説明

回路装置

【課題】コネクタ部3が一体成形されたケース4に対して回路基板5を取り付けた後、ケース側に予め一体に設けられたケース側端子(例えばコネクタ端子6,7,8)と回路基板の半田接続を行って組み立てられる回路装置において、装置全体の配置スペースや回路基板とコネクタ部の位置関係が限定されていても、回路基板裏側のケース側端子の半田付け部分が目視できる回路装置を提供する。
【解決手段】ケース本体部2の側壁の高さを回路基板5の下面より部分的に低く設定することによって、回路基板の下面側におけるケース側端子の一端部の半田付け部分を目視可能とする側面開口21,22,23,24を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ部が一体成形されたケースに対して回路基板を取り付けた後、ケース側に予め一体に設けられたケース側端子(例えばコネクタ端子)と回路基板の半田接続を行って組み立てられる回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車載用などの回路基板は、コネクタ部が一体成形された樹脂製のケースに対して回路基板を取り付けた後、ケース側に予め一体に設けられたケース側端子(コネクタ端子などであって、例えばインサート成形によって予めケースに一体に設けられる端子)と回路基板の半田接続を行って組み立てられる回路装置として設置されることがある。
この場合、上記半田接続を行う際には、回路基板の裏面がケースの側壁に囲まれて見えないため、回路基板の裏面側の半田状態を目視することができず、半田クラックなどの不具合が生じている不良品を信頼性高くかつ容易に発見することが困難であった。そのため、上記不具合が生じないようにより丁寧な半田付け作業を行う、或いはX線検査などのめんどうで費用のかかる検査を行う必要があった。
ところで、特許文献1には、回路基板の裏面側の半田状態を目視するための技術が開示され、この技術を上記回路装置にも適用することが考えられる。即ち特許文献1には、電子部品2と端子台3を搭載した第1のプリント配線板1、前記端子台からの端子ピン4を導出するように第1のプリント配線板を収納する金属ケ−ス5、金属ケ−スの端子ピン導出面に載置され、端子ピンが半田付けされるように配置する第2のプリント配線板6から成る電子回路装置において、金属ケ−スの端子ピン導出面に絶縁樹脂層10を形成し、その絶縁樹脂層は端子ピンと第2のプリント配線板の半田付け部分が目視できる厚さAとしたことを特徴とする電子回路装置が開示されている(特許文献1の図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−31077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した特許文献1に見られる先行技術は、単に回路基板(第2のプリント配線板6)をケース(金属ケ−ス5)から寸法Aだけ離して配置することによって、回路基板裏側の半田付け部分が目視できる隙間を形成したものである。このため、装置全体の配置スペースや、回路基板とコネクタ(端子台3)の位置関係が限定されている場合、前述の回路装置に適用することができない。即ち、コネクタ部がケースに一体に設けられているため、回路基板とケースの位置関係を変えると、回路基板とコネクタ部の位置関係も変わってしまい、回路基板とコネクタ部の位置関係が近距離に限定されている場合(即ち、寸法Aに対応する距離だけ離して配置できない場合)、採用できない。また、単に回路基板をケースから寸法Aだけ離して配置すると、寸法Aだけ装置全体が大型化してしまう問題がある。なおこの場合、寸法Aだけケースを小さくすれば装置全体の大型化を回避できるが、その場合、ケースの側壁全体が小さくなってケースが強度不足になる恐れがある。また、回路基板とコネクタ部が接近していると、単に回路基板をケースから寸法Aだけ離して配置しただけでは、コネクタ部が邪魔になって回路基板裏側の半田付け部分が十分に目視しできない恐れもある。
そこで本発明は、コネクタ部がケースに一体に設けられる回路装置において、装置全体の配置スペースや回路基板とコネクタ部の位置関係が限定されていても、回路基板裏側のケース側端子の半田付け部分が目視できる回路装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の回路装置は、上面が開口した箱型のケース本体部を有し、このケース本体部の側面から側方に突出するようにコネクタ部が一体に形成されたケースと、
