説明

回旋筋腱板を修復する方法

【課題】骨−腱移植片を利用することにより回旋筋腱板を修復するための方法を提供する。
【解決手段】上腕骨Hおよび回旋筋腱板の腱を含む外科手術部位にアクセスするための手段;該上腕骨に欠損を作製するための手段;骨−腱アセンブリ100であって、該骨−腱アセンブリは、少なくとも1つの移植腱102および少なくとも1つの骨セグメント104a、104bを備え、該少なくとも1つの骨セグメントは、該少なくとも1つの移植腱が該上腕骨から延びるように、該上腕骨の該欠損内に取り付けられるように構成されており、該少なくとも1つの移植腱は、該回旋筋腱板の腱に取り付けられるように構成されている、骨−腱アセンブリ;該骨−腱アセンブリの該少なくとも1つの骨セグメントを、該上腕骨の該欠損内に取り付けるための手段;ならびに該少なくとも1つの移植腱を該回旋筋腱板に取り付けるための手段、を備えることを特徴とするシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2009年2月19日に出願された米国仮出願番号61/153,676の利益および優先権を主張する。この米国仮出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、回旋筋腱板損傷を修復するための方法に関する。より特定すると、本開示は、骨−腱移植片を利用することにより、回旋筋腱板を修復するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
回旋筋腱板損傷(一般に、回旋筋腱板断裂(腱の損傷および退化から生じ、腱をほぐれさせる)として公知)はしばしば、回旋筋腱板の腱および/または骨−腱の分離をもたらす。ほぐれは、腱をより薄くし、その結果として腱が骨から引き離され得る。これが起こると、腱が組織化されなくなり、短縮され、そして丈夫でなくなる。ほとんどの場合において、腱が骨から外れると、筋萎縮症および脂肪変性が起こる。この外れはもちろん、肩の疼痛、ならびに肩の伸筋および回転機構の機能の損失を引き起こす。
【0004】
回旋筋腱板の腱が裂けると、これらの腱はしばしば、付随する筋肉により付与される力に起因して短縮させられる。その結果、骨への正常な挿入部位とこの腱との間にギャップが生じる。通常の外科手術手順において、短縮した腱は、解剖学的位置に引き戻され、そして固定機構(例えば、縫合糸アンカー)を使用して上腕骨に固定されることが試みられる。このことはしばしば、長さを得るための腱の操作を必要とするが、しばしば、過度の張力なしでの完全な再付着は、不成功であり得る。
【0005】
外科手術手順が完了した後に、腱が多大な張力を受けている場合、肩の任意の動きが、腱の修復に対する過剰な力を生じ得、これは、肩の疼痛および/または再断裂をもたらし得る。短縮した腱は、医学的問題を生じ、この問題は、高い割合での腱の再断裂(肩の伸筋機構を修復するための外科手術手順後に起こることが公知)により証拠付けられるように、効果的には解決されていない。腱が上腕骨に再度付着され得ず、そしてケーブル様の伸筋機構が再確立され得ない場合、移植片が、これらの問題を改善するために使用され得る。
【0006】
移植片は、以下の機構のうちの1つ以上により、修復構築物を容易にし得る:i)回旋筋腱板の短縮がギャップを生じる場合、回旋筋腱板の腱と上腕骨との間の介在構造への「ブリッジ」を提供することによる;ii)修復構築物が生じる負荷を取り扱うために回旋筋腱板の腱が不充分である場合、さらなる支持を追加することにより、修復構築物を補強することによる;iii)組織修復のためのマトリックスとして働き、回旋筋腱板の生物力学的一体性の生物学的修復および強化を増強することによる;ならびにiv)正常な範囲の運動および強度のために必要とされる正常な回旋筋腱板のケーブル様機構の再形成を補助することによる。
【0007】
約380,000件の回旋筋腱板手順が、米国において1年間に実施されている。これらの回旋筋腱板手順のうちの約90,000件が、回旋筋腱板の大掛かりな断裂であり、これは、大規模かつ複雑な外科手術を必要とする。多くの場合において、回旋筋腱板外科手術手順が実施された後に、50%の再断裂が存在する。
【0008】
回旋筋腱板修復手順の成功に対する主要な障害は、腱が骨に癒合するために必要とされる長い時間である。骨は、腱が骨に癒合するよりも速く骨に癒合する傾向があり、そしてこの癒合のための短縮された時間は、修復の成功の可能正に影響を与えると考えられる。なぜなら、腱を保持する機械的固定手段(例えば、縫合糸)は、修復構築物において弱い結合である傾向があるからである。このことは、外科手術後のリハビリテーションのために必要とされる代表的な長い時間、および構築物が尚早に負荷を受ける場合の再断裂の危険性により反映される。骨−腱構築物はまた、腱と骨との間の界面と記載されるフットプリント(この位置で、生物学的治癒および再付着が重要である)を増強する可能性を有する。強い腱の構築物を有することは、治癒期間中の移植片強度に対する信頼を可能にし、そしてまた、再付着のために上腕骨に充分な界面を得るために、自然な腱を伸長させる必要性を低下させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1A)
回旋筋腱板を修復するためのシステムであって、
上腕骨および回旋筋腱板の腱を含む外科手術部位にアクセスするための手段;
該上腕骨に欠損を作製するための手段;
骨−腱アセンブリであって、該骨−腱アセンブリは、少なくとも1つの移植腱および少なくとも1つの骨セグメントを備え、該少なくとも1つの骨セグメントは、該少なくとも1つの移植腱が該上腕骨から延びるように、該上腕骨の該欠損内に取り付けられるように構成されており、該少なくとも1つの移植腱は、該回旋筋腱板の腱に取り付けられるように構成されている、骨−腱アセンブリ;
