorganic Chemistry 17:3069(1978)において、ルイス酸を使用してRh触媒によるエチレンの水素化(不斉反応ではない)を促進することを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、パラジウム触媒存在下における、第1級アミンとビニルトシラートとのパラジウム触媒によるカップリングを提供する。
【0015】
本発明は、また、不斉ロジウム触媒による四置換エナミドの不斉水素化を提供する。
【0016】
さらに、本発明は、本発明のカップリングおよび水素化から生産できる生産物である、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドの特定の結晶形態を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以下に示される通りの、第1級アミン(IV)と構造式(III)の化合物との、パラジウムで触媒されるカップリングにより、エナミドを調製するための実用的な方法を対象とする。
【0018】
【化23】
[式中、
R1は、水素、ハロゲン、−C(O)ORe、−C(O)NRf2−NRf2およびシアノから選択され;
R2は、水素、ハロゲンおよびヒドロキシルから選択され;
R3は、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキルから選択され、前記アルキル部分は、置換されていないか、ハロゲン、CF3、OCF3およびORaから選択される置換基によって置換されており;
Raは、置換されていないか、ハロゲン、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択される1つまたは2つのRb置換基によって置換されているシクロアルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル−およびヘテロアルキルから選択され;
R4は、アリール、ヘテロアリールおよびC1〜10アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており;
それぞれのRcは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
それぞれのRdは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
Reは、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキル、アリール−C1〜6アルキル−、アリール、ヘテロアリールから選択され、アリールおよびヘテロアリール部分は、1つから3つのRc置換基によって場合により置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRd部分によって置換されており;
それぞれのRfは、水素、直鎖または分枝状C1〜6アルキル、フェニル−C1〜6アルキル−から独立に選択され、アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており、前記フェニル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRc置換基によって置換されている。]
【0019】
さらに、本発明は、四置換エナミド(II)の対応するアミド(I)への立体選択的還元に関する。
【0020】
【化24】
[式中、R1、R2およびR3は上記の通りである。]。
【0021】
別の態様において本発明は、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドの結晶形態、特に無水結晶形態、形態B、ならびにタイプ1、タイプ2およびタイプ3の3種類に分類される結晶性溶媒和物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、エナミド(II):
【0023】
【化25】
[式中、
R1は、水素、ハロゲン、−C(O)ORe、−C(O)NRf2、−NRf2およびシアノから選択され;
R2は、水素、ハロゲンおよびヒドロキシルから選択され;
R3は、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキルから選択され、前記アルキル部分は、置換されていないか、ハロゲン、CF3、OCF3およびORaから選択される置換基によって置換されており;
Raは、置換されていないか、ハロゲン、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択される1つまたは2つのRb置換基によって置換されているシクロアルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル−およびヘテロアリールから選択され;
それぞれのRcは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
それぞれのRdは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
Reは、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキル、アリール−C1〜6アルキル−、アリール、ヘテロアリールから選択され、アリールおよびヘテロアリール部分は、1つから3つのRc置換基によって場合により置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRd部分によって置換されており;および
それぞれのRfは、水素、直鎖または分枝状C1〜6アルキル、フェニル−C1〜6アルキル−から独立に選択され、アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており、前記フェニル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRc置換基によって置換されている。]
を製造するための方法であり、
式(III):
【0024】
【化26】
[式中、R1およびR2は上記で定義され、R4は、アリール、ヘテロアリールおよびC1〜10アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されており、および前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されている。]
の化合物を、アミド(IV):
【0025】
【化27】
[式中、
R3は上記で定義されている。]
によって、塩基およびパラジウム触媒の存在下において処理することを含む、方法を対象とする。
【0026】
本発明の一実施形態においてR1は、水素、ハロゲン、−C(O)ORe、−C(O)NRf2、−NRf2およびシアノから選択される。この実施形態の1つの分類においてR1は、水素、塩素、臭素、−C(O)OCH3、NH2およびシアノから選択される。この実施例の1つの分類においてR1は、−NH2およびシアノから選択される。この分類の1つの下位分類においてR1はアミド(−NH2)である。この分類の別の下位分類においてR1はシアノである。この実施形態の別の分類においてR1は塩素および臭素から選択される。1つの下位分類においてR1は臭素である。別の下位分類においてR1は水素である。
【0027】
本発明の別の実施形態においてR2は、水素、フッ素、塩素および臭素から選択される。1つの分類においてR2は水素および塩素から選択される。1つの下位分類においてR2は水素である。別の下位分類においてR2は塩素である。
【0028】
本発明の別の実施形態においてR3は、水素および直鎖または分枝状C1〜10アルキルから選択され、前記アルキル部分は、置換されていないか、ハロゲン、−CF3、−OCF3および−ORaによって置換されている。この実施形態の1つの分類においてR3は、置換されていないか、ハロゲン、−CF3、−OCF3および−ORaによって置換されている、直鎖または分枝状C1〜8アルキルである。この分類の1つの下位分類においてR3は、ORaによって置換された分枝状C3〜6アルキルから選択される。1つの下位分類においてR3は:
【0029】
【化28】
である。
【0030】
本発明の一実施形態においてRaは、C4〜6シクロアルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル−およびヘテロアリールから選択され、Raは、置換されていないか、1つまたは2つのRb置換基によって置換されていることがありうる。この実施形態の1つの分類においてRaは、フェニル、ベンジル、ピリジルおよびピリミジルから選択され、Raは、置換されていないか、Rb置換基によって置換されていることがありうる。下位分類においてRaはトリフルオロメチルによって置換されたピリジルである。別の下位分類においてRaは:
【0031】
【化29】
である。
【0032】
本発明の1つの実施形態においてそれぞれのRbは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メチル、シアノおよびトリフルオロメチルから独立に選択される。1つの分類においてそれぞれのRbは、クロロ、ヨード、メチル、シアノおよびトリフルオロメチルから独立に選択される。下位分類においてそれぞれのRbは、トリフルオロメチルである。
【0033】
本発明の1つの実施形態においてR4は、アリール、ヘテロアリールおよびC1〜10アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており;
R4は、アリール、ヘテロアリールおよびC1〜6アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されている。この実施形態の1つの分類においてR4は、フェニル、ピリジル、ピリミジル、およびC1〜6アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されている。この分類の1つの下位分類においてR4は、フェニルおよびピリジル、C3〜6アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRc置換基によって置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されている。別の下位分類においてR4は選択されたフェニルであり、前記フェニルは、置換されていないか、Rc置換基によって置換されている。別の下位分類においてR4は4−メチルフェニルである。
【0034】
本発明の1つの実施形態においてそれぞれのRcは、ハロゲン、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択される。この実施形態の1つの分類においてそれぞれのRcは、フルオロ、クロロ、メチル、およびトリフルオロメチルから独立に選択される。この実施形態の下位分類においてRcは、フルオロ、クロロおよびメチルから選択される。別の下位分類においてRcはメチルである。
【0035】
本発明の別の実施形態においてそれぞれのRdは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択される。この実施形態の1つの分類においてそれぞれのRdは、フルオロ、クロロおよびトリフルオロメチルから独立に選択される。この分類の1つの下位分類においてそれぞれのRdは、フルオロおよびクロロから独立に選択される。
【0036】
本発明の別の実施形態においてReは、ハロゲン、直鎖または分枝状C1〜10アルキル、アリール−C1〜6アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択され、アリールおよびヘテロアリール部分は、1つから3つのRc置換基によって、場合により置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRd部分によって置換されている。この実施形態の1つの分類においてReは、水素、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ベンジル、フェニルおよびピリジルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、1つから3つのRc置換基によって、場合により置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されている。この分類の1つの下位分類においてReは、水素、メチル、t−ブチル、ベンジルおよびフェニルから選択される。別の下位分類においてReは、水素またはメチルである。
【0037】
本発明の別の実施形態においてそれぞれのRfは、水素、直鎖または分枝状C1〜6アルキル、フェニル−C1〜6アルキル−から独立に選択され、アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており、前記フェニル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRc置換基によって置換されている。この実施形態の1つの分類においてそれぞれのRfは、水素、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、およびベンジルから独立に選択され、アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており、前記フェニル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRC置換基によって置換されている。この分類の1つの下位分類においてそれぞれのRfは、水素およびメチルから独立に選択される。
【0038】
本発明の1つの実施形態において塩基は無機塩基である。この実施形態の1つの分類において塩基は炭酸カリウムである。本発明の別の実施形態においてパラジウム触媒は、パラジウム原子を含有する化合物のいずれかである。この実施形態の1つの分類においてパラジウム触媒は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、およびビス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)から選択される。この分類の下位分類においてパラジウム触媒は、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)である。
【0039】
本発明の1つの実施形態においてパラジウム触媒は、ホスフィン配位子を含む。この実施形態の1つの分類においてホスフィン配位子はジホスフィン配位子である。この分類の1つの下位分類においてホスフィン配位子は、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセンから選択される。
【0040】
本発明の1つの実施形態において反応は、第3級アルコール溶媒、アレーン溶媒またはこれらの混合物において実行される。この実施形態の1つの分類において反応は第3級アルコール溶媒において実行される。この分類の1つの下位分類において溶媒はtert−アミルアルコールである。この実施形態の別の分類において反応は、第3級アルコール溶媒およびアレーン溶媒の混合物において実行される。この分類の下位分類において反応は、tert−アミルアルコールおよびトルエンの混合物において実行される。
【0041】
この反応は、広い温度範囲にわたって実行できる。1つの実施形態においてこの反応混合物は室温以上に加熱される。この実施形態の1つの分類において反応は、50℃と140℃との間に加熱される。この実施例の1つの下位分類において反応は、80℃から120℃の間に加熱される。この実施形態の別の下位分類において反応は、90℃から110℃の間に加熱される。
【0042】
同様に、この反応は、広い濃度範囲にわたって実行できる。
【0043】
さらに、本発明は、エナミド(II):
【0044】
【化30】
[式中、R1、R2、およびR3は上記で定義された通りである。]
を、アミド(I):
【0045】
【化31】
[式中、R1、R2、およびR3は上記で定義された通りである。]
へ、キラル触媒の存在下における水素ガス処理により、立体選択的に還元することに関する。
【0046】
エナミド(II)は、一般に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トリフルオロエタノール、THF、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、DMA、DMF、水およびこれらの溶媒の組合せから選択される溶媒に溶解される。この反応は、一般に、約5から200g/L溶媒の濃度において実行される。この反応は、0から100℃の間の温度において行われうる。水素ガスは、一般に、1気圧と100気圧(101.3kPaから10130kPaまで)との間の圧力において使用される。
【0047】
添加剤、例えば、酢酸、四フッ化ホウ酸、三フッ化酢酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、クエン酸またはルイス酸(例えば、BF3、BF3・溶媒、B(OMe)3、B(O−iPr)3、LiBF4、LiOTf、NaPF6、Cs2CO3、MgSO4、Sc(O−iPr)3、Cu(OTf)2、[[Cu(OTf)]2・ベンゼン]、Cu(COCF3)2・H2O、Zn(OTf)3、Sc(OTf3)、La(OTf)3、Mg(OTf)2、LiBF4(DME)3、K(BPh4)およびBEt3など)などは、反応混合物中において場合により使用できる。1つの実施形態においてこの添加剤は、四フッ化ホウ酸、三フッ化ホウ酸、BF3、BF3・IPAおよびBF3・MeOHから選択される。この実施形態の1つの分類においてこの添加剤は、BF3・IPAおよびBF3・MeOHから選択される。この添加剤は、0mol%と200mol%との間で有利に使用できる。
