説明

回路基板の熱対策構造

【課題】回路基板のメタルコアを用いた均熱及び放熱を効率良く行わせるようにする。
【解決手段】絶縁性のブロック本体13と複数の端子14,14’とで端子ブロック3を構成し、少なくとも一つの端子14に回路基板接続用の端子部14bを複数形成し、表層のパターン回路と厚み方向中間の導電性のメタルコア82とを有する回路基板2の各スルーホール16に複数の端子部を挿入し、複数の端子部でメタルコアの熱又はパターン回路とメタルコアとの熱を端子側に吸熱させる。絶縁性のブロック本体18と複数の並列なバスバー19とでバスバーブロック4を構成し、複数のバスバーの長さを種々に設定し、上記回路基板2の各スルーホール16に、種々の長さのバスバーの先端の各端子部19bを挿入した。回路基板2に実装した発熱性の部品7の近傍において、バスバーの先端の端子部19bを回路基板のスルーホール16に挿入した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の熱を中間層のメタルコアや表層のパターン回路から端子やバスバーで吸熱して均熱化すると共に外部に放熱させる回路基板の熱対策構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8〜図9は、従来の回路基板組立体の一形態を示すものである(特許文献1参照)。
【0003】
図8の如く、この回路基板組立体71は、プリント回路81(図9)や厚み方向中間の平板銅製のメタルコア82(図9)を備える回路基板73と、回路基板73の表面上に実装された各種の電気・電子部品72と、回路基板73の左右両側部に端子74で接続されたコネクタブロック75と、回路基板73の前部に端子76で接続されたヒューズブロック77とを備えるものである。
【0004】
これら回路基板73や電気・電子部品72や各ブロック75,77は、各ブロック75,77の開口75a,77a側を露出させた状態で上下のカバー(図示せず)で覆われて保護され、これらカバーを含む各構成部品72〜77でジャンクションブロックが構成される。
【0005】
回路基板に接続された電気・電子部品72としては、スイッチングトランジスタ721や集積回路722が挙げられる。図9に一例を示す如く、これら電気・電子部品72やコネクタブロック75の端子74は、主に回路基板73の表面側のプリント回路81にハンダ接続され、ヒューズブロック77の端子76の幾つかは回路基板73のメタルコア82に接続される。
【0006】
図9で符号85はメタルコア82を上下から挟む絶縁樹脂層、符号83,84は各端子74,76を挿入するスルーホールである。スルーホール83,84の内周面は導電被膜で覆われ、導電被膜はプリント回路81やメタルコア82に接続されている。
【0007】
コネクタブロック75は絶縁樹脂製のコネクタハウジング(符号75で代用)と、コネクタハウジング内に一端側を挿着され、回路基板73のスルーホール83(図9)に他端側を挿入及びハンダ接続された複数本の並列な略L字状のピン状の端子74とで構成されている。
【0008】
ヒューズブロック77は、絶縁樹脂製のヒューズホルダ(ブロック本体)78と、ヒューズホルダ78内に一端側を挿着され、回路基板73のスルーホール84(図9)に他端側を挿入及びハンダ接続された複数本の並列な略L字状の板状の端子(バスバー)76と、ヒューズホルダ78内に挿着された導電金属製の櫛歯状のバスバー(図示せず)と、櫛歯状のバスバーの一側部を収容した電源入力用のコネクタ80とで構成されている。
【0009】
ヒューズホルダ78には上下二段に且つ左右方向に並列に複数のブレード型のヒューズ(図示せず)が装着され、ヒューズの上下一対の端子に対応して、上下の収容室77a内に上下一対の端子76と上下一対のバスバーとの各音叉状端子部(挟持端子)が挿着される。コネクタ80にはバッテリ電源やオルタネータ電源が入力される。
【0010】
なお、上記特許文献1には、ヒューズホルダ78に別体の端子ホルダ(図示せず)を接合して、端子ホルダ内に各段のL字状の端子76(上記バスバーに代えて端子を使用する)を収容する構成例も記載されている。
