説明

回旋糸状虫の天然産物のアジュバント性及び免疫増強特性

本発明は、それを必要とする哺乳類における抗原に対する特異的免疫応答を賦活する方法に関する。この方法は、哺乳類へ有効量のOv-ASP、又はOv-ASPの少なくとも1種のサブユニット及び抗原性部分を投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年6月15日に出願された米国特許仮出願第60/580,254号の利益を請求するものであり、前記出願内容は本願明細書に引用により取りこまれるものとする。
【背景技術】
【0002】
近年増加しているバイオテロリストの攻撃の脅威は、その影響を受け易い人々を保護するための強力なワクチン製剤を開発することに対する必要性を際だたせている。ワクチン製剤は病原体に対する免疫を誘導する抗原を含んでいる。しかしながら、多くの抗原に対する免疫応答は、検出可能ではあっても、しばしばそれらの抗原を発現する病原体によって媒介される疾病過程に対する保護効果を与えるには不十分な規模である。そのような状況では、ワクチン製剤に抗原と共にアジュバントを含めることが必要である。
アジュバントとは、特定のワクチン抗原と共に使用した場合、生じる免疫応答を増強する化合物である。アジュバントの作用のメカニズムは正確には知られていないし、全てのアジュバントについて同じではないかもしれない。しかしながら、アジュバントは抗原のバイオアベイラビリティを延長すると考えられている。アジュバントは抗原のサイズを増加させ、それにより食作用の可能性を増加させるようである。さらに、ほとんどのアジュバントは免疫系の細胞媒介部門、すなわちTリンパ細胞(T細胞)に対する刺激作用を有している。
【0003】
よく定義された2つのT細胞亜集団がある:細胞傷害性T細胞(Tc)およびヘルパーT細胞(Th)。細胞傷害性T細胞は細胞内病原体を殺傷する。一方、Th細胞は分泌されたサイトカインを介してその機能の大部分を発揮する。ヘルパーT細胞はさらにTh1とTh2細胞型に分けられる。Th細胞型のサイトカイン分泌パターンの違いは特定の抗原曝露に対して生じる免疫応答の型を決定する。
一般には、Th1細胞はインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)および他の炎症誘発性サイトカインの分泌を介して細胞内ウイルス、バクテリアおよび原生動物に対する細胞傷害性応答を刺激する。この細胞傷害性応答にはTc細胞の活性化が含まれる。対照的に、Th2細胞はアレルゲンおよび蠕虫寄生虫類によって誘導され、インターロイキン、例えばIL-4、IL-5等の分泌によって特徴づけられる。どちらの型のTh細胞も免疫系の液性部門、すなわち、Bリンパ細胞を刺激する。
【0004】
異なる病原体は異なる型の細胞媒介性免疫応答を生じさせる。例えば、マウスを蠕虫寄生虫類に感染させると免疫応答をTh2活性化に偏向させる。ある場合には、この偏向は非常に強いので感染性病原体に対するTh1-支配性応答が蠕虫寄生虫類の導入によって抑制されることがある(Bradyら、“Fasiola hepatica suppresses a protective Th1 response against Bordetella pertussis” Infect. Immun. 67:5372-5378 (1999))。同様に、Th1-媒介マウス自己免疫疾患をマウスに蠕虫寄生虫類を導入することにより除去することができる(Cooke et al. “Infection with Schistosoma mansoni prevents insulin dependent diabetes mellitus in non-obese diabetic mice” Parasite Immunol. 21:169-176 (1999))。
さらに、2種類の蠕虫寄生虫類産物の抗炎症性特性がマウスにおいて炎症性Th1応答を下方調節できることが示されている。特に、ブタ蛔虫アスカリス・スウム(Ascaris suum)の体液はTh2細胞に特徴的なサイトカインを強く刺激する(Patersonら、“Modulation of a Heterologous Immune Response by the Products of Ascaris suum”Infect. Immuunol. 70:6058-67 (2002))。また、げっ歯類寄生虫から分泌された糖タンパク質産物ES-62はマウスで実験的に誘導した関節炎におけるTh1サイトカイン産生を阻害する広範な抗-炎症特性を有することが見いだされた(McInnes et al., “A Novel Therapeutic Approach Targeting Articular Inflammation Using the Filarial Nematode-Derived Phosphorylcholine-Containing Glycoprotein ES-62” J. Immuunol. 171:2127-33 (2003))。この産物は現在新規な抗炎症治療法として開発中である。
【0005】
近年、2種類の蠕虫産物がアジュバントとして機能することが報告されている。そのどちらもワクチン中のバイスタンダータンパク質に対するTh2応答の強力な誘導因子である。特に、ニッポストロンギルス・ブラジリエンシス(Nippostrongylus brasiliensis)(げっ歯類の寄生虫)成虫によって分泌されるタンパク質が無関係のタンパク質で免疫したマウスにおけるTh2応答の強力な誘導因子であることが見いだされた(Holland et al., “Proteins secreted by the parasitic nematode Nippostrongylus brasiliensis act as adjuvants for Th2 respones” Eur. J. Immunol. 30 (7):1977-1987 (2000))。同様に、ヒト寄生虫、マンソン住血吸虫(Schistosoma mannsoni)の卵の表面に見いだされた炭水化物、ラクト-N-フコペンタオースIIIはマウスに注射するとバイスタンダータンパク質に対してTh2アジュバントとして作用した(Okano et al., “Lacto-N-fucopentaose III Found on Schistosoma mansoni Egg Antigens Functions as Adjuvant for Proteins by Inducing Th2-Type Response” J. Immunol. 167:442-450 (2001))。
本発明までは、蠕虫の産物は強くTh2支配性であることが見いだされていた。従って、それらのアジュバントとしての使用はTh2細胞型応答を誘導するためであった。Th2細胞型活性化は重要であるが、ある種のワクチンの効能についてはTh1細胞型活性化が重要である。Th2細胞によって提供されるサイトカインプロファイルと異なるサイトカインプロファイルを提供することに加えて、Th1細胞はTh2細胞が活性化しない細胞傷害性エフェクター機構を活性化する。
【0006】
さらに、現在ヒト用ワクチンに用いられている他のアジュバントは細胞内病原体に対する細胞傷害性応答を刺激するには効果的でない。これらのアジュバントには、アルミニウム塩、例えば硫酸アルミニウムカリウム、リン酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムが含まれる。細胞内病原体に対する細胞傷害性応答を刺激する能力なくしては、このようなアジュバントの用途は限定される。
感染性疾病からの保護に加えて、ワクチン接種は他の発展中の技術においても重要になってきている。それらの技術には、たとえば、同系腫瘍に対するワクチン接種が含まれる。そのような新しいアプローチにおいて、異なる型の免疫応答を誘導することができることは重要である。
従って、安全で効果的なアジュバントおよび広範囲の病原体および腫瘍に対して免疫応答を生じさせることのできる治療薬に対する大きな需要がある。
【発明の開示】
【0007】
一態様において、本発明は、抗原性部分、および、Ov-ASPまたはOv-ASPの少なくとも一つのサブユニットの有効量を含むワクチン組成物に関する。Ov-ASPには、Ov-ASP-1、Ov-ASP-2およびOv-ASP-3が含まれる。
別の態様において、本発明は哺乳動物において抗原に対する特異的な免疫応答を増強する方法に関する。本方法は、Ov-ASPまたはOv-ASPの少なくとも一つのサブユニットの有効量および抗原性成分をその必要のある哺乳動物に投与することを含む。