【0048】
キラル触媒は、金属前駆体、配位子および場合により助触媒を接触させることにより、その場で(in situ)形成できる。別法として、予め形成された触媒錯体が使用できる。
【0049】
キラル触媒がその場で形成される場合は、金属前駆体は、(COD)Ru(メタリル)2、[(COD)RhCl]2、(COD)2RhX、(NBD)2RhX、Rh(acac)(CO)2、Rh(エチレン)2(acac)、Rh(CO2)Cl2、RuCl2(COD)、Ru(Ar)X2、[(COD)IrCl]2および(COD)2IrX[式中、Xは、すべての場合に、Cl、Br、I、OTf、BF4、PF6、Sb6、ClO4から独立に選択され;Arは、ベンゼン基であり、置換されていないか、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの、直鎖または分枝状6C1〜6アルキル置換基によって置換されている。]から有利に選択される。本発明の1つの実施形態においてArは、置換されていないか、1つから6つのメチル基によって置換されているベンゼンである。本発明の1つの分類においてArは、ベンゼン、p−シメン、トルエン、ヘキサメチルベンゼン、メシチレンから選択される。本発明の1つの分類においてこの金属前駆体は、(COD)2RhBF4、(COD)2RhOTf、(NBD)2RhBF4、(NBD)2RhOTfおよび(COD)Ru(メタリル)2から選択される。本発明のこの分類の1つの下位分類においてこの金属前駆体は、(COD)2RhBF4、(COD)2RhOTf、(NBD)2RhBF4および(NBD)2RhOTfから選択される。いかなるキラルジホスフィンも配位子として有利に使用できる。特に、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジフェニルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−4−メトキシフェニルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−4−トリフルオロメチルフェニルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(R,S)−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−t−ブチルホスフィン、(−)−TMBTP、(R)−BINAP、(R)−tol−BINAP、(R)−xyl−BINAP、(R)−Hexaphemp、(R)−Synphosまたは(S)−xyl−Phanephosは、配位子として使用できる。本発明の1つの実施形態においてこの配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−1−ナフチルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(R,S)−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−t−ブチルホスフィン、(−)−TMBTP、(R)−hexaphemp、(R)−xyl−BINAPから選択される。この実施形態の1つの分類においてこの配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィンおよび(−)−TMBTPから選択できる。触媒活性剤が場合により使用できる。本発明の方法において有用な、特別な触媒活性剤には、四フッ化ホウ酸、酢酸、トリフリック酸、三フッ化酢酸、トルエンスルホン酸およびメタンスルホン酸が含まれる。本発明の1つの下位分類においてこの触媒活性剤は、四フッ化ホウ酸である。本発明の別の下位分類においてこの触媒活性剤は使用されない。
【0050】
予め形成された触媒錯体が使用される場合は、((ビスホスフィン)(COD)RhX)、(ビスホスフィン)(NBD)RhX)および(ビスホスフィン)RuX2が有利に使用される(Xは上記で定義された通りである。)。反応は、一般に、1から48時間にわたって実行される。特に、反応は、6から36時間にわたって実行できる。
【0051】
本発明の1つの実施形態においてR1はアミドである。この実施形態の1つの分類において溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2,2,2−三フッ化エタノール(「三フッ化エタノール」)、THFおよび1,2−ジクロロエタンから選択される。この分類の1つの下位分類においてこの溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよび三フッ化エタノールから選択される。この分類の別の下位分類においてこの溶媒はイソプロピルアルコールである。
【0052】
この実施形態の別の分類において水素の圧力は、1気圧と100気圧との間である。下位分類において水素の圧力は、5気圧と60気圧との間である。この分類の別の下位分類において水素の圧力は、20気圧と40気圧との間である。この分類のさらに別の下位分類において水素の圧力は、10気圧から40気圧である。この実施形態のさらに別の分類において添加剤は、四フッ化ホウ酸、三フッ化酢酸およびBF3・MeOHから選択される。この実施形態の1つの下位分類においてこの添加剤は、BF3・MeOHである。この添加剤は、3モル%と40モル%との間、好ましくは20から40モル%の間で有利に使用できる。
【0053】
この実施形態の別の分類において触媒は、予め形成された触媒錯体(−)−TMBTP(COD)RhBF4、または金属前駆体、配位子および場合により触媒活性剤を接触させることにより、その場で形成された触媒から選択される。この分類の1つの下位分類において金属前駆体は(COD)2RhBF4である。この分類の別の下位分類においてこの配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン、(R,S)−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−t−ブチルホスフィン、(−)−TMBTP、(R)−Hexaphempおよび(R)−xyl−BINAPから選択される。別の下位分類においてこの配位子は、(−)−TMBTPである。本発明の別の下位分類において触媒活性剤は、四フッ化ホウ酸である。本発明の別の下位分類において触媒活性剤は存在しない。
【0054】
この実施形態の別の分類において担体:触媒の比は、10から5000である。この分類の下位分類において担体:触媒の比は100から1000である。この分類の別の下位分類において担体:触媒の比は200から500である。この実施形態の別の分類において反応温度は周囲温度から90℃である。1つの下位分類において反応温度は20から50℃である。この分類の別の下位分類において反応温度は25から35℃である。この分類のさらに別の下位分類においてこの温度は35から65℃である。この実施形態の別の分類において反応は、18時間と24時間との間で行われる。本発明のさらに別の分類において反応は、50から150g/L溶媒の濃度で行われる。本発明の下位分類において80から120g/L溶媒の濃度が、有利に使用される。
【0055】
本発明の別の実施形態においてR1はシアノである。
【0056】
この実施形態の分類においてシアノエナミドIIが、メタノール、THFおよびジクロロエタンから選択される溶媒に溶解される。この分類の下位分類においてシアノエナミドIIが、ジクロロエタンに溶解される。
【0057】
この実施形態の1つの分類において水素の圧力は、20気圧と80気圧との間である。この分類の下位分類において水素の圧力は、30気圧と60気圧との間である。この実施形態の別の下位分類において添加剤は、存在しないかまたはBF3・MeOHである。この分類の下位分類においてこの添加剤は、反応混合物中に存在せず、使用されない。この添加剤は、0mol%と40mol%との間で有利に使用できるが、好ましくは、添加剤は存在しない(0mol%)。
【0058】
この実施形態の別の分類においてシアノエナミド用に選択された触媒は、予め形成された触媒錯体:(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン(COD)RhBF4、および金属前駆体、配位子および場合により触媒活性剤を接触させることによってその場で形成された触媒から選択される。この分類の1つの下位分類においてこの金属前駆体は、(NBD)2RhBF4である。この分類の別の下位分類においてこの配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(−)−TMBTPおよび(R)−Hexaphempから選択される。この分類のさらに別の下位分類においてこの配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィンである。別の下位分類においてこの触媒活性剤は、四フッ化ホウ酸である。本発明の別の下位分類においてこの触媒活性剤は存在しない。
【0059】
この実施形態の別の分類においてシアノエナミド反応における担体:触媒のモル比は、10から500である。この分類の下位分類において担体:触媒のモル比は20から100である。この分類の別の下位分類において担体:触媒のモル比は、30から50である。
【0060】
この実施形態の追加の分類においてシアノエナミド反応の反応温度は、50℃から90℃である。この分類の下位分類において反応温度は75℃から85℃である。別の分類においてシアノエナミド反応は、10から100g/L溶媒の濃度で行われる。本発明の下位分類において60〜100g/L溶媒の濃度が有利に使用される。
【0061】
本発明の別の実施形態は、無水および溶媒和N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチルー2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドを対象とする。
【0062】
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドの形態Bは、無水結晶形態である。この構造は、単結晶X線結晶学により決定された。この結晶は、三斜晶系であり、空間群はP1、格子定数はa=10.6199Å、b=11.058Å、c=12.299Å、α=112.476°、β=92.403°、およびγ=93.453°である。不斉構成単位内には、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドが2分子存在する。不斉構成単位内のこの2分子の、コンピュータによって作成された透視図が、図16に示されている。原子パラメータのリストは、表1に与えられている。
【0063】
【表1】
【0064】
形態Bの試料の粉末X線回折パターンは、図17に示されている。この回折パターンは、3.6、4.3、4.7、4.9、5.7および11.3Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。図18は、形態Bの試料の、固体フッ素−19MAS NMRスペクトルを示す。形態Bは、−58.7および−61.4ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。図19は、形態Bの試料の、固体炭素−13CPMAS NMRスペクトルを示す。形態Bは、164.6、137.1、111.3、23.6および16.9ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。
【0065】
さらに、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドは、さまざまな溶媒系、例えば、iPAc−ヘキサン、iPAc−シクロヘキサン、iPAc−メチルシクロヘキサン、iPAc−n−ヘキサン、iPAc−n−ヘプタン、トリフルオロトルエン−ペンタン−メチルシクロヘキサン、MTBE−ヘキサン、トルエン−ヘキサン、トルエン−イソ−オクタンおよびiPAc−イソ−オクタンなどと、溶媒和物を形成することができる。これらの溶媒和物は、類似の粉末X線回折パターンを示す。図20(タイプ1パターン)、図21(タイプ2パターン)および図22(タイプ3パターン)は、3つの代表的なパターンである。タイプ1パターンは、3.3、4.3、4.6、5.1および12.6Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。タイプ2パターンは、4.3、4.6、5.1、5.6および12.6Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。タイプ3パターンは、4.3、4.6、5.1、5.7および12.7Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。図23は、タイプ1溶媒和物試料の固体フッ素−19MAS NMRスペクトルを示す。タイプ1溶媒和物は、−59.9および−60.8ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。図24は、タイプ2溶媒和物試料の固体フッ素−19MAS NMRスペクトルを示す。タイプ2溶媒和物は、−59.8および−60.5ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。図25は、タイプ3溶媒和物試料の固体フッ素−19MAS NMRスペクトルを示す。タイプ3溶媒和物は、−60.5ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。図26は、タイプ1溶媒和物試料の固体炭素−13CPMAS NMRのスペクトルを示す。タイプ1溶媒和物は、164.1、142.3、112.5、26.6および18.6ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。図27は、タイプ2溶媒和物の固体炭素−13CPMAS NMRのスペクトルを示す。タイプ2溶媒和物は、48.7ppmの化学シフト値を有する特性信号に加えて、タイプ1溶媒和物と類似の化学シフト値を有する信号を示した。図28は、タイプ3溶媒和物試料の固体炭素−13CPMAS NMRのスペクトルを示す。タイプ3の溶媒和物は、143.6、140.3、25.6、29.7、24.1、および20.9ppmの化学シフト値を有する特性信号に加えて、タイプ1の溶媒和物と類似の化学シフト値を有する信号を示した。
【0066】
例示的合成スキームは、特定の第1級アミドIV(下記の化合物4)と構造式IIの化合物(下記の化合物3)との、パラジウムにより触媒されたカップリングによる、特定のエナミドII(下記の化合物5)の形成、ならびに引き続く前記エナミドII(下記の化合物5および6)の、対応するアミドI(それぞれ、下記の化合物7および8)への立体特異的還元の2つの経路を示す。化合物7は、薬剤として有用な化合物8、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドに変換される。
【0067】
【化32】
【0068】
出発アミド、化合物4は、対応する酸、化合物Aから調製できる。酸化合物Aは、WO03/077847に記載されている通りに、または当業者に知られているその他の手段によって、製造できる。酸、化合物Aは、当業者に知られている手順により、アミド、化合物4に変換できる。そのような1つの手順は、適切な溶媒中で、1つの実施形態においてはアセトニトリルなどの非プロトン性溶媒中で、塩化チオニルによって処理することにより酸塩化物を形成し、続いてアンモニアによって処理することによりアミドを形成することである。
【0069】
ビニルトシラート(3)は、対応するケトン(2)を、塩基、例えば任意のアルコキシド塩基など、特に、ナトリウムt−ブトキシドおよびp−トルエンスルホニル無水物により、溶媒中で、特にN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンまたはDMF中で、処理することによって形成できる。スキームIにおいて図示されている特別な例においてベンゾニトリル置換されたケトン(2)は、対応するフェニルブロミド(1)を、DMFまたはDMACなどの適切な極性非プロトン溶媒中で、パラジウム触媒および還元剤、例えばジエチル亜鉛などの存在下において、シアン化亜鉛処理することにより、それだけで形成される。ケトンのフェニル基上の、他のR1およびR2置換基は、J.Organometallic Chem.689(2004)、pp.4576〜4583において開示されているカリウムヘキサシアノフェライト(II)を使用することを含めて、当業者に知られている手順に従って合成される。
【0070】
ビニルトシラート(3)は、塩基、特に炭酸カリウムなどの無機塩基、およびパラジウム触媒、特にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)および適切なホスフィン配位子、特に1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンまたは1,1’−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセンなどのジホスフィン配位子の存在下で、適切な溶媒、特にt−アミルアルコールなどの第3級アルコール、またはトルエンなどのアレーン、または(tert−アミルアルコールとトルエンとの混合物などの)第3級アルコールとアレーンとの混合物中で、アミド(4)によって処理されて、シアノエナミド(5)を形成する。
