説明

四重極電極ユニット、電極構造物及びその製造方法

【課題】 四重極型質量分析装置に用いられる電極子の微小化と高精度化を可能にする。
【解決手段】 直方体状をした電極ブロック22の表面の端部に、断面が円弧形状または双曲形状をした電極子23を一体に突設して電極ブロック22を構成する。4つの電極ブロック22を上下左右に配置して、電極ブロック22の各電極子23を微小な間隔をおいて配置し、4本の電極子23によって四重極電極を構成し、電極子23に囲まれた空間にイオン通過域24を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四重極型質量分析装置に用いる四重極電極ユニットと、当該電極ユニットを構成する電極構造物とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(従来の技術)
質量分析装置は、高精度かつ定量的に物質分析可能なことから、大気中の汚染ガス(VOC、ダイオキシン、SOx、NOxなど)の分析をはじめ、水中あるいは土壌中の有害成分(窒素化合物、ダイオキシンなど)の分析など広範に使用されている。また、質量分析装置には、通常、大気中ガス分析の場合にはガスクロマトグラフ(ガスクロ)が併用され、水中や土壌中の成分分析の場合には液体クロマトグラフ(液クロ)が併用される。しかしながら、これらの分析装置は、装置サイズが大きくて重いので容易に持ち運ぶことができず、通常は研究室などに設置されていた。そのため、フィールドでサンプリングした試料を分析装置設置場所に持ち帰る過程で、サンプリング試料が変質するなど、分析の信頼性が低下する懸念があった。
【0003】
このような事情から、分析装置自体をフィールドへ持ち運び可能な“可搬型”にする技術開発が世界中で進められている。現在、ガスクロと液クロについては、半導体プロセス技術を使用してウェハサイズの小型デバイスが開発され、市場で販売されるに至っている。近年では、さらに分析装置を小型化してチップサイズとし、これらチップをネットワークで接続して、広域における汚染物質の分布状況や汚染物質の発生源の特定を実現する汚染物質モニタリングシステム構想が提案されている。このような構想を実現するためには、分析装置の高精度化と小型化を両立させることが必要である。
【0004】
図1は従来の四重極型質量分析装置の主要部の構成を示す概略斜視図である。四重極型質量分析装置11は、装置に入射するガス分子をイオン化するイオン化部12、イオン化ガスをその質量により選択的に分離する四重極電極13、四重極電極13を通過したイオン化ガスを検出するイオン検出部14、そして、四重極電極13に高周波電圧を印加するための電源15から構成される。
【0005】
質量分析を行う四重極電極13は、相対する平行な4本のロッド状をした電極子16から構成されており、図1に示すように結線し、その各々に直流電圧と交流電圧の重畳したものを印加する。すなわち、直流電圧をU、交流電圧をV(t)=Vmax・cos(2πft)とすると、図1の例では左右で対向する一対の電極子16にはU+Vmax・cos(2πft)の電圧が印加され、上下で対向する一対の電極子16には−U−Vmax・cos(2πft)の電圧が印加される。ただし、Vmaxは交流電圧の最大値、fは交流電圧の周波数、tは時間である。このような電極配置と印加電圧により、四重極電極13内の電界は双曲電界となる。
【0006】
四重極電極13を構成する電極子16は、断面が双曲形状となるように作製するのが理想的であるが、ほとんどは製作上の困難から円形で近似されることも多い。断面が円形の電極子16で双曲電界を近似する最適な設計は、R=1.148roである。図2に示すとおり、Rは電極子16の半径(電極径)、roは四重極電極13の中心軸から電極子16までの最小半径である。
【0007】
四重極電極13による質量分析の原理は以下の通りである。但し、各電極子16の軸方向に平行な方向にz軸をとり、電極子16の軸方向に垂直な断面で一対の対向する電極子16を結ぶ方向にx軸をとり、他方の対向する電極子16を結ぶ方向にy軸をとる。イオン源であるイオン化部12によりイオン化されたガスは、四重極電極13に入射する。入射イオンは、四重極電極13と平行にz軸方向へ進む間に、四重極電極13内に形成された電界によってx軸方向およびy軸方向に力を受ける。4本の電極子16に直流電圧Uと交流電圧V(t)=Vmax・cos(2πft)を重畳した電圧を印加していると、両電圧U、V(t)によって四重極電極13を通過できるイオンの質量数Mとイオンの価数Zの比M/Zが決まる。ある種類のイオンの選択条件に電界が調整されている場合には、そのイオンが四重極電極13の中心軸から外れると中心軸へ引き戻す力が働く。このような作用により、入射イオンは螺旋軌道を描きながら、四重極電極13を通過する。一方、それ以外の種類のイオンは、四重極電極13の中心軸からずれると、z軸方向と直交する方向での振幅を増大させて最終的には電極子16に捕らえられる。
【0008】
四重極電極13によるイオン質量数測定の分解能ΔMは、次の(1)式で評価できる。ただし、Kzはz方向のイオンの運動エネルギー、fは電極子16に印加される交流電圧の周波数、Lは電極子16の長さを表す。
【数1】

【0009】
一方、電極子16に印加する交流電圧V(t)の最大値Vmaxは、次の(2)式で評価できる。ただし、Mmaxは検出するイオンの最大の質量数を表す。
【数2】

【0010】
これらの式から、電極子16のサイズ(電極径Rと電極長さL)を小さくすることにより、印加電圧を小さくすることができることが分かる。その一方、電極子16のサイズが小さくなると、質量分析装置11の分解能は低下する。従来の電極子16のサイズは、図2に示すように、電極径R=2.5mm(従って、ro=2.177mm)、電極長さL=10cmで、例えば、最大質量数Mmax=100amuとすると、最大印加電圧Vmaxは約1.1kVとなる。ただし、交流周波数fを4MHzとしている。また、分解能ΔMは約0.05amuである。
【0011】
例えば、特許文献1(特開平11−503557号公報)に記載された質量分析装置では、金属材料で被覆したガラスファイバーを極細サイズの電極として使用し、この電極4本を半導体プロセスで形成した溝を使用して高精度な位置決めを行い、直径0.5mmの四重極電極を作製している。この場合、最大印加電圧は20V以下にすることが可能である。ところが、電極径と同じ比率だけ電極長さを短くした場合には分解能が5amu以下となり、分析精度が悪化する。分解能を1amu以内とするためには電極長さを20mm以上にする必要がある。このように、分解能を一定レベル以上に確保するためには一定以上の電極長さが必要であり、このことが、現行レベル以上の電極微小化を困難にしている。
【0012】
また、特許文献2(特開平8−148087号公報)には、断面が双曲形状の電極を作製して分解能を向上させるための製造技術が開示されている。これは、断面が双曲線に沿って窪んだ溝を有する鋳型を用い、電鋳技術により高寸法精度を有する電極を製造するものである。
【0013】
しかしながら、上記特許文献1に記載された質量分析装置では、ガラスファイバーを活用して電極を形成しており、ガラスファイバー自体は市販品を使用したものである。一般に、ガラスファイバーは溶融したガラスを引き伸ばすことにより、径を小さくすることは可能である。しかし、その断面形状を制御するのは困難であり、電極を微細化した場合には電極の形状精度を得ることができない。特に、均一な断面形状で長い電極を形成することは困難である。
