説明

回路付サスペンション基板およびその製造方法

【課題】光導波路が精度よく設置される回路付サスペンション基板およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】金属支持基板11、金属支持基板11の上に形成されるベース絶縁パターン12およびベース絶縁パターン12の上に形成される導体パターン13を備える回路基板10を用意し、導体層43またはベース絶縁層42から形成される位置決め部35を、回路基板10に設け、別途、光導波路20を用意し、光導波路20を、位置決め部35に位置決めしながら回路基板10に設置する。そして、導体パターン13を形成する工程、または、ベース絶縁パターン12を形成する工程を、位置決め部35を設ける工程と同時に実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路付サスペンション基板およびその製造方法、詳しくは、光アシスト法が採用される回路付サスペンション基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクなどに対する磁気記録方式として、光アシスト法(光アシスト磁気記録方式あるいは熱アシスト記録方式)が知られている。
例えば、サスペンションと、その上に設けられる光導波路(第2光導波路)とを備える熱アシスト磁気記録ヘッドが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−185548号公報(図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかるに、特許文献1に記載される熱アシスト磁気記録ヘッドでは、光導波路をサスペンションに設置するとき、これらを相対的に精度よく配置することが困難となる場合がある。
本発明の目的は、光導波路が精度よく設置される回路付サスペンション基板およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の回路付サスペンション基板は、金属支持基板、前記金属支持基板の上に形成される絶縁パターンおよび前記絶縁パターンの上に形成される導体パターンを備える回路基板と、前記回路基板に設置される光導波路と、前記回路基板に設けられ、前記光導波路を前記回路基板に対して位置決めするための位置決め部とを備えることを特徴としている。
【0005】
この回路付サスペンション基板によれば、光導波路は、位置決め部によって回路基板に対して位置決めされている。そのため、光導波路と回路基板との精度のよい相対配置を確保することができる。
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記導体パターンと前記位置決め部とは、導体層から形成されることが好適である。
【0006】
この回路付サスペンション基板では、位置決め部は、導体パターンと同じ精度で形成される。そのため、かかる位置決め部によって、光導波路を位置決めすることにより、光導波路を導体パターンに対して高い精度で設置することができる。
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記絶縁パターンと前記位置決め部とは、絶縁層から形成されることが好適である。
【0007】
この回路付サスペンション基板では、位置決め部は、絶縁パターンと同じ精度で形成される。そのため、かかる位置決め部によって、光導波路を位置決めすることにより、光導波路を絶縁パターンに対して高い精度で設置することができる。
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記位置決め部は、前記光導波路を挟んで対向配置され、前記光導波路の前記対向方向両側と接触していることが好適である。
【0008】
この回路付サスペンション基板では、光導波路の対向方向両側が、それを挟んで対向配置される位置決め部と接触される。そのため、光導波路の位置決め部の対向方向における位置決めを高い精度で確保することができる。
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記位置決め部は、前記光導波路が延びる方向にわたって間隔を隔てて複数配置されていることが好適である。
【0009】
本発明の回路付サスペンション基板では、複数の位置決め部によって、光導波路が延びる方向にわたって、位置決めされる。そのため、光導波路を、それが延びる方向にわたって高い精度で設置することができる。
また、本発明の回路付サスペンション基板の製造方法は、金属支持基板、前記金属支持基板の上に形成される絶縁パターンおよび前記絶縁パターンの上に形成される導体パターンを備える回路基板を用意する工程、光導波路を用意する工程、前記光導波路を前記回路基板に対して位置決めするための位置決め部を、前記回路基板に設ける工程、および、前記光導波路を、前記位置決め部に位置決めしながら前記回路基板に設置する工程を備えることを特徴としている。
【0010】
この回路付サスペンション基板の製造方法によれば、回路基板を用意するとともに、位置決め部を回路基板に設け、また、光導波路を用意する。そして、光導波路を、回路基板に対して位置決め部によって位置決めしながら、光導波路を回路基板に対して、精度よく設置することができる。
また、本発明の回路付サスペンション基板の製造方法では、前記回路基板を用意する工程において、前記絶縁パターンの上に前記導体パターンを形成する工程を、前記位置決め部を設ける工程と同時に実施することが好適である。
【0011】
この回路付サスペンション基板の製造方法では、導体パターンを形成する工程を、位置決め部を設ける工程と同時に実施するので、位置決め部を設ける工程を別途必要とせず、製造工程数の低減を図りつつ、位置決め部を、導体パターンを形成する精度と同じ精度で形成することができる。
また、本発明の回路付サスペンション基板の製造方法では、前記回路基板を用意する工程において、前記金属支持基板の上に前記絶縁パターンを形成する工程を、前記位置決め部を設ける工程と同時に実施することが好適である。
【0012】
この回路付サスペンション基板の製造方法では、絶縁パターンを形成する工程を、位置決め部を設ける工程と同時に実施するので、位置決め部を設ける工程を別途必要とせず、製造工程数の低減を図りつつ、位置決め部を、絶縁パターンを形成する精度と同じ精度で形成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の回路付サスペンション基板およびその製造方法によれば、光導波路を回路基板に対して、精度よく設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の回路付サスペンション基板の一実施形態の平面図、図2は、図1のA−A線に沿う断面図、図3は、回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、図2に対応する断面図である。なお、図1において、導体パターン13の相対配置を明確に示すために、ベース絶縁パターン12およびカバー絶縁パターン14(後述)は省略されている。
