説明

回折格子,キャピラリアレイ電気泳動装置,液体クロマトグラフ,分光光度計,生化学自動分析装置

【課題】迷光を低減させた光学特性に優れる回折格子、および迷光を低減させた光学特性に優れる回折格子を備えた分析装置を提供する。
【解決手段】本発明の回折格子は、基板と、光反射膜を有し、前記光反射膜には複数本の鋸歯形状の溝が設けられた回折格子において、前記基板と前記光反射膜との間には、光吸収膜が備えられたものであって、前記反射膜はAg合金、もしくはAl、もしくは酸化チタン系金属であり、前記光反射膜はカーボン、もしくは黒クロム、もしくは黒ニッケル、もしくは黒色石英である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回折格子、および、回折格子を備えた分析装置に関する。回折格子を備えた分析装置としては、キャピラリアレイ電気泳動装置,液体クロマトグラフ,分光光度計,生化学自動分析装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
回折格子は、基板表面に鋸歯形状(凸凹溝)が複数本形成された光学素子で、光学式の分析装置(キャピラリアレイ電気泳動装置,液体クロマトグラフ,分光光度計,生化学自動分析装置等)に搭載され、波長分散するための素子として用いられる。
【0003】
回折格子の一般的な構成は、金属膜と基板が接着剤(例えばエポキシ樹脂)を介して固定され、金属膜表面に鋸歯形状が約1μmの間隔で形成されている。
【0004】
回折格子の一般的な作製方法は次の通りである。まず、ガラス基板(マスター基板)に金属膜(例えばアルミニウム)を蒸着し、金属膜表面に鋸歯形状を加工することにより回折格子(マスター回折格子)を作製する。次に、鋸歯形状が形成されたマスター回折格子の金属膜表面を離型剤(シリコン系やフッ素系)でコーティングした後、離型剤コーティング面に金属蒸着膜を形成し、接着剤を介してガラス基板(レプリカ基板)を貼り合わせて圧力をかける。接着剤が硬化した後、マスター回折格子とガラス基板を剥がすと、離型剤コーティング面から分離し、金属蒸着膜がガラス基板(レプリカ基板)側に転写されることで、金属膜表面に鋸歯形状が形成された回折格子(レプリカ回折格子)が作製できる。次に、レプリカ回折格子をマスター回折格子として、上記プロセスを繰り返すことにより、レプリカ回折格子(すなわち、マスター回折格子のレプリカのレプリカ)を作製することができる。
【0005】
ここで、金属膜としては一般的には反射率が高く、経時劣化(経時的な反射率低下)の小さなAl蒸着膜が用いられる。この金属膜は、膜厚が厚くなればなるほど、表面粗さが大きくなるため表面反射光(金属膜表面での散乱光)の発生が多くなり、反対に、膜厚が薄くなればなるほど、金属膜の膜質が不完全になるため(金属膜が形成されていない微細穴が部分的に発生する)、金属膜を透過した光の内部反射光(例えば、金属膜と接着剤との界面での反射光)の発生が多くなる。この表面反射光や内部反射光は、迷光となって回折光とともに検出されるため分析精度低下の原因となる。この不具合を解決するものとして、エポキシ樹脂(接着剤)に光吸収物質としてタールピッチおよび膨潤炭を混合したタールエポキシ樹脂を利用することによって、金属膜を透過した光を吸収させることにより反射光の発生を防止するものが提案されている。これにより、表面反射光を減少させるために金属膜の膜厚を薄くしても、内部反射光による迷光の増大を生じない回折格子を提供することができる。この特許に関連するものとして、例えば、特開2007−199540号公報(特許文献1)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−199540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
回折格子の鋸歯形状は、幅が0.1〜1μm程度、深さが0.1〜1μm程度の微細形状である。回折格子はマスター回折格子を離型剤でコーティングした後、鋸歯形状の金属膜を形成し、接着剤を介してレプリカ基板を貼り合わせた状態で接着剤を硬化させる。接着剤が硬化した後、マスター回折格子とレプリカ基板を離型剤コーティング面で剥がし、鋸歯形状の金属膜をレプリカ基板に転写させることにより、レプリカ回折格子を製作する。このとき、マスター回折格子に形成された金属膜を、レプリカ基板に完全に転写するためには、金属膜で形成された幅が0.1〜1μm程度、深さが0.1〜1μm程度の微細形状溝の隅々にまで接着剤で完全に埋める必要がある。
【0008】
光吸収物質を接着剤に混合すると、接着剤の粘度が大きくなるが、接着剤の粘度が大きくなればなるほど、接着剤を微細形状溝に完全に埋めるためには、接着剤を介してマスター回折格子とレプリカ基板を貼り合せる時、より高い圧力を加えなければならない。表面散乱光の発生を防止するため、金属膜の平面度および表面粗さを小さくしなければならないが、マスター回折格子とレプリカ基板を貼り合わせる時の圧力を高くすればするほど、微細加工溝に加わる圧力が高くなるので、微細形状溝の変形が大きくなる。これは金属膜の平面度および表面粗さが大きくなることであり、表面散乱光の発生、すなわち、迷光の発生を引き起こすことになる。
【0009】
また、接着剤は硬化するとき体積収縮するが、光吸収物質を接着剤に混合すると、光吸収物質は体積収縮しないため、金属膜に対して垂直方向への接着剤の収縮率が面内で不均一となるので、接着剤表面(金属膜と接する面)にうねりが発生する。金属膜の膜厚は一般的には0.1〜1μm程度であり剛性が低いため、接着剤の体積収縮の影響を受ける。すなわち、接着剤表面のうねりに沿って、金属膜表面がうねることになるため、金属膜の表面粗さが大きくなる。これは、表面散乱光の発生、すなわち、迷光の発生を引き起こす。