【0014】
また、上記特許文献2では、電極の断面形状を高精度に双曲形状に制御する技術を開示しているが、作製した電極はネジ止めにより組み立てる手法をとっており、電極を微小化することについては考慮されていない。
【0015】
また、上記2つの手法に共通する難点としては、たとえ微小な電極を作製できたとしても、電極径が微小になるに従い、電極のハンドリングが難しくなり、細心の注意を払ったとしても電極の破損や変形を防止するのは困難である。
【0016】
さらに、他の問題として、上記手法では、量産性やコストについての検討がなされていないことがある。汚染物質モニタリングシステムとして利用するためには、安価に大量のチップを供給する必要がある。特許文献1に開示されている手法は、研究用途には使用可能であるが、電極を一本ずつ、シリコン基板に高精度に位置決めして固定する必要があり、量産には向かない。また、特許文献2において提案されている電鋳技術は、電気的析出を原理としたものであり、電極を一個製造するのにも多大な時間を要する。例えば、100μmの厚みの電極を作製する場合でも半日程度の時間を要する。
【0017】
【特許文献1】特開平11−503557号公報
【特許文献2】特開平8−148087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電極子の微小化と高精度化が可能な質量分析装置用の四重極電極ユニットとその電極構造物を提供することにある。また、本発明の別な目的は、量産化と低コスト化が可能な質量分析装置用の電極構造物の製造方法を提供することにある。
【0019】
本発明にかかる四重極電極ユニットは、四重極型質量分析装置において電界ポテンシャルを生成するための四重極電極ユニットであって、支持部に電極子を一体に形成した複数の電極構造物を組み合わせることにより、4つの該電極子を四重極配置させたものである。
【0020】
本発明に係る四重極電極ユニットにあっては、電極構造物の支持部に電極子を一体に形成しているので、四重極電極を構成する電極子が微細になったり、その長さが長くなったりしても、電極子が変形したり、電極子が破損したりしにくい。よって、電極子を微小化した場合でも、電極子を組み合わせて四重極電極ユニットに構成する場合や、四重極電極ユニットを質量分析装置に組み込む際のハンドリングが容易になり、四重極電極ユニットの微小化が可能になると共に四重極電極ユニットの精度や信頼性を向上させることができる。
【0021】
本発明にかかる四重極電極ユニットのある実施態様における前記電極構造物は、前記支持部の表面に1つの前記電極子が形成されたものであり、4つの前記電極構造物を組み合わせることにより4つの前記電極子が互いにほぼ平行となるように四重極配置されている。かかる実施態様によれば、1つの電極構造物に1つの電極子を設けているので、電極構造物の設計や製造が容易になる。
【0022】
本発明にかかる四重極電極ユニットの別な実施態様における前記電極構造物は、前記支持部の表面に2つの前記電極子が形成されたものであり、2つの前記電極構造物を組み合わせることにより4つの前記電極子が互いにほぼ平行となるように四重極配置されている。かかる実施態様によれば、1つの電極構造物に2つの電極子を設けているので、四重極電極ユニットの部品点数が少なくて済み、コストを安価にできる。
【0023】
本発明にかかる四重極電極ユニットのさらに別な実施態様は、前記電極子間の間隔を所定距離に保つためのスペーサを、前記電極構造物間に介在させたものである。かかる実施態様によれば、自動的に電極構造物どうしの位置決めを行なえるので、電極構造物どうしの位置決め工程を簡略にすることができる。
【0024】
本発明にかかる四重極電極ユニットのさらに別な実施態様は、前記電極子の断面積と前記電極子間に形成されたイオン通過域の断面積とが一定比率を保つようにしながらイオン入射側からイオン出射側に向けて次第に電極子の断面積を小さくすることにより、前記イオン通過域の中心に形成される電界の強度がイオン入射側からイオン出射側に向けて次第に強くなるように前記電極子が構成されていることを特徴とする。かかる実施態様によれば、幅の広いイオン入射側のイオン通過域開口に多数のイオンを取り込み、イオン出射側のイオン通過域開口においてイオンを空間的に集中させることが可能となる。
【0025】
本発明にかかる電極子構造物は、本発明にかかる四重極電極ユニットに用いられる電極構造物であって、前記支持部に前記電極子が一体に形成されたものである。
【0026】
本発明に係る電極子構造物にあっては、支持部に電極子を一体に形成しているので、四重極電極を構成する電極子が微細になったり、その長さが長くなったりしても、電極子が変形したり、電極子が破損したりしにくい。よって、電極子を微小化した場合でも、電極子構造物を組み合わせて四重極電極ユニットに構成する場合や、電極子構造物を質量分析装置に組み込む際のハンドリングが容易になり、電極子構造物の微小化が可能になると共に電極子構造物の精度や信頼性を向上させることができる。
【0027】
本発明にかかる電極子構造物のある実施態様は、前記支持部にロッド状をした前記電極子が一体に成形されている。この支持部は、導電性材料により形成されていることが望ましい。かかる実施態様によれば、電極子を支持部と一体に形成することができるので、電極構造物の製作が容易になる。
【0028】
本発明にかかる電極子構造物の別な実施態様は、前記支持部にロッド状をした突起が一体に成形され、該突起の表面に膜状をした前記電極子が形成されている。この支持部及び突起は絶縁性材料により形成されていることが望ましい。かかる実施態様によれば、支持部と電極子を別材料で形成することができる。従って、例えば支持部を合成樹脂等によって所定形状に成形することで量産化が可能になる。
【0029】
本発明にかかる電極子構造物のさらに別な実施態様における前記電極子は、その長さ方向に垂直な断面において、表面が円弧状又は双曲線状となっている。かかる実施態様によれば、電極子の断面においてその表面が円弧状又は双曲線状となっているので、四重極配置された4つの電極子間に良好な四重極場を生成させることができる。
【0030】
本発明にかかる電極子構造物のさらに別な実施態様は、前記電極子の断面積が、その長さ方向にわたって一様であることを特徴としている。かかる実施態様によれば、電極子の形状が単純になり、製作が容易になる。
【0031】
本発明にかかる電極子構造物のさらに別な実施態様は、前記電極子の断面積が、一方端部から他方端部に向けて次第に小さくなっている。かかる実施態様によれば、4つの電極子が四重極配置となるように複数オン電極子構造物を配置したとき、幅の広いイオン入射側のイオン通過域開口に多数のイオンを取り込み、イオン出射側のイオン通過域開口においてイオンを空間的に集中させることが可能となる。
【0032】
本発明にかかる電極子構造物の第1の製造方法は、四重極型質量分析装置において電界ポテンシャルを生成する電極子が支持部に一体に形成された電極構造物を製造するための方法であって、長さ方向に垂直な断面が円弧形状又は双曲形状をした溝を有する成形型を作製する工程と、電鋳法を用いて前記成形型により前記支持部を形成すると共に前記溝により前記電極子を支持部と一体に形成する工程とを備えたことを特徴としている。
