説明

回収装置および画像形成装置

【課題】液体現像剤中のトナーの濃度の低下を防止しつつ回収した液体現像剤を有効利用することができる回収装置および該回収装置を装備する画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像部5、第1スクイーズ部6、第2スクイーズ部7および感光体クリーニング部8で液体現像剤を回収しているが、現像部5や第1スクイーズ部6で回収した液体現像剤は比較的高濃度であるため、撹拌タンク92に戻して再利用に供する。一方、第2スクイーズ部7や感光体クリーニング部8で回収した液体現像剤は比較的低濃度であるため、撹拌タンク92とは別のバッファタンク93に貯留して撹拌タンク92内でのトナー濃度の低下を防止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナーおよびキャリア液体を含む液体現像剤を、潜像担持体から回収する回収装置、および該回収装置を装備する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、帯電している感光体ドラムなどの潜像担持体に静電潜像を形成し、キャリア液体にトナーを分散した液体現像剤により静電潜像を顕像化してトナー像を形成し、このトナー像を中間転写体を介して用紙に転写して所定の画像を得るようにした液体現像方式の画像形成装置が実用化されている。また、この画像形成装置では、潜像像担持体ドラム上に形成されたトナー像から余分なキャリア液体を含む余剰の液体現像剤やカブリトナーを除去して回収するため、スクイーズローラーを用いた回収装置が用いられている(例えば特許文献1)。この特許文献1に記載の装置では、ドラム状の潜像担持体の回転方向に沿って2本のスクイーズローラーが配置されており、所定方向に回転して感光体上の帯電かぶりや余剰の液体現像剤を除去し、それらを回収部材に回収する。そして、回収した現像液を撹拌タンクに回収し、再利用に供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−185984号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した回収装置では、液体現像剤により静電潜像が現像される現像位置に対し、潜像担持体の表面の移動方向の下流側で第1スクイーズローラーが配置されるとともに、さらに第1スクイーズローラーの下流側に第2スクイーズローラーが配置されている。そして、第1スクイーズローラーが液体現像剤で現像された像を担持した潜像担持体と当接して液体現像剤を回収し、さらに第2スクイーズローラーが第1スクイーズローラーでスクイーズされた前記潜像担持体と当接して液体現像剤を回収する。このように、2段階のスクイーズ処理を行っている。このため、第2スクイーズローラーで回収された液体現像剤中のトナーの濃度は第1スクイーズローラーで回収された液体現像剤中のトナーの濃度よりも低くなる。したがって、第2スクイーズローラーで回収された液体現像剤をそのまま撹拌タンクに貯留すると、撹拌タンク内でのトナーの濃度が大幅に低下してしまう。
【0005】
この発明にかかるいくつかの態様は、液体現像剤中のトナーの濃度(以下「トナー濃度」という)の低下を防止しつつ回収した液体現像剤を有効利用することができる回収装置および該回収装置を装備する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の第1の態様は、回収装置であって、トナーおよびキャリア液体を含む液体現像剤で現像された像を担持した潜像担持体と当接して液体現像剤を回収する第1スクイーズローラー及び前記第1スクイーズローラーで回収された液体現像剤を貯留する第1貯留部を有する第1スクイーズ部と、前記第1スクイーズローラーでスクイーズされた前記潜像担持体と当接して液体現像剤を回収する第2スクイーズローラー及び前記第2スクイーズローラーで回収された液体現像剤を貯留する第2貯留部を有する第2スクイーズ部と、前記第1貯留部に貯留された液体現像剤が搬送されて、搬送された液体現像剤を貯蔵するとともに、貯蔵された液体現像剤のトナー濃度を調整する濃度調整槽と、前記第2貯留部に貯留された液体現像剤が搬送されて、搬送された液体現像剤を貯蔵する貯蔵槽と、を備えることを特徴としている。
【0007】
また、この発明の第2の態様は、画像形成装置であって、潜像が形成される潜像担持体と、トナーおよびキャリア液体を含む液体現像剤で前記潜像担持体に形成される前記潜像を現像する現像ローラーを有する現像部と、前記現像ローラーで現像された前記潜像担持体と当接して液体現像剤を回収する第1スクイーズローラー及び前記第1スクイーズローラーで回収された液体現像剤を貯留する第1貯留部を有する第1スクイーズ部と、前記第1スクイーズローラーでスクイーズされた前記潜像担持体と当接して液体現像剤を回収する第2スクイーズローラー及び前記第2スクイーズローラーで回収された液体現像剤を貯留する第2貯留部を有する第2スクイーズ部と、前記第1貯留部に貯留された液体現像剤が搬送されて、搬送された液体現像剤を貯蔵するとともに貯蔵された液体現像剤のトナー濃度を調整する濃度調整槽と、前記第2貯留部に貯留された液体現像剤が搬送されて、搬送された液体現像剤を貯蔵する貯蔵槽と、を備えることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(回収装置および画像形成装置)では、第1スクイーズローラーで回収された液体現像剤は第1貯留部を経由して濃度調整槽に貯蔵され、濃度調整槽内でトナー濃度が調整される。そして、このように濃度調整された液体現像剤の再利用が可能となる。一方、第2スクイーズローラーで回収された液体現像剤は第2貯留部を経由して濃度調整槽とは別の貯蔵槽に貯蔵される。このため、濃度調整槽内でのトナー濃度が第2スクイーズローラーで回収された液体現像剤により低下するのが効果的に防止される。