【0015】
図1において、この回路付サスペンション基板1は、回路基板10と、回路基板10に設けられる位置決め部35と、回路基板10に設置される光アシスト部17とを備えている。
回路基板10は、ハードディスクドライブにおける磁気ヘッド(図示せず)を実装して、その磁気ヘッドを、磁気ヘッドとハードディスク(図示せず)とが相対的に走行するときの空気流に抗して、ハードディスクとの間に微小な間隔を保持しながら支持する。
【0016】
回路基板10は、回路付サスペンション基板1の外形形状に対応して形成されており、具体的には、長手方向に延びる平帯状に形成されている。また、回路基板10は、長手方向他方側(以下、後側という。)に配置される配線部2と、配線部2の長手方向一方側(以下、先側という。)に配置されるジンバル3とを一体的に備えている。
配線部2は、長手方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0017】
ジンバル3は、配線部2の先端から連続して形成され、配線部2に対して幅方向両外側に膨出する平面視略矩形状に形成されている。また、ジンバル3には、平面視において先側に向かって開く略U字状の開口部としてのスリット4が形成されている。
また、ジンバル3は、スリット4に幅方向において挟まれるタング部5と、スリット4の幅方向両外側に配置されるアウトリガー部7とを一体的に備えている。
【0018】
タング部5は、スリット4により区画されており、これにより、平面視略矩形状に形成されている。また、タング部5は、搭載部8と端子形成部9とを備えている。
搭載部8は、磁気ヘッドを実装するスライダ(図示せず)を搭載するための領域であって、タング部5の後側部に配置され、平面視略矩形状に形成されている。また、搭載部8は、タング部5の後端縁と間隔を隔てて配置されており、後述する第1位置決め部26が形成される領域が確保されるように配置されている。
【0019】
端子形成部9は、後述するヘッド側接続端子部16Bが形成されている領域であって、搭載部8の先側部に配置されている。また、端子形成部9には、平面視略矩形状の出射開口部6が形成されている。
出射開口部6は、回路基板10を回路基板10の厚み方向(以下、単に厚み方向という。)に貫通するように平面視略矩形状に形成されている。また、出射開口部6は、端子形成部9における幅方向中央に形成されている。
【0020】
また、タング部5には、台座30が設けられている。
台座30は、搭載部8内に、スライダ(図示せず)を支持するために設けられており、第1台座31および第2台座32を備えている。
第1台座31および第2台座32は、搭載部8の長手方向中央に配置され、幅方向において互いに間隔を隔てて対向配置されている。具体的には、第1台座31は、搭載部8の幅方向一方側に配置され、第2台座32は、搭載部8の幅方向他方側で、第1台座31と幅方向他方側に間隔を隔てて対向配置されている。また、第1台座31および第2台座32は、長手方向に延びる平面視略矩形状で、平面視で互いに同一形状に形成されている。
【0021】
台座30は、回路基板10の上に形成されている。台座30は、台座ベース部33と、台座ベース部33の上に形成される台座導体部34とからなる。
台座ベース部33は、後述するベース絶縁層42から形成されている。台座ベース部33は、搭載部8における金属支持基板11の表面において、台座30の外形形状に対応して形成されている。
【0022】
台座導体部34は、後述する導体層43から形成されている。台座導体部34は、台座ベース部33の表面において、平面視において、台座ベース部33よりやや小さい相似形状に形成されている。
第1台座31および第2台座32間の幅方向間隔は、例えば、10〜250μm、好ましくは、15〜150μmである。
【0023】
位置決め部35は、光導波路20を回路基板10に対して位置決めするために設けられており、長手方向にわたって複数配置されている。
すなわち、位置決め部35は、先後方向に間隔を隔てて配置されており、具体的には、第1位置決め部26、第2位置決め部27、第3位置決め部28および第4位置決め部29からなる。
【0024】
第1位置決め部26、第2位置決め部27、第3位置決め部28および第4位置決め部29は、先側から後側に向かって順次配置されており、回路基板10の幅方向略中央に形成されている。
第1位置決め部26は、ジンバル3の先後方向途中に設けられ、具体的には、回路基板10におけるスリット4の先側端縁であって、タング部5の後端部に形成されている。すなわち、第1位置決め部26は、搭載部8の後側部で、具体的には、台座30の後側で、スリット4の先端縁における回路基板10の表面に形成されている。
【0025】
第1位置決め部26は、幅方向に間隔を隔てて対向配置される2つの第1突部26aおよび26bから形成されている。第1突部26aおよび26bは、平面視略円形状をなし、幅方向において後述する光導波路20を挟むように形成されている。2つの第1突部26aおよび26bのうち、一方の第1突部26aは、光導波路20の幅方向一方側に配置され、他方の第1突部26bは、光導波路20の幅方向他方側に配置されている。一方の第1突部26aおよび他方の第1突部26bは、平面視で互いに同一形状に形成されている。
【0026】
第2位置決め部27は、ジンバル3の後端部に設けられ、第1位置決め部26と、スリット4を挟む後側に対向配置されている。すなわち、第2位置決め部27は、回路基板10におけるスリット4の後側端縁であって、より具体的には、スリット4の後端縁における回路基板10の表面に形成されている。第2位置決め部27は、幅方向に間隔を隔てて対向配置される2つの第2突部27aおよび27bから形成されている。第2突部27aおよび27bは、平面視略円形状をなし、幅方向において光導波路20を挟むように形成されている。また、2つの第2突部27aおよび27bのうち、一方の第2突部27aは、光導波路20の幅方向一方側に配置され、他方の第2突部27bは、光導波路20の幅方向他方側に配置されている。一方の第2突部27aおよび他方の第2突部27bは、平面視で互いに同一形状に形成されている。
