説明

回転式充填装置

【課題】 容器に充填される液体の量を低コストで確実に検知することができる回転式充填装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、液体の充填量だけでなく、液体の温度についても管理することのできる回転式充填装置を提供することにある。
【解決手段】 飲料充填機10では、非接触で容器100への液体の充填レベルを検出し、液体充填環境のクリーン化に寄与する。液量検知センサ50では、赤外放射エネルギを検出することで液体の充填レベルを検出することにより、低コストで高精度な検出を行う。
液体の充填量の制御は、液量検知センサ50で液体が所定のレベルまで充填されたことを検出した後、予め設定した所定時間だけ充填を継続するタイマー制御を組み合わせることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水等の液体をPETボトルやガラス瓶、缶等の容器に充填する回転式充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水等の液体をPETボトルやガラス瓶、ボトル缶等の容器に充填する装置として、回転式充填装置が用いられている。この回転式充填装置は、回転する円板の外周部に複数の充填バルブを備えており、円板がほぼ1回転する間に、充填バルブから容器内への充填を行う。
【0003】
容器内に充填された液量を管理するため、容器内に充填された液量を検知する技術が種々提案されている。例えば、容器内にセンサ電極を挿入し、液体がセンサ電極に接触したことを検知することによって、容器内に所定量の液体が充填されたか否かを検出するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかし、近年、無菌充填方式等と称され、クリーンな環境下で液体を容器に充填することで、製品の安全性、品質等を担保する技術の採用が強く要求される傾向にある。このような要求に対し、飲料充填機の各部のサニタリー性を高めるための様々な工夫も行われている中で、センサ電極を液体に接触させることが歓迎されないのは、言うまでもなく明らかである。
そこで、容器への液体の充填量の検知を、非接触で行うことが要求される。
【0005】
これに対し、可視光や近赤外線光を用い、容器に充填された液体により透過光量が減衰することを利用し、非接触で充填量の検知を行うことも行われている。また、液体によって容器表面の温度が変化することを利用し、赤外放射エネルギを、赤外線カメラで撮影することによって、液体の充填量を検知する手法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−130714号公報
【特許文献2】特開2001−116611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、可視光や近赤外線光を用いる場合、充填する容器や液体の色等に応じ、検出感度が低くなることがあり、特に容器が不透明な場合等には、液体の検知自体ができないこともある。
赤外放射エネルギを用いる場合には、このような問題を回避できるものの、この場合には、赤外線カメラは非常に高価であり、コストがかかる、という問題が生じる。
【0008】
また、他の問題として、充填する容器の種類が変更された場合等には、液体の充填量(レベル)も変わることがあるが、このような、いわゆる型替えを行う際には、容器に充填された液体を検知する機構についても位置を変更する必要が生じることがある。従来提案された技術においては、このような点について考慮されたものが見出せない、という問題もある。
【0009】
さらに、容器に充填された液体の検知の目的は、一つには、液体が所定量容器に確認されたか否かの確認という、検査的なものもあるが、他に、液体が所定レベルまで到達したことを検知し、これに基づいて容器への液体の充填停止タイミングを制御する、充填量制御というものがある。近年、キャップ付近にまで液体を充填するようなことも多く、そのような場合には、液面が所定レベルに達したか否か、検知するのが困難なこともある。
【0010】
この他、容器に対する液体の充填量だけでなく、液体の温度を管理することが要求されるケースもあり、このような場合には、液体の充填量を検知するセンサの他に液体の温度を検出するセンサ等が必要となり、装置が複雑になり、装置コストの上昇、信頼性の低下を招きやすい、等の問題が生じることもある。
