説明

回転コネクタ

【課題】回転体とローテータに軸ずれが生じても、回転体とローテータの回転誤差を無くす。
【解決手段】回転コネクタ100において、ステアリングホイールと一体回転する環状の回転体11と、舵角センサ13のローテータ15と、回転体11とローテータ15を連結する筒状のジョイント17とを設け、回転体11とジョイント17を、第一の自在継手19を介して接続し、ジョイント17とローテータ15を、第二の自在継手21を介して接続した。第一の自在継手19は、回転体直径方向両端の外周近傍に設けられる対向壁と、対向壁の間に形成される摺接突起27と、ジョイント一端側内部の直径方向両端に設けられる挟持片29と、挟持片29に近接して形成される円板部とで構成される。第二の自在継手21は、ジョイント他端側内部の直径方向両端に設けた軸受部41と、ローテータ内周面の直径方向両端から内側に突出する軸部45とで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体とローテータが回転誤差無く離間可能となる回転コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリングシャフトの周囲には、ステアリングホイール上のスクイブに電気信号を伝えるステアリング接続ケーブルや、ターンシグナル・ヘッドランプ等のスイッチレバーを備えたコンビネーションスイッチ、さらにはショックアブソーバ減衰力制御装置やスイブル装置等へ信号を入力する舵角センサが配置される(例えば、特許文献1参照)。
図16に示すように、これらステアリング接続ケーブルを備えた回転コネクタ501、コンビネーションスイッチ503、舵角センサ505は、ステアリングシャフト507に直交する方向aに比較的スペースの確保し易い乗用車では、回転コネクタ501、舵角センサ505をコンビネーションスイッチ503の内方に配置することで、車室フロアからコンビネーションスイッチ503までの下部空間509を広く確保していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−212129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トラック等の車両では、乗用車とは逆に車室フロアからコンビネーションスイッチ503までの下部空間509に比較的スペースが確保し易いのに対し、ステアリングシャフト507に直交する方向aには十分なスペースを確保したいため、機器類収容寸法Aを小さくしたい要請がある。そこで、コンビネーションスイッチ503の内方に配置していた、回転コネクタ501、舵角センサ505を、コンビネーションスイッチ503を上下に挟む位置に配置することで、機器類収容寸法Aを小さくするステアリングコラム構成が有効となる。ところが、ステアリングホイール511と一体回転する図示しない回転体(例えばキャンセラ)は、コンビネーションスイッチ503を貫通して、舵角センサ505のローテータに接続されるため、軸線方向の長さbが長くなる。回転体の軸線方向の長さbが長くなると、例えば、各機器の組立公差により回転体とローテータの両回転中心に軸ずれが生じている場合、回転体とローテータにおける角速度の差(回転誤差)が顕著となり、上記した諸装置への入力信号精度の低下が問題となる。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、回転体とローテータに軸ずれが生じても、回転体とローテータの回転誤差を無くすことができる回転コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) ステアリングシャフトに外挿されステアリングホイールと一体回転する環状の回転体と、前記ステアリングシャフトに外挿される舵角センサのローテータと、前記ステアリングシャフトに外挿され前記回転体と該ローテータを連結する筒状のジョイントと、を備える回転コネクタであって、
前記回転体と前記ジョイントが第一の自在継手を介して接続され、
前記ジョイントと前記ローテータが第二の自在継手を介して接続されたことを特徴とする回転コネクタ。
【0006】
この回転コネクタによれば、回転体とローテータに軸ずれが生じると、回転体とジョイントが第一の自在継手にてある交差角で接続され、ジョイントとローテータが第二の自在継手にて逆の交差角で接続される。これにより、回転体とローテータに軸ずれが生じていても、回転体とローテータの両回転軸が平行となり、角速度の差(回転誤差)がゼロとなる。
【0007】
(2) (1)の回転コネクタであって、
前記第一の自在継手が、
回転体直径方向両端の外周近傍に設けられ軸線に沿う方向の平行な対向壁と、
該対向壁の間に形成された摺接突起と、
