説明

回路基板、および座席部駆動装置

【課題】 1種類のみで多種のグレードに合わせた制御を可能にした回路基板および座席部駆動装置を提供する。
【解決手段】 車両の座席部1を駆動するモータに電線11を介して接続されたコネクタ8と、モータの動作を切替える制御信号を出力するスイッチ部9と、スイッチ部9とコネクタ8との間に接続された共通伝送路10a,10bと、共通伝送路10a,10bから2方向に分岐する第1の分岐伝送路14および第2の分岐伝送路17と、第1の分岐伝送路14の途中に設けられ、ジャンパ線部品21の搭載により第1の分岐伝送路14を導通させるジャンパ線取付部15と、前記第2の分岐伝送路17の途中に設けられ、メモリ基板23の搭載により第2の分岐伝送路17を導通させるメモリ基板取付部23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の座席部の側面カバーに取り付けられる回路基板、および座席部駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の座席部は、乗り心地や利便性向上を目的として、前後スライド、高さ調整、温度調整、リクライニングなどを行うための様々な電装品が組み込まれるようになってきている。このため、座席部内には、各所に設置された電装品に電力や制御信号を伝送するための電線が配索され、電線に信号を伝送するコネクタ、スイッチ部およびメモリ基板等を備えた回路基板を座席部の側面カバーの取り付けている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、自動車ユーザの好みの多様化により、車種やグレードも多様化してきており、これに伴って座席部内の電装品の種類も異なり、必然的に回路基板に取り付けられる回路部品の性能も異なってくる。そのため、従来は、車種やグレードに合わせた回路基板を複数種類用意し、グレードに合った回路基板を使用していた。
【特許文献1】特開平8−335422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このように多種の回路基板を作成すると回路の設計に時間がかかってしまっていた。これを改善するために回路基板を1つにしようと全ての車種やグレードに対応した回路基板にメモリ基板を搭載すると低グレード車における高コスト化が問題となってしまう。
【0005】
また上述のように多種の回路基板を作成すると、回路基板などの部品に別部品を使うことになるため材料の共通化が図りにくく、それぞれの車種やグレード別に在庫が出来るため、在庫が増えてしまう問題があった。
さらには回路基板が別々の設計を持つので、製造ラインの共通化を図ることも困難であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであって、回路の設計時間を短縮化し、材料の共通化を図り、在庫を低減し、製造ラインの共通化を図りつつ、車種やグレードに見合った低コスト化を実現できる回路基板および、その回路基板を用いた製造効率の良い座席部駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様にかかる回路基板は、基板本体と、該基板本体上に固定された、車両の座席部を駆動するモータに電線を介して接続されたコネクタと、前記基板本体上に固定された、前記モータの動作を切替えるスイッチ部と、前記基板本体上において前記スイッチ部側とコネクタ側にそれぞれ形成された共通伝送路と、前記基板本体上において前記スイッチ部側の共通伝送路から分岐し、前記コネクタ側の共通伝送路に合流される第1の分岐伝送路および第2の分岐伝送路と、前記第1の分岐伝送路の途中に設けられ、ジャンパ線部品の搭載により前記第1の分岐伝送路を導通させるジャンパ線取付部と、前記第2の分岐伝送路の途中に設けられ、メモリ基板の搭載により前記第2の分岐伝送路を導通させるメモリ基板取付部とを備え、前記ジャンパ線部品もしくは前記メモリ基板の搭載により、前記第1の分岐伝送路もしくは前記第2の分岐伝送路のいずれかのみが導通されることを特徴とする回路基板である。
【0008】
モータ動作を切替える制御信号を出力する前記スイッチ部は、モータに通電する電流を直接切替えて出力する機能と、CPUの入力回路に通電する微弱な電流を切替えて出力する機能を有するものとする。
【0009】
本発明の第2の態様は、前記ジャンパ線部品が前記ジャンパ線取付部に搭載され、前記メモリ基板が前記メモリ基板取付部に非搭載とされていることを特徴とする回路基板である。
【0010】
本発明の第3の態様は、前記ジャンパ線部品が前記ジャンパ線取付部に非搭載とされ、前記メモリ基板が前記メモリ基板取付部に搭載されていることを特徴とする回路基板である。
【0011】
