説明

回折光学素子及び光学機器

【課題】密着積層型の回折光学素子において、散乱を抑制しつつ、製造を容易にする。
【解決手段】回折光学素子1は、断面鋸歯形状の第1回折格子14を有する第1光学部材10と、断面鋸歯形状の第2回折格子15を有し且つ第1光学部材10と屈折率が異なる第2光学部材11とを備えている。回折光学素子1は、第1及び第2光学部材10,11を第1及び第2回折格子14,15を密着させた状態で積層させている。第1回折格子14の回折面14cの中心線平均粗さRa_aは、所定の範囲に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの光学部材を積層させて、それらの境界面に回折格子を形成した回折光学素子及びそれを備えた光学機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の光学部材を密着した状態で積層させて、その境界面にレリーフパターンを形成したものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された回折光学素子は、複数の光学部材を積層させ、両者の境界面に断面鋸歯状の回折格子を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−127321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような回折格子が形成された境界面においては、空気と光学部材との境界面に比べて、境界面を挟む媒体間の屈折率差の絶対値が小さい。一般に、境界面における散乱は屈折率差の絶対値が大きくなるにつれて大きくなる。そのため、回折格子が形成された境界面においては、散乱が小さくなる。このように、回折格子が形成された境界面は、散乱が小さいため、空気と光学部材との境界面のような厳しい表面粗さが要求されない。要求される表面粗さのレベルが低いと、光学部材の製造が容易となる。
【0006】
しかしながら、境界面の表面粗さをどの程度まで許容できるかについての知見はない。
【0007】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、密着積層型の回折光学素子において、散乱を抑制しつつ、製造を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示された回折光学素子は、断面鋸歯形状の第1回折格子を有する第1光学部材と、該第1回折格子の反転形状をした第2回折格子を有し且つ該第1光学部材と屈折率が異なる第2光学部材とを備え、該第1及び第2光学部材を、該第1及び第2回折格子を密着させた状態で積層させた回折光学素子であって、上記第1回折格子の回折面は、下記式(1)を満足する。
【0009】
【数1】

【0010】
ここで、
Ra_a:上記回折面の中心線平均粗さ[μm]
Δnd:上記第1光学部材と上記第2光学部材との屈折率差
Ra_s:上記回折光学素子における光が入射する面のうち、上記回折面を除く、散乱が最も大きい面の中心線平均粗さ[μm]
Δnd_s:上記散乱が最も大きい面を挟んだ媒体間の屈折率差
である。
【0011】
また、ここに開示された回折光学素子は、断面鋸歯形状の第1回折格子を有する第1光学部材と、該第1回折格子の反転形状をした第2回折格子を有し且つ該第1光学部材と屈折率が異なる第2光学部材とを備え、該第1及び第2光学部材を、該第1及び第2回折格子を密着させた状態で積層させた回折光学素子であって、上記第1回折格子は、金型で成形され、上記第1回折格子の回折面には、金型の加工痕を反転させた反転構造が形成されており、上記反転構造は、断面が円形状となるように凸状に盛り上がっており、上記第1回折格子の回折面は、下記式(2)を満足する。
【0012】
【数2】

【0013】
ここで、
R:上記反転構造の断面の曲率半径[μm]
P:上記反転構造のピッチ[μm]
Δnd:上記第1光学部材と上記第2光学部材との屈折率差
Ra_s:上記回折光学素子における光が入射する面のうち、上記回折面を除く、散乱が最も大きい面の中心線平均粗さ[μm]
Δnd_s:上記散乱が最も大きい面を挟んだ媒体間の屈折率差
である。
【0014】
さらに、ここに開示された回折光学素子は、断面鋸歯形状の第1回折格子を有する第1光学部材と、該第1回折格子の反転形状をした第2回折格子を有し且つ該第1光学部材と屈折率が異なる第2光学部材とを備え、該第1及び第2光学部材を、該第1及び第2回折格子を密着させた状態で積層させた回折光学素子であって、上記第1回折格子の回折面は、下記式(3)を満足する。
【0015】
【数3】