該骨−腱アセンブリの該少なくとも1つの骨セグメントを、該上腕骨の該欠損内に取り付けるための手段;ならびに
該少なくとも1つの移植腱を該回旋筋腱板に取り付けるための手段、
を備える、システム。
(項目2A)
上記回旋筋腱板の腱を壊死組織切除するための手段をさらに備える、上記項目に記載のシステム。
(項目3A)
上記上腕骨に欠損を作製するための手段が、該上腕骨にフットプリントを調製するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目4A)
上記フットプリントが上記上腕骨の外側皮質の皮質除去である、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目5A)
上記骨−腱アセンブリが、上記骨セグメントを上記移植腱の一端に取り付けるように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目6A)
上記上腕骨および上記回旋筋腱板にアクセスするための手段が、アクセスポートを介して該上腕骨および該回旋筋腱板にアクセスするように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目7A)
上記回旋筋腱板の腱が、棘上筋腱、棘下筋腱、小円筋腱、肩甲下筋腱、および長頭腱からなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目8A)
上記骨−腱アセンブリの上記骨セグメントが骨プラグである、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目9A)
上記骨プラグの形状が、楕円形、円柱形、矩形、多角形、および三角形からなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目10A)
上記骨−腱アセンブリの上記少なくとも1つの骨セグメントが、複数の骨セグメントを含む、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目11A)
上記骨−腱アセンブリの上記少なくとも1つの移植腱が、複数の移植腱を含む、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目12A)
上記骨−腱アセンブリの上記少なくとも1つの移植腱および上記少なくとも1つの骨セグメントが、複数の移植腱および複数の骨セグメントを含む、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目13A)
上記骨−腱アセンブリの上記移植腱を上記回旋筋腱板に取り付けるための手段が、繋留、縫合、接着、ステープル留め、螺合、プラグ、およびプレスばめからなる群より選択される取り付け技術である、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目14A)
上記少なくとも1つの骨セグメントを取り付けるための手段が、少なくとも1つの脱水された骨セグメントを上記上腕骨の上記欠損内に配置して、該少なくとも1つの脱水された骨セグメントを再水和させるように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目15A)
超音波エネルギー、パルス化電磁場エネルギー、電流エネルギー、および高圧エネルギーからなる群より選択されるエネルギーを上記外科手術部位に付与するための手段をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目16A)
上記上腕骨に欠損を作製するための手段が、該欠損を該上腕骨の長手方向軸に対してほぼ垂直な姿勢に配置するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目17A)
上記上腕骨に欠損を作製するための手段が、該欠損を該上腕骨の外側表面の曲率半径に対してほぼ接する姿勢に配置するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目18A)
上記少なくとも1つの骨セグメントが上記少なくとも1つの骨欠損に挿入される際に該少なくとも1つの骨セグメントの表面と該少なくとも1つの骨欠損の表面との間に締りばめを提供するように、該少なくとも1つの骨セグメントおよび該少なくとも1つの骨欠損を成形するための手段をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目19A)
上記上腕骨の輪郭に一致するように、上記骨−腱アセンブリの上記少なくとも1つの骨セグメントを成形するための手段をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目20A)
上記骨−腱アセンブリの、上記少なくとも1つの移植腱および上記少なくとも1つの骨セグメントの各々が、自原性材料、同種異系材料、異種材料および合成材料からなる群より選択される材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目21A)
上記骨−腱アセンブリの、上記少なくとも1つの移植腱および上記少なくとも1つの骨セグメントが、締りばめ、ピン留め、ステープル留め、接着およびこれらの組み合わせからなる群より選択される機械的手段を使用することにより、互いに結合されるように形成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目1B)
回旋筋腱板を修復する方法であって、
上腕骨および回旋筋腱板の腱を含む外科手術部位にアクセスする工程;
該上腕骨に欠損を作製する工程;
