説明

回路構成体

【課題】本発明は、内部が局所的に高温になることが抑制された回路構成体を提供する。
【解決手段】第1モジュール14が載置される第1載置台18上面にはケース12の側壁25に接近するに従って下降傾斜するケース側傾斜面36が形成されており、モールド部21の第1面23には第1載置台18に取り付けられる取り付け部35が形成されており、取り付け部35の下面にはケース側傾斜面36と整合するモジュール側傾斜面40が形成されており、取り付け部35には、第1載置台18に取り付け部35が載置された状態でネジ孔38に対応する位置にネジ37が挿通される挿通部39が取り付け部35を貫通して形成されており、第1載置台18に取り付け部35が載置された状態で、挿通部39に挿通されたネジ37がネジ孔38に螺合されることにより、第1モールド部21の第2面24がケース12の側壁25に密着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケースと、このケース内に収容されて電子部品が配設されたモジュールと、を備えた回路構成体として、特許文献1に記載のものが知られている。この回路構成体は、車両に搭載されると共に、電源と、オーディオ機器等の電装品との間に配されて、電源からの電力を電装品に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−47235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成に係る回路構成体においては、モジュールは、ケースを構成する放熱板に載置されている(特許文献1の段落0052参照)。このため、モジュールとケース(放熱板)との間に隙間が形成されることが懸念される。この隙間には空気層が形成されている。この空気は比較的に熱伝導率が低いので、通電時にモジュールで発生した熱が、上記の隙間にこもってしまい、回路構成体の内部が局所的に高温になってしまうことが懸念される。すると、回路構成体の内部に収容された電子部品に不具合が生じることが懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、内部が局所的に高温になることが抑制された回路構成体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、回路構成体であって、上方に開口する開口部を有するケースと、前記ケースの前記開口部を塞ぐカバーと、前記ケース内に収容されると共にバスバーを合成樹脂でモールド成形してなるモールド部を有する板状のモジュールと、を備え、前記モールド部は第1面及び第2面を有し、前記モールド部の前記第1面に形成された第1窓部からは前記バスバーが露出しており、前記第1窓部から露出する前記バスバーには電子部品が接続されており、前記ケースの底壁には、前記モジュールが載置される載置台が形成されており、前記載置台の上面には前記ケースの一の側壁に接近するに従って下降傾斜するケース側傾斜面が形成されており、前記ケース側傾斜面にはネジが螺入されるネジ孔が上下方向に形成されており、前記モールド部の前記第1面には前記載置台に取り付けられる取り付け部が形成されており、前記取り付け部の下面には前記ケース側傾斜面と整合するモジュール側傾斜面が形成されており、前記取り付け部には、前記載置台に前記取り付け部が載置された状態で前記ネジ孔に対応する位置に前記ネジが挿通される挿通部が前記取り付け部を貫通して形成されており、前記載置台に前記取り付け部が載置された状態で、前記挿通部に挿通された前記ネジが前記ネジ孔に螺合されることにより、前記モールド部の前記第2面が前記一の側壁に密着される。
【0007】
本発明によれば、通電時にモジュールで発生する熱はモールド部からケースの側壁へと伝達され、ケースの側壁から外部へと放散される。これにより、ケースの内部が局所的に高温になることを抑制できる。
【0008】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記モジュールは、所定電圧の直流電流を異なる電圧の直流電流へ変換するDC/DCコンバータ回路を備えることが好ましい。
【0009】
DC/DCコンバータ回路には比較的に大きな電流が流れるので、上記の態様によれば、通電時にDC/DCコンバータ回路で発生する熱を効率よく外部に放散させることができる。
【0010】
前記ケース内には、前記電子部品を制御する制御部を備えた制御基板が、前記モジュールの板面に対して垂直な姿勢で収容されていることが好ましい。
【0011】
上記の態様によれば、制御基板はモジュールに対して垂直に配されている。この結果、制御回路の表面にはモジュールに覆われる領域が形成されないので、制御基板に重ねてモジュールを配する場合と比べて、制御基板の配線密度を向上できる。この結果、回路構成体を小型化できる。
【0012】