【0011】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、容器に充填される液体の量を低コストで確実に検知することができる回転式充填装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、液体の充填量だけでなく、液体の温度についても管理することのできる回転式充填装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的のもと、本発明の回転式充填装置は、円板の外周に複数の充填バルブを備え、円板の回転中に、充填バルブに開口部があてがわれた容器内へ充填バルブから液体を注入する回転式充填装置であり、複数の充填バルブのそれぞれに対応する位置に設けられ、容器内に注入された液体のレベルを非接触で検出するセンサと、センサでの検出結果に基づき、充填バルブを制御して容器内への液体の注入を停止させるコントローラと、を備えることを特徴とする。このように、複数の充填バルブのそれぞれに対応して、非接触式のセンサを設けることで、安価なセンサを採用すれば、赤外線カメラ等を用いる場合に比較して、低コストで液体の充填量を検出できる。
このようなセンサとしては、光学式センサ等を用いることもできるが、液体が注入される容器から放射される赤外放射エネルギに基づき、容器内の液体のレベルを検出するものを用いるのが好ましい。液体や容器の色、充填時に発生した泡等に関わらず、確実な検出が行えるからである。
赤外放射エネルギを検出するセンサを用いる場合、このセンサでは、センサにおける赤外放射エネルギの検出位置を目視で確認できるよう、センサにおける赤外放射エネルギの検出位置に可視光を照射する可視光照射部をさらに備えるのが好ましい。これにより、センサの位置調整等が容易に行える。
【0013】
このような回転式充填装置は、所定以上のクリーン度の環境下で、常温以下の温度の液体を充填バルブから注入する、いわゆる無菌充填装置に適用することが可能である。もちろん、液体を高温のまま充填する、いわゆるホット充填方式の回転式充填装置に本発明を適用することも可能であるが、その場合、以下に示すような構成を適用するのが好ましい。
すなわち、ホット充填方式の回転式充填装置の場合、センサでは、容器から放射される赤外放射エネルギに基づき、容器内の液体の温度を検出するようにし、コントローラは、検出された容器内の液体の温度が予め決められた温度以上であるか否かを判定するようにするのである。
ホット充填方式の場合、回転式充填装置は、液体の注入が完了した容器を上下に反転させ、容器内の液体により容器のキャップ内面を殺菌する転倒殺菌機を後段にさらに備える。そこで、コントローラでは、検出された容器内の液体の温度が予め決められた温度以上であると判定されたものを転倒殺菌機で殺菌するようにできる。これにより、充填量制御だけでなく、転倒殺菌の可否の判定・制御までを、一種類のセンサで行うことができる。
【0014】
上記したような本発明の回転式充填装置では、コントローラにおいて、センサにて容器内の所定レベルまで液体が注入されたことを検知した後、予め定められた所定時間だけ、容器内への液体を続行し、所定時間が経過した時点で、容器内への液体の注入を停止させるよう、制御することもできる。これにより、液面が所定レベルに達したか否かの検出が困難な場合にも、液体を所定レベルまで充填することが可能となる。
【0015】
また、複数の充填バルブのそれぞれに対応する位置に設けられた複数のセンサを、リング状の支持部材に設け、この支持部材を、円板に対して昇降可能に設けるようにしてもよい。これにより、複数のセンサの位置検出レベルを同時に変更することができ、型替えに容易に対応できる。もちろん、リング状の支持部材に限らず、支持部材を複数設け、それぞれの支持部材に複数のセンサを取り付け、これら複数の支持部材を昇降可能に設けるようにしても、同様の効果が得られる。
さらに、センサは、充填バルブに対し、円板の内周側に設けるのが好ましい。これにより、回転式充填装置の外周側に位置する搬送スターホイール等、他の装置にセンサが干渉するのを回避できる。
【0016】
本発明は、円板の外周に複数の充填バルブを備え、円板の回転中に、充填バルブに開口部があてがわれた容器内へ充填バルブから液体を注入する回転式充填装置であって、液体が注入される容器から放射される赤外放射エネルギに基づき、容器内の液体のレベルおよび容器内の液体の温度を検出するセンサと、センサでの検出結果に基づき、充填バルブを制御して容器内への液体の注入を停止させる充填制御部と、検出された容器内の液体の温度が予め決められた温度以上であるか否かを判定する液温判定部と、を備えることを特徴とする回転式充填装置とすることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、非接触で容器への液体の充填レベルを検出することができ、液体充填環境のクリーン化に寄与するとともに、液体充填制御を高精度に行うことができる。また、センサで、赤外放射エネルギを検出して液体の充填レベルを検出するようにすれば、容器や液体の色、充填時に発生した泡等に関わらず、高精度な検出が行える。しかも、赤外線カメラではなく、放射温度センサをセンサとして採用し、複数の充填装置のそれぞれに対応してセンサを設けることで、その装置コストを大幅に低コストなものとすることができる。
