説明

回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造

【課題】圧縮機から供給される圧縮空気を有効利用し、燃焼器の壁面を効率よく冷却する回収式空気冷却構造を備えた回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造を提供する。
【解決手段】圧縮機から供給される圧縮空気を燃焼器30の上流側から抽気して昇圧した抽気昇圧空気を壁面40の冷却に用いた後、抽気昇圧空気を回収して圧縮空気の主流と共に燃焼器30で燃料を燃焼させる燃焼用空気として再利用する回収式空気冷却構造を備えた回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造において、燃焼器30の壁面40内に形成された冷却空気通路41に冷却空気を供給して冷却する壁面冷却が、抽気昇圧空気を冷却空気として用いて冷却されるタービン側の下流壁面領域と、車室内部空間を流れる圧縮空気の主流から抽気した抽気圧縮空気を冷却空気として用いて冷却されるバーナ側の上流壁面領域と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンとを主な構成要素とする装置であり、圧縮機は空気を取り込んで圧縮し、高圧の圧縮空気を吐出する。圧縮機から吐出された圧縮空気は、燃焼用空気として燃焼器に取り入れられ、燃焼器に供給されたガスタービン燃料を燃焼させて高温の燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスはタービンに取り入れられ、動翼及び静翼間を燃焼ガスが流れることによりタービンを駆動して出力を得る。
【0003】
従来のガスタービンにおいて、燃焼器やタービン静翼及びタービン動翼等のような高温部品の内部冷却通路は、開放式空気冷却、回収式蒸気冷却及び回収式空気冷却の3種類に大別される。
開放式空気冷却は、高温部品の内部を空気にて冷却し、冷却後の空気をフィルム冷却用空気として使用するものである。
回収式蒸気冷却は、高温部品の内部を蒸気にて冷却し、冷却後の蒸気を蒸気タービンに回収するものである。従って、この回収式蒸気冷却は、ガスタービン単体で適用することはできない。
【0004】
回収式空気冷却は、高温部品内部の冷却用空気として圧縮機から供給される圧縮空気を抽気し、この圧縮空気を用いて高温部品内部を冷却する冷却方式であり、冷却後の圧縮空気は回収されて燃焼器の燃焼用空気として使用される。このように、圧縮機から抽気した圧縮空気を冷却空気として使用するだけでなく、冷却後に回収して燃焼用空気として再利用するように構成された空気冷却系統は、クローズド空冷サイクルとも呼ばれている。この場合、冷却に用いた圧縮空気を燃焼用として使い回すため、燃焼に伴って発生する窒素酸化物を低減することができる。
【0005】
図14は、上述した回収式空気冷却の一例を示す圧縮空気の空気冷却系統図であり、ガスタービンGTの圧縮機1で圧縮された高圧の圧縮空気は、主目的の燃焼用空気として使用するため、圧縮空気供給流路2を通って燃焼器3へ供給される。
圧縮空気供給流路2の途中には、圧縮空気の一部を抽気する分岐流路4が設けられている。この分岐流路4には、抽気した圧縮空気を昇圧してより高圧の昇圧空気とする昇圧装置5が設けられている。
昇圧装置5の出口側は、昇圧空気流路6を介してタービン7の静翼8内と接続されているので、昇圧装置5から供給される昇圧空気は、静翼8の内部冷却通路を通る冷却空気として使用される。静翼8内を冷却した昇圧空気は、戻し流路9を通って圧縮空気供給流路2に戻され、圧縮機1から供給される圧縮空気の主流と合流する。
【0006】
この結果、静翼8の冷却に使用された昇圧空気は、圧縮機1から直接燃焼器3へ供給される圧縮空気とともに、燃焼器3で燃料を燃焼させるための燃焼用空気として使用されることとなる。従って、回収式空気冷却は、圧縮空気供給流路2から抽気した圧縮空気の流路が、高温の燃焼ガスを流しているガスパスに冷却空気を流出させることなく再利用できるクローズドループを形成しているので、タービン7の入口温度を上昇させることなくガスタービン性能の向上に有効な方式といわれている。
【0007】
また、回収式空気冷却には、たとえば図15に示すガスタービンGT′のように、タービン7の静翼8及び動翼10の両方に対して、圧縮空気を抽気して昇圧した昇圧空気を供給して冷却に使用するクローズド空冷サイクルもある。この場合の分岐流路4は2系統に分かれており、一方が静翼8に昇圧空気を供給するとともに、他方が動翼10に昇圧空気を供給する。
なお、図中の符号5Aは昇圧装置、6Aは昇圧空気流路、9Aは戻し流路、11は冷却装置であり、いずれも動翼10への昇圧空気を供給及び回収する系統に配設されている。
【0008】
一方、下記の特許文献1には、ガスタービンの部分負荷時に昇圧装置を運転し、圧縮機の出口側から抽気した圧縮空気を昇圧してから燃焼器の冷却流路内に流して冷却する部分負荷時の運転方法が開示されている。