【0011】
また、特許文献2には、放熱性の良好なメタルコアを有する回路基板を用いて、ミニヒューズと中電流ヒューズを搭載することが記載され、特許文献3には、回路基板上のスイッチングデバイスに対向しての導電金属製の帯板状のバスバーを回路基板に縦置きに配設し、スイッチングデバイスで生じた熱をバスバーで吸収して電源分配部の放熱性を高めることが記載されている。メタルコアを銅板ではなくアルミ板で形成することも公知である。
【特許文献1】特開2006−333583号公報(図6,図1〜図2)
【特許文献2】特開2006−42583号公報(図1)
【特許文献3】特開2006−187123号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記図7に示す従来の回路基板組立体71にあっては、放熱(均熱)性の良いメタルコア82を用いてはいるものの、電気・電子部品72の種類によっては(例えばリレー等を用いた場合に)、回路基板73が加熱されて変形する等の不具合を生じたり、ヒューズを多段に配置した場合に、この加熱が促進され兼ねないという懸念があった。
【0013】
そこで、例えば引用文献3に記載された構成を適用しようとした場合には、バスバーの配索位置や電気・電子部品の配置が限定されると共に、バスバーの迂回配索によって構造が肥大化し兼ねないという懸念があった。
【0014】
本発明は、上記した点に鑑み、メタルコアを用いた均熱や放熱を効率良く行わせることができ、また、発熱性の部品からの熱を効率良く放熱又は均熱させることができ、さらに、ヒューズ等の電気部品を複数段(多段)に配置した場合にも、回路基板の均熱や放熱を確実に行わせることのできる回路基板の熱対策構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る回路基板の熱対策構造は、絶縁性のブロック本体と複数の端子とで端子ブロックを構成し、少なくとも一つの該端子に回路基板接続用の端子部を複数形成し、厚み方向中間に導電性のメタルコアを有する回路基板の各スルーホールに該複数の端子部を挿入し、該複数の端子部で該メタルコアの熱を該端子側に吸熱することを特徴とする。
【0016】
上記構成により、回路基板の熱がメタルコアから端子の複数の端子部で吸い上げられて効率良く端子(端子部を除く端子本体)に伝えられて均熱及び放熱される。端子本体の熱は輻射やブロック本体への伝熱等で逃がされる。このように、メタルコアに対する端子の接続ポイントを増加させたことで、吸熱が効率良く確実に行われる。複数の端子部はメタルコアのスルーホールの内面に直接接触していてもよく、ハンダを介して間接的に接触していてもよい。複数の端子は一方に回路基板接続用の端子部を有し、他方にヒューズ等の電気部品接続用の端子部を有する。
【0017】
請求項2に係る回路基板の熱対策構造は、請求項1記載の回路基板の熱対策構造において、前記少なくとも一つの端子に電線接続用の端子部が設けられ、該端子部から該電線に前記熱が伝えられることを特徴とする。
【0018】
上記構成により、端子で回路基板から吸い上げられた熱が電線接続用の端子部を介して外部の電線に継続的に効率良く伝えられ、電線の熱は電線長手方向に吸収され、あるいは電線外周から外部に輻射されて、回路基板の温度上昇が確実に防止される。
【0019】
請求項3に係る回路基板の熱対策構造は、絶縁性のブロック本体と複数の並列なバスバーとでバスバーブロックを構成し、該複数のバスバーの長さを種々に設定し、表層のパターン回路と厚み方向中間の導電性のメタルコアとを有する回路基板の各スルーホールに、該種々の長さのバスバーの先端側の各端子部を挿入し、各端子部で該メタルコアの熱又は該パターン回路と該メタルコアとの熱を該バスバー側に吸熱することを特徴とする。
【0020】