また、本発明によれば、液体の充填量だけでなく、液体の温度についても検知することで、転倒殺菌の可否を判定することも可能となる。この場合、センサは、液量検知と、液体の温度検知の2つの機能を兼ねるものとなるので、コスト低減効果は一層顕著なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
〔第一実施形態〕
図1は、本実施の形態における飲料充填機10の全体構成を説明するための図である。図1に示す、第一実施形態における飲料充填機10は、主に無菌充填方式に適用されるものである。
図1に示すように、飲料充填機10は、容器をすすぐすすぎリンサ20、容器に液体を充填するフィラ(回転式充填装置)30、液体が充填された容器にキャップを装着するキャッパ40を主に備えている。
これらすすぎリンサ20、フィラ30、キャッパ40間には、搬送スターホイール45等が設けられ、これによって、容器の受け渡し等が行われるようになっている。
【0019】
無菌充填方式の場合、このような飲料充填機10は、その全体が所定以上のクリーン度に維持されたクリーンルーム内に設置されるとともに、すすぎリンサ20に供給される容器、キャッパ40に供給されるキャップ、フィラ30に供給される液体等は、各種殺菌機にて事前に殺菌されるようになっている。
【0020】
図2に示すように、フィラ30は、図示しない駆動モータによって一方向に回転駆動される回転テーブル31を備えている。回転テーブル31には、その外周に円周方向に沿って多数の充填バルブ32が備えられている。各充填バルブ32では、容器100を保持した状態で、容器100内に液体を充填できるようになっている。充填バルブ32に対しては、回転テーブル31の上方に配置されたタンク33から、液体供給管34を介して液体が供給される。各充填バルブ32は、図示しないコントローラによりその作動が制御され、液体の供給開始・供給停止が行われるようになっている。
【0021】
このようなフィラ30において、回転テーブル31は回転し、所定の位置にて、すすぎリンサ20側から供給された容器100が充填バルブ32に保持され、容器100の開口部が充填バルブ32のノズルにあてがわれる。容器100を保持した充填バルブ32は、回転テーブル31がほぼ1回転する間に、タンク33から供給された液体を容器100に充填し、所定の位置にて、液体が充填された容器100を解放する。充填バルブ32から解放された容器100は、後工程のキャッパ40側に送り出され、キャップが装着される。
【0022】
さて、フィラ30においては、容器100に充填された液の量(レベル)を検知するため液量検知センサ50が設けられている。この液量検知センサ50は、非接触で容器100に充填された液量を検知する。
非接触式の液量検知センサ50としては、可視光や近赤外光等を発し、容器100に照射する光源と、光源から容器100に照射された光の反射光、透過光を受光する受光素子とを備えた光学式センサを用いることもできるが、可視光や近赤外線光を用いる場合、容器100の色は充填する液体の色等に応じ、検出感度が低くなることがある。このため、液量検知センサ50として、赤外放射エネルギを検出する、サーモパイル、焦電型素子等の放射温度センサを用いるのが好ましい。
【0023】
液量検知センサ50は、回転テーブル31に、充填バルブ32と同数が設けられている。個々の液量検知センサ50は、各充填バルブ32に対応した位置に配置され、回転テーブル31に取り付けられている。
ここで、これら複数の液量検知センサ50は、回転テーブル31の下方に設けられたリング状の支持部材51に取り付けられている。支持部材51は、回転テーブル31に取り付けられた充填バルブ32の内周側に設けられており、これによって各液量検知センサ50は、充填バルブ32の内周側から、検知を行うようになっている。
支持部材51は、ボールネジ、シリンダ等の昇降機構52により、回転テーブル31に対し、上下動可能に設けられている。これによって、液量検知センサ50は、充填バルブ32に保持される容器100に対し、その上下方向のレベルを変更できるようになっている。