【0016】
ここで、
λ:使用波長帯域の最短波長[μm]
Ra_a:上記回折面の中心線平均粗さ[μm]
Δnd:上記第1光学部材と上記第2光学部材との屈折率差
Ra_s:上記回折光学素子における光が入射する面のうち、上記回折面を除く、散乱が最も大きい面の中心線平均粗さ[μm]
Δnd_s:上記散乱が最も大きい面を挟んだ媒体間の屈折率差
である。
【0017】
また、ここに開示された光学機器は、光束を所定の面上に合焦させるための結像光学系を備え、上記結像光学系は、上記回折光学素子を有するものとする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、散乱を抑制しつつ、回折光学素子の製造を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る交換レンズが取り付けられたカメラの概略図である。
【図2】回折光学素子の概略断面図である。
【図3】第1光学部材と第2光学部材との境界面の詳細構造を示す拡大断面図である。
【図4】散乱成分を算出するためのシミュレーションにおけるモデルを示す断面図である。
【図5】中心線平均粗さ及び屈折率差と、散乱との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
《発明の実施形態》
図1には、本実施形態に係る例示的な回折光学素子1を備えた交換レンズ200及びそれが取り付けられたカメラ100の概略図を、図2には、回折光学素子1の概略断面図を示す。
【0022】
交換レンズ200は、カメラ100に着脱可能に構成されている。交換レンズ200は、例えば、望遠ズームレンズである。交換レンズ200は、屈折型レンズ210,220に加えて、回折光学素子1をレンズ素子として機能させている。これら屈折型レンズ210,220及び回折光学素子1によって、光束をカメラ100の撮像素子110上に合焦させるための結像光学系230を構成している。この交換レンズ200が光学機器を構成する。
【0023】
回折光学素子1は、それぞれ光透過性を有する第1光学部材10及び第2光学部材11を密着させた状態で積層させた密着積層型回折光学素子である。本実施形態では、第1光学部材10はガラスで、第2光学部材11は樹脂で構成されている。尚、第1及び第2光学部材10,11の材料は、これらに限定されるものではない。第1光学部材10と第2光学部材11とは相互に接合されている。第1光学部材10の接合面10aと第2光学部材11の接合面11aとで構成される境界面12には、断面鋸歯形状の回折格子13が形成されている。回折格子13の光学的パワーは波長依存性を有するため、回折格子13は、波長の異なる光に対してほぼ同じ位相差を付与し、波長の異なる光を相互に異なる回折角で回折させる。回折格子13は、第1光学部材10の接合面10aに形成された断面鋸歯形状の第1回折格子14と、第2光学部材11の接合面11aに形成された断面鋸歯形状の第2回折格子15とで構成される。
【0024】
詳しくは、第1回折格子14は、回折光学素子1の光軸Xを中心として周方向に延び且つ、光軸Xを中心として同心円状に規則的に配列された複数の山形状の凸部14a,14a,…で構成されている。各凸部14aは、光軸Xと略平行な(即ち、光軸Xに沿って延びる)縦面14bと光軸Xに対して傾斜した(即ち、縦面14bに対して傾斜した)回折面14cとを有し、その横断面が略三角形状をしている。
【0025】
また、第2回折格子15は、回折光学素子1の光軸Xを中心として周方向に延び且つ、光軸Xを中心として同心円状に規則的に配列された複数の谷形状の凹部15a,15a,…で構成されている。各凹部15aは、光軸Xと略平行な縦面15bと光軸Xに対して傾斜した回折面15cとを有し、その横断面が略三角形状をしている。
【0026】
これら第1回折格子14と第2回折格子15とはそれぞれ、格子高が同じで且つ格子ピッチも同じとなるように構成されている。すなわち、第2回折格子15は、第1回折格子14の反転形状をしており、第1回折格子14の各凸部14aが第2回折格子15の各凹部15aに密着した状態で嵌っている。こうして、第1回折格子14と第2回折格子15とが一体となって回折格子13を形成する。
【0027】
尚、第1回折格子14の回折面14c及び第2回折格子15の回折面15cは、非球面状又は球面状に湾曲していてもよい。
【0028】
一方、第1光学部材10の接合面10aとは反対側の表面10bと、第2光学部材11の接合面11aとは反対側の表面11bとは、相互に平行な平面に形成されている。図1に示すように、例えば、第1光学部材10側から回折光学素子1に入射した光は、回折格子13(具体的には回折面14c,15c)でもって回折されて第2光学部材11側から射出されるようになっている。尚、第1光学部材10の表面10bと第2光学部材11の表面11bとは平行でなくてもよい。
【0029】
次に、このように構成された回折光学素子1の製造方法の一例について簡単に説明する。まず、第1回折格子14の反転形状が形成された金型を用意する。この金型に軟化したガラス(例えば、ガラス転移点以上に加熱されたガラス又は溶融したガラス)を充填する。こうして、第1光学部材10を成形する。続いて、別の金型内に、第1光学部材10を第1回折格子14が金型の内方を向く状態で設置する。そして、第1光学部材10が設置された金型内に溶融樹脂を充填する。その結果、第1光学部材10の第1回折格子14上に第2光学部材11が積層される。このとき、第1回折格子14の谷の部分に溶融樹脂が流れ込み、第1回折格子14と重なり合う第2回折格子15を有する第2光学部材11が成形される。尚、この製造方法は一例であって、回折光学素子1を製造できる限りにおいては、任意の製造方法を適用することができる。例えば、第2光学部材11をガラスで構成する場合には、軟化したガラス(例えば、ガラス転移点以上に加熱されたガラス又は溶融したガラス)を、上記第1光学部材10を設置した金型内に充填し、該軟化したガラスを第1光学部材10の第1回折格子14に押圧することによって、第1光学部材10に第2光学部材11が積層された回折光学素子1を製造してもよい。第2光学部材11を樹脂及びガラスの何れで構成する場合であっても、軟化した光学材料が第1光学部材10の第1回折格子14に倣った形状に変形し、第1回折格子14と密着した第2回折格子15が形成される。