さらなる態様において、本発明はその必要のある哺乳動物においてサイトカイン分泌により細胞媒介性を刺激する方法に関する。本方法は、Ov-ASPまたはその少なくとも一つのサブユニットの有効量を投与する含み、サイトカイン分泌が刺激されることを含む。
また別の態様において、本発明はその必要のある哺乳動物においてオンコセルカ症(回旋糸状虫症)に対する免疫応答を生じさせる方法またはワクチン接種の方法に関する。本方法はOv-ASPまたはOv-ASPの抗原性断片の有効量および製薬的に許容可能な担体を哺乳動物に投与することを含む。
別の特徴において、本発明はその必要のある哺乳動物においてSARSを予防する方法に関する。前記方法は、SARS-CoVポリアミノ酸、および、Ov-ASPまたはOv-ASPの少なくとも一つのサブユニットの有効量を含むワクチン組成物を哺乳動物に投与することを含む。別の特徴において、本発明は、その必要のある哺乳動物においてHIVを防止する方法に関する。前記方法は、HIV-1ポリアミノ酸、および、Ov-ASPまたはOv-ASPの少なくとも一つのサブユニットの有効量を含むワクチン組成物を哺乳動物に投与することを含む。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明は哺乳動物において免疫応答を刺激する、すなわち誘導および/または増強するための医薬組成物および方法を含む。本発明は蠕虫寄生虫、回旋糸状虫(オンコセルカ・ボルブルス)(Onchocerca volvulus)のタンパク質が哺乳動物の免疫応答の種々の側面を刺激し得るという予想外の発見を含む。
本発明の医薬組成物および方法に使用するタンパク質はOv-ASP(オンコセルカ・ボルブルス活性化-関連分泌タンパク質)(Onchocerca volvulus activation-associated secreted protein)ファミリーのメンバーである。天然のOv-ASPは蠕虫オンコセルカ・ボルブルスの感染性第三段階幼虫の食道腺の分泌顆粒中および表面に位置している。
Ov-ASPファミリーのメンバーにはOv-ASP-1、Ov-ASP-2およびOv-ASP-3が含まれる。Ov-ASP-1の配列は配列番号1に示されている。Ov-ASP-2の配列は配列番号2に示されている。Ov-ASP-3の配列は配列番号3に示されている。本発明の組成物及び方法に用いられるOv-ASPは、そのタンパク質が配列番号1、配列番号2または配列番号3の免疫刺激性特性を維持している限り、配列番号1、配列番号2または配列番号3と100%同一である必要はない。例えば、本明細書において、Ov-ASPは、配列番号1、配列番号2または配列番号3と約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。
【0009】
Ov-ASPの1以上のサブユニット(すなわち、断片)を本発明の組成物及び方法に使用することができる。サブユニットは免疫応答の所望の刺激を生じさせるいかなる長さであってもよい(すなわち、活性サブユニット)。サブユニットのアミノ酸の最小数には、例えば、少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90アミノ酸が含まれる。サブユニットのアミノ酸の最大数には、例えば、たかだか253、250、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110および100アミノ酸が含まれる。アミノ酸の適切な範囲にはこの最小数からの任意の数から前記最大数からの任意の数までが含まれる。
本明細書において、“Ov-ASP”には、完全長Ov-ASP-1または完全長Ov-ASP-1の1以上のサブユニット、完全長Ov-ASP-2または完全長Ov-ASP-2の1以上のサブユニット、または完全長Ov-ASP-3または完全長Ov-ASP-3の1以上のサブユニットが含まれる。
【0010】
Ov-ASP、およびこれらのタンパク質のサブユニットは、当技術で知られた方法によって調製することができる。好ましくは、前記タンパク質は組換え的に産生される。例えば、組換えタンパク質、rOv-ASP-1はOv-ASP-1をコードするcDNA(Ov-ASP-1:Genbankアクセッション番号AF020586)を用いて大腸菌で発現された。この組換えタンパク質は24,871Daの分子量を有する。組換えタンパク質、rOv-ASP-2はOv-ASP-2をコードするcDNA(Ov-ASP-2:Genbankアクセッション番号H39490)を用いて大腸菌で発現された。この組換えタンパク質は29,047Daの分子量を有する。組換えタンパク質、rOv-ASP-3はOv-ASP-3をコード(Ov-ASP-3:Genbankアクセッション番号AA917267)するcDNAを用いて大腸菌で発現された。この組換えタンパク質は24,744Daの分子量を有する。Taweら、“Angiogenic activity of Onchocerca volvulus recombinant proteins similar to vespid venom antigen 5”Mol. Biochem. Parasitol. 109:91-99 (2000)を参照されたし。米国特許No.6,723,322(Lustigmanら)のOv-ASPの配列および提供方法は引用により本明細書に取りこまれるものとする。
【0011】
Ov-ASPはOnchocerca volvulusから標準的な方法で直接このタンパク質を単離することによって得ることもできる。適切な方法には、沈澱およびイオン交換、疎水性相互作用およびゲルろ過などの液体クロマトグラフィープロトコルが含まれる(Methods Enzymol. 182 (Guide to Protein Chemistry, Deutscher, Ed. Sec. VII) 309 (1990); および、Scopes, Protein Purification. Springer-Verlag, N.Y. (1987).)。Ov-ASPは、調製用SDS-PAGEゲル上でこのタンパク質を分離し、注目するバンドを切り出し、ポリアクリルアミドマトリックスからこのタンパク質を電気溶出することによって得ることもできる。
Ov-ASPは、当技術で知られたように個々のアミノ酸残基からこのタンパク質を合成することによって得ることもできる(Stuart and Young “Solid Phase Peptide Synthesis,” 2nd Ed., Pierce Chemical Co. (1984))。
【0012】
本発明の方法において、Ov-ASPの投与は、このタンパク質自体の投与、または前記タンパク質をコードする核酸を前記タンパク質の発現を許す方法で導入することによって行うことができる。好ましくは、前記核酸は例えば精製プラスミドのような組換え発現ベクターの形態である。この発現ベクターを哺乳動物細胞に投与すると、Ov-ASPは細胞内で発現される。
組換えベクターはこのベクター構築物を適切な宿主細胞中で発現させるように適切な調節要素をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。当業者は本発明の構築物中に使用するために種々のエンハンサーおよびプロモーターが適切であること、および、この構築物は必要な開始配列、終結配列およびこの構築物が対照に導入された場合にOv-ASPをコードする核酸配列の適切な転写およびプロセッシングのための制御配列を含むであろうことは当業者であれば理解するであろう。
【0013】
アジュバントとしてOv-ASPを含有するワクチン組成物又は免疫原性組成物
ひとつの態様において、本発明は、Ov-ASP及び抗原性部分を含有するワクチン組成物又は免疫原性組成物に関する。Ov-ASPは、これらの組成物においてアジュバントとして使用される。アジュバントとして、Ov-ASPは、Ov-ASPとは無関係である抗原に対する免疫応答を増強する。
この態様において、少なくとも1種の抗原性部分及びOv-ASPの有効量を含有するワクチン組成物又は免疫原性組成物が提供される。本発明のワクチンは、予防的ワクチン又は治療的ワクチンであることができる。予防的ワクチンは、抗原に反応するよう免疫系を刺激することにより、疾患の発生を予防する。治療的ワクチンは、感染後に投与され、免疫応答の生成及び補強により、疾患進行を軽減又は停止させる。
【0014】