【0009】
また、現像部が、現像ローラーと当接して液体現像剤を回収する現像ローラークリーニング部材を備え、濃度調整槽が、現像ローラークリーニング部材で回収された液体現像剤を貯蔵するように構成してもよい。
【0010】
また、クリーニング部材で回収された液体現像剤を濃度調整槽に流動させる第1の配管と、第1の配管に連通されて第1スクイーズローラーで回収された液体現像剤を第1の配管内に流動させる第2の配管と、を備えるように構成してもよい。
【0011】
さらに、第2スクイーズローラーでスクイーズされた潜像担持体と当接して潜像担持体に現像された像を転写媒体に転写する転写部と、転写部で像が転写媒体に転写された潜像担持体と当接してクリーニングし、液体現像剤を回収するクリーニング部材を有するクリーニング部と、を備え、貯蔵槽が、クリーニング部のクリーニング部材で回収された液体現像剤を貯蔵するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明にかかる回収装置の一実施形態を装備する画像形成装置を示す図。
【図2】図1に示す装置での液体現像剤の供給および回収の経路を示す模式図。
【図3】現像部での液体現像剤の供給および回収の経路を示す模式図。
【図4】本発明にかかる画像形成装置の他の実施形態を示す図。
【図5】各回収部材で回収される液体現像剤中のトナー濃度等と画線率との関係を示す図。
【図6】撹拌タンク内でのトナー濃度の低下と画線率との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明にかかる回収装置の一実施形態を装備した画像形成装置を示す図である。また、図2は図1に示す装置での液体現像剤の供給および回収の経路を示す模式図である。さらに、図3は現像部での液体現像剤の供給および回収の経路を示す模式図である。この画像形成装置は、感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平面HPの鉛直方向の下方で、感光体ドラム1に担持される像を1次転写部2のブランケットローラー21に転写し、さらにブランケットローラー21に転写された像を転写紙(転写媒体)に転写する、いわゆる下部転写構造を有している。なお、図1の画像形成装置は後述するように単色のトナー像を形成して転写紙に転写して印刷物を形成するものであり、同装置を複数台、例えば4台配列してカラー印刷システムを構成することが可能である。もちろん、図1の装置は単独でモノクロの画像形成装置としても機能する。
【0014】
この画像形成装置では、感光体ドラム1は、アモルファスシリコン感光体などの感光体材料からなる感光層を表面に有している。そして、その回転軸が主走査方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように感光体ドラム1は配置されており、図1中矢印D1の方向に所定速度で回転駆動される。
【0015】
感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1表面を所定の電位に帯電させる帯電部3と、感光体ドラム1表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光部4と、該静電潜像を液体現像剤で現像してトナー像を形成する現像部5と、第1スクイーズ部6と、第2スクイーズ部7と、1次転写部2のブランケットローラー21と、一次転写後の感光体ドラム1の表面をクリーニングする感光体クリーニング部8とが、それぞれこれらの順に感光体ドラム1の回転方向D1(図1では、反時計回り)に沿って配設されている。
【0016】
帯電部3は、6個の帯電器31と帯電器気流ダクト32とを有しており、図1紙面において、感光体ドラム1の回転中心を通る仮想鉛直面VPに対して右側で、しかも感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平面HPに対して鉛直方向の下方に配されている。これらの帯電器31は感光体ドラム1の表面に接触しないものであり、感光体ドラム1の回転方向D1に沿って6個配列されている。帯電器31としては、例えば従来周知慣用のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器にスコロトロン帯電器を用いた場合には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤにはワイヤ電流が流されるとともに、グリッドには直流(DC)のグリッド帯電バイアスが印加される。このように帯電器31によるコロナ放電で感光体ドラム1が帯電されることで、感光体ドラム1の表面の電位が略均一の電位に設定される。また、帯電器気流ダクト32は帯電器31に向けて外気を導入する外気導入経路(図示省略)と、帯電器31での放電により発生する雰囲気を排気する排気経路(図示省略)とを有しており、帯電処理が行われる雰囲気を換気して雰囲気管理を行う。
【0017】
露光部4は、図1紙面において仮想鉛直面VPに対して右側で、しかも仮想水平面HP上に配されて外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームにより感光体ドラム1表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。本実施形態では、この露光部4として発光素子を主走査方向(図1紙面に垂直な方向)に配列したラインヘッドを用いているが、これ以外に半導体レーザからの光ビームをポリゴンミラーにより主走査方向に走査させるもの等を用いてもよい。なお、本実施形態では、露光部4を仮想水平面HP上に配しているが、露光部4の配設位置はこれに限定されるものではなく、仮想水平面HPの鉛直方向の上方または下方に配してもよい。
【0018】