【0030】
このとき、第1回折格子14の回折面14cの微小な凹凸構造まで、第2回折格子15の回折面15cに転写される。その結果、第1回折格子14の回折面14cの凹凸構造と第2回折格子15の回折面15cの凹凸構造とが合致する。換言すれば、第2回折格子15の回折面15cは、その微小な凹凸構造まで、第1回折格子14の回折面14cに倣った形状となっている。つまり、第2回折格子15の回折面15cの表面形状は、第1回折格子14の回折面14cの表面形状を反転させた形状となっている。こうして、第1回折格子14の回折面14cの表面粗さが、第1光学部材10と第2光学部材11との境界面12の表面粗さとなる。詳しくは後述するが、これら回折面14c,15cの表面粗さは、回折面14c,15cにおける散乱に影響を与える。
【0031】
ここで、第1回折格子14の回折面14cの表面粗さは、金型表面の表面粗さによって決まる。つまり、第1回折格子14の回折面14cには、第1光学部材10用の金型の、回折面14cに対応する部分の表面形状が転写される。つまり、第1回折格子14の回折面14cの表面粗さは、金型の、回折面14cに対応する部分の表面粗さと略同様になる。
【0032】
金型の表面、特に、第1回折格子14の反転形状のように入り組んだ形状の表面は、一般にバイトによる切削加工で仕上げられている。詳しくは、金型の表面は、先端部の曲率半径がRのバイトを所定の微小なピッチPで送りながら、切削加工されている。そのため、金型の表面には、半径Rの円弧状の断面形状を有する溝が加工痕として、ピッチPで複数並んで形成されている。
【0033】
このような金型で成形された第1回折格子14の回折面14cには、図3に示すように、金型表面の加工痕が転写される。図3は、第1光学部材10と第2光学部材11との断面図であって、説明の便宜上、回折面14c,15cを水平に描いている。詳しくは、第1光学部材10の回折面14cには、半径Rの円弧状の断面形状を有する、凸状に盛り上がった線条14d,14d,…がピッチPで複数並んで形成されている。この線状14d,14d,…は、加工痕の反転構造である。尚、第2光学部材の回折面15cには、回折面14cの表面形状が転写されるため、半径Rの円弧状の断面形状を有する溝15d,15d,…がピッチPで複数並んで形成されている。線条14d,14d,…と溝15d,15d,…とは、ぴったり合致している。
【0034】
バイト先端部の曲率半径RやピッチPは、金型の表面に要求される表面粗さ、即ち、第1回折格子14の回折面14cに要求される表面粗さと、第1回折格子14の稜部(縦面14bと回折面14cとで形成される峰の部分)に求められる形状によって決定される。切削加工においては、バイト先端部の曲率半径Rを大きくすることで表面粗さを細かくすることができる。その一方で、金型における、第1回折格子14の稜部の反転形状となる谷底の部分の尖鋭の程度は、バイト先端部の曲率半径Rで決まってしまう。つまり、バイト先端部の曲率半径Rが大きいと、金型の該谷底の部分が丸まってしまう。その結果、第1回折格子14の稜部も丸まってしまう。丸まった稜部は回折に寄与しないので、回折格子14が光を適切に回折させることができなくなり、回折効率が低下してしまう。このような観点から、バイト先端部の曲率半径Rを小さくする必要がある。ところが、バイト先端部の曲率半径Rを小さくすると、前述の如く、表面粗さが粗くなってしまう。そこで、表面粗さが粗くなることを回避すべく、バイト先端部の曲率半径Rが小さい場合には、バイトの送りピッチを小さくする必要がある。しかし、その場合、バイトによる切削距離(加工中におけるバイトの移動距離)が長くなってしまう。切削距離が長いと、バイトが摩耗したり、破損したりする虞がある。また、切削距離が長いと、加工中の温度や湿度などの環境が変化し、金型の仕上がりに悪影響を及ぼしてしまう。このように、表面粗さが細かい金型を製造することは容易ではない。
【0035】
ここで、回折面14cでの散乱の観点からすると、回折面14cの表面粗さはそれほど細かくなくてもよい。詳しくは、一般に、境界面の表面粗さが粗くなると、該境界面における散乱を増大させてしまう。しかしながら、散乱の程度を決める要因は、境界面における表面粗さだけでなく、境界面の前後における媒体間の屈折率差も要因の1つとなる。つまり、境界面における散乱は、境界面の表面粗さが粗くなるほど、境界面の前後の媒体間の屈折率差の絶対値が大きくなるほど、大きくなる。ここで、回折面14cを挟んだ前後の媒体は、第1光学部材10と第2光学部材11である。そのため、一方の媒体が空気となる、第1光学部材10の表面10bや第2光学部材11の表面11bに比べて、回折面14cを挟んだ前後の媒体間の屈折率差の絶対値は小さい。このように境界面の前後の媒体間の屈折率差の絶対値が小さい場合には、境界面の表面粗さを或る程度粗くしても、境界面における散乱はそれほど増大しない。
【0036】
そこで、第1回折格子14の回折面14cの表面粗さは、下記式(1)を満たすように構成されている。
【0037】
【数1】