また、下記の特許文献2には、ガスタービンの定格運転時に昇圧装置を運転し、圧縮機の出口側から抽気した圧縮空気を昇圧してからタービン冷却媒体流路及び燃焼器内の冷却流路に流して冷却する定格時運転方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−90817号公報
【特許文献2】特開2010−90818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述した回収式空気冷却(クローズド空冷サイクル)の冷却方式を採用したガスタービンにおいては、圧縮機から供給される圧縮空気を有効に利用し、燃焼器の壁面についても効率よく冷却できる冷却構造が望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧縮機から供給される圧縮空気を有効に利用し、燃焼器の壁面を効率よく冷却する回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係る回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造は、圧縮機から供給される圧縮空気を燃焼器の上流側から抽気して昇圧した抽気昇圧空気を前記燃焼器の壁面の冷却に用いた後、前記抽気昇圧空気を回収して前記圧縮空気の主流と共に前記燃焼器で燃料を燃焼させる燃焼用空気として再利用する回収式空気冷却構造を備えた回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造において、前記燃焼器の壁面内に形成された冷却空気通路に冷却空気を供給して冷却する壁面冷却が、前記抽気昇圧空気を冷却空気として用いて冷却されるタービン側の下流壁面領域と、車室内を流れる圧縮空気の主流から抽気した抽気圧縮空気を冷却空気として用いて冷却されるバーナ側の上流壁面領域と、を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
このような本発明の回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造によれば、燃焼器の壁面内に形成された冷却空気通路に冷却空気を供給して冷却する壁面冷却が、抽気昇圧空気を冷却空気として用いて冷却されるタービン側の下流壁面領域と、燃焼器車室の内部空間を流れる圧縮空気の主流から抽気した抽気圧縮空気を冷却空気として用いて冷却されるバーナ側の上流壁面領域と、を備えているので、抽気昇圧空気及び抽気圧縮空気を有効に利用して燃焼器の壁面を冷却することができる。
すなわち、比較的高温となる燃焼器のタービン側(下流壁面領域)では、抽気昇圧空気を用いた壁面冷却を行い、比較的低温となる燃焼器のバーナ側(上流壁面領域)では、抽気圧縮空気を用いた壁面冷却を行うようにしたので、抽気昇圧空気の使用量を抑制した壁面冷却が可能になる。
【0013】
上記の発明において、前記下流壁面領域は、前記タービン側に開口する抽気昇圧空気入口穴から導入した前記抽気昇圧空気を前記下流壁面領域におけるバーナ側に開口する抽気昇圧空気出口穴から前記車室の内部空間へ流出させ、前記上流壁面領域は、少なくとも前記上流壁面領域におけるタービン側に開口する抽気圧縮空気入口穴から導入した前記抽気圧縮空気を前記上流壁面領域における中央部に開口する抽気圧縮空気出口穴から流出させることが好ましく、これにより、下流壁面領域ではより熱負荷の高い尾筒出口付近から抽気昇圧空気を流して壁面冷却を行うようになるので、抽気昇圧空気の使用量をより抑制した壁面冷却が可能になる。
この場合、前記上流壁面領域と前記下流壁面領域との境界近傍に開口して隣接する前記抽気昇圧空気出口穴及び/または前記抽気圧縮空気入口穴を千鳥状に配置することが好ましく、これにより、上流壁面領域と下流壁面領域との境界近傍では、抽気昇圧空気出口穴及び/または抽気圧縮空気入口穴の位置を分散させて壁面を効率よく冷却することができる。
【0014】
上記の発明において、前記抽気昇圧空気入口穴から導入した前記抽気昇圧空気を前記抽気昇圧空気出口穴へ導く抽気昇圧空気冷却流路及び/または前記抽気圧縮空気入口穴から導入した前記抽気圧縮空気を前記抽気圧縮空気出口穴へ導く抽気圧縮空気冷却流路は、少なくとも一方が、前記燃焼器の周方向に隣接する流路同士が前記境界近傍で連結された折り返し部を備えていることが好ましく、これにより、境界近傍にて隣接する抽気昇圧空気出口穴及び抽気圧縮空気入口穴の開口位置を離間させ、上流壁面領域を冷却する圧縮空気が温度上昇しないように、抽気昇圧空気と圧縮空気とが混合することを防止または抑制できる。
この場合、前記折り返し部の経路は、前記境界近傍領域を略均等にカバーして前記抽気昇圧空気及び/または前記抽気圧縮空気による壁面冷却を行うように形成されていることが好ましく、これにより、折り返し部が抽気昇圧空気出口穴及び抽気圧縮空気入口穴の開口位置から離れた領域を通過するように形成すれば、略均一な壁面冷却が可能になる。