少なくとも1つの移植腱および少なくとも1つの骨セグメントを備える骨−腱アセンブリを提供する工程;
該骨−腱アセンブリの該少なくとも1つの骨セグメントを該上腕骨の該欠損内に取り付ける工程;ならびに
該少なくとも1つの移植腱を該回旋筋腱板に取り付ける工程、
を包含する、方法。
(項目2B)
上記回旋筋腱板の腱を壊死組織切除する工程をさらに包含する、上記項目に記載の方法。
(項目3B)
上記上腕骨に欠損を作製する工程が、該上腕骨にフットプリントを調製する工程を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目4B)
上記フットプリントを調製する工程が、上記上腕骨の外側皮質の皮質除去を実施する工程を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目5B)
上記骨−腱アセンブリを提供する工程が、上記骨セグメントを上記移植腱の一端に取り付ける工程を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目6B)
上記上腕骨および上記回旋筋腱板にアクセスする工程が、アクセスポートを介して該上腕骨および該回旋筋腱板にアクセスする工程を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目7B)
上記回旋筋腱板の腱が、棘上筋腱、棘下筋腱、小円筋腱、肩甲下筋腱、および長頭腱からなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目8B)
上記骨−腱アセンブリの上記骨セグメントが骨プラグである、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目9B)
上記骨プラグの形状が、楕円形、円柱形、矩形、多角形、および三角形からなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目10B)
上記骨−腱アセンブリの上記少なくとも1つの骨セグメントが、複数の骨セグメントを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目11B)
上記骨−腱アセンブリの上記少なくとも1つの移植腱が、複数の移植腱を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目12B)
上記骨−腱アセンブリの上記少なくとも1つの移植腱および上記少なくとも1つの骨セグメントが、複数の移植腱および複数の骨セグメントを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目13B)
上記骨−腱アセンブリの上記移植腱を上記回旋筋腱板に取り付ける工程が、繋留、縫合、接着、ステープル留め、螺合、プラグ、およびプレスばめからなる群より選択される取り付け技術により実施される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目14B)
上記少なくとも1つの骨セグメントを取り付ける工程が、少なくとも1つの脱水された骨セグメントを上記上腕骨の上記欠損内に配置する工程、および該少なくとも1つの脱水された骨セグメントを再水和させる工程を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目15B)
超音波エネルギー、パルス化電磁場エネルギー、電流エネルギー、および高圧エネルギーからなる群より選択されるエネルギーを上記外科手術部位に付与する工程をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目16B)
上記上腕骨に欠損を作製する工程が、該欠損を該上腕骨の長手方向軸に対してほぼ垂直な姿勢に配置する工程をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目17B)
上記上腕骨に欠損を作製する工程が、該欠損を該上腕骨の外側表面の曲率半径に対してほぼ接する姿勢に配置する工程をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目18B)
上記少なくとも1つの骨セグメントが上記少なくとも1つの骨欠損に挿入される際に該少なくとも1つの骨セグメントの表面と該少なくとも1つの骨欠損の表面との間に締りばめを提供するように、該少なくとも1つの骨セグメントおよび該少なくとも1つの骨欠損を成形する工程さらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目19B)
上記上腕骨の輪郭に一致するように、上記骨−腱アセンブリの上記少なくとも1つの骨セグメントを成形する工程をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目20B)
上記骨−腱アセンブリの、上記少なくとも1つの移植腱および上記少なくとも1つの骨セグメントの各々が、自原性材料、同種異系材料、異種材料および合成材料からなる群より選択される材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目21B)
上記骨−腱アセンブリの、上記少なくとも1つの移植腱および上記少なくとも1つの骨セグメントが、締りばめ、ピン留め、ステープル留め、接着およびこれらの組み合わせからなる群より選択される機械的手段を使用することにより、互いに結合される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0010】
