説明

回転式噴霧機構を備えた冷房装置

【課題】 本発明は、回転しながら水をノズルから噴射することによってノズルや配管への霧の付着を防止して水滴の落下を防ぎ、併せて回転のための動力を前記ノズルからの噴霧水の反力により得る、簡易な構造で省エネに貢献するオープンスペース又は大規模スペースに適合した冷房装置の提供を課題とするものである。
【解決手段】 加圧された水を微細な霧として大気中に噴射する噴霧機構が、送水管に回動可能に接続されるロータリージョイントに固着された分水器と、分水器の側面に設けた複数の通水孔に接続される複数の噴霧水導管と、その先端に取り付けられたノズルとからなり、前記噴霧水導管が分水器との接続部付近で浅く下方に、ノズル装着部近傍でノズルの回転軌道円の接線方向、又は接線方向から外側に離れる向きに折り曲げられ、ノズルからの噴霧水の反力により回転するよう構成された回転式噴霧機構を備えた冷房装置による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微細な霧を大気中に噴射して、屋外や半屋外のオープンスペース、あるいは工場構内等の大規模スペースを冷却する回転式噴霧機構を備えた冷房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外や半屋外のオープンスペース、あるいは工場構内等の大規模スペースを冷却する場合、柱の上や天井に配設した複数のノズルから細かな水滴を噴射し高温の空気中で蒸発する際の気化熱を利用することがある。このとき、噴霧した水滴が人や物に当たって濡らすことがないように6MPa程度まで水圧を高めて特殊なノズルにより水を微粒化して噴射し、ノズルから人や物に到達する距離の間に高温空気により完全に気化して、人や物の表面に水滴を凝縮しないようにすることが行われる。
しかし、屋外や半屋外のオープンスペースにこの噴霧装置が配設された場合には、噴霧した水が風に流され、風向きによっては想定した蒸発距離が確保できず、さらに内部を流通する冷たい噴霧水で表面が冷やされた前記ノズルや該ノズルへの噴霧水供給配管表面等に付着又は凝縮し、水滴となって冷房対象空間に落下して人や物を濡らすおそれがある。
そこでこの不具合を防ぐために、特開2006−177575号公報(特許文献1)には、
「加圧された水をミストとして噴霧して対象の空間の温度を低下する降温用噴霧システムにおいて、1つの端部に設けられたオリフィスから上記オリフィスを頂点とした錐状噴霧領域に上記加圧された水をミストとして噴霧するノズルと、上記噴霧ノズルの他の端部に接続され、上記加圧された水を上記噴霧ノズルに配水する配水管と、が備えられ、上記錐状の噴霧領域の中心線が、上記オリフィスからミストが噴霧される方向に向かって上記オリフィスを横切る水平面に対して下向きに上記噴霧領域の噴角の半分以上傾けられている、又は、上記水平面に対して上向きに上記噴霧領域の噴角の半分に角度5度を加算した値以上に傾けられたことを特徴とする降温用噴霧システム」
の発明が開示されている。
そしてこの発明は、明細書の段落[0009]〜[0010]、及び[図1]に記載されているように、ミストを噴霧する噴霧ノズルは地上から縦立された柱の先端、又は天井から吊り下げて設置された噴霧ヘッダから所定の距離離すための6本の延長配管の先端に設けられている。そして噴霧ノズルの設置高度は、ミストの平均粒径及び最大粒径に依存して定められるとしながらも「4mである」と明示されている。
このような高度に設置された噴霧ノズルのオリフィスの向きを、設置後変更することは困難であり、設置時に設置地点の夏期における風向、風速等のデータを収集するなどの事前作業が必要となる。また、噴霧ヘッドの位置が固定されているため、無風時においても冷房対象範囲に均等にミストを噴霧することができないという問題があった。