【0010】
さらには、光吸収物質を接着剤に混合すると、光吸収物質は接着剤中に分散された状態であるために、金属膜に光吸収物質が直接的に接する部分と、金属膜と光吸収物質との間に接着剤の層がある部分とが生じる。このとき、金属膜と光吸収物質が接する部分では、金属膜を透過した光は、光吸収物質に直接達して光吸収物質により光吸収されるので光散乱は発生しない。しかし、金属膜と光吸収物質との間に接着剤が満たされる部分では、金属膜を透過した光は、接着剤に達して接着剤を透過した後、光吸収物質に達して光吸収物質により光吸収されるが、金属膜を透過した光の一部は接着剤表面で反射したり、接着剤を透過して光吸収物質に達した光の一部は光吸収物質の表面が平面でないから乱反射したりする。これら反射光のうち、回折光の放射方向と一致するものは迷光となる。
【0011】
本発明の目的は、迷光を低減させた光学特性に優れる回折格子、および迷光を低減させた光学特性に優れる回折格子を備えた分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の特徴は、基板と、光反射膜を有し、前記光反射膜には複数本の鋸歯形状の溝が設けられた回折格子において、前記基板と前記光反射膜との間には、光吸収膜が備えられたものであって、前記反射膜はAg合金、もしくはAl、もしくは酸化チタン系金属であり、前記光吸収膜はカーボン、もしくは黒クロム、もしくは黒ニッケル、もしくは黒色石英であることを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の特徴は、基板と、前記基板に設けられた光反射膜から成り、前記光反射膜には複数本の鋸歯形状の溝が設けられた回折格子において、前記反射膜はAg合金、もしくは酸化チタン系金属であることを特徴とする。
【0014】
本発明の第3の特徴は、基板と、前記基板に設けられた光反射膜から成るものであり、前記光反射膜は鋸歯形状の溝を有する回折格子において、前記反射膜はAg合金、もしくはAl、もしくは酸化チタン系金属から成るものであって、前記基板の前記光反射膜が設けられた面と垂直な側面、および、前記光反射膜の前記基板とは反対側の面の少なくともどちらか一方に、光吸収膜が設けられてあり、前記光吸収膜はカーボン、もしくは黒クロム、もしくは黒ニッケル、もしくは黒色石英であることを特徴とする。
【0015】
本発明の第4の特徴は、第1から第4のいずれかの回折格子を有するキャピラリアレイ電気泳動装置、もしくは液体クロマトグラフ、もしくは分光光度計、もしくは生化学自動分析装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本出願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
(1)迷光を低減させた光学特性に優れる回折格子を提供することができる。
(2)迷光を低減させた光学特性に優れる回折格子を備えた光学式の分析装置(キャピラリアレイ電気泳動装置,液体クロマトグラフ,分光光度計,生化学自動分析装置等)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態である回折格子の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態である回折格子の製作方法を説明する図である。
【図3】従来の回折格子と本発明の第1の実施形態である回折格子を説明する部分拡大図である。
【図4】従来の回折格子と本発明の第1の実施形態である回折格子の迷光強度を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施形態である回折格子の説明図である。
【図6】本発明の第3の実施形態である回折格子の説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態である回折格子の製作方法を説明する図である。
【図8】本発明の第4の実施形態である回折格子の説明図である。
【図9】本発明の第4の実施形態である回折格子の製作方法を説明する図である。
【図10】本発明の第4の実施形態である回折格子を説明する部分拡大図である。
【図11】本発明の第5の実施形態であるキャピラリアレイ電気泳動装置の概略を説明する図である。
【図12】本発明の第5の実施形態であるキャピラリアレイ電気泳動装置を説明する部分拡大図である。
【図13】本発明の第6の実施形態である液体クロマトグラフの概略を説明する図である。
【図14】本発明の第6の実施形態である液体クロマトグラフを説明する部分拡大図である。
【図15】本発明の第7の実施形態である分光光度計の概略を説明する図である。
【図16】本発明の第8の実施形態である生化学自動分析装置の概略を説明する図である。
【図17】本発明の第8の実施形態である生化学自動分析装置を説明する部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図を参照して詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0019】
(第1の実施形態)
本実施形態にかかる回折格子の構成を図1に示す。
【0020】