こうして形成された静電潜像に対して現像部5から液体現像剤が付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。本実施形態では、絶縁性液体を主成分とするキャリア液体内に、着色された樹脂粒子をトナーとして概略重量比25%程度に分散させた液体現像剤を用いており、トナーは電界中を電気泳動可能なように電荷を有している。なお、この現像剤濃度については、上記25%に限定されるものではなく、10〜30%であってもよい。また、キャリア液体としては、例えばIsopar(エクソン社商標)、シリコンオイル、ノルマルパラフィンオイルなどが使用される。また、電気抵抗値は1010Ω・cm以上、望ましくは1012Ω・cm以上が好ましい。というのも、抵抗が低い場合には、トナーが電気泳動する過程で余剰な電流が流れ、移動に必要な電界が維持できない可能性があるからである。さらに、こうして調製された液体現像剤の粘度は、トナーを構成する樹脂や分散剤・荷電制御剤で左右されるが、50〜500[mPa・s]の粘度を示す液体現像剤を用いることができ、本実施形態では400[mPa・s]の液体現像剤を用いている。
【0019】
この画像形成装置の現像部5は、図1紙面において仮想鉛直面VPに対して右側で帯電部3の鉛直方向の上方に配されており、現像ローラー51と、中間塗布ローラー52と、アニロックスローラー53と、上記した液体現像剤を貯蔵する現像剤容器54と、液体現像剤に対し帯電・圧縮作用を施すトナー圧縮コロナ発生器55とを主な構成として有している。これらの主要構成のうち現像ローラー51は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBRなどの弾性層を設け、さらに外周部である現像ローラー表層にはPFAチューブや樹脂コーティングされたものである。この現像ローラー51は現像用モーター(図示省略)に接続され、図1紙面において時計回りD51に回転駆動されて感光体ドラム1に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー51は図示を省略する現像バイアス発生部と電気的に接続されており、適当なタイミングで装置全体を制御するコントローラーCT(図2)からの制御信号に対応する現像バイアスが印加されるように構成されている。
【0020】
また、この現像ローラー51に対して液体現像剤を供給するために中間塗布ローラー52とアニロックスローラー53とが設けられており、アニロックスローラー53から中間塗布ローラー52を介して現像ローラー51へ液体現像剤が供給される。これらのうち中間塗布ローラー52は現像ローラー51と同様に金属製内芯の外周部に弾性層を設けたものであるのに対し、アニロックスローラー53は液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。もちろん、アニロックスローラー53を、現像ローラー51や中間塗布ローラー52と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどを用いてもよい。これら中間塗布ローラー52およびアニロックスローラー53は上記現像用モーターに接続され、図1紙面においてそれぞれ時計回りおよび反時計回り回転される。したがって、中間塗布ローラー52は現像ローラー51に対してカウンター方向に回転し、アニロックスローラー53は中間塗布ローラー52に対してウィズ方向に回転する。このように、本実施形態では、いわゆる3ローラー構成により液体現像剤を現像剤容器54から現像ローラー51に供給しているため、液体現像剤がニップを複数回通過することで、液体現像剤を十分に練ることができ、現像ローラー51にて均一な液体現像剤の膜を形成することが可能となる。もちろん、この形態に限らず、アニロックスローラー53から直接現像ローラー51へ液体現像剤を塗布する構成(2ローラー構成)としてもよい。
【0021】
また、現像ローラー51に対してクリーニングローラー511が当接されるとともに、このクリーニングローラー511に対してローラークリーニングブレード512が当接されており、現像ローラー51のクリーニング処理を行う。すなわち、現像ローラー51の表面が感光体ドラム1と当接して現像ニップを形成している現像位置に対し、現像ローラー回転方向D51の下流側にクリーニングローラー511が現像ローラー51の表面と当接しながら図1紙面において時計回り回転される。したがって、クリーニングローラー511は現像ローラー51に対してカウンター方向に回転し、現像に寄与せずに現像ローラー51に残存する液体現像剤を除去する。また、このクリーニングローラー511の表面にローラークリーニングブレード512が当接して上記液体現像剤を掻き落として除去する。また、中間塗布ローラー52に対してクリーニングブレード521が当接されており、現像に寄与せずに中間塗布ローラー52に残存する液体現像剤を中間塗布ローラー52の表面から掻き落として除去する。なお、これらのクリーニングブレード512、521により掻き落とされた液体現像剤は、図3に示すように、傾斜部材513、522によって現像剤容器54の回収部材541に案内されて回収される。また、この回収部材541の底面から配管91aが、図2に示すように、鉛直方向の下方側に延設されて撹拌タンク92に接続されている。このため、上記のようにして回収部材541に回収された液体現像剤は自重により配管91aを介して撹拌タンク92に送り込まれる。
【0022】
一方、アニロックスローラー53に対して規制部材531が当接されている。この規制部材531として、金属製あるいは表面に弾性体を被覆して構成した弾性を有する部材を用いることができるが、本実施形態にかかる規制部材531は、アニロックスローラー53の表面に当接するウレタンゴム等からなるゴム部と、該ゴム部を支持する金属等の板で構成されている。そして、規制部材531は、アニロックスローラー53によって担持搬送されてきた液体現像剤の膜厚や量などを規制調整し、現像ローラー51に供給する液体現像剤の量を調整する機能を有している。また、規制部材531により掻き取られた液体現像剤は現像剤容器54の貯蔵部542に戻される。なお、この貯蔵部542には撹拌部543が配置されており、図示省略するモーターにより回転し、貯蔵部542内で液体現像剤を撹拌する。また、この貯蔵部542の底面には、配管91bの上方端部が接続されている。そして、配管91bは鉛直方向の下方に延設され、配管91bの下方端部が撹拌タンク92に接続されている。このように、撹拌タンク92内の液体現像剤を配管91bによって貯蔵部542に供給可能となっている。