前記モールド部の前記第1窓部から露出した前記バスバーには貫通孔が形成されており、前記モールド部の前記第2面には前記バスバーの前記貫通孔に対応する位置に前記バスバーが露出する第2窓部が形成されており、前記電子部品のリードは前記第1窓部及び前記貫通孔に挿通された状態で前記バスバーに接続されており、前記リードの端部は、前記第2窓部の内部に配されていることが好ましい。
【0013】
上記の態様によれば、電子部品のリードの端部は第2窓部の内部に位置するので、モールド部の裏面からは突出しないようになっている。これにより、電子部品にリードの先端が、ケースの一の側壁と干渉することが抑制できるので、モールド部の裏面と、ケースの一の側壁とを確実に密着させることができる。
【0014】
前記ケース内には、同一形状である一対の前記モジュールが、互いに前記第一面を対向させた姿勢で収容されており、前記一対のモジュールのうち、一のモジュールには、前記電子部品のうち、他の電子部品よりも大きな大型電子部品が実装されており、前記一のモジュールには、前記大型電子部品と左右方向について線対称な位置に、前記一対のモジュールのうち、他のモジュールに実装された前記大型電子部品との干渉を抑制する退避領域が形成されていることが好ましい。
【0015】
上記の態様によれば、一対のモジュールがケース内に収容された状態で、他のモジュールに実装された大型電子部品は、一のモジュールの退避領域に位置するようになっている。このため、他のモジュールに実装された大型電子部品は、一のモジュールと干渉することが抑制される。一方、一のモジュールに実装された大型電子部品は、他のモジュールの退避領域によって、他のモジュールと干渉することが抑制される。これにより、回路構成体を低背化することができる。リレーは比較的に大きな電子部品であるので、特に効果的である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、回路構成体の内部が局所的に高温になることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る回路構成体を示す分解斜視図
【図2】回路構成体を示す正面図
【図3】回路構成体を示す平面図
【図4】回路構成体を示す側面図
【図5】図3におけるV−V線断面図
【図6】図3におけるVI−VI線断面図
【図7】回路構成体を示す底面図
【図8】第1モジュールを示す斜視図
【図9】第1モジュールを示す正面図
【図10】第1モジュールを示す底面図
【図11】第1モジュールを示す背面図
【図12】第1モジュールを示す断面図
【図13】第1モジュールを示す断面図
【図14】ケースを示す平面図
【図15】ケース内に第1モジュール及び第2モジュールを収容した状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図15を参照しつつ説明する。本実施形態に係る回路構成体10は、上方に開口する開口部11を有する合成樹脂製のケース12と、このケース12の開口部11を塞ぐ合成樹脂製のカバー13と、ケース12内に収容される第1モジュール14及び第2モジュール114と、を備える。第1モジュール14及び第2モジュール114は、図示しない車両に搭載されると共に、図示しない電源と、オーディオ機器等の電装品(図示せず)との間に配されて、電源から供給される所定電圧の直流電流を、異なる電圧の直流電流に変換するDC/DCコンバータ回路を備える。以下の説明においては、図1における上方を上方とし、下方を下方として説明する。
【0019】
(ケース12及びカバー13)
ケース12は、合成樹脂製であって、上方から見て概ね長方形状をなしている。なお、ケース12は合成樹脂製に限らず、金属製であっても良い。図7に示すように、ケース12の下側には、下方に開口するコネクタハウジング15が形成されている。このコネクタハウジング15には図示しない相手側コネクタが嵌合される。相手側コネクタは図示しないワイヤーハーネスを介して電源、電装品等と電気的に接続されている。
【0020】
図1に示すように、ケース12の側面には外方に突出するロック突部16が形成されている。ケース12の開口部11がカバー13で塞がれた状態において、カバー13の側壁には、ロック突部16と対応する位置に、ロック突部16と弾性的に係合するロック受け部17が形成されている。ロック突部16とロック受け部17とが弾性的に係合することにより、カバー13がケース12に一体に組み付けられる。
【0021】
図5に示すように、ケース12の内部には一対の第1モジュール14と第2モジュール114とが、収容されている。本実施形態においては、第1モジュール14と第2モジュール114とは同一形状である。ケース12の底壁には、第1モジュール14及び第2モジュール114がそれぞれ載置される第1載置台18及び第2載置台118が形成されている。また、図6に示すように、ケース12の底壁には、ケース12の内部とコネクタハウジング15とを連通する端子挿通孔19が形成されている。
【0022】
(第1モジュール14)
図5に示すように、第1モジュール14は、金属板材を所定形状にプレス加工してなるバスバー20を合成樹脂でモールド成形してなるモールド部21を有する。モールド部21は、扁平は板状をなしている。モールド部21は、電子部品22が実装された第1面23と、ケース12の側壁25に密着する第2面24と、を有する。