第1の実施形態の回折格子は、基板1,樹脂2,光吸収膜3,高反射膜4より構成され、ガラス材(大きさ:20mm×20mm×5mm)からなる基板1と、カーボン膜からなる光吸収膜3(膜厚:0.1〜1μm程度)は、接着剤からなる樹脂2(厚さ:20〜100μm程度)により固定されている。光吸収膜3の樹脂2とは反対側の面には、Ag合金からなる高反射膜4(膜厚:0.1〜1μm程度)が設けられてあり、高反射膜4には、幅0.1〜1μm程度、深さ0.1〜1μm程度の鋸歯形状の溝が形成されている。鋸歯形状の溝は、一般的にはAl膜により形成されるが、本発明ではAl膜(波長500nmでの反射率90%)より反射率が高く、Ag膜(波長500nmでの反射率99%)と同程度の反射率であるAg合金膜(Ag−Pt,Ag−Au等)が用いられていることが特徴である。図1では、鋸歯形状の溝本数は5本のみ図示しているが、実際には、数万〜数十万本程度形成されている。ここで、Ag膜ではなくAg合金膜を用いる理由は、Ag合金膜は、Ag膜に比べ経時変化による反射率低下が小さいためである。
【0021】
本発明の回折格子の製作方法について説明する。図2は回折格子の側面図を示す。まず初めに、基板1,樹脂2,金属膜5からなるマスター回折格子を準備する(図2(a))。図示はしないが、マスター回折格子の金属膜5に設けられている鋸歯形状は、機械加工やエッチング加工等により形成される。次に、マスター回折格子の金属膜5に、シリコン系やフッ素系の離型剤6を蒸着や塗布等によってコーティングした後、離型剤6に光吸収膜3を蒸着によって形成し、接着剤である樹脂7を塗布する(図2(b))。続いて、マスター回折格子に四角形状の穴が設けられたガイド8を被せた後、基板9を樹脂7の上に乗せ、基板9におもり(図示しない)を乗せることによって加圧して、樹脂7が光吸収膜3の鋸歯形状の溝表面、および基板9の表面を覆うようにする(図2(c))。なお、おもりの重さは、回折格子の面積、樹脂7を形成する接着剤の粘度などにより最適な重さに設定される。樹脂7を形成する接着剤が硬化した後、マスター回折格子からガイド8を外し、基板9をマスター回折格子から引き離すと、離型剤6(図示しない)を境にして剥離するので、光吸収膜3と樹脂7が基板9に固定されたレプリカ回折格子が製作される(図2(d))。レプリカ回折格子の光吸収膜3には、マスター回折格子の金属膜5に設けられている鋸歯形状と同じ鋸歯形成が形成されているので、マスター回折格子のレプリカが製作されたことになる。このレプリカ回折格子の光吸収膜3の表面に付着している離型剤6を洗浄により除去した後(図示しない)、光吸収膜3に高反射膜4を蒸着によって形成することにより、レプリカ回折格子(完)が製作される(図2(e))。なお、基板1,樹脂2,金属膜5からなるマスター回折格子に代わり、基板9,樹脂7,光吸収膜3からなるレプリカ回折格子をマスターとして用いることにより量産化が可能となる。
【0022】
本発明の回折格子の効果について説明する。図3は、回折格子における回折光と迷光が発生する様子を示したもので、図3(a)が従来の回折格子、図3(b)が本実施形態の回折格子を表す。また、図4は、回折格子に入射光(波長400〜700nmの白色光)を照射したときの、波長500nmの検出光を測定した結果を示したもので、図4(a)が従来の回折格子、図4(b)が本実施形態の回折格子を表す。なお、結果の数値は、回折光強度に対する迷光の相対強度(=迷光強度/回折光強度)である。
【0023】
図3(a)に示すように、基板1,樹脂2,金属膜5(例えばAl膜)からなる従来の回折格子に入射光10が照射されると、回折の理論に従い、回折光11が放出される。金属膜5の膜厚が厚くなればなるほど、表面粗さが大きくなるため表面散乱光の発生が多くなるので、金属膜5の膜厚は薄く設定される。しかし、膜厚が薄くなればなるほど、金属膜5の膜質が不完全になるため金属膜5を透過する光による内部散乱光、すなわち迷光12が発生するようになる。このときの回折光強度に対する迷光の相対強度は、1.0×10-5であった(図4(a))。他方、図3(b)においても、基板1,樹脂2,光吸収膜3,高反射膜4からなる本実施形態の回折格子に入射光10が照射されると、回折の理論に従って回折光13が放出されるが、高反射膜4を透過し、樹脂3に達する透過光14は光吸収膜3により光吸収されるため、透過光14が迷光となることはない。
【0024】
ここで、図3(a)(b)の入射光10と回折光11,13の線幅は光強度の強さを示したもので、線幅が太いほど光強度が強いことを表す。波長500nmにおける反射率は、金属膜5では90%であるのに対し、高反射膜4では99%であるから、高反射膜4からの回折光13は、金属膜5からの回折光11よりも回折光強度が強くなる(回折光13は回折光11よりも太線で図示される)。高反射膜4、および金属膜5の表面粗さはゼロではないため、実際には表面散乱による迷光がわずかに発生し、高反射膜4の膜厚が、金属膜5の膜厚と同程度である場合、この表面散乱による迷光の迷光強度は両者同じになる。しかしながら、回折光強度は、回折光13の方が回折光11よりも強いため、結果的に、図3(b)は図3(a)より、回折光強度に対する迷光(表面散乱による迷光)の相対強度が小さくなる。その結果、図3(b)における回折光強度に対する迷光の相対強度は、0.9×10-5(従来比10%低減)であった(図4(b))。
【0025】
また、図3(a)に代わる従来回折格子としては、樹脂2に光吸収物質を混合させたものが提案されているが(図示しない)、接着剤である樹脂2に光吸収物質を混合させると、樹脂2は硬化収縮するのに対し、光吸収物質は体積収縮しないため、鋸歯形状が形成されている樹脂2の表面粗さが大きくなり、その結果、金属膜5の表面粗さも大きくなる。金属膜5の表面粗さが大きくなると表面散乱光、すなわち迷光の発生が多くなる。他方、本実施形態においては、接着剤である樹脂2と光吸収膜3とは分離されているため、鋸歯形状が形成されている樹脂2の表面は、樹脂2の硬化前後で変化しない。従って、光吸収膜3および高反射膜4の表面粗さは小さくなるので、表面散乱光による迷光は低減する。さらには、光吸収物質を混合させた樹脂2を用いると、金属膜5と光吸収物質が直接的に接する部分と、金属膜5と光吸収物質との間に樹脂2の層がある部分が生じるが、後者の金属膜5と光吸収物質との間に樹脂2の層がある部分では、金属膜5を透過する光は、光吸収物質に達する前に樹脂2を透過することになる。このとき、透過光の一部は、樹脂2の表面での散乱光となったり、光吸収物質の表面が平面でないことによる散乱光となったりするが、これは迷光の原因となる。他方、本実施形態においては、高反射膜4と光吸収膜3とは全面隣接しているため、高反射膜4を透過する光は全て光吸収膜3により光吸収されるので、迷光は発生しない。