前記ケース本体部の上面を塞ぐように配置されて前記ケースに取り付けられる回路基板と、
前記ケースに予め一体に設けられ、前記回路基板が前記ケースに取り付けられる際に、一端部が前記回路基板の対応するスルーホールに挿入されて半田付けされる複数のケース側端子と、を備える回路装置であって、
前記ケース側端子には、他端部が前記コネクタ部に配置されて前記コネクタ部とともに外部接続用のコネクタを構成するコネクタ端子が含まれ、
前記ケース本体部の側壁の高さが前記回路基板の下面より部分的に低く設定されることによって、前記回路基板の下面側における前記ケース側端子の一端部の半田付け部分を目視可能とする側面開口が形成されていることを特徴とする。
【0006】
本願の回路装置であると、ケース本体部に形成された側面開口から回路基板の下面側におけるケース側端子の半田付け部分の目視確認が可能となる。しかも、ケース本体部の側壁の高さが部分的に低く設定されることによって側面開口が形成されているため、ケースの強度を確保しつつ前記目視確認が可能となり、さらにケース全体の位置を回路基板から上下方向に離すように配置関係を変更する必要がなく、装置全体の配置スペースや回路基板とコネクタ部の位置関係が限定されていても問題ない。
【0007】
次に、本願の回路装置の好ましい態様は、前記ケース本体部が、前側壁、後側壁、左側壁、及び右側壁を四方に有するもので、前記コネクタ部が後側壁から後方に突出するように形成され、
前記ケース側端子の一端部が挿入される各スルーホールが前記回路基板における前記コネクタ部に近い後縁に一列に並んで配置され、これによって前記ケース側端子の一端部の半田付け部分が、前記後側壁に沿って一列に並ぶ構成とされ、
前記側面開口は、前記後側壁、左側壁、及び右側壁に形成されているものである。
この態様であると、前記目視確認すべき箇所がケース本体部の後側に一列に並び、その周囲に側面開口があるため、前記目視確認が容易に可能となる。しかも、回路基板に半田付けされるケース側端子(コネクタ端子含む)の一端部がコネクタ部に近い回路基板の後縁に配置されるため、コネクタ端子が小型になる。また、ケース本体部の前側壁の全部と他の側壁の一部(上記側面開口が設けられていない部分)の高さを、回路基板よりも高く設定することによって、ケース全体の強度を確保し易い。
【0008】
また、本願の回路装置の別の好ましい態様は、前記コネクタ部の横から前記側面開口を通して斜めに見ることによって、前記回路基板の下面側における前記ケース側端子の一端部の半田付け部分の全てが目視可能となるように、前記後側壁の前面及び前記コネクタ部の前端と前記回路基板の後縁との間に隙間を形成したものである。
この態様であると、前記目視確認が全てのケース側端子について一度に(或いは少なくとも短時間に)可能となり、前記目視確認の作業がより容易となる。なお、コネクタ部の前端と回路基板の後縁との間に隙間が形成されていると、コネクタ部が目視の邪魔になり難いのに加えて、その隙間から外光が入って目視すべき箇所が明るくなり易く、それによっても前記目視確認が容易となる。
またこの態様であると、回路基板とケース側端子の半田付け部分が回路基板の後縁に配置され、その周囲近距離にはケースを構成する部材(ケース本体部の側壁や、コネクタ部の前端部)が存在しない構成になる。このため、上記ケース側端子の半田付け工程において高温の半田がケースを構成する部材(通常は合成樹脂)に接触してこれを損傷させる不具合の発生可能性が低減される効果もある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コネクタ部がケースに一体に設けられる回路装置において、装置全体の配置スペースや回路基板とコネクタ部の位置関係が限定されていても、回路基板裏側のケース側端子の半田付け部分が目視できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】アンテナ回路装置の斜視図である。
【図2】アンテナ回路装置の平面図である。
【図3】(a)はアンテナ回路装置の後面図、(b)はアンテナ回路装置を図1におけるX方向から見た図、(c)はアンテナ回路装置を図1におけるY方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
本例は、本発明を車両におけるスマートエントリーシステムのアンテナ回路装置1に適用した場合の例である。スマートエントリーシステムは、車両のユーザが携帯する携帯機(電子キー)と車載機との間の無線通信によって認証を行い、認証結果が肯定的であれば車両ドアの自動解錠等を行うシステムである。アンテナ回路装置1は、車載機側のアンテナ回路を構成する装置であり、例えば車両におけるピラー(車体の柱)の内部に取り付けられる。