ワクチン組成物又は免疫原性組成物中の抗原性部分対Ov-ASPの質量比は、特異的免疫応答の増強を可能にする比のいずれかであってもよい。具体的な抗原性部分に添加されるOv-ASPの量は、当業者には公知であるように、いくつかの要因によって左右される。要因は、例えば、対象哺乳動物の年齢及び体重、組成物の投与様式、具体的な抗原の固有の免疫原性、望ましい反応の形(力価上昇、反応の延長、又は両方)、担体の存在、及び当業者には明らかである他の考慮事項を含む。この量は、慣習的実験により決定することができる。例えば、抗原性部分対Ov-ASPの質量比は、約4:1〜約1:1、又は約4:1〜約1:4の範囲であることができる。
本発明の抗原性部分は、抗原又は抗原をコードしている核酸分子であることができる。抗原は、哺乳動物において特異的免疫応答を誘導することができる物質である。すなわち、抗原は免疫原性である。特異的免疫応答は、抗原に対して特異的に向けられた液性及び/又は細胞性免疫応答を含む。本願明細書において、抗原には、哺乳動物に単独で投与された場合に免疫応答を誘起することが可能である物質、及び、Ov-ASPと共に哺乳動物へ投与された場合にのみ免疫応答を誘起することが可能である物質が含まれる。
【0015】
抗原は、例えば、免疫原性ポリアミノ酸であることができる。ポリアミノ酸は、オリゴペプチド、ポリペプチド、ペプチド、タンパク質及び糖タンパク質を含む。ポリアミノ酸は、天然の単離された生成物、合成生成物、又は遺伝的に操作されたポリアミノ酸を含むことができる。
ポリアミノ酸の長さは、Ov-ASPと共に投与される場合にポリアミノ酸が免疫原性である限り重要ではない。従ってこのポリアミノ酸は、少なくとも1種の抗原のエピトープを規定するのに十分な数のアミノ酸残基を含む。免疫原性断片を公知の免疫原性タンパク質から単離及び同定する方法は、Salfeldら(J. Virol., 63:798-808 (1989))、及びIsolaら(J. Virol. 63:2325-2334 (1989))により説明されている。
【0016】
ポリアミノ酸が、エピトープを規定するが免疫原性であるには余りにも短い場合、これを担体分子に結合させることができる。いくつかの適当な担体分子には、キーホールリムペットヘモシアニン、Ig配列、TrpE、及びヒト又はウシアルブミンが含まれる。結合体化は、当該技術分野において公知の方法により実行することができる。そのような方法のひとつは、断片のシステイン残基を担体分子上のシステイン残基と結合させることである。
抗原は、脂質、リポ多糖(糖脂質)又は多糖であることもできる。これらの化合物の長さは、化合物が免疫応答を誘導する限りは重要ではない。これらの化合物は、免疫原性を増強するために、タンパク質担体分子へ化学的に連結することもできる。例えば、細菌の莢膜多糖又はその断片のような多糖抗原は、タンパク質担体分子に連結させて複合糖質を形成することができる。細菌莢膜多糖及びタンパク質担体分子の複合体を調製する方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Dick及びBurretの論文(Contrib Microbiol Immunol. 10:48-114 (Cruse J M, Lewis R E Jr.編集;Basel Kruger (1989)))において認めることができる。
【0017】
抗原は、様々な供給源に由来し得る。抗原は、市販されているか、又は当業者に公知のように作製することができる。
例えば、抗原は、病原性微生物から作製することができ、又はそれらに由来し得る。微生物の例には、ウイルス、例えば、ポリオーマウイルス;細菌;マイコプラズマ;真菌;原虫;及び、他の感染性病原体が含まれる。抗原は、微生物全体であってもよい。例えば、抗原は、修飾された-生存(すなわち、弱毒化された)微生物又は殺傷された微生物であってもよい。抗原は、微生物の免疫原性成分、又は微生物の生成物であることができる。例えば、抗原は、微生物に関連している、タンパク質、糖タンパク質、糖脂質、多糖又はリポ多糖の全体又は一部であることができる。
【0018】
ワクチン目的でそこから抗原を作製することができる又はそれに由来し得る病原性微生物体は、感染症の分野において周知である。適当な病原性微生物は、例えば、「Medical Microbiology」、第2版(1990) J. C. Sherris (編集), Elsevier Science Publishing Co., Inc., ニューヨーク、及び「Zinsser Microbiology」, 第20版(1992), W. K. Joklikら(編集), Appleton & Lange Publishing Division of Prentice Hall, Englewood Cliffs, NJに列記されている。
ヒトワクチンのための特に関心のある微生物の例には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、重症の急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすコロナウイルス、クラミジア、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、モラクセラ・カタラリス(Moraxella catarrhalis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、腸チフス菌(Salmonella typhi)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、単純ヘルペスウイルス、ラブドウイルス、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、結核-病因性マイコバクテリウム、ポリオウイルス及び疱瘡ウイルスが含まれる。
【0019】
本発明の医薬組成物において使用することができるひとつの好ましい抗原の一例は、SARS-CoVポリアミノ酸である。SARS-CoVポリアミノ酸の1つの例は、SARS-CoV SC-1ペプチド(CP-1としても公知、GenBankアクセッション番号:AY274119)である。別のひとつの好ましい抗原の例は、HIV-1-CD4ポリアミノ酸である。HIV-1-CD4ポリアミノ酸の1つの例は、HIV-1-CD4 FLSCポリペプチドである(Foutsら、「Expression and characterization of a single-chain polypeptide analogue of the human immunodeficiency virus type 1 gp120-CD4 receptor complex」、J. Virol. 74: 11427-11436 (2000))。別の好ましい抗原の例は、ヒトパピローマウイルス(HPV)のE6及びE7タンパク質、特にHPV-16に由来する。
【0020】
本発明において使用するための抗原は、アレルゲンに由来することもできる。ほとんどのアレルゲンは、過敏症を生じることが可能である小型タンパク質又はタンパク質-結合物質である。アレルゲンの例には、動物の鱗屑( (dander);植物、例えばホソムギ、ブタクサ、オオアワガエリ、樺など;昆虫の生成物、例えば、毒液、チリダニなど;食品;卵アルブミン;及び、様々な他の環境原因物質が含まれる。
【0021】
抗原には、治療される哺乳動物に本来備わっているポリアミノ酸も含まれる。このような自己-ポリアミノ酸は、例えば腫瘍関連抗原を含む。このような抗原の例は、増殖因子、増殖因子受容体由来のタンパク質、及び癌遺伝子にコードされたタンパク質を含む。増殖因子受容体の例には、EGF受容体(HER1、HER2、HER3及びHER4)が含まれ、乳癌に関連したNeuタンパク質、及びトランスフェリン増殖因子、すなわちp97が含まれる。癌遺伝子にコードされたタンパク質の例には、腫瘍胎児性癌抗原(oncofetal tumor antigen)、例えばα-フェトプロテイン及び癌胎児抗原が含まれる。メラノーマ-関連癌胎児抗原には、MACE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、及びGAGE-2が含まれる。
【0022】
加えて、溶解した腫瘍全細胞を使用し、これにより抗原の集合物を含むワクチンを作製することができる。その例には、ヒトメラノーマ細胞株由来の及びヒト前立腺細胞株由来の溶解細胞が含まれる。全細胞は、治療を受ける哺乳動物対象に由来してもよく、又は別の対象に由来してもよい。
本願明細書において、抗原性部分は、抗原をコードしている核酸分子も含む。核酸分子は好ましくは、例えば精製されたプラスミドのような、組換え発現ベクターの形である。この発現ベクターの哺乳動物細胞への投与後、この抗原は、細胞内で発現される。