回旋筋腱板を修復する方法が開示される。この方法は、上腕骨および回旋筋腱板の腱を含む外科手術部位にアクセスする工程、この回旋筋腱板を壊死組織切除する工程、ならびにこの上腕骨に欠損を作製する工程を包含する。この方法は、少なくとも1つの移植腱および少なくとも1つの骨セグメントを備える骨−腱アセンブリを提供する工程、少なくとも1つの移植腱が上腕骨から延びるように、この骨−腱アセンブリの少なくとも1つの骨セグメントを骨欠損内に取り付ける工程、ならびに少なくとも1つの移植腱を回旋筋腱板の腱に取り付ける工程をさらに包含する。
【0011】
(要旨)
回旋筋腱板を修復する方法が開示される。この方法は、上腕骨および回旋筋腱板の腱を含む外科手術部位に、例えば、アクセスポートを介してアクセスする工程を包含する。
【0012】
回旋筋腱板の腱は、例えば、棘上筋腱、棘下筋腱、小円筋腱、肩甲下筋腱、および/または長頭腱であり得る。いくつかの実施形態において、回旋筋腱板の腱が記載され、そして上腕骨の欠損が作製される。この欠損は、上腕骨の外側表面の曲率半径のほぼ接線方向に位置し得るか、または上腕骨の長手方向軸に対してほぼ垂直に位置し得る。いくつかの実施形態において、フットプリントが上腕骨に調製され、そして/または上腕骨の外側の皮質の皮質除去が実施される。
【0013】
さらに、移植腱および骨セグメントを有する骨−腱アセンブリが提供される。この骨−腱アセンブリの骨セグメントは、移植腱の一端に取り付けられ得る。この方法はまた、移植腱が上腕骨から延びるように、骨−腱アセンブリの骨セグメント(例えば、骨プラグ)を欠損内に取り付ける工程を開示する。この骨プラグの形状は、例えば、楕円形、円柱形、矩形、多角形、または三角形であり得る。骨−腱アセンブリは、1つ以上の骨セグメントおよび/または1つ以上の移植腱を備え得る。いくつかの実施形態において、この骨セグメントは、1つ以上の脱水された骨セグメントを上腕骨の欠損内に配置すること、およびこの脱水された骨セグメントをこの欠損内で再水和することにより、上腕骨に取り付けられ得る。
【0014】
さらに、この移植腱は、例えば、繋留、縫合、接着、螺合、スナップ、プラグ、またはプレスばめにより、回旋筋腱板の腱に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、この方法はまた、この骨セグメントがこの骨欠損に挿入される場合に、この骨セグメントの表面とこの骨欠損の表面との間で締りばめを提供するように、骨欠損および骨セグメントを成形する工程を包含し得る。この方法はまた、骨−腱アセンブリの骨セグメントを成形して、上腕骨の輪郭に合わせる工程を包含し得る。他の実施形態において、回旋筋腱板を修復する方法は、超音波エネルギー、パルス化電磁場エネルギー、電流エネルギー、および/または高圧エネルギーを用いて、外科手術部位にエネルギーを付与する工程をさらに包含し得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、骨−腱アセンブリの移植腱および骨セグメントの各々は、自原性材料、同種異系材料、異種材料、および/または合成材料から作製され得る。さらに、骨−腱アセンブリの移植腱および骨セグメントは、代替の接続手段(例えば、締りばめ、ピン留め、ステープル留め、接着または他の機械的手段)により、互いに結合され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、回旋筋腱板の腱および上腕骨に取り付けられた複数の骨プラグおよび移植腱を有する、本開示の骨−腱アセンブリの1つの実施形態の側面断面図である。
【図2】図2は、1つの骨プラグおよび移植腱を有する、図1の骨−腱アセンブリの斜視図である。
【図3】図3は、回旋筋腱板の腱および上腕骨に取り付けられた縫合糸アンカーおよび骨プラグを有する、骨−腱アセンブリの別の実施形態の側面断面図である。
【図4】図4は、回旋筋腱板の腱および上腕骨に取り付けられた骨ねじおよび骨プラグを有する、骨−腱アセンブリのなお別の実施形態の側面断面図である。
【図5】図5は、回旋筋腱板の腱および上腕骨に取り付けられた1つの骨ねじおよび複数の縫合糸を有する、骨−腱アセンブリのなおさらに別の実施形態の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の骨−腱およびその使用方法の種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中に開示される。
【0018】
(詳細な説明)
添付の図面は、本開示の例示的な実施形態を図示し、そして本明細書中に示される実施形態を説明するために参照される。本明細書中以下で、本開示は、図面を説明することにより詳細に説明される。図面において、同じ参照番号は、数枚の図全体にわたって、同じ部品を表す。
【0019】
本開示は、骨−腱移植片アセンブリを介して、上腕骨の上腕頭に回旋筋腱板の腱を再度付着させることによって、裂けたかまたは外れた回旋筋腱板の腱を修復する方法を提供する。この骨−腱アセンブリは一般に、移植腱を備え、この移植腱に取り付けられた1つ以上の骨セグメントを有する。本開示の方法は、上腕骨での骨と骨との固定を達成し、一方で、回旋筋腱板での腱と腱との固定も達成する。
【0020】
(骨−腱移植片アセンブリ)
ここで図1を参照すると、回旋筋腱板の腱を修復する方法と共に使用するための骨−腱アセンブリが図示されており、一般に番号100として図示されている。骨−腱アセンブリ100は、移植腱102ならびに1つ以上の骨セグメント104aおよび104bを備える。移植腱102は、任意の適切な取り付け技術(例えば、縫合、繋留、または接着が挙げられるが、これらに限定されない)により、回旋筋腱板の腱Tに取り付けられるように適合される。この図示において、骨−腱アセンブリ100は、2つの骨セグメント104aおよび104b(例えば、骨プラグ)を備え、これらの骨セグメントは、上腕骨Hの上腕頭HHに形成された、調製されたホスト床または骨欠損内に受容されるように適合される。骨プラグ104aおよび104bの各々は、それぞれの骨欠損106aおよび106b(例えば、穴または空洞)にしっかりと固定される。骨欠損106aおよび106bは、上腕骨Hの頂部の骨表面に作製されて、骨セグメント104aおよび104bが内部で固定されることを可能にする。骨欠損およびその調製のより詳細な説明は、以下でさらに詳細に記載される。