ジョイント一端側内部の直径方向両端に設けられそれぞれの前記摺接突起を外側から挟む一対の挟持片と、
該挟持片に近接して形成され前記平行な対向壁の間に嵌合される円板部と、
からなることを特徴とする回転コネクタ。
【0008】
この回転コネクタによれば、回転体の外周に設けられた直径方向両端の一対の摺接突起が、ジョイントの一端に設けられた一対の挟持片にて挟持され、一対の摺接突起を通る直径に直交する直径を回転中心とする回転体とジョイントの所定角度範囲での回転が可能となる。また、回転体に設けられた一対の対向壁の間にジョイントの円板部が嵌合され、一対の円板部を通る直径を回転中心とする回転体とジョイントの所定角度範囲での回転が可能となる。これにより、両回転中心が交差する回転体とジョイントが回転伝達可能に接続される。
【0009】
(3) (1)又は(2)の回転コネクタであって、
前記第二の自在継手が、
ジョイント他端側内部の直径方向両端に設けられ軸線に沿う方向で切り欠かれた平行な受面を有する軸受部と、
ローテータ内周面の直径方向両端から内側に突出されそれぞれの該軸受部に嵌合される一対の軸部と、
からなることを特徴とする回転コネクタ。
【0010】
この回転コネクタによれば、ジョイントの他端に形成された一対の軸受部にローテータの一対の軸部が嵌合され、一対の軸部を通る直径を回転中心とするジョイントとローテータの所定角度範囲での回転が可能となる。また、一対の軸部のそれぞれが、軸受部の受面に沿って軸線に沿う逆方向に相対摺動することで、一対の軸部を通る直径に直交する直径を回転中心とするジョイントとローテータの所定角度範囲での回転が可能となる。これにより、両回転中心が交差するジョイントとローテータが回転伝達可能に接続される。
【0011】
(4) (2)又は(3)の回転コネクタであって、
前記摺接突起の摺接面、及び前記挟持片の挟持面が球面状に形成されたことを特徴とする回転コネクタ。
【0012】
この回転コネクタによれば、摺接突起と挟持片が、一対の摺接突起を通る直径に直交する直径を回転中心とする回転方向、及び一対の摺接突起を通る直径を回転中心とする回転方向の双方で、球面同士を摺接させて円滑に回転可能となる。
【0013】
(5) (3)又は(4)の回転コネクタであって、
前記軸部の外周に、軸線上のある点から等距離のR面が形成され、
前記軸部が該R面で前記受面に接することを特徴とする回転コネクタ。
【0014】
この回転コネクタによれば、軸部のR面に沿って、ジョイント軸受部の受面が摺動可能となり、ローテータの内周にて、ジョイントがローテータ中心に対し偏芯する方向で変位可能となる。これにより、軸部が角ピンや同径ピンである場合に生じる変位時の干渉が回避でき、干渉回避のためにクリアランスを拡大する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る回転コネクタによれば、回転体をジョイントにてローテータに連結し、回転体とジョイントを第一の自在継手にて接続するとともに、ジョイントとローテータを第二の自在継手にて接続したので、回転体とローテータに軸ずれが生じても、回転体とローテータの回転誤差を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る回転コネクタの平面図である。
【図2】図1のI−I断面図である。
【図3】図1のII−II断面図である。
【図4】回転体を下方から見た斜視図である。
【図5】ジョイントの斜視図である。
【図6】舵角センサの斜視図である。
【図7】回転体とローテータが一対の摺接突起を通る直径方向にずれた回転コネクタの縦断面図である。
【図8】回転体とローテータが一対の軸部を通る直径方向にずれた回転コネクタの縦断面図である。
【図9】(a)は回転体を長くした比較例の軸ずれ状況を表す縦断面図、(b)は回転体を長くした比較例の回転体傾斜状況を表す縦断面図である。
【図10】回転体とローテータが一つの軸部で連結された比較例の回転誤差を表す横断面図である。
【図11】回転体とローテータが二つの軸部で接続された比較例の軸ずれ方向の変位を表す横断面図である。
【図12】(a)は実施の形態の軸ずれ状況を表す縦断面図、(b)は実施の形態の回転体傾斜状況を表す縦断面図である。
【図13】実施の形態の軸ずれ方向の変位を表すジョイントとローテータの横断面図である。
【図14】(a)は回転体のみが傾斜した状況の縦断面図、(b)は回転体が傾斜しローテータが左方へ軸ずれた状況の縦断面図、(c)は回転体が傾斜しローテータが右方へ軸ずれた状況の縦断面図である。
【図15】(a)は軸部が角ピンであるジョイントとローテータの横断面図、(b)は軸部にR面が形成されたジョイントとローテータの横断面図である。