【0023】
図13に示すように、モールド部21の第1面23には、第1窓部26が形成されており、この第1窓部26からバスバー20が露出している。第1窓部26の内側面は、バスバー20から離間するに従って拡径するテーパ面とされている。第1窓部26から露出するバスバー20には、貫通孔27が形成されている。また、モールド部21の第2面24には、バスバー20の貫通孔27に対応する位置に第2窓部28が形成されている。この第2窓部28からはバスバー20が露出している。第2窓部28の内側面は、バスバー20から離間するに従って拡径するテーパ面とされている。
【0024】
モールド部21の第1面23側に配されている電子部品22のリード29は、第1窓部26から貫通孔27内に挿通されている。リード29の先端は、第2窓部28内に配されている。換言すると、リード29の先端は、モールド部21の第2面24から外方に突出していない。リード29は、バスバー20の貫通孔27内に挿通された状態で、公知のフロー半田付けにより、バスバー20と接続されている。
【0025】
上記の電子部品22としては、他の電子部品22と比べて大きなリレー30を含む。図10に示すように、リレー30は、第1モジュール14に実装された状態で、他の電子部品22よりもモジュール部の板圧方向(図10における上下方向)について突出した状態になっている。本実施形態においては、リレー30は、特許請求の範囲に記載の大型電子部品に相当する。
【0026】
モールド部21の第1面23にはジャンパ線31が配設されている。ジャンパ線31の端部は、第1窓部26からバスバー20の貫通孔27内に挿通されている。ジャンパ線31の先端も、第2窓部28内に配されており、モールド部21の第2面24からは外方に突出しないようになっている。
【0027】
第1モジュール14には、所定電圧の直流電流を異なる電圧の直流電流へ変換するDC/DCコンバータ回路が形成されている。
【0028】
モールド部21の上縁からは、後述する制御基板32に接続される基板接続部33が上方に突出して形成されている。
【0029】
また、モールド部21の下縁からは、ケース12内に第1モジュール14部が収容された状態において、端子挿通孔19に挿通されたコネクタハウジング15内に配されるコネクタ端子34が、下方に突出して形成されている。本実施形態においては、3つのコネクタ端子34が形成されている。3つのコネクタ端子34のうち、図9における中央に位置して他の2つよりも幅広に形成されたコネクタ端子34Aは、電源と電気的に接続される入力端子とされる。他の2つのコネクタ端子34B,34Bのうち、一方のコネクタ端子34Bは電装品と電気的に接続される出力端子とされ、他方のコネクタ端子34Bはグランド端子とされる。
【0030】
図5に示すように、第1モジュール14は、モールド部21の第1面23側をケース12の内側に向けると共に、モールド部21の第2面24側をケース12の側壁25に向けた姿勢で、ケース12内に収容される。第1モジュール14のモールド部21には、ケース12内に収容された状態で、ケース12の側壁25と反対側に突出する取り付け部35が形成されている。この取り付け部35は、ケース12内に第1リレー30モジュールが収容された状態で、ケース12の底壁に形成された第1載置台18の上に載置されるようになっている。図14に示すようにケース12内には2つの第1載置台18が形成されている。これに対応して、第1リレー30モジュールには2つの取り付け部35が形成されている。
【0031】
図5に示すように、第1載置台18の上面には、ケース12の側壁25に接近するに従って下降傾斜するケース側傾斜面36が形成されている。ケース側傾斜面36には、ネジ37が螺入されるネジ孔38が上下方向に形成されている。
【0032】
第1モジュール14の取り付け部35には、ネジ37が挿通される挿通部39が取り付け部35を貫通して形成されている。本実施形態においては、挿通部39は取り付け部35の突出端部を切り欠いて形成されている。これにより、挿通部39は上方から見てU字形状をなしている。
【0033】
取り付け部35の下面には、ケース側傾斜面36と整合するモジュール側傾斜面40が形成されている。モジュール側傾斜面40は、ケース12の側壁25に接近するに従って下降傾斜するようになっている。取り付け部35の上面は略水平に形成されており、ネジ37の頭部が上方から当接するようになっている。
【0034】
第1載置台18に取り付け部35が載置された状態で、挿通部39に挿通されたネジ37がネジ孔38に螺入されることにより、第1モジュール14のモールド部21がケース12の側壁25の内面に密着された状態で、第1モジュール14がケース12に取り付けられるようになっている。
【0035】
(第2モジュール114)