組換えベクターは、適当な宿主細胞においてベクター構築物の発現を実現するために、適当な調節エレメントをコードしているヌクレオチド配列を含むこともできる。当業者は、様々なエンハンサー及びプロモーターが、本発明の構築物においてにおける使用に適していること、並びにこの構築物は、組換えベクター構築物が対象へ導入された場合に、抗原をコードしている核酸配列の適切な転写及びプロセッシングのために必要な開始配列、終結配列、及び制御配列を含むことを理解するであろう。
【0023】
抗原性部分及びOv-ASPは両方とも、タンパク質の形態であっても、又はこれらは両方共核酸型であってもよい。抗原性部分及びOv-ASPが両方とも核酸である場合、これらは同じベクター上に存在しても、異なるベクター上に存在してもよい。あるいは、抗原性部分がタンパク質抗原であってOv-ASPが核酸型であっても、抗原性部分が核酸型であってOv-ASPがタンパク質であってもよい。
【0024】
特異的免疫応答を増強する方法
本発明は、それを必要とする哺乳動物において抗原に対する特異的免疫応答を増強する方法を含む。これらの方法は、哺乳動物へ、Ov-ASP又はその少なくとも1種のサブユニットの有効量、並びに、抗原性部分を投与することを含む。本発明の方法における使用に適したOv-ASP、そのサブユニット、及び抗原性部分は、先に説明されている。
【0025】
Ov-ASP、又はそのサブユニット、及び、抗原性部分は、個別に、又は例えば先に説明されたようなワクチン組成物もしくは免疫原性組成物として、同時-投与することができる。
特異的免疫応答には、液性及び細胞媒介性応答が含まれる。液性応答は、Bリンパ球により媒介される。細胞媒介性応答は、Th1、Th2及びTc細胞を含むT細胞の活性化を含む。
Ov-ASPは、液性応答、並びにTh1及びTh2応答を含む細胞媒介性応答の両方を増強することができる。Ov-ASPは、Th1応答の増強において特に有効であり、これは次にTc反応を増強する。Th1応答の増強は腫瘍関連抗原に関して特に有効である。その理由はそのような抗原のほとんどは、低い頻度、低-アビディティで一過性のT-細胞応答のみを誘導し、この応答はTh2-型細胞に偏向しているからである。
【0026】
Ov-ASPの有効量とは、哺乳動物において特異的免疫応答を増強する量である。特異的免疫応答の増強とは、免疫応答の程度の増大である。Ov-ASPの最少量は、対象哺乳動物において特異的免疫応答を増強する最低量である。Ov-ASPの最大量は、対象哺乳動物において望ましくない副作用又は耐え難い副作用を引き起こさない最高量である。
液性応答の増強は、抗原に対する特異的抗体の産生を測定することにより決定することができる。例えば対象哺乳動物からアリコートを採取し、免疫感作プログラムの過程において抗体力価をアッセイすることができる。同様にT細胞の存在、それらのエフェクター機構及び/又はそれらのサイトカイン産物をモニタリングすることができる。例えば、Th1応答の増強は、IFN-γサイトカインレベルの測定により決定することができる。Th2応答の増強は、IL-4及びIL-5サイトカインのレベルの測定により決定することができる。加えて、対象哺乳動物の臨床状態は、疾患プロセスの阻害又は予防又は治療などの、望ましい作用についてモニタリングすることができる。
【0027】
特異的免疫応答の大きさは、産生された抗体力価、応答の期間、及び/又は応答の質により明らかにされる。Ov-ASPと共に投与された抗原性部分により誘起された免疫応答の大きさは、単独で投与された抗原性部分により誘起された免疫応答よりも大きい。
疾患の予防は、哺乳動物が疾患の症状を獲得しないか、又は他方で哺乳動物がワクチン組成物を伴わずに獲得するものよりも、重症度がより少ないもしくはより低い症状を哺乳動物が獲得することのいずれかを意味する。疾患の治療は、哺乳動物が、疾患症状に冒されることを止めること、又は罹患の重症度を少なくとも部分的に改善すること意味する。
【0028】
本発明の方法が有効である感染症の例は、先に列記された微生物により引き起こされた疾患である。本発明の方法が特に有効である疾患の例には、SARS及びHIVが含まれる。
本発明の方法で治療及び/又は予防することができる腫瘍-関連疾患の例は、口腔及び咽頭(すなわち、舌、口、咽頭)、消化系(例えば、食道、胃、小腸、結腸、直腸、肛門、肝臓、胆嚢、膵臓)、呼吸器系(例えば、咽頭、肺)、骨、関節、軟組織、皮膚、メラノーマ、乳房、生殖器(例えば、子宮頸部、子宮内膜、卵巣、前立腺、精巣)、泌尿器系(例えば、膀胱、腎臓、尿管、及び他の排尿器)、眼、脳、内分泌系(例えば、甲状腺及び他の内分泌腺)の癌、リンパ腫(例えば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫、白血病(例えば、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病)を含む。
【0029】
特定の抗原に関するワクチン接種又は投与のパラメータ、例えば特定抗原に添加されるOv-ASPの量、投与計画などは、慣習的実験により決定することができる。例えばワクチン組成物又は免疫原性組成物の総量及び組成物内の抗原及びOv-ASPの相対量は、哺乳動物対象においてそれらの組成物を試験することにより決定することができる。哺乳動物対象は最初に、低投与量の組成物が与えられ、その後投与量及び/又はタンパク質アジュバントと抗原の相対量を、免疫応答をモニタリングしながら、変動させることができる。
【0030】
不適切なワクチン接種又は免疫応答が実現された場合には、例えば、当該技術分野において公知のように、抗原及び/又はOv-ASPの量の増加、抗原の担体との複合体化、抗原の免疫原性タンパク質への複合体化、又は投与経路の変更などにより、ワクチン接種又は投与のパラメータを、免疫応答を増強することが予想される様式で修飾することができる。
【0031】
サイトカイン分泌により細胞性応答を刺激する方法
本発明の別の態様は、それを必要とする哺乳動物において、細胞性応答を、サイトカイン分泌により刺激する方法を含む。この方法は、哺乳動物へ、Ov-ASP、又はOv-ASPの少なくとも1種のサブユニットの有効量を投与することを含む。Ov-ASPは、医薬組成物の形で投与することができる。
Ov-ASPが由来した寄生虫に哺乳動物が予め曝されたかどうかにかかわりなく、その哺乳動物において細胞性応答が刺激される。この予想外の発見は、Ov-ASPによる細胞性応答の刺激は、適応免疫応答ではない(すなわち、免疫記憶により顕在化されたのではない)ことを明らかにする。そうではなく、この細胞性応答は先天性免疫応答の刺激に起因するものである。
【0032】
Ov-ASPの有効量は、先天性免疫応答の感染をクリアリングするという性質を上方制御する任意の量である。先天性免疫応答の感染をクリアリングするという性質の上方制御は、炎症反応の誘導、造血調節、細胞増殖及び分化の制御、並びに創傷治癒を含む。Ov-ASPの最低量は、これらの過程を上方制御する任意の量である。Ov-ASPの最大量は、過剰な炎症誘発性作用を引き起こさない量である。
【0033】
Ov-ASPの投与は、上述したように、タンパク質それ自身を投与するか、又はタンパク質をコードしている核酸をタンパク質の発現を可能にする様式で導入することにより実現することができる。
投与するOv-ASPの具体的な量は、治療される対象哺乳動物、投与経路、及び哺乳動物が治療される病理により決まる。例えばOv-ASPは、腫瘍を消滅させるか又はウイルス感染のクリアを補助する細胞傷害性の細胞性応答を刺激するために、腫瘍へ注射するか、又はヘルペスウイルス感染部位へ適用することができる。
Ov-ASPは、Th1、Th2、及び調節Th細胞を、IL-10細胞性応答を介して刺激する。しかしこのタンパク質は、Th1応答を支配的に刺激する。
【0034】
Th1応答は、抗腫瘍反応の誘導に特に効果的である。例えば、Th2に偏向した反応は、活動期の癌を有する患者において誘起される。一部の癌患者における治療の成功は、Th2偏向からTh1偏向へのシフトが付随することがわかっている。加えてアレルゲンはTh2応答を誘導するので、Ov-ASPの投与を使用し、Th1に対する反応へバイアスをかけることにより、アレルギー性反応を阻害することができる。
Ov-ASPにより刺激されるサイトカインには、インターフェロン-γ(IFN-γ)、顆粒球-マクロファージコロニー-刺激因子(GM-CSF)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、腫瘍増殖因子-β(TGF-β)、インターロイキン-10(IL-10)、又はそれらの組合せが含まれる。