【0071】
シアノエナミド(5)は、所望のシアノアミド(8)に、直接、立体特異的に還元できるか(経路A)、またはシアノエナミド(5)は、アミド−エナミド(6)へまず変換され、対応するキラルアミド(7)へ立体特異的に還元され、次いで、シアノ−アミド(8)へ変換できる(経路B)。
【0072】
経路Aにおいてシアノエナミド(5)は、不斉触媒の存在下で水素によって処理され、所望のシアノ−アミド生成物(8)を形成する。シアノアミドは、適切な溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トリフルオロエタノール、THF、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、DMA、DMF、水またはこれらの溶媒の組合せなど、特にメタノール、THFまたはトリクロロエタン、および最も特別にはジクロロエタンに溶解される。反応は、一般に、約5から200g/L溶媒、特に10から100g/L溶媒または60から100g/L溶媒の濃度で実行される。水素ガスは、一般に、1気圧と100気圧、特に20気圧と80気圧、より特別には30気圧と60気圧の間で使用される。添加剤、例えば酢酸、四フッ化ホウ酸、三フッ化酢酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、クエン酸またはルイス酸(例えばBF3・溶媒、B(OMe)3、B(O−iPr)3、LiBF4、LiOTf、NaPF6、Cs2CO3、MgSO4、Sc(O−iPr)3、Cu(OTf)2、[[Cu(OTf)]2・ベンゼン]、Cu(COCF3)2・H2O、Zn(OTf)3、Sc(OTf3)、La(OTf)3、Mg(OTf)2、LiBF4(DME)3、K(BPh4)、およびBEt3、特にBF3・MeOH)などは、反応混合物中において場合により使用できる。1つの例においてこの添加剤は全く使用されない。この添加剤は、0mol%と200mol%の間で、特に0mol%と40mol%の間で有利に使用できるものであり、好ましくは、この添加剤は存在していない(0mol%)。不斉触媒は、予め形成された触媒錯体、特に(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン(COD)RhBF4であることができ、または不斉触媒錯体は、(NBD)2RhBF4などの金属前駆体、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(−)−TMBTPまたは(R)−Hexaphempなどの配位子および場合により四フッ化ホウ酸などの触媒活性剤を接触させることによりその場で形成できる。触媒の担体に対するモル比は、10から500、特に20から100、最も特別には30から50である。
【0073】
経路Bにおいてシアノ−エナミド(5)は、当業者によく知られた方法によって、対応するアミド−エナミド(6)に変換される。特に、シアノ−アミド(5)は、DMSOなどの適切な溶媒中で、塩基、特に炭酸カリウムなどの無機塩基の存在下において過酸化水素水によって処理される。得られたアミド−エナミド(6)は、不斉触媒の存在下において水素によって処理され、所望の不斉アミド生成物(7)を形成する。アミド−エナミドは、適切な溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トリフルオロエタノール、THF、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、DMA、DMF、水またはこれらの溶媒の組合せなど、特にメタノール、エタノール、イソプロパノールまたはトリフルオロエタノール、および最も特別にはイソプロパノールに溶解される。反応は、一般に、溶媒1リットル当たり、アミド−エナミド(6)が約5から300gの濃度において実行される。1つの実施形態において反応は、溶媒1リットル当たり、アミド−エナミド(6)が5から200g、特に、10から100g/L溶媒、または60から100g/L溶媒の状態で実行される。別の実施形態において反応は、10から250g/L溶媒または150から250g/Lの状態で実行される。水素ガスは、一般に、1気圧と100気圧の間で、1つの実施形態においては5気圧と40気圧の間で、別の実施形態においては20気圧と40気圧の間で使用される。添加剤、例えば、酢酸、四フッ化ホウ酸、三フッ化酢酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、クエン酸またはルイス酸(例えば、BF3・溶媒、B(OMe)3、B(O−iPr)3、LiBF4、LiOTf、NaPF6、Cs2CO3、MgSO4、Sc(O−iPr)3、Cu(OTf)2、[[Cu(OTf)]2・ベンゼン]、Cu(COCF3)2・H2O、Zn(OTf)3、Sc(OTf3)、La(OTf)3、Mg(OTf)2、LiBF4(DME)3、K(BPh4)およびBEt3など)、特に四フッ化ホウ酸、三フッ化酢酸およびBF3・MeOH、より特別にはBF3・MeOHが、反応混合物中において場合により使用できる。添加剤は、0mol%と200mol%の間で、特に3mol%と40mol%の間で、好ましくは20〜40mol%の間で有利に使用できる。不斉触媒は、予め形成された触媒錯体、特に(−)−TMBTP(COD)RhBF4でありうるか、または不斉触媒錯体は、(COD)2RhBF4または(NBD)2RhBF4などの金属前駆体、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−ホスフィン、(R,S)−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−t−ブチルホスフィン、(−)−TMBTP、(R)−Hexaphermpおよび(R)−xyl−BINAP、特に四フッ化ホウ酸などの配位子、および四フッ化ホウ酸などの触媒活性剤を接触させることによりその場で形成できる。触媒の担体に対するモル比は、10から5000である。1つの実施形態において触媒の担体に対するモル比は、200から2000、特に300から1000である。別の実施形態において触媒の担体に対するモル比は、200から500、最も特別には30から50である。
【0074】
新規な方法を利用する代表的な実験手順が、以下に詳細に述べられる。これらの手順は、単なる例示であり、本発明の新規な方法を限定するものであると解釈されるべきではない。
【0075】
略号:Ac:アセチル;Acac:アセトアセチル;(COD):シクロオクタジエン;DARCO KB−B:炭素樹脂の商品名;dipf:ビス−1,1’−ジイソプロピルホスフィノフェロセン;DMAC:ジメチルアセトアミド;DMA:N,N−ジメチルアセトアミド;DME:1,2−ジメトキシエタン;DMF:ジメチルホルムアミド;dppb:1,4−ジフェニルホスフィノブタン;ee:鏡像体過剰率;in:インチ;IPA:イソプロピルアルコール;IPAc:酢酸イソプロピル;LCAP:液体クロマトグラフィー検定パーセント;LHMDS:リチウムビス(トリメチルシリル)アミド;Me:メチル;MTBE:メチルtert−ブチルエーテル;NBD:ノルボルナジエン;Pd2dba3:ビス−パラジウムトリ(ジベンジリデンアセトン);RT:室温;SOLKA FLOC:濾過助剤;tBu:第3級ブチル;TEA:トリエチルアミン;Tf:トリフルオロメチルスルホニル(トリフラート);THF:テトラヒドロフラン;TMBTP:テトラメチルビスジフェニルホスフィノ−チオフェン;Ts:p−トルエンスルホニル(トシル)。
【実施例1】
【0076】
2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド
【0077】
【化33】
【0078】
オーバーヘッドスターラ、窒素入口および熱電対を装備した12Lの三ツ口分液漏斗内に、MeCN(6.5L)中の2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノン酸(772g)の溶液を調製した。塩化チオニル(316mL)を、30分にわたって添加した。得られた溶液を、室温で2時間撹拌した。オーバーヘッドスターラ、窒素入口および熱電対を装備した、分離22L三ツ口丸底フラスコに、30%NH4OH(aq)(5L)を投入し、−20℃に冷却した。分液漏斗からの塩酸溶液を、内部反応温度が、2時間にわたって−15から−20℃に維持されるような速度で、NH4OHの溶液に添加した。添加が完了した後、得られたスラリを室温まで暖め、さらに1時間撹拌した。反応混合物を、トルエン(15L)および水(15L)を収容している50Lの抽出器に移し、層を分離した。有機層を、NaHCO3の飽和水溶液(5L)により、次いで、水(5L)により洗浄した。有機層を、12Lの四つ口丸底フラスコへ移し、50℃における真空下で約2Lの体積まで濃縮した。
【0079】
濃縮の終わり近くで、固体が析出し始め、バッチを78℃に加熱して固体のすべてを溶解させた。ヘプタン(5L)を添加し、バッチがゆっくりと冷却できるようにして、結晶性固体を生じさせた。スラリを濾過し、濾過ケーキを、n−ヘプタン(1L)により洗浄した。得られた固体を、窒素気流下で乾燥し、表題の化合物626gを得た(99.6LCAP、98.0wt%、81%の単離収量)。
【実施例2】
【0080】
3−[1−(4−クロロベンジル)−2−オキソプロピル]ベンゾニトリル
【0081】
【化34】
【0082】
ステップA:触媒調製
熱電対、オーバーヘッドスターラ、ゴム隔壁、N2入口、およびバブラに連結されたガスアダプタを装備した、四つ口の12L丸底フラスコに、酢酸パラジウム(12.8g)、トリ−o−トリルホスフィン(69.9g)、およびジメチルホルムアミド(2.8L)を投入した。周囲温度で20分間、溶液をN2で通気した。次いで、フラスコを加熱マントル上で56℃に加熱し、混合物を60℃で20分間撹拌した。トルエンに溶解させたジエチル亜鉛溶液(1.1M、78.0mL)を、注入器を介して添加した。得られた懸濁液を56℃で45分間撹拌した。
【0083】
ステップB:シアン化反応
機械的スターラ、熱電対、窒素入口、およびバブラに連結されたガスアダプタを装備した、四つ口の12L丸底フラスコに、3−(3−ブロモフェニル)−4−(4−クロロフェニル)ブタン−2−オン、シアン化亜鉛(201g)、およびジメチルホルムアミド(4.0L)を投入した。懸濁液を、室温で30分間、加熱マントルを用いて56℃で1時間、窒素で通気した。(56℃の)ブロモケトン/Zn(CN)2スラリを、(56℃の)触媒溶液に添加した。移し替えが完了した後、反応混合物を、N2の下で56℃で4.5時間撹拌した。得られた懸濁液を、氷浴内で冷却し、温度を30℃以下に維持しながら、30%水酸化アンモニウム水溶液(971mL)を、5分間かけて添加した。懸濁液を室温に暖め、60分間撹拌し、次いで、SOLKA FLOCのパッド(pad)を用いて濾過し、トルエン(5L)により溶出させた。濾液を、20%水酸化アンモニウム水溶液(6.9L)およびトルエン5Lを収容している抽出器に添加した。二相の混合物を、室温で15分間撹拌し、分離した。有機層を、食塩水(1:1飽和NaCl:水)7Lで、次いで水7Lで洗浄した。有機相を、オーバーヘッドスターラ、熱電対、機械的スターラを装備し、バッチ濃縮器に連結された、12Lの四つ口フラスコに移した。バッチを、15〜38℃において真空下で1.5Lの体積に濃縮し、次いで、ヘプタン(850mL)を添加した。
【0084】
試料をこの時点で取り出し、ガラス瓶(vial)内で結晶化させた。この種試料をフラスコへ戻して投入し、結晶化のための種床(seed bed)を作った。種床ができた後(〜30分)、ヘプタン6.5Lを40分かけて添加し、バッチを0℃に冷却した。バッチを濾過し、濾過ケーキをヘプタン(2L)によって洗浄した。得られた固体を、窒素気流下で乾燥し、表題の化合物755gを得た(98.9面積%、>99重量%、93%単離収量)。
XRPD:図1は、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置(Philips Analytical X’ Pert PRO X−ray Diffraction System)により作成された、表題の化合物の粉末X線回折パターン(XRPD)を示す。この表題の化合物は、7.4、4.6、4.0、3.8、3.5、3.4Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示した。
熱分析(TGおよびDSC):表題の化合物の熱重量分析(TG)データを、窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得て、図2に示した。0.07%の重量損失を、44℃から100℃までで観測した。示差走査熱量測定(DSC)データを、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集した。この表題の化合物のDSC曲線は図3に示されており、69.3℃の外挿された開始温度、71.6℃のピーク温度、および104J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【実施例3】
【0085】
3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルホネート
【0086】
【化35】
【0087】
機械的スターラ、熱電対、およびN2入口を装備した、四つ口の12L丸底フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド(7.2L)を、引き続き3[1−(4−クロロベンジル)−2−オキソプロピル]ベンゾニトリル(実施例2、744g)を投入し、次いで、反応混合物を、室温で30分間窒素により通気した。
混合物を−10℃に冷却し、NaOtBu(265g)を固体として一度に、撹拌しながら添加した(tmax=−2℃)。溶液を撹拌しながら、発熱が停止するまで冷却すると、温度は下がり始めた(約2分)。冷却バスを除去し、反応物を室温まで暖め、次いで1時間撹拌した。混合物を−20℃まで冷却し、温度を−5℃未満に維持しながら、p−トルエンスルホン酸無水物(Ts2O、893g)を、二度に分けて固体として、撹拌しながら添加した(tmax=−8℃)。混合物を−10℃まで冷却し直し、1時間撹拌した。反応を、1M NaHCO3(1.9L)によって停止させ、IPAcを15Lおよび水を13L収容している50Lの抽出器へ移した。層は分離され、有機層を7.5Lの水で2回洗浄した。有機層を、55℃における弱い真空下(25in Hg:水銀柱25インチ)において、約2Lまで濃縮した。2Lの体積に到達すると、バッチが結晶化を始めたので、真空を止め、フラスコを73℃に加熱して、均一な溶液を生成した。混合物をゆっくりと室温まで冷却するに任せながら、ヘプタン(6.6L)を添加した。得られたスラリを室温で1時間熟成させ、次いで濾過した。濾過ケーキを3Lのヘプタンで洗浄し、窒素気流下で乾燥すると、表題の化合物974gを生じた(>99面積%、>99重量%、85%単離収量)。
XRPD:図4は、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、表題の化合物の粉末X線回折パターンを示す。この表題の化合物は、9.3、8.1、6.6、5.7、4.1、3.4Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示した。
熱分析(TGおよびDSC):表題の化合物の熱重量分析(TG)データを、窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得て、図5に示した。0.17%の重量損失を、85℃から148℃までで観測した。示差走査熱量測定(DSC)データを、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集した。この表題の化合物のDSC曲線は図6に示されており、122.4℃の外挿された開始温度、125.2℃のピーク温度、および87J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【実施例4】
【0088】
N[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミドの調製1
【0089】
【化36】
【0090】
三ツ口の3L丸底フラスコに、tert−アミルアルコール(2.4L)を投入した。溶液を窒素ガスで2時間通気した。機械的スターラ、還流凝縮器および還流凝縮器の上に窒素/真空アダプタを装備した三ツ口の5L丸底フラスコに、Pd2dba3(27.5g)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(51.2g)、2−メチル−2{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド(313g)、3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルホネート(526g)および炭酸カリウム(332g)を投入した。フラスコを密閉し、排気し、窒素を再投入した。tert−アミルアルコール(2.4L)を反応フラスコに添加し、次いで、100℃に加熱し、100℃で18時間撹拌した。得られた懸濁液を25℃に冷却し、機械的スターラを装備した四つ口の22L丸底フラスコに移した。バッチを、MTBE7.2Lによって希釈し、次いで、DARCO KB−B(登録商標)(250g)を混合物に投入した。得られた混合物を、室温で2時間撹拌し、次いで、SOLKA FLOCのパッドの上で濾過した。濾過ケーキを、MTBE 7Lによって洗浄した。バッチを、オーバーヘッドスターラおよび熱電対を装備した、四つ口の12L丸底フラスコへ真空輸送した。バッチを、10〜20℃で濃縮して、すべてのMTBEを除去し、次いで、30〜40℃で、残りのt−アミルアルコールの体積を、約1.5Lに縮小させた。ヘプタン(5L)を約30分にわたって添加し、バッチを20℃に冷却した。濾過ケーキを、ヘプタン−MTBE(10:1)を2L使用して洗浄し、窒素気流下で乾燥し、表題の化合物553gを得た。