【0033】
上記第1の製造方法によれば、支持部に電極子が一体に形成された電極構造物を製作することができるので、電極子が微細になったり、その長さが長くなったりしても、電極子が変形したり、電極子が破損したりしにくく、電極子のハンドリングが容易になる。しかも、電鋳法により支持部と電極子が作製されるので、断面が円弧形状又は双曲形状をした電極子を高精度で作製することが可能となり、電極子の微細化(例えば、ナノスケールの電極子の製作)が可能になる。
【0034】
本発明にかかる電極子構造物の第1の製造方法のある実施態様は、前記成形型をフォトリソグラフィー技術により作製することを特徴としている。かかる実施態様では、電極構造物を成形するための成形型がフォトリソグラフィー技術により作製されているので、電極子の形状(円弧形状や双曲形状)をナノメートル精度で形成することが可能となる。
【0035】
本発明にかかる電極子構造物の第2の製造方法は、四重極型質量分析装置において電界ポテンシャルを生成する電極子が支持部に一体に形成された電極構造物を製造するための方法であって、前記電極子と同じ形状の凸部を有する母型を作製する工程と、前記母型を用いて電鋳法により、長さ方向に垂直な断面が円弧形状又は双曲形状をした溝を有する成形型を作製する工程と、前記成形型により絶縁性材料からなる前記支持部を形成すると共に前記溝により前記支持部に突起を設ける工程と、前記突起の表面を導電化処理して前記電極子を形成する工程とを備えたことを特徴としている。
【0036】
上記第2の製造方法によれば、支持部に電極子が一体に形成された電極構造物を製作することができるので、電極子が微細になったり、その長さが長くなったりしても、電極子が変形したり、電極子が破損したりしにくく、電極子のハンドリングが容易になる。また、電鋳法では必要な厚みを得るのに時間が掛かるので、電極構造物を電鋳法により作製すると、電極構造物の製造効率が低下する恐れがある。第2の製造方法によれば、母型を元にして電鋳法で一度成形型を作製すれば、その後は当該成形型を用いた複製技術により支持部を形成すると共に導電化処理によって突起の表面にだけ電極子を形成するだけでよいので、電極構造物の製造効率を向上させることができる。また、導電化処理によれば電鋳法よりも電極子作製に要する電力も遙かに小さくて済み、低コストで電極子を製造できる。
【0037】
本発明にかかる電極構造物の第3の製造方法は、四重極型質量分析装置において電界ポテンシャルを生成する電極子が支持部に一体に形成された電極構造物を製造するための方法であって、前記電極子と同じ形状の凸部が2つ近接して形成された母型を作製する工程と、前記母型を用いて電鋳法により、長さ方向に垂直な断面が円弧形状又は双曲形状をした2つの溝を有する成形型を作製する工程と、前記成形型により絶縁性材料からなる前記支持部を形成すると共に前記溝により前記支持部に2つの近接した突起を設ける工程と、前記突起間を絶縁状態に保ったままで前記各突起の表面を導電化処理して前記電極子を形成する工程とを備えたことを特徴としている。
【0038】
上記第3の製造方法によれば、支持部に電極子が一体に形成された電極構造物を製作することができるので、電極子が微細になったり、その長さが長くなったりしても、電極子が変形したり、電極子が破損したりしにくく、電極子のハンドリングが容易になる。また、電鋳法では必要な厚みを得るのに時間が掛かるので、電極構造物を電鋳法により作製すると、電極構造物の製造効率が低下する恐れがある。第2の製造方法によれば、母型を元にして電鋳法で一度成形型を作製すれば、その後は当該成形型を用いた複製技術により支持部を形成すると共に導電化処理によって突起の表面に電極子を形成するだけでよいので、電極構造物の製造効率を向上させることができる。また、導電化処理によれば電鋳法によりも電極子作製に要する電力も遙かに小さくて済み、低コストで電極子を製造できる。さらに、2つの電極子を一度に作製することができるので、必要数の電極子を得るための製造コストも安価になる。
【0039】
なお、本発明の以上説明した構成要素は、可能な限り任意に組み合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更することが可能である。
【実施例1】
【0041】
図3は本発明の実施例1による四重極電極ユニット21の構造を示す斜視図である。図4は四重極電極ユニット21を構成する電極ブロック22(電極構造物)を示す斜視図である。ただし、図3及び図4は、本発明の実施例を模式的に表わした図であって、支持部と電極子との寸法比率を正確に表わしたものではない。図5以降の図についても同様である。
【0042】
図3に示すように、実施例1による四重極電極ユニット21は、4つの微小な電極ブロック22によって構成されており、各電極ブロック22の表面の端に設けられたロッド状の電極子23を互いに近接させて平行に配置することにより四重極電極が構成されている。これら4つの電極子23は上下左右に等しい間隔をあけて四重極配置されており、それらの間にはイオン通過域24が形成されている。また、斜めに対向する一対の電極ブロック22どうしは同電位となるように電気的に接続されており、斜めに対向する一対の電極ブロック22と斜めに対向する別な一対の電極ブロック22の間には電源26が接続され、電源26により直流電圧Uと交流電圧V(t)=Vmax・cos(2πft)とが重畳して印加される。ただし、Vmax及びfは交流電圧の振幅及び周波数、tは時間である。
【0043】
図4に示すように、電極ブロック22は、直方体状をした支持部25の端にその全長にわたってロッド状の電極子23を一体に突設したものである。電極ブロック22は微小なサイズに形成されており、例えば、支持部25及び電極子23の長さはL=400μm、支持部25の高さは500μm、電極子23の突出高さはd=1μmとなっている。電極子23及び支持部25(すなわち、電極ブロック22全体)は、導電性材料例えばCuやNi等の金属によって一体に成形されている。また、電極子23は、その長さ方向に沿って均一な断面形状を有しており、長さ方向に垂直な断面の外形は円弧状又は双曲線状となっている。
【0044】
図3に示すように、4個の電極ブロック22は、各電極子23を所定の間隔をあけて近接させ、それらの間にイオン通過域24が形成されるように配置されている。これらの電極ブロック22は、各支持部25を互いに絶縁性の接着剤により接着することにより組立てられる。あるいは、支持部25をフレーム等に固定することによって組立ててもよい。その場合でも、支持部25の電極子23が設けられている面と反対側の面や両側面は平坦となっているので、各電極ブロック22は精度良く位置決めされ、容易に組立てられる。
【0045】