【0038】
ここで、
Ra_a:回折面14cの中心線平均粗さ[μm]
Δnd:第1光学部材10と第2光学部材11との屈折率差
Ra_s:回折光学素子1における光が入射する面のうち、回折面14cを除く、散乱が最も大きい面の中心線平均粗さ[μm]
Δnd_s:散乱が最も大きい面を挟んだ媒体間の屈折率差
である。
【0039】
すなわち、本実施形態では、回折面14cの中心線平均粗さRa_aは、4×Ra_s以上に設定されている。すなわち、回折面14cの中心線平均粗さRa_aは、回折光学素子1における光が入射する面のうち、回折面14cを除く、散乱が最も大きい面の中心線平均粗さRa_sよりも4倍以上粗くてもよいことになる。このように、回折面14cの中心線平均粗さRa_aが4×Ra_s以上でよいとすると、金型表面の中心線平均粗さRaも4×Ra_s以上でよくなる。この場合には、金型表面の中心線平均粗さRaがRa_sの場合と比べて(即ち、回折光学素子1における光が入射する面のうち、回折面14cを除く、散乱が最も大きい面と同等の面粗さに加工する場合と比べて)、金型加工における切削距離が概ね半分程度となる。その結果、金型を容易に製造することができるため、回折光学素子1の製造(金型の製造を含む)を容易にすることができる。
【0040】
具体的には、第1及び第2光学部材10,11を積層させた回折光学素子1の場合、回折光学素子1における光が入射する面のうち、回折面14cを除く、散乱が最も大きい面は、第1光学部材10の表面10bか第2光学部材11の表面11bとなる。これら表面10b,11bは、空気との境界面であり、その中心線平均粗さRaは、一般に、0.002μm程度に設定される。光波干渉法等の表面粗さを測定する方法では、一般的に、0.0025〜0.005μm程度の凹凸の測定が限界である。換言すれば、光は、これよりも小さい凹凸を識別することができない。したがって、一般には、光が入射する、空気との境界面は、散乱を抑制するために、その中心線平均粗さRaが0.002μm程度に設定される。
【0041】
そうすると、上記式(1)は、下記式(4)のようになる。
【0042】
【数4】