【0023】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー51は中間塗布ローラー52の表面とは逆方向に移動するように回転すると共に、感光体ドラム1の表面とは同方向に移動するように回転する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー51の回転方向は、その表面が感光体ドラム1の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、中間塗布ローラー52に対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0024】
また、現像ローラー51の回転方向に沿ってトナー圧縮コロナ発生器55が配置されている。より詳しくは、現像位置に対し、現像ローラー回転方向D51の上流側にトナー圧縮コロナ発生器55が配置されている。このトナー圧縮コロナ発生器55は、現像ローラー51の表面のバイアスを増加させる電界印加手段であり、現像ローラー51によって搬送される液体現像剤のトナーは、このトナー圧縮コロナ発生器55と近接する位置で電界が印加され、帯電、圧縮が施される。なお、このトナー帯電、圧縮には、電解印加によるコロナ放電に代えて、接触して帯電させるコンパクションローラーを用いてもよい。
【0025】
また、このように構成された現像部5は図示しない現像器離当接機構と接続されており、コントローラーCTからの制御指令が現像器離当接機構に伝達されるのに応じて現像部5は感光体ドラム1上の潜像を現像する現像位置(図1の実線位置)と感光体ドラム1から離れた退避位置(図示省略)との間で往復可能となっている。したがって、現像部5が退避位置に移動して位置決めされると、その間、感光体ドラム1への新たな液体現像剤の供給は停止される。
【0026】
上記液体現像剤により静電潜像が現像される現像位置に対し、感光体ドラム1の回転方向D1の下流側では、第1スクイーズ部6が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部6の下流側に第2スクイーズ部7が配置されている。この実施形態では、第1スクイーズ部6および第2スクイーズ部7は本発明の「回収装置」に相当するものであり、それぞれ次のように構成されている。
【0027】
第1スクイーズ部6は、スクイーズローラー61、クリーニングローラー62、クリーニングブレード63、現像剤受け部材64および回収部材65を有している。これらの構成要素のうちスクイーズローラー61は、図1紙面において仮想鉛直面VPに対して右側で、かつ仮想水平面HPに対して鉛直方向の上方に配されている。そして、このスクイーズローラー61は、クリーニングローラー62、クリーニングブレード63および現像剤受け部材64とともに図示を省略する支持プレートで支持されている。また、この支持プレートは感光体ドラム1から離間した位置で回動軸を中心に軸支されており、スクイーズローラー61、クリーニングローラー62、クリーニングブレード63および現像剤受け部材64を一体的に回動軸を中心に移動させることが可能となっている。なお、この支持プレートはシリンダーやモーターなどの駆動部(図示省略)と接続されており、コントローラーCTからの回動指令に応じて駆動部が作動することで支持プレートが回動軸を中心に回動してスクイーズローラー61の周面を感光体ドラム1に対して当接および離間させる。
【0028】
このように駆動部により支持プレートを所定方向に回動させることにより、図1や図2に示すように、スクイーズローラー61が感光体ドラム1と当接する。そして、こうして第1スクイーズ位置で感光体ドラム1に対して当接したままスクイーズローラー61が図示しないモーターにより感光体ドラム1の回転方向と同じ方向に回転、つまり感光体ドラム1に対してウィズ回転する。これによって、スクイーズローラー61は現像部5により現像された像をスクイーズして余剰の液体現像剤を回収する。
【0029】
このスクイーズローラー61の周面に当接しながらスクイーズローラー61に対して鉛直方向の上方にクリーニングローラー62が配置されている。このクリーニングローラー62はスクイーズローラー61と当接した状態で上記モーターの回転駆動力を受けて回転する。この実施形態では、モーターで発生した回転駆動力は駆動力伝達機構(図示省略)を介して各ローラー61、62に与えられ、クリーニングローラー62はスクイーズローラー61の回転周速のよりも速く、かつスクイーズローラー61の回転方向と逆の方向に回転、つまりスクイーズローラー61に対してカウンター回転する。また、本実施形態では、スクイーズ効率を高めるために、ローラー61、62に対してスクイーズバイアス発生部(図示省略)が電気的に接続されており、適当なタイミングで各スクイーズローラー61、62にスクイーズバイアスが印加されるように構成されている。
【0030】
クリーニングブレード63は、スクイーズローラー61の回転中心を通過する仮想水平面上で、かつスクイーズローラー61の回転中心を通過する仮想鉛直面に対して右側に配設されており、鉛直方向の上方から下方に移動する位置でクリーニングローラー62と当接してクリーニングする。こうして、クリーニングローラー62の周面から回収される液体現像剤は、クリーニングブレード63の鉛直方向の上方面に沿って自重によりクリーニングブレード63の反クリーニングローラー側の端部に移動し、当該端部から鉛直方向の下方に落下する。