【図16】諸機器類を配置した従来のステアリングシャフト周辺部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る回転コネクタの好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る回転コネクタの平面図、図2は図1のI−I断面図、図3は図1のII−II断面図である。
回転コネクタ100は、不図示のステアリングシャフトを包囲してその外側に挿入(外挿)され不図示のステアリングホイールと一体回転する環状の回転体である例えばコンビネーションスイッチのキャンセラ11と、ステアリングシャフトに外挿される舵角センサ13のローテータ15(図2参照)と、ステアリングシャフトに外挿されキャンセラ11とローテータ15を連結する筒状のジョイント17とを主要な構成として備える。
【0018】
回転コネクタ100は、ステアリングホイールが回転されると、キャンセラ11が一体回転し、その回転がジョイント17を介して舵角センサ13のローテータ15に伝達される。
不図示のステアリング接続ケーブルは、一端がキャンセラ11と一体回転し、ステアリング中立位置から左右にそれぞれ2.5回転できるように、スパイラル状となってコンビネーションスイッチハウジングの収容空間に収容される。
【0019】
キャンセラ11の回転を舵角センサ13に伝達するジョイント17は、キャンセラ11と第一の自在継手19を介して接続され、ローテータ15と第二の自在継手21を介して接続される。自在継手は、2部材の回転中心軸が、ある角度範囲で交わる場合に、その2部材間で回転を伝達する。本実施の形態において、第一の自在継手19における2部材はキャンセラ11とジョイント17であり、第二の自在継手21における2部材はジョイント17とローテータ15となる。
【0020】
図4は回転体であるキャンセラ11を下方から見た斜視図、図5はジョイントの斜視図、図6は舵角センサの斜視図である。
第一の自在継手19は、キャンセラ11の直径方向両端の外周近傍に設けられ軸線23に沿う方向cで延在する平行な対向壁25,25と、対向壁25,25の間に形成された摺接突起27と、ジョイント17の一端側内部の直径方向両端に設けられそれぞれの摺接突起27,27を外側から挟む一対の挟持片29,29と、挟持片29,29に近接して形成され、対向壁25,25の間に嵌合される円板部31,31とからなる。
【0021】
挟持片29は、挟持面29aを、摺接突起27の摺接面27aに摺接しながらキャンセラ11を直径方向外側から挟持する。円板部31は、対向壁25,25の間に嵌合し、直径方向両端の外周面を対向壁25,25の内面に摺接する。つまり、キャンセラ11とジョイント17は、相対回転不能に連結される。
【0022】
摺接突起27の摺接面27a、及び挟持片29,29の挟持面29aは、球面状に形成される。これにより、摺接突起27と挟持片29が、図4に示す一対の摺接突起27,27を通る直径33に直交する直径35を回転中心とする回転方向、及び直径33を回転中心とする回転方向の双方で、球面同士を摺接させて円滑に回転可能となっている。
【0023】
第二の自在継手21は、ジョイント17の他端側内部の直径方向両端に設けられ軸線37に沿う方向dで切り欠かれた平行な一対の受面39,39を有する軸受部41と、ローテータ15の内周面43の直径方向両端から内側に突出されそれぞれの軸受部41,41に嵌合される一対の軸部45,45とからなる。
図5に示すように、軸受部41,41は、挟持片29,29に対し、ジョイント17の円周方向に90°回転された位置で設けられている。
【0024】
次に、上記のように構成された回転コネクタ100の作用を説明する。
図7は回転体であるキャンセラ11とローテータ15が一対の摺接突起27,27を通る直径(33)方向にずれた回転コネクタ100の断面図である。
第一の自在継手19では、図7に示すように、キャンセラ11の外周に設けられた直径方向両端の一対の摺接突起27,27が、ジョイント17の一端に設けられた一対の挟持片29,29にて半径方向外側から挟持され、一対の摺接突起27,27を通る直径33に直交する直径35を回転中心とするキャンセラ11とジョイント17の所定角度範囲での相対回転が可能となる。
【0025】
また、第二の自在継手21では、ジョイント17の他端に形成された一対の軸受部41にローテータ15の一対の軸部45が嵌合され、一対の軸部45,45を通る直径47を回転中心とするジョイント17とローテータ15の所定角度範囲での回転が可能となる。
【0026】
これにより、直径33に沿う方向にずれたキャンセラ11の軸線23とローテータ15の軸線49との軸ずれを、ジョイント17の傾きで吸収して、角速度の差(回転誤差)をゼロとした回転伝達系の連結を可能としている。
【0027】