【0015】
上記の発明において、前記抽気昇圧空気出口穴と前記抽気圧縮空気入口穴との間に前記燃焼器の壁面から突出する仕切壁を設けることが好ましく、これにより、抽気昇圧空気出口穴から流出する抽気昇圧空気の流れと、抽気圧縮空気入口穴に流入する抽気圧縮空気の流れとが混合しないように、確実に分離することができる。
【0016】
上記の発明において、前記境界近傍に開口して隣接する前記抽気昇圧空気出口穴及び前記抽気圧縮空気入口穴の前記燃焼器の長手方向におけるピッチ(P)と、前記抽気昇圧空気出口穴の直径(d)との比(P/d)が、2以上(P/d≧2)となるように設定されていることが好ましく、これにより、抽気昇圧空気出口穴から流出する抽気昇圧空気の流れと、抽気圧縮空気入口穴に流入する抽気圧縮空気の流れとが互いに混合しないように、隣接する抽気昇圧空気出口穴と抽気圧縮空気入口穴との間に十分な間隔を設けることができる。
【0017】
上記の発明において、前記抽気圧縮空気入口穴の直径(di)は、前記抽気昇圧空気出口穴の直径(d)よりも大きな値(di>d)となるように設定されていることが好ましく、これにより、穴径の小さい抽気昇圧空気出口穴から流出する抽気昇圧空気の流速が大きくなるので、高温の抽気昇圧空気は流速の小さい抽気圧縮空気と混合されずに車室の内部空間へ流出しやすくなる。この結果、抽気圧縮空気入口穴に流入する抽気圧縮空気は、高温の抽気昇圧空気が混合されにくくなることにより、温度上昇を防止または抑制することができる。
【0018】
上記の発明において、前記下流壁面領域と前記上流壁面領域との境界は、音響ライナのタービン側端部近傍に位置することが好ましく、これにより、抽気昇圧空気を削減してサイクル性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明によれば、回収式空気冷却(クローズド空冷サイクル)の冷却方式を採用した回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造において、圧縮機から供給される圧縮空気を有効に利用し、燃焼器において比較的高温側のタービン側は抽気昇圧空気を使用した壁面冷却を行い、比較的低温のバーナ側は抽気圧縮空気を使用した壁面冷却を行うことができる。
この結果、燃焼器の下流壁面領域を冷却した抽気昇圧空気と、燃焼器の上流壁面領域を冷却した抽気圧縮空気とは、いずれも燃焼用空気として有効に再利用されるため、昇圧が必要となる抽気昇圧空気の使用量を抑制し、燃焼器の壁面を効率よく冷却できる回収式空気冷却方式の冷却構造を備えたガスタービンとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造の一実施形態として、燃焼器の壁面冷却系統を示す断面図である。
【図2】図1に示した燃焼器の壁面冷却系統に関する要部拡大図であり、(a)は上流から下流までの壁面冷却系統を示す断面斜視図、(b)は(a)を燃焼器外側から見た平面模式図である。
【図3】図1に示す燃焼器の壁面冷却系統を示す要部拡大図で、(a)は(c)のA−A断面図、(b)は(c)のB−B断面図、(c)は(a)及び(b)を燃焼器外側から見た平面模式図である。
【図4】燃焼器壁面に対して回収式空気冷却を行うガスタービンの構成例を示す図である。
【図5】ガスタービンの燃焼器及びその周辺構造例を示す図である。
【図6】燃焼器壁面の冷却流路及び冷却空気入口/出口の配置例を示す第1変形例として、抽気圧縮空気冷却流路側に折り返し部を設けるとともに、抽気圧縮空気入口穴を異なる配置とした(a)、(b)及び(c)の3パターンが示されている。
【図7】燃焼器壁面の冷却流路及び冷却空気入口/出口の配置例を示す第2変形例として、抽気圧縮空気冷却流路側に折り返し部を設けるとともに、抽気昇圧空気出口穴を異なる配置としたパターンが示されている。
【図8】燃焼器壁面の冷却流路及び冷却空気入口/出口の配置例を示す第3変形例として、抽気昇圧空気冷却空気及び抽気圧縮空気冷却流路の両方に折り返し部を設けたパターンが示されている。
【図9】燃焼器壁面の冷却流路及び冷却空気入口/出口の配置例を示す第4変形例として、抽気圧縮空気冷却流路側に設けた折り返し部を異なる経路としたパターンが示されている。
【図10】燃焼器壁面の冷却流路及び冷却空気入口/出口の配置例を示す第5変形例として、抽気昇圧空気冷却空気に折り返し部を設けたパターンが示されている。
【図11】仕切壁を設けた第6変形例を示す図で、(a)は燃焼器壁面の冷却流路及び冷却空気入口/出口の配置例を示す平面模式図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図12】隣接する抽気昇圧空気出口穴及び抽気圧縮空気入口穴のピッチ(P)と抽気昇圧空気出口穴の直径(d)との比(P/d)について、抽気圧縮空気の混合温度との関係を示す図である。