【0031】
このように落下する液体現像剤を感光体ドラム1や第1スクイーズ部6の周囲に飛散するのを防止しながら確実に回収するため、現像剤受け部材64は、図1に示すように、クリーニングブレード63の鉛直方向の下方に配設されている。この現像剤受け部材64は、クリーニングローラー側の端部が反クリーニングローラー側の端部よりも鉛直方向に高くなっており、しかもクリーニングローラー62から離れるにしたがって鉛直方向の下方に傾斜し、回収部材65の鉛直方向の上方まで延設されている。このため、クリーニングブレード63によりクリーニングローラー62から掻き取られた液体現像剤はクリーニングブレード63の上面に沿って流れ、クリーニングブレード63の反クリーニングローラー側の端部から垂れて落下すると、現像剤受け部材64のスクイーズローラー側の端部で受け止められ、回収液として現像剤受け部材64の上面、つまり傾斜面に沿って流れ、回収部材65に滴下される。このように、本実施形態では、第1スクイーズ部6のスクイーズローラー61で回収された液体現像剤を回収部材65に貯留しており、この回収部材65が本発明の「第1貯留部」として機能している。
【0032】
また、この回収部材65の底面から配管91cが、図2に示すように、鉛直方向の下方側に延設されて配管91aの中間部と合流し、撹拌タンク92に接続されている。このため、上記のようにして回収部材65に回収された液体現像剤は自重により配管91c、91aを介して撹拌タンク92に送り込まれる。
【0033】
第2スクイーズ部7は、スクイーズローラー71、クリーニングブレード72、現像剤受け部材73および回収部材74を有しており、図1紙面において仮想鉛直面VPに対して左側に配設されているが、これらの主要構成要素のうち、スクイーズローラー71、クリーニングブレード72および現像剤受け部材73は仮想水平面HPに対して鉛直方向の上方に配設される一方、回収部材74は仮想水平面HPに対して鉛直方向の下方に固定的に配設されている。この実施形態では、スクイーズローラー71、クリーニングブレード72および現像剤受け部材73は支持プレート(図示省略)に一体的に支持されている。この支持プレートは感光体ドラム1から離間した位置で回動軸を中心に軸支されており、スクイーズローラー71、クリーニングブレード72および現像剤受け部材73を一体的に回動軸を中心に移動させることが可能となっている。この支持プレートはシリンダーやモーターなどの駆動部(図示省略)と接続されており、コントローラーCTからの回動指令に応じて駆動部が作動することで支持プレートが回動軸を中心に回動してスクイーズローラー71の周面を感光体ドラム1に対して当接および離間させる。
【0034】
このように駆動部により支持プレートを所定方向に回動させることにより、図1や図2に示すように、スクイーズローラー71が感光体ドラム1と当接し、感光体ドラム1の回転方向と同じ方向に回転、つまり感光体ドラム1に対してウィズ回転する。これによって余剰の液体現像剤を回収する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー71に対して第2スクイーズバイアス発生部(図示省略)が電気的に接続されており、適当なタイミングで第2スクイーズバイアスが印加されるように構成されている。
【0035】
このスクイーズローラー71に対してクリーニングブレード72が当接してクリーニングする。こうして、スクイーズローラー71の周面から回収される液体現像剤は自重により鉛直方向の下方に落下する。また、このように落下する液体現像剤を感光体ドラム1や第2スクイーズ部7の周囲に飛散するのを防止しながら確実に回収するため、現像剤受け部材73がクリーニングブレード72の鉛直方向の下方に設けられている。このため、クリーニングブレード72によりスクイーズローラー71から掻き取られた液体現像剤はクリーニングブレード7の上面に沿って流れ、現像剤受け部材73で受け止められる。
【0036】
この現像剤受け部材73は、スクイーズローラー側(例えば図1の右上側)の端部が反スクイーズローラー側の端部よりも鉛直方向に高くなっており、しかもスクイーズローラー71から離れるにしたがって鉛直方向の下方に傾斜し、回収部材74の鉛直方向の上方まで延設されている。このため、スクイーズローラー71から液体現像剤が垂れて落下すると、現像剤受け部材73のスクイーズローラー側の端部で受け止められる。こうして掻き取られた液体現像剤は回収液として現像剤受け部材73により感光体ドラム1から離れる方向に案内され、現像剤受け部材73の鉛直方向の下方に配置された回収部材74に回収される。このように、本実施形態では、第2スクイーズ部7のスクイーズローラー71で回収された液体現像剤を回収部材74に貯留しており、この回収部材74が本発明の「第2貯留部」として機能している。
【0037】
また、この回収部材74の底面から配管91dが、図2に示すように、鉛直方向の下方側に延設されてバッファタンク93に接続されている。このため、上記のようにして回収部材74に回収された液体現像剤は自重により配管91dを介してバッファタンク93に送り込まれる。
【0038】
第1および第2スクイーズ部6、7を通過してきた感光体ドラム1には装置外部から与えられた画像信号に対応するトナー像が形成されており、一次転写位置TR1でブランケットローラー21に転写される。このブランケットローラー21を含む転写部2は、図1紙面において仮想鉛直面VPに対して左側で、かつ仮想水平面HPに対して鉛直方向の下方に配されている。この転写部2は、ブランケットローラー21と、ブランケットローラー21にキャリア液体を塗布するキャリア塗布機構22と、ブランケットローラー21のクリーニング部23と、二次転写ローラー24と、二次転写ローラー24のクリーニング部25とを有している。
【0039】