上記構成により、回路基板の広い範囲に渡って各バスバーの先端の端子部が配置され、幅広のメタルコアを通じて、又は幅広のメタルコアと表層のパターン回路とを通じて回路基板の各部の熱が各バスバーで吸い上げられて効率的に均熱及び吸熱され、各バスバーから外部への輻射やブロック本体への伝熱で放熱が行われる。バスバーの端子部はメタルコアのスルーホールの内面やパターン回路のスルーホールの内面に直接接触していてもよく、ハンダを介して間接的に接触していてもよい。端子部を一つのスルーホール内でメタルコアとパターン回路との両方に接続させることも可能である。各バスバーは一方に回路基板接続用の端子部を有し、他方にヒューズ等の電気部品接続用の端子部を有する。
【0021】
請求項4に係る回路基板の熱対策構造は、絶縁性のブロック本体と複数の並列なバスバーとでバスバーブロックを構成し、表層のパターン回路と厚み方向中間の導電性のメタルコアとを有する回路基板に発熱性の部品を複数実装すると共に、該発熱性の部品の近傍において、該バスバーの先端側の端子部を該回路基板のスルーホールに挿入し、該端子部で該メタルコアの熱又は該パターン回路と該メタルコアとの熱を該バスバー側に吸熱することを特徴とする。
【0022】
上記構成により、リレー等の発熱性の部品の熱がメタルコアから、又はメタルコアとパターン回路とからバスバーの端子部で吸い上げられて均熱され、バスバーから外部への輻射やブロック本体への伝熱で放熱が行われる。バスバーの端子部はメタルコアのスルーホールの内面やパターン回路のスルーホールの内面に直接接触していてもよく、ハンダを介して間接的に接触していてもよい。端子部を一つのスルーホール内でメタルコアとパターン回路との両方に接続させることも可能である。各バスバーは一方に回路基板接続用の端子部を有し、他方にヒューズ等の電気部品接続用の端子部を有する。
【0023】
請求項5に係る回路基板の熱対策構造は、請求項3又は4記載の回路基板の熱対策構造において、前記バスバーの先端までの長さが前記ブロック本体の長さよりも長く設定され、該バスバーが該ブロック本体から外部に長く突出していることを特徴とする。
【0024】
上記構成により、バスバーがブロック本体の端部から突出して外部に大きく露出しているから、バスバーの放熱性(外部への輻射性)が高まり、バスバーの端子部からのメタルコアやパターン回路の熱の吸い上げ及び均熱化が効率良く行われる。
【0025】
請求項6に係る回路基板の熱対策構造は、請求項1又は2記載の回路基板の熱対策構造を備える請求項3〜5の何れかに記載の回路基板の熱対策構造であって、前記回路基板の表面上に前記端子ブロックを配置し、該端子ブロックの上に前記バスバーブロックを重ねて配置し、前記端子と前記バスバーとの電気部品接続用の端子部を複数層に配置したことを特徴とする。
【0026】
上記構成により、下側の端子ブロックの各端子の電気部品接続用の端子部と、上側のバスバーブロックの各バスバーの電気部品接続用の端子部とに対して、それぞれヒューズ等の電気部品が複数層(多層)に配置接続される。端子とバスバーとの両方で回路基板のメタルコアやパターン回路の熱が効率的に吸い上げられる。
【0027】
請求項7に係る回路基板の熱対策構造は、請求項1〜6の何れかに記載の回路基板の熱対策構造において、前記ブロック本体が熱伝導性の高い樹脂材で形成されたことを特徴とする。
【0028】
上記構成により、端子やバスバーの各回路基板接続用の端子部から吸い上げられたメタルコアやパターン回路の熱が、端子ブロックやバスバーブロックにおける熱伝導性の高い各ブロック本体で確実に吸熱されて外部に効率的に輻射されて、端子やバスバーによる回路基板の吸熱及び均熱化が継続的に行われる。
【発明の効果】
【0029】
請求項1記載の発明によれば、メタルコアに対する端子の接続ポイントを増加させたことで、回路基板の熱を端子が効率的に吸い上げることができ、これにより、回路基板の加熱(不要な温度上昇)を簡単な構造で確実に防ぐことができる。
【0030】
請求項2記載の発明によれば、回路基板から吸い上げた熱を端子部から電線に伝えることで、端子による吸熱が継続的に行われ、回路基板の加熱が一層確実に防止される。
【0031】
請求項3記載の発明によれば、メタルコア又はパターン回路とメタルコアとが広い範囲で複数のバスバーの端子部で吸熱されるから、回路基板の均熱及び放熱が効率的に行われて、回路基板の加熱が確実に防止される。