【0027】
第3位置決め部28は、配線部2の先後方向途中に設けられ、第2位置決め部27の後側に対向配置されている。また、第3位置決め部28は、配線部2における回路基板10の表面に形成されている。第3位置決め部28は、幅方向に間隔を隔てて対向配置される、2つの第3突部28aおよび28bから形成されている。第3突部28aおよび28bは、平面視略円形状をなし、幅方向において光導波路20を挟むように形成されている。2つの第3突部28aおよび28bのうち、一方の第3突部28aは、光導波路20の幅方向一方側に配置され、他方の第3突部28bは、光導波路20の幅方向他方側に配置されている。一方の第3突部28aおよび他方の第3突部28bは、平面視で互いに同一形状に形成されている。
【0028】
第4位置決め部29は、配線部2の後端部に設けられ、第3位置決め部28の後側に対向配置されている。具体的には、第4位置決め部29は、配線部2において、後述する発光素子18の先側に配置されており、回路基板10の表面に形成されている。また、第4位置決め部29は、幅方向に間隔を隔てて対向配置される2つの第4突部29aおよび29bから形成されている。2つの第4突部29aおよび29bは、平面視略円形状をなし、幅方向において、光導波路20を挟むように形成されている。2つの第4突部29aおよび29bのうち、一方の第4突部29aは、光導波路20の幅方向一方側に配置され、他方の第4突部29bは、光導波路20の幅方向他方側に配置されている。一方の第4突部29aおよび他方の第4突部29bは、平面視で互いに同一形状に形成されている。
【0029】
また、第1位置決め部26、第2位置決め部27、第3位置決め部28および第4位置決め部29は、回路基板10の幅方向における同一位置、具体的には、幅方向中央位置に配置され、回路基板10の長手方向に沿って投影すると、それらは一直線上に配置されている。また、第1位置決め部26、第2位置決め部27、第3位置決め部28および第4位置決め部29は、図2に示すように、導体層43から形成される位置決め導体部36からなる。
【0030】
位置決め部35の寸法は、各突部(第1突部26aおよび26bと、第2突部27aおよび27bと、第3突部28aおよび28bと、第4突部29aおよび29b)の直径が、例えば、20〜500μm、好ましくは、40〜100μmである。また、幅方向に対向する2つの突部間の間隔(一方の第1突部26aおよび他方の第1突部26b間の幅方向における間隔、一方の第2突部27aおよび他方の第2突部27b間の幅方向における間隔、一方の第3突部28aおよび他方の第3突部28b間の幅方向における間隔、および、一方の第4突部29aおよび他方の第4突部29b間の幅方向における間隔)W1は、例えば、5〜200μm、好ましくは、10〜100μmである。
【0031】
そして、回路基板10は、金属支持基板11と、金属支持基板11の上に形成される絶縁パターンとしてのベース絶縁パターン12と、ベース絶縁パターン12の上に形成される導体パターン13と、ベース絶縁パターン12の上に、導体パターン13を被覆するように形成されるカバー絶縁パターン14とを備えている。
金属支持基板11は、回路基板10の外形形状に対応して形成されている。
【0032】
ベース絶縁パターン12は、金属支持基板11の上面に、配線部2およびジンバル3における導体パターン13が形成される部分に対応するように、導体パターン13に沿って形成されている。また、ベース絶縁パターン12は、後述する絶縁層としてのベース絶縁層42から形成されている。
導体パターン13は、図1に示すように、外部側接続端子部16Aと、ヘッド側接続端子部16Bと、これら外部側接続端子部16Aおよびヘッド側接続端子部16Bを接続するための信号配線15とを、一体的に連続して備えている。また、導体パターン13は、導体層43から形成されている。
【0033】
各信号配線15は、回路付サスペンション基板1の長手方向に沿って複数(4本)設けられ、幅方向において互いに間隔を隔てて並列配置されている。
複数の信号配線15は、第1配線15a、第2配線15b、第3配線15cおよび第4配線15dから形成されており、これら第1配線15a、第2配線15b、第3配線15cおよび第4配線15dが、幅方向一方側から幅方向他方側に向かって、順次配置されている。
【0034】
より具体的には、第1配線15a、第2配線15b、第3配線15cおよび第4配線15dは、互いに並行して延びるように形成されている。ジンバル3において、第1配線15aおよび第2配線15b(第1の1対の配線15e)は、幅方向一方側のアウトリガー部7に沿うように配置され、第3配線15cおよび第4配線15d(第2の1対の配線15f)は、幅方向他方側のアウトリガー部7に沿うように配置されている。第1配線15a、第2配線15b、第3配線15cおよび第4配線15d(第1の1対の配線15eおよび第2の1対の配線15f)は、アウトリガー部7の先端部に至った後、幅方向内側に延び、さらに後側に折り返されて、端子形成部9に至るように配置されている。配線部2において、第1の1対の配線15eと第2の1対の配線15fとは、互いに間隔を隔てて、配線部2の幅方向両端部にそれぞれ配置されている。
【0035】
外部側接続端子部16Aは、配線部2の後側部に配置され、各信号配線15の後端部がそれぞれ接続されるように、複数(4つ)設けられている。また、この外部側接続端子部16Aは、幅方向に間隔を隔てて配置されている。この外部側接続端子部16Aには、外部回路基板(例えば、リード・ライト基板など。)の端子部(図示せず)が接続される。
ヘッド側接続端子部16Bは、ジンバル3に配置され、より具体的には、タング部5の端子形成部9に配置されている。ヘッド側接続端子部16Bは、各信号配線15の先端部がそれぞれ接続されるように、複数(4つ)設けられている。また、このヘッド側接続端子部16Bは、幅方向に間隔を隔てて配置されている。このヘッド側接続端子部16Bには、磁気ヘッドの端子部(図示せず)が接続される。
【0036】
カバー絶縁パターン14は、配線部2およびジンバル3にわたって配置され、図2に示すように、ベース絶縁パターン12の上面に、信号配線15が形成される部分に対応するように配置されている。また、カバー絶縁パターン14は、外部側接続端子部16Aおよびヘッド側接続端子部16Bが露出し、信号配線15を被覆するように形成されている。また、カバー絶縁パターン14は、カバー絶縁層44から形成されている。
【0037】
光アシスト部17は、図1に示すように、回路付サスペンション基板1が光アシスト法に用いられるために設けられ、光導波路20と、発光素子18とを備えている。