【図13】抽気圧縮空気入口穴の直径(di)と抽気昇圧空気出口穴の直径(d)との比について、抽気圧縮空気の混合温度との関係を示す図である。
【図14】従来のガスタービンに適用されている回収式空気冷却例として、タービンの静翼を冷却するために圧縮空気を使用している空気冷却系統図である。
【図15】従来のガスタービンに適用されている回収式空気冷却例として、タービンの静翼及び動翼を冷却するために圧縮空気を使用している空気冷却系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図4は本実施形態に係るガスタービンを示す概略構成図、図5はガスタービンの燃焼器周辺構造例を示す断面図である。なお、図示のガスタービンは発電機を駆動しているが、これに限定されるものではない。
図示のガスタービンGT1は、圧縮機1と、燃焼器30と、タービン7とにより構成されており、このタービン7には発電機Geが連結されている。
【0022】
圧縮機1は、大気中から取り込んだ空気を圧縮する。この圧縮空気は、その主流が圧縮空気供給流路2を通って燃焼器30に供給される。
燃焼器30は、圧縮機1で圧縮された圧縮空気を用いて燃料を燃焼させ、高温高圧の燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスは、タービン7に供給される。
タービン7は、タービン車室内に複数の静翼及び動翼が交互に配設されている。このタービン7は、燃焼ガスが静翼と動翼との間を通過して流れることにより、動翼を取り付けたロータを回転させて発電機Geの駆動力が発生する。
【0023】
上述したガスタービンGT1には、圧縮機1で圧縮した圧縮空気の一部を抽気し、圧縮空気より高い圧力に昇圧する昇圧装置5が設けられている。この昇圧装置5は、圧縮空気供給流路2の途中から分岐し、圧縮空気の一部を抽気する分岐流路4に設けられて電動モータMにより駆動されている。
昇圧装置5で昇圧された抽気昇圧空気は、昇圧空気流路6Bを通って燃焼器30に供給され、燃焼器30の壁面冷却用冷却空気として使用される。こうして燃焼器30の壁面冷却に使用された抽気昇圧空気は、戻し流路9Bを通って圧縮空気供給流路2に戻され、圧縮空気供給流路2を流れる圧縮空気の主流と合流した後、燃焼器30で燃料を燃焼させる燃焼用空気として再利用される。
【0024】
このように、上述したガスタービンGT1は、圧縮機1から供給される圧縮空気を燃焼器30の上流側から抽気して昇圧した抽気昇圧空気を燃焼器壁面の冷却空気に用いた後、この抽気昇圧空気を回収して圧縮空気の主流と共に燃焼器30で燃料を燃焼させる燃焼用空気として再利用する回収式空気冷却構造を備えている。なお、図示の回収式空気冷却構造においては、抽気昇圧空気を燃焼器30の壁面冷却にのみ使用しているが、上述した従来技術のように、タービン7の静翼8や動翼10を冷却するものとの組合せでもよい。
【0025】
燃焼器30は略円筒形状をなし、たとえば図5に示すように、ガスタービンGT1の車室(ケーシング)Ca内に形成された車室内部空間12に収納設置されており、ロータの外周を取り囲むようにして円周方向に複数本が配設されている。この燃焼器30は、内筒31と、尾筒32と、音響ライナ33とを備え、内筒31の内部には燃焼バーナ34が配設されている。
燃焼バーナ34は、中央部に配置したパイロットバーナ35と、パイロットバーナ35の周囲を取り囲むように配置した複数のメインバーナ36とを備えている。
なお、燃焼器30が設置された車室Caの内部空間12には、圧縮機1で圧縮された圧縮空気が導入されて充満している。
【0026】
車室内部空間12に導入された圧縮空気は、燃焼器30の上流部(燃焼バーナ34側)から内筒31の内部に流入し、燃焼バーナ34から供給された燃料と混合されて燃焼する。この燃焼により生成された高温高圧の燃焼ガスは、尾筒32を通って下流側のタービン7へ供給される。
このようなガスタービンGT1の燃焼器30は、たとえば図1に示すように、燃焼器30の壁面40内に形成された冷却空気通路41に冷却空気を供給して冷却する壁面冷却を行うため、抽気昇圧空気を冷却空気に用いて冷却するタービン7側の下流壁面領域と、車室Caの内部空間12内を流れる圧縮空気の主流から抽気した抽気圧縮空気を冷却空気に用いて冷却する燃焼バーナ34側の上流壁面領域とを備えている。
【0027】
図1〜図3に示す実施形態において、燃焼器30の尾筒32を形成する壁面40は、内壁40aと外壁40bとをろう付けして接合した二重壁構造とされ、たとえば肉厚のある外壁40b側に形成した燃焼器30の軸方向(長手方向)の凹溝が内壁40bの接合により冷却空気流路41となる。この冷却空気流路41は、燃焼器30の周方向において、多数が隣接して並列に設けられている。なお、図中の符号33aは、壁面40を貫通して設けた音響穴である。