特許文献1のように、噴霧ノズル位置が固定されている場合には、半屋内など屋外のように風が発生しない対象空間では、噴霧ノズルから噴出される微細水滴は、同じ空間に次々と供給されるので、この微小空間はすぐに飽和水蒸気圧となり、潜熱を利用した蒸発冷却が進行しなくなる現象が生じる。つまり、理想的な蒸発速度での微細水滴の蒸発には程遠い状態になる。もっとも、対象空間に風が全く生じなくなる頻度は少なく、水滴の噴霧によって周囲の空気が誘引されたり、対象空間の空気熱分布に差異が付くことによる対流などが引き起こされたりして、対象空間の微小な部分の空気の入れ替えは発生するが、その起動力が小さくて空気の入れ替わりが少ないと、程度の差こそあれ上記現象が発生する。
【0003】
上記発明のように大気中に直接ミストを噴霧して気化させるためには、4m程度の距離を必要とする。このミストの気化距離を短縮する方法として、特開2008−175520号公報(特許文献2)には、
「一方に外気取入口、他方に吹出口を形成した縦置き又は横置きの円筒形もしくは矩形筒形の加湿空気創成用通路(以下円筒形通路という)内に前記外気取入口側に向かって噴霧する少なくとも1つの水噴霧ノズル又は複数の水噴霧ノズルを備えたノズル組立体を配置し、前記ノズルの噴霧方向とファンにより搬送される空気流れ方向とが対向するよう前記円筒形通路の下流にファンを設け、前記外気取入口近くの円筒形通路に乾球温度計又は相対湿度計のいずれかと湿球温度計とを配置して、前記乾球温度計又は相対湿度計のいずれかと湿球温度計の検出値に基づき前記ノズル組立体の噴霧水量を制御して前記吹出口から冷風を供給するようにしたことを特徴とする冷房装置」
の発明が開示されている。
即ちこの発明では、ファンによって円筒形通路内に取り入れられた空気流に逆らう方向に噴霧ノズルから高圧水を噴霧することによって気化距離を短縮し、円筒通路内で完全に気化して吹出口からはミストを含まない冷風を供給するものであり、かつ外気取入口近くに配置した温湿度センサ等で検出した値から入口空気の状態値を演算し、前記入口から取り入れた空気中に蒸発しうる水分量しか噴霧しないようにし、また雨天時など外気が湿潤な場合は、ミストによる水の潜熱冷房は期待できず、その湿潤な空気を人に当てるとかえって不快になるおそれがあるので、前記外気の状態を監視しその状況に応じて自動的にファンや高圧ポンプを停止することで快適化と省エネ、及び水の垂れ防止等の効果を発揮できるとしている。
しかしこの発明においては、取り入れる外気の状態に応じてファンを自動的に駆動停止できるとしているが、対象空間の空気の入れ替えを積極的に行うことで微小空間での微細水滴の蒸発速度は理想状態に近づき、気化熱による冷却が良好になるもののファンの動力は必要であり、そのための設備は準備しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−177575号公報
【特許文献2】特開2008−175520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記周辺技術の現状に鑑みてなされたもので、垂設された送水管を中心に水平方向へ延設した配管が回転しそれに伴い回転する配管先端に設置されたノズルから噴射された微小な水滴が、潜熱蒸発させようとする対象空間におけるノズルの回転移動によって分散され、対象空間の微分的な微小部分でみれば、空気が入れ替わる間に水滴が少しずつ供給され、且つその対象空間が、ノズルが固定されている場合に比べて拡がることとなり、ノズルから噴出された微小な水滴が対象空間の微分的な微小部分において理想的な蒸発速度で潜熱蒸発するので、先行技術のようにノズルから噴出された微小な水滴が飽和蒸気圧となった対象空間の微分的な微小部分を蒸発せずに飛行していく虞が無くなり、ノズルや該ノズルへの配管表面に前記微少な水滴が付着し、水滴となって冷房対象空間に落下して人や物を濡らすことを防止するとともに、噴霧した微小な水滴を、ノズルが回転することで拡がった対象空間内の対流などで入れ替わる周囲空気に分散させるだけでなく、噴霧ノズルの回転で噴霧に誘引される旋回空気流により積極的に乾いた空気と混合させて噴霧水の気化距離を短縮し、併せて噴霧ノズル回転のための動力を前記ノズルからの噴霧水の反力により得ることとし、簡易な構造で省エネに貢献するオープンスペース又は大規模スペースに適合した冷房装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を下記の手段により解決した。