【0024】
図3に示すように、液量検知センサ50は、位置合わせ用の可視光を照射する可視光照射部53を備えている。可視光照射部53は、LED、レーザダイオード(LD)等の発光体53aと、発光体53aで発した可視光Bを、液量検知センサ50における検知方向に合致させるためのハーフミラー、レンズ等の光学系53bとから構成され、液量検知センサ50における検知方向の中心軸位置に、発光体53aで発光した可視光Bを照射できるようになっている。このような可視光照射部53で可視光Bを発生することにより、液量検知センサ50での検出位置の調整等を、目視により容易に行うことができるようになっている。
【0025】
さて、このような液量検知センサ50では、この液量検知センサ50に対向した充填バルブ32に保持された容器100に、充填バルブ32によって充填された液体が、所定レベルまで充填されたか否かを検出する。例えば赤外放射エネルギを検出する液量検知センサ50の場合であれば、容器100の所定位置に向けて液量検知センサ50はセットされ、この状態で、容器100の表面から発せられる赤外放射エネルギを検出している。容器100に液体が充填されると、液体の温度によって容器100の表面も変化する。一般に、液体の充填時、無菌充填方式の場合、液体は5℃以下、ホット充填方式の場合概ね80℃以上であり、常温(概ね20℃前後)とは15℃以上の隔たりがある。したがって、容器100の所定位置において赤外放射エネルギを液量検知センサ50で検出していると、図4に示すように、液体が、その位置まで充填されたときに、センサ出力(検出される赤外放射エネルギ)が大きく変化することが検出できる。
飲料充填機10のコントローラ(図示無し)では、赤外放射エネルギの変化量が、予め定めたしきい値よりも大きくなった時点で、液体が容器100に所定レベルまで充填されたと判定し、充填バルブ32を閉じ、容器100への液体の充填を停止させる。
このようにして、液量検知センサ50で、容器100への液体の充填量を制御することができる。
【0026】
このとき、飲料充填機10のコントローラ(図示無し)では、液量検知センサ50で液体が容器100に所定レベルまで充填されたと判定した後も、予め設定した所定時間だけ、液体の充填を続行させるタイマー制御を行うこともできる。このようにすれば、例えば、容器100の口部近傍にまで液体を充填するとき等、そのレベルが、飲料充填機10の他の部分と干渉して液量検知センサ50での検知が行えないような位置となる場合であっても、充填液量の確実な制御が可能となる。
【0027】
上述したようにして、飲料充填機10では、非接触で容器100への液体の充填レベルを検出することができ、液体充填環境のクリーン化に寄与するとともに、液体充填制御を高精度に行うことができる。また、液量検知センサ50で、赤外放射エネルギを検出することで液体の充填レベルを検出するので、容器100や液体の色、充填時に発生した泡等に関わらず、高精度な検出が行える。しかも、赤外線カメラではなく、サーモパイル、焦電型素子等の放射温度センサを液量検知センサ50として採用することで、その装置コストを大幅に低コストなものとすることができる。
また、液体の充填量の制御は、液量検知センサ50で液体が所定のレベルまで充填されたことを検出した後、予め設定した所定時間だけ充填を継続するタイマー制御を組み合わせることもできる。このようにすれば、液量検知センサ50の設置位置等の自由度が高まり、上記高精度な液体充填量制御を、より広い範囲に適用できる。
【0028】
しかも、複数の充填バルブ32のそれぞれに対応するように設けられた液量検知センサ50は、リング状の支持部材51に支持され、この支持部材51は昇降機構52により上下動が可能になっている。これによって、容器100の種類等に応じ、液量検知センサ50で液体の充填レベル検出を行う高さを変更する際に、全ての液量検知センサ50を一括して移動させることができ、段替え作業を容易に行うことが可能となる。
また、液量検知センサ50に、可視光Bを発する可視光照射部53を備えるようにすれば、液量検知センサ50での検出位置の位置調整等を、目視により容易に行うことが可能となる。
【0029】
上記したような第一実施形態における構成は、無菌充填方式に限らず、通常の、いわゆるホット充填方式等においても同様に適用することが可能である。
【0030】
[第二実施形態]
次に、本発明を、ホット充填方式の飲料充填機60に適用する場合の例を示す。なお、以下に説明する第二実施形態において、上記第一実施形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