図8は回転体であるキャンセラ11とローテータ15が一対の軸部45,45を通る直径(47)方向にずれた回転コネクタの縦断面図である。
また、第一の自在継手19では、キャンセラ11に設けられた一対の対向壁25,25の間にジョイント17の円板部31が嵌合され、一対の円板部31,31を通る直径51を回転中心とするキャンセラ11とジョイント17の所定角度範囲での回転が可能となる。
【0028】
さらに、ローテータ15の一対の軸部45,45のそれぞれが、ジョイント17の軸受部41の受面39,39に沿って互いに軸線37(図5参照)に沿う逆方向に相対摺動することで、一対の軸部45,45を通る直径47に直交する直径53を回転中心とするジョイント17とローテータ15の所定角度範囲での回転が可能となる。
【0029】
これにより、直径47に沿う方向にずれたキャンセラ11の軸線23とローテータ15の軸線49との軸ずれを、ジョイント17の傾きで吸収して、角速度の差(回転誤差)をゼロとした回転伝達系の連結を可能としている。
【0030】
ここで、上記構成によらず、単にジョイント17を延長した比較例の構成について説明する。
図9(a)は回転体を長くした比較例の軸ずれ状況を表す縦断面図、(b)は回転体を長くした比較例の回転体傾斜状況を表す縦断面図、図10は回転体とローテータが一つの軸部で連結された比較例の回転誤差を表す横断面図、図11は回転体とローテータが二つの軸部で接続された比較例の軸ずれ方向の変位を表す横断面図である。
図9に示すように、第一の自在継手19、第二の自在継手21を設けずに、長尺のジョイント17Aのみにてキャンセラ11と舵角センサ13を一軸部45A(図10参照)で接続した場合、図9(a)に示すように、キャンセラ11とローテータ15に軸ずれが生じたり、図9(b)に示すように、キャンセラ11が傾斜したりすると、図10に示すように、舵角センサ13のローテータ15内でキャンセラ11が変位し、キャンセラ11とローテータ15とに角度誤差δθ(現行品で2°程度)が発生する。
【0031】
また、図11に示すように、二軸部45B,45Bとした場合では、ローテータ15内でキャンセラ11の変位が規制されることから、角度誤差の発生は無くなるが、軸ずれを吸収できないため、偏摩耗55や異常トルク、異音の発生する虞が生じる。
【0032】
図12(a)は実施の形態の軸ずれ状況を表す縦断面図、(b)は実施の形態の回転体傾斜状況を表す縦断面図、図13は実施の形態の軸ずれ方向の変位を表すジョイントとローテータの横断面図である。
上記比較例に対し、第一の自在継手19、第二の自在継手21を設けた実施の形態による回転コネクタ100では、図12(a)に示すように、キャンセラ11とローテータ15に軸ずれが生じると、軸ずれがジョイント17の傾きで吸収され、駆動側(キャンセラ11)と従動側(ローテータ15)の回転軸が平行となる。これにより、図13に示すように、ジョイント17とローテータ15が同軸に配置されて、角速度の差(回転誤差)がゼロとなる。
【0033】
また、図12(b)に示すように、キャンセラ11が傾斜した場合には、キャンセラ11の傾きがジョイント17の相対的な傾きによって吸収され、図9(b)に示したようなキャンセラ11の傾きによる変位は生じない。但し、駆動側と従動側の両回転軸は交差角を有して交わるため、両回転軸の間に角速度の差(回転誤差)が発生するが、その誤差は僅かなもの(キャンセラ11の傾き0.59°で回転角誤差±0.00152°)となる。
【0034】
以上のように、回転コネクタ100では、第一の自在継手19、第二の自在継手21を備えることにより、回転角誤差に影響するのは、駆動軸(キャンセラ11)、あるいは従動軸(舵角センサ13のローテータ15)の傾きのみとなる。
【0035】
回転コネクタ100の実際の組立においては、駆動軸、従動軸の傾きや、駆動軸、従動軸間の軸ずれが組み合わさることが想定される。本実施の形態に係る回転コネクタ100におけるそれら傾きや軸ずれの吸収作用の一例を説明する。
図14(a)は回転体のみが傾斜した状況の縦断面図、(b)は回転体が傾斜しローテータが左方へ軸ずれた状況の縦断面図、(c)は回転体が傾斜しローテータが右方へ軸ずれた状況の縦断面図である。
キャンセラ11のみが矢印e方向に傾き、駆動軸と従動軸の交差角が0.59°となった場合を図9(a)とする。
【0036】
図14(b)に示すように、キャンセラ11が0.04°傾き、舵角センサ13が左方向へ0.55mm位置ずれした場合には、駆動軸と従動軸の交差角は、同様に0.04°+0.55°=0.59°となる。
【0037】
また、図14(c)に示すように、キャンセラ11が1.940°傾き、舵角センサ13が右方向へ0.55mm位置ずれした場合には、駆動軸と従動軸の交差角は、同様に1.94°−1.35°=0.59°となる。