本発明の第4の態様は、一つの面に前記スイッチ部を備え、対向する面に前記コネクタを備えていることを特徴とする回路基板である。
【0012】
本発明の第5の態様は、前記コネクタが待ち受けコネクタであることを特徴とする回路基板である。
【0013】
本発明の第6の態様は、車両の空調制御を行う空調基板を統合したことを特徴とする回路基板である。
【0014】
本発明の第7の態様は、
(a)第1の態様から第6の態様のいずれかに記載の回路基板、
(b)前記回路基板が内側に取り付けられ、前記スイッチ部の操作部が外側に配置された座席部側面カバー、
を有する座席部駆動装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、1つの構成を持った基板本体にジャンパ線部品あるいはメモリ基板を搭載するだけで、異なる車種やグレードに対応させることができ、複数の構成を持った基板本体を用意する必要がないので、回路の設計時間を短縮化し、材料の共通化を図り、在庫を低減し、製造ラインの共通化を図ることの出来る、回路基板および座席部駆動装置を提供することが出来る。
【発明の実施の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態となる回路基板および座席部駆動装置について、グレードの違いを中心に、図面を参照して詳細に説明する(車種の違いでも同様に実施可能である)。
図1は、本実施形態の回路基板4が側面カバー3に取り付けられた自動車の座席部を示している。
【0017】
図1に示すように、座席部1のクッション2aの側部に設けられている側面カバー3の内側には回路基板4が取り付けられている。側面カバー3には窓孔5が形成され、この窓孔5に後述するスイッチ部9の操作部(意匠スイッチ)9aが配置されている。
なお図中の符号2bは座席部1の背もたれ部を示す。
【0018】
図2は、回路基板4の基本構成の一例を示している。
図2に示すように、回路基板4は、車両の座席部1を駆動するモータに電線11を介して接続されたコネクタ8と、前記モータの動作を切替える制御信号を出力するスイッチ部9と、前記スイッチ部9およびコネクタ8に接続された共通伝送路10a,10bと、前記共通伝送路10aから分岐点12において2方向に分岐され、合流点13において前記共通伝送路10bに合流される第1の分岐伝送路14および第2の分岐伝送路17と、前記第1の分岐伝送路14の途中に設けられ、ジャンパ線部品21の搭載により第1の分岐伝送路14を導通させるジャンパ線取付部15と、前記第2の分岐伝送路17の途中に設けられ、メモリ基板23の搭載により第2の分岐伝送路17を導通させるメモリ基板取付部18とを備えたものである。
【0019】
前記モータ動作を切替える制御信号を出力する前記スイッチ部9は、前記モータに通電する電流を直接切替えて出力する機能と、CPUの入力回路に通電する微弱な電流を切替えて出力する機能を有するものとする。
【0020】
図2に示すように、この回路基板4は、プリント配線板からなる基板本体7と、この基板本体7に設けられた、コネクタ8と、スイッチ部9と、コネクタ8とスイッチ部9間に接続された、共通伝送路10a、10b、分岐伝送路14、17を備えている。これら各伝送路は基板本体7上に形成されたプリント回路からなるものである。
【0021】
コネクタ8には、座席部1を駆動するモータ(図示せず)に接続された電線11が接続されている。スイッチ部9にはシーソースイッチ等の操作部9aが設けられている。上述のように、この操作部9aは側面カバー3に形成された窓孔5に配置され、側面カバー3の外側から操作できるようになっている。
【0022】
ジャンパ線取付部15は、第1の分岐伝送路14に接続された一対の端子またはソケットからなる接続部16,16を有し、それぞれの接続部16,16同士は絶縁されている。
メモリ基板取付部18は、第2の分岐伝送路17に接続された一対の端子またはソケットからなる接続部20,20を有し、それぞれの接続部20,20同士は絶縁されている。
【0023】
自動車がローグレードまたはミッドグレードの場合は、メモリ基板によるシートポジション制御などの制御が不要である。したがって図3に示すように、ジャンパ線取付部15にジャンパ線部品21を搭載する。このジャンパ線部品21には、ジャンパ線取付部15の接続部16に接続される端子またはピン(図示せず)を備えており、ジャンパ線部品21をジャンパ線取付部15に搭載すると、この端子またはピンが接続部16に接続され、接続部16同士がジャンパ線22で短絡され、第1の分岐伝送路14が導通可能状態となる。またメモリ基板取付部18にはメモリ基板23を搭載しないので第2の分岐伝送路17は導通可能状態とはならない。
【0024】