図5に示すように、飲料充填機60は、容器100をすすぐすすぎリンサ20、容器100に液体を充填するフィラ30、液体が充填された容器100にキャップを装着するキャッパ40、転倒殺菌機70を主に備えている。すすぎリンサ20、フィラ30、キャッパ40間には、搬送スターホイール45等が設けられ、これによって、容器100の受け渡し等が行われるようになっている。
【0031】
この飲料充填機60では、フィラ30にて、所定以上の温度の液体を容器100に充填する。転倒殺菌機70にて、容器100に装着されたキャップの内面を、高温の液体で殺菌するためである。
図6に示すように、転倒殺菌機70は、フィラ30で液体が充填され、キャッパ40でキャップが装着された容器100を受け取り、これを搬送する過程で、容器100の上下を反転させる。これにより、容器100内の液体がキャップの裏側に接触し、殺菌が行われるようになっている。
【0032】
このような飲料充填機60においては、フィラ30は、基本的に、上記第一実施形態と共通の構成を有する。
すなわち、図2に示したように、フィラ30には、容器100に充填された液の量(レベル)を検知するため液量検知センサ50が、回転テーブル31に、充填バルブ32と同数が設けられている。
本実施形態の飲料充填機60においては、液量検知センサ50は、赤外放射エネルギを検出する、サーモパイル、焦電型素子等の放射温度センサによって構成されている。
これらの液量検知センサ50は、回転テーブル31に、昇降機構52を備えた支持部材51を介して取り付けられており、これによって、液量検知センサ50は、充填バルブ32に保持される容器100に対し、その上下方向のレベルを変更できるようになっている。
また、この液量検知センサ50は、位置合わせ用の可視光照射部53を備えることもできる。
【0033】
さて、このような液量検知センサ50では、この液量検知センサ50に対向した充填バルブ32に保持された容器100に、充填バルブ32によって充填された液体が、所定レベルまで充填されたか否かを、容器100から放射される赤外放射エネルギを検出することで検知する。そして、飲料充填機60のコントローラ(図示無し)では、充填制御部として機能し、赤外放射エネルギの変化量が、予め定めたしきい値よりも大きくなった時点で、液体が容器100に所定レベルまで充填されたと判定し、充填バルブ32を閉じ、容器100への液体の充填を停止させるようになっている。
この場合も、飲料充填機60のコントローラ(図示無し)では、液量検知センサ50で液体が容器100に所定レベルまで充填されたと判定した後も、予め設定した所定時間だけ、液体の充填を続行させるタイマー制御を行うこともできる。
【0034】
本実施形態の飲料充填機60においては、液量検知センサ50では、容器100から放射される赤外放射エネルギに基づき、容器100内の液体の温度を検出する。その検出タイミングは、特に限定する意図はないが、例えば、液体が容器100の所定レベルまで充填されたと判定されたタイミングとすることができる。
そして、飲料充填機60のコントローラ(図示無し)では、液温判定部として機能し、容器100内の液体の温度が、予め定めた所定以上の温度であるか否かを判定し、所定以上の温度であるときには、正常であるとして、後工程のキャッパ40に向けて容器100を搬送する。一方、容器100内の液体の温度が、予め定めた所定以上の温度では無かった場合は、この容器100を、不良品として適宜タイミングで排出するように制御する。これは、容器100内の温度が規定値よりも低いと、後工程の転倒殺菌機70にて容器100を反転して容器100内の液体をキャップの内面に接触させても、所定の殺菌効果が得られず、品質を保証できないからである。
【0035】
このような飲料充填機60においても、上記第一実施形態の飲料充填機10と同様の効果を得ることができ、さらに加えて、液量検知センサ50で、容器100内の液体の温度を検知することで、転倒殺菌機70で所定の殺菌を行えるか否かを判定することも可能となる。しかも、このように、液量検知センサ50は、液量検知と、液体の温度検知の2つの機能を兼ねるものとなるので、コスト低減効果は一層顕著なものとなる。
【0036】
なお、上記実施の形態において、飲料充填機10、60について説明したが、装置各部の詳細な構成については、上記実施形態に示したものに限らず、適宜他の構成を採用することが可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第一実施形態における充填装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】フィラに備えたセンサを示す断面図である。