【0026】
なお、本実施形態では平面型回折格子のみ示しているが、凹面型回折格子に本発明の構成を適用しても構わない。また、回折格子に形成される鋸歯形状は三角型形状に限らず、回折理論を満足する形状なら如何なる形状でも構わない。さらには、光吸収膜3を形成する部材はカーボン膜に限定される必要性はなく、入射光の波長を吸収する部材なら如何なる部材でもよく、例えば、黒クロム,黒ニッケル,黒色石英などでも構わない。高反射膜においても、Ag合金に限定される必要性はなく、Ag合金と同様、Alより反射率が高い、酸化チタン、もしくは酸化チタン系金属を用いても構わない。基板1においても、黒色石英などの光吸収部材を用いても構わない。
【0027】
(第2の実施形態)
図5により、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0028】
本実施形態の回折格子を、第1の実施形態と比較すると、高反射膜4の代わりにAlからなる金属膜5が備えられている点が異なっており、第1の実施形態を説明する図2において、高反射膜4の代わりに、Alからなる金属膜5を用いることにより製作できる。
【0029】
高反射膜4を形成するAg合金は、Agの高反射率特性を活かすため、耐久性を向上させるために添加される元素は重量%で数%程度であるから、Ag合金の反射率の波長特性はAgと類似する。すなわち、波長400nm程度より短波長領域では、Ag合金の反射率は、回折格子の金属膜として一般的に用いられているAl膜よりも反射率が低下し、90%以下となる。従って、400nm程度よりも短波長の光を回折格子で波長分散させる場合には、本実施形態の回折格子が望ましい。
【0030】
本実施形態によれば、第1の実施形態とほぼ同様な効果が得られる。
【0031】
なお、本実施形態では平面型回折格子のみ示しているが、凹面型回折格子に本発明の構成を適用しても構わない。また、回折格子に形成される鋸歯形状は三角型形状に限らず、回折理論を満足する形状なら如何なる形状でも構わない。さらには、光吸収膜3を形成する部材はカーボン膜に限定される必要性はなく、入射光の波長を吸収する部材なら如何なる部材でもよく、例えば、黒クロム,黒ニッケル,黒色石英などでも構わない。基板1においても、黒色石英などの光吸収部材を用いても構わない。
【0032】
(第3の実施形態)
図6により、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0033】
本実施形態の回折格子を、第1の実施形態と比較すると、高反射膜4と樹脂2との間の光吸収膜3が取り除かれている点が異なり、その他は同じである。
【0034】
本発明の回折格子の製作方法について説明する。図7は回折格子の側面図を示す。まず初めに、基板1,樹脂2,高反射膜4からなるマスター回折格子を準備する(図7(a))。図示はしないが、マスター回折格子の高反射膜4に設けられている鋸歯形状は、機械加工やエッチング加工等により形成される。次に、マスター回折格子の高反射膜4に、シリコン系やフッ素系の離型剤6を蒸着や塗布等によってコーティングした後、離型剤6に高反射膜15を蒸着によって形成し、接着剤である樹脂7を塗布する(図7(b))。続いて、マスター回折格子に四角形状の穴が設けられたガイド8を被せた後、基板9を樹脂7の上に乗せ、基板9におもり(図示しない)を乗せることによって加圧して、樹脂7が高反射膜15の鋸歯形状の溝表面、および基板9の表面を覆うようにする(図7(c))。なお、おもりの重さは、回折格子の面積、樹脂7を形成する接着剤の粘度などにより最適な重さに設定される。樹脂7を形成する接着剤が硬化した後、マスター回折格子からガイド8を外し、基板9をマスター回折格子から引き離すと、離型剤6(図示しない)を境にして剥離するので、高反射膜15と樹脂7が基板9に固定されたレプリカ回折格子が製作される(図7(d))。レプリカ回折格子の高反射膜15には、マスター回折格子の高反射膜4に設けられている鋸歯形状と同じ鋸歯形成が形成されているので、マスター回折格子のレプリカが製作されたことになる。
【0035】
本実施形態によると、第1の実施形態での光吸収膜3による迷光の低減効果がないので、第1の実施形態よりも効果は低下する。しかしながら、第1の実施形態の製作方法と比較すると、本実施形態の回折格子の表面形成膜は一層でよいため製作コストが低減できるので、コストと光学特性を考慮した上で選択されることが望ましい。
【0036】
なお、本実施形態では平面型回折格子のみ示しているが、凹面型回折格子に本発明の構成を適用しても構わない。また、回折格子に形成される鋸歯形状は三角型形状に限らず、回折理論を満足する形状なら如何なる形状でも構わない。高反射膜4においても、Ag合金に限定される必要性はなく、Ag合金と同様、Alより反射率が高い、酸化チタン、もしくは酸化チタン系金属を用いても構わない。基板1においても、黒色石英などの光吸収部材を用いても構わない。
【0037】
(第4の実施形態)
図8により、本発明の第4の実施形態を説明する。
【0038】