図1は、本例のアンテナ回路装置1(上蓋を取り外した状態、以下同様)の上面側を斜めに見た斜視図である。図2は、アンテナ回路装置1の平面図(上面側から見た図)である。図3(a)は、アンテナ回路装置1の後面図である。図3(b)は、アンテナ回路装置1を図1におけるX方向から見た図である。図3(c)は、アンテナ回路装置1を図1におけるY方向から見た図である。なお以下では、図2の紙面において、上方を前方、下方を後方、左方を左方、右方を右方という。また以下では、図2の紙面に直交する方向を上下方向とする。
【0012】
アンテナ回路装置1は、図1に示すように、上面が開口した箱型のケース本体部2を有し、このケース本体部2の側面から側方に突出するようにコネクタ部3が一体に形成されたケース4と、ケース本体部2の上面を部分的に塞ぐようにコネクタ部3の突出方向(この場合、前後方向)に略平行な姿勢(この場合、ケース本体部2の底面に略平行な姿勢、即ち略水平な姿勢)で配置されてケース4に取り付けられる回路基板5と、ケース4に予め一体に設けられ、回路基板5がケースに取り付けられる際に、一端部が回路基板5の対応するスルーホール(符号省略)に挿入され、回路基板5の取り付け後に当該一端部が各スルーホールに半田付けされる複数のケース側端子(コネクタ端子6,7,8、コイル端子9,10)と、アンテナ11とを備える。
この場合、ケース側端子としては、コネクタ端子6,7,8と、コイル端子9,10とがある。図1において符号6a,7a,8aで示すものが、コネクタ端子6,7,8の一端部であり、符号9a,10aで示すものが、コイル端子9,10の一端部である。また、図3(a)に符号6b,7b,8bで示すものが、コネクタ端子6,7,8の他端部であり、図1に符号9b,10bで示すものが、コイル端子9,10の他端部である。
【0013】
ケース本体部2は、前側壁2a、後側壁2b、左側壁2c、及び右側壁2dによって四方を囲まれてなるもので、コネクタ部3は後側壁2bの比較的右側から後方に突出するように形成されている。なお、図において符号2e,2fで示すものは、ケース本体部2の側面に形成された取付片である。取付片2eは、前側壁2aの左右方向中央から前方に突出するように形成されたもので、上下に貫通する貫通孔2gを有する。また取付片2fは、後側壁2bの比較的左側から後方に突出するように形成されたもので、上下に貫通する貫通孔2hを有する。ケース4を含むアンテナ回路装置1の全体が、これらの貫通孔2g,2hに装着される係止具(図示省略)によって車体に取り付けられる。なお、このアンテナ回路装置1の取付状態においては、ケース本体部2の下面が車体(通常金属)に接合した状態となる。
【0014】
ケース本体部2の内部には、区画壁2jと、支持突起2kと、位置決め突起2mとが形成されている。区画壁2jは、ケース本体部2の内部を、アンテナ11が取り付けられる前側と、回路基板5が取り付けられる後側とに区画する壁である。支持突起2kは、ケース本体部2の底面から上方に突出する突起であって、上端が回路基板5の下面に当接して回路基板5を支持する突起であり、例えばケース本体部2の後部左右の隅の位置などに複数設けられている。位置決め突起2mは、支持突起2kとは異なる複数箇所(図1では2箇所)においてケース本体部2の底面から上方に突出する突起であって、上端部が回路基板5を貫通することによって、回路基板5を位置決めるものである。
なおアンテナ11は、電磁波を良好に放射するために、車体(金属)よりも離して配置する必要があり、そのためにケース本体部2の区画壁2jよりも前側の底面は、区画壁2jよりも後側の底面よりも高い位置に設けられており、装置1を車体に取り付けた状態では、アンテナ11と車体との間に十分な距離が確保される構成となっている。
また、ケース本体部2の上面側には、最終的に図示省略した上蓋が取り付けられ、この上蓋によってケース本体部2の上面側が覆われて、アンテナ11や回路基板5の周囲全体が覆われて保護される構成となっている。
【0015】