上述したように、第2モジュール114は第1モジュール14と同一形状であるので、重複する構成については説明を省略する。第2モジュール114には、所定電圧の直流電流を異なる電圧の直流電流へ変換するDC/DCコンバータ回路が形成されている。以下の説明において、第2モジュール114の構造を示す符号については、第1モジュール14の構造を示す符号に100を加えたものを用いる。
【0036】
図5に示すように、第2モジュール114は、モールド部121の第1面123側をケース12の内側に向けると共に、モールド部121の第2面124側をケース12の側壁25,125に向けた姿勢で、ケース12内に収容される。これにより、第1モジュール14と第2モジュール114とは、互いに第1面23,123を対向させた姿勢でケース12内に収容されている。
【0037】
第2モジュール114のモールド部121には、ケース12内に収容された状態で、ケース12の側壁125と反対側に突出する取り付け部135が形成されている。この取り付け部135は、ケース12内に第2モジュール114が収容された状態で、ケース12の底壁に形成された第2載置台118の上に載置されるようになっている。図14に示すようにケース12内には2つの第2載置台118が形成されている。これに対応して、第2モジュールには2つの取り付け部135が形成されている。
【0038】
図5に示すように、第2載置台118の上面には、ケース12の側壁125に接近するに従って下降傾斜するケース側傾斜面136が形成されている。ケース側傾斜面136には、ネジ137が螺入されるネジ孔138が上下方向に形成されている。
【0039】
第2モジュール114の取り付け部135には、ネジ137が挿通される挿通部139が取り付け部135を貫通して形成されている。本実施形態においては、挿通部139は取り付け部135の突出端部を切り欠いて形成されている。これにより、挿通部139は上方から見てU字形状をなしている。
【0040】
取り付け部135の下面には、ケース側傾斜面136と整合するモジュール側傾斜面140が形成されている。モジュール側傾斜面140は、ケース12の側壁125に接近するに従って下降傾斜するようになっている。取り付け部135の上面は略水平に形成されており、ネジ137の頭部が上方から当接するようになっている。
【0041】
第2載置台118に取り付け部135が載置された状態で、挿通部139に挿通されたネジ137がネジ孔138に螺入されることにより、第2モジュール114のモールド部121がケース12の側壁125の内面に密着された状態で、第2モジュール114がケース12に取り付けられるようになっている。
【0042】
(退避領域41,141)
図9に示すように、第1モジュール14には、図9において二点鎖線100で示された左右方向の中央位置よりも、図9における右側に、リレー30が配設されている。つまり、第1モジュール14には、リレー30が、左右方向について非対称な位置に配設されている。これにより、第1モジュール14のうち、二点鎖線100についてリレー30と線対称の位置には、退避領域41が形成されている。この退避領域41には、電子部品22及びリレー30が実装されていない。
【0043】
第1モジュール14と同様に、第2モジュール114にも、リレー130及び電子部品122が実装されていない退避領域141が形成されている。
【0044】
上記の退避領域41内には、ケース12内に第1モジュール14及び第2モジュール114が収容された状態で、第2モジュール114に配設されたリレー130が位置するようになっている。これにより、第2モジュール114のリレー130が、第1モジュール14と干渉することを抑制できるようになっている。同様に、退避領域141内には、ケース12内に第1モジュール14及び第2モジュール114が収容された状態で、第1モジュール14に配設されたリレー30が位置するようになっている。これにより、第1モジュール14のリレー30が、第2モジュール114と干渉することを抑制できるようになっている
【0045】
(制御基板32)
図5に示すように、ケース12内には、第1モジュール14及び第2モジュール114の上方の位置に、第1モジュール14及び第2モジュール114に配された電子部品22,122を制御するマイコン42(特許請求の範囲に記載された制御部に相当)が実装された制御基板32が収容されている。制御基板32は、第1モジュール14及び第2モジュール114の板面に対して略垂直な姿勢で収容されている。マイコン42は、制御基板32の下面に実装されている。
【0046】
図1に示すように、制御基板32は上方から見て長方形状をなしている。この制御基板32は、絶縁基板の表面及び裏面の双方にプリント配線技術により導電路(図示せず)が形成されてなる。制御基板32にはネジ50が挿通されるネジ挿通孔52が形成されている。ケース12にはネジ挿通孔52に挿通されたネジ50が螺合されるネジ孔51が形成されている。ネジ50がネジ孔51に螺合されることにより、制御基板32がケース12に取り付けられるようになっている。
【0047】
図1に示すように、制御基板32には複数のスルーホール43が形成されている。このスルーホール43内に、第1モジュール14及び第2モジュール114から制御基板32に向かって突出して形成された基板接続部33,133が挿通され、公知のフロー半田付けにより制御基板32の導電路と接続されている。