XRPD:図7は、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、表題の化合物の粉末X線回折パターンを示す。この表題の化合物は、7.6、5.7、5.3、5.1、4.6、4.1Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示した。
熱分析(TGおよびDSC):中間生成物シアノエナミドの熱重量分析(TG)データを、窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得て、図8に示した。0.06%の重量損失を、83℃から134℃までで観測した。示差走査熱量測定(DSC)データを、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集した。中間生成物シアノエナミドのDSC曲線は図9に示されており、124.4℃の外挿された開始温度、126.4℃のピーク温度、および80J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【実施例5】
【0091】
N[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド:調製2
【0092】
【化37】
【0093】
250mLの三ツ口丸底フラスコに、第1のネックの上に還流凝縮器を、中間のネックの上にオーバーヘッドスターラを装着した。窒素/真空入口アダプタを還流凝縮器の上に取り付けた。すべてのガラスジョイントに、ダウコーニングの高真空グリスを塗った。このフラスコに、Pd2dba3(0.687g)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(1.28g)、2−メチル−2{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド(7.82g)、3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルホネート(13.1g)および炭酸カリウム(4.15g)を投入し、フラスコの第3のネックの上でゴム隔壁によって蓋を被せ、排気し、窒素を再投入した。tert−アミルアルコール(60mL)を、注入器を介して添加した。テフロン(TEFLON)で被覆した熱電対を、第3のネックの上の隔壁に穴を開けることによって挿入し、この穴を、少量のダウコーニングの高真空グリスにより密閉した。撹拌および加熱(油浴)を開始した。反応混合物を、100℃において18時間、150rpmで撹拌し、この時点で、HPLC分析は、完全に変換されていることを示した。次いで、反応混合物をMTBE(180mL)によって希釈し、DARCO KB−B(6.0g)と共に、空気を排除することなく2時間撹拌し、SOLKA FLOCを用いて濾過し、MTBE(180mL)によって溶出した。濾液をHPLCにより分析すると、92%検定収量、7%アミド出発原料、および3%転位アミドであった。次いで、黄色の濾液を50mLの体積に濃縮した。30分かけてヘプタン(150mL)を添加することにより生成物を沈殿させ、同時に混合物を磁気的に撹拌した。室温で1時間撹拌した後、懸濁液を濾過し、ケーキを10:1ヘプタン−MTBE(100mL)によって洗浄した結果、母液は4.4重量%損失した。真空下で乾燥した後、青い黄色の粉末としての生成物13.6gを、87%単離収量、98.3重量%純度の状態で得、dppb酸化物純度は1.3%LCAPであった。
【実施例6】
【0094】
N−[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド:調製3
【0095】
【化38】
【0096】
100mLの24/40ジョイント三ツ口丸底フラスコに、第1のネックの上に還流凝縮器を、中間のネックの上にオーバーヘッドスターラを装着した。窒素/真空入口アダプタを還流凝縮器の上に取り付けた。すべてのガラスジョイントに、ダウコーニングの高真空グリスを塗った。このフラスコに、t−AmOH(24mL)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(0.512g)、2−メチル−2{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド(3.13g)、3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルホネート(5.26g)および炭酸カリウム(3.31g)を投入した。容器の上部空間を、窒素によってパージし(凝縮器の上に入口、フラスコの第3のネックの上に出口)、同時に50rpmで1時間撹拌した。
【0097】
分離した50mLの丸底フラスコに、Pd2dba3(0.275g)およびトルエン(12mL)を投入し、フラスコの上部空間を、窒素をゆっくりと流してパージし、同時に懸濁液を、室温で30分間磁気的に撹拌した。
【0098】
第1フラスコの不活性化が完了した後、第1フラスコの第3のネックの上の窒素出口アダプタを、ゴムの隔壁で置き換えた。第2フラスコからの触媒懸濁液を、注入器を介して、第1フラスコに添加した。テフロン(TEFLON)で被覆した熱電対を、第1フラスコの第3のネックの上の隔壁に穴を開けることによって挿入し、この穴を、少量のダウコーニングの高真空グリスにより密閉した。撹拌および加熱(油浴)を開始した。反応混合物を、100℃において16時間、150rpmで撹拌し、この時点におけるHPLC分析は、完全に変換されていることを示した。次いで、反応混合物を、MTBE(75mL)を使用して200mLの丸底フラスコへ移し、DARCO KB−B(2.6g)と共に空気を排除することなく3時間撹拌し、SOLKA FLOCを用いて濾過し、MTBE(75mL)によって溶出した。濾液をHPLCにより分析すると、95%検定収量、4%アミド出発原料、および2%転位アミドであった。黄色の濾液を20mLの体積に濃縮し、10分かけてヘプタン(60mL)を添加することにより生成物を沈殿させ、同時に混合物を磁気的に撹拌した。室温で3時間撹拌した後、懸濁液を濾過し、ケーキを10:1ヘプタン−MTBE(50mL)によって洗浄した結果、母液は3.3重量%損失した。真空下で乾燥した後、青い黄色の粉末としての生成物5.63gを、91%単離収量、99.2重量%純度の状態で得、dppb酸化物純度は0.45%LCAPであった。
【実施例7】
【0099】
3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド
【0100】
【化39】
【0101】
オーバーヘッドスターラ、熱電対および窒素入口を装備した、5Lの三ツ口丸底フラスコに、実施例4のシアノエナミド、N[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド524g、およびK2CO3112gを添加した。DMSO(2.7L)を投入し、容器を室温の水浴中に浸漬した。過酸化水素溶液(30%水溶液165mL)を、温度が決して25℃を超えないようにして、反応器にゆっくり添加した。添加が完了した後、反応物を1時間熟成させた。バッチを酢酸イソプロピル1Lによって希釈し、SOLKA FLOCの床の上で濾過した。床を酢酸イソプロピル4.5Lにより洗浄し、得られた溶液を、水5.5Lを収容している50Lの抽出器へ移した。層は分離され、有機層を、水3.1Lによって2回洗浄し、5Lに濃縮し、溶媒を、−60℃において5Lのトルエンに切り替えた。溶媒の切り替えが完了すると、ヘプタン500mLを添加し、混合物を20℃に冷却した。バッチを、20℃で30分熟成させ、次いで濾過し、トルエン1Lにより洗浄した。得られた固体を、窒素を流しながら一晩乾燥し、表題の化合物(99.4LCAP、98.0重量%、0.02%dppd酸化物、512g検定)522gを得た。
XRPD:図10は、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、表題の化合物の粉末X線回折パターンを示す。この表題の化合物は、6.2、5.9、5.2、4.6、4.2、3.9Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示した。
熱分析(TGおよびDSC):表題の化合物の熱重量分析(TG)データを、窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得て、図11に示した。0.17%の重量損失を、99℃から163℃までで観測した。示差走査熱量測定(DSC)データを、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集した。表題の化合物のDSC曲線は図12に示されており、151.1℃の外挿された開始温度、153.9℃のピーク温度、および91J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【実施例8】
【0102】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド:調製1
【0103】
【化40】
【0104】
ステップA:触媒の調製
N2を充満させたグローブボックス内で、(−)−TMBTP2.83gを、撹拌子を収容している0.5Lの瓶に添加した。(COD)2RhBF4(1.85g)を同じ瓶に添加し、次いでメタノール(360mL)を添加した。得られた溶液を、撹拌しながら1時間熟成させた。BF3−MeOH(41.2g、MeOH中で12重量%、4.94gBF3)を触媒溶液に添加し、得られた混合物を、1−Lのステンレス鋼ボンベに添加した。MeOH50mLを使用して、混合物をボンベにすすぎ入れた。イソプロパノール(200mL)を、ボンベのすすぎチャンバに投入し、次いで、ボンベの各チャンバを、グローブボックスから取り出す前に、密閉した。
【0105】
ステップB:水素化
3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド(486g、実施例7)を、5Lの瓶に投入し、イソプロパノール(3.3L)を瓶に添加してスラリを製造した。得られたスラリを、パイプラインを通して2ガロンのステンレス鋼オートクレーブへ真空輸送した。5−Lの瓶をイソプロパノール1Lですすぎ洗いし、すすぎ液体も、また、2ガロンのオートクレーブへ移した。オートクレーブをN2(5x)により脱ガスし、部分減圧下に置いた。触媒ボンベを、(N2によりフラッシングした)可撓性のポリエチレン配管を介してオートクレーブに連結し、触媒溶液をオートクレーブに引き入れ、次いで、すすぎチャンバからのイソプロパノール洗浄液を引き入れた。オートクレーブを密閉し、N2パージにより3回脱ガスし、H2パージにより3回脱ガスし、150psiまで加圧した。スターラを始動させ、温度を40℃に上げた。反応物を、150psiにおいて、40℃で18時間熟成させた。温度を室温に下げ、得られた溶液をポリエチレンの壺に移し、鏡像体過剰率および純度を検定した(表題の化合物475.7gの検定、98%検定収量、99.6LCAP、92.1%鏡像体過剰率)。
【実施例9】
【0106】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド:調製2
【0107】
【化41】
【0108】
ステップA:触媒の調製
注記:この実験において脱ガスした溶媒のみを使用し、何を投入するにしてもそれに先立って、シュレンクフラスコおよびオートクレーブを、アルゴンガスの雰囲気下に置いた。(COD)2RhOTf(23.41mg、0.05mmol)および29.95mg(0.0525mmol)(R,S)−((ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリル−ホスフィンを、20mLシュレンクフラスコに入れた。引き続き、2,2,2−トリフルオロエタノール10mLを添加し、反応混合物を60℃で1時間撹拌した。
【0109】
ステップB:水素化
3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド(26.6g、50.0mmol)を、250mLのシュレンクフラスコに入れ、2,2,2−トリフルオロエタノール(90mL)を添加した。このスラリを、均一な溶液を得るまで撹拌した。この溶液を、カニューレを介して300mLのステンレス鋼オートクレーブに移し、次いで、触媒溶液を移した。オートクレーブを密閉し、水素ガスによってパージし(3サイクル140ゲージpsi/14ゲージpsi)、反応器を60℃に加熱した。20分の後、圧力を150ゲージpsiH2に設定し、撹拌を開始した。反応物を16時間熟成させた。温度を室温まで下げ、水素を除去した。得られた溶液を、オートクレーブから取り出し、鏡像体過剰率および純度を検定した(表題の化合物25.7gの検定、96%検定収量、99.8LCAP、95.3%の鏡像体過剰率)。
【実施例10】
【0110】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド:調製3
【0111】
【化42】
【0112】
ステップA:触媒の調製
注記:この実験において脱ガスした溶媒のみを使用し、何を投入するにしてもそれに先立って、シュレンクフラスコおよびオートクレーブを、アルゴンガスの雰囲気下に置いた。(NBD)2RhBF4(18.7mg)および(R,S)−((ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリル−ホスフィン(29.95mg)を、20mLのシュレンクフラスコに入れた。引き続き、2,2,2−トリフルオロエタノール10mLを添加し、反応混合物を、室温で10分間撹拌した。
【0113】
ステップB:水素化
3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド(26.6g)を、250mLのシュレンクフラスコに入れ、2,2,2−トリフルオロエタノール(90mL)を添加した。このスラリを、均一な溶液を得るまで撹拌した。この溶液を、カニューレを介して300mLのステンレス鋼オートクレーブに移し、次いで、触媒溶液を移した。オートクレーブを密閉し、水素ガスによってパージし(3サイクル140ゲージpsi/14ゲージpsi)、反応器を60℃に加熱した。20分の後、圧力を150ゲージpsiH2に設定し、撹拌を開始した。反応物を17時間熟成させた。温度を室温まで下げ、水素を除去した。得られた溶液を、オートクレーブから取り出し、鏡像体過剰率および純度を検定した(表題の化合物23.9gの検定、90%検定収量、99.8LCAP、95.3%鏡像体過剰率)。
【0114】
ステップC:単離手順
不斉アミド7の2.68g(5.02mmol)のTFE溶液を、39℃、75mbarにおいて、約6.4gまたは1kg/Lに濃縮した。MTBE85.25mLを添加し、40〜45℃および450トルにおいて一定の体積で蒸留し、余分のTFEを除去した。TFEの最終濃度は、1.47重量%であった。ECOSORB C−941を添加し(0.271g)、溶液を40℃に加熱して20.75時間熟成させた。スラリを、SOLKA FLOCの上で濾過し、濾液を50%過飽和(46℃、365mbar)に濃縮した。溶液に、不斉アミド13.8mgの種晶を入れ(この時点における水の濃度は816ppm−重量基準)、20〜25℃で18時間熟成させた。総量が33.09mLのn−ヘプタンを16時間かけて添加し、スラリを20〜25℃で5時間熟成させた。追加のn−ヘプタン68mLを、20〜25℃で8時間かけて添加し、1時間熟成させた。スラリを濾過し、20〜25℃において、5:1n−ヘプタン/MTBE、40mLによって洗浄した。固体を、真空オーブン内において45℃および0.1in Hgで、17.75時間乾燥し、無水不斉アミドを得た(1.95g、73%収量、99.8%鏡像体過剰率、<0.1%のMTBE、TFEおよびn−ヘプタン、10ppmRh)。
XRPD:線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、表題の化合物の粉末X線回折パターン。不斉アミド7の無水結晶形態は、8.2、7.4、6.0、5.4、4.5、3.6Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示した。
熱分析(TGおよびDSC):不斉アミド7の無水結晶形態の熱重量分析(TG)データを、窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得た。0.14%の重量損失を、33℃から151℃までで観測した。示差走査熱量測定(DSC)データを、囲いのないパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集した。不斉アミド7の無水結晶形態のDSC曲線は、144.4℃の外挿された開始温度、148.5℃のピーク温度、および50J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【実施例11】