このような四重極電極ユニット21は、イオン化部やイオン検出部を備えることによって四重極型質量分析装置(図1参照)として用いられる。質量分析装置にあっては、各電極ブロック22に図3に示すように電源26を接続し、電源26から四重極電極ユニット21に直流と交流の重畳電圧U+V(t)=U+Vmax・cos(2πft)を印加すると、電極子23間のイオン通過域24に四重極電場(振動場)が発生する。そして、イオン化部で発生したイオンをイオン通過域24に送り込むと、図5に示すように、特定のイオンαだけが四重極電極ユニット21のイオン通過域24内を通過し、他のイオンβ、γなどは電極ブロック22間から外部へ排出される。すなわち、従来例においても説明したように、電源26の直流電圧Uと交流電圧V(t)によって決まるイオンの質量数Mとイオンの価数Zの比M/Zの値に一致するイオンαは、螺旋軌道を描きながらイオン通過域24内を進行して四重極電極ユニット21を通り抜ける。これに対し、それ以外のイオンβ、γ等は、四重極電極ユニット21の中心軸から外れると、四重極電極ユニット21内に形成された電界によって横方向の力を受け、電極ブロック22間の隙間から飛び出る。従って、イオン検出部で検出した通過イオンのイオン価から当該イオンの質量を計測することができる。あるいは、所定のイオンだけを選別して通過させることができる。
【0046】
この四重極型質量分析装置は、ガス精製装置としても用いられる。図6は、上記四重極電極ユニット21を用いたガス精製装置を示す概略図である。図6において、符号27は真空チャンバ、28はイオン化部、29はイオン化電極、30は排ガスチャンバ、31は精製ガス蓄積室、32はガス回収管であって、排ガスチャンバ30内に四重極電極ユニット21が設置されている。真空チャンバ27とイオン化部28とは互いに連通しており、イオン化部28と精製ガス蓄積室31は四重極電極ユニット21を介してつながっており、排ガスチャンバ30と真空チャンバ27はガス回収管32によって連通させられている。真空チャンバ27内には、複数種類の混合ガスG1、G2、G3が保持されており、四重極電極ユニット21はイオン化されたガスG1だけが通過できるように調整されている。
【0047】
しかして、真空チャンバ27内のガスG1、G2、G3はイオン化部28においてイオン化電極29で加熱されて電子(e−)を放出してイオン化される。イオン化されたガスG1、G2、G3が四重極電極ユニット21内を流れると、ガスG1だけが四重極電極ユニット21を通過できるので、精製ガス蓄積室31内には特定のガスG1だけが分離して蓄積される。一方、他のガスG2、G3は、電極ブロック22間の隙間から飛び出すことで四重極電極ユニット21から排ガスチャンバ30内に排出され、ガス回収管32を通って再び真空チャンバ27内へ回収される。よって、精製ガス蓄積室31には、真空チャンバ27内のガスのうち特定種類のガスだけが分離精製して蓄積される。
【0048】
質量分析装置等に用いられている四重極電極では、電極子のサイズを小さくすることにより、印加電圧を小さくすることができるが、電極子のサイズが小さくなると、質量分析装置の分解能が低下する。従って、低電圧で使用できるようにして質量分析装置を可搬型にし、しかも高精度化するためには、電極子の半径を小さくし、且つ、電極子の長さを長くする必要がある。この場合、従来例の電極子16のようにロッド状の電極子16であると、電極子16を細く長くして電極子16のアスペクト比が大きくなると、電極子16が変形したり破損したりし易くなり、ハンドリングが困難になる。また、4本の電極子16を互いに平行に位置決めして四重極電極を組み立てることも困難になる。
【0049】
これに対し、本発明の場合には、断面が円弧形状又は双曲形状をした電極子23をブロック状の支持部25と一体に形成し、電極ブロック22のうち分析空間(イオン通過域24)への電界形成に関与しない領域をブロック形状としているので、電極子23は支持部25によって補強されており、電極子23が微小化されて細く長くなっても電極ブロック22の強度が低下することがない。また、支持部25を掴むことにより分析面(電極子23)に直接触れることなく電極ブロック22を取り扱うことができ、電極子23のハンドリングが容易になる。また、電極子23は支持部25によって組み立てることができるので、位置精度よく四重極電極ユニット21を組み立てることが可能になる。よって、本発明によれば、電極子23が微小で、強度があって取り扱いが容易な電極ブロック22を製作することができ、ひいては可搬型や携帯型の高精度な四重極型質量分析装置などを実現することが可能になる。一般に、電鋳技術による転写精度は50nm〜100nmとされているので、電鋳技術を用いて電極子23を成形する場合には、精密な円弧状又は双曲形状を有するナノメートルサイズの四重極電極を形成することが可能になる。
【0050】
次に、四重極電極ユニット21の製造方法の一例を図7(a)〜(d)により説明する。まず、図7(a)に示すように、シリコン基板やガラス基板等の基板41の表面に、ディップコート法やスピンコート法により、感光性樹脂材料を均一な厚みに塗布して樹脂層42を形成する。ついで、フォトリソグラフィー技術を用いて樹脂層42に露光及び現像処理を行ってパターニングし、樹脂層42に断面が円弧形状又は双曲形状となるように溝43を形成する。この結果、図7(b)に示すように、複数本の溝43を備えた樹脂層42が基板41の上に形成され、基板41と樹脂層42からなる成形型44が作製される。このようにしてフォトリソグラフィ技術を用いて成形型44に溝43を形成することにより、最終的に製造される電極子23において四重極の分析面の歪みを最小にすることができる。
【0051】
次に、樹脂層42の表面に蒸着、スパッタ、化学めっきや溶融めっき等により導電処理を施した後、電鋳技術により樹脂層42の上に金属材料を堆積させて成膜する。この電鋳膜の下面には、溝43によって複数本の電極子23が形成される。この際、電極子23が変形しないよう電鋳膜の厚みを十分厚くしておけば、電鋳膜(支持部25)の強度が向上するので、最終的に得られる電極分析面の変形が小さくなり、高精度な分析が可能となる。電鋳膜が所定の厚みに成長したら、通電を止めて電鋳工程を終了する。この電鋳品を成形型44から剥離させると、電鋳品からなる図7(c)のような金属ブロック45が得られる。金属ブロック45には、複数本の電極子23が形成されているので、金属ブロック45を各電極子23毎にダイシングし、所定形状の電極ブロック22を複数個得る。こうして得られた各電極ブロック22の上面の端には、図7(d)に示すように、溝43によって電極子23が成形されている。
【0052】
こうして得られた同じ形状の4個の電極ブロック22は、図3に示したように所定の位置に配置させて固定する。その際には、例えば光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡を観察しながら、マイクロマニピュレータ等を使用して位置決めして固定する。
【0053】
上記のような製造方法では、電鋳法とフォトリソグラフィ技術を併用して電極ブロック22を作製しているので、高精度な円弧形状又は双曲形状の電極子23を作製することが可能となる。特に、電鋳技術による転写精度は一般に50nm〜100nmとされているから、ー技術により、双曲形状をナノメートル精度で形成することが可能となり、フォトリソグラフィ技術でもナノレベルでの加工が可能であるから、上記方法によれば、ナノメートルサイズの電極子23を有する四重極電極を安価に量産することが可能になる。
【0054】