これにより、スイッチ部9の操作部9aを操作すると、共通伝送路10bから第1の分岐伝送路14,ジャンパ線22、共通伝送路10aを介してコネクタ8に信号が伝送され、コネクタ8からは電線11を介して必要なモータに電流が流れる。この場合はスイッチ部9からの入力がダイレクトにモータに伝達される。メモリ基板を搭載しないので車両1台当たりのコストを削減することができる。
【0025】
また、自動車がハイグレードの場合は、メモリ基板23によるシートポジション制御などの制御が行われる。したがって図4に示すように、メモリ基板取付部18に制御用のメモリ基板23を搭載する。このメモリ基板23には、メモリ基板取付部18の接続部20に接続される端子またはピン(図示せず)を備えており、メモリ基板23をメモリ基板取付部18に搭載すると、この端子またはピンが接続部20に接続され、接続部20同士が短絡され、第2の分岐伝送路17が導通可能状態となる。このときジャンパ線取付部15にはジャンパ線22を搭載しないので第1の分岐伝送路14は導通可能状態とはならない。
【0026】
これにより、スイッチ部9の操作部9aを操作すると、共通伝送路10bから第2の分岐伝送路17、メモリ基板23、共通伝送路10aを介してコネクタ8にメモリ基板23による制御信号が伝送され、コネクタ8からは電線11を介して必要なモータに制御電流が流れる。
この場合、メモリ基板23を搭載する分、車両1台分のコストは、ジャンパ線22搭載の場合に比べて高くなるものの、メモリ基板23によるインテリジェントな座席部1の駆動制御が実施できるようになる。
【0027】
このような2種類の回路基板を製造するには、まずジャンパ線22とメモリ基板23を搭載しない状態の回路基板4を製造しておき、車両側のグレードの要請、すなわちローグレード(またはミッドグレード)かハイグレードかが決まったら、適宜ジャンパ線22かメモリ基板23を実装すればよい。
【0028】
図5、図6、図7は、図2〜図4の回路基板4の具体例となる平面模式図である。なお図5はローグレード、図6はミッドグレード、図7はハイグレード時の状態の図を示している。
ハイグレードの場合が一番部品点数が多いのでまず図7を用いてハイグレードの場合から説明する。なお図2〜図4の場合と共通する構成は符号をそのまま使って適宜説明を省略する。
【0029】
まず、座席部1にはスライド用モータ24(座席部1全体を前後にスライドさせる)、リクライニング用モータ25(背もたれ部2bをリクライニングさせる)、フロントバーチカル用モータ26(クッション部2aの前側の高さを調節する)、リフター用モータ27(座席部1全体の高さを調節する)、クッション長可変モータ28(クッション部2aの前後の長さを調節する)、ランバー用モータ29(背もたれ部2bの着座者へのせり出し量を調節する)がそれぞれ設けられており、適宜駆動して座席部1の位置や姿勢を調整する。
【0030】
そこでこれらのモータを駆動制御するため、回路基板4上には、前述したように、コネクタ8、スイッチ部9、共通伝送路10a,10b、第一の分岐伝送路14、第2の分岐伝送路17、ジャンパ線取付部15やメモリ基板取付部18が適宜配置・形成されている。
上記の各モータ24〜29には図7に示す態様でそれぞれ電線11a〜11fが接続されている(電線側のコネクタはここでは図示および記載を省略し、図10を参照して後述する)。
【0031】
これらのうちクッション長可変モータ28とランバー用モータ29以外の各モータは、回路基板4上に直接搭載されたスイッチ部9によるスイッチ操作によって制御される。ここではモータ数が4つで制御方向がそれぞれ2つのため、公知の8方向に入力できる直切りスイッチが利用できる。
【0032】
クッション長可変モータ28とランバー用モータ29は、スイッチ部9とは別部品であるクッション長制御スイッチ部30とランバー制御スイッチ部31により制御される。クッション長制御スイッチ部30とランバー制御スイッチ部31もスイッチ部9と同様に回路基板4上に搭載されている。
【0033】
またハイグレードの場合なので、メモリ基板取付部18にはメモリ基板23が搭載され、ジャンパ線取付部15にはジャンパ線22は取り付けられていない。
ここでメモリ基板23は電源用電線39からの電源供給により動作する。またメモリ基板23は車両内の他の部分と多重通信をしながら動作するため、そのための信号の授受を行う多重通信用電線42とも接続される。
【0034】
スイッチ部9とクッション長制御スイッチ部30とランバー制御スイッチ部31や各リレー32は電源用電線33に接続され、そこから電源供給を受ける。
電源用電線33と、クッション長可変モータ28に接続される電線11eは第2のコネクタ34に接続される。
メモリ基板23の出力側の第2の分岐伝送路17にはそれぞれリレー32が配置され、信号入力があった場合のみ電源供給される仕組みとされている。