本実施形態の回折格子を、第1の実施形態と比較すると、基板1が取り除かれ、樹脂(支持基材)2と高反射膜4との間に備えられていた光吸収膜3が取り除かれ、樹脂2の側面(鋸歯形状が形成されている高反射膜4が設けられた面に対して垂直な面)に光吸収膜3が備えられている点が異なる。なお、図では、光吸収膜3が樹脂2の側面の一部には図示されていないが、これは、本実施形態の回折格子の構成を説明するためのもので、実際には樹脂2の側面は全面、光吸収膜3により覆われている。
【0039】
本発明の回折格子の製作方法について説明する。図9は回折格子の側面図を示す。まず初めに、樹脂2,高反射膜4からなるマスター回折格子を準備する(図9(a))。図示はしないが、マスター回折格子の高反射膜4に設けられている鋸歯形状は、機械加工やエッチング加工等により形成される。次に、マスター回折格子の高反射膜4に、シリコン系やフッ素系の離型剤6を蒸着や塗布等によってコーティングした後、離型剤6にAg合金からなる高反射膜15を蒸着によって形成し、接着剤である樹脂7を塗布する(図9(b))。続いて、マスター回折格子に四角形状の穴が設けられたガイド8を被せた後、押さえ板16を樹脂7の上に乗せ、押さえ板16におもり(図示しない)を乗せることによって加圧して、樹脂7が高反射膜15の鋸歯形状の溝表面、および押さえ板16の表面を覆うようにする(図9(c))。なお、おもりの重さは、回折格子の面積、樹脂7を形成する接着剤の粘度などにより最適な重さに設定される。また、押さえ板16としては、樹脂7と接する側の表面の表面粗さが小さくなるように、ガラス基板などの光学ガラスが用いられ、樹脂7が接着しないように表面はテフロン(登録商標)などの離型剤でコーティングされている。樹脂7を形成する接着剤が硬化した後、マスター回折格子からガイド8、および押さえ板16を外し、樹脂7をマスター回折格子から引き離すと、離型剤6(図示しない)を境にして剥離するので、高反射膜15が樹脂7に固定されたレプリカ回折格子が製作される(図9(d))。レプリカ回折格子の高反射膜15には、マスター回折格子の高反射膜4に設けられている鋸歯形状と同じ鋸歯形成が形成されているので、マスター回折格子のレプリカが製作されたことになる。このレプリカ回折格子の樹脂7の側面にカーボン膜からなる光吸収膜3を蒸着によって形成することにより、レプリカ回折格子(完)が製作される(図9(e))。
【0040】
本発明の回折格子の効果について説明する。図10(a)は、本実施形態の回折格子における回折光と迷光が発生する様子を示す。第1から第3の実施形態の回折格子では、回折格子の鋸歯形状が形成されている側の面に入射光が照射されるが、図10(a)に示すように、本実施形態の回折格子では、回折格子の鋸歯形状が形成されている側と反対側の面(樹脂2)に入射光10が照射される。入射光10は樹脂2の表面で屈折して入射し、鋸歯形状が形成されている高反射膜4に達する。高反射膜4に入射光10が照射されると、回折の理論に従い、回折光11が放出され、光検出器19により検出される。ここで、高反射膜4の膜厚は散乱光の発生を低減させるために薄く設定されるため、高反射膜4の膜質が不完全になるので、高反射膜4を貫通する透過光14が発生するが、障害物が無いため透過光14はそのまま直進する。すなわち、透過光14が高反射膜4の膜下面で反射することによる迷光は発生しない。また、高反射膜4と樹脂2との界面では反射光17が僅かに発生するが、樹脂2の側面に形成された光吸収膜3により光吸収されるので、反射光17が迷光となることはない。さらには、樹脂2の表面に入射光10が照射されるとき、樹脂2の表面で僅かに反射光18が発生するが、光検出器19は反射光18の進行方向に設けられていないので、反射光18が迷光となることはない。従って、本実施形態の回折格子は、第1の実施形態と同様、回折光強度に対する迷光の相対強度を小さくすることができる。
【0041】
なお、本実施形態では平面型回折格子のみ示しているが、凹面型回折格子に本発明の構成を適用しても構わない。また、回折格子に形成される鋸歯形状は三角型形状に限らず、回折理論を満足する形状なら如何なる形状でも構わない。さらには、光吸収膜3を形成する部材はカーボン膜に限定される必要性はなく、入射光の波長を吸収する部材なら如何なる部材でもよく、例えば、黒クロム,黒ニッケル,黒色石英などでも構わない。光吸収膜3に関しては、鋸歯形状が形成された高反射膜4の表面にも光吸収膜3を設けることにより、透過光14を光吸収膜3により吸収させる構成でも構わない(図10(b))。高反射膜4においても、Ag合金に限定される必要性はなく、Ag合金と同様、Al金属より反射率が高い、酸化チタン、もしくは酸化チタン系合金を用いても構わない。さらには、高反射膜4に代えてAl金属膜を用いても構わない。
【0042】
(第5の実施形態)
図11により、本発明の第5の実施形態であるキャピラリアレイ電気泳動装置の全体構成を説明する。本実施形態は、第1から第4の実施形態のいずれかの回折格子が備えられたキャピラリアレイ電気泳動装置である。
【0043】
本実施形態にかかるキャピラリアレイ電気泳動装置は、検査試料を分離するための分離媒体を含むキャピラリ(内径50μm,外径126μmの石英管が厚さ12μmのポリマー被膜で覆われた構造)からなるキャピラリアレイ101と、キャピラリアレイ101の負電極102と試料導入部103とを浸すバッファー液104を保持する第1バッファー容器105と、バルブ106を有するゲルブロック107と、ゲルブロック107とアース電極108とを浸すバッファー液109を保持する第2バッファー容器110と、キャピラリアレイ101内に泳動媒体であるポリマーを注入するためのシリンジ111と、試料に依存する情報を取得するための検出部112と、コヒーレント光であるレーザ光113を光照射部114に照射する光源115と、試料が生じる蛍光116を取得する検出機構117と、キャピラリアレイ101の温度を調節する恒温槽118と、分離媒体に電圧を印加する高電圧電源119から構成される。