ブランケットローラー21の表面は、鉛直方向での感光体ドラム1の最下位置、つまり鉛直方向での感光体ドラム1の鉛直方向の下方で仮想鉛直面VPと交差する位置BPに対し、感光体ドラム1の回転方向D1の上流側で感光体ドラム1の表面と当接して一次転写ニップを形成している。この一次転写ニップの形成位置が一次転写位置TR1となる。また、ブランケットローラー21は図示を省略するモーターと接続されており、図1紙面において時計回りD21に回転駆動されて感光体ドラム1に対してウィズ回転する。こうして感光体ドラム1に担持されるトナー像が一次転写位置TR1でブランケットローラー21に一次転写される。
【0040】
また、ブランケットローラー21の回転方向D21における一次転写位置TR1の下流側でブランケットローラー21に対し、二次転写ローラー24が当接しながらウィズ回転して二次転写ニップを形成する。この二次転写ニップの形成位置が二次転写位置TR2となる。したがって、図示を省略する搬送部により転写紙(記録媒体)が二次転写位置TR2に給紙されて二次転写ニップを通過することでブランケットローラー21に転写されたトナー像が転写紙に二次転写される。こうして、上記した液体現像剤を用いた像が転写紙に印刷される。
【0041】
また、ブランケットローラー21の回転方向D21において二次転写位置TR2の下流側に、キャリア塗布機構22が配置されて二次転写後のブランケットローラー21の表面にキャリア液体を塗布する。このキャリア液体の塗布処理を行うために、キャリア塗布機構22は、ブランケットローラー21に対してウィズ回転するキャリア塗布ローラー221と、キャリア液体を貯蔵するキャリア貯蔵部材222と、キャリア貯蔵部材222からキャリア液体を汲み上げてキャリア塗布ローラー221に供給するキャリア汲み上げローラー223とを有している。
【0042】
ブランケットローラー21の回転方向D21においてキャリア塗布機構22の下流側でかつ一次転写位置TR1の上流側にクリーニング部23が配置されて一次転写直前にブランケットローラー21の表面をクリーニングする。このクリーニング処理を行うために、クリーニング部23は、ブランケットローラー21に対してカウンター方向に回転するクリーニングローラー231と、クリーニングローラー231に当接してクリーニングローラー231をクリーニングするクリーニングブレード232と、クリーニングブレード232により掻き取られたトナーやキャリア液体を回収する回収部材233とを有している。
【0043】
二次転写ローラー24の回転方向において二次転写位置TR2の上流側でクリーニング部25が配置されて二次転写直前に二次転写ローラー24の表面をクリーニングする。このクリーニング処理を行うために、クリーニング部25は、二次転写ローラー24に当接して二次転写ローラー24をクリーニングするクリーニングブレード251と、クリーニングブレード251により掻き取られたトナーやキャリア液体を回収する回収部材252とを有している。
【0044】
感光体ドラム1の回転方向D1において一次転写位置TR1の下流側で、かつ帯電位置の上流側に、感光体クリーニング部8が配置されている。この感光体クリーニング部8は、クリーニングブレード81と、感光体ドラム1の最下位置BPから垂れ落ちる液体現像剤を受ける現像剤受け部材82と、現像剤受け部材に受け止められた現像剤を回収する回収部材83と、これらクリーニングブレード81、現像剤受け部材82および回収部材83を一体的に支持する支持部材84とを有している。そして、この支持部材84は回動軸85を回動中心として回動自在となっている。
【0045】
また、支持部材84にはバネ部材(図示省略)が接続されて図1紙面において反時計回りに支持部材84を付勢し、クリーニングブレード81を感光体ドラム1から離間する方向に作用している。一方、支持部材84の反感光体ドラム側(図1の右側)の端部には係合部841が突設されており、図示を省略する可動片が係合部841を上記付勢力よりも大きな応力で押し下げると、支持部材84は図1紙面において時計回りに回動させられ、これによりクリーニングブレード81は感光体ドラム側に移動してクリーニングブレード81の先端部が感光体ドラム1の最下位置BPと当接する。これにより感光体ドラム1に残留する液体現像剤がクリーニング除去される。なお、こうしてクリーニングブレード81により掻き取られた液体現像剤は感光体ドラム1の最下位置BPの鉛直方向の下方に配置された現像剤受け部材82により受け止められ、さらに現像剤受け部材82の傾斜面に沿って回収部材83の内部に流れ落ちて貯蔵される。
【0046】
また、この回収部材83の底面から配管91eが、図2に示すように、鉛直方向の下方側に延設されて配管91dの中間部と合流し、バッファタンク93に接続されている。このため、上記のようにして回収部材83に回収された液体現像剤は自重により配管91e、91dを介してバッファタンク93に送り込まれる。
【0047】
以上のように、本実施形態では、現像部5、第1スクイーズ部6、第2スクイーズ部7および感光体クリーニング部8で液体現像剤を回収しているが、現像部5や第1スクイーズ部6で回収した液体現像剤については撹拌タンク92に戻す一方、第2スクイーズ部7や感光体クリーニング部8で回収した液体現像剤についてはバッファタンク93に戻している。この理由は、現像部5、第1スクイーズ部6、第2スクイーズ部7および感光体クリーニング部8の順序で各部で回収される液体現像剤中に含まれるトナー濃度が徐々に低下するからである(なお、その具体例については後の実施例で例示する)。つまり、第2スクイーズ部7や感光体クリーニング部8で回収される液体現像剤は、現像部5や第1スクイーズ部6で回収される液体現像剤に比べてトナー濃度が低いため、このように比較的低濃度の液体現像剤を撹拌タンク92に戻してしまうと、撹拌タンク92内に貯留される液体現像剤のトナー濃度が大幅に低下してしまう。