【0035】
オンコセルカ症に対するワクチン接種又は免疫応答の生成法
別の本発明の態様は、哺乳動物におけるオンコセルカ症に対するワクチン接種又は免疫応答を生成する方法を含む。この方法は、それを必要とする哺乳動物へ、Ov-ASP又はOv-ASPの免疫原性断片の有効量を投与することを含む。Ov-ASPは、単独で又はアジュバントと共に投与することができる。
オンコセルカ症、又は眼オンコセルカ症(River Blindness)は、主に糸状線虫類である回旋糸状虫による感染に対する宿主の炎症反応の結果として生じる。Simuliidae科のブヨの咬傷により伝播された寄生体は、皮膚、皮下組織、及び他の組織に浸入し、線維性結節を形成する。回旋糸状虫の感染に対する宿主の炎症反応は、慢性皮膚疾患及び眼病を症状発現し得る。
【0036】
Ov-ASPの有効量とは、オンコセルカ症を予防又は阻止する量である。この目的のためには、タンパク質が細胞親和性の抗体を生成することが必要である。細胞親和性抗体は、好中球、マクロファージ及び/又は好酸球などのエフェクター細胞と協同して、例えば、有意に寄生虫を増殖阻害及び/又は殺傷することができる抗体である。阻害が、感染した哺乳動物において疾患の症状を予防又は低下するのに十分であるならば、増殖は有意に阻害されている。
Ov-ASPの投与は、上述したように、タンパク質それ自身の投与によるか、又はタンパク質の発現を可能にする様式でタンパク質をコードしている核酸の導入により、実現することができる。
【0037】
一般的方法
本発明の方法で恩恵を受け得る哺乳動物は、あらゆる哺乳動物であり得る。前記哺乳動物の範疇は、ヒト、非-ヒト霊長類、家畜、ペットの哺乳動物、実験用哺乳動物などを含む。家畜の例の一部は、乳牛、ブタ、ウマ、ヤギ、畜牛を含む。ペット哺乳動物の例の一部は、イヌ、ネコなどを含む。実験用哺乳動物の例の一部は、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなどを含む。
本発明の方法が必要な哺乳動物には、疾患の予防又は治療が望まれる哺乳動物が含まれる。この疾患は、感染症;アレルギー;腫瘍-関連疾患、例えば癌など;及び/又は、自己免疫疾患であり得る。
【0038】
本発明の医薬組成物及びワクチン組成物は、投与が所望の免疫応答を生じる限りは、あらゆる手段により投与することができる。好ましくは、これらの組成物は、筋肉内、皮下、経皮、鼻腔内、経粘膜、眼内、腹腔内、経口又は静脈内に投与される。他の適当な投与経路は、吸入、気管支内、膣内、直腸内、及び小腸内投与経路を含む。
組成物の投与手段は、針注射、カテーテル点滴、微粒子銃注入、粒子加速器(すなわち「遺伝子銃」又は空圧式「無針」注入器--例えばMed-E-Jet(Vahlsing, H.ら、J. Immunol. Methods 171,11-22 (1994))、Pigjet (Schrijver, R.ら、Vaccine, 15, 1908-1916 (1997))、Biojector (Davis, H.ら、Vaccine, 12, 1503-1509 (1994));Gramzinski, R.ら、Mol. Med. 4, 109-118 (1998))、AdvantaJet, Medijector、ゲルフォームスポンジデポ、他の市販のデポ材料(例えばヒドロゲル)、浸透圧ポンプ(例えば、Alzaミニポンプ)、経口又は坐剤用固形(錠剤又は丸剤)医薬製剤、外用皮膚クリーム剤、及びデカンター(decanting)、ポリヌクレオチド被覆した縫合糸の使用(Qinら、Life Sciences 65, 2193-2203 (1999))又は手術時の外用適用を含むが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本発明の医薬組成物及びワクチン組成物は、公知の方法に従い製剤することができる。例えば、これらの組成物は、適当な担体を含有することができる。適当な担体は、標準の医薬として許容できる担体のいずれか、例えば水、リン酸緩衝生理食塩水、及び水酸化アルミニウム、ラテックス粒子、ベントナイト、リポソーム及び微粒子を含む。適当な担体は、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第16版、A. Osol編集、Mack Publishing Co., Easton, Pa. (1980)、及び「Remington's Pharmaceutical Sciences」第19版、A. R. Gennaro編集、Mack Publishing Co., Easton, Pa. (1995)に説明されている。医薬組成物は、乳剤、ゲル剤、液剤、懸濁剤、凍結乾燥形態、又は他の当該技術分野において公知の任意の形態として製剤することができる。
【0040】
本発明のワクチン組成物又は免疫原性組成物は、アジュバントを含有することができる。Ov-ASPがアジュバントとして使用される態様において、他の追加アジュバントを含むことができる。アジュバントの例には、ムラミルペプチド及びアナログ;リンホカイン、例えばインターフェロン、インターロイキン-1及びインターロイキン-6;サポニン、サポニン画分;サポニンの合成成分;プルロニックポリオール;トレハロースジミコレート;アミン含有化合物;サイトカイン;及び、リポ多糖誘導体が含まれる。
加えて、ワクチン組成物及び医薬組成物は、例えば、希釈剤、結合剤、安定化剤、及び保存剤を含む、医薬として許容できる添加剤も含有することができる。
【0041】
これらのワクチン組成物及び医薬組成物は、治療的成分も含有することができる。例えば、注射又は点滴に適した製剤には、場合により酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、及びその製剤が意図されたレシピエントの血液と等張とする溶質を含有してもよい水性及び非-水性滅菌注射液剤、並びに懸濁化剤及び増粘剤を含有する、水性及び非-水性滅菌懸濁剤が含まれる。
これらのワクチン組成物及び医薬組成物は、単位-投与又は複数回-投与のための容器、例えば密封したアンプル及びバイアル内で提供することができ、及び使用直前に無菌液体担体、例えば注射用水の添加のみ必要な、凍結し乾燥した(凍結乾燥した)状態で貯蔵することができる。
本発明は、下記実施例を考慮し、より完全に理解されるであろう。全ての文献及び特許文書の引用は、引用により明示的に取りこまれるものとする。
【0042】
実施例
本実施例はrOv-ASP-1が強力な免疫刺激因子およびアジュバントとして機能することを示す。本実施例はまたrOv-ASP-1が、そのタンパク質がクローン化された源である寄生虫に曝露されたかどうかに関わりなくヒトにおいてサイトカイン分泌の強力な刺激因子であることを示す。rOv-ASP-1のマウスにおけるアジュバント特性およびヒト白血球に対する免疫刺激活性は、夾雑するバクテリアリポ多糖(LPS)(エンドトキシンとしても知られる)のせいでないことが示された。
【0043】
実施例1
rOv-ASP-1に対するヒトサイトカイン応答
回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)症に関するアフリカ特定地域に住むヒトにおけるrOv-ASP-1に対する免疫応答を調べる実験を行った。これらの実験の際、この組換えタンパク質はニューヨークメトロポリタン地域に住む、この寄生虫に曝露されたことのない対照者において強力なサイトカイン応答を刺激したことに注意する(図1)。この組換えタンパク質はTh1-型サイトカイン(すなわちIFN-γ、GM-CSFおよびTNF-α)およびTh2/調節T細胞サイトカイン(IL-10)の産生を有意に(P<0.05)刺激した。
一つの懸念は、rOv-ASP-1がクローン化された大腸菌に由来するLPS(エンドトキシン)が前記サイトカイン刺激効果に寄与しうるということである。Ov-ASP-1の最適なサイトカイン-誘導濃度(5μg/ml)はカブトガニ血球抽出物(Limulus amebocyte Lysate)(LAL)アッセイ(Sigma, St. Louis, MO)においてLPS活性に関して陰性であると評価されていたが、これらの結果が抗原調製物中のいかなる残存LPSによるものでもないことを確認するためにさらなることを行った。図2に示したデータは、ヒトPBMCによるサイトカイン産生がLPS活性の阻害剤、ポリミキシンB(Sigma)の存在下でも影響を受けなかったので、rOv-ASP-1の生物活性はいかなる潜在的LPS混入によるものでもないことを示している。
【0044】
ヒト末梢血単核細胞に対するrOv-ASP-1の結合