【0044】
キャピラリアレイ101は、管状部材である石英製キャピラリを例えば48本有するもので、キャピラリ内には、DNA分子などのサンプルが含まれている検査試料と検査試料中のDNA分子を分離するための分離媒体であるポリマーが充填される。キャピラリアレイ101の一端には、キャピラリ内に試料を導入できる試料導入部103が形成され、負電圧を印加できる負電極102が配置されている。他端には、ゲルブロック107と連結し、ゲルブロック107とキャピラリアレイ101との間で分離媒体を移動できるキャピラリヘッド120を有する。試料導入部103とキャピラリヘッド120の間に、レーザ光113が照射される光照射部114を含む検出部112を有する。
【0045】
ゲルブロック107とシリンジ111は、分離媒体であるポリマーをキャピラリ内に注入する分離媒体注入機構である。キャピラリ内に、分離媒体であるポリマーを充填する際には、バルブ106を閉じ、シリンジ111を押し込むことによって、シリンジ111内のポリマーをキャピラリ内に注入する。
【0046】
キャピラリアレイ101,負電極102,バッファー液104,ゲルブロック107,アース電極側のバッファー液109,アース電極108、および高電圧電源119は、検査試料を電気泳動するための電圧印加機構を構成する。これにより、負電極102,バッファー液104,キャピラリアレイ101(より正確には、キャピラリ内のポリマー),ゲルブロック107(より正確には、ゲルブロック内のポリマー),アース電極側のバッファー液109、およびアース電極108からなる通電路が形成される。この通電路に高電圧電源119により電圧を印加する。通電路に電圧が印加されると、ポリマー中の検査試料が電気泳動し、その分子量等の性質に従い分離される。
【0047】
キャピラリアレイ電気泳動装置の光学系は、光源115と、光照射部114を含む検出部112と、検出部112から生じる蛍光116を検出する検出機構117から構成される。光源115は、コヒーレント光であるレーザ光113(アルゴンイオンレーザからの488.0nmおよび514.5nmの光)を発生する。光源115から発生したレーザ光113は、ハーフミラー121によって2等分され、2等分されたレーザ光122,123の光軸がほぼ同軸で、進行方向が逆向きとなるように、ミラー124によって進行方向が変更される。検出部112には、レーザ光122,123がキャピラリを通過する箇所である光照射部114が整列配置されており、光照射部114を構成する48本のキャピラリの中心軸を含む平面と、レーザ光122,123がほぼ同一平面となるように配置される。レーザ光122,123は集光レンズ125により集光され、48本のキャピラリからなる光照射部114を同時に貫くように、光照射部114を上下両方向から照射する。このレーザ光122,123が検査試料を励起して、検査試料から蛍光116が放出される。
【0048】
検出機構117について図12を用いて説明する。検出機構117は、回折格子126,第1レンズ127,第2レンズ128,検出器129より構成される。光照射部114より放出された蛍光116は、第1レンズ127により集光され、回折格子126に入射される。蛍光116は回折格子126により波長分散され、回折光130となって放出された後、第2レンズ128により集光され、検出器129により検出される。これにより、DNA分子配列等の検査試料に依存した情報を取得できる。
【0049】
本発明のキャピラリアレイ電気泳動装置の効果について説明する。本実施形態によると、回折格子126により波長分光される回折光130に混入される迷光が低減するので、バックグラウンドが低減し、分析感度が向上する。従って、分析性能に優れたキャピラリアレイ電気泳動装置が実現できる。
【0050】
なお、キャピラリアレイ電気泳動装置の構成は本実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、平面型の回折格子126を凹面型回折格子(平面型の回折格子126と、凹面型回折格子の断面構成は同じ)に置き換え、第2レンズ128を取り除いた構成でも同様な効果が得られる。
【0051】
(第6の実施形態)
図13により、本発明の第6の実施形態である液体クロマトグラフの全体構成を示す。本実施形態は、第1から第4の実施形態のいずれかの回折格子が備えられた液体クロマトグラフである。
【0052】
本実施形態にかかる液体クロマトグラフは、ポンプ201と、オートサンプラ202と、恒温槽203と、分離カラム204と、検出機構205と、データ処理部206から構成される。
【0053】
移動相207は、ポンプ201により分離カラム204に送液される。分離カラム204は恒温槽203に配置されてあり、流路への試料の導入は、ポンプ201と分離カラム204の間にある、切換えバルブを有するオートサンプラ202で行われる。分離カラム204にて分離した各分離成分は、検出機構205を通過した後、廃液208として排出される。
【0054】
検出機構205について図14を用いて説明する。検出機構205は、回折格子209,光源210,フローセル211,第1レンズ212,第2レンズ213,検出器214より構成される。光源210より放出された入射光215は、フローセル211を照射する。フローセル211内には、分離カラム204にて分離された各分離成分が送液されるので、フローセル211から放出される入射光215は、分離カラム204にて分離された各分離成分を透過した光である。フローセル211から放出される入射光215は、第1レンズ212により集光され、回折格子209に入射される。入射光215は回折格子209により波長分散され、回折光216となって放出された後、第2レンズ213により集光され、検出器214により検出される。これにより、分離カラム204にて分離された各分離成分の情報を取得できる。