4個の電極ブロック22により四重極電極ユニット21を組立てるには、上記のようにマイクロマニピュレータ等を使用して精密に組立てればよいが、その場合でも電極ブロック22どうしの位置調整はかなり難しい。位置調整を簡単にするためには、例えば電極ブロック22間にスペーサを介在させればよい。図8はこの一例を示す分解斜視図であって、上下の電極ブロック22間と左右の電極ブロック22間にそれぞれ所定厚みの絶縁フィルム46をスペーサとして挟み込むようにしたものである。この実施例では、支持部25の上面又は下面の端に電極子23が突出しているので、上下の電極ブロック22間に挟まれる絶縁フィルム46は電極子23の突出長dの2倍よりも若干厚みの大きなものが用いられる。また、左右の電極ブロック22間に挟み込まれる絶縁フィルム46は上下の電極ブロック22間に挟み込まれる絶縁フィルム46よりも薄くなっている。
【0055】
また、図9は上下の電極ブロック22間と左右の電極ブロック22間にそれぞれ所定サイズの絶縁性の微小球47(例えば、ガラスビーズやセラミックビーズなど)をスペーサとして挟み込むようにしたものである。この場合にも、上下の電極ブロック22間に挟まれる微小球47の直径は電極子23の突出長dの2倍よりも若干大きくなっている。また、左右の電極ブロック22間に挟み込まれる微小球47の直径は、上下の電極ブロック22間に挟み込まれる微小球47の直径よりも小さくなっている。
【0056】
また、電極ブロック22の位置決め精度をより一層向上させるためには、図10に示すように、電極ブロック22に絶縁材料によって絶縁膜48を成膜処理してスペーサを形成するのが好ましい。
【0057】
このようにして電極ブロック22間にスペーサを挟み込むようにすれば、光学顕微鏡等で観察することなく、自動的に位置決めが可能となる。すなわち、スペーサを間に挟み込んだ電極ブロック22を万力等で締め付けて位置決めし、その状態で接着剤により固定することにより四重極電極ユニット21を完成させることができ、電極ブロック22どうしの位置決めを容易にすることができる。
【実施例2】
【0058】
図11は本発明の実施例2による四重極電極ユニット51を示す斜視図である。この実施例でも、電極子23を形成された4個の微小な電極ブロック22が実施例1の場合と同様に配置されている。電極ブロック22は実施例1とは構造が異なっている。
【0059】
この電極ブロック22にあっては、合成樹脂やセラミック等の絶縁材料によって成形された支持部52の端にその全長にわたってロッド状の突起53を一体成形して突設させている。突起53は、その長さ方向に沿って均一な断面形状を有しており、長さ方向に垂直な断面の外形は円弧状又は双曲線状となっている。そして、支持部52の表面のうち、少なくとも突起53の表面全体に金属膜等の導電体膜54を成膜し、突起53の表面に形成された導電体膜54と突起53によって電極子23を形成している。また、電源26は各電極ブロック22の導電体膜54に接続されている。
【0060】
このような実施例によれば、支持部52及び突起53を合成樹脂やセラミック等の絶縁材料で成形することができるので、電鋳法を用いて金属製の電極ブロック22を成形する場合に比べて簡単かつ高精度に電極ブロック22を製作することができる。また、電極ブロック22の製造に要する時間を短縮することができるので、電極ブロック22の量産を可能にすることができる。
【0061】
図12(a)〜(c)及び図13(a)〜(c)は本実施例の四重極電極ユニット51を製造する方法を説明する斜視図である。まず、ガラス基板やシリコン基板等の基板55を準備し、図12(a)に示すように、その上にディップコーティング法やスピンコート法により感光性樹脂材料を塗布し、樹脂層56を形成する。ついで、フォトリソグラフィー技術を使用して樹脂層56に露光工程と現像工程を施すことにより、図12(b)に示すように樹脂層56の表面に断面が円弧形状または双曲形状をした所望のサイズの凸条57を複数本成形し、基板55及び樹脂層56からなる母型58を作製する。
【0062】
次に、樹脂層56の表面に蒸着、化学メッキや溶融めっき等の導電処理を施した後、電鋳技術を使用して樹脂層56の上に金属材料を堆積させて成膜する。この電鋳膜の下面には、凸条57によって複数本の溝60が形成される。電鋳膜が所定の厚みに成長したら、通電を止めて電鋳工程を終了する。この電鋳品を母型58から剥離させると、電鋳品からなる図12(c)のような成形型59が得られる。成形型59の表面には、複数本の溝60が形成されている。
【0063】
こうして成形型59が得られたら、絶縁性材料を用いて図13(a)に示すような絶縁体ブロック61を成形する。その際、絶縁体ブロック61の表面には、溝60の反転パターンとして突起53が転写される。転写方式には、定盤と成形型59との隙間に絶縁性材料を充填することによりパターン形成するPhoto polymerization法、射出成形法、Micromolding in capillaries法、成形型59上に付着した物質を定盤上に移動させることによりパターン形成するMicrotransfer molding法、Microcontact printing法、加工対象の表面を直接変形することによりパターン形成するLithographycally induced self-construction法、Laser-assisted direct imprint法、絶縁体ブロック用の基板上のレジストにパターンを転写後、エッチングプロセスにより基板にパターン形成するナノインプリントリソグラフィ法、Step and flash imprint lithography法など、熱転写や光転写などを利用した手法が知られており、製造する突起形状や使用材料によって熱膨張係数や精度などに応じて適宜使い分ければよい。
【0064】
また、絶縁体ブロック61に使用される絶縁性材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線等のエネルギー線硬化樹脂等の各種の樹脂を使用することができる。その例としては、セルロースアセテートブチレート、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリオレフィン、シリコーン(シリコーンポリウレア等の変性シリコーンを含む)、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、フッ素系樹脂などの各種プラスチックを挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、ある程度ガラス転移点が高く、平滑な表面をもつものであれば使用できる。
【0065】
次に、図13(b)に示すように、絶縁体ブロック61をダイシングして個々の支持部52に分割する。ついで、図13(c)に示すように、支持部52及び突起53の表面に導電体膜54を成膜し、表面を導電体膜54で覆われた突起53により電極子23を形成し、電極ブロック22を得る。導電体膜54は、支持部52との密着性を向上させるため、例えば下層にクロム30nm、上層にAu100nmを蒸着して形成する。なお、導電体膜54は支持部52の突起53以外の面にも施してもよい。また、ここでは絶縁体ブロック61をダイシングして個々の支持部52に分割した後、支持部52に導電体膜54を形成したが、これとは順序を変えて、絶縁体ブロック61の表面に導電体膜54を形成した後に、絶縁体ブロック61をダイシングして個々の電極ブロック22に分割するようにしてもよい。
【0066】