末梢血単核細胞中の前記組換えタンパク質に結合した細胞を、ビオチン-標識rOv-ASP-1を用いて同定した。表1に示したように、rOv-ASP-1は大部分の(>94.5%)B細胞および単球に結合した。更に、CD8+ T細胞の14.5%およびNK細胞の28.7%はこのタンパク質に結合した。CD8+ T細胞およびNK細胞はrOv-ASP-1によって誘導されるIFN-γ分泌の供給源であろう。


【0045】

表1.FITC-標識ビオチン化rOv-ASP-1の、PBMC中のヒト白血球の部分集団への結合のFACS解析。サンプル1およびサンプル2は別個のドナーから得たものであり、10,000事象を計測した。値は特定のCDマーカーに対してゲートを開きFITCビオチン-rOv-ASP-1に結合した、総細胞に対する%を表す。
【0046】
rOv-ASP-1に対するマウス抗体およびサイトカイン応答
ヒトのオンコセルカ症に対する可能なワクチン候補としてのrOv-ASP-1を評価するために設計した実験を行う際に、この組換えタンパク質単独で、またはアジュバントと共にBALBC/cByJマウスにワクチン接種した。マウスでそれぞれTh2およびTh1ヘルパーT細胞応答と関連するIgG1およびIgG2aイソ型を測定した。大雑把に言うと、Th2免疫応答は組織体液中の細胞外病原体に対して活性であり、Th1応答は細胞に感染した病原体に最も効果的である。
アジュバント無しであってもrOv-ASP-1はワクチン接種したマウスにおいて自身に対する高力価の抗体を刺激することができた(表2)。前記タンパク質はTh2(IgG1)およびTh1(IgG2a)抗体の両方を刺激し、Th1が僅かに支配的であった。
【0047】
rOv-ASP-1によって誘導されたこのタンパク質に対する細胞媒介性を評価するために、これらのマウスから脾臓細胞を集めた。この脾臓細胞を培養し、in vitroでrOv-ASP-1により再刺激した。Th1応答のマーカーとしてインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)を測定した。Th2活性を示すため、インターロイキン-5(IL-5)を測定した。Th2および/または調節T細胞産物としてIL-10を測定した。前記組換えタンパク質はPBSまたはrOv-ASP-1を注射されたマウスから得た脾臓細胞のIFN-γ分泌を高レベルに刺激した(図3)。このことはこれらのサイトカインのin vitroにおける直接的誘導を示唆する。同様なIL-10の抗原非特異的放出も生じた。対照的にIL-5はrOv-ASP-1に曝露しておいたマウスの脾臓細胞によってのみ産生され、特に2.5μgのrOv-ASP-1を与えた群によって産生され、このことはIL-5応答の抗原特異性を示す。
【0048】

表2.PBS中のrOv-ASP-1またはPBS単独をワクチン接種したマウスにおけるrOv-ASP-1に対するIgG1およびIgG2a抗体の逆数終点力価。力価はプール血清サンプル(1群あたり6匹のマウス)を用いて得た。
【0049】
マウスにおけるアジュバント検討
rOv-ASP-1は添加アジュバント無しで自身に対する高力価の抗体応答を刺激することができたので、このタンパク質が無関係のタンパク質に対する抗体応答に関してアジュバントとして機能するかどうかという問題を調べた。アジュバント無しにマウスに注射した場合にははっきりと評価できる抗体応答を刺激しないモデル抗原として、ニワトリ卵アルブミン(オボアルブミン(OVA)としても知られる)を使用した。OVAを市販の調製済みアジュバント、アラム(Sigma)またはMPL+TDM(Sigma)と、または試験アジュバントrOv-ASP-1と混合した。5群のマウスに前記市販の調製済みアジュバントまたは対照としてOVA若しくはアジュバントのみを皮下注射した。
各動物に免疫ごとに50μgのOVAを注射した。OVAとrOv-ASP-1は滅菌した無LPSリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に希釈した。
14日後にマウスを追加免疫した。10日後、マウスから血清を集めた。血清中のIgG甲アチをELISAで定量した。
rOv-ASP-1を25μg/マウスで使用した場合、このタンパク質は(図4、黒四角)はその能力において市販の調製済みアラムおよびMPL+TDMアジュバントを上回っていた。rOv-ASP-1を25μg/マウスでアジュバントとして使用した場合、IgG1抗-OVA終点力価は102,400であった。MPL+TDMまたはアラムアジュバントを用いて得られた力価はそれぞれ18,000および15,000であった。最も低いrOv-ASP濃度(2.5μg)においては、甲OVA力価は8,000であった。IgG2a力価はIgG1力価よりもかなり低く、25μgにおけるrOv-ASP-1のみが評価できる(25,600)抗-OVA力価を誘導した。
【0050】
rOv-ASP-1中の残存LPがこのアジュバント効果に対して寄与しているいかなる可能性をも排除するため、rOv-ASP-1濃縮ストック溶液(2.5mg/ml)からDetoxi-gel(商標)システム(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)を用いてLPSを除去した。rOv-ASP-1の無LPSのバッチとLPS-含有バッチの希釈物のアジュバント活性を比較した。図5において、白四角は、免疫したマウスにおいてOVAに対する抗体応答を増強することに関して無LPS rOvASP-1がLPSを含むストックから調製した同じタンパク質よりも良好に機能することを示している。終点抗体力価は得られていないが相違は明瞭であり、特にIgG2aイソ型で明瞭である。従って、組換えOv-ASP-1タンパク質のアジュバント特性に対するLPSの寄与は排除された。
【0051】
免疫抗原、OVAに対する細胞媒介性を、図4に示したマウス群の脾臓細胞によって分泌されるサイトカインを測定することによって評価し、その結果を図6に示した。
rOv-ASP-1試験アジュバントをいずれかの濃度で与えたマウスおよびMPL+TDMアジュバントを与えたマウスにおいてのみOVA-特異的IFN-γ産生が見られた。IL-5はアジュバントとしてアラムを使用した場合にのみOVAに応答して誘導され、IL-10放出は市販のアジュバントを使用した場合にのみ刺激されたが前記試験アジュバントでは刺激されなかった。IL-5およびIL-10の欠損はrOv-ASP-1誘導抗OVA免疫応答に対する支配的なTh1偏向を示唆する。
【0052】
実施例2
rOv-ASP-1の病原性抗原に対するアジュバント活性の評価
ヒト病原体、すなわちSARS-CoVおよびHIV-1由来の抗原に対して類似のアジュバント能をrOv-ASP-1が有しているかどうかを決定するため、rOvASP-1タンパク質をテストした。
実施例1と同じバッチであるがOVAの代わりに50μgのSARS-CoVペプチド(SC-1)またはHIV-1-CD4 FLSCポリペプチド(FLSC)と混合したLPS-陰性rOvASP-1を用いてBALBC/cByJマウスを免疫した。全ての免疫したマウスは応答を最適化するため2回追加免疫(ブースト)した(すなわちSC-1またはFLSCを、アジュバントとしてrOvASP-1またはMPL+TDMと共に合計3回注射した。
OVAを対照抗原として用いて、終点力価はrOv-ASP-1およびMPL+TDMをアジュバントとして用いた場合にそれぞれ約2,096,000および1,024,000であった。これらの総IgG力価は実施例1におけるよりおよそ10倍高く、追加のブーストが抗体産生を有意に増強したことが示される。SC-1ペプチドに対するrOv-ASP-1のアジュバント活性は、256,000対64,000という終点IgG力価から判断して(図7)、MPL+TDMのアジュバント活性を上回っていた。両方のアジュバントを用いて達成された抗-FLSC終点IgG力価は等価であった(およそ1,024,000;図8)。
【0053】
SC-1ペプチドおよびFLSCポリペプチドに対するIgGイソ型応答を表1にまとめた。rOv-ASP-1タンパク質はMPL+TDMよりもIgG1、IgG2aおよびIgG2b力価をより強く刺激した。IgG3力価はどちらのアジュバントを用いても等しく低かった。FLSCポリペプチドに対するIgG1力価はSC-1ペプチドに対するIgG1力価よりもかなり低かった。MPL+TDMはrOv-ASP-1よりもFLSCに対するより高いIgG2b力価を誘導したが、IgG1およびIgG3力価はどちらのアジュバントを用いても同じであった。