【0115】
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド:経路B
【0116】
【化43】
【0117】
実施例10による粗製水素化溶液の溶媒を、イソプロパノール4LからDMF約1Lへ切り替えた(40℃、30mm Hg)。その結果得られた、3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例10)470gをDMFに溶解した溶液を、機械的スターラ、熱電対および2Lの添加漏斗を装備した、12Lの四つ口丸底フラスコへ移した。塩化シアヌル(103g)をMTBE2L中に懸濁させ、得られたスラリを、2Lの添加漏斗を介し、約10分間にわたって反応物へ投入した。反応混合物を、撹拌しながら1時間熟成させた。バッチを10℃に冷却し、MTBE3Lで希釈した。温度を20℃未満に維持しながら、水2Lおよび飽和NaHCO32Lを反応物に添加した。得られたスラリを、MTBE3L、水3L、および飽和NaHCO33Lを収容している50Lの抽出器へ移した。追加の水12Lをバッチに添加し、層を安定させた。有機層を、水3Lで2回洗浄した。有機層の検定結果は、>99%検定収量である。
【0118】
エコソーブ(Ecosorb)処理/半溶媒和物単離:有機層は、〜11Lの体積を維持しながら、35℃、17in Hgにおいて共沸混合物となり、KFが219(特に500)になる。次いで、エコソーブC941を320g使用して、バッチを処理した。バッチを50℃で4時間熟成させ、次いで、SOLKA FLOCのパッドの上で濾過し、MTBE6Lで洗浄した。得られた濾液を22Lの容器に再投入し、11Lの体積に濃縮し、エコソーブC941を116g使用して再処理した。このスラリを、SOLKA FLOCの床の上で濾過し、MTBE6Lで洗浄した。得られた無色のMTBE層を、1ミクロンのインラインフィルタを通して、オーバーヘッドスターラおよび熱電対を装備した12Lの四つ口丸底フラスコへ移し、17in Hg、35℃において約2Lの体積に濃縮した。バッチを室温に冷却し、試料を除去して種床を作った。試料が結晶化してから、フラスコに戻し、バッチを30分間熟成させ、大きな種床を作った。単離した固体を、窒素気流上で乾燥させ、表題の化合物413.4gを半溶媒和物として得た(92.1%の鏡像体過剰率、94.6重量%の表題生成物、99.8面積%、(0.08面積%のメチルエステル)、7由来の86%単離収量)。
【実施例12】
【0119】
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド:経路B
【0120】
【化44】
【0121】
オーバーヘッドスターラおよび熱電対を装備した、三ツ口の2L丸底フラスコに、DMF(100mL)、MTBE(250mL)および塩化シアヌル(12.95g)を添加した。得られた溶液を2時間熟成させた。DMF(50mL)およびMTBE(92mL)中の3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例10、56.50g、88.5重量%、50g検定)の溶液を、約45分かけてフラスコに添加した。反応物を60分間熟成させ、MTBE(400mL)を添加し、溶液を0℃に冷却した。NH4Clの10%水溶液(500mL)を、温度を10℃未満に維持しながら、添加した。混合物を30分間熟成させ、層を安定させた。有機層を、水(500mL)で2回洗浄し、得られた有機溶液を、MTBEと共沸させ、水分濃度を<500ppmに低減させた。エコソーブC−941(40g)を乾燥有機溶液に添加し、混合物を40℃で一晩熟成させた。混合物を室温に冷却し、濾過し、MTBE(200mL)で洗浄した。溶液を、225〜250g/kg溶液に濃縮し、半溶媒和物50mgの種晶を入れ、室温で一晩熟成させた。N−ヘプタン(935mL)を、6時間にわたって投入し、スラリを0℃に冷却した。1時間熟成させた後、バッチを濾過し、n−ヘプタン(235mL)で洗浄すると、表題の化合物43.0gを半溶媒和物として得た(92.1%の鏡像体過剰率、94.6重量%の生成物、99.8%の面積%、83%の単離収量)。
【実施例13】
【0122】
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド多形Bの短離
オーバーヘッドスターラおよび熱電対を装備した、3Lの三ツ口丸底フラスコにおいて、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド半溶媒和物350gを、総量が1.82Lの、2:3酢酸イソプロピル:ヘプタンに懸濁させた。混合物を、1時間熟成させ、次いで、SOLKA FLOCの小さな床の上で濾過し、溶液を濾過床から完全に引き出し、母液の損失を最小限にした。濾過ケーキを、1Lの1:3IPAc:ヘプタンにより洗浄して分離フラスコ内に入れた。2つの濾液を一緒にした(一緒にした鏡像体過剰率=98.5%)。これらの2つの溶液を、1ミクロンのインラインフィルタを通して、22Lの四つ口丸底フラスコへ真空輸送した。このバッチを蒸気ポット上で45℃に加熱し、次いで、ヘプタン2.35Lを投入した。N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド多形Bの種晶(多形Bの種晶を、長期にわたって同じ溶媒系から得た)(15.0g)を、添加し、バッチを45℃で一晩熟成させた。次いで、得られたスラリに、ヘプタン150mLを5時間かけて投入し、次いで、ヘプタン220mLを2.0mL/分の割合で、次いでヘプタン1131mLを9mL/分の割合で、次いで、ヘプタン6783mLを60mL/分の割合で投入した。ヘプタンをすべて投入してから、バッチを室温に冷却し、一晩熟成させた。バッチを0℃に冷却して1時間熟成させ、濾過し、ヘプタン1Lで洗浄すると、表題の化合物、結晶の形態Bを得た(287g、87%の単離収量(半溶媒和物から、種晶用に収集した)、98.6%の鏡像体過剰率、99.5LCAP、99.5重量%検定)。
【実施例14】
【0123】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの単離
【0124】
【化45】
【0125】
水素化が完了した後(実施例8)、溶媒を、ロータリエバポレータ上で除去した。粗製油をトルエン(10ml/g)および10%NH4Cl溶液(10mL/g)によって希釈した。層は分離され、トルエン層を濃縮して油にした。油をMTBE(3mL/g)によって希釈し、5重量%不斉アミド(7)MTBE半溶媒和物の種晶を入れて一晩撹拌した。種床ができた後、ヘプタン(3mL/g)を添加し、バッチを、濾過する前に、10℃に冷却した。3g規模の表題の化合物を90%回収、液中に2%、いくらかはフラスコに粘着。99.6LCAP。0.2%メチルエステル純度。
XRPD:図13は、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、表題の化合物の粉末X線回折パターンを示す。この表題の化合物は、9.0、6.0、5.3、5.1、4.5、3.9Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示した。
熱分析(TGおよびDSC):中間体アミドの熱重量分析(TG)データを、窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得て、図14に示した。6.6%の重量損失を、周囲温度から100℃までで観測した。示差走査熱量測定(DSC)データを、気密のパン内で窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で収集した。中間体アミドのDSC曲線は図15に示されており、70.9℃の外挿された開始温度、75.5℃のピーク温度、および51J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【実施例15】
【0126】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの単離
【0127】
【化46】
【0128】
水素化が完了した後(実施例8)、溶液64.9gを、真空下、45℃までの温度において16.9gに濃縮した。IPAに溶解した不斉アミドの溶解度は、1350g/L(溶媒1リットル当たりの不斉アミドのグラム)を超える。MTBE(348.2g)を添加し、溶液を10%NH4Cl溶液250mLによって洗浄した。次いで、有機溶媒を水(各々の洗浄に248mL)でさらに3回洗浄した。残留有機溶媒をMTBE(284.4g)と共に濃縮し、水を共沸させた。溶液を、53±5g/kgに濃縮させた。最終の水の濃度は、532ppmであった。次いで、この溶液に、不斉アミドMTBE半溶媒和物、0.5重量%、の種晶を入れて、20〜25℃で20時間熟成させた。この時点で、ヘプタンを一定時間かけて3つのアリコートに投入した。ヘプタンの第1アリコート(54mL)を9時間で投入した。ヘプタンの第2アリコート(90mL)を、6時間で投入した。ヘプタンの第3アリコート(294mL)を、3時間で投入した。ヘプタンの投入が終了した時点で、溶液を20〜25℃で2時間熟成させた。この溶液を、5ミクロンのガラスフィルタ上で濾過した。5:1n−ヘプタン/MTBE、164mLを用いて、置換洗浄を実施し、固体を真空下で45℃未満の温度で乾燥した。最終の水の濃度は、<0.5重量%(KFによる)であった。最終のMTBE濃度は、11〜12重量%(半溶媒和物として)であり、最終のヘプタン濃度は、<0.5重量%(共に、GCによる)であった。不斉アミド/MTBE半溶媒和物を、90%収量、99.3LCAPで単離した。
【実施例16】
【0129】
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルフェニル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド:経路A
【0130】
【化47】
【0131】
ステップA:触媒の調製
N2を充満させたグローブボックス内で、((R,S)−((ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニル−ホスフィン)、300mg)を、撹拌子を収容している30mLの瓶に添加した。(NBD)2RhBF4(183mg)を同じ瓶に添加し、次いで、1,2−ジクロロエタン(20mL)を添加した。得られた溶液を撹拌しながら1時間熟成させ、得られた混合物を50mLのステンレス鋼のボンベに添加した。
【0132】
ステップB:水素化
N2を充満させたグローブボックス内で、出発シアノエナミド(実施例4の生成物、10g)を、1,2−ジクロロエタン100mLで希釈し、溶液を、触媒溶液を収容している50mLのステンレス鋼ボンベに連結している150mLのステンレス鋼ボンベに移した。150mLボンベを、可撓性のポリエチレン管状材料(N2により洗浄されている)を介してオートクレーブに連結し、下層溶液(substrate solution)をオートクレーブ中に引き入れ、続いて、より上方のチャンバから触媒溶液を引き入れた。オートクレーブを密閉し、N2パージによって3回脱ガスを行った。次いで、オートクレーブを、H2パージによって3回脱ガスし、500psiに加圧した。スターラを始動させ、温度を80℃に上げた。反応物を、500psi、80℃で18時間熟成させた。温度を室温まで下げ、得られた溶液をアンバ色の広口瓶に移し、鏡像体過剰率と純度を検定した(シアノエナミド9.5gの検定、95%検定収量、90%LCAP、85%鏡像体過剰率)。
【実施例17】
【0133】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド:((R,S)−((ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)を使用した経路Bの水素化
【0134】
【化48】
【0135】
N2を充満させたグローブボックス内で、(R,S)−((ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(57.1mg)を、撹拌子を収容している20mLのガラス瓶に添加した。(COD)2RhOTf(46.8mg)を同じガラス瓶に添加し、次いで、MeOH(20mL)を添加した。得られた溶液を撹拌しながら20分間熟成させ、得られた混合物を、150mLのステンレス鋼ボンベに添加した。N2を充満させたグローブボックス内で、エナミド6(8.0g、実施例7の生成物)を、MeOH50mLに溶解させ、この溶液を、触媒として10mLのフラスコリンス液と共に同じ150mLのステンレス鋼ボンベに移した。この150mLのステンレス鋼ボンベを、MeOH10mLを収容している25mLのステンレス鋼リンスボンベに連結した。ボンベアセンブリを、可撓性のポリエチレン管状材料(N2により洗浄されている)を介してオートクレーブに連結し、反応溶液をオートクレーブ中に引き入れ、続いて、より上方のチャンバからMeOHリンス溶媒を引き入れた。オートクレーブを密閉し、N2パージによって3回脱ガスを行った。次いで、オートクレーブを、H2パージによって3回脱ガスし、1000psiに加圧した。スターラを始動させ、温度を50℃に上げた。反応物を、1000psi、50℃で23.5時間熟成させた。温度を室温まで下げ、得られた溶液をアンバ色の広口瓶に移し、鏡像体過剰率と純度を検定した(98.0%LCAP7、92.8%鏡像体過剰率0.2%LCAPエナミド6)。
【実施例18】
【0136】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの結晶タイプ1の溶媒和物の単離
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(540g)を、IPAcで溶解して1.4Lの体積にした。シクロヘキサン(1.95L)を添加し、このバッチに、結晶性半溶媒和物3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例11)を、種床として入れた。20分間の熟成の後、シクロヘキサン(13.25L)を、1.5時間にわたって添加した。このバッチを室温で1.5時間熟成させ、次いで、水氷浴により5℃に冷却した。スラリを濾過し、シクロヘキサン(500mL)で洗浄した。このバッチを、窒素でスイープしながら35℃の真空オーブン内で乾燥した。ML損失は48g(8.8%)であった。最終の固体の重量は、442.8g(94重量%したがって416g)であった。
【実施例19】
【0137】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの結晶タイプ2の溶媒和物の単離
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(1012g)を、投入し、MTBEに溶解して4.1Lの体積にした。このバッチに、結晶性半溶媒和物3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例11)を、種床として入れた。20分間の熟成の後、ヘプタン(12.3L)を、1.5時間にわたって添加した。このバッチを室温で1.5時間熟成させ、次いで、水氷浴により5℃に冷却した。スラリを濾過し、ヘプタン(2.1L)で洗浄した。このバッチを、窒素でスイープしながら真空下で乾燥した。ML損失は38g(3.7%)であった。最終の固体の重量は、1011g(93重量%したがって940g)であった。
【実施例20】
【0138】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの結晶タイプ3の溶媒和物の単離
実施例7におけるような重炭酸塩処理に引き続いて、3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイルアミノ]−プロピル}ベンズアミド(2.4g)を、MTBE80mLに溶解させた。溶媒を、35℃においてMTBEからトルエンに切り替えた。約45mLの最終体積を維持した。エコソーブC941を15重量%(0.36g)添加し、バッチを70から75℃で90分間にわたり熟成させた。室温に冷却し、CELITEの上で濾過した。無色の溶液を濃縮して乾燥状態とし、IPAc3ML(約1.2V)を添加し、60℃に維持した。次いで、イソオクタン21mLを30分間にわたって投入した。溶液をゆっくりと冷却し、56℃において溶液自体で種床を発生させた(溶液を少量ガラス瓶中に試料採取し、室温に冷却して種床を発生させた)。試料が結晶化してから、バッチに戻した。バッチをゆっくりと(3時間にわたって)室温に冷却すると、バッチはスラリとなった。バッチを室温で2時間にわたり熟成させた。若干湿った固体を収集し、真空オーブン内に放置して35℃で一晩乾燥させた。固体HPLC検定によれば99.2A%および98重量%であった。不斉HPLC=90.4%の鏡像体過剰率。NMRの結果は、固体がイソオクタン溶媒和物であることを示す。
【実施例21】
【0139】
3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの結晶形態の分析
Bruker Smart Apex Systemにより、単結晶X線データを収集するために、単結晶を選択した。単位細胞を30秒の走査速度で収集し、自動指数付けした結果、格子胞は三斜であった。30秒の走査速度を用いて四半分のデータを収集した後、構造は三斜P1空間群に属すると解明された。
【0140】