【0021】
ここで図2を参照すると、回旋筋腱板の腱Tへの取り付け前の骨−腱アセンブリ100が示されている。骨−腱アセンブリ100は、約1mmの厚さ、約6cm〜8cmの長さであり得、そして移植腱102は、約2cm〜5cm(すなわち、ここで移植腱102が回旋筋腱板の腱Tに取り付けられる)から約1cm〜2cm(すなわち、骨セグメント104の近く)までテーパ状であり得ることが予測される。さらに、骨セグメント104は、約1cmの長さおよび約3mm〜6mmの直径であり得る。本開示の骨セグメントは、皮質骨セグメント、海綿質セグメント、またはこれらの両方から作製され得、これらは、同種異系供給源、自原性供給源、および/または異種供給源から得られ得る。
【0022】
ある実施形態において、本開示の骨−腱アセンブリ100は、異種移植片(すなわち、ヒト以外の動物由来の移植片)、同種移植片(すなわち、別のヒトもしくは死体由来の移植片)、および/または自家移植片(例えば、同じヒト由来の移植片)、ならびに/あるいは適切な合成物質または上記のものの組み合わせから構築され得る。骨−腱アセンブリ100は、鵞足腱複合体、薄筋、または他の任意の適合性筋肉から採取され得る。鵞足移植片は、脛骨の近位/内側位置の脛骨挿入点から取られ得る。採取される移植片の骨セグメント104は、取り付けられる腱102と一緒に、無傷であり分離されずに維持され得ることに留意することが重要である。この様式で、骨−腱アセンブリ100は、当然、移植腱102と骨セグメント104との間の強い接続を維持する。あるいは、骨および腱は、別々に採取または調製され得、そしてその後、適切な手段(締りばめ、ピン留め、接着または他の機械的手段が挙げられる)により互いに取り付けられ得る。図2にまた図示されるように、骨セグメント104は、切断されて円柱形状(例えば、3mm〜6mmの直径)に刻まれ得、その結果、患者の上腕骨Hの適合する欠損(すなわち、3mm〜6mmの直径)により受容され得る。代替の形状もまた企図され、上腕骨内の受容開口部分は、骨−腱セグメントを受容するように、または骨−腱セグメントの形状に対応するように、作製される。
【0023】
図2にはまた、骨−腱移植片が、取り付けられた縫合糸を備えて移植手順を容易にする、例示的な実施形態が図示されている。このアプローチは、手術室での時間を短縮するという利点を提供し、そしてまた、移植片への縫合糸のより精巧な取付けを可能にして、生体力学的特徴を改善し、そして潜在的な失敗様式(例えば、縫合糸が移植片を切断すること)を防止する。代替的または追加の予め調製された固定手段はまた、骨−腱移植片と一体であることが企図され、縫合糸アンカー、または他の機械的固定デバイスが挙げられる。あるいは、骨−腱移植片は、生物学的に適合性の接着剤、または修復構築物を確立する他の非伝統的な手段などの、固定手段を備え得る。
【0024】
他の実施形態において、骨−腱アセンブリ100は、ブタ脛骨の異種移植片から構築され得る。ブタ由来の異種移植片を利用することは、有利であり得る。なぜなら、ブタは、プリオン型、ウシの海綿状脳(BSE)型、またはスクラピー型の疾患に関連しないからである。ブタ異種移植片は、Tissue Science Laboratories,LLC(TSL)により使用される方法などの方法により、処理され得る。TSLは、ブタ真皮を調製するためのシステムを使用し、ブタ真皮は、ヘルニア修復および回旋筋腱板修復のために使用され得る。これらの方法は、酵素消化(例えば、トリプシン)を使用して、コラーゲンの免疫原性ドメインを除去し、脱細胞を補助し、そして付着した糖タンパク質性物質(例えば、細胞表面抗原(例えば、α−GAL))を除去する。アセトンが、抗原性をさらに低下させるために、組織を脱脂および脱細胞するために利用され得ることもまた公知である。TSLにより開示されるさらなる方法は、組織を架橋させるために薬剤を利用する処理方法である。これは、制限された分解および低下した免疫可能性を有し、その結果、高レベルの生体適合性のある材料を生じる。骨−腱アセンブリの架橋または生物学的安定化の程度は、非常に高い再吸収速度および非常に低い生物学的組み込みを防止することと、再造形速度との間の適切な釣り合いを達成する目的で、制御され得る。架橋はまた、生体力学的特性を増強する能力を有する。なぜなら、コラーゲン原線維間に化学結合を形成するからである。
【0025】
図3〜図5の実施形態は、図1の記載された骨−腱アセンブリに関して類似であるので、本明細書中では、これらの実施形態の間の違いを説明するために必要な程度まで記載されるのみである。
【0026】
ここで図3を参照すると、骨−腱アセンブリ200の別の例示的な実施形態が図示されている。この実施形態において、骨−腱アセンブリ200は、移植腱202、骨プラグ204、複数の縫合糸208、および縫合糸アンカー210を利用することにより、回旋筋腱板の腱Tと上腕骨Hの頂部とを接合する。骨−腱アセンブリ200は、任意の数の骨プラグ204および縫合糸アンカー210により、上腕骨Hの頂部および回旋筋腱板の腱Tに取り付けられ得ることが予測される。縫合糸アンカー210は、ねじ型の様式または締り型の様式で、上腕頭HHに挿入され固定される。縫合糸アンカーは、アイレットまたは他の係合構造体を備えて、縫合糸が通過することを可能にする。この様式で、縫合糸がこのアンカーに固定される。これらの縫合糸アンカーおよびこれらの縫合糸は、非吸収性材料または生体吸収性材料から作製され得る。縫合糸208は、移植腱202を回旋筋腱板の腱Tに固定する。骨プラグ204は、上腕骨Hに予め穿孔された欠損206に挿入され、これにより強くしっかりした骨と骨との接続を生じるように構成される。この構成において、回旋筋腱板の腱Tは、骨移植片アセンブリ200を介して、上腕骨Hにしっかりと取り付けられる。