本実施形態では、抽気圧縮空気で冷却する上流側領域と、抽気昇圧空気で冷却する下流側領域との境界が、音響ライナ33よりタービン7側で、かつ、音響ライナ33のタービン7側端部付近となる。従って、冷却空気流路41は、抽気圧縮空気を流す抽気圧縮空気冷却流路(以下、「圧縮冷却流路」と呼ぶ)41Aと、抽気昇圧空気を流す抽気昇圧空気冷却流路(以下、「昇圧冷却流路」と呼ぶ)41Bと、に分割される。
【0028】
下流壁面領域では、尾筒32の後端部付近から導入した抽気昇圧空気が昇圧冷却流路41Bを流れ、音響ライナ33のタービン7側端部付近から車室内部空間12内へ流出する。
具体的に説明すると、抽気昇圧空気は、昇圧空気流路6Bを通って尾筒32の後端部付近に設けたマニホールド37内に導かれる。マニホールド37の内側には、壁面40内に抽気昇圧空気を流す昇圧冷却流路41Bの入口開口として、抽気昇圧空気入口穴(以下、「昇圧入口穴」と呼ぶ)42が流路毎に設けられている。
【0029】
そして、昇圧冷却流路41Bの出口開口となる抽気昇圧空気出口穴(以下、「昇圧出口穴」と呼ぶ)43は、音響ライナ33よりタービン7側で、かつ、音響ライナ33のタービン7側端部付近に開口している。
このため、マニホールド37内で昇圧入口穴42から流入した抽気昇圧空気は、昇圧冷却流路41Bを音響ライナ33側へ流れて壁面40を冷却し、温度上昇した抽気昇圧空気が昇圧出口穴43から車室内部空間12内へ流出する。車室内部空間12内へ流出した高温の抽気昇圧空気は、車室内部空間12内に充満する圧縮空気と合流することにより、燃焼用空気として再利用される。
【0030】
上流壁面領域では、音響ライナ33のタービン7側端部付近及びバーナ34側端部付近から車室内部空間12内の圧縮空気を抽気することにより、この抽気圧縮空気が圧縮冷却流路41Aを流れて音響ライナ33の内部に流出する。
具体的に説明すると、音響ライナ33は、燃焼器30の周方向に延在するライナ本体33bの内部に、壁面40を貫通する多数の音響穴33aを備えている。このため、圧縮冷却流路41Aは、音響穴33aを避けた位置に設けられている。
【0031】
このような圧縮冷却流路41Aには、ライナ本体33bの外側両端付近に開口する抽気圧縮空気入口穴(以下、「圧縮入口穴」と呼ぶ)44と、上流壁面領域の中央部に位置し、ライナ本体33bの内部に開口する抽気圧縮空気出口穴(以下、「圧縮出口穴」と呼ぶ)45とが設けられている。このため、車室内部空間12内に充満している圧縮空気は、ライナ本体33bの近傍で圧縮入口穴44から抽気されて圧縮冷却流路41Aに流入し、音響ライナ33の周辺領域で壁面40を冷却した後、温度上昇した抽気圧縮空気が圧縮出口穴45から音響ライナ33内へ流出した後、音響穴33aを介して燃焼器30の燃焼室38内へ流出して燃焼に使用される。
【0032】
このように、下流壁面領域では抽気昇圧空気を用いた壁面冷却を行い、上流壁面領域では抽気圧縮空気を用いた壁面冷却を行うようにすれば、比較的高温となる燃焼器30の尾筒32におけるタービン7側(下流壁面領域)では、比較的低温の状態にある抽気昇圧空気を用いた壁面冷却を行い、比較的低温となる燃焼器30の尾筒32における燃焼バーナ34側(上流壁面領域)では、抽気圧縮空気を用いた壁面冷却を行うことができる。
【0033】
このため、燃焼器30の壁面冷却に使用した冷却空気は、抽気昇圧空気及び抽気圧縮空気を共に燃焼用空気として再利用でき、従って、燃焼器30の壁面冷却を効率よく行うと共に、燃焼に伴って発生する窒素酸化物の低減も可能になる。すなわち、熱負荷が高くなる尾筒32の出口側(下流側)から冷却空気として昇圧圧縮空気を流しているので、冷却空気を有効活用して壁面冷却を行うことができる。
また、抽気圧縮空気を用いて冷却する上流壁面領域を設けたことにより、抽気昇圧空気量を低減できるので、昇圧装置5の小型化や駆動用の消費動力低減が可能になる。
【0034】
ところで、上述した昇圧出口穴43及び圧縮入口穴44は、上流壁面領域と下流壁面領域との境界近傍において燃焼器30の長手方向(燃焼ガス流れ方向)に隣接している。
この場合、昇圧出口穴43及び圧縮入口穴44は、各々燃焼器30の周方向へ一列に配列されていてもよいが、千鳥配置とすることが望ましい。このような千鳥配置は、高温の抽気昇圧空気が流出する昇圧出口穴43を分散させるので、昇圧出口穴43が設けられる音響ライナ33の燃焼ガス流れ方向下流側の上流壁面領域と下流壁面領域との境界近傍位置において、効率よく壁面冷却することができる。
【0035】
しかし、音響ライナ33の下流側における上流壁面領域と下流壁面領域との境界近傍位置においては、冷却後の高温空気が流出する昇圧出口穴43と、冷却前の低温空気が流入する圧縮入口穴44とが隣接した位置に存在しているので、両者が互いに近い位置にあると、温度差のある空気が混合することが考えられる。このような混合は、圧縮入口穴44に流入する冷却前の抽気圧縮空気温度を上昇させ、抽気圧縮空気を流して壁面冷却を行うように圧縮冷却流路41Aを形成した壁面40における上流壁面領域の冷却能力を低下させることが懸念される。