コネクタ部3は、後面が開口した断面四角形の筒状部分(コネクタの端子以外を構成する部分)であり、コネクタ端子6,7,8の他端部6b,7b,8b(図3(a)に示す)が内部奥側に配置されて、コネクタ端子6,7,8の他端部6b,7b,8bとともに外部接続用のコネクタ(装置1を電気的に外部に接続するためのコネクタの雌側)を構成する。なお、コネクタ部3の位置(或いは、装置1全体の大きさなども)は、自動車メーカの要望などによって限定される。この例の場合、図3(a)に示すように、コネクタ部3の上面が回路基板5とほぼ同じ高さかそれ以上になるように配置する必要がある。また、コネクタ端子6,7,8は、棒状の導電体を所定形状に成形してなるものであり、前端側が一端部6a,7a,8aとして上方に伸びるように配置され、後端側が他端部6b,7b,8bとして後方に(コネクタ部3内に)伸びるように設けられている。これらコネクタ端子6,7,8は、例えばインサート成形によってケース4のコネクタ部3に予め一体に設けられている。また、これらコネクタ端子6,7,8の一端部6a,7a,8aの位置(即ち、これら一端部6a,7a,8aと接続される回路基板5のスルーホールの位置)は、これらコネクタ端子6,7,8を小型化し簡素化する観点から、図2に示すようにコネクタ部3の前方近距離の位置に設定されている。
【0016】
アンテナ11は、金属製の芯材12の中央部にコイル13を巻き付けたものである。芯材12は、この場合断面四角形の棒状部材であり、ケース本体部2内における区画壁2jよりも前側にはめ込まれ、例えば接着剤によってケース本体部2に固定される。コイル13を構成するコイル線の各端部は、コイル端子9,10の他端部9b,10bに絡げて接続してある。なお、コイル端子9,10は、棒状の導電体を全体としてコ字形に成形してなるものであり、中央部がケース本体部2の底面に沿って前後方向配置され、両端部がケース本体部2の底面から上方に伸びるように設けられたもので、例えばインサート成形によってケース本体部2に予め一体に設けられている。そして、これらコイル端子9,10の後方側の一端部9a,10aは、回路基板5の対応するスルーホールに挿入されて回路基板5に接続され、前方側の他端部9b,10bは、回路基板5とアンテナ11の間の位置(区画壁2jよりも後方位置)に配置されて既述したようにコイル13のコイル線の各端部に接続されている。なお、区画壁2jの中央部には、コイル13のコイル線を後方に導出するための切欠き2nが設けられている。
【0017】
回路基板5は、アンテナ11を駆動するための増幅回路などが形成された回路基板である。アンテナ11と前記増幅回路を離れた位置に配置すると、この間の接続配線がノイズの発生源となるため、アンテナ11と回路基板5は、近距離に配置する必要がある。この回路基板5には、前記増幅回路などを構成する回路部品14,15(抵抗など)が予め下面側に実装されている(図1及び図3(a)参照)。なお、図1の符号14a,15aは、回路部品14,15の端子を示しており、これらの端子は予め(即ち、回路基板5をケース4に取り付ける前に)回路基板5に半田付けされている。この回路基板5は、平面形状が横長の長方形状のものであり、前述した位置決め突起2mに対応する位置に、位置決め突起2mがはまり込む貫通孔(符号省略)が形成されている。そして回路基板5は、その長辺側の一方の縁(後縁)がケース本体部2の後側壁2bに沿うように配置され、前述した支持突起2kが下面に当接し、前述した位置決め突起2mが対応する貫通孔にはまり込むとともに、前述したケース側端子の一端部6a,7a,8a,9a,10aが対応するスルーホールに挿入されることによってケース本体部2に対して位置決めされてケース4に対して取り付けられる。そしてこの取付作業(位置決め作業)の後、ケース側端子の一端部6a,7a,8a,9a,10aが各スルーホールに半田付けされることによって、回路基板5がケース4に対して固定されている。
【0018】
次に、以上のような基本構成のアンテナ回路装置1における、半田目視確認のための構成とその技術背景について説明する。回路基板5に半田付けされる端子のうち、前述した回路部品14,15の端子14a,15aについては、回路基板5をケース本体部2に取り付ける前に、回路基板5単体の状態で半田付け作業とその半田付け部の目視ができるので、十分容易に半田付け状態の目視確認が可能である。ところが、ケース側端子(コネクタ端子6,7,8、コイル端子9,10)の一端部6a,7a,8a,9a,10aについては、回路基板5をケース本体部2に取り付けた後で半田付けされるので、回路基板5の裏面(下面)側の半田付け状態(半田の分布状態など)が、従前であれば回路基板5の周囲を覆うケース本体部2の側壁(後側壁2b、左側壁2c、右側壁2d)や回路基板5と略同じ高さにあるコネクタ部3によって邪魔されて目視確認できない。
