説明

回動装置

本発明は、長手軸を有するブーム(1)の外方端部に配設された装置(7)を回動させる回動装置に関する。本回動装置は、実質的にブームの長手軸の方向における軸を中心に装置(7)を回動させるように配設された第1のトルクモータ部(4)と、ブーム(1)の長手軸に対してある角度位置にある軸を中心に装置(7)を回動させるように配設された第2のトルクモータ部(5)とを含み、これによって第1および第2のトルクモータ部(4、5)は、ブーム(1)の長手軸の方向から見て互いに対して横に配設されている。トルクモータ部(4、5)は、両トルクモータ部に共通の本体部(8)に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【詳細な説明】
【0001】
本発明は、長手軸を有するブームの外方端部に配設された装置を回動させる回動装置に関するものである。本回動装置は、実質的にブームの長手軸の方向における軸を中心に被回動装置を回動させるように配設された第1のトルクモータ部と、ブームの長手軸に対してある角度位置にある軸を中心に装置を回動させるように配設された第2のトルクモータ部とを含み、これによって第1および第2のトルクモータ部は、ブームの長手軸の方向から見て互いに対して横に配設されている。
【0002】
上述のタイプの典型的な回動装置は現在、例えば削岩関係の技術分野で周知である。削岩装置については、2組の別々の駆動モータ・歯車装置の組合せ、ないしは2台のトルクモータを使用することが知られている。これらは、互いに対してある角度で、ブームの長手軸の方向から見て前後に配置されている。そのような方式によって、狭いトンネルの縁部付近の両側の岩盤にトンネル用ボルティング孔を掘削することができる。
【0003】
従来技術では、トルクモータ、または駆動モータ・歯車装置の組合せは、ボルト緊締を使って、またはボルト緊締による別個の連結部材を使って互いに緊締されている。
【0004】
従来技術方式の1つの例は、PCT国際公開第WO 2006/096110 A1号公報に開示の方式である。この公知の方式は、駆動モータおよび遊星歯車装置を有する2つの装置を使用する。
【0005】
上述の従来技術の欠点は、駆動モータ歯車装置部ならびにトルクモータまたは(および)別の連結部材もしくはアダプタによって、ブームの外方端部に配設された装置の回動運動を与える回転が生じ、ブームの接触面、重量および長さが増すことである。更なる欠点は、構造によっては緊締部材で構体の長さが増すため、個別の駆動モータ部の回転中心間の距離が長くなることである。なお、構体の長さについてはさらに、トルクモータを使用する際、垂直トルクモータの水平トルクモータからの距離が長いと水平トルクモータの軸受がかなり応力を受けることになる。構体が長いと、ブーム構体全体に向かう負荷がその部分について増す。別個の連結部材またはアダプタを使用しても、装置部品の点数が増え、これは価格の上昇につながる。さらに、装置部品点数が非常に多いと、いとも簡単に構造が複雑化し、その使い勝手は可能な最高レベルに至らず、保守費用も不利になることが欠点である。
【0006】
第2の例の従来技術は、米国特許第4,799,556号に記載された装置である。この公知の方式は、ブームの長手軸の方向から見て互いに対して横に配設された2つのトルクモータ部を使用している。しかしこの方式は、いくつかの別個の部品等を有し、これを使って各モータ部を互いに緊締し、そのため最終的には複雑となり、かなりの程度、PCT国際公開第WO 2006/096110 A1号公報の方式の説明で上述したのと同じ欠点を有する。
【0007】
本発明は、従来技術の欠点をなくすことのできる回動装置を提供することを目的とする。これは、両トルクモータ部に共通の本体部にトルクモータ部が配設されたことを特徴とする本発明による回動装置によって達成される。
【0008】
本発明の利点はとりわけ、従来技術に比べて非常に短い構造が実現され、そのため水平トルクモータ部の軸受の負荷を従来技術による長い方式に比べて減らすことができることである。これによって、内部軸受間の距離が短い短トルクモータ部を使用することができる。本発明によるトルクモータ部を配置すれば、垂直トルクモータ部の穿孔中心が1メートルでさえも動き、本構造によりブームの設計に利用する部品点数や問題点が少なくなったり、逆に大きな穿孔力および給送装置を利用したりすることができる。本発明の更なる利点は、本発明によって各トルクモータの回転中心を互いに近づけることができることである。本方式を従来技術による面穿孔ブームに代わって使用すれば部品点数が減ることも、本発明の利点である。最早不要となった部品には、ボルティングシリンダ、クレードル緊締スタンド、クレードルの硬化シャフト、青銅軸受等の要素がある。