【0043】
すなわち、回折面14cの中心線平均粗さRa_aは、0.008μm以上に設定されることになる。空気との境界面となる表面10b,11bの中心線平均粗さRaに比べて、回折面14cの表面粗さは、大幅に粗くてもよいことになる。このように、回折面14cの中心線平均粗さRaが0.008μm以上でよいとすると、金型表面の中心線平均粗さRaも0.008μm以上でよくなる。この場合には、金型表面の中心線平均粗さRaが0.002μmの場合と比べて、金型加工における切削距離が概ね半分程度となる。その結果、金型を容易に製造することができるため、回折光学素子1の製造(金型の製造を含む)を容易にすることができる。
【0044】
その一方で、回折面14cの中心線平均粗さRa_aの上限値を式(1)のように設定することによって、回折面14cにおける散乱を抑制することができる。すなわち、前述の如く、或る境界面における散乱は、境界面の表面粗さが粗くなるほど、境界面の前後の媒体間の屈折率差の絶対値が大きくなるほど、大きくなる。そのため、詳しくは後述するが、中心線表面粗さRaと屈折率差Δndの絶対値との積を散乱の程度を表すパラメータ(以下、散乱パラメータと称する)として用いることができる。すなわち、散乱パラメータが大きくなるほど、その境界面における散乱が大きくなる。そこで、回折面14cにおける散乱パラメータが、回折光学素子1における光が入射する面のうち、回折面14cを除く、散乱が最も大きい面(以下、散乱最大面と称する)の散乱パラメータ以下となるように回折面14cを構成する。つまり、回折面14cにおける散乱パラメータと散乱最大面(例えば、第1光学部材10の表面10b)における散乱パラメータとの関係は、下記式(5)を満たすようになる。
【0045】
Ra_a・Δnd≦Ra_s・Δnd_s ・・・(5)
この式(5)を回折面14cの中心線平均粗さRa_aについて整理することによって、式(1)に示すような上限値が規定される。つまり、回折面14cの中心線平均粗さRa_aを式(1)の上限値以下に設定することによって、回折面14cにおける散乱を、少なくとも、散乱最大面における散乱よりも抑制することができる。
【0046】
したがって、回折面14cの中心線平均粗さRa_aが式(1)を満たすように第1回折格子14を構成することによって、散乱を抑制しつつ、回折光学素子1の製造を容易にすることができる。
【0047】
また、前述の如く、第1光学部材10の回折面14cには、金型の加工痕が転写されて、その反転構造としての線条14d,14d,…が形成されている。回折面14cの線条14dの断面の曲率半径をR[μm]、線条14dのピッチをP[μm]とすると、第1回折格子14は、下記式(2)を満たすように構成されている。
【0048】
【数2】