rOv-ASP-1およびMPL+TDMによって誘導される応答間の最も驚くべき相違は、MPL+TDMを使用した場合のSC-1に対するIgG2a(Th1)応答の欠如と、MPL+TDMに比較してrOv-ASP-1によってアジュバントされたFLSCに対する4倍高いIgG2a応答である。SC-1およびFLSC抗原と対照的に、OVAに対するIgG2aおよびIgG3抗体はrOv-ASP-1またはMPL+TDMアジュバントのいずれを用いても検出できなかった(データ提示無し)。
各抗原モデルは抗原に依存して異なる挙動を示したが、Th1(IgG2a)応答はrOv-ASP-1をアジュバントとして使用した場合に常に高かった。FLSCを免疫原として使用した場合、ASP-1およびRibiアジュバントの間でIgG2aおよびIgG2bにおいて切り替えが生じた。ASP-1はIgG2aに有利であり、RibiはIgG2bを増強した。rOv-ASP-1をアジュバントとして使用した場合にIgEは全く検出されなかった。IgMおよびIgAはテストしなかった。
【0054】

表3.rOv-ASP-1試験アジュバントまたはMPL+TDMアジュバントとともに配合したFLSCまたはCP-1抗原に対するマウスIgGイソ型の逆数終点力価。rOv-ASP-1はどちらの抗原に対しても非常に高いIgG2a抗体を誘導し(Th1)、SC-1ペプチドに対してIgG1(Th2)に偏っていた。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】回旋糸状虫(オンコセルカ・ボルブルス)(Onchocerca volvulus)に曝露されたことのない個体(n=14)から得たPBMCからの、rOv-ASP-1(5μg/ml)によって誘導されたサイトカイン分泌。細胞をrOv-ASP-1(+)または培地単独A(-)とインキュベーションした。*=培地のみの細胞に対してP<0.05。値は、平均±SDである。
【図2】ポリミキシンB(5および20μg/ml)を用いたLPS活性の阻害は、ヒトPBMC(3人のドナー)に対するrOv-ASP-1(5μg/ml)の生物学的活性に影響を与えない。rOv-ASP-1をポリミキシンBと室温にて1時間プレインキュベーションしてからPBMCに添加した。値は、平均±SDである。
【図3】PBSまたはアジュバント無しでrOv-ASP-1で免疫したマウスから得た、in vitroで5μg/mlのrOv-ASP-1で刺激した脾臓細胞によって産生されたサイトカイン。値は、各処理群内でプールした脾臓細胞から得られたもので、三つ組の培養の平均を表している。
【図4】対照処理(PBS、OVA、アラム、MPL+TDM、rOv-ASP-1)またはアラム、MPL+TDM、またはテストアジュバント、rOv-ASP-1と組み合わせたOVAで免疫したマウス(n=5/群)における平均抗-OVA IgG1およびIgG2a。抗体量はELISAアッセイにおける光学密度(OD)によって表してある。
【図5】マウス(n=5/群)において、免疫前、または対照処理(PBS、OVA)またはテストアジュバントrOv-ASP-1(25μg/ml)と共にOVAで免疫後に採血した、LPS-除去ゲルで処理した(LPS-)または処理しない(LPS+)場合の、平均抗-OVA IgG1およびIgG2a力価。同じ記号は両方のグラフに適用される。終点抗-OVA IgG1力価は512,000であり、終点抗-OVA IgG2a力価は128,000であった。
【図6】アジュバントと共に、またはアジュバント無しにOVAで免疫した、または関連する対照処理したマウスから得て、5μg/ml OVAでin vitroで再刺激した脾臓細胞によって生産されたサイトカイン。値は、各処理群内でプールした脾臓細胞から得られたもので、三つ組の培養の平均を表している。
【図7】対照処理(抗原またはアジュバント単独)またはMPL+TDM若しくはテストrOv-ASP-1アジュバントと配合した抗原で免疫後のマウス血清(n=5匹/群)における抗-SC-1総IgG量の平均。抗体量はELISAアッセイにおける光学密度(OD)によって表してある。血清の希釈の逆数をx軸に示してある。終点は以下の通り:rOv-ASP-1存在下で250,000でありMPL+TDM存在下で64,000である。
【図8】対照処理(抗原またはアジュバント単独)またはMPL+TDM若しくはテストrOv-ASP-1アジュバントと配合した抗原で免疫後のマウス血清(n=5匹/群)における抗-FLCS総IgG量の平均。抗体量はELISAアッセイにおける光学密度(OD)によって表してある。血清の希釈の逆数をx軸に示してある。終点は以下の通り:rOv-ASP-1存在下で1,024,000でありMPL+TDM存在下で1,024,000である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原性部分;および、
有効量のOv-ASPまたはOv-ASPの活性サブユニットの少なくとも一つ、
を含む、免疫原性組成物。
【請求項2】
Ov-ASPの配列が配列番号1記載の配列である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
Ov-ASPの配列が配列番号1記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
Ov-ASPの配列が配列番号2記載の配列である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
Ov-ASPの配列が配列番号2記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
Ov-ASPの配列が配列番号3記載の配列である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
Ov-ASPの配列が配列番号3記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
抗原性部分が、ポリアミノ酸、脂質、リポ多糖、多糖、または抗原をコードする配列を含む核酸、である、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
抗原性部分がポリアミノ酸である請求項8記載の組成物。
【請求項10】
組成物が予防ワクチンである、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
組成物が治療ワクチンである、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
免疫応答が液性応答である、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
免疫応答が細胞媒介性応答である、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
細胞媒介性応答がTh1応答である、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
細胞媒介性応答がTh2応答である、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
細胞媒介性応答がTh1応答およびTh2応答である、請求項13記載の組成物。
【請求項17】
Ov-ASPに対する抗原性部分の質量の比が約4:1〜約1:1である、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
Ov-ASPに対する抗原性部分の質量の比が約4:1〜約1:4である、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
抗原性部分がSARS-CoVポリアミノ酸である、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
SARS-CoVポリアミノ酸がSARS-CoV SC-1ペプチドである、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
抗原性部分がHIV-1ポリアミノ酸である、請求項1記載の組成物。
【請求項22】
HIV-1ポリアミノ酸がHIV-1-CD4 FLSCポリペプチドである、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
有効量のOv-ASPまたはOv-ASPの活性サブユニットの少なくとも一つ、および抗原性部分を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において特異的な免疫応答を増強する方法。