光導波路20は、回路基板10に設置されており、配線部2およびジンバル3にわたって、信号配線15と間隔を隔てて配置されている。具体的には、光導波路20は、長手方向に沿う平面視直線形状に形成され、回路基板10の幅方向中央位置に配置されている。また、光導波路20は、第1の1対の配線15eと第2の1対の配線15fとの間において、これらと並行して延びるように配置されている。
【0038】
また、光導波路20は、配線部2の先端部から、スリット4を直交するように横切り、そして、第1台座31と第2台座32との間を通過した後、光導波路20の先端面19が、出射開口部6に臨むように配置されている。
また、光導波路20は、幅方向において位置決め部35に挟まれている。すなわち、光導波路20の幅方向両外側面は、位置決め部35の幅方向内側面と接触している。具体的には、光導波路20の幅方向一側面は、一方の第1突部26a、一方の第2突部27a、一方の第3突部28aおよび一方の第4突部29aの幅方向他側面(幅方向最他端面)と接触し、光導波路20の幅方向他側面は、他方の第1突部26b、他方の第2突部27b、他方の第3突部28bおよび他方の第4突部29aの幅方向一側面(幅方向最一端縁)と接触して、それらの間で嵌合されている。
【0039】
これにより、光導波路20は、位置決め部35によって位置決めされている。
また、光導波路20は、発光素子18と光学的に接続されている。すなわち、光導波路20は、その後端が、発光素子18と接続されるとともに、その先端が、出射開口部6に臨むように形成されている。
光導波路20の寸法は、その幅が、幅方向に対向する位置決め部35の2つの突部間の間隔W1と同一である。
【0040】
発光素子18は、光導波路20に光を入射させるための光源であって、例えば、電気エネルギーを光エネルギーに変換して、高エネルギーの光を出射する光源である。この発光素子18は、回路基板10の後端側に配置されており、より具体的には、配線部2の後端側に配置されており、第1の1対の配線15eと第2の1対の配線15fとの間に、これらと間隔を隔てて配置されている。
【0041】
この光アシスト部17では、発光素子18において、外部回路基板(図示せず)から供給される電気エネルギーが光エネルギーに変換され、その光が光導波路20に出射される。出射された光は光導波路20を通過して、光導波路の先端面(先端部の端面)19において、反射されて、ハードディスク(図示せず)に照射される。
また、光導波路20は、図2に示すように、アンダークラッド層21と、アンダークラッド層21の上に形成されるコア層22と、アンダークラッド層21の上に、コア層22を被覆するように形成されるオーバークラッド層23とを備えている。
【0042】
オーバークラッド層23は、その幅方向両外側端縁が、アンダークラッド層21の幅方向両外側端縁と平面視において同一位置となるように形成されている。
次に、回路付サスペンション基板1の製造方法について、図3を参照して説明する。
まず、この方法では、図3(a)〜図3(d)に示すように、回路基板10を用意する。
【0043】
回路基板10を用意するには、まず、図3(a)に示すように、金属支持層41を用意する。
金属支持層41は、後の工程において外形加工により金属支持基板11に形成されるシート形状をなし、このような金属支持層41を形成する金属材料としては、例えば、ステンレス、42アロイなどが用いられる。好ましくは、ステンレスが用いられる。金属支持層41の厚みは、例えば、10〜30μm、好ましくは、15〜25μmである。
【0044】
次いで、図3(b)に示すように、ベース絶縁パターン12および台座ベース部33(図1参照)を有するベース絶縁層42を形成する。
ベース絶縁層42を形成する絶縁材料としては、例えば、ポリイミド、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂が用いられる。これらのうち、好ましくは、感光性の合成樹脂が用いられ、さらに好ましくは、感光性ポリイミドが用いられる。
【0045】
ベース絶縁層42を形成するには、金属支持層41の表面に、例えば、感光性の合成樹脂を塗布し、乾燥後、ベース絶縁パターン12および台座ベース部33が形成されるパターンで露光および現像し、必要により硬化させる。
また、ベース絶縁層42の形成は、金属支持層41の表面に、上記した合成樹脂の溶液を均一に塗布した後、乾燥し、次いで、必要に応じて、加熱することによって硬化させ、その後、エッチングなどにより上記したパターンに形成することもできる。
【0046】
さらに、ベース絶縁層42の形成は、例えば、合成樹脂を上記したパターンのフィルムに予め形成して、そのフィルムを、金属支持層41の表面に、公知の接着剤層を介して貼着することもできる。
このようにして形成されるベース絶縁層42の厚みは、例えば、1〜20μm、好ましくは、8〜15μmである。
【0047】
これにより、ベース絶縁パターン12および台座ベース部33を同時に形成することができる。
次いで、図3(c)に示すように、導体パターン13、台座導体部34(図1参照)および位置決め導体部36を有する導体層43を形成する。
導体層43を形成する導体材料としては、例えば、銅、ニッケル、金、錫、はんだ、またはこれらの合金などの導体材料が用いられ、好ましくは、銅が用いられる。
【0048】
導体層43を形成するには、例えば、アディティブ法、サブトラクティブ法などの公知のパターンニング法が用いられ、好ましくは、アディティブ法が用いられる。
アディティブ法では、具体的には、まず、ベース絶縁層42を含む金属支持層41の表面に、導体種膜を、スパッタリング法などにより形成する。次いで、その導体種膜の表面に、めっきレジストを、導体パターン13、台座導体部34および位置決め導体部36の反転パターンで形成する。その後、めっきレジストから露出する、ベース絶縁層42の導体種膜の表面に、電解めっきにより、導体層43を形成する。その後、めっきレジストおよびそのめっきレジストが積層されていた部分の導体種膜を除去する。
【0049】
このようにして形成される導体層43の厚みは、例えば、3〜50μm、好ましくは、5〜25μmである。
これにより、導体パターン13、台座導体部34および位置決め導体部36(位置決め部35)を同時に形成することができる。
これにより、導体層43から形成される位置決め部35を形成することができる。
【0050】
次いで、図3(d)に示すように、ベース絶縁パターン12の上にカバー絶縁パターン14を上記したパターンで形成する。カバー絶縁パターン14は、カバー絶縁層44からなり、これを形成する絶縁材料は、ベース絶縁層42の絶縁材料と同様のものが挙げられる。