【0036】
そこで、本実施形態の変形例では、音響ライナ33のタービン7側における上流壁面領域と下流壁面領域との境界近傍に開口する昇圧出口穴43へ抽気昇圧空気を供給する昇圧冷却流路41B及び/または圧縮入口穴44から導入した抽気圧縮空気を音響ライナ33の内部へ導く圧縮冷却流路41Aにおいて、少なくとも一方の冷却流路が、燃焼器30の周方向に隣接する流路同士を音響ライナ33のタービン7側における上流壁面領域と下流壁面領域との境界近傍で連結させた折り返し部50を備えている。
このような折り返し部50は、境界近傍において隣接する昇圧出口穴43及び圧縮入口穴44の開口位置を離間させ、上流壁面領域を冷却する抽気圧縮空気の温度が上昇しないように、抽気昇圧空気と抽気圧縮空気とが混合することを防止または抑制する。また、折り返し部50の経路は、上流壁面領域と下流壁面領域との境界近傍領域を略均等にカバーし、抽気昇圧空気または抽気圧縮空気による壁面冷却を行うように形成することが望ましい。
【0037】
図6に示す第1変形例では、圧縮冷却流路41A側に略U字状の折り返し部50を設けてある。すなわち、隣接する2本の圧縮冷却流路41Aは、タービン7側の流路端部同士が略U字状に連結され、昇圧出口穴43から離間して高温の抽気昇圧空気と混合しにくい位置に圧縮入口穴44が開口して設けられている。
【0038】
図6(a)の折り返し部50は、昇圧出口穴43が音響ライナ33から離間して尾筒後端部側に引っ込んだ位置にあるため、昇圧出口穴43のない壁面領域まで突出して設けられている。このため、折り返し部50を通過して流れる抽気圧縮空気は、上流壁面領域と下流壁面領域との境界近傍領域を略均等にカバーするように流れ、昇圧出口穴43のない壁面領域を冷却する。すなわち、折り返し部50が昇圧出口穴43及び圧縮入口穴44の開口位置から離れた領域を通過し、昇圧出口穴43及び圧縮入口穴44のない空白壁面領域をカバーするように形成されているので、上流壁面領域と下流壁面領域との境界近傍でも略均一な壁面冷却が可能になる。
【0039】
また、図6(b)及び図6(c)に示す例においては、折り返し部50により連結された圧縮冷却流路41Aから分岐する冷却分岐流路46を形成し、この冷却分岐流路46の端部に圧縮入口穴44を設けている。このような冷却分岐流路46を設けることにより、昇圧出口穴43に対する圧縮入口穴44の配置を容易に最適化することができる。なお、冷却分岐流路46の分岐位置等については、図示の例に限定されることはない。
【0040】
図7に示す第2変形例では、上述した図6(a)と昇圧出口穴43及び圧縮入口穴44の配置が異なっている。この場合、折り返し部50と対応する3つの昇圧出口穴43は燃焼器30の周方向において直線状に配置され、隣接する二つの折り返し部50間では、昇圧冷却流路41Bを音響ライナ33側へ延長して昇圧出口穴43を配置している。また、圧縮入口穴44については、図6(a)の1箇所から3箇所に増加している。
【0041】
図8に示す第3変形例では、上述した図7と昇圧冷却流路41B側の構成が異なっている。この場合、昇圧冷却流路41B側にも略U字状の折り返し部50が設けられ、かつ、昇圧出口穴43の数や配置も異なっている。
図9に示す第4変形例では、上述した図7の折り返し部50について、略U字状から略M字状の折り返し部51に変更されている。
図10に示す第5変形例では、上述した図8と昇圧冷却流路41B側にのみ略U字状の折り返し部50を設けた点が異なっている。
【0042】
このように、上述した略U字状の折り返し部50については、圧縮冷却流路41A及び昇圧冷却流路41Bの両方またはいずれか一方のみに設けることが可能である。また、折り返し部50の形状についても、略U字状に限定されることはなく、略M字状の折り返し部51や略S字状等を適宜採用することができる。
すなわち、折り返し部50については、昇圧出口穴43及び圧縮入口穴44の離間距離を最適化するとともに、折り返し部50の通過により空白壁面領域をカバーして上流壁面領域と下流壁面領域との境界近傍で壁面冷却を略均一化するように、図6から図10に示した各変形例及びその組合せを適宜選択すればよい。
【0043】
次に、図11に基づいて、仕切壁を設けた第6変形例を説明する。なお、上述した実施形態及びその変形例と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例では、上流壁面領域と下流壁面領域との境界近傍の昇圧出口穴43と圧縮入口穴44との間に、燃焼器30の壁面40から突出する仕切壁60を設けてある。この仕切壁60は、壁面40の車室内部空間12側に突出することにより、昇圧出口穴43から流出する高温の抽気昇圧空気が圧縮入口穴44に流入する低温の抽気圧縮空気と混合することを確実に防止する。すなわち、仕切壁60は、昇圧出口穴43から流出する抽気昇圧空気の流れと、圧縮入口穴44に流入する抽気圧縮空気の流れとを分断する壁面部材であり、両方の空気流れが混合しないよう確実に分離することができる。