【0055】
本発明の液体クロマトグラフの効果について説明する。本実施形態によると、回折格子209により波長分散される回折光216に混入される迷光が低減するので、検出信号(透過率)の検出精度が向上する。従って、分析性能に優れた液体クロマトグラフが実現できる。
【0056】
なお、検出機構205は、本実施形態の光学系に限定されるものではなく、例えば、平面型の回折格子209を凹面型回折格子(平面型の回折格子209と、凹面型回折格子の断面構成は同じ)に置き換え、第2レンズ213を取り除いた光学系でも同様な効果が得られる。
【0057】
(第7の実施形態)
図15により、本発明の第7の実施形態である分光光度計の全体構成を示す。本実施形態は、第1から第4の実施形態のいずれかの回折格子が備えられた分光光度計である。
【0058】
本実施形態にかかる分光光度計は、光源301から放射された入射光302が、第1レンズ303で集光され、回折格子304に入射される。入射光302は、回折格子304により波長分散され、回折光305となって放出された後、第2レンズ306で集光され、ハーフミラー307で反射光311と透過光312に2等分される。反射光311は反射光検出器310により参照光として検出され、一方、透過光312は試料308を透過し、透過光検出器309により検出される。この反射光311と透過光312を比較することにより、試料308の成分を分析する。
【0059】
本発明の分光光度計の効果について説明する。本実施形態によると、回折格子304により波長分散される回折光305に混入される迷光が低減するので、検出信号(透過率)の検出精度が向上する。従って、分析性能に優れた分光光度計が実現できる。
【0060】
なお、分光光度計の構成は、本実施形態の光学系に限定されるものではなく、例えば、平面型の回折格子304を凹面型回折格子(平面型の回折格子304と、凹面型回折格子の断面構成は同じ)に置き換え、第2レンズ306を取り除いた光学系でも同様な効果が得られる。さらには、本実施形態の分光光度計では、反射光311と透過光312を比較することにより透過率を検出する構成を示しているが、例えば、試料308に入射光を照射したときに試料308が発光する蛍光を検出する分光光度計に用いても構わない。
【0061】
(第8の実施形態)
図16により、本発明の第8の実施形態である生化学自動分析装置の全体構成を示す。本実施形態は、第1から第4の実施形態のいずれかの回折格子が備えられた生化学自動分析装置である。
【0062】
本実施形態にかかる生化学自動分析装置は、反応セル401,サンプルディスク402,試料分注機構403,試薬ディスク404,試薬分注機構405,光源406,検出装置407から構成される。
【0063】
サンプルディスク402内の試料は、試料分注機構403により反応セル401に注入される。次に、試薬ディスク404内の試薬が、試薬分注機構405により試料が注入された反応セル401に注入され、攪拌,混合される。
【0064】
検出装置407について図17を用いて説明する。検出装置407は、回折格子408,第1レンズ409,第2レンズ412,検出器413から構成される。光源406から放射された入射光410が、第1レンズ409で集光され、反応セル401を通過し、回折格子408に入射される。入射光410は、回折格子408により波長分散され、回折光411となって放出された後、第2レンズ412で集光され、検出器413により検出され、分析する。
【0065】
本発明の生化学自動分析装置の効果について説明する。本実施形態によると、回折格子408により波長分散される回折光411に混入される迷光が低減できるので、検出信号(透過率)の検出精度が向上する。従って、分析性能に優れた生化学自動分析装置が実現できる。
【0066】
なお、生化学自動分析装置の構成は本実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、平面型の回折格子408を凹面型回折格子(平面型の回折格子408と、凹面型回折格子の断面構成は同じ)に置き換え、第2レンズ412を取り除いた構成でも同様な効果が得られる。
【符号の説明】
【0067】
1,9 基板
2,7 樹脂
3 光吸収膜
4,15 高反射膜
5 金属膜
6 離型剤
8 ガイド
10,215,302,410 入射光
11,13,130,216,305,411 回折光
12 迷光
14,312 透過光
16 押さえ板
17,18,311 反射光
19 光検出器
101 キャピラリアレイ
102 負電極
103 試料導入部
104,109 バッファー液
105 第1バッファー容器
106 バルブ
107 ゲルブロック
108 アース電極
110 第2バッファー容器
111 シリンジ
112 検出部
113,122,123 レーザ光
114 光照射部
115,210,301,406 光源
116 蛍光
117,205 検出機構
118,203 恒温槽
119 高電圧電源
120 キャピラリヘッド
121,307 ハーフミラー
124 ミラー
125 集光レンズ
126,209,304,408 回折格子
127,212,303,409 第1レンズ
128,213,306,412 第2レンズ
129,214,413 検出器
201 ポンプ
202 オートサンプラ
204 分離カラム
206 データ処理部
207 移動相
208 廃液
211 フローセル
308 試料
309 透過光検出器
310 反射光検出器
401 反応セル
402 サンプルディスク