【0035】
またハイグレードの場合、回路基板4上には、空調基板35が搭載される。空調基板35は車室内の温度制御を行うもので、送風ファン36、温度センサ37aとそれによって制御されるペルチェ素子37bを備えたペルチェモジュール37、温度センサ38aとそれによって制御されるヒータ38bを備えたヒータモジュール38と接続されている。
【0036】
送風ファン36は座席部1のクッション2aの下に配置され、空調基板35の制御に従ってクッション2aや背もたれ部2bに風を送る。この風が温度センサ37a、38aの温度検出結果に基づいてペルチェモジュール37やヒータモジュール38によって温度調節されることで、座席部1の温度制御がなされる。なお図中にペルチェモジュール37とヒータ38bがそれぞれ2つずつ表示されているのは、クッション部2aと背もたれ部2bにそれぞれ同じペルチェモジュール37、ヒータ38bを使用していることを示している。
【0037】
空調基板35は、電源用電線40からの電源供給により動作する。
また空調の操作は図示しない空調スイッチにより行われ、その信号は空調スイッチ用電線41を介して空調基板35に入力される。
これら送風ファン36、ペルチェモジュール37、37、ヒータモジュール38はそれぞれ空調用電線47a〜47dを介して空調基板35と接続され制御されるとともに、電源供給は空調基板35と同様に電源用電線40から受ける。
なお送風ファン36とペルチェモジュール37、37は、メモリ基板23と同様にリレー46によりリレー制御される。
【0038】
回路基板4と各電線は、コネクタ8、34、44、45を介して接続されている。
すなわちコネクタ8には、スライド用モータ24、リクライニング用モータ25、フロントバーチカル用モータ26、リフター用モータ27、ランバー用モータ29とそれぞれ接続される各電線11a〜11d、11fが接続される。
【0039】
コネクタ34にはクッション長可変モータ28用の電線11e、電源用電線33、ヒータモジュールと接続された空調用電線47dが接続されている。
コネクタ44には、メモリ基板23用の電源用電線39と多重通信用電線42、空調スイッチ用電線41が接続されている。
コネクタ45には、空調用電線47a〜47cが接続されている。
【0040】
このようなハイグレードの構成の回路基板4によれば、図4を用いて説明したのと同様にメモリ基板23を用いたモータの駆動制御を行うことができるとともに、空調基板35による空調制御を実現することが出来る。
【0041】
次にミッドグレードの場合について図6を用いて説明する。
ミッドグレードの場合は、空調制御のための構成(空調基板35、送風ファン36、ペルチェモジュール37、37、ヒータモジュール38、リレー46、46)はハイグレードの場合と同じであるが、モータの駆動制御のための構成については、メモリ基板取付部18にはモータ制御用のメモリ基板23が搭載されず、ジャンパ線取付部15にはジャンパ線部品21が接続されている。
【0042】
したがって、メモリ基板23によるモータ駆動制御ができなくなるが、その分、部品コストが削減される。
なおジャンパ線部品21は、各ジャンパ線22をモールドするなどして1部品に統合したものとした場合、ジャンパ線部品21の接続を一度で完了できるので好ましいが、各ジャンパ線22ごとに形成されたジャンパ線部品21を複数用いることにしてもよい。
【0043】
さらにローグレードの場合について図5を参照して説明する。
ローグレードの場合はミッドグレードの場合に比べて空調制御のための空調基板35、送風ファン36、ペルチェモジュール37、37、ヒータモジュール38、リレー46、46がいずれも搭載されていない点で異なる。
その分、さらに回路基板4による空調制御ができなくなるが、部品コストは安くなる。
【0044】
このようにジャンパ線取付部15およびメモリ基板取付部18を備えた回路基板4を用意しておくことにより、ジャンパ線部品21あるいはメモリ基板23を搭載するだけで、ローグレード(またはミッドグレード)、ハイグレードに対応させることができ、多種の回路基板を用意する必要がない。
【0045】
また、空調基板35を回路基板4上に統合することで、座席部1の各補機に対する制御を回路基板4上にほとんど全て統合することができる。
したがって回路基板の回路の設計時間を短縮化し、材料の共通化を図り、在庫を低減し、回路基板の製造ラインの共通化を図ることが出来る。
【0046】
図8には、スイッチ部9と各モータ24〜27との回路構成を示している。
図8に示すように8方向の直切りスイッチからなるスイッチ部9は、モータの回転を行う方向を切り替えるための2つのスイッチを備えたスイッチ機構を4つ備えている。図8の状態はモータが非駆動の状態である。この状態からいずれかのスイッチを他方向に倒すとそれに対応した回路が電源側と接続され、対応するモータを駆動させる。