【0032】
請求項4記載の発明によれば、回路基板上のリレー等の発熱性の部品の熱がメタルコア又はパターン回路とメタルコアとから直にバスバーの端子部で吸い上げられるから、リレーの加熱やそれによる回路基板の加熱が確実に防止される。
【0033】
請求項5記載の発明によれば、メタルコアやパターン回路から吸い上げた熱がバスバー自体で効率良く放熱されるから、回路基板の加熱が一層確実に防止される。
【0034】
請求項6記載の発明によれば、ヒューズ等の電気部品を複数段(多段)に配置した場合でも、端子とバスバーとの両方で回路基板の均熱及び放熱を効率良く確実に行わせることができる。
【0035】
請求項7記載の発明によれば、メタルコアやパターン回路の熱が端子やバスバーからブロック本体に確実に伝えられ、ブロック本体から外部に効率良く輻射されることで、端子やバスバーによる回路基板の吸熱が継続的に行われ、回路基板の加熱が一層確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1〜図2は、本発明に係る回路基板の熱対策構造の第一の実施形態を示すものである。
【0037】
この構造は、基板厚み方向中間部に導電性の平板状のメタルコア(図9の符号82参照)を有する回路基板2に、端子ブロック3を配設し、端子ブロック3の平板状の端子(バスバー)14には複数のピン状の端子部14bを並列に形成しておき、複数の端子部14bを回路基板2の各スルーホール16に挿入して、メタルコアのスルーホール16の内面の導電層に接触させた状態でハンダ接続した(あるいはメタルコアのスルーホール16の内面の導電層にハンダを介して接触させた)ものである。
【0038】
メタルコアの基本構成は従来例の図9におけるものと同様であるので、図9を引用して詳細な説明を省略する。図1ではメタルコアの表裏を覆う絶縁基板2aのみを示している。メタルコアは絶縁基板2aの長さ及び幅の範囲で配置されている。絶縁基板2aの表面及び/又は裏面には図示しないプリント回路(表層側のパターン回路)が所要パターンで形成されている。
【0039】
端子ブロック3は、絶縁樹脂製のブロック本体13と、ブロック本体13に保持された複数の電源端子14,14’とで構成されている。これら複数の端子14,14’は、拡大図で示す縦断面L字状の幅広な平板状の端子(バスバー)14と、縦断面L字状の細幅な端子14’とで構成されている。細幅な端子14’は一本ないし二本程度のピン状端子部14bを有している。各端子14,14’は、回路基板2に平行な水平部14cと、回路基板2に直交する垂直部14dとで構成され、水平部14cは先端(前端)側にヒューズ接続用の音叉状の挟持端子部14aを一体に有し、垂直部14dは先端(下端)側に回路基板接続用のピン状端子部14bを一体に有している。
【0040】
本発明は、幅広な端子14の垂直板部14dに複数(本例で四本)のピン状の端子部14bを相互に近接して並列に形成し、その複数の端子部14bを回路基板2のメタルコアのスルーホールに同時に挿入接続することで、回路基板2との接続ポイントを増やして、回路基板2の熱を複数の端子部14bで端子14側に効率的に吸い上げるようにしている。二本程度のピン状端子部14bを有する幅狭な端子14’を併せて用いることで、均熱及び放熱効果が促進されている。
【0041】
幅広の端子14の水平板部14cの側方にはタブ状端子部15が一体に突出形成されており、タブ状端子部15に、太径の外部電線(図示せず)の先端側に圧着接続された雌端子がコネクタ接続されることで、端子14で吸い上げた熱が電線を通して外部に効率的に逃がされる(放熱される)ようになっている。電線は例えば車両のバッテリ側やオルタネータ側に接続されている。
【0042】
幅広の端子14の各ピン状端子部14bは短く形成され、本例で四本のピン状端子部14bの中央において垂直板部14dに縦長のスリット14eが形成され、計四本のピン状端子部14bが左右二対に分割されている。スリット14eはハンダ溶融時の垂直板部14dの熱歪みを吸収して、各ピン状端子部14bと回路基板2とのハンダ接続部の応力を低減させる。