【0044】
図示の構成例では、仕切壁60の先端部から尾筒32の後端部方向(タービン7側)へ折曲されたガイド部61を備えている。このガイド部61は、壁面40と略平行なガイド面を形成し、昇圧出口穴43から流出する抽気昇圧空気の流れを圧縮入口穴44と反対の下流側(尾筒32の後端部側)へ導くので、抽気昇圧空気と抽気圧縮空気との混合をより一層確実に防止することができる。
なお、このような仕切壁60は、上述した実施形態及びその変形例に対して適用可能であり、いずれの場合も互いの相乗効果により、燃焼器30の壁面冷却をより一層効率よく実施できる。
【0045】
ところで、上述した実施形態及びその変形例においては、図2(b)及び図11(a)に示すように、上流壁面領域と下流壁面領域との境界近傍で隣接している昇圧出口穴43及び圧縮入口穴44の燃焼器30の長手方向におけるピッチ(P)と、昇圧出口穴43の直径(d)との比(P/d)が、2以上(P/d≧2)となるように設定することが好ましい。
図12は、隣接する昇圧出口穴43及び圧縮入口穴44のピッチ(P)と昇圧出口穴43の直径(d)との比(P/d)について、抽気昇圧空気と抽気圧縮空気との混合状態を表す抽気圧縮空気の混合温度との関係を示している。この図によれば、(P/d)を2以上に大きくしても混合温度の変化はほとんどない。
【0046】
従って、昇圧出口穴43の直径(d)との比(P/d)が2以上(P/d≧2)であれば、昇圧出口穴43から流出する抽気昇圧空気の流れ及び圧縮入口穴44に流入する抽気圧縮空気の流れはほとんど混合することはないと考えられる。すなわち、昇圧出口穴43から流出する抽気昇圧空気の流れと圧縮入口穴44に流入する抽気圧縮空気の流れとが互いに混合しないようにするためには、(P/d≧2)の条件を満足することにより、隣接する昇圧出口穴43と圧縮入口穴44との間に十分な間隔を設けることができる。
【0047】
また、上述した実施形態及びその変形例においては、図2(b)及び図11(a)に示すように、上流壁面領域と下流壁面領域との境界近傍にて開口する圧縮入口穴44の直径(di)は、昇圧出口穴43の直径(d)よりも大きな値(di>d)となるように設定することが望ましい。
図13は、圧縮入口穴44の直径(di)と昇圧出口穴43の直径(d)との比について、抽気昇圧空気と抽気圧縮空気との混合状態を表す抽気圧縮空気の混合温度との関係を示している。この図によれば、両直径の比(di/d)が大きくなるほど混合温度が低下している。
【0048】
従って、直径(di)は、昇圧出口穴43の直径(d)よりも大きいほど混合しにくいことが分かる。これは、穴径の小さい昇圧出口穴43から流出する抽気昇圧空気の流速が大きくなるので、高温の抽気昇圧空気は流速の小さい抽気圧縮空気と混合されずに車室内部空間12側へ流出しやすくなるためと考えられる。この結果、圧縮入口穴44に流入する抽気圧縮空気は、高温の抽気昇圧空気と混合されにくくなるため、温度上昇を防止または抑制されて良好な冷却能力を得ることができる。
【0049】
このように、上述した本実施形態及び変形例によれば、回収式空気冷却(クローズド空冷サイクル)の冷却方式を採用したガスタービンGT1において、圧縮機1から供給される圧縮空気を有効に利用し、燃焼器30において比較的高温のタービン7側では抽気昇圧空気を使用した壁面冷却を行い、燃焼バーナ34側では抽気圧縮空気を使用した壁面冷却を行うことができる。この結果、燃焼器30の下流壁面領域を冷却した抽気昇圧空気と、燃焼器30の上流壁面領域を冷却した抽気圧縮空気とは、いずれも燃焼用空気として有効に再利用されるため、燃焼器30の壁面を効率よく冷却できる回収式空気冷却方式の冷却構造を備えたガスタービンとなる。
【0050】
ところで、上述した実施形態及び変形例では、下流壁面領域と上流壁面領域との境界が音響ライナ33のタービン7側端部近傍に位置しているが、本発明はこれに限定されることはない。
しかし、上述した境界を音響ライナ33のタービン7側端部とすることにより、抽気昇圧空気量(クローズド冷却空気量)を削減できるため、ガスタービンのサイクル性能を向上させることができる。すなわち、音響ライナ33の冷却には、差圧の確保が可能なため抽気昇圧空気及び抽気圧縮空気のいずれも使用可能であり、従って、昇圧を必要としない抽気圧縮空気を使用して冷却すると、昇圧動力等が不要になる分サイクル性能の向上に有利である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 圧縮機
3,30 燃焼器
5 昇圧装置
7 タービン
12 車室内部空間
31 内筒
32 尾筒
33 音響ライナ
33a 音響穴
33b ライナ本体
34 燃焼バーナ
37 マニホールド