カバー絶縁層44を形成するには、導体層43(位置決め導体部36を除く)を含むベース絶縁層42の表面に、例えば、感光性の合成樹脂を塗布し、乾燥後、上記したパターンで露光および現像し、必要により硬化させる。
【0051】
また、カバー絶縁層44の形成は、導体層43(位置決め導体部36を除く)を含むベース絶縁層42の表面に、上記した合成樹脂の溶液を均一に塗布した後、乾燥し、次いで、必要に応じて、加熱することによって硬化させ、その後、エッチングなどにより上記したパターンに形成することもできる。
さらに、カバー絶縁層44の形成は、例えば、合成樹脂を上記したパターンのフィルムに予め形成して、そのフィルムを、導体層43(位置決め導体部36を除く)を含むベース絶縁層42の表面に、公知の接着剤層を介して貼着することもできる。
【0052】
このようにして形成されるカバー絶縁層44の厚みは、例えば、2〜25μm、好ましくは、3〜10μmである。
その後、図8および図9が参照されるように、必要により、ヘッド側接続端子部16Bおよび外部側接続端子部16Aと、台座導体部34と、位置決め導体部36との表面に、金属めっき層38を形成する。金属めっき層38は、例えば、金やニッケルから、電解めっき、または、無電解めっきにより、形成する。金属めっき層38の厚みは、例えば、0.5〜5μm、好ましくは、0.5〜3μmである。
【0053】
次いで、この方法では、図1に示すように、スリット4および出射開口部6を形成するとともに、金属支持層41を外形加工することにより、金属支持基板11を形成する。
スリット4および出射開口部6の形成および金属支持層41の外形加工としては、例えば、放電、レーザ、機械打ち抜き、エッチングなどが用いられる。好ましくは、エッチング(ウエットエッチング)が用いられる。また、ウエットエッチングでは、例えば、塩化第二鉄水溶液などの酸性水溶液がエッチング液として用いられる。
【0054】
これにより、金属支持基板11、ベース絶縁パターン12、導体パターン13およびカバー絶縁パターン14を備え、位置決め部35が設けられる回路基板10を用意することができる。なお、これによって、配線部2およびジンバル3を同時に形成する。
また、この方法では、図3(e)の仮想線で示すように、光導波路20を用意する。
光導波路20を用意するには、図示しないポリエチレンテレフタレート(PET)シートなどの離型シートの上に、アンダークラッド層21、コア層22およびオーバークラッド層23を順次積層する。その後、光導波路20を離型シートから引き剥がす。
【0055】
アンダークラッド層21、コア層22およびオーバークラッド層23を順次積層するには、まず、アンダークラッド層21を、離型シートの上に形成する。
アンダークラッド層21を形成する材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂(脂環式エポキシ樹脂など)、アクリル樹脂、または、フルオレン誘導体樹脂、さらには、フルオレン誘導体樹脂と脂環式エポキシ樹脂との混合樹脂、これら樹脂と脂環式エーテル化合物(例えば、オキセタン化合物など)との混合樹脂が用いられる。これら樹脂は、好ましくは、感光剤を配合して、感光性樹脂として用いられる。好ましくは、感光性フルオレン誘導体樹脂(原料としては、感光性フルオレン系エポキシ樹脂)と脂環式エポキシ樹脂との混合樹脂が用いられる。また、感光剤としては、例えば、公知のオニウム塩などが用いられ、より具体的には、4,4-ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネートなどが用いられる。
【0056】
アンダークラッド層21を形成するには、例えば、上記した樹脂のワニス(樹脂溶液)を、公知の希釈剤を用いて調製して、そのワニスを離型シートの表面に塗布後、乾燥し、必要により硬化させる。また、感光性樹脂が用いられる場合には、ワニスの塗布および乾燥後に、フォトマスクを介して露光して、公知の有機溶剤などにより未露光部分を溶解させることにより、現像して、その後、必要により硬化させる。
【0057】
このようにして形成されるアンダークラッド層21の屈折率は、例えば、1.45〜1.55である。また、アンダークラッド層21の厚みは、例えば、1〜50μm、好ましくは、5〜10μmであり、幅は、例えば、5〜200μm、好ましくは、10〜100μmである。
次いで、コア層22を、アンダークラッド層21の上に形成する。
【0058】
コア層22を形成する材料としては、アンダークラッド層21の樹脂材料よりも、屈折率が高くなる樹脂材料が用いられる。このような樹脂材料としては、例えば、上記と同様の樹脂が用いられ、好ましくは、感光性フルオレン誘導体樹脂(原料としては、感光性フルオレン系エポキシ樹脂)とオキセタン化合物との混合樹脂が用いられる。
コア層22を形成するには、例えば、上記した樹脂のワニス(樹脂溶液)を、公知の希釈剤を用いて調製して、そのワニスを、アンダークラッド層21を含む離型シートの表面に塗布後、乾燥し、必要により硬化させる。また、感光性樹脂が用いられる場合には、ワニスの塗布および乾燥後に、フォトマスクを介して露光して、公知の有機溶剤などにより未露光部分を溶解させることにより、現像して、その後、必要により硬化させる。
【0059】
このようにして形成されるコア層22の屈折率は、アンダークラッド層21の屈折率より高く設定されており、例えば、1.55〜1.65である。また、コア層22の厚みは、例えば、1〜30μm、好ましくは、2〜10μmであり、幅は、例えば、1〜30μm、好ましくは、2〜20μmである。
次いで、オーバークラッド層23を、アンダークラッド層21の上に、コア層22を被覆するように形成する。
【0060】
オーバークラッド層23を形成する材料としては、上記したアンダークラッド層21と同様の樹脂材料が用いられる。
オーバークラッド層23を形成するには、例えば、上記した樹脂のワニス(樹脂溶液)を、公知の希釈剤を用いて調製して、そのワニスを、コア層22およびアンダークラッド層21を含む離型シートの表面に、塗布後、乾燥し、必要により硬化させる。また、感光性樹脂が用いられる場合には、ワニスの塗布および乾燥後に、フォトマスクを介して露光して、公知の有機溶剤などにより未露光部分を溶解させることにより、現像して、その後、必要により硬化させる。
【0061】
このようにして形成されるオーバークラッド層23の屈折率は、コア層22の屈折率より低く設定されており、例えば、アンダークラッド層21の屈折率と同様に設定されている。また、オーバークラッド層23のコア層22の表面からの厚みは、例えば、1〜50μm、好ましくは、5〜10μmであり、幅は、例えば、5〜200μm、好ましくは、10〜100μmである。