【0043】
幅広の端子14の水平板部14cには複数の挟持端子部14aが等ピッチで並列に形成されている。挟持端子部14aは左右一対の弾性接触片とその間のスリットで成り、小型のブレード型ヒューズ(図示せず)の上下一対のタブ端子の一方を挟んで接続する。側方に突出したタブ端子部15は比較的大きな電流に対応して幅広に形成されている。挟持端子部14aと並列に形成された幅狭なタブ端子部14fは、箱状のヒュージブルリンク(図示せず)を接続するためのものである。
【0044】
図2の如く、端子ブロック3には上下に複数段(本例で四段)に端子14,14’が保持されている。幅広の端子4の水平部14cは最上段に配置される。ヒューズは上下二段に縦置きに配置される。ブロック本体13は主体部13aと上側のカバー部13bとで成り、主体部13aの内側に各端子14,14’の垂直部14dが上方から下向きに挿入され、カバー部13bが端子14,14’の先端側から主体部13aに組み付けられることで、端子14,14’が固定される。
【0045】
幅広の端子14の垂直板部14dはブロック本体13の主体部13aの後壁の幅広な凹部47内に挿入され、凹部47の下端から各ピン状端子部14bが下向きに突出し、主体部13aの両側壁48の底面が回路基板2の上面に当接しつつ、各ピン状端子部14bが回路基板2の各スルーホール16に挿入されて、各スルーホール内でメタルコアにハンダ接続される。ピン状端子部14bの数は四本に限るものではなく、多ければ多いほど回路基板2のメタルコアからの熱の吸い上げ(吸熱)性は高まる。
【0046】
ブロック本体13の前端側には絶縁樹脂製のヒューズホルダ(図示せず)が装着され、ブロック本体13から前方に突出した各挟持端子部14aはヒューズホルダ内に収容され、ヒューズホルダに各ヒューズが前方から水平に装着される。
【0047】
図1の如く、回路基板2の幅方向中央部分には複数のリレー7が左右並列に且つ前後方向(基板長手方向)に列状に並んで配置接続されている。リレー7は多くの熱を発生する発熱体であり、回路基板2の温度を高める要因となっている。回路基板2の要所には小さな抵抗部品49が配置接続されている。これら回路基板2と端子ブロック3とリレー7等の電気・電子部品とで回路基板組立体(サブ組立体)12が構成されている。なお、明細書において、前後上下左右の方向性はあくまでも説明の便宜上のものであり、回路基板組立体12の実装方向と必ずしも一致するものではない。
【0048】
一例として、端子ブロック3のブロック本体13を熱伝導性の高い樹脂材で形成すれば、端子14,14’で吸い上げた熱をブロック本体13からも外部に効率良く放熱することができる。熱伝導性の高い樹脂材としては、一例として熱伝導性の高い金属等の充填剤を樹脂剤に配合して形成したものが挙げられる。ブロック本体13の両側壁48の底面が回路基板2の表面に接触しているから、回路基板2の前部側の熱はブロック本体13からも放熱される。
【0049】
図3〜図5は、本発明に係る回路基板の熱対策構造の第二の実施形態を示すものである。
【0050】
この構造は、表層のパターン回路(プリント回路)と基板厚み方向中間部の導電性の平板状のメタルコア(図9の符号82参照)とを有する回路基板2に、バスバーブロック4を配設し、バスバーブロック4の帯板状の複数本の並列な電源バスバー19には、回路基板2と平行な各水平部19eの先端側に短い垂直部19fを屈曲形成しておき、各垂直部19fの先端(下端)側のピン状の端子部19bを回路基板2の各スルーホール16に挿入して、メタルコアのスルーホール16の内面又はパターン回路とメタルコアとのスルーホール16の内面に接触させた状態でハンダ接続した(あるいはメタルコアのスルーホール16の内面又はパターン回路とメタルコアとのスルーホール16の内面にハンダを介して接触させた)ものである。表層とは表裏を含むものである。
【0051】
回路基板2は図1の実施形態と同様のものであり、リレー7等の部品の配置も同様である。バスバー19のピン状端子部19bを挿入するスルーホール16は、回路基板2の任意の部分に形成され、前後の隣接する各リレー7の間に形成されているものもある。