粉末X線回折パターンを、PW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により生じさせた。PW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を線源として使用した。実験を周囲条件下で実施した。
【0141】
粉末X線回折パターンに加えて、3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)−ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミドの形態を、固体炭素−13およびフッ素−19核磁気共鳴(NMR)スペクトルによって、さらに特徴付けた。固体炭素−13NMRスペクトルを、Bruker 4mm 二重共鳴CRMASプローブを用いた、Bruker DSX 400WB NMR装置により得た。炭素−13NMRスペクトルは、可変−振幅交差分極によるプロトン/炭素−13交差分極マジック角回転を利用した。試料を15.0kHzで回転させた。FT(フーリエ変換)を実行する前に、40Hzのスペクトル線の広がりをスペクトルに適用した。化学シフトは、グリシンのカルボニル炭素(176.03p.p.m)を第2基準物質として用いたTMSスケールで報告する。
【0142】
固体フッ素−19NMRスペクトルを、Bruker 4mm CRMASプローブを用いた、Bruker DSX 400WB NMR装置により得た。NMRスペクトルは、シンプルパルス−アクワイアパルス(simple pulse−acquire pulse)プログラムを利用した。試料は、15.0kHzで回転させた。ベスペル(vespel)のエンドキャップを利用してフッ素のバックグラウンドを最小限に抑えた。100Hzのスペクトル線の広がりを、FTを実行する前にスペクトルに適用した。化学シフトは、ポリ(テトラフルオロエチレン)(TEFLON)を外部第2基準物質として用いて報告し、−122ppmの化学シフトが割り付けられた。
【0143】
以上本発明を、この一定の特別な実施形態を参照して述べ、説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明にさまざまな変化、変更および置換を加えることができることを、当業者は理解する。例えば、本明細書において上述した特定の溶媒以外の溶媒が、本明細書に記載の化学合成において有用でありうる。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲によって限定されること、およびそのような特許請求の範囲は、妥当である限り広く解釈されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、3−[1−(4−クロロベンジル)−2−オキソプロピル]ベンゾニトリル(実施例2)の粉末X線回折パターン(XRPD)を示す図である。
【図2】窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得られた、熱重量分析(TG)データ3−[1−(4−クロロベンジル)−2−オキソプロピル]ベンゾニトリル(実施例2)を示す図である。
【図3】3−[1−(4−クロロベンジル)−2−オキソプロピル]ベンゾニトリル(実施例2)について、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集された示差走査熱量測定(DSC)データを示す図であり、69.3℃の外挿された開始温度、71.6℃のピーク温度、および104J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【図4】線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルフォネート(実施例3)の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図5】窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得られ、図17において示されている3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルフォネート(実施例3)の熱重量分析(TG)データを示す図である。0.17%の重量損失が、85から148℃の間で観測された。
【図6】3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルフォネート(実施例3)について、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集された示差走査熱量測定(DSC)データを示す図であり、122.4℃の外挿された開始温度、125.2℃のピーク温度、および87J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【図7】線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、N−[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド(実施例4)の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図8】窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得られた、N−[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド(実施例4)の熱重量分析(TG)データを示す図である。
【図9】N−[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド(実施例4)について、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集された示差走査熱量測定(DSC)データを示す図であり、124.4℃の外挿された開始温度、126.4℃のピーク温度、および80J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【図10】線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド(実施例7)の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図11】窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得られた、3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド(実施例7)の熱重量分析(TG)データを示す図である。
【図12】3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド(実施例7)について、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集された示差走査熱量測定(DSC)データを示す図であり、151.1℃の外挿された開始温度、153.9℃のピーク温度、および91J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す。
【図13】線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例8、14)の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図14】窒素雰囲気下において10℃/分の加熱速度で得られた、3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例8、14)の熱重量分析(TG)データを示す図である。
【図15】70.9℃の外挿された開始温度、75.5℃のピーク温度、および51J/gのエンタルピー変化を有する融解吸熱を示す、3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド(実施例8、14)について、気密のパン内で窒素雰囲気下において、10℃/分の加熱速度で収集された示差走査熱量測定(DSC)データを示す図である。
【図16】形態BのN−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドの不斉構成単位における2つの分子の、コンピュータで作成された透視図を示す図である。
【図17】線源としてPW33373/00セラミックCU LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、形態BのN−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドの粉末X線回折パターンを示す図である。
【図18】形態BのN−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド試料の、固体フッ素19MAS NMRのスペクトルを示す図である。
【図19】形態BのN−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド試料の、固体炭素−13CPMAS NMR(交差分極マジック角度回転核磁気共鳴)のスペクトルを示す図である。形態Bは、164.6、137.1、111.3、23.6および16.9ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。
【図20】線源としてPW33373/00セラミックCU LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ1の結晶性溶媒和物の粉末X線回折パターンを示す図であり、3.3、4.3、4.6、5.1および12.6Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。
【図21】線源としてPW33373/00セラミックCU LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ2の結晶性溶媒和物の粉末X線回折パターンを示す図であり、4.3、4.6、5.1、5.6および12.6Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。
【図22】線源としてPW33373/00セラミックCU LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ3の結晶性溶媒和物の粉末X線回折パターンを示す図であり、4.3、4.6、5.1、5.7および12.7Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを有する。
【図23】N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ1の結晶性溶媒和物試料の、固体フッ素−19MAS NMRのスペクトルを示す図である。タイプ1の溶媒和物は、−59.9および−60.8ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。
【図24】N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ2の結晶性溶媒和物試料の、固体フッ素−19MAS NMRのスペクトルを示す図である。タイプ2の溶媒和物は、−59.8および−60.5ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。
【図25】N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ3の結晶性溶媒和物試料の、固体フッ素−19MAS NMRのスペクトルを示す図である。タイプ3の溶媒和物は、−60.5ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。
【図26】N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ1の結晶性溶媒和物の、固体炭素−13CPMAS NMRのスペクトルを示す図である。タイプ1の溶媒和物は、164.1、142.3、112.5、26.6および18.6ppmの化学シフト値を有する特性信号を示した。
【図27】N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ2の結晶性溶媒和物の、固体炭素−13CPMAS NMRのスペクトルを示す図である。タイプ2の溶媒和物は、48.7ppmの化学シフト値を有する特性信号に加えて、タイプ1の溶媒和物と類似の化学シフト値を有する信号を示した。
【図28】N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドのタイプ3の結晶性溶媒和物の、固体炭素−13CPMAS NMRのスペクトルを示す図である。タイプ3の溶媒和物は、143.6、140.3、25.6、29.7、24.1、および20.9ppmの化学シフト値を有する特性信号に加えて、タイプ1の溶媒和物と類似の化学シフト値を有する信号を示した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミド(I)
【化1】
[式中、
R1は、水素、ハロゲン、−C(O)ORe、−C(O)NRf2、−NRf2およびシアノから選択され;
R2は、水素、ハロゲンおよびヒドロキシルから選択され;
R3は、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキルから選択され、前記アルキル部分は、置換されていないか、ハロゲン、−CF3、−OCF3および−ORaから選択される置換基によって置換されており;
Raは、置換されていないか、ハロゲン、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択される1つまたは2つのRb置換基によって置換されているシクロアルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル−およびヘテロアリールから選択され;
それぞれのRcは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
それぞれのRdは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
Reは、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキル、アリール−C1〜6アルキル−、アリール、ヘテロアリールから選択され、アリールおよびヘテロアリール部分は、1つから3つのRc置換基によって場合により置換されており、前記アルキル部分は置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRd部分によって置換されており;
それぞれのRfは、水素、直鎖または分枝状C1〜6アルキル、フェニル−C1〜6アルキル−から独立に選択され、アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており、前記フェニル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRc置換基によって置換されている。]
の、立体選択的合成のための方法であり、
エナミド化合物式(II)
【化2】
を、キラル触媒の存在下において水素ガスによって処理することを含む方法。
【請求項2】
キラル触媒が、
(1)金属前駆体、配位子および場合により活性剤を接触させることによりその場(in situ)で形成されたキラル触媒、および
(2)予め形成された触媒錯体
から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1がアミドおよびシアノから選択され;
R2が水素および塩素から選択され;
R3が
【化3】
であり;
Raは、フェニル、ベンジル、ピリジルおよびピリミジルから選択され、フェニル、ベンジル、ピリジルおよびピリミジルのそれぞれは、独立に、置換されていないか、Rb置換基によって置換されており;およびそれぞれのRbは、クロロ、ヨード、メチル、シアノおよびトリフルオロメチルから独立に選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
R1がシアノであり;R2が塩素であり;R3が
【化4】
であり;および
Raが
【化5】
であり;
キラル触媒が、
(1)金属前駆体、配位子および場合により活性剤を接触させることによりその場で形成されたキラル触媒(前記金属前駆体は、(COD)2RhBF4、[(COD)RhCl]2、[(NBD)RhCl]2、(COD)2RhOTf、(NBD)2RhBF4、(NBD)2RhOTfおよび(COD)Ru(メタリル)2から選択され、前記配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(−)−TMBTPおよび(R)−Hexaphempから選択され、および前記活性剤は存在しないかまたは四フッ化ホウ酸である。)、および
(2)予め形成された触媒錯体である(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン(COD)RhBF4
から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
R1がアミドであり、R2が塩素であり、R3が
【化6】
であり、および
Raが
【化7】
であり、
水素の圧力が1気圧から100気圧までであり、
温度が周囲温度から90℃までであり、