【0009】
ここで、添付図面に示す実施例を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来技術による削岩装置のブームを原理的に示す図である。
【図2】本発明による回動装置を設けた削岩装置のブームを原理的に示す図である。
【図3】ブームの外方端部に配設された本発明による回動装置の斜視図である。
【図4】ないし
【図6】本発明による回動装置を様々な方向から見た図である。
【図7】ないし
【図9】本発明による回動装置の本体部を様々な方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、従来技術による回動装置が設けられたブーム1を原理的に示す。このブームは、例えば入れ子状に伸縮可能なブームであり、様々な方向に回動できる。そのようなブームの動作および構造、すなわちブーム要素、液圧シリンダおよび同様の構成要素などの様々な部分、ならびにそれらの動作は、当業者に十分公知の技術であり、それらの詳細をここでさらに述べることはない。
【0012】
図1に記載のブーム1は、車輪で移動する基台にその一端部2を取り付けることを意図している。基台は、図1では基本的に参照符号3で示す。上述の基台の構造および動作は、当業者に十分公知のものであり、それらの態様をここでさらに詳述することはない。
【0013】
図1の例は、第1の駆動モータ部4および第2の駆動モータ部5を使用して、ブームの外方端部6に配設された装置7を所望のように回動させて、装置7を所望の方向に向けることができる。
【0014】
図1に示すように、第1の駆動モータ部4は、ブームの外方端部6に配設された装置7をブームの長手軸Lの方向における軸を中心に回動させるように構成されている。ブーム1の外方端部に配設された装置7は、例えばその装備を備えた削岩ドリルでよい。
【0015】
第1の駆動モータ部4により生ずる動きは、基本的に図1に矢印Nで示す。
【0016】
次に、第2の駆動モータ部5は、ブームの外方端部に配設された装置7を軸Kを中心に回動させるように構成され、この軸は、ある角度位置、好ましくはブームの長手軸Lに対して90度の角度にある。これの動きは、基本的に図1に矢印Mで示す。
【0017】
図1の例の駆動モータ部4および5は、当分野で使用される市販の何らかの通常の要素でよく、その基本構造および動作は、十分に従来のものであり、当業者の技能常識に属する。したがって、それらの態様をここでさらに詳述することはしない。各駆動モータ部は、例えば上述したような駆動モータ・歯車装置部、またはトルクモータ部でよい。
【0018】
図1の例では、第1および第2の駆動モータ部4および5は、続いた位置にある。なお、図1は原理図であり、すなわち本構造の基本原理を示す。駆動モータ部4および5の間には、ブームの長さが増すような連結部材、アダプタまたは他の同様の要素があってよい。これについては、先に従来技術として引用したPCT国際公開第WO 2006/096110 A1号公報を参照されたい。
【0019】
図2は、本発明による回動装置が設けられたブームを原理的に示す。図2は、図1と同様の点について同じ参照符号を使用している。
【0020】
図2の実施例では、駆動モータ部4および5はトルクモータユニットである。トルクモータユニットは、当分野でそのように知られているものであり、ピストンの線形運動を歯車伝達装置によって回転運動に変換するものである。
【0021】
本発明の基本概念によれば、第1および第2のトルクモータ部4、5は、ブーム1の長手軸Lの方向から見て互いに対して横に配設されている。これによって、かなり短い構造が得られ、これは、最初に述べたように好ましい。従来技術では、トルクモータ部は、例えばブームの長手軸の方向から見て前後に配設され、これによって長い構造になっていた。上述の特徴は、図1と図2を互いに比較すると、よく分かる。
【0022】
トルクモータは、初期においても、米国特許第4,799,556号のように並んで配置されていた。しかし米国特許第4,799,556号に記載の装置は、技術的に複雑で多数の別の部品を必要とし、したがって最終的には可能な最高レベルのものでなかった。
【0023】
本発明は、従来技術の欠点を解消し、簡略なやり方で短い構造になる回動装置を提供することを目的としている。これは、両トルクモータ部に共通の本体部8に各トルクモータ部を配設することによって得られる。共通の本体部8は図3ないし図9に示す。