電鋳法により所望厚みを得るのには時間が掛かるので、実施例1のように電極ブロック22を直接電鋳法により作製する方法では、電極ブロック22を作製するのに時間が掛かる。実施例2による製造方法では、母型に基づいて一旦電鋳法で成形型を作製した後、この電鋳品である成形型を用いて樹脂成形等で電極ブロック25及び突起53を複製し、突起53の表面に電極子23を形成しているので、電鋳品は予め1回作製しておくだけで済み、電極ブロック22の生産効率を向上させることができる。さらに、電鋳法が電気化学的に型に金属を析出させ一定の厚さにまで成長させるのに対し、上記方法では、支持部25の表面を電圧印加可能な程度に導電化処理するだけでよく、電極子23を製造するのに要する電力は遙かに少なくて済み、製造コストを抑制することができる。
【0067】
図14(a)(b)は、実施例2に用いられている電極ブロック22の変形例を示す斜視図及び平面図である。この変形例では、支持部52の端から少し引っ込んだ位置に電極子23を設け、電極子23と支持部52の側端面との間に絶縁領域62を形成している。従って、この変形例では電極ブロック22の絶縁領域62側の側端面どうしを当接させることにより、電極子23間に所定の間隔をあけることができ、電極ブロック22どうしの位置決めを容易にできる。
【実施例3】
【0068】
図15(a)(b)は、実施例3による電極ブロック22の斜視図及び平面図である。図16は2つの電極ブロックを左右に並べたものどうしをさらに上下に対向させた状態を示す図であって、図16(a)はイオン入射側における端面形状を示す図、図16(b)はイオン出射側における端面形状を示す図である。実施例3の電極ブロック22は、実施例2の変形例による電極ブロック22と同様な構造を有している。異なるのは、実施例3では、電極子23の断面積がイオン入射側からイオン出射側に向けて次第に小さくなっている点である。例えば、イオン入射側における電極子23の端面は、図16(a)に示すように、半径R1の半円状となっている。また、イオン出射側における電極子23の端面は、図16(b)に示すように、半径R2(<R1)の半円状となっており、矩形状をした台63の上に形成されている。
【0069】
また、図16(a)(b)のように4つの電極ブロック22を横に並べ、かつ、対向させたとき、4つの電極子23で囲まれたイオン通過域24の面積もイオン入射側からイオン出射側に向けて次第に小さくなっている。ここでは、電極子23の断面積とイオン通過域24の断面積とが、任意の断面において一定の比率を保っていることが望ましい条件となる。すなわち、図16(a)(b)のように4つの電極ブロック22を組み立てたとき、4つの電極子23に内接する円形の空間をイオン通過域24と定義し、イオン入射側の端面におけるイオン通過域24の半径をr1、イオン出射側の端面におけるイオン通過域24の半径をr2とすると、上記条件は次のようになる。
r1/R1=r2/R2
【0070】
上記の関係はイオン入射側の端面とイオン出射側の端面との中間においても成り立っている。すなわち、イオン入射側とイオン出射側との中間においても、電極子23の断面は、半円状となっている。ただし、イオン通過域の大きさを調整するために、半円状の電極子23は矩形状をした台63の上に配置されている。そして、半円形状をした電極子23の半径をRとし、その断面におけるイオン通過域24の半径がrであるとすれば、断面の位置にかかわらず、
r/R=一定
となっている。
【0071】
実施例3によれば、電極子23によってイオン通過域24内の中心に形成される分析電界の強度がイオン入射側からイオン出射側に向かって強くなるので、イオン入射側では幅の広いイオン通過域24を介して多数のイオンを取り込み、イオン出射口においてイオンを空間的に集中させることが可能となる。
【実施例4】
【0072】
図17は本発明の実施例4による四重極電極ユニット71を示す斜視図である。図18は四重極電極ユニット71を構成する電極ブロック72(電極構造物)を示す斜視図である。四重極電極ユニット71は、2本の電極子23を形成された2個の微小な電極ブロック72によって構成されている。
【0073】
電極ブロック72は、図18に示すように、合成樹脂やセラミック等の絶縁材料によって成形された支持部73の表面に、2本のロッド状をした突起74を小さな間隔をあけて突設されている。各突起74は、その長さ方向に沿って均一な断面形状を有しており、長さ方向に垂直な断面の外形は円弧状又は双曲線状となっている。そして、支持部73の表面のうち、少なくとも各突起74の表面全体に金属膜等の導電体膜54を成膜し、突起74の表面に形成された導電体膜54及び突起74によって電極子23を形成している。また、導電体膜54は2つの領域に分かれており、突起74間には導電体膜54のない絶縁領域75が設けられている。
【0074】
2個の電極ブロック72は、図17に示すように、電極子23どうしを微小間隙をあけて対向させるようにして上下に配置されており、4本の電極子23間にはイオン通過域24が形成されている。電源26は、各電極ブロック72のそれぞれの導電体膜54に接続されている。
【0075】
このような実施例によれば、支持部73及び突起53を合成樹脂やセラミック等の絶縁材料で成形することができるので、電鋳法を用いて金属製の電極ブロックを成形する場合に比べて簡単かつ高精度に電極ブロック72を製作することができる。また、部品点数が少なくなるので、四重極電極ユニット71のコストも安価にできる。さらに、電極ブロック72の製造に要する時間を短縮することができるので、電極ブロック72の量産を可能にすることができる。
【0076】
図19(a)〜(c)及び図20(a)〜(c)は本実施例の四重極電極ユニット71を製造する方法を説明する斜視図である。この四重極電極ユニット71は、実施例2の四重極電極ユニット51とほぼ同様にして製造される。まず、ガラス基板やシリコン基板等の基板55を準備し、図19(a)に示すように、その上にディップコーティング法やスピンコート法により感光性樹脂材料を塗布し、樹脂層56を形成する。ついで、フォトリソグラフィー技術を使用して樹脂層56に露光工程と現像工程を施すことにより、図19(b)に示すように樹脂層56の表面に断面が円弧形状または双曲形状をした所望のサイズの凸条57を複数本成形し、基板55及び樹脂層56からなる母型58を作製する。ここで、凸条57は2本一組となっていて対となった凸条57は近接して配置されている。
【0077】
次に、樹脂層56の表面に蒸着、めっき等の導電処理を施した後、電鋳技術を使用して樹脂層56の上に金属材料を堆積させて成膜する。この電鋳膜の下面には、凸条57によって複数本の溝60が形成される。電鋳膜が所定の厚みに成長したら、通電を止めて電鋳工程を終了する。この電鋳品を母型58から剥離させると、電鋳品からなる図19(c)のような成形型59が得られる。成形型59の表面には、2本一組となった複数本の溝60が形成されている。
【0078】
こうして成形型59が得られたら、合成樹脂等の絶縁性材料を用いて図20(a)に示すような絶縁体ブロック61を成形する。その際、絶縁体ブロック61の表面には、溝60の反転パターンとして突起74が転写される。ついで、図20(b)に示すように、絶縁体ブロック61をダイシングして個々の支持部73に分割する。ついで、図20(c)に示すように、支持部73の突起74の表面に導電体膜54を成膜し、表面を導電体膜54によって覆われた突起74によって電極子23を形成し、電極ブロック72を得る。このとき、2本の近接した電極子23間は絶縁化して絶縁領域75とする。そのためには、支持部73の上面の突起74間の領域をフォトレジストで覆っておき、その上から支持部73の上面に導電体膜54を形成し、ついでリフトオフ法によりフォトレジストと共に導電膜54を除去すればよい。なお、ここでは絶縁体ブロック61をダイシングして個々の支持部73に分割した後、支持部73に導電体膜54を形成したが、これとは順序を変えて、絶縁体ブロック61の表面に導電体膜54を形成した後に、絶縁体ブロック61をダイシングして個々の電極ブロック72に分割するようにしてもよい。