【0052】
バスバーブロック4は、絶縁樹脂製のブロック本体18と、ブロック本体18の表裏(上下)両面に並列に設けられた複数本のバスバー19,19’とで構成されている。図5に裏面側のバスバー19’を示している。各バスバー19,19’はブロック本体18にインサート成形で固定されることが好ましいが、ブロック本体18の前後方向の配索溝(図示せず)にバスバー19,19’を配置して、ブロック本体18と一体の小突起(図示せず)をバスバー19,19’の小孔に挿入して熱加締めで固定してもよい。
【0053】
各バスバー19,19’の先端(前端)側には、図1の端子14におけると同じ形状のヒューズ接続用の挟持端子部19aが形成され、各バスバー19,19’の基端(後端側の下端)には、図1の端子14におけると同じ形状の回路基板接続用のピン状端子部19bが形成されている。
【0054】
上下(表裏)のバスバー19,19’の各挟持端子部19aにヒューズ(図示せず)の上下の各タブ端子が挿入接続される。上層のバスバー19はブロック本体18から後方に長く突出(露出)し、下層のバスバー19’は、図5の如くブロック本体18の前後方向の長さの範囲で配索されている。
【0055】
図3の如く、ブロック本体18は略クランク状の段差状に形成され、上側前方の水平な壁部20と下側後方の水平な壁部21と、両壁部20,21を連結する短い中間の垂直な壁部22とで構成されている。例えば垂直な壁部22を下方に延長して回路基板2の表面に当接支持させることが可能である。
【0056】
各バスバー19,19’もブロック本体18の形状に沿って段差状に形成され、前側の水平部19cと後側の水平部19eと、両水平部19c,19eを連結する短い中間の垂直部19dと、後側の水平部19eから下向きに屈曲された後側の垂直部19fとで構成され、前側の水平部19cの前端に挟持端子部19aが一体に形成され、後側の垂直部19fの下端にピン状端子部19bが一体に形成されている。
【0057】
各挟持端子部19aはブロック本体18の上側の水平壁部20の前端から前方に突出している。ブロック本体18の下側の水平壁部21の一部(左端部)は後方に長く延長され、その延長壁部21aの表裏面に沿って上下のバスバー19,19’が絶縁されつつ長く配索されている。延長部21a以外の部分で下層のバスバー19’は短く形成され、上層のバスバー19はブロック本体18の全幅に渡って前後方向に長く形成されている。
【0058】
図4の如く、上層のバスバー19は、長さの異なる複数のバスバー群191〜196で構成され、右端の長いバスバー群191と、右端から二番目の短いバスバー群192と、三番目の最長のバスバー群193と、四番目の長いバスバー群194と、五番目の短いバスバー群195と、左端のブロック延長部21aに沿う長いバスバー群196とで構成されている。各バスバー群191〜196におけるバスバー19は、同一長さの後側の水平部19eと後側の垂直部19fを有する(垂直部19fの屈曲位置19gが同一である)二本ないし三本のバスバー19で構成されている。
【0059】
各バスバー群191〜196の長さが異なることで、回路基板2の長手方向の広い範囲において各バスバー群191〜196の一部又は全部で回路基板2のメタルコアが接続されて、回路基板2の熱がメタルコアの長さ方向及び幅方向の複数箇所でバスバー群191〜196に効率的に吸い上げられて(吸熱されて)均熱され、各バスバー19の外表面から外部に放熱される。前記各バスバー群191〜196の一部を除く残りの部分は回路基板2の表層のパターン回路に接続されている。回路基板2の熱がパターン回路の一箇所ないし複数箇所でバスバー群191〜196に効率的に吸い上げられて(吸熱されて)均熱され、各バスバー19の外表面から外部に放熱される。
【0060】
右端から三番目と四番目の各バスバー群193,194は水平部19eが回路基板2上の各リレー7の上方を通って前後の隣接する各リレー7の間(隙間50)において且つリレー7の近傍で垂直部19fが回路基板2に向けて垂下され、ピン状端子部19bが回路基板2の各スルーホール16に挿入接続されている。