【0049】
ここで、回折面14cに、半径Rの円弧状の断面形状を有する、凸状に盛り上がった線条14d,14d,…がピッチPで複数並んで形成されている場合、回折面14cの中心線平均粗さRa_aは、下記式(6)で表される。
【0050】
【数5】

【0051】
つまり、式(6)を式(1)に代入すると、式(2)となる。このように、回折面14cの中心線平均粗さRa_aではなく、回折面14cに転写された、加工痕の反転構造の曲率半径R及びピッチPが式(2)の関係を満たすように第1回折格子14を構成することによって、前述の如く、散乱を抑制しつつ、回折光学素子1の製造を容易にすることができる。
【0052】
尚、回折光学素子1における光が入射する面のうち、回折面14cを除く、散乱が最も大きい面の中心線平均粗さRaを0.002μmとすると、式(2)は、以下の式(7)となる。
【0053】
【数6】

【0054】
さらに、第1回折格子14の回折面14cの中心線平均粗さRa_aは、使用波長帯域のうち最短波長をλ[μm]とすると、下記式(3)を満たすように設定されていてもよい。
【0055】
【数3】

【0056】
式(3)によれば、回折面14cの中心線平均粗さRa_aは、λ/50以上に設定される。回折光学素子1の対象が可視光である場合は、使用波長帯域は概ね400〜800nmとなる。この場合、回折面14cの中心線平均粗さRa_aの下限値は、0.008mとなる。この値は、前述の如く、空気との境界面の中心線平均粗さRaの一般的な値(0.002μm)の4倍であり、当該境界面と比べて、金型加工における切削距離が概ね半分程度となる値である。よって、回折光学素子1の製造(金型の製造を含む)を容易にすることができる。
【0057】
また、回折面14cに転写された、加工痕の反転構造が曲率半径R及びピッチPの線条14であるとすると、式(3)は下記式(8)のようになる。
【0058】
【数7】