(1)微細な水滴を空気中に噴射し、その空気中への蒸発による気化熱で屋外や半屋外のオープンスペース、あるいは工場構内等の大規模スペースを冷却する噴霧冷房装置において、
ポンプで加圧され送水管を介して供給された水を微細な水滴として空気中に噴射する噴霧機構が、垂設された送水管と、その下端部に水平方向に回動可能に外側他端の通水孔以外封水されて接続されるロータリージョイントと、該ロータリージョイントの他端に固着され側面に複数の通水孔を穿設してなる分水器と、該分水器の通水孔に放射状に突出して接続された複数の噴霧水導管と、該噴霧水導管の先端に取り付けられたノズルとからなり、かつ、前記噴霧水導管が、分水器との接続部付近で浅い角度で下方に折り曲げられ、またノズル装着部近傍で前記ノズルの回転軌道円の接線方向、もしくは前記接線方向から外側に離れる向きの角度で折り曲げられ、前記ノズルからの噴霧水の反力により前記噴霧機構が回転するよう構成されてなることを特徴とする回転式噴霧機構を備えた冷房装置。
(2)前記噴霧水導管の先端に取り付けられた複数のノズルが、前記ロータリージョイントの回転によって所定位置に達したとき、何れのノズルも同一方向に水を噴射するよう構成されてなることを特徴とする前項(1)に記載の回転式噴霧機構を備えた冷房装置。
(3)噴霧水量に応じて前記分水器の側面に接続する噴霧水導管の数を調節できるよう、前記噴霧水導管を分水器に着脱可能にしてなり、前記噴霧水導管が接続されない通水孔は、ねじなどの閉鎖具によって塞ぐよう構成されてなることを特徴とする前項(1)に記載の回転式噴霧機構を備えた冷房装置。
(4)噴霧水導管が、分水器の側面に穿設された通水孔に回動可能に接続できる管継ぎ手を備え、前記ノズルの噴射角度を水平から俯角方向に調節して、噴霧機構の回転速度を調整可能にしてなることを特徴とする前項(1)又は(3)に記載の回転式噴霧機構を備えた冷房装置。
(5)噴霧導水管の途中に下方に向けて噴霧する1又は複数のノズルを装着してなることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載の回転式噴霧機構を備えた冷房装置。
(6)噴霧水導管に沿わせてファン用羽根を装着し、又は分水器の下部にファン用羽根を複数枚装着してなり、噴霧機構(1)が回転することによってファン用羽根(9)が一体となって回転することで下方又は上方への気流を起こし、噴出した微小水滴の拡散効果が促進されるよう構成されてなることを特徴とする前項(1)〜(5)のいずれか1項に記載の回転式噴霧機構を備えた冷房装置。
(7)前記ファン用羽根が、そのひねり角度を反転する反転機構を介して取り付けられ、前記気流の向きを上方又は下方に切り替え可能にしてなることを特徴とする前項(6)に記載の回転式噴霧機構を備えた冷房装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の回転式噴霧機構を備えた冷房装置によって、下記の効果が発揮される。
〈1〉ポンプで加圧され送水管を介して供給された水を微細な水滴として空気中に噴射する噴霧機構が、垂設された送水管と、その下端部に水平方向に回動可能に接続されるロータリージョイントと、該ロータリージョイントの他端に固着され側面に複数の通水孔を穿設してなる分水器と、該分水器の通水孔に放射状に突出して接続された複数の噴霧水導管と、該噴霧水導管の先端に取り付けられたノズルとからなり、かつ、前記噴霧水導管が、分水器との接続部付近で浅い角度で下方に折り曲げられ、またノズル装着部近傍で前記ノズルの回転軌道円の接線方向、もしくは前記接線方向から外側に離れる向きの角度で折り曲げられていることで、噴霧された水滴はその次に噴霧された水滴とは異なる微小な部分空間に噴出することとなり、対象空間を微小に見てもすぐに飽和蒸気圧の状態にならず、理想的な蒸発速度に近くなるので、短い噴出後の気化距離で、水滴は完全に気化できることとなり、ノズルから噴霧された微細な水滴が前記噴霧水導管に付着せず、したがって水滴となって冷房対象空間に落下して人や物を濡らすおそれがなくなる。