【0079】
こうして2本の電極子23を有する電極ブロック72を図17に示すように上下に対向させることにより、四重極電極ユニット71が作製される。
【0080】
このような製造方法では、母型に基づいて一旦電鋳法で成形型を作製した後、この電鋳品である成形型を用いて樹脂成形等で電極ブロック25及び突起53を複製し、突起53の表面に電極子23を形成しているので、電鋳品は予め1回作製しておくだけで済み、電極ブロック22の生産効率を向上させることができる。さらに、電鋳法が電気化学的に型に金属を析出させ一定の厚さにまで成長させるのに対し、上記方法では、支持部25の表面を電圧印加可能な程度に導電化処理するだけでよく、電極子23を製造するのに要する電力は遙かに少なくて済み、製造コストを抑制することができる。さらに、1つの電極ブロック22に2本の電極子23を形成しているので、部品点数を減らすことができ、コスト抑制に効果がある。しかも、2本の電極子23は予め所定距離に保たれているので、四重極電極ユニット71の組立作業も容易になる。
【0081】
図21(a)(b)は、実施例4に用いられている電極ブロック72の変形例を示す斜視図及び正面である。この変形例では、突起74の表面にのみ電極子23を設けている。
【実施例5】
【0082】
図22(a)(b)は、実施例5による電極ブロック72の斜視図及び平面図である。実施例5の電極ブロック72は、実施例4の変形例による電極ブロック72と同様な構造を有している。異なるのは、実施例5では、電極子23の断面積がイオン入射側からイオン出射側に向けて次第に小さくなっており、電極子23で囲まれたイオン通過域24の面積もイオン入射側からイオン出射側に向けて次第に小さくなっている点である。
【0083】
ここでも、実施例3の場合と同様、電極子23の断面積とイオン通過域24の断面積とが、任意の断面において一定の比率を保っていることが望ましい条件となる。よって、図23(a)(b)のように2つの電極ブロック72を対向させたとき、イオン入射側における電極子23の半円状をした端面の半径をR1、イオン出射側における電極子23の半円状をした端面の半径をR2(<R1)、イオン入射側の端面におけるイオン通過域24の半径をr1、イオン出射側の端面におけるイオン通過域24の半径をr2とすると、この条件は次のようになる。
r1/R1=r2/R2
【0084】
上記の関係はイオン入射側の端面とイオン出射側の端面との中間においても成り立っている。すなわち、イオン入射側とイオン出射側との中間においても、電極子23の断面は、半円状となっている。ただし、イオン通過域の大きさを調整するために、半円状の電極子23は矩形状をした台の上に配置されている。そして、半円形状をした電極子23の半径をRとし、その断面におけるイオン通過域24の半径がrであるとすれば、断面の位置にかかわらず、
r/R=一定
となっている。
【0085】
実施例5によれば、電極子23によってイオン通過域24内の中心に形成される分析電界の強度がイオン入射側からイオン出射側に向かって強くなるので、イオン入射側では幅の広いイオン通過域24を介して多数のイオンを取り込み、イオン出射口においてイオンを空間的に集中させることが可能となる。
【実施例6】
【0086】
図24は本発明の実施例6によるアレイ化した四重極電極ユニット(以下、四重極電極アレイという。)81を示す正面図である。この四重極電極アレイ81は、2つの電極ブロック82を上下に対向させて複数のイオン通過域24を形成したものである。各電極ブロック82は、絶縁材料からなる支持部83の表面に断面が円弧形状又は双曲形状をした突起84を複数個(4個以上)一体に成形し、この表面に導電体膜を形成することによって電極子23を形成したものである。そして、上下に電極ブロック82を対向させた四重極電極アレイ81においては、上下に対向する4個の電極子23によってそれぞれ四重極電極が形成され、その間にそれぞれイオン通過域24が形成されている。よって、このような四重極電極アレイ81を用いれば、多量のイオンまたは複数種類のイオンを一度に選別することが可能になる。
【0087】
図25は上記四重極電極アレイ81に対する電圧印加方法を説明する概略図である。この例では、隣接する電極子23どうしを導電体膜54によってつないで導通させている。そして、図25に示すような配線経路で各四重極電極に電圧を印加している。このような電圧印加方法によれば、電源26は1つで済むことになる。
【0088】
図26は上記四重極電極アレイ81に対する別な電圧印加方法を説明する概略図である。この例では、四重極電極を構成する各電極子23のみを図26のような配線経路でつなぎ、それぞれに電源26を接続している。このような電圧印加方法によれば、各四重極電極毎に電圧印加条件を異ならせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、従来の四重極型質量分析装置の主要部の構成を示す概略斜視図である。
【図2】図2(a)(b)は、同上の四重極型質量分析装置に用いられている四重極電極ユニットのサイズを示す正面図及び側面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1による四重極電極ユニットの構造を示す斜視図である。
【図4】図4は、同上の四重極電極ユニットを構成する電極ブロックを示す斜視図である。
【図5】図5は、四重極電極ユニットの作用説明図である。
【図6】図6は、本発明にかかる四重極電極ユニットを用いたガス精製装置を示す概略図である。
【図7】図7(a)(b)(c)は、実施例1の四重極電極ユニットの製造方法の一例を示す斜視図である。
【図8】図8は、実施例1の変形例を示す分解斜視図である。
【図9】図9は、実施例1の別な変形例を示す分解斜視図である。
【図10】図10は、実施例1のさらに別な変形例を示す分解斜視図である。
【図11】図11は本発明の実施例2による四重極電極ユニットを示す斜視図である。
【図12】図12(a)(b)(c)は、実施例2の四重極電極ユニットを製造する方法を示す斜視図である。
【図13】図13(a)(b)(c)は、図12(a)〜(c)の後に続く工程を示す斜視図である。
【図14】図14(a)(b)は、実施例2に用いられている電極ブロックの変形例を示す斜視図及び平面図である。
【図15】図15(a)(b)は、実施例3による電極ブロックの斜視図及び平面図である。
【図16】図16(a)は、対向させた4つの上記電極ブロックのイオン入射側における端面形状を示す図、図16(b)は、対向させた4つの上記電極ブロックのイオン出射側における端面形状を示す図である。
【図17】図17は、本発明の実施例4による四重極電極ユニットを示す斜視図である。
【図18】図18は、実施例4の四重極電極ユニットを構成する電極ブロックを示す斜視図である。