特に、高画線率の画像を形成した場合、第2スクイーズ部7等で回収される液体現像剤中のトナー濃度は大幅に低下している(なお、画線率と回収した液体現像剤のトナー濃度との関係の具体例についても、後の実施例で例示する)。そのため、配管91bに介挿されたポンプP1をコントローラーCTからの指令に応じて作動させて撹拌タンク92内の液体現像剤を現像部5に送液して再利用する装置では、トナー濃度の低下を引き起こして画像品質の低下を招く。これに対し、本実施形態では、第1スクイーズ部6および第2スクイーズ部7はいずれも同一機能を有し、本発明の「回収装置」の構成要素であるものの、感光体ドラム1の回転方向において上流側に位置する第1スクイーズ部6で回収した比較的高濃度の液体現像剤については、そのまま撹拌タンク92に戻して再利用に供する一方、下流側に位置する第2スクイーズ部7で回収した比較的低濃度の液体現像剤については、撹拌タンク92とは別のバッファタンク93に貯留して撹拌タンク92内でのトナー濃度の低下を防止している。
【0048】
一方、バッファタンク93に貯留される液体現像剤は上記したように低濃度であり、キャリア液体に近いものであるため、これを撹拌タンク92内での液体現像剤のトナー濃度や液量の調整用として用いることが可能である。そこで、本実施形態では、図2に示すように、バッファタンク93は配管91fにより撹拌タンク92と接続されており、配管91fに介挿されたポンプP2をコントローラーCTからの指令に応じて作動させることで低濃度の液体現像剤が撹拌タンク92に送液され、撹拌タンク92内でのトナー濃度や液量の調整が可能となっている。このように、キャリア液体に近い濃度を有する液体現像剤を再利用しているため、キャリア液体の消費量を削減することができ、ランニングコストの向上を図ることができる。また、上記のように構成した実施形態では、撹拌タンク92とバッファタンク93とを近接して配置することができ、液体現像剤を回収する管路を短縮することができる。なお、継続的に回収した結果、バッファタンク93に貯留される液体現像剤がバッファタンク93のタンク容量を超える場合には、バッファタンク93に設けたドレン(図示省略)から廃棄する。
【0049】
また、本実施形態では、撹拌タンク92内での液体現像剤のトナー濃度や液量を調整するため、さらに補給用濃縮現像剤タンク94およびキャリアタンク96が設けられている。この補給用濃縮現像剤タンク94は、液体現像剤の所望値よりも高濃度、例えば35%の補給用高濃度液体現像剤を貯留するタンクであり、配管91gにより撹拌タンク92と接続されている。この配管91gには、ポンプP3が設けられ、コントローラーCTからの指令に応じて作動して高濃度液体現像剤を撹拌タンク92に送液する。また、キャリアタンク96は補給用のキャリア液体を貯留するタンクであり、配管91hにより撹拌タンク92と接続されている。この配管91hには、ポンプP4が設けられ、コントローラーCTからの指令に応じて作動してキャリア液体を撹拌タンク92に送液する。
【0050】
また、本実施形態では、上記したようにトナー濃度を低下させる系統として、タンク93からキャリア液体に近い濃度を有する液体現像剤を送液する再利用系統(配管91f+ポンプP2)と、タンク95からキャリア液体そのものを送液する補給系統(配管91h+ポンプP4)とを有しているが、コントローラーCTは再利用系統のポンプP2を優先して作動させ、バッファタンク93が空の場合のみ補給系統のポンプP4を作動させる。このため、キャリアタンク96からのキャリア液体の送液頻度を抑えることができ、その結果、キャリア液体の消費量を削減して低ランニングコスト化を図ることができる。
【0051】
さらに、上記実施形態では、現像ローラー51から回収した液体現像剤を配管91aにより撹拌タンク92へ流動させているが、その配管91aの中間部で配管91cが鉛直方向の上方に分岐して延設されている。このため、その配管91cにより第1スクイーズ部6で回収した液体現像剤が配管91a内を流れる現像ローラー51からの液体現像剤に滴下される。その結果、次の作用効果が得られる。すなわち、現像ローラー51から回収した液体現像剤は、比較的濃度が高い(特に低画線率の場合には非常に高い)。また、現像過程において固形分の固まり、つまりトナー凝集物が発生することがある。これらの要因により現像ローラー51から回収した液体現像剤の配管91a内での流動性が低下することがある。しかしながら、本実施形態では、第1スクイーズ部6で回収した液体現像剤を配管91aに滴下しているため、配管91a内の高粘度の液体現像剤および凝集物を洗い流すため、配管91aのつまりを効果的に防止することができる。
【0052】
このように、本実施形態では、撹拌タンク92およびバッファタンク93がそれぞれ本発明の「濃度調整槽」および「貯蔵槽」に相当している。また、感光体ドラム1が本発明の「潜像担持体」に相当している。
【0053】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、ローラークリーニングブレード512により掻き取った液体現像液(回収液)は傾斜部材513、522により現像剤容器54の回収部材541の鉛直方向の上方に搬送しているが、例えば図4に示すように、傾斜部材513を現像剤容器54の回収部材541の鉛直方向の上方まで延設し、ブレード512により掻き取った液体現像液を傾斜部材513から直接回収部材541に落とし込むように構成してもよい。なお、この場合、傾斜部材522はブレード521で掻き落とされた液体現像剤(回収液)のみを現像剤容器54の回収部材541の鉛直方向の上方に案内する。
【0054】
また、上記実施形態では、いわゆる下部転写構造を有する画像形成装置に対して本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、感光体ドラム1の回転中心を通る仮想水平面HPの鉛直方向の上方で、感光体ドラム1に担持される像を転写する、いわゆる上部転写構造を有する画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