【0061】
このように、発熱体であるリレー7の近傍においてバスバー19のピン状端子部19bを回路基板2のメタルコア又はパターン回路とメタルコアとに接続することで、リレー7の熱が効率良くバスバー19で吸い上げられて、リレー7や回路基板2の必要以上の加熱が防止される。
【0062】
また、バスバーブロック4のブロック本体18を前例の端子ブロック3におけると同様に熱伝導性の高い樹脂材で形成すれば、バスバー19で吸い上げた熱をブロック本体18からも外部に効率良く放熱することができる。
【0063】
また、バスバー19の材質をより導電性の高い材料で形成することも放熱性を高める上で有効である。導電性の高い材料としては、例えば銅に銀等を添加したものや、SnやMgの添加量を少なく抑えたもの等が挙げられる。
【0064】
図6は、本発明に係る回路基板の熱対策構造の第三の実施形態を示すものである。この構造は、上記図1の実施形態と図3の実施形態とを組み合わせて構成したものである。
【0065】
すなわち、図6において、回路基板2の表面上に図1の端子ブロック3が配置され、端子ブロック3の上に図3のバスバーブロック4が配置されている。端子ブロック本体13の上側のカバー13bの上にバスバーブロック本体18の上側前方の水平な壁部20の下面が当接して支持され、その状態で各ブロック3,4の端子14とバスバー19との各ピン状端子部14b,19bが回路基板2のスルーホール16に挿入されてハンダ接続されている。端子14とバスバー19との各ピン状端子部14b,19bが回路基板2の広い範囲でメタルコア又はパターン回路とメタルコアとに接触しているから、回路基板2の熱すなわちメタルコアやパターン回路の熱が均一に効率的に端子14とバスバー19で吸い上げられて均熱及び放熱される。
【0066】
端子14とバスバー19との各挟持端子部14a,19aは上下方向に多層(本例で六段)に配置され、前方から各ブロック本体13,18にヒューズホルダ(図示せず)が装着されて、ヒューズホルダの各収容室に各挟持端子部14a,19aが収容され、ヒューズ(図示せず)が前方から各収容室に装着されて三段に配置され、各ヒューズのタブ端子に各挟持端子部14a,19aが挿入接続されて、ヒューズブロック(電源ブロック)5が構成される。回路基板2と端子ブロック3とバスバーブロック4とで回路基板組立体(サブ組立体)17が構成される。
【0067】
図7は、図6の回路基板組立体17にリレー7やコネクタブロック8やコネクタ11を配設接続して成る完成状態の回路基板組立体25の一形態を示すものである。
【0068】
バスバーブロック4と端子ブロック3は上下に重なった状態でヒューズブロックとして回路基板2の前部に配置され、コネクタブロック8は回路基板2の左右両側に配置され、制御ユニット接続用のコネクタ11は後部に配置され、左右のコネクタブロック8から突出したL字状の端子26の内側にリレー7が配置されている。回路基板組立体25は上下の絶縁樹脂製のカバー(図示せず)で覆われてジャンクションブロックを構成する。
【0069】
なお、上記各実施形態においては、ヒューズ接続用の端子14やバスバー19を用いたが、電気部品としてヒューズ以外にヒュージブルリンクやリレー等を用いることも可能である。これらの場合、端子14やバスバー19に挟持端子部14a,19aではなく例えばタブ端子部等を形成する。
【0070】
また、上記図1の実施形態においては、端子14の電線接続用の端子部として板状のタブ端子部15を形成したが、タブ端子部に代えて雌型の端子部(図示せず)を形成したり、端子付きの電線(図示せず)をコネクタ接続によらずにボルトとナットでねじ締め接続させることも可能である。
【0071】
また、上記図3の実施形態においては、バスバーブロック4として段差状(クランク状)に屈曲したものを用いたが、バスバーブロック4の形状はこれに限らず、段差状に屈曲せずに真直な(平板状の)ブロック本体(18)とバスバー(19)を用いて、ブロック本体(18)を回路基板2の表面に直接配置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る回路基板の熱対策構造の第一の実施形態を示す斜視図(円内は要部拡大斜視図)である。