【0048】
また、制御基板32のスルーホール43には、棒状をなす金属製の端子金具44の一方の端部が挿入されてフロー半田付けされている。端子金具44の他方の端部は、制御基板32の下面から下方に突出すると共に直角に曲げ加工されて、制御コネクタ45内に配されている。制御コネクタ45は制御基板32にネジ止めされている。制御コネクタ45は、ケース12の側壁25に形成された切欠部46から外部に露出している。この制御コネクタ45に図示しない相手側コネクタが嵌合される。
【0049】
(実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。まず、第1モジュール14の第1面23と、第2モジュール114の第1面123とを、互いに対向させた姿勢で保持する。この姿勢を保持した状態で、第1モジュール14及び第2モジュール114を上方からケース12内に収容する。
【0050】
第1モジュール14及び第2モジュール114がケース12内に収容されると、第1モジュール14及び第2モジュール114のコネクタ端子34、134が端子挿通孔19に挿通されて、コネクタハウジング15内に突出される。
【0051】
第1モジュール14の取り付け部35は、第1載置台18の上面に載置される。第1モジュール14のモジュール側傾斜面40は、第1載置台18のケース側傾斜面36と整合した状態で上方から当接する。
【0052】
ネジ37を、第1モジュール14の取り付け部35に形成された挿通部39に上方から挿通する。その後、ネジ37を第1載置台18のケース側傾斜面36い形成されたネジ孔38に螺入する。
【0053】
すると、第1モジュール14の取り付け部35は、上方から、第1載置台18に押圧される。これにより、第1モジュール14は、第1載置台18のケース側傾斜面36に沿って、ケース12の側壁25に接近するように摺動する。このとき、取り付け部35の挿通部39は、ケース12の側壁25とは反対側を切り欠いた略U字形状をなしているので、ネジ37と挿通部39とが干渉することを抑制できる。これにより、第1モジュール14がケース12の側壁25に接近することができるようになっている。
【0054】
第1モジュール14がケース12の側壁25に接近するように摺動することにより、第1モジュール14のモールド部21の第2面24は、ケース12の側壁25の内面に押圧される。これにより、モールド部21の第2面24はケース12の側壁25に密着するようになっている。上記のようにして、第1モジュール14はケース12に固定される。
【0055】
一方、第2モジュール114の取り付け部135は、第2載置台118の上面に載置される。第2モジュール114のモジュール側傾斜面140は、第2載置台118のケース側傾斜面136と整合した状態で上方から当接する。
【0056】
ネジ137を、第2モジュール114の取り付け部135に形成された挿通部139に上方から挿通する。その後、ネジ137を第2載置台118のケース側傾斜面136に形成されたネジ孔138に螺入する。
【0057】
すると、第2モジュール114の取り付け部135は、上方から、第2載置台118に押圧される。これにより、第2モジュール114は、第2載置台118のケース側傾斜面136に沿って、ケース12の側壁125に接近するように摺動する。このとき、取り付け部135の挿通部139は、ケース12の側壁125とは反対側を切り欠いた略U字形状をなしているので、ネジ137と挿通部139とが干渉することを抑制できる。これにより、第2モジュール114がケース12の側壁125に接近することができるようになっている。
【0058】
第2モジュール114がケース12の側壁125に接近するように摺動することにより、第2モジュール114のモールド部121の第2面124は、ケース12の側壁125の内面に押圧される。これにより、モールド部121の第2面124はケース12の側壁125に密着するようになっている。上記のようにして、第2モジュール114はケース12に固定される。
【0059】
続いて、第1モジュール14及び第2モジュール114の上方から、制御基板32をケース12内に収容する。第1モジュール14及び第2モジュール114の上縁から上方に突出する基板接続部33,133と、制御基板32に形成されたスルーホール43とを整合させながら、制御基板32を下方に移動させる。
【0060】
制御基板32はケース12内の所定の位置に配された後、制御基板32のネジ挿通孔52内にネジ50を挿通させ、ケース12のネジ孔51に螺合させる。これにより、制御基板32がケース12に固定される。その後、基板接続部33,133と、スルーホール43とをフロー半田付けする。このとき制御基板32の下面にマイコン42が接続されているので、マイコン42をフロー半田付け工程の熱から保護することができる。
【0061】