【0062】
このようにして、離型シートの上に、アンダークラッド層21、コア層22およびオーバークラッド層23を順次積層することにより、これらを備える光導波路20を用意することができる。
なお、光導波路20の厚みは、例えば、3〜50μm、好ましくは、12〜18μmである。
【0063】
そして、光導波路20を設置するには、位置決め部35によって光導波路20を回路基板10に対して位置決めする。
具体的には、図3(e)の矢印に示すように、光導波路20のアンダークラッド層21の幅方向両外側面が位置決め部35(位置決め導体部36)の幅方向内側面と接触するように、光導波路20を、位置決め部35における各2つの突部間に挿入する。
【0064】
なお、光導波路20を設置するときには、必要により、接着剤層を介して、回路基板10の上面に配置する。
次いで、配線部2の後側部において、図1に示すように、光導波路20の後端と光学的に接続されるように、発光素子18を、回路基板10の上に設置する。発光素子18を設置するときには、必要により、接着剤層を介して、回路基板10の上面に配置する。
【0065】
これにより、回路付サスペンション基板1を得る。
次に、このようにして得られた回路付サスペンション基板1に、磁気ヘッドを実装したスライダを搭載して、ハードディスクドライブに搭載されるまでの概略を説明する。
まず、磁気ヘッドが実装されたスライダを搭載部8に搭載する。なお、スライダの実装によって、磁気ヘッドの端子部(図示せず)が、ヘッド側接続端子部16Bと電気的に接続される。
【0066】
スライダの搭載では、ヘッド側接続端子部16Bと磁気ヘッドの端子部とが電気的に接続される。また、ヘッド側接続端子部16Bの接続とともに、外部側接続端子部16A(図1参照)とリード・ライト基板の端子部(図示せず)とを電気的に接続する。
次に、この回路付サスペンション基板1をハードディスクドライブに搭載する。ハードディスクドライブへの搭載では、磁気ヘッドが、磁気ヘッドに対して相対回転するハードディスク(図示せず)と微小間隔を隔てて対向配置される。これにより、磁気ヘッドがハードディスク(図示せず)に対して所定の角度で維持される。
【0067】
これにより、磁気ヘッド、スライダ、回路付サスペンション基板1および外部回路基板が搭載されるハードディスクドライブによって、光アシスト法を採用する。
そして、この回路付サスペンション基板1では、光導波路20は、位置決め部35によって回路基板10に対して位置決めされている。そのため、光導波路20と回路基板10との精度のよい相対配置を確保することができる。
【0068】
回路付サスペンション基板1の製造方法では、回路基板10を用意するとともに、位置決め部35を回路基板10に設け、また、別途、光導波路20を用意する。そして、光導波路20を、回路基板10の位置決め部35によって位置決めしながら設置できるので、光導波路20を回路基板10に対して、精度よく設置することができる。
また、回路付サスペンション基板1の製造方法は、導体パターン13を形成する工程を、位置決め部35を設ける工程と同時に実施する。
【0069】
そのため、位置決め部35を設ける工程を別途必要とせず、製造工程数の低減を図りつつ、位置決め部35を、導体パターン13を形成する精度、つまり、アディティブ法などのパターンニング法に基づく高い精度と、同じ精度で形成することができる。その結果、光導波路20を高い精度で設置することができる。
また、光導波路20の幅方向両外側面が、それを挟んで対向配置される位置決め部35の2つの突部の幅方向内側面と接触されるため、光導波路20の幅方向における位置決めを高い精度で実施することができる。
【0070】
なお、上記した説明では、位置決め部35を、4つの位置決め部(第1位置決め部26、第2位置決め部27、第3位置決め部28および第4位置決め部29)として形成したが、この数は特に限定されず、例えば、少なくとも2つ(具体的には、第1位置決め部26および第4位置決め部29の2つ)以上で形成すればよく、具体的には、3つ、あるいは、5つ以上形成する。
【0071】
好ましくは、回路基板10の先後方向にわたって、複数(2つ以上)形成する。これによれば、位置決め部35により、光導波路20が先後方向にわたって確実に位置決めされる。そのため、光導波路20を、先後方向にわたって確実に直線上に設置することができる。
また、4つの位置決め部(第1位置決め部26、第2位置決め部27、第3位置決め部28および第4位置決め部29)を、それぞれ、2つの突部(2つの第1突部26aおよび26b、2つの第2突部27aおよび27b、2つの第3突部28aおよび28b、2つの第4突部29aおよび29b)から形成したが、例えば、図示しないが、それぞれ、1つの突部のみから形成し、これらによって、幅方向において光導波路を挟むこともできる。
【0072】
この場合には、第1位置決め部26、第2位置決め部27、第3位置決め部28および第4位置決め部29は、先後方向に沿って、光導波路20の幅方向両側を交互(千鳥状に)に挟むように(ジグザグ状に)形成される。詳しくは、第1位置決め部26および第3位置決め部28は、一方の第1突部26aおよび一方の第3突部28aからそれぞれ形成され、第2位置決め部27および第4位置決め部29は、他方の第2突部27aおよび他方の第4突部29aからそれぞれ形成される。あるいは、各位置決め部における突部を上記の逆(幅方向で逆)で形成することもできる。
【0073】
好ましくは、図1に示すように、位置決め部35を、幅方向に対向する2つの突部(各一方の突部および各他方の突部)をそれぞれ有する、複数の位置決め部(第1位置決め部26、第2位置決め部27、第3位置決め部28および第4位置決め部29)から形成する。
これにより、光導波路20の幅方向における位置決めを高い精度で確実に確保することができる。
【0074】
また、上記した説明では、位置決め部35の形状を平面視略円形状に形成したが、その形状は特に限定されず、例えば、平面視矩形状(正方形状や先後方向に長い長方形状など)などの平面視略多角形状など適宜の形状に形成することもできる。なお、位置決め部35を平面視矩形状に形成する場合には、その最大長さを、例えば、20〜10000μm、好ましくは、40〜1000μmに設定する。
【0075】
図4は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態の断面図、図5は、回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図で、図4に対応する断面図を示す。なお、以降の各図において、上記と同様の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