【0027】
図4は、移植腱302、骨プラグ304、および骨ねじ312を有する、骨−腱アセンブリ300の別の実施形態を図示する。骨プラグ304は、上記実施形態において記載された様式と類似の様式で、上腕骨Hの頂部に取り付けられる。骨ねじ312(これは、生体吸収性であっても非吸収性であってもよい)は、移植腱302と回旋筋腱板の腱Tとの両方を通過して、移植腱302を回旋筋腱板の腱Tに固定するように構成される。この様式で、回旋筋腱板の腱Tは、骨−腱アセンブリ300に、骨ねじ312により取り付けられ、一方で、骨プラグ304は、骨−腱アセンブリ300を上腕骨Hに取り付ける。従って、上腕骨Hは、骨−腱アセンブリ300を介して、回旋筋腱板の腱Tにしっかり取り付けられる。
【0028】
図5は、骨セグメント404、移植腱402、1つ以上の骨ねじ412aおよび412b、ならびに複数の縫合糸408を有する、骨−腱アセンブリ400を図示する。上腕骨Hへの骨−腱アセンブリ400の固定を容易にするために、骨ねじ412aおよび412bは、移植腱402および骨セグメント404を通過して上腕骨Hに入る。骨−腱アセンブリ400はまた、縫合糸408によって、移植腱402に固定される。この様式で、回旋筋腱板Tは、骨−腱アセンブリ400を介して上腕骨Hにしっかりと取り付けられる。
【0029】
(回旋筋腱板断裂を修復する方法)
患者における回旋筋腱板を修復する方法が、本開示においてさらに開示される。本開示の回旋筋腱板を修復する方法は、上で議論された実施形態(すなわち、骨−腱アセンブリ100、200、300、および400)のうちの任意のものと共に利用され得ることが留意されるべきである。さらに、本開示において開示されない、他の骨−腱アセンブリが、以下に議論される方法により利用され得る。簡潔にする目的で、骨−腱アセンブリ100のみが、以下に記載される方法において記載される。本開示に記載される方法は、ヒトの身体内の他の腱の修復に適用され得ることもまた留意されるべきである。本開示のこの方法は、ヒト以外の動物の骨−腱機構を修復するために適用され得ることもまた留意されるべきである。
【0030】
この方法は、上腕骨Hおよび回旋筋腱板の腱Tを含む、外科手術部位にアクセスする工程を包含する。回旋筋腱板Tは、例えば、棘上筋腱、棘下筋腱、小円筋腱、肩甲下筋腱、および/または長頭腱であり得る。種々の解剖学的位置にある他の潜在的な腱もまた企図される。外科手術部位は、従来の観血外科手術、関節鏡外科手術、および/または小規模な観血(mini−open)外科手術を実施することによりアクセスされる。
【0031】
外科手術部位がアクセスされた後に、ほぐれた実質内組織を裂けた腱から除去する目的で、回旋筋腱板の腱Tが壊死組織切除される。その後、回旋筋腱板の腱Tが解剖学的位置まで引き戻され、そして取り付け手段(例えば、縫合糸、縫合糸アンカーなどが挙げられるが、これらに限定されない)を使用することにより、移植腱102に固定される。いくつかの例において、この腱は、変性および拘縮に起因して短縮しているかもしれず、そして過度の張力を生じずには解剖学的挿入点に達することができないかもしれない。これらの場合には、骨−腱アセンブリ100は、ギャップをまたぐための挿入「ブリッジ」として働き得る。他の例において、修復後に開いた「窓」が残り、そして患者によっては疼痛が残留する原因になり得る穴を閉じることが望ましい。
【0032】
本開示の方法は、これらの目的の両方を達成する能力を提供する。なぜなら、本開示の実施形態の強い生体力学的特性が、伸筋機構を保護し、そして自然な治癒を容易にするからである。損傷した回旋筋腱板の腱T(例えば、棘上筋腱)が壊死組織切除された後に、上腕骨Hの頂部のフットプリントは、軽い皮質除去を実施することにより調製される。このフットプリントは、回旋筋腱板の腱Tおよび/または骨−腱アセンブリ100の、上腕骨Hへの生物学的組み込みおよび再付着を増強し、従って、自然のものに近い挿入部位を再形成する。欠損はまた、骨−腱アセンブリ102の骨プラグ(例えば、104aおよび104b)の形状に対応するために適切な構成で、上腕骨に作製される。
【0033】
一旦、フットプリントが調製されたら、穿孔器具、または他の任意の欠損作製デバイスが、上腕骨Hに欠損(例えば、穴または空洞)を作製するために使用され得る。ある実施形態において、欠損(例えば、106aおよび106b)の直径は、骨プラグ(例えば、104aおよび104b)の直径に等しいか、またはわずかに小さいような寸法にされ、その結果、骨プラグが欠損内にしっかりと配置されると、プレスばめおよび/または締りばめが作製される。さらなる固定手段(機械的手段(例えば、締めねじ(interference screw)など)、または他の手段(例えば、接着剤など))が利用され得ることもまた予測される。
【0034】
骨の欠損(例えば、106aおよび106b)が作製された後に、骨セグメント(例えば、104aおよび104b)が、任意の適切なプレスばめ技術により、これらの骨欠損内に固定される。骨−腱アセンブリ100の骨セグメントは、骨プラグであるような形状または構成にされ得る。ある実施形態において、骨セグメントの形状は、例えば、楕円形、矩形、多角形、円柱形、または三角形であり得るが、これらに限定されない。
【0035】