【図2】同じく第一の実施形態を見る角度を変えて示す要部斜視図である。
【図3】本発明に係る回路基板の熱対策構造の第二の実施形態を示す斜視図である。
【図4】同じく第二の実施形態を示す平面図である。
【図5】第二の実施形態におけるバスバーブロックを裏面側から見た斜視図である。
【図6】本発明に係る回路基板の熱対策構造の第三の実施形態を示す、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図7】完成状態の回路基板組立体の一形態を示す斜視図である。
【図8】従来の回路基板組立体の一形態を示す斜視図である。
【図9】従来の回路基板の一形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0073】
2 回路基板
3 端子ブロック
4 バスバーブロック
7 リレー(発熱性の部品)
13 ブロック本体
14,14’ 端子
14a,19a 端子部
14b 端子部
15 端子部
16 各スルーホール
18 ブロック本体
19 バスバー
19b 端子部
82 メタルコア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のブロック本体と複数の端子とで端子ブロックを構成し、少なくとも一つの該端子に回路基板接続用の端子部を複数形成し、厚み方向中間に導電性のメタルコアを有する回路基板の各スルーホールに該複数の端子部を挿入し、該複数の端子部で該メタルコアの熱を該端子側に吸熱することを特徴とする回路基板の熱対策構造。
【請求項2】
前記少なくとも一つの端子に電線接続用の端子部が設けられ、該端子部から該電線に前記熱が伝えられることを特徴とする請求項1記載の回路基板の熱対策構造。
【請求項3】
絶縁性のブロック本体と複数の並列なバスバーとでバスバーブロックを構成し、該複数のバスバーの長さを種々に設定し、表層のパターン回路と厚み方向中間の導電性のメタルコアとを有する回路基板の各スルーホールに、該種々の長さのバスバーの先端側の各端子部を挿入し、各端子部で該メタルコアの熱又は該パターン回路と該メタルコアとの熱を該バスバー側に吸熱することを特徴とする回路基板の熱対策構造。
【請求項4】
絶縁性のブロック本体と複数の並列なバスバーとでバスバーブロックを構成し、表層のパターン回路と厚み方向中間の導電性のメタルコアとを有する回路基板に発熱性の部品を複数実装すると共に、該発熱性の部品の近傍において、該バスバーの先端側の端子部を該回路基板のスルーホールに挿入し、該端子部で該メタルコアの熱又は該パターン回路と該メタルコアとの熱を該バスバー側に吸熱することを特徴とする回路基板の熱対策構造。
【請求項5】
前記バスバーの先端までの長さが前記ブロック本体の長さよりも長く設定され、該バスバーが該ブロック本体から外部に長く突出していることを特徴とする請求項3又は4記載の回路基板の熱対策構造。
【請求項6】
請求項1又は2記載の回路基板の熱対策構造を備える請求項3〜5の何れかに記載の回路基板の熱対策構造であって、前記回路基板の表面上に前記端子ブロックを配置し、該端子ブロックの上に前記バスバーブロックを重ねて配置し、前記端子と前記バスバーとの電気部品接続用の端子部を複数層に配置したことを特徴とする回路基板の熱対策構造。
【請求項7】
前記ブロック本体が熱伝導性の高い樹脂材で形成されたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の回路基板の熱対策構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−152443(P2009−152443A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329993(P2007−329993)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】