【図19】図19(a)(b)(c)は、実施例4の四重極電極ユニットを製造する方法を説明する斜視図である。
【図20】図20(a)(b)(c)は、図19(a)〜(c)の後に続く工程を示す斜視図である。
【図21】図21(a)(b)は、実施例4に用いられている電極ブロックの変形例を示す斜視図及び平面図である。
【図22】図22(a)(b)は、実施例5による電極ブロックの斜視図及び平面図である。
【図23】図23(a)は、対向させた2つの上記電極ブロックのイオン入射側における端面形状を示す図、図23(b)は、対向させた2つの上記電極ブロックのイオン出射側における端面形状を示す図である。
【図24】図24は、本発明の実施例6による四重極電極アレイを示す正面図である。
【図25】図25は、上記四重極電極アレイに対する電圧印加方法を説明する概略図である。
【図26】図26は、上記四重極電極アレイに対する別な電圧印加方法を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0090】
21 四重極電極ユニット
22 電極ブロック
23 電極子
24 イオン通過域
25 支持部
26 電源
27 真空チャンバ
28 イオン化部
29 イオン化電極
30 排ガスチャンバ
31 精製ガス蓄積室
32 ガス回収管
41 基板
42 樹脂層
43 溝
44 成形型
45 金属ブロック
51 四重極電極ユニット
52 支持部
53 突起
54 導電体膜
55 基板
56 樹脂層
57 凸条
58 母型
59 成形型
60 溝
61 絶縁体ブロック
62 絶縁領域
71 四重極電極ユニット
72 電極ブロック
73 支持部
74 突起
75 絶縁領域
81 四重極電極アレイ
82 電極ブロック
83 支持部
84 突起
91 四重極電極ユニット
92 電極フィルム
93 支持部
94 導電材料
95 貫通孔
96 窪み
97 仕切り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四重極型質量分析装置において電界ポテンシャルを生成するための四重極電極ユニットであって、
支持部に電極子を一体に形成した複数の電極構造物を組み合わせることにより、4つの該電極子を四重極配置させたことを特徴とする四重極電極ユニット。
【請求項2】
前記電極構造物は、前記支持部の表面に1つの前記電極子が形成されたものであり、4つの前記電極構造物を組み合わせることにより4つの前記電極子が互いにほぼ平行となるように四重極配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の四重極電極ユニット。
【請求項3】
前記電極構造物は、前記支持部の表面に2つの前記電極子が形成されたものであり、2つの前記電極構造物を組み合わせることにより4つの前記電極子が互いにほぼ平行となるように四重極配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の四重極電極ユニット。
【請求項4】
前記電極子間の間隔を所定距離に保つためのスペーサを、前記電極構造物間に介在させたことを特徴とする、請求項1に記載の四重極電極ユニット。
【請求項5】
前記電極子の断面積と前記電極子間に形成されたイオン通過域の断面積とが一定比率を保つようにしながらイオン入射側からイオン出射側に向けて次第に電極子の断面積を小さくすることにより、前記イオン通過域の中心に形成される電界の強度がイオン入射側からイオン出射側に向けて次第に強くなるように前記電極子が構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の四重極電極ユニット。
【請求項6】
請求項1に記載した四重極電極ユニットに用いられる電極構造物であって、
前記支持部に前記電極子が一体に形成されていることを特徴とする電極子構造物。
【請求項7】
前記支持部にロッド状をした前記電極子が一体に成形されていることを特徴とする、請求項6に記載の電極子構造物。
【請求項8】
前記支持部は導電性材料により形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の電極子構造物。
【請求項9】
前記支持部にロッド状をした突起が一体に成形され、該突起の表面に膜状をした前記電極子が形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の電極子構造物。
【請求項10】
前記支持部及び前記突起は絶縁性材料により形成されていることを特徴とする、請求項9に記載の電極子構造物。
【請求項11】
前記電極子は、その長さ方向に垂直な断面において、表面が円弧状又は双曲線状となっていることを特徴とする、請求項6に記載の電極子構造物。
【請求項12】
前記電極子の断面積が、その長さ方向にわたって一様であることを特徴とする、請求項6に記載の電極子構造物。
【請求項13】
前記電極子の断面積が、一方端部から他方端部に向けて次第に小さくなっていることを特徴とする、請求項6に記載の電極子構造物。
【請求項14】
四重極型質量分析装置において電界ポテンシャルを生成する電極子が支持部に一体に形成された電極構造物を製造するための方法であって、
長さ方向に垂直な断面が円弧形状又は双曲形状をした溝を有する成形型を作製する工程と、
電鋳法を用いて前記成形型により前記支持部を形成すると共に前記溝により前記電極子を支持部と一体に形成する工程と、
を備えた電極構造物の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の電極構造物の製造方法において、前記成形型をフォトリソグラフィー技術により作製することを特徴とする電極構造物の製造方法。
【請求項16】
四重極型質量分析装置において電界ポテンシャルを生成する電極子が支持部に一体に形成された電極構造物を製造するための方法であって、
前記電極子と同じ形状の凸部を有する母型を作製する工程と、
前記母型を用いて電鋳法により、長さ方向に垂直な断面が円弧形状又は双曲形状をした溝を有する成形型を作製する工程と、
前記成形型により絶縁性材料からなる前記支持部を形成すると共に前記溝により前記支持部に突起を設ける工程と、
前記突起の表面を導電化処理して前記電極子を形成する工程と、
を備えた電極構造物の製造方法。
【請求項17】
四重極型質量分析装置において電界ポテンシャルを生成する電極子が支持部に一体に形成された電極構造物を製造するための方法であって、
前記電極子と同じ形状の凸部が2つ近接して形成された母型を作製する工程と、
前記母型を用いて電鋳法により、長さ方向に垂直な断面が円弧形状又は双曲形状をした2つの溝を有する成形型を作製する工程と、
前記成形型により絶縁性材料からなる前記支持部を形成すると共に前記溝により前記支持部に2つの近接した突起を設ける工程と、
前記突起間を絶縁状態に保ったままで前記各突起の表面を導電化処理して前記電極子を形成する工程と、
を備えた電極構造物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2006−332003(P2006−332003A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157703(P2005−157703)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】