【0047】
モータを逆回転させるためには、そのスイッチをもとに戻し、そのスイッチと対になるスイッチを他方向に倒せばよい。
図9にはこのような回路基板4をモジュール化したものの外観構成を示す。このモジュールでは、スイッチ部9の本体はモジュール内に入っているが操作部9a、9bが外部に出た状態に配置されている。
【0048】
操作部9aを図面上、左右方向に動かすことでスライド用モータが駆動し、左側を上下に動かすことで座席部1のフロントバーチカル用モータが駆動し、右側を上下に動かすことでリフター用モータが駆動する。操作部9bを図面上左右方向に動かすことでリクライニング用モータが駆動する。
なお、回路基板4においては、これら操作部9a、9bが基板本体7の一面上に固定され、その面と反対側の面に各コネクタ8、34、44、45が固定されている。
【0049】
図10は、図5〜図7に示す各電線とそのコネクタの構成図を示す。各電線は合わせて3つの電線組立体(ワイヤーハーネス)A〜Cで構成されている。
電線組立体Aは、回路基板4側のコネクタ34に接続されるコネクタ48と、回路基板4側のコネクタ44に接続されるコネクタ49と、車両のフロアに接続されるフロアコネクタ56と、クッション長可変モータ28に接続されるコネクタ52と、ヒータモジュール38に接続されるコネクタ53とを備え、適宜電線で接続されている。
【0050】
コネクタ組立体Bは、回路基板4側のコネクタ45と接続されるコネクタ50と、ペルチェモジュール37、37と接続されるコネクタ57、58と、送風ファン36と接続されるコネクタ59とを備え、適宜電線で接続されている。
コネクタ組立体Cは、回路基板4側のコネクタ8と接続されるコネクタ51と、ランバー用モータ29と接続されるコネクタ60と、スライド用モータ24と接続されるコネクタ61と、リクライニング用モータ25と接続されるコネクタ62と、バーチカル用モータ26と接続されるコネクタ63と、リフター用モータ27と接続されるコネクタ64と、を備え、適宜電線で接続されている。
【0051】
図10に示すように、各電線組み立て体A〜Cは、いずれも直線状の単純な電線構成で形成することが可能で、組み立てが容易である。これは各モータおよび空調の制御の機能を1つの回路基板4上に統合したから実現できたと言える。
【0052】
このような各部品を用いた本実施形態の座席部駆動装置の製造方法を説明する。
図11は、本実施形態の回路基板4を用いた座席部駆動装置の製造工程の状態を示す斜視図である。
【0053】
図11に示すように、本実施形態の座席部駆動装置では、まず座席部1のクッション部2a、背もたれ部2bとを組み付け、図10に示す電線組み立て体A〜Cおよびモータなどの各補機をそれらクッション部2aと背もたれ部2bに組み付ける。このときクッション部2aの、側面カバー3の取り付け位置には図10に示すコネクタ48〜51が待ち受け状態に固定されている。
【0054】
また図11に示すように、上記とは別工程において側面カバー3の裏側に、グレードに対応してジャンパー線もしくはメモリ基板などの部品が適宜配置された回路基板4が取り付けられ、側面カバー3の表側に操作部9a、9bが取り付けられる。
【0055】
しかる後、このように回路基板4や操作部9a、9bが固定された側面カバー3をクッション2aに取り付ける。このとき同時に、回路基板4のコネクタ8、34、44、45と、クッション2a側の待ち受けのコネクタ51、48、49、50とがそれぞれ接続される。
以上で座席部駆動装置が完成する。
【0056】
このように、本実施形態の座席部駆動装置によれば、モータや空調の制御を行う回路基板4を側面カバー3に統合したことで、座席部1の製造をまずクッション2a、背もたれ部2b、側面カバー3で別々に行う、すなわちサブ化することが出来、製造効率が良い。
【0057】
また側面カバー3とクッション2aとを組み合わせる作業がそのまま回路基板4とモータ側の電線をコネクタ接続する作業になっており、さらに製造効率が良い。
またクッション2aと背もたれ部2bと側面カバー3を組み合わせるメインの製造工程においては、グレードに拠らない同じ組み立て方を実現できるため、さらに製造効率が良い。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、製造効率の良い座席部駆動装置を提供することができる。
なお本発明の回路基板及び座席部駆動装置は、上述した実施形態に限られず適宜実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態となる回路基板を取り付けた座席部の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態となる回路基板の一実施形態を示す平面模式図である。