403 試料分注機構
404 試薬ディスク
405 試薬分注機構
407 検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、光反射部材を有し、前記光反射部材には複数本の溝が設けられている回折格子において、
前記支持基板と前記光反射膜との間には、光吸収部材が備えられていることを特徴とする回折格子。
【請求項2】
請求項1に記載の回折格子において、
前記光反射部材と前記光吸収部材は隣接していることを特徴とする回折格子。
【請求項3】
請求項1に記載の回折格子において、
前記光反射部材は、Ag合金、もしくはAl、もしくは酸化チタン系金属からなることを特徴とする回折格子。
【請求項4】
請求項1に記載の回折格子において、
前記光吸収部材は、カーボン、もしくは黒クロム、もしくは黒ニッケル、もしくは黒色石英からなることを特徴とする回折格子。
【請求項5】
支持基板と、光反射部材を有し、前記光反射部材には複数本の溝が設けられている回折格子において、
前記光反射部材は、Ag合金、もしくは酸化チタン系金属からなることを特徴とする回折格子。
【請求項6】
支持基材と、前記支持基材に設けられた光反射部材からなり、前記光反射部材には複数本の溝が設けられている回折格子において、
前記支持基材の前記光反射部材が設けられた面と略垂直な側面、および、前記光反射部材の前記支持基材と反対側の面の少なくともどちらか一方に、光吸収部材が設けられていることを特徴とする回折格子。
【請求項7】
請求項6に記載の回折格子において、
前記光反射部材は、Ag合金、もしくはAl、もしくは酸化チタン系金属からなることを特徴とする回折格子。
【請求項8】
請求項6に記載の回折格子において、
前記光吸収部材は、カーボン、もしくは黒クロム、もしくは黒ニッケル、もしくは黒色石英からなることを特徴とする回折格子。
【請求項9】
複数本の溝が設けられた光反射部材を有し、前記光反射部材の前記複数本の溝が設けられている側の面に光が照射される回折格子において、
前記光反射部材の光が照射される側と反対側の面には、光吸収部材が備えられていることを特徴とする回折格子。
【請求項10】
請求項9に記載の回折格子において、
前記光反射部材と前記光吸収部材は隣接していることを特徴とする回折格子。
【請求項11】
請求項9に記載の回折格子において、
前記光反射部材は、Ag合金、もしくはAl、もしくは酸化チタン系金属からなることを特徴とする回折格子。
【請求項12】
請求項9に記載の回折格子において、
前記光吸収部材は、カーボン、もしくは黒クロム、もしくは黒ニッケル、もしくは黒色石英からなることを特徴とする回折格子。
【請求項13】
支持基板と、光反射部材を有し、前記光反射部材には複数本の溝が設けられている回折格子を用いたキャピラリアレイ電気泳動装置において、
前記支持基板と前記光反射膜との間には、光吸収部材が備えられていることを特徴とするキャピラリアレイ電気泳動装置。
【請求項14】
支持基材と、前記支持基材に設けられた光反射部材からなり、前記光反射部材には複数本の溝が設けられているキャピラリアレイ電気泳動装置において、
前記支持基材の前記光反射部材が設けられた面と略垂直な側面、および、前記光反射部材の前記支持基材と反対側の面の少なくともどちらか一方に、光吸収部材が設けられていることを特徴とするキャピラリアレイ電気泳動装置。
【請求項15】
支持基板と、光反射部材を有し、前記光反射部材には複数本の溝が設けられている回折格子を用いた液体クロマトグラフにおいて、
前記支持基板と前記光反射膜との間には、光吸収部材が備えられていることを特徴とする液体クロマトグラフ。
【請求項16】
支持基材と、前記支持基材に設けられた光反射部材からなり、前記光反射部材には複数本の溝が設けられている液体クロマトグラフにおいて、
前記支持基材の前記光反射部材が設けられた面と略垂直な側面、および、前記光反射部材の前記支持基材と反対側の面の少なくともどちらか一方に、光吸収部材が設けられていることを特徴とする液体クロマトグラフ。
【請求項17】
支持基板と、光反射部材を有し、前記光反射部材には複数本の溝が設けられている回折格子を用いた分光光度計において、
前記支持基板と前記光反射膜との間には、光吸収部材が備えられていることを特徴とする分光光度計。
【請求項18】
支持基材と、前記支持基材に設けられた光反射部材からなり、前記光反射部材には複数本の溝が設けられている分光光度計において、
前記支持基材の前記光反射部材が設けられた面と略垂直な側面、および、前記光反射部材の前記支持基材と反対側の面の少なくともどちらか一方に、光吸収部材が設けられていることを特徴とする分光光度計。
【請求項19】
支持基板と、光反射部材を有し、前記光反射部材には複数本の溝が設けられている回折格子を用いた生化学自動分析装置において、
前記支持基板と前記光反射膜との間には、光吸収部材が備えられていることを特徴とする生化学自動分析装置。
【請求項20】
支持基材と、前記支持基材に設けられた光反射部材からなり、前記光反射部材には複数本の溝が設けられている生化学自動分析装置において、
前記支持基材の前記光反射部材が設けられた面と略垂直な側面、および、前記光反射部材の前記支持基材と反対側の面の少なくともどちらか一方に、光吸収部材が設けられていることを特徴とする生化学自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−150370(P2012−150370A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10350(P2011−10350)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】