続いて、カバー13をケース12の上方から組み付ける。カバー13のロック受け部17が、ケース12のロック突部16と弾性的に係合することにより、カバー13とケース12とが一体に組み付けられる。これにより回路構成体10が完成する。本実施形態においては、図1の上下方向を基準に回路構成体10の構成を説明したが、回路構成体10は、車両において任意の姿勢で配置可能となっている。
【0062】
本実施形態によれば、ネジ37がネジ孔38に螺入されることにより、第1モジュール14及び第2モジュール114は、それぞれ、ケース12の側壁25,125に押圧される。この結果、第1モジュール14及び第2モジュール114のモールド部21,121はケース12の側壁25,125に確実に密着するようになっている。これにより、通電時に第1モジュール14及び第2モジュール114で発生した熱は、モールド部21,121からケース12へと確実に伝達される。これにより、回路構成体10のケース12の内部が局所的に高温になることを抑制できる。
【0063】
また、本実施形態によれば、第1モジュール14及び第2モジュール114は、所定電圧の直流電流を異なる電圧の直流電流へ変換するDC/DCコンバータ回路を備える。このDC/DCコンバータ回路には比較的に大きな電流が流れるので、本実施形態によれば、通電時にDC/DCコンバータ回路で発生する熱を効率よく外部に放散させることができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、ケース12内には、電子部品22を制御するマイコン42を含む制御基板32が、第1モジュール14及び第2モジュール114の板面に対して垂直な姿勢で収容されている。これにより、制御基板32の表面には第1モジュール14及び第2モジュール114に覆われる領域が形成されないので、制御基板32に重ねて第1モジュール14又は第2モジュール114を配する場合と比べて、制御基板32の配線密度を向上できる。この結果、回路構成体10を小型化できる。
【0065】
また、本実施形態によれば、モールド部21,121の第1窓部26,126から露出したバスバー20,120には貫通孔27,127が形成されており、モールド部21の第2面24にはバスバー20,120の貫通孔27,127に対応する位置にバスバー20,120が露出する第2窓部28,128が形成されており、電子部品22,122のリード29,129は第1窓部26,126及び貫通孔27,127に挿通された状態でバスバー20,120に接続されており、リード29,129の端部は、第2窓部28,128の内部に配されている。これにより、電子部品22,122のリード29,129の端部はモールド部21,121の第2面24,124からは突出しないようになっている。この結果、電子部品22,122にリード29,129の先端が、ケース12の側壁25、125と干渉することが抑制できるので、モールド部21,121の第2面24,124と、ケース12の側壁25とを確実に密着させることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、第2モジュール114に実装されたリレー130は、ケース12内に収容された状態において、第1モジュール14の退避領域41に位置するようになっている。これにより、第2モジュール114に実装されたリレー130が、第1モジュール14と干渉することを抑制できる。一方、第1モジュール14に実装されたリレー30は、第2モジュール114の退避領域141に位置するようになっている。これにより、第1モジュール14に実装されたリレー30が第2モジュール114と干渉することを抑制できると共に、第2モジュール114に実装されたリレー130が第1モジュール14と干渉することを抑制できる。この結果、回路構成体10を低背化することができる。このリレー30,130は、他の電子部品22,122と比べて大型なので、本実施形態は、リレー30,130が実装される回路構成体10において特に有効である。
【0067】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、回路構成体10はDC/DCコンバータとしたが、これに限られず、回路構成体10は、電源と電装品との間に配されて電源からの電力を電装品に供給する電気接続箱であってもよい。
(2)本実施形態においては、ケース12内に2つのモジュールが収容される構成としたが、これに限られず、ケース12内には、1つのモジュールが収容される構成としてもよい。また、3つ以上のモジュールが収容される構成としてもよい。
(3)本実施形態においては、モールド部21には第1窓部26と第2窓部28の双方が形成される構成としたが、これに限られず、モールド部21には第1窓部26のみが形成され、第1窓部26から露出したバスバー20に電子部品22のリード29がリフロー半田付けされる構成としてもよい。
(4)本実施形態においては、電子部品22のリード29の先端は第2窓部28内に位置する構成としたが、これに限られず、電子部品22のリード29の先端は、第2窓部28からモジュールの第2面24側に突出して配され、ケース12の側壁25の内面には、リード29の先端を逃がすための凹部が陥没して形成される構成としてもよい。