【図3】ジャンパ線部品搭載時の図2の回路基板の平面模式図である。
【図4】メモリ基板搭載時の図2の回路基板の平面模式図である。
【図5】図2の回路基板の具体例となる平面模式図である。
【図6】図2の回路基板の具体例となる平面模式図である。
【図7】図2の回路基板の具体例となる平面模式図である。
【図8】スイッチ部と各モータとの回路構成を示す平面模式図である。
【図9】回路基板をモジュール化したものの外観構成図である。
【図10】回路基板の各電線とそのコネクタの構成図である。
【図11】本実施形態の回路基板を用いた座席部駆動装置の製造工程の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 座席部
2 クッション
3 側面カバー
4 回路基板
5 窓孔
6 スイッチ部
6a 操作部
7 基板本体
8 コネクタ
9 スイッチ部
10a コネクタ側共通伝送路
10b スイッチ部側共通伝送路
11 電線
12,13 分岐点
14 第1の分岐伝送路
15 ジャンパ線取付部
16 接続部
17 第2の分岐伝送路
18 メモリ基板取付部
20 接続部
21 ジャンパ線部品
22 ジャンパ線
23 メモリ基板
24 スライド用モータ
25 リクライニング用モータ
26 フロントバーチカル用モータ
27 リフター用モータ
28 クッション長可変モータ
29 ランバー用モータ
30 クッション長制御スイッチ部
31 ランバー制御スイッチ部
32 リレー
33 電源用電線
34 第2のコネクタ
35 空調基板
36 送風ファン
37 ペルチェモジュール
37a 温度センサ
37b ペルチェ素子
38 ヒータモジュール
38a 温度センサ
38b ヒータ
39 電源用電線
40 電源用電線
41 空調スイッチ用電線
42 多重通信用電線
44 第3のコネクタ
45 第4のコネクタ
46 リレー
47a〜47d 空調用電線
48〜64 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板本体と、
該基板本体上に固定された、車両の座席部を駆動するモータに電線を介して接続されたコネクタと、
前記基板本体上に固定された、前記モータの動作を切替える制御信号を出力するスイッチ部と、
前記基板本体上において前記スイッチ部側とコネクタ側にそれぞれ形成された共通伝送路と、
前記基板本体上において前記スイッチ部側の共通伝送路から分岐し、前記コネクタ側の共通伝送路に合流される第1の分岐伝送路および第2の分岐伝送路と、
前記第1の分岐伝送路の途中に設けられ、ジャンパ線部品の搭載により前記第1の分岐伝送路を導通させるジャンパ線取付部と、
前記第2の分岐伝送路の途中に設けられ、メモリ基板の搭載により前記第2の分岐伝送路を導通させるメモリ基板取付部と、
を備え、
前記ジャンパ線部品もしくは前記メモリ基板の搭載により、前記第1の分岐伝送路もしくは前記第2の分岐伝送路のいずれかのみが導通されることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記ジャンパ線部品が前記ジャンパ線取付部に搭載され、
前記メモリ基板が前記メモリ基板取付部に非搭載とされていることを特徴とする請求項1記載の回路基板。
【請求項3】
前記ジャンパ線部品が前記ジャンパ線取付部に非搭載とされ、
前記メモリ基板が前記メモリ基板取付部に搭載されていることを特徴とする請求項1記載の回路基板。
【請求項4】
一つの面に前記スイッチ部を備え、対向する面に前記コネクタを備えている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の回路基板。
【請求項5】
前記コネクタは待ち受けコネクタである
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の回路基板。
【請求項6】
車両の空調制御を行う空調基板を統合した
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の回路基板。
【請求項7】
(a)請求項1〜6のいずれかに記載の回路基板、
(b)前記回路基板が内側に取り付けられ、前記スイッチ部の操作部が外側に配置された座席部側面カバー、
を有する座席部駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−235058(P2007−235058A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58075(P2006−58075)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】