溶媒が、MeOH、EtOH、IPA、2,2,2−トリフルオロエタノール、TFHおよび1,2−ジクロロエタンの純品またはこれらの混合物から選択され、
キラル触媒が、
(1)金属前駆体、配位子および場合により活性剤を接触させることによりその場で形成されたキラル触媒(前記金属前駆体は、(COD)2RhBF4、(COD)2RhOTf、(NBD)2RhBF4、(NBD)2RhOTfおよび(COD)Ru(メタリル)2から選択され、前記配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−1−ナフチルホスフィン、R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(R,S)−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−t−ブチルホスフィン、(−)−TMBTP、(R)−hexaphemp、(R)−xyl−BINAPから選択され、前記活性剤は存在しないかまたは四フッ化ホウ酸である。)、または
(2)(−)−TMBTP(COD)RhBF4、(−)−TMBTP(COD)RhOTf、(−)−TMBTP(NBD)RhBF4または(−)−TMBTP(NBD)RhOTf;((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(COD)RhBF4、((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(COD)RhOTf、((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(NBD)RhBF4または((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(NBD)RhOTfから選択される予め形成された触媒錯体
から選択され、
加えて、四フッ化ホウ酸、三フッ化ホウ酸、BF3、BF3・IPAおよびBF3・MeOHから選択される添加剤を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
R1がアミドであり、R2が塩素であり、R3が
【化8】
であり、および
Raが
【化9】
であり、
水素の圧力が10気圧から40気圧までであり、
温度が35℃から65℃までであり、
溶媒が、MeOH、IPAおよび2,2,2−トリフルオロエタノールの純品またはこれらの混合物から選択され、
キラル触媒が、
(1)金属前駆体、配位子および場合により活性剤を接触させることにより、その場で形成されたキラル触媒(前記金属前駆体は、(COD)2RhBF4、(COD)2RhOTf、(NBD)2RhBF4および(NBD)2RhOTfから選択され、前記配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィンおよび(−)−TMBTPから選択され、前記活性剤は存在しない。)、または、
(2)(−)−TMBTP(COD)RhBF4、((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(COD)RhBF4、((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(COD)RhOTf、((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(NBD)RhBF4から選択される予め形成された触媒錯体
から選択され、
BF3・IPAおよびBF3・MeOHから選択される添加剤を場合により含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
R1がアミドであり、R2が塩素であり、R3が
【化10】
であり、および
Raが
【化11】
であり、
水素の圧力が20気圧から40気圧までであり、
キラル触媒が、
(1)金属前駆体、配位子および場合により活性剤を接触させることにより、その場で形成されたキラル触媒(前記金属前駆体は:(COD)2RhBF4、(COD)2RhOTf、(NBD)2RhBF4、(NBD)2RhOTf、および(COD)Ru(メタリル)2から選択され、前記配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン、(R,S)−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−t−ブチルホスフィン、(−)−TMBTP、(R)−hexaphemp、(R)−xyl−BINAPから選択され、前記活性剤は存在しないかまたは四フッ化ホウ酸である。)、および
(2)予め形成された触媒錯体である(−)−TMBTP(COD)RhBF4
から選択され、
加えて、四フッ化ホウ酸、三フッ化ホウ酸およびBF3・MeOHから選択される添加剤を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
式(II):
【化12】
[式中、
R1、R2、およびR3は請求項1において定義された通りである。]のエナミド化合物が、式(III):
【化13】
の化合物を、アミド(IV):
【化14】
[式中、R4は、アリール、ヘテロアリールおよびC1〜10アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されており、および前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基により置換されており;R1、R2、R3、Ra、Rb、Rc、Rd、ReおよびRfは請求項1において定義された通りである。]
により、塩基およびパラジウム触媒の存在下で処理することによって調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
R1がアミドおよびシアノから選択され;
R2が水素および塩素から選択され;
R3が
【化15】
であり;
R4が、置換されていないか、Rc置換基によって置換されたフェニルから選択され;
Raがフェニル、ピリジルおよびピリミジニルから選択され、フェニル、ピリジルおよびピリミジニルのそれぞれは、独立に、置換されていないか、Rb置換基によって置換されており;
それぞれのRbは、クロロ、ヨード、メチル、シアノおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
ぞれぞれのRcは、フルオロ、クロロ、メチル、およびトリフルオロメチルから独立に選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
R1がシアノであり、R2が塩素であり、R3が
【化16】
であり、
R4が、4−メチルフェニルであり、および
Raが
【化17】
であり、塩基が炭酸カリウムであり、パラジウム触媒が、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)およびビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)から選択され、加えて、パラジウム触媒が、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、および1,1’−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセンから選択されるホスフィン配位子を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
エナミド(II)
【化18】
[式中、
R1は、水素、ハロゲン、−C(O)ORe、−C(O)NRf2、−NRf2およびシアノから選択され;
R2は、水素、ハロゲンおよびヒドロキシルから選択され;
R3は、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキルから選択され、前記アルキル部分は、置換されていないか、ハロゲン、CF3、OCF3およびORaから選択される置換基によって置換されており;
Raは、置換されていないか、ハロゲン、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択される1つまたは2つのRb置換基によって置換されているシクロアルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル−およびヘテロアルキルから選択され;
それぞれのRcは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
それぞれのRdは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
Reは、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキル、アリール−C1〜6アルキル−、アリール、ヘテロアリールから選択され、アリールおよびヘテロアリール部分は、1つから3つのRc置換基によって場合により置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRd部分によって置換されており;および
それぞれのRfは、水素、直鎖または分枝状C1〜6アルキル、フェニル−C1〜6アルキル−から独立に選択され、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており、前記フェニル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRc置換基によって置換されている。]
を合成するための方法であり、
式(III):
【化19】
[式中、R4は、アリールおよびヘテロアリールから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されている。]
の化合物を、アミド(IV):
【化20】
によって、塩基およびパラジウム触媒の存在下において処理することを含む方法。
【請求項12】
図19に記載の、164.6、137.1、111.3、23.6および16.9ppmの化学シフト値を有する、固体炭素−13CPMAS NMR特性信号によって特徴付けられる、無水結晶性N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド形態B。
【請求項13】
図26に記載の、164.1、142.3、112.5、26.6および18.6ppmの化学シフト値を有する固体炭素−13CPMAS NMR特性信号によって特徴付けられる、結晶性N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド溶媒和物タイプ1;
図27に記載の、164.1、142.3、112.5、48.7、26.6および18.6ppmの化学シフト値を有する固体炭素−13CPMAS NMR特性信号によって特徴付けられる、結晶性N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド溶媒和物タイプ2;
図28に記載の、143.6、140.3、25.6、29.7、24.1および20.9ppmの化学シフト値を有する固体炭素−13CPMAS NMR特性信号によって特徴付けられる、結晶性N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド溶媒和物タイプ3;
図1に記載の、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置(Philips Analytical X’ Pert PRO X−ray Diffraction System)により作成された、7.4、4.6、4.0、3.8、3.5、3.4Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示す粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、結晶性3−[1−(4−クロロベンジル)−2−オキソプロピル]ベンゾニトリル;
図4に記載の、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、9.3、8.1、6.6、5.7、4.1、3.4Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示す粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、結晶性3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルホネート;
図7に記載の、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、7.6、5.7、5.3、5.1、4.6、4.1Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示す粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、結晶性N−[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド;
図10に記載の、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、6.2、5.9、5.2、4.6、4.2、3.9Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示す粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、結晶性3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド;および
図13に記載の、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、9.0、6.0、5.3、5.1、4.5、3.9Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示す粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、結晶性3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド
から選択される化合物。
【請求項14】
3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルホネート;N−[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド;および3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミドから選択される化合物。
【請求項1】
アミド(I)
【化1】
[式中、
R1は、水素、ハロゲン、−C(O)ORe、−C(O)NRf2、−NRf2およびシアノから選択され;
R2は、水素、ハロゲンおよびヒドロキシルから選択され;
R3は、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキルから選択され、前記アルキル部分は、置換されていないか、ハロゲン、−CF3、−OCF3および−ORaから選択される置換基によって置換されており;
Raは、置換されていないか、ハロゲン、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択される1つまたは2つのRb置換基によって置換されているシクロアルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル−およびヘテロアリールから選択され;
それぞれのRcは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
それぞれのRdは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
Reは、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキル、アリール−C1〜6アルキル−、アリール、ヘテロアリールから選択され、アリールおよびヘテロアリール部分は、1つから3つのRc置換基によって場合により置換されており、前記アルキル部分は置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRd部分によって置換されており;
それぞれのRfは、水素、直鎖または分枝状C1〜6アルキル、フェニル−C1〜6アルキル−から独立に選択され、アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており、前記フェニル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRc置換基によって置換されている。]
の、立体選択的合成のための方法であり、
エナミド化合物式(II)
【化2】
を、キラル触媒の存在下において水素ガスによって処理することを含む方法。
【請求項2】
キラル触媒が、
(1)金属前駆体、配位子および場合により活性剤を接触させることによりその場(in situ)で形成されたキラル触媒、および
(2)予め形成された触媒錯体
から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1がアミドおよびシアノから選択され;
R2が水素および塩素から選択され;
R3が
【化3】
であり;