【請求項24】
Ov-ASPの配列が配列番号1記載の配列である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
Ov-ASPの配列が配列番号1記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項23記載の方法。
【請求項26】
Ov-ASPの配列が配列番号2記載の配列である、請求項23記載の組成物。
【請求項27】
Ov-ASPの配列が配列番号2記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項23記載の組成物。
【請求項28】
Ov-ASPの配列が配列番号3記載の配列である、請求項23記載の組成物。
【請求項29】
Ov-ASPの配列が配列番号3記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項23記載の組成物。
【請求項30】
抗原性部分が、ポリアミノ酸、脂質、リポ多糖、多糖、または抗原をコードする配列を含む核酸、である、請求項23記載の方法。
【請求項31】
抗原性部分がポリアミノ酸である請求項30記載の方法。
【請求項32】
免疫応答が液性応答である、請求項23記載の方法。
【請求項33】
免疫応答が細胞媒介性応答である、請求項23記載の方法。
【請求項34】
細胞媒介性応答がTh1応答である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
細胞媒介性応答がTh2応答である、請求項33記載の方法。
【請求項36】
細胞媒介性応答がTh1応答およびTh2応答である、請求項33記載の方法。
【請求項37】
抗原性部分がSARS-CoVポリアミノ酸である、請求項23記載の方法。
【請求項38】
SARS-CoVポリアミノ酸がSARS-CoV SC-1ペプチドである、請求項37記載の方法。
【請求項39】
抗原性部分がHIV-1ポリアミノ酸である、請求項23記載の方法。
【請求項40】
HIV-1ポリアミノ酸がHIV-1-CD4 FLSCポリペプチドである、請求項39記載の方法。
【請求項41】
Ov-ASPに対する抗原性部分の質量の比が約4:1〜約1:1である、請求項23記載の方法。
【請求項42】
Ov-ASPに対する抗原性部分の質量の比が約4:1〜約1:4である、請求項23記載の方法。
【請求項43】
有効量のOv-ASPまたはOv-ASPの活性サブユニットの少なくとも一つ、および、抗原性部分を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物においてサイトカイン分泌を伴う細胞性応答を刺激する方法。
【請求項44】
Ov-ASPの配列が配列番号1記載の配列である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
Ov-ASPの配列が配列番号1記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項43記載の方法。
【請求項46】
Ov-ASPの配列が配列番号2記載の配列である、請求項43記載の組成物。
【請求項47】
Ov-ASPの配列が配列番号2記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項43記載の組成物。
【請求項48】
Ov-ASPの配列が配列番号3記載の配列である、請求項43記載の組成物。
【請求項49】
Ov-ASPの配列が配列番号3記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項43記載の組成物。
【請求項50】
サイトカインがIFN-γ、GM-CSF、TNF-α、IL-10、TGF-βまたはそれらの組み合わせである、請求項43記載の方法。
【請求項51】
有効量のOv-ASPまたはOv-ASPの活性サブユニットの少なくとも一つ、および、製薬的に許容できる担体を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物においてオンコセルカ症に対する免疫応答を生じさせる方法。
【請求項52】
Ov-ASPの配列が配列番号1記載の配列である、請求項51記載の方法。
【請求項53】
Ov-ASPの配列が配列番号1記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項51記載の方法。
【請求項54】
Ov-ASPの配列が配列番号2記載の配列である、請求項51記載の組成物。
【請求項55】
Ov-ASPの配列が配列番号2記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項51記載の組成物。
【請求項56】
Ov-ASPの配列が配列番号3記載の配列である、請求項51記載の組成物。
【請求項57】
Ov-ASPの配列が配列番号3記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項51記載の組成物。
【請求項58】
更にアジュバントを投与することを含む、請求項51記載の方法。
【請求項59】
SARS-CoVポリアミノ酸、および、有効量のOv-ASPまたはOv-ASPの活性サブユニットの少なくとも一つを含む免疫原性組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物においてSARSを予防する方法。
【請求項60】
SARS-CoVポリアミノ酸がSARS-CoV SC-1ペプチドである、請求項59記載の方法。
【請求項61】
Ov-ASPの配列が配列番号1記載の配列である、請求項59記載の方法。
【請求項62】
Ov-ASPの配列が配列番号1記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項59記載の方法。
【請求項63】
Ov-ASPの配列が配列番号2記載の配列である、請求項59記載の組成物。
【請求項64】
Ov-ASPの配列が配列番号2記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項59記載の組成物。
【請求項65】
Ov-ASPの配列が配列番号3記載の配列である、請求項59記載の組成物。
【請求項66】
Ov-ASPの配列が配列番号3記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項59記載の組成物。
【請求項67】
哺乳動物にHIV-1ポリアミノ酸、および、有効量のOv-ASPまたはOv-ASPの活性サブユニットの少なくとも一つを含む免疫原性組成物を投与することを含む、哺乳動物においてHIVを予防する方法。
【請求項68】
HIV-1ポリアミノ酸がHIV-1-CD4 FLSCポリペプチドである、請求項67記載の方法。
【請求項69】
Ov-ASPの配列が配列番号1記載の配列である、請求項67記載の方法。
【請求項70】
Ov-ASPの配列が配列番号1記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項67記載の方法。
【請求項71】
Ov-ASPの配列が配列番号2記載の配列である、請求項67記載の組成物。
【請求項72】
Ov-ASPの配列が配列番号2記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項67記載の組成物。
【請求項73】
Ov-ASPの配列が配列番号3記載の配列である、請求項67記載の組成物。
【請求項74】
Ov-ASPの配列が配列番号3記載の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項67記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−502695(P2008−502695A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516652(P2007−516652)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/021004
【国際公開番号】WO2005/122739
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(593059795)ザ ニューヨーク ブラッド センター インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】