また上記目視確認のために既述した特許文献1の従来技術を適用しようとしても、問題がある。というのは、単にケース4の高さ方向の位置を回路基板5から下方に下げることによって(逆にいえば、回路基板5の配置高さをケース4に対して増やすことによって)目視確認用の隙間を形成しようとすると、コネクタ部3の位置も回路基板5からずれてしまう、装置全体が高さ方向に大型化してしまうなどの問題が生じる。また、ケース本体部2の側壁全体の高さを低くする(ケース本体部2の高さ方向の大きさを小さくする)ことによって、コネクタ部3の位置を変えないでまた装置全体を大型化させないで、目視確認用の隙間を作ることも考えられるが、この場合には、ケース4全体の強度が不足する恐れがあるとともに、コネクタ部3が目視確認の邪魔になる問題が残る。
【0019】
そこで、本例のアンテナ回路装置1では、次のような構成としている。
まず、ケース本体部2の側壁(この場合、後側壁2b、左側壁2c、及び右側壁2d)の高さを回路基板5の下面より部分的に低く設定することによって、前記回路基板の下面側における前記ケース側端子の一端部の半田付け部分を目視可能とする側面開口21,22,23,24を形成した。ここで、側面開口21は後側壁2bの左側(コネクタ部3よりも左側)の高さを低く設定することによって形成され、側面開口22は後側壁2bの右側(コネクタ部3よりも右側)の高さを低く設定することによって形成され、側面開口23は左側壁2cの後側の一部の高さを低く設定することによって形成され、側面開口24は右側壁2dの後側の一部の高さを低く設定することによって形成されている。
また、ケース側端子の一端部6a,7a,8a,9a,10aが挿入される各スルーホールを回路基板5におけるコネクタ部3に近い後縁に一列に並んだ状態に配置し、これによってケース側端子の一端部6a,7a,8a,9a,10aの半田付け部分が、ケース本体部2における後側壁2bに沿って一列に並ぶ構成とした。
また、コネクタ部3の横から(例えば、図1に示すX方向から)側面開口22,24や側面開口21,23を通して斜めに見ることによって、回路基板5の下面側におけるケース側端子の一端部6a,7a,8a,9a,10aの半田付け部分の全てが一度に目視可能となるように、後側壁2bの前面及びコネクタ部3の前端と回路基板5の後縁との間に前後方向において寸法S(図2に示す)の隙間を形成した。
【0020】
以上説明したアンテナ回路装置1では、図示省略した上蓋を取り外した状態において、例えば図3(b)や図3(c)に示すように、ケース本体部2に形成された側面開口21,22,23,24から回路基板5の下面側におけるケース側端子の半田付け部分の目視確認が可能となる。しかも、ケース本体部2の側壁の高さが部分的に低く設定されることによって側面開口21,22,23,24が形成されているため、ケース4の強度を確保しつつ前記目視確認が可能となり、さらにケース4全体の位置を回路基板5から上下方向に離すように配置関係を変更する必要がなく、装置全体の配置スペースや回路基板5とコネクタ部3の位置関係が限定されていても問題ない。
【0021】
また本例では、ケース側端子の一端部が挿入される各スルーホールが回路基板5におけるコネクタ部3に近い後縁に一列に並んで配置され、これによってケース側端子の一端部6a,7a,8a,9a,10aの半田付け部分が、後側壁2bに沿って一列に並ぶ構成とされ、側面開口21,22,23,24は、後側壁2b、左側壁2c、及び右側壁2dに形成されている。このため、前記目視確認すべき箇所がケース本体部2の後側に一列に並び、その周囲に側面開口21,22,23,24があるため、前記目視確認が容易に可能となる。しかも、回路基板5に半田付けされるコネクタ端子6,7,8の一端部6a,7a,8aがコネクタ部3前方の近距離に配置されるため、コネクタ端子6,7,8が小型かつ簡素になる。また、ケース本体部2の前側壁2aの全部と他の側壁の一部(上記側面開口21,22,23,24が設けられていない部分)の高さを、回路基板5よりも高く設定することによって、ケース4全体の強度を確保し易い。
【0022】
また本例では、コネクタ部3の横から側面開口22,24や側面開口21,23を通して斜めに見ることによって、回路基板5の下面側におけるケース側端子の一端部6a,7a,8a,9a,10aの半田付け部分の全てが目視可能となるように、コネクタ部3の前端と回路基板5の後縁との間に隙間(図2の寸法S)を形成したから、次のような効果がある。即ち、図3(b)に示すように、前記目視確認が全てのケース側端子について一度に(或いは少なくとも短時間に)可能となり、前記目視確認の作業がより容易となる。なお、後側壁2bの前面及びコネクタ部3の前端と回路基板5の後縁との間に隙間が形成されていると、コネクタ部3が目視の邪魔になり難いのに加えて、その隙間から外光が入って目視すべき箇所が明るくなり易く、それによっても前記目視確認が容易となる。