骨欠損の表面(例えば、壁)内での骨セグメントの表面の骨と骨とのフィットは、締りばめを作製して、この骨セグメントがこの骨欠損に挿入される際の手術部位における刺激を最小にする。本開示の骨−腱アセンブリは、自家移植片、同種移植片、および/または異種移植片から作製され得るので、この骨−腱アセンブリの骨セグメントの自然な形状は、上腕骨Hの上腕頭HHおよび/または骨欠損の輪郭に一致しないかもしれない。従って、正確な測定および調製(例えば、骨移植片アセンブリ100の骨セグメントおよび骨欠損の成形)が、潜在的な合併症(例えば、周囲組織をこすること)を回避する目的でなされる。このことは、骨−腱アセンブリ100の骨セグメントの、長さ、幅、および深さの測定値が、調製される上腕骨Hの骨欠損の測定値と一致することを必要とする。さらに、骨−腱アセンブリ100の輪郭はまた、上腕骨Hの上腕頭HHの輪郭に一致させられ得る。
【0036】
骨−腱アセンブリ100の骨セグメントが、取り付け技術(例えば、繋留、縫合、生体接着剤での接着、螺合、プラグ、またはプレスばめであるが、これらに限定されない)により、回旋筋腱板の腱Tに取り付けられる。本開示の骨−腱アセンブリ100の有用かつ有利な特徴は、この骨−腱アセンブリが解剖学的に取り付けられる際に、回旋筋腱板の腱Tまたは他の任意の自然な腱の過剰な張力を回避するために必要とされる、移植腱の長さを正確に測定する能力である。
【0037】
次に、移植腱102が、様々な取り付け手段(例えば、クリップ、縫合糸、棘付き縫合糸、生体接着剤、および/またはこれらの任意の組み合わせであるが、これらに限定されない)により、回旋筋腱板の腱Tに取り付けられる。
【0038】
ある実施形態において、1つ以上の脱水(例えば、凍結乾燥)された骨セグメント104が、上で議論された上記実施形態のいずれかと組み合わせて利用され得る。骨セグメント(例えば、104aおよび104b)が脱水または凍結乾燥される場合、これは、これらの骨セグメントの収縮を生じる。この構成において、脱水された骨セグメント104aおよび104bは、上腕骨Hの予め穿孔および/または成形された欠損内に配置され得、その際に、これらの骨セグメントが再水和して拡張し、これらの欠損を充填し、従って、きつい圧縮ばめが骨プラグと欠損との間に生じる。
【0039】
ある実施形態において、さらなる生物学的に活性な材料が、上腕骨Hおよび腱Tへの骨−腱アセンブリの癒合を増強するために追加され得る。これらの材料としては、成長因子、鉱物質除去骨マトリックス、細胞、遺伝子、ペプチド、薬物(ポリマー薬物が挙げられる)、増殖因子(骨形成タンパク質(例えば、BMP−2、BMP−4、BMP−7、BMP−12、もしくはBMP−14);血小板由来増殖因子(例えば、PDGF−β);インスリン様増殖因子、線維芽細胞増殖因子、または他の適切な増殖因子)、細胞(自原性、同種異系または異種の線維芽細胞、筋肉細胞、脂肪細胞、間葉幹細胞、または他の適切な細胞)、あるいは癒合プロセスを容易にし得る他の薬剤が挙げられ得る。これらの生物学的に活性な材料は、本開示において利用されるデバイスおよび材料(腱、縫合糸、接着剤などが挙げられるが、これらに限定されない)のうちの任意のものと組み合わせられ得る。さらに、これらの生物学的に活性な材料は、溶液またはスプレーとして、インサイチュで適用され得る。
【0040】
他の実施形態において、1つ以上の欠損が、上腕骨の長手方向軸X(図1および図3〜図5に図示されている)に対してほぼ垂直な姿勢に配置され得る。他の実施形態において、欠損は、上腕骨Hの上腕頭HHの外表面の曲率半径にほぼ接する姿勢に配置され得る。
【0041】
さらに、移植腱の厚さは、特定の固体のために適切であるように適合され得、その結果、この構築物は、嵩高くなりすぎず、そして解剖学的構造に対するこすり/衝突を生じない。この厚さは、代表的に、約1mm〜約2mmである。
【0042】
実験において、腱修復製品のための基準となる生体力学的特性は、15%の極限ひずみ、約15mpaの極限応力、500N〜1000Nの極限負荷、約150mpaの弾性率、および75N/mm〜150N/mmの剛性を示した。これらのパラメータは、自然な回旋筋腱板よりも有意に低く、このことは、これらの実施形態に開示されるような、生体力学的により適切なアセンブリに対する必要性を示す。従って、治癒プロセス中に構築物を支持し、そして自然の腱を保護する目的で、初期の剛性が主要なパラメータである。
【0043】
ある実施形態において、エネルギー(例えば、超音波エネルギー、パルス化電磁場エネルギー、電流エネルギー、および/または高圧エネルギーが挙げられるが、これらに限定されない)が、外科手術部位に付与され得る。特に外科手術の最中または後に、外科手術部位にエネルギーを付与することは、迅速かつ効果的な治癒を促進することが公知である。
【0044】
本開示の例示的な実施形態が添付の図面を参照しながら本明細書中に記載されたが、本開示はこれらの正確な実施形態に限定されないこと、ならびに他の種々の変更および改変が、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく当業者によりなされ得ることが、理解されるべきである。
【符号の説明】
【0045】
100 骨−腱アセンブリ
102 移植腱
104a、104b 骨セグメント
106a、106b 骨欠損
H 上腕骨
HH 上腕頭

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回旋筋腱板を修復するためのシステムであって、
上腕骨および回旋筋腱板の腱を含む外科手術部位にアクセスするための手段;
該上腕骨に欠損を作製するための手段;
骨−腱アセンブリであって、該骨−腱アセンブリは、少なくとも1つの移植腱および少なくとも1つの骨セグメントを備え、該少なくとも1つの骨セグメントは、該少なくとも1つの移植腱が該上腕骨から延びるように、該上腕骨の該欠損内に取り付けられるように構成されており、該少なくとも1つの移植腱は、該回旋筋腱板の腱に取り付けられるように構成されている、骨−腱アセンブリ;