【0038】
図15(a)は軸部が角ピンであるジョイントとローテータの横断面図、(b)は軸部にR面が形成されたジョイントとローテータの横断面図である。
また、図15(b)に示すように、回転コネクタ100には、軸部45の外周に、軸部45の軸線57上のある点59から等距離のR面(環状の球面)61が形成されている。軸部45は、このR面61で受面39,39に接している。
【0039】
図15(a)に示すように、例えば軸部が同径ピン45Cであると、一方の軸部45を中心としたローテータ15の内周空間で、ジョイント17の変位が干渉63の発生により規制される。このため、軸受部41の他方にはクリアランスを広げる必要が生じ、回転角誤差の要因となる。
【0040】
これに対し、回転コネクタ100によれば、図15(b)に示すように、軸部45,45のR面61に沿って、ジョイント軸受部41の受面39が摺動可能となり、ローテータ15の内周にて、ジョイント17がローテータ中心に対し偏芯する方向で変位可能となる。これにより、軸部45が角ピンや同径ピン45Cである場合に生じる変位時の干渉63が回避できる。この結果、干渉回避のためにクリアランスを拡大する必要がなくなり、回転角誤差を生じなくできる。
【0041】
このように、回転コネクタ100では、キャンセラ11とローテータ15に軸ずれが生じると、キャンセラ11とジョイント17が第一の自在継手19にてある交差角で接続され、ジョイント17とローテータ15が第二の自在継手21にて逆の交差角で接続される。これにより、軸ずれが生じていても、キャンセラ11とローテータ15の両回転軸が平行となり、角速度の差(回転誤差)がゼロとなる。
【0042】
したがって、上記回転コネクタ100によれば、キャンセラ11をジョイント17にてローテータ15に連結し、キャンセラ11とジョイント17を第一の自在継手19にて接続するとともに、ジョイント17とローテータ15を第二の自在継手21にて接続したので、キャンセラ11とローテータ15に軸ずれが生じても、キャンセラ11とローテータ15の回転誤差を無くすことができる。
【符号の説明】
【0043】
11 キャンセラ(回転体)
13 舵角センサ
15 ローテータ
17 ジョイント
19 第一の自在継手
21 第二の自在継手
23 回転体の軸線
25 対向壁
27 摺接突起
27a 摺接面
29 挟持片
29a 挟持面
31 円板部
37 ジョイントの軸線
39 受面
41 軸受部
45 軸部
61 R面
100 回転コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングシャフトに外挿されステアリングホイールと一体回転する環状の回転体と、前記ステアリングシャフトに外挿される舵角センサのローテータと、前記ステアリングシャフトに外挿され前記回転体と該ローテータを連結する筒状のジョイントと、を備える回転コネクタであって、
前記回転体と前記ジョイントが第一の自在継手を介して接続され、
前記ジョイントと前記ローテータが第二の自在継手を介して接続されたことを特徴とする回転コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載の回転コネクタであって、
前記第一の自在継手が、
回転体直径方向両端の外周近傍に設けられ軸線に沿う方向の平行な対向壁と、
該対向壁の間に形成された摺接突起と、
ジョイント一端側内部の直径方向両端に設けられそれぞれの前記摺接突起を外側から挟む一対の挟持片と、
該挟持片に近接して形成され前記平行な対向壁の間に嵌合される円板部と、
からなることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の回転コネクタであって、
前記第二の自在継手が、
ジョイント他端側内部の直径方向両端に設けられ軸線に沿う方向で切り欠かれた平行な受面を有する軸受部と、
ローテータ内周面の直径方向両端から内側に突出されそれぞれの該軸受部に嵌合される一対の軸部と、
からなることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の回転コネクタであって、
前記摺接突起の摺接面、及び前記挟持片の挟持面が球面状に形成されたことを特徴とする回転コネクタ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の回転コネクタであって、
前記軸部の外周に、軸線上のある点から等距離のR面が形成され、
前記軸部が該R面で前記受面に接することを特徴とする回転コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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