【0023】
また本例では、回路基板5とケース側端子の半田付け部分が回路基板5の後縁に配置され、その周囲近距離にはケース4を構成する部材(ケース本体部2の側壁や、コネクタ部3の前端部)が存在しない構成になる。このため、上記ケース側端子の半田付け工程において高温の半田がケース4を構成する部材(通常は合成樹脂)に接触してこれを損傷させる不具合の発生可能性が低減される効果もある。なお、上記ケース側端子の半田付けには、例えば、半田槽に溶かしておいた半田の表層にプリント基板を浸すことによって半田付けを行うフロー方式が採用される。この際、半田付けを行う部分の近くに別の部材があると、高温の半田が接触してその部材が損傷する恐れがあるが、本例ではそのような不具合でケース4が損傷するトラブルの発生可能性が低い。
【0024】
なお、本発明は上述した形態例に限られず、各種の変形や応用があり得る。
例えば、前述の形態例では、スマートエントリーシステム用のアンテナ回路装置を例示した。しかし、他のシステム(例えばイモビライザシステム)のアンテナ回路装置でもよいし、ケースに回路基板のみを取り付けた回路装置(アンテナの無い回路装置)でもよい。
また本発明は、半田付け部の目視確認用の側面開口をコネクタとは反対側に設けた態様(即ち、ケース本体部の一側面にコネクタ部を形成し、これとは反対のケース本体部の他側面に側面開口を設け、この側面開口からケース本体部内に取り付けられた回路基板の下面側の半田付け部分が目視できる態様)でもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 アンテナ回路装置(回路装置)
2 ケース本体部
2a 前側壁
2b 後側壁
2c 左側壁
2d 右側壁
3 コネクタ部
4 ケース
5 回路基板
6,7,8 コネクタ端子(ケース側端子)
6a,7a,8a コネクタ端子の一端部(ケース側端子の一端部)
9,10 コイル端子(ケース側端子)
9a,10a コイル端子の一端部(ケース側端子の一端部)
21,22,23,24 側面開口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した箱型のケース本体部を有し、このケース本体部の側面から側方に突出するようにコネクタ部が一体に形成されたケースと、
前記ケース本体部の上面を塞ぐように配置されて前記ケースに取り付けられる回路基板と、
前記ケースに予め一体に設けられ、前記回路基板が前記ケースに取り付けられる際に、一端部が前記回路基板の対応するスルーホールに挿入されて半田付けされる複数のケース側端子と、を備える回路装置であって、
前記ケース側端子には、他端部が前記コネクタ部に配置されて前記コネクタ部とともに外部接続用のコネクタを構成するコネクタ端子が含まれ、
前記ケース本体部の側壁の高さが前記回路基板の下面より部分的に低く設定されることによって、前記回路基板の下面側における前記ケース側端子の一端部の半田付け部分を目視可能とする側面開口が形成されていることを特徴とする回路装置。
【請求項2】
前記ケース本体部は、前側壁、後側壁、左側壁、及び右側壁を四方に有するもので、前記コネクタ部は後側壁から後方に突出するように形成され、
前記ケース側端子の一端部が挿入される各スルーホールは前記回路基板における前記コネクタ部に近い後縁に一列に並んで配置され、これによって前記ケース側端子の一端部の半田付け部分が、前記後側壁に沿って一列に並ぶ構成とされ、
前記側面開口は、前記後側壁、左側壁、及び右側壁に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回路装置。
【請求項3】
前記コネクタ部の横から前記側面開口を通して斜めに見ることによって、前記回路基板の下面側における前記ケース側端子の一端部の半田付け部分の全てが目視可能となるように、前記後側壁の前面及び前記コネクタ部の前端と前記回路基板の後縁との間に隙間を形成したことを特徴とする請求項2に記載の回路装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−192135(P2010−192135A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32306(P2009−32306)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】