該骨−腱アセンブリの該少なくとも1つの骨セグメントを、該上腕骨の該欠損内に取り付けるための手段;ならびに
該少なくとも1つの移植腱を該回旋筋腱板に取り付けるための手段、
を備える、システム。
【請求項2】
前記回旋筋腱板の腱を壊死組織切除するための手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記上腕骨に欠損を作製するための手段が、該上腕骨にフットプリントを調製するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記フットプリントが前記上腕骨の外側皮質の皮質除去である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記骨−腱アセンブリが、前記骨セグメントを前記移植腱の一端に取り付けるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記上腕骨および前記回旋筋腱板にアクセスするための手段が、アクセスポートを介して該上腕骨および該回旋筋腱板にアクセスするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記回旋筋腱板の腱が、棘上筋腱、棘下筋腱、小円筋腱、肩甲下筋腱、および長頭腱からなる群より選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記骨−腱アセンブリの前記骨セグメントが骨プラグである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記骨プラグの形状が、楕円形、円柱形、矩形、多角形、および三角形からなる群より選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記骨−腱アセンブリの前記少なくとも1つの骨セグメントが、複数の骨セグメントを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記骨−腱アセンブリの前記少なくとも1つの移植腱が、複数の移植腱を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記骨−腱アセンブリの前記少なくとも1つの移植腱および前記少なくとも1つの骨セグメントが、複数の移植腱および複数の骨セグメントを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記骨−腱アセンブリの前記移植腱を前記回旋筋腱板に取り付けるための手段が、繋留、縫合、接着、ステープル留め、螺合、プラグ、およびプレスばめからなる群より選択される取り付け技術である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの骨セグメントを取り付けるための手段が、少なくとも1つの脱水された骨セグメントを前記上腕骨の前記欠損内に配置して、該少なくとも1つの脱水された骨セグメントを再水和させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
超音波エネルギー、パルス化電磁場エネルギー、電流エネルギー、および高圧エネルギーからなる群より選択されるエネルギーを前記外科手術部位に付与するための手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記上腕骨に欠損を作製するための手段が、該欠損を該上腕骨の長手方向軸に対してほぼ垂直な姿勢に配置するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記上腕骨に欠損を作製するための手段が、該欠損を該上腕骨の外側表面の曲率半径に対してほぼ接する姿勢に配置するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの骨セグメントが前記少なくとも1つの骨欠損に挿入される際に該少なくとも1つの骨セグメントの表面と該少なくとも1つの骨欠損の表面との間に締りばめを提供するように、該少なくとも1つの骨セグメントおよび該少なくとも1つの骨欠損を成形するための手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記上腕骨の輪郭に一致するように、前記骨−腱アセンブリの前記少なくとも1つの骨セグメントを成形するための手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記骨−腱アセンブリの、前記少なくとも1つの移植腱および前記少なくとも1つの骨セグメントの各々が、自原性材料、同種異系材料、異種材料および合成材料からなる群より選択される材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記骨−腱アセンブリの、前記少なくとも1つの移植腱および前記少なくとも1つの骨セグメントが、締りばめ、ピン留め、ステープル留め、接着およびこれらの組み合わせからなる群より選択される機械的手段を使用することにより、互いに結合されるように形成されている、請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−188130(P2010−188130A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31860(P2010−31860)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】