(5)本実施形態においては、電子部品22のリード29はバスバー20にフロー半田付けされる構成としたが、これに限られず、電子部品22のリード29は、バスバー20の貫通孔27に圧入されることでバスバー20と接続される構成としてもよい。
(6)本実施形態においては、ケース12内に制御基板32が収容される構成としたが、制御基板32は省略してもよい。
(7)本実施形態においては、第1モジュール14と第2モジュール114とは同一形状としたが、これに限られず、第1モジュール14と第2モジュール114とは異なる形状であってもよい。
(8)本実施形態においては、大型電子部品としてリレー30,130を用いたが、これに限られず、大型電子部品としては、トランジスタ、コンデンサ、コイル等、必要に応じて任意の電子部品を用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
10…回路構成体
11…開口部
12…ケース
13…カバー
14…第1モジュール
18…第1載置台
20…バスバー
21,121…モールド部
22,122…電子部品
25,125…側壁
26,126…第1窓部
27,127…貫通孔
28,128…第2窓部
29,129…リード
30,130…リレー(大型電子部品)
35,135…取り付け部
36,136…ケース側傾斜面
37,137…ネジ
38,138…ネジ孔
39,139…挿通部
40,140…モジュール側傾斜面
41,141…退避領域
114…第2モジュール
118…第2載置台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する開口部を有するケースと、前記ケースの前記開口部を塞ぐカバーと、前記ケース内に収容されると共にバスバーを合成樹脂でモールド成形してなるモールド部を有する板状のモジュールと、を備え、
前記モールド部は第1面及び第2面を有し、前記モールド部の前記第1面に形成された第1窓部からは前記バスバーが露出しており、前記第1窓部から露出する前記バスバーには電子部品が接続されており、
前記ケースの底壁には、前記モジュールが載置される載置台が形成されており、前記載置台の上面には前記ケースの一の側壁に接近するに従って下降傾斜するケース側傾斜面が形成されており、前記ケース側傾斜面にはネジが螺入されるネジ孔が上下方向に形成されており、
前記モールド部の前記第1面には前記載置台に取り付けられる取り付け部が形成されており、前記取り付け部の下面には前記ケース側傾斜面と整合するモジュール側傾斜面が形成されており、前記取り付け部には、前記載置台に前記取り付け部が載置された状態で前記ネジ孔に対応する位置に前記ネジが挿通される挿通部が前記取り付け部を貫通して形成されており、
前記載置台に前記取り付け部が載置された状態で、前記挿通部に挿通された前記ネジが前記ネジ孔に螺合されることにより、前記モールド部の前記第2面が前記一の側壁に密着される回路構成体。
【請求項2】
前記モジュールは、所定電圧の直流電流を異なる電圧の直流電流へ変換するDC/DCコンバータ回路を備える請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記ケース内には、前記電子部品を制御する制御部を備えた制御基板が、前記モジュールの板面に対して垂直な姿勢で収容されている請求項1または請求項2に記載の回路構成体。
【請求項4】
前記モールド部の前記第1窓部から露出した前記バスバーには貫通孔が形成されており、前記モールド部の前記第2面には前記バスバーの前記貫通孔に対応する位置に前記バスバーが露出する第2窓部が形成されており、
前記電子部品のリードは前記第1窓部及び前記貫通孔に挿通された状態で前記バスバーに接続されており、
前記リードの端部は、前記第2窓部の内部に配されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項5】
前記ケース内には、同一形状である一対の前記モジュールが、互いに前記第一面を対向させた姿勢で収容されており、
前記一対のモジュールのうち一のモジュールには、前記電子部品のうち、他の電子部品よりも大きな大型電子部品が実装されており、前記一のモジュールには、前記大型電子部品と左右方向について線対称な位置に、前記一対のモジュールのうち他のモジュールに実装された前記大型電子部品との干渉を抑制する退避領域が形成されている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項6】
前記大型電子部品はリレーである請求項5に記載の回路構成体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−139054(P2012−139054A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290564(P2010−290564)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】