【実施例】
【0055】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0056】
図1に示すように構成された画像形成装置の各回収部材541、65、74、83で回収される液体現像剤中のトナーの重量比、つまりトナー濃度および粘度を、印刷物の画線率(0、25、50および100%)ごとに計測し、その計測結果を図5にまとめた。
【0057】
また、画線率に応じて撹拌タンク92に貯留される液体現像剤のトナー濃度が変化することを検証するため、図1に示す画像形成装置からバッファタンク93を取り除き、第2スクイーズ部7および感光体クリーニング部8で回収した液体現像剤を撹拌タンク92に送液する装置(比較例)と、図1に示す画像形成装置とで、A3サイズの印刷物を1000枚連続して印刷した後の濃度低下を、印刷物の画線率(0、25、50および100%)ごとに計測し、その計測結果を図6にまとめた。なお、同図中の例えば「印刷物の画線率(50%)→トナー濃度の低下率(−3.7%)」とは、画線率50%(印刷ドットの合計面積が用紙面積の50%)で転写紙全面にわたり印刷する動作をA3用紙1000枚について行った後に撹拌タンク92に貯留されている液体現像剤のトナー濃度が3.7%低下する(初期濃度25%が21.3%まで低下する)ということを意味している。
【0058】
図1に示す画像形成装置では、画質劣化を引き起こさない濃度低下許容値は、−1%程度である。したがって、比較例では、画線率が30%程度を超える場合には、画質劣化が発生してしまうことになる。これに対し、図1に示す画像形成装置では、いずれの画線率においても、撹拌タンク92に貯留されている液体現像剤のトナー濃度低下は認められず、画質劣化を発生させることなく、画像形成を連続的に安定して行うことができる。
【符号の説明】
【0059】
1…感光体ドラム(潜像担持体)、 2…転写部、 5…現像部、 8…感光体クリーニング部、 51…現像ローラー、 61…(第1)スクイーズローラー、 65…回収部材(第1貯留部)、 71…(第2)スクイーズローラー、 74…回収部材(第2貯留部)、 81…クリーニングブレード(クリーニング部材)、 91a…(第1の)配管、 91c…(第2の)配管、 92…撹拌タンク、 93…バッファタンク、 511…クリーニングローラー(クリーニング部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーおよびキャリア液体を含む液体現像剤で現像された像を担持した潜像担持体と当接して液体現像剤を回収する第1スクイーズローラー及び前記第1スクイーズローラーで回収された液体現像剤を貯留する第1貯留部を有する第1スクイーズ部と、
前記第1スクイーズローラーでスクイーズされた前記潜像担持体と当接して液体現像剤を回収する第2スクイーズローラー及び前記第2スクイーズローラーで回収された液体現像剤を貯留する第2貯留部を有する第2スクイーズ部と、
前記第1貯留部に貯留された液体現像剤が搬送されて、搬送された液体現像剤を貯蔵するとともに、貯蔵された液体現像剤のトナー濃度を調整する濃度調整槽と、
前記第2貯留部に貯留された液体現像剤が搬送されて、搬送された液体現像剤を貯蔵する貯蔵槽と、
を備えることを特徴とする回収装置。
【請求項2】
潜像が形成される潜像担持体と、
トナーおよびキャリア液体を含む液体現像剤で前記潜像担持体に形成される前記潜像を現像する現像ローラーを有する現像部と、
前記現像ローラーで現像された前記潜像担持体と当接して液体現像剤を回収する第1スクイーズローラー及び前記第1スクイーズローラーで回収された液体現像剤を貯留する第1貯留部を有する第1スクイーズ部と、
前記第1スクイーズローラーでスクイーズされた前記潜像担持体と当接して液体現像剤を回収する第2スクイーズローラー及び前記第2スクイーズローラーで回収された液体現像剤を貯留する第2貯留部を有する第2スクイーズ部と、
前記第1貯留部に貯留された液体現像剤が搬送されて、搬送された液体現像剤を貯蔵するとともに貯蔵された液体現像剤のトナー濃度を調整する濃度調整槽と、
前記第2貯留部に貯留された液体現像剤が搬送されて、搬送された液体現像剤を貯蔵する貯蔵槽と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記現像部は、前記現像ローラーと当接して液体現像剤を回収する現像ローラークリーニング部材を備え、
前記濃度調整槽は、前記現像ローラークリーニング部材で回収された液体現像剤を貯蔵する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニング部材で回収された液体現像剤を前記濃度調整槽に流動させる第1の配管と、
前記第1の配管に連通されて前記第1スクイーズローラーで回収された液体現像剤を前記第1の配管内に流動させる第2の配管と、
を備える請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2スクイーズローラーでスクイーズされた前記潜像担持体と当接して前記潜像担持体に現像された像を転写媒体に転写する転写部と、
前記転写部で前記像が前記転写媒体に転写された前記潜像担持体と当接してクリーニングし、液体現像剤を回収するクリーニング部材を有するクリーニング部と、を備え、
前記貯蔵槽は、前記クリーニング部のクリーニング部材で回収された液体現像剤を貯蔵する請求項2ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−242611(P2012−242611A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112665(P2011−112665)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】