上記した説明では、位置決め部35を、導体層43から形成したが、例えば、図4に示すように、ベース絶縁層42から形成することもできる。
【0076】
位置決め部35は、ベース絶縁層42から形成される位置決めベース部37から形成されている。具体的には、位置決めベース部37は、金属支持基板11の上面に直接形成されており、上記した図2に示す位置決め導体部36と同一形状および同一配置で設けられている。
そして、位置決めベース部37は、回路基板10を用意する工程において、ベース絶縁パターン12を形成する工程と同時に実施することにより、形成される。
【0077】
つまり、回路基板10の形成では、図5(a)に示すように、まず、金属支持層41を用意し、次いで、図5(b)に示すように、ベース絶縁パターン12、位置決めベース部37および台座ベース部33(図1参照)を有するベース絶縁層42を形成する。これにより、ベース絶縁パターン12、位置決めベース部37および台座ベース部33を同時に形成する。
【0078】
続いて、図5(c)に示すように、導体パターン13および台座導体部34(図1参照)を有する導体層43を形成し、その後、図5(d)に示すように、ベース絶縁パターン12の上にカバー絶縁パターン14を形成する。
そして、つまり、回路付サスペンション基板1の製造方法は、ベース絶縁パターン12を形成する工程を、位置決め部35の位置決めベース部37を設ける工程と同時に実施する。
【0079】
そのため、位置決め部35を設ける工程を別途必要とせず、製造工程の低減を図りつつ、位置決め部35を、ベース絶縁パターン12を形成する精度(例えば、感光性ポリイミドを用いたフォト加工に基づく精度など)と、同じ精度で形成することができる。その結果、光導波路20を高い精度で設置することができる。
図6〜図9は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態の断面図を示す。
【0080】
上記した図2の説明では、位置決め部35の位置決め導体部36を、金属支持基板11の上に直接形成したが、例えば、図6に示すように、位置決め導体部36を、下地ベース部39を介して、金属支持基板11の上に形成することもできる。
下地ベース部39は、位置決め導体部36と金属支持基板11との間に介在されている。すなわち、下地ベース部39は、金属支持基板11の上面において、光導波路20が設置される部分に対応し、かつ、位置決め導体部36が形成される部分に対応するパターンで形成される。つまり、下地ベース部39は、先後方向に延び、平面視において位置決め導体部36を含むように形成されている。また、下地ベース部39は、ベース絶縁層42から形成されている。
【0081】
なお、下地ベース部39の幅は、例えば、100〜2000μm、好ましくは、150〜1000μmである。
そして、このような回路付サスペンション基板1を形成するには、まず、金属支持層41を用意し(図3(a)参照)、次いで、ベース絶縁パターン12、台座ベース部33および下地ベース部39を有するベース絶縁層42を形成し(図3(b)および図6参照)、次いで、導体パターン13、台座導体部34および位置決め導体部36を有する導体層43を形成し(図3(c)参照)、次いで、カバー絶縁パターン14からなるカバー絶縁層44を形成する。
【0082】
このようにして得られる回路付サスペンション基板1では、位置決め導体部36と金属支持基板11との間に、下地ベース部39が介在されているので、位置決め部35を、金属支持基板11との密着性の向上を図りながら、高い精度で形成することができる。
また、上記した図6の説明では、下地ベース部39を幅方向にわたって連続して形成したが、例えば、図7に示すように、下地ベース部39に、ベース開口部40を形成することもできる。
【0083】
図7において、ベース開口部40は、下地ベース部39の幅方向途中(略中央)において、下地ベース部39を厚み方向に貫通するように形成されており、厚み方向において、光導波路20の幅方向途中(幅方向両端部を除く部分。)と対向配置されている。
ベース開口部40が形成されることにより、下地ベース部39は、第1下地ベース部46および第2下地ベース部47からなる。
【0084】
第1下地ベース部46は、幅方向一方側に配置され、各一方の突部(一方の突部26a、一方の突部27a、一方の突部28aおよび一方の突部29a)に対応して形成されている。また、第1下地ベース部46の上面の幅方向両端部および幅方向両側面は、各一方の突部から露出している。また、第1下地ベース部46の上面の幅方向他端部には、光導波路20が積層される。
【0085】
第2下地ベース部47は、第1下地ベース部46と間隔を隔てて幅方向他方側に配置され、各他方の突部(他方の突部26b、他方の突部27b、他方の突部28bおよび他方の突部29b)に対応して形成されている。また、第2下地ベース部47の上面の幅方向両端部および幅方向両側面は、各他方の突部から露出している。また、第2下地ベース部47の上面の幅方向一端部には、光導波路20が積層される。
【0086】
ベース開口部40の幅は、光導波路20の幅よりやや小さく、例えば、180μm以下、好ましくは、160μm以下、通常、3μm以上である。
そして、回路基板10に設置される光導波路20と、金属支持基板11との間に、厚み方向において、隙間(ベース開口部40)が形成される。
また、上記した図7に示す説明では、第1下地ベース部46および第2下地ベース部47の幅方向内側面を位置決め部35からそれぞれ露出させたが、例えば、図8に示すように、第1下地ベース部46および第2下地ベース部47の幅方向内側面を位置決め部35によりそれぞれ被覆することもできる。
【0087】
図8において、第1下地ベース部46の上面の幅方向途中および幅方向他端部と、第1下地ベース部46の幅方向他側面とは、各一方の突部(一方の突部26a、一方の突部27a、一方の突部28aおよび一方の突部29a)により被覆されている。
第2下地ベース部47の上面の幅方向途中および幅方向一端部と、第2下地ベース部47の幅方向一側面とは、各他方の突部(他方の突部26b、他方の突部27b、他方の突部28bおよび他方の突部29b)により被覆されている。
【0088】
そして、この回路基板10に設置される光導波路20は、金属支持基板11の上面に、直接積層される。
また、位置決め導体部36の表面(幅方向内側面)に形成される金属めっき層38が、光導波路20の幅方向両外側面と接触する。