【0059】
すなわち、回折面14cに転写された、加工痕の反転構造の曲率半径R及びピッチPが式(8)の関係を満たすように第1回折格子14を構成することによっても、前述の如く、散乱を抑制しつつ、回折光学素子1の製造を容易にすることができる。
【0060】
ここで、境界面の表面粗さ及び境界面の前後の媒体間の屈折率差と、散乱との関係について図4,5を参照しながら説明する。図4は、シミュレーションに用いた積層光学素子のモデルを示し、図5は、散乱のシミュレーション結果を示す。
【0061】
まず、図4に示すようなモデル3を想定した。このモデル3は、第1光学部材31と第2光学部材32とを積層させたものであって、それらの境界面33には凹凸構造が形成されている。すなわち、第1光学部材31の境界面31aには、半径Rの円弧状の断面形状を有する、凸状に盛り上がった線条31c,31c,…がピッチPで複数並んで形成されている。一方、第2光学部材32の境界面32aには、半径Rの円弧状の断面形状を有する溝32c,32c,…がピッチPで複数並んで形成されている。そして、境界面31aの線条31cと境界面32aの溝32cとがぴったりと重なり合う状態で、第1光学部材31と第2光学部材32とが積層されている。ここで、第1光学部材31のd線(0.587562μm)に対する屈折率はnd1であり、第2光学部材32のd線に対する屈折率はnd2(<nd1)である。そして、d線の光が第1光学部材31の表面31bから入射し、第2光学部材32の表面32bから射出していくものとする。このとき、境界面31a(32a)において、光の一部が散乱する。ここで、境界面31aの中心線平均粗さRa及び屈折率差Δnd(=nd1−nd2)を変化させながら、RCWA法によって、散乱成分の割合を算出した。全透過光量(=0次光の光量+全ての散乱光の光量)に対する散乱光量の割合を散乱成分の割合とした。詳しくは、ピッチPを0.001μmに設定し、半径Rを1.1μm〜62.5μmの間で変化させることによって、境界面31aの中心線平均粗さRaを変化させた。ちなみに、R=1.1μmのときRa=0.120μmとなり、R=62.5μmのときRa=0.002μmとなる。中心線平均粗さRaは、溝断面の半径R及びピッチPとから、式(6)に基づいて算出した。また、第1光学部材31の屈折率nd1を1.7(住田光学製ガラスK−LaFn3の屈折率に相当)で固定し、第2光学部材32の屈折率nd2を変化させることによって、屈折率差Δndを変化させた。
【0062】
図5のシミュレーション結果からわかるように、中心線平均粗さRaが大きくなるほど、散乱成分が増加することがわかる。また、屈折率差Δndの絶対値が大きくなるほど、散乱成分が大きくなることがわかる。例えば、屈折率差Δndの絶対値が1/2になると、同程度の散乱が生じる中心線平均粗さRaは約2倍となる。すなわち、屈折率差Δndの絶対値が1/nになると、同程度の散乱が生じる中心線平均粗さRaはn倍となる。したがって、散乱パラメータ(中心線表面粗さRa×屈折率差Δndの絶対値)が同程度であれば、生じる散乱も同程度であることがわかる。つまり、回折面14cの中心線平均粗さRa_aの上限値を式(1)のように設定することによって、回折面14cにおける散乱を、回折光学素子1の散乱最大面における散乱と同程度かそれ以下に抑制することができることがわかる。
【実施例】
【0063】
以下、回折光学素子の実施例について説明する。
【0064】
−実施例1−
実施例1では、第1光学部材10を、d線に対する屈折率n1(λ)が1.57、アッベ数νd1が71.2の仮想ガラスとし、第2光学部材11を、d線に対する屈折率n2(λ)が1.54、アッベ数νd2が42.1の仮想樹脂とした。その結果、屈折率差Δndは、0.03となる。ブレーズ波長λbをd線に設定した。このときの格子高は、19.59[μm]となる。そして、回折格子のピッチPを0.1[mm]とした。また、高い回折効率を実現すべく、回折格子の稜部の曲率半径Rを10[μm]に設定した。つまり、先端の曲率半径が10[μm]のバイトで回折格子用の金型を切削加工することを想定した。
【0065】
例えば、回折面の直径が60[mm]の第1光学部材10に対応した金型を加工する場合を考える。金型表面の中心線平均粗さRaが通常の光学素子表面に求められる0.002[μm]以下となるように、先端の曲率半径が10[μm]のバイトで加工すると、バイトの送りピッチが0.40[μm]となり、切削距離が約7000[m]以上となってしまう。しかし、本実施例のように、回折面を挟んだ媒体の屈折率差Δndが0.03の場合には、第1光学部材10の表面10bが散乱が最も大きい面であって該表面10bの中心線平均粗さRaが0.002[μm](通常の光学素子表面に求められる値)とすると、式(1)より、金型表面の中心線平均粗さRaは、0.038[μm]以下であればよいことがわかる。先端の曲率半径が10[μm]のバイトで中心線平均粗さRaが0.038[μm]となるように金型表面を加工する場合、バイトの送りピッチは1.74[μm]となる。その結果、切削距離は、約1600[m]となる。中心線平均粗さが0.002[μm]の場合と比べて、切削距離が大幅に短縮されることになる。
【0066】
このように形成された金型で第1光学部材10を成形すると、第1光学部材10の回折面14cの表面粗さも金型の表面粗さと同様になる。すなわち、回折面14cの中心線平均粗さRaは、0.038[μm]となる。仮に、この回折面14cが空気と接しているとして、前述のRCWA法を用いたシミュレーションにより散乱成分の割合を計算すると、該回折面14cに垂直に入射するd線の光のうち0.50[%]が散乱光となってしまう。それに対して、第1光学部材10との屈折率差Δndが0.03となる第2光学部材11を積層させると、該回折面14cに垂直に入射するd線の光のうち散乱光となるのは、0.01[%]未満である。回折面14cが空気層と接している場合と較べて、散乱が大きく抑制されていることがわかる。
【0067】
−実施例2−
実施例2では、第1光学部材10を、d線に対する屈折率n1(λ)が1.66955、アッベ数νd1が55.4のガラス(住田光学ガラス製K−VC78)とし、第2光学部材11を、d線に対する屈折率n2(λ)が1.606、アッベ数νd2が27.3の仮想樹脂とした。その結果、屈折率差Δndは、0.06355となる。ブレーズ波長λbをd線に設定した。このときの格子高は、9.25[μm]となる。そして、回折格子のピッチPを0.4[mm]とした。また、高い回折効率を実現すべく、回折格子の稜部の曲率半径Rを15[μm]に設定した。つまり、先端の曲率半径が15[μm]のバイトで回折格子用の金型を切削加工することを想定した。
【0068】
例えば、回折面の直径が80[mm]の第1光学部材10に対応した金型を加工する場合、先端の曲率半径が10[μm]のバイトで、金型表面の中心線平均粗さRaが0.002[μm]以下となるように加工すると、バイトの送りピッチが0.49[μm]となり、切削距離が約10000[m]以上となってしまう。しかし、本実施例のように、回折面を挟んだ媒体の屈折率差Δndが0.06355の場合には、第1光学部材10の表面10bが散乱が最も大きい面であって該表面10bの中心線平均粗さRaが0.002[μm](通常の光学素子表面に求められる値)とすると、式(1)より、金型表面の中心線平均粗さRaは、0.021[μm]以下であればよいことがわかる。先端の曲率半径が15[μm]のバイトで中心線平均粗さRaが0.021[μm]となるように金型表面を加工する場合、バイトの送りピッチは1.59[μm]となる。その結果、切削距離は、約3200[m]となる。中心線平均粗さが0.002[μm]の場合と比べて、切削距離が大幅に短縮されることになる。
【0069】
このように形成された金型で第1光学部材10を成形すると、第1光学部材10の回折面14cの表面粗さも金型の表面粗さと同様になる。すなわち、回折面14cの中心線平均粗さRaは、0.021[μm]となる。仮に、この回折面14cが空気と接しているとして、前述のRCWA法を用いたシミュレーションにより散乱成分の割合を計算すると、該回折面14cに垂直に入射するd線の光のうち0.22[%]が散乱光となってしまう。それに対して、第1光学部材10との屈折率差Δndが0.06355となる第2光学部材11を積層させると、該回折面14cに垂直に入射するd線の光のうち散乱光となるのは、0.01[%]未満である。回折面14cが空気層と接している場合と較べて、散乱が大きく抑制されていることがわかる。
【0070】
−実施例3−
実施例3では、先端の曲率半径が20[μm]のバイトで回折格子用の金型表面を中心線平均粗さRaが0.008[μm]となるようなピッチで切削加工し、第1光学部材10はこの金型で成形されたと想定する。第1光学部材10のd線に対する屈折率n1(λ)は、1.85であり、アッベ数νd1は42であるとする。そして、このように構成された第1光学部材10の回折面に波長が400nmの光を垂直に入射させたときの散乱光の量をRCWA方でシミュレーションした。この400nmという波長は、使用光を可視光とした場合の最短波長である。
【0071】
第1光学部材10の回折面が空気と接している場合には、回折面に垂直に入射する波長400nmの光のうち0.11[%]が散乱光となってしまう。それに対して、第1光学部材10の回折面が、d線に対する屈折率n1(λ)が1.70で、アッベ数νd1が17の光学部材と接している場合には、該回折面に垂直に入射する波長400nmの光のうち散乱光となるのは、0.01[%]未満である。回折面が空気と接している場合と較べて、散乱が大きく抑制されていることがわかる。
【0072】
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0073】
すなわち、上記実施形態では、回折光学素子1を交換レンズ200に採用しているが、これに限られるものではない。回折光学素子1をカメラ100内のレンズ素子として適用してもよい。また、回折光学素子1は、レンズとして機能させる場合に限られず、それ以外の用途に適用してもよい。
【0074】
また、第1及び第2回折格子14,15の形状は、上記実施形態の形状に限られるものではない。すなわち、第1及び第2回折格子14,15は、断面鋸歯形状である限り、任意の形状に形成することができる。
【0075】
さらに、第1及び第2回折格子14,15の形状は、断面矩形状であっても、断面台形状であってもよい。
【0076】
上記実施形態では、第1光学部材10を樹脂材料で構成し、第2光学部材をガラス材料で構成しているが、これに限られるものではない。第1光学部材10をガラス材料で、第2光学部材11を樹脂材料で構成してもよいし、第1及び第2光学部材10,11の両方をガラス材料又は樹脂材料で構成してもよい。また、ガラス材料や樹脂材料の代わりに、透明セラミックを用いてもよい。要するに、使用する波長域で透過性を有する材料であればよい。
【0077】
また、回折光学素子1の散乱最大面にも、バイトによる金型加工痕の反転構造が形成されている場合には、散乱最大面の反転構造の断面の曲率半径をR_s、該反転構造のピッチをP_sとすると、第1回折格子14は、下記式(9)を満たすように構成してもよい。
【0078】
【数8】