38 燃焼室
40 壁面
41 冷却空気通路
41A 抽気圧縮空気冷却流路(圧縮冷却流路)
41B 抽気昇圧空気冷却流路(昇圧冷却流路)
42 抽気昇圧空気入口穴(昇圧入口穴)
43 抽気昇圧空気出口穴(昇圧出口穴)
44 抽気圧縮空気入口穴(圧縮入口穴)
45 抽気圧縮空気出口穴(圧縮出口穴)
46 冷却分岐流路
50,51 折り返し部
60 仕切壁
61 ガイド部
GT1 ガスタービン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機から供給される圧縮空気を燃焼器の上流側から抽気して昇圧した抽気昇圧空気を前記燃焼器の壁面の冷却に用いた後、前記抽気昇圧空気を回収して前記圧縮空気の主流と共に前記燃焼器で燃料を燃焼させる燃焼用空気として再利用する回収式空気冷却構造を備えた回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造において、
前記燃焼器の壁面内に形成された冷却空気通路に冷却空気を供給して冷却する壁面冷却が、前記抽気昇圧空気を冷却空気として用いて冷却されるタービン側の下流壁面領域と、車室内を流れる圧縮空気の主流から抽気した抽気圧縮空気を冷却空気として用いて冷却されるバーナ側の上流壁面領域と、を備えていることを特徴とする回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造。
【請求項2】
前記下流壁面領域は、前記タービン側に開口する抽気昇圧空気入口穴から導入した前記抽気昇圧空気を前記下流壁面領域におけるバーナ側に開口する抽気昇圧空気出口穴から前記車室の内部空間へ流出させ、
前記上流壁面領域は、少なくとも前記上流壁面領域におけるタービン側に開口する抽気圧縮空気入口穴から導入した前記抽気圧縮空気を前記上流壁面領域における中央部に開口する抽気圧縮空気出口穴から流出させることを特徴とする請求項1に記載の回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造。
【請求項3】
前記上流壁面領域と前記下流壁面領域との境界近傍に開口して隣接する前記抽気昇圧空気出口穴及び/または前記抽気圧縮空気入口穴を千鳥状に配置したことを特徴とする請求項2に記載の回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造。
【請求項4】
前記抽気昇圧空気入口穴から導入した前記抽気昇圧空気を前記抽気昇圧空気出口穴へ導く抽気昇圧空気冷却流路及び/または前記抽気圧縮空気入口穴から導入した前記抽気圧縮空気を前記抽気圧縮空気出口穴へ導く抽気圧縮空気冷却流路は、少なくとも一方が、前記燃焼器の周方向に隣接する流路同士が前記境界近傍で連結された折り返し部を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造。
【請求項5】
前記折り返し部の経路は、前記境界近傍領域を略均等にカバーして前記抽気昇圧空気及び/または前記抽気圧縮空気による壁面冷却を行うように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造。
【請求項6】
前記抽気昇圧空気出口穴と前記抽気圧縮空気入口穴との間に前記燃焼器の壁面から突出する仕切壁を設けたことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造。
【請求項7】
前記境界近傍に開口して隣接する前記抽気昇圧空気出口穴及び前記抽気圧縮空気入口穴の前記燃焼器の長手方向におけるピッチ(P)と、前記抽気昇圧空気出口穴の直径(d)との比(P/d)が、2以上(P/d≧2)となるように設定されていることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造。
【請求項8】
前記抽気圧縮空気入口穴の直径(di)は、前記抽気昇圧空気出口穴の直径(d)よりも大きな値(di>d)となるように設定されていることを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造。
【請求項9】
前記下流壁面領域と前記上流壁面領域との境界が、音響ライナのタービン側端部近傍に位置することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の回収式空気冷却ガスタービン燃焼器冷却構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−77660(P2012−77660A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222494(P2010−222494)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000222037)東北電力株式会社 (228)