また、上記した説明では、第1下地ベース部46および第2下地ベース部47を、それぞれ、幅方向に連続して形成したが、例えば、図9に示すように、第1下地ベース部46および第2下地ベース部47に、第1ベース開口部48および第2ベース開口部49を、それぞれ形成することもできる。
【0089】
図9において、第1ベース開口部48は、第1下地ベース部46の幅方向途中(略中央)において、第1下地ベース部46を厚み方向に貫通するように形成されている。また、第1ベース開口部48内には、各一方の突部(一方の突部26a、一方の突部27a、一方の突部28aおよび一方の突部29a)の下部が充填され、金属支持基板11の上面と接触している。
【0090】
第2ベース開口部49は、第2下地ベース部47の幅方向途中において、第2下地ベース部47を厚み方向に貫通するように形成されている。また、第2ベース開口部49内には、各他方の突部(他方の突部26b、他方の突部27b、他方の突部28bおよび他方の突部29b)の下部が充填され、金属支持基板11の上面と接触している。
そして、位置決め部35は、第1下地ベース部46および第2下地ベース部47からなる位置決めベース部37から形成されており、第1下地ベース部46における第1ベース開口部48の幅方向他側の幅方向他端面、および、第2下地ベース部47における第2ベース開口部49の幅方向一側の幅方向一端面が、光導波路20の幅方向両外側面と接触している。
【0091】
なお、位置決め導体部36は、幅方向において光導波路20と間隔を隔てて配置されている。
このように位置決め部35を形成すれば、各突部の下部が、第1ベース開口部48および第2ベース開口部49に充填され、金属支持基板11の上面と接触するので、各位置決め部35を金属支持基板11に対して強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の回路付サスペンション基板の一実施形態の平面図を示す。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図を示す。
【図3】回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、図2に対応する断面図を示す。
【図4】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(位置決め部がベース絶縁層から形成される態様)の断面図を示す。
【図5】回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図で、図4に対応する断面図を示す。
【図6】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(下地ベース部が、位置決め導体部と金属支持基板との間に介在される態様)の断面図を示す。
【図7】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(下地ベース部にベース開口部が形成される態様)の断面図を示す。
【図8】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(第1下地ベース部の幅方向他側面が一方の突部に被覆され、第2下地ベース部の幅方向一側面が他方の突部に被覆される態様)の断面図を示す。
【図9】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(第1下地ベース部および第2下地ベース部に、第1ベース開口部および第2ベース開口部がそれぞれ形成される態様)の断面図を示す。
【符号の説明】
【0093】
1 回路付サスペンション基板
10 回路基板
11 金属支持基板
12 ベース絶縁パターン
13 導体パターン
20 光導波路
35 位置決め部
42 ベース絶縁層
43 導体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属支持基板、前記金属支持基板の上に形成される絶縁パターンおよび前記絶縁パターンの上に形成される導体パターンを備える回路基板と、
前記回路基板に設置される光導波路と、
前記回路基板に設けられ、前記光導波路を前記回路基板に対して位置決めするための位置決め部と
を備えることを特徴とする、回路付サスペンション基板。
【請求項2】
前記導体パターンと前記位置決め部とは、導体層から形成されることを特徴とする、請求項1に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項3】
前記絶縁パターンと前記位置決め部とは、絶縁層から形成されることを特徴とする、請求項1に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記光導波路を挟んで対向配置され、前記光導波路の前記対向方向両側と接触していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の回路付サスペンション基板。
【請求項5】
前記位置決め部は、前記光導波路が延びる方向にわたって間隔を隔てて複数配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の回路付サスペンション基板。
【請求項6】
金属支持基板、前記金属支持基板の上に形成される絶縁パターンおよび前記絶縁パターンの上に形成される導体パターンを備える回路基板を用意する工程、
光導波路を用意する工程、
前記光導波路を前記回路基板に対して位置決めするための位置決め部を、前記回路基板に設ける工程、および、
前記光導波路を、前記位置決め部に位置決めしながら前記回路基板に設置する工程
を備えることを特徴とする、回路付サスペンション基板の製造方法。
【請求項7】
前記回路基板を用意する工程において、前記絶縁パターンの上に前記導体パターンを形成する工程を、前記位置決め部を設ける工程と同時に実施することを特徴とする、請求項6に記載の回路付サスペンション基板の製造方法。
【請求項8】
前記回路基板を用意する工程において、前記金属支持基板の上に前記絶縁パターンを形成する工程を、前記位置決め部を設ける工程と同時に実施することを特徴とする、請求項6に記載の回路付サスペンション基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−15618(P2010−15618A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172617(P2008−172617)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】