【0024】
図3は、本発明による回動装置の斜視図である。図3は、図1および図2と同様の点について同じ参照符号を使用している。
【0025】
図4ないし図6は、本発明による回動装置を様々な方向から見た図として示す。図4ないし図6は、図3と同様の点について同じ参照符号を使用している。
【0026】
図7ないし図9は、本発明による回動装置の基本要素、すなわち両トルクモータ部に共通な本体部8を様々な方向から見た図として示す。図7ないし図9の一体型本体構造によって、両トルクモータ部4、5用の短く、コンパクトで簡略な本体が提供される。各図からわかるように、本体部8は、両トルクモータ部4、5を囲撓する連続体として形成されている。
【0027】
上述した発明の基本思想は、好ましくは第2のトルクモータ部5を第1のトルクモータ部4の脇に位置するようにして本体部8を形成することで実現できる。このようにすれば、トルクモータ部4、5は、簡略かつ好適に互いにできるだけ近接して配置することができる。
【0028】
こうして共通本体部8は、両トルクモータ部4、5が配置された連続部品として形成される。両トルクモータ部4、5に共通の本体部によって、各トルクモータ部のトルク中心は、好ましくは互いに非常に接近して配置することができる。この態様は、図4ないし図9から明瞭に分かる。
【0029】
トルクモータ部4、5の互いに対する方向は変えることができる。しかし、各図の例に示すように、各トルクモータ部の回転軸の方向が互いに対して実質的に90度の角度にあることが好ましい。
【0030】
本発明を上では削岩装置について説明した。しかし本発明は、決して削岩装置のみに限定されず、本発明による回動装置は、他の目的を意図したブームに関連して適用することもできる。
【0031】
本発明はまた、決して各図の例に限定されることはなく、特許請求の範囲内で十分に自由に修正してもよい。このように、本発明による回動装置の細部は、各図の例からかなりの程度、逸れてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸(L)を有するブーム(1)の外方端部に配設された装置を回動させ、実質的に前記ブームの長手軸の方向における軸(L)を中心に前記装置(7)を回動させるように配設された第1のトルクモータ部(4)と、前記ブーム(1)の長手軸(L)に対してある角度位置にある軸(K)を中心に前記装置(7)を回動させるように配設された第2のトルクモータ部(5)とを含み、これによって第1および第2のトルクモータ部(4、5)は、前記ブーム(1)の長手軸(L)の方向から見て互いに対して横に配設された回動装置において、前記トルクモータ部(4、5)は、両トルクモータ部に共通の本体部(8)に配設されていることを特徴とする回動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回動装置において、前記本体部(8)は、第2のトルクモータ部(5)が第1のトルクモータ部(4)の脇に取り付けられていることを特徴とする回動装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の回動装置において、前記本体部(8)は、一体部品として形成されていることを特徴とする回動装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の回動装置において、前記本体部(8)は、両ルクモータ部(4、5)を囲撓するよう配設されていることを特徴とする回動装置。
【請求項5】
請求項1に記載の回動装置において、前記トルクモータ(4、5)の回転軸の方向は、互いに対して実質的に90度の角度にあることを特徴とする回動装置。
【請求項6】
請求項1に記載の回動装置において、前記ブーム(1)は、削岩装置のブームであることを特徴とする回動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−520053(P2011−520053A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508959(P2011−508959)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050374
【国際公開番号】WO2009/138556
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】