Raは、フェニル、ベンジル、ピリジルおよびピリミジルから選択され、フェニル、ベンジル、ピリジルおよびピリミジルのそれぞれは、独立に、置換されていないか、Rb置換基によって置換されており;およびそれぞれのRbは、クロロ、ヨード、メチル、シアノおよびトリフルオロメチルから独立に選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
R1がシアノであり;R2が塩素であり;R3が
【化4】
であり;および
Raが
【化5】
であり;
キラル触媒が、
(1)金属前駆体、配位子および場合により活性剤を接触させることによりその場で形成されたキラル触媒(前記金属前駆体は、(COD)2RhBF4、[(COD)RhCl]2、[(NBD)RhCl]2、(COD)2RhOTf、(NBD)2RhBF4、(NBD)2RhOTfおよび(COD)Ru(メタリル)2から選択され、前記配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(−)−TMBTPおよび(R)−Hexaphempから選択され、および前記活性剤は存在しないかまたは四フッ化ホウ酸である。)、および
(2)予め形成された触媒錯体である(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン(COD)RhBF4
から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
R1がアミドであり、R2が塩素であり、R3が
【化6】
であり、および
Raが
【化7】
であり、
水素の圧力が1気圧から100気圧までであり、
温度が周囲温度から90℃までであり、
溶媒が、MeOH、EtOH、IPA、2,2,2−トリフルオロエタノール、TFHおよび1,2−ジクロロエタンの純品またはこれらの混合物から選択され、
キラル触媒が、
(1)金属前駆体、配位子および場合により活性剤を接触させることによりその場で形成されたキラル触媒(前記金属前駆体は、(COD)2RhBF4、(COD)2RhOTf、(NBD)2RhBF4、(NBD)2RhOTfおよび(COD)Ru(メタリル)2から選択され、前記配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−1−ナフチルホスフィン、R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン、(R,S)−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−t−ブチルホスフィン、(−)−TMBTP、(R)−hexaphemp、(R)−xyl−BINAPから選択され、前記活性剤は存在しないかまたは四フッ化ホウ酸である。)、または
(2)(−)−TMBTP(COD)RhBF4、(−)−TMBTP(COD)RhOTf、(−)−TMBTP(NBD)RhBF4または(−)−TMBTP(NBD)RhOTf;((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(COD)RhBF4、((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(COD)RhOTf、((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(NBD)RhBF4または((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(NBD)RhOTfから選択される予め形成された触媒錯体
から選択され、
加えて、四フッ化ホウ酸、三フッ化ホウ酸、BF3、BF3・IPAおよびBF3・MeOHから選択される添加剤を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
R1がアミドであり、R2が塩素であり、R3が
【化8】
であり、および
Raが
【化9】
であり、
水素の圧力が10気圧から40気圧までであり、
温度が35℃から65℃までであり、
溶媒が、MeOH、IPAおよび2,2,2−トリフルオロエタノールの純品またはこれらの混合物から選択され、
キラル触媒が、
(1)金属前駆体、配位子および場合により活性剤を接触させることにより、その場で形成されたキラル触媒(前記金属前駆体は、(COD)2RhBF4、(COD)2RhOTf、(NBD)2RhBF4および(NBD)2RhOTfから選択され、前記配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィンおよび(−)−TMBTPから選択され、前記活性剤は存在しない。)、または、
(2)(−)−TMBTP(COD)RhBF4、((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(COD)RhBF4、((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(COD)RhOTf、((R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン)(NBD)RhBF4から選択される予め形成された触媒錯体
から選択され、
BF3・IPAおよびBF3・MeOHから選択される添加剤を場合により含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
R1がアミドであり、R2が塩素であり、R3が
【化10】
であり、および
Raが
【化11】
であり、
水素の圧力が20気圧から40気圧までであり、
キラル触媒が、
(1)金属前駆体、配位子および場合により活性剤を接触させることにより、その場で形成されたキラル触媒(前記金属前駆体は:(COD)2RhBF4、(COD)2RhOTf、(NBD)2RhBF4、(NBD)2RhOTf、および(COD)Ru(メタリル)2から選択され、前記配位子は、(R,S)−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−o−トリルホスフィン、(R,S)−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル−エチルジ−t−ブチルホスフィン、(−)−TMBTP、(R)−hexaphemp、(R)−xyl−BINAPから選択され、前記活性剤は存在しないかまたは四フッ化ホウ酸である。)、および
(2)予め形成された触媒錯体である(−)−TMBTP(COD)RhBF4
から選択され、
加えて、四フッ化ホウ酸、三フッ化ホウ酸およびBF3・MeOHから選択される添加剤を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
式(II):
【化12】
[式中、
R1、R2、およびR3は請求項1において定義された通りである。]のエナミド化合物が、式(III):
【化13】
の化合物を、アミド(IV):
【化14】
[式中、R4は、アリール、ヘテロアリールおよびC1〜10アルキルから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されており、および前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基により置換されており;R1、R2、R3、Ra、Rb、Rc、Rd、ReおよびRfは請求項1において定義された通りである。]
により、塩基およびパラジウム触媒の存在下で処理することによって調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
R1がアミドおよびシアノから選択され;
R2が水素および塩素から選択され;
R3が
【化15】
であり;
R4が、置換されていないか、Rc置換基によって置換されたフェニルから選択され;
Raがフェニル、ピリジルおよびピリミジニルから選択され、フェニル、ピリジルおよびピリミジニルのそれぞれは、独立に、置換されていないか、Rb置換基によって置換されており;
それぞれのRbは、クロロ、ヨード、メチル、シアノおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
ぞれぞれのRcは、フルオロ、クロロ、メチル、およびトリフルオロメチルから独立に選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
R1がシアノであり、R2が塩素であり、R3が
【化16】
であり、
R4が、4−メチルフェニルであり、および
Raが
【化17】
であり、塩基が炭酸カリウムであり、パラジウム触媒が、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)およびビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)から選択され、加えて、パラジウム触媒が、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、および1,1’−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセンから選択されるホスフィン配位子を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
エナミド(II)
【化18】
[式中、
R1は、水素、ハロゲン、−C(O)ORe、−C(O)NRf2、−NRf2およびシアノから選択され;
R2は、水素、ハロゲンおよびヒドロキシルから選択され;
R3は、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキルから選択され、前記アルキル部分は、置換されていないか、ハロゲン、CF3、OCF3およびORaから選択される置換基によって置換されており;
Raは、置換されていないか、ハロゲン、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択される1つまたは2つのRb置換基によって置換されているシクロアルキル、アリール、アリール−C1〜3アルキル−およびヘテロアルキルから選択され;
それぞれのRcは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜3アルキル、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
それぞれのRdは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、メトキシおよびトリフルオロメチルから独立に選択され;
Reは、水素、直鎖または分枝状C1〜10アルキル、アリール−C1〜6アルキル−、アリール、ヘテロアリールから選択され、アリールおよびヘテロアリール部分は、1つから3つのRc置換基によって場合により置換されており、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRd部分によって置換されており;および
それぞれのRfは、水素、直鎖または分枝状C1〜6アルキル、フェニル−C1〜6アルキル−から独立に選択され、前記アルキル部分は、置換されていないか、1つまたは2つのRd置換基によって置換されており、前記フェニル部分は、置換されていないか、1つ、2つまたは3つのRc置換基によって置換されている。]
を合成するための方法であり、
式(III):
【化19】
[式中、R4は、アリールおよびヘテロアリールから選択され、前記アリールおよびヘテロアリール部分は、置換されていないか、1つから3つのRc置換基によって置換されている。]
の化合物を、アミド(IV):
【化20】
によって、塩基およびパラジウム触媒の存在下において処理することを含む方法。
【請求項12】
図19に記載の、164.6、137.1、111.3、23.6および16.9ppmの化学シフト値を有する、固体炭素−13CPMAS NMR特性信号によって特徴付けられる、無水結晶性N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド形態B。
【請求項13】
図26に記載の、164.1、142.3、112.5、26.6および18.6ppmの化学シフト値を有する固体炭素−13CPMAS NMR特性信号によって特徴付けられる、結晶性N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド溶媒和物タイプ1;
図27に記載の、164.1、142.3、112.5、48.7、26.6および18.6ppmの化学シフト値を有する固体炭素−13CPMAS NMR特性信号によって特徴付けられる、結晶性N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド溶媒和物タイプ2;
図28に記載の、143.6、140.3、25.6、29.7、24.1および20.9ppmの化学シフト値を有する固体炭素−13CPMAS NMR特性信号によって特徴付けられる、結晶性N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド溶媒和物タイプ3;
図1に記載の、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置(Philips Analytical X’ Pert PRO X−ray Diffraction System)により作成された、7.4、4.6、4.0、3.8、3.5、3.4Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示す粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、結晶性3−[1−(4−クロロベンジル)−2−オキソプロピル]ベンゾニトリル;
図4に記載の、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、9.3、8.1、6.6、5.7、4.1、3.4Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示す粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、結晶性3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルホネート;
図7に記載の、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、7.6、5.7、5.3、5.1、4.6、4.1Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示す粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、結晶性N−[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド;
図10に記載の、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、6.2、5.9、5.2、4.6、4.2、3.9Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示す粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、結晶性3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミド;および
図13に記載の、線源としてPW3373/00セラミックCu LEF X線管球のKα線を使用するPW3040/60制御卓を備えたフィリップス分析エキスパートプロX線回折装置により作成された、9.0、6.0、5.3、5.1、4.5、3.9Åのd−面間隔に対応する特性回折ピークを示す粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、結晶性3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロピル}ベンズアミド
から選択される化合物。
【請求項14】
3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル4−メチルベンゼンスルホネート;N−[(1Z)−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロプ−1−エン−1−イル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド;および3−{(1Z)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]−プロプ−1−エン−1−イル}ベンズアミドから選択される化合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2008−505903(P2008−505903A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520402(P2007−520402)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/023514
【国際公開番号】WO2006/017045
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/023514
【国際公開番号】WO2006/017045
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】
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