【0079】
ここで、Aは、下記式(10)を満たす値である。
【0080】
【数9】

【0081】
尚、式(9)の下限値は、0.008[μm]であってもよく、使用波長帯域の最短波長をλとして、λ/50であってもよい。
【0082】
さらに、回折光学素子1が、レンズ等の他の光学素子と共に光学系を構成する場合には、散乱最大面を、光学系内において光が入射する面のうち、回折光学素子1の回折面14cを除く、散乱が最も大きい面としてもよい。
【0083】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明は、2つの光学部材を積層させて、それらの境界面に回折格子を形成した回折光学素子及びそれを備えた光学機器について有用である。
【符号の説明】
【0085】
1 回折光学素子
10 第1光学部材
11 第2光学部材
12 境界面
13 回折格子
14 第1回折格子(第1光学部材の回折格子)
14c 回折面
14d 線条(反転構造)
15 第2回折格子(第2光学部材の回折格子)
200 交換レンズ(光学機器)
230 結像光学系
R 金型加工痕の断面形状の曲率半径
P 金型加工痕のピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面鋸歯形状の第1回折格子を有する第1光学部材と、該第1回折格子の反転形状をした第2回折格子を有し且つ該第1光学部材と屈折率が異なる第2光学部材とを備え、該第1及び第2光学部材を、該第1及び第2回折格子を密着させた状態で積層させた回折光学素子であって、
上記第1回折格子の回折面は、下記式(1)を満足する回折光学素子;
【数1】

ここで、
Ra_a:上記回折面の中心線平均粗さ[μm]
Δnd:上記第1光学部材と上記第2光学部材との屈折率差
Ra_s:上記回折光学素子における光が入射する面のうち、上記回折面を除く、散乱が最も大きい面の中心線平均粗さ[μm]
Δnd_s:上記散乱が最も大きい面を挟んだ媒体間の屈折率差
である。
【請求項2】
断面鋸歯形状の第1回折格子を有する第1光学部材と、該第1回折格子の反転形状をした第2回折格子を有し且つ該第1光学部材と屈折率が異なる第2光学部材とを備え、該第1及び第2光学部材を、該第1及び第2回折格子を密着させた状態で積層させた回折光学素子であって、
上記第1回折格子は、金型で成形され、
上記第1回折格子の回折面には、金型の加工痕を反転させた反転構造が形成されており、
上記反転構造は、断面が円形状となるように凸状に盛り上がっており、
上記第1回折格子の回折面は、下記式(2)を満足する回折光学素子;
【数2】

ここで、
R:上記反転構造の断面の曲率半径[μm]
P:上記反転構造のピッチ[μm]
Δnd:上記第1光学部材と上記第2光学部材との屈折率差
Ra_s:上記回折光学素子における光が入射する面のうち、上記回折面を除く、散乱が最も大きい面の中心線平均粗さ[μm]
Δnd_s:上記散乱が最も大きい面を挟んだ媒体間の屈折率差
である。
【請求項3】
断面鋸歯形状の第1回折格子を有する第1光学部材と、該第1回折格子の反転形状をした第2回折格子を有し且つ該第1光学部材と屈折率が異なる第2光学部材とを備え、該第1及び第2光学部材を、該第1及び第2回折格子を密着させた状態で積層させた回折光学素子であって、
上記第1回折格子の回折面は、下記式(3)を満足する回折光学素子;
【数3】

ここで、
λ:使用波長帯域の最短波長[μm]
Ra_a:上記回折面の中心線平均粗さ[μm]
Δnd:上記第1光学部材と上記第2光学部材との屈折率差
Ra_s:上記回折光学素子における光が入射する面のうち、上記回折面を除く、散乱が最も大きい面の中心線平均粗さ[μm]
Δnd_s:上記散乱が最も大きい面を挟んだ媒体間の屈折率差
である。
【請求項4】
光束を所定の面上に合焦させるための結像光学系を備えた光学機器であって、
上記結像光学系は、請求項1乃至3の何れか1つに記載の回折光学素子を有する光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−227481(P2011−227481A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68396(P2011−68396)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】