【図3】センサに備えた可視光照射部を示す図である。
【図4】センサ出力の例を示す図である。
【図5】第二実施形態における充填装置の全体構成を示す平面図である。
【図6】転倒殺菌機を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
10、60…飲料充填機、30…フィラ(回転式充填装置)、31…回転テーブル、32…充填バルブ、50…液量検知センサ、51…支持部材、52…昇降機構、53…可視光照射部、70…転倒殺菌機、100…容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板の外周に複数の充填バルブを備え、前記円板の回転中に、前記充填バルブに開口部があてがわれた容器内へ前記充填バルブから液体を注入する回転式充填装置であって、
複数の前記充填バルブのそれぞれに対応する位置に設けられ、前記容器内に注入された液体のレベルを非接触で検出するセンサと、
前記センサでの検出結果に基づき、前記充填バルブを制御して前記容器内への液体の注入を停止させるコントローラと、
を備えることを特徴とする回転式充填装置。
【請求項2】
前記センサは、液体が注入される前記容器から放射される赤外放射エネルギに基づき、前記容器内の液体のレベルを検出することを特徴とする請求項1に記載の回転式充填装置。
【請求項3】
前記センサは、前記センサにおける赤外放射エネルギの検出位置に可視光を照射する可視光照射部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の回転式充填装置。
【請求項4】
所定以上のクリーン度の環境下で、常温以下の温度の液体を前記充填バルブから注入することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の回転式充填装置。
【請求項5】
前記センサは、前記容器から放射される赤外放射エネルギに基づき、前記容器内の液体の温度を検出し、
前記コントローラは、検出された前記容器内の液体の温度が予め決められた温度以上であるか否かを判定することを特徴とする請求項2または3に記載の回転式充填装置。
【請求項6】
液体の注入が完了した前記容器を上下に反転させ、前記容器内の液体により前記容器のキャップ内面を殺菌する転倒殺菌機を後段にさらに備え、
前記コントローラは、検出された前記容器内の液体の温度が予め決められた温度以上であるものを前記転倒殺菌機で殺菌することを特徴とする請求項5に記載の回転式充填装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記センサにて前記容器内の所定レベルまで液体が注入されたことを検知した後、予め定められた所定時間だけ、前記容器内への液体を続行し、前記所定時間が経過した時点で、前記容器内への液体の注入を停止させることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の回転式充填装置。
【請求項8】
複数の前記充填バルブのそれぞれに対応する位置に設けられた複数の前記センサは、リング状の支持部材に設けられ、
前記支持部材は、前記円板に対して昇降可能に設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の回転式充填装置。
【請求項9】
前記センサは、前記充填バルブに対し、前記円板の内周側に設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の回転式充填装置。
【請求項10】
円板の外周に複数の充填バルブを備え、前記円板の回転中に、前記充填バルブに開口部があてがわれた容器内へ前記充填バルブから液体を注入する回転式充填装置であって、
液体が注入される前記容器から放射される赤外放射エネルギに基づき、前記容器内の液体のレベルおよび前記容器内の液体の温度を検出するセンサと、
前記センサでの検出結果に基づき、前記充填バルブを制御して前記容器内への液体の注入を停止させる充填制御部と、
検出された前記容器内の液体の温度が予め決められた温度以上であるか否かを判定する液温判定部と、
を備えることを特徴とする回転式充填装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−240658(P2006−240658A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57473(P2005−57473)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】