また前記噴霧機構が、前記ノズルからの噴霧水の反力により前記噴霧機構が回転するので、回転に何らの動力源を必要とせず、簡単な構造で操作の容易な、かつ省エネに貢献できるオープンスペースや大規模スペースに適合した冷房装置が得られる。
〈2〉上記〈1〉の効果に加えて、ノズル自体が回転するので、設置時にその地点の風向や風速の傾向を見定めて噴霧方向を調整する必要がなく、またノズルの噴射反力による回転によって、噴霧水導管などの物体移動による渦発生や水滴の噴霧による周囲空気の誘引により周囲の空気の流れを乱すので噴霧水と空気が積極的に混合し、噴霧水の気化が促進され、気化距離が短縮される。
【0008】
〈3〉前記噴霧機構の前記噴霧水導管が、前記分水器の通水孔に着脱可能にされてなり、かつ前記噴霧水導管が接続されない通水孔は、ねじなどの閉鎖具によって塞ぐように構成されているので、噴霧水量に応じて噴霧水導管の数を調節することができる。
また、前記噴霧水導管が、分水器の側面に穿設された通水孔に回動可能に接続できる管継ぎ手を介して接続され、前記ノズルの噴射角度を水平から俯角に調節できるので、噴霧水量や噴霧角度、及び噴霧機構の回転速度を冷房対象空間に最適な値に選定でき、さらに前記ノズルの設置高さの制限を緩和することができる。
〈4〉噴霧導水管の途中に下方に向けて噴霧する1又は複数のノズルを装着しているので、冷房装置の直下への噴霧が可能となり噴霧水の気化による冷房効果が一層高まる。
【0009】
〈5〉噴霧水導管に沿わせてファン用羽根を装着し、又は分水器の下部にファン用羽根を複数枚装着しているので、噴霧機構(1)の回転によって(下方又は上方への)気流が生じ、噴霧水が拡散されるため、噴霧水の気化が促進され冷房効果が高まる。
〈6〉前記ファン用羽根が、そのひねり角度を反転可能に取り付けられ、前記気流の向きを上方又は下方に切り替えられるので、周囲の気温に応じて気流の向きを変え、噴霧による冷房をより効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の回転式噴霧機構を備えた冷房装置における噴霧機構の構成斜視図
【図2】図1に示した回転式噴霧機構の上面図(a)及び側面図(b)
【図3】噴霧水導管を通水孔に回動可能に接続する管継ぎ手を設けた噴霧機構の側面図
【図4】噴霧水導管の途中に下向きのノズルを備えた噴霧機構の側面図
【図5】ファン用羽根を装着した噴霧機構の構成を示す断面図
【図6】ファン用羽根のひねり角度を反転させて気流を上下に反転可能にした噴霧機構の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の回転式噴霧機構を備えた冷房装置を実施するための形態を実施例の図に基づいて説明する。
図1は本発明の回転式噴霧機構を備えた冷房装置における噴霧機構の構成斜視図、図2は図1に示した回転式噴霧機構の上面図(a)及び側面図(b)、図3は噴霧水導管を通水孔に回動可能に接続する管継ぎ手を設けた噴霧機構の側面図、図4は噴霧水導管の途中に下向きのノズルを備えた噴霧機構の側面図、図5はファン用羽根を装着した噴霧機構の構成を示す断面図、図6はファン用羽根のひねり角度を反転させて気流を上下に反転可能にした噴霧機構の構成を示す断面図である。
図において1は噴霧機構、2はロータリージョイント、3は分水器、4は通水孔、5は噴霧水導管、6、6’はノズル、7は閉鎖具、8は管継ぎ手、9はファン用羽根、10は送水管、11は傘を示す。
【実施例1】
【0012】
本発明の回転式噴霧機構を備えた冷房装置は、ポンプ(図示せず)で加圧され送水管10を介して供給された水を微細な水滴を空気中に噴射する噴霧機構1が、図1及び図2に示すように、垂設された送水管10と、送水管10の下端部に固定される本体により図示しない内部の繋結回転軸管(上部に上下方向に水の通る開口、下部に後述する分水器の側面通水孔に向かう開孔を備えた中空の管)を、その上方下方をベアリングで本体内に回転可能に支持し、上下に水封を実現するパッキングで摺動封止されることで水平方向に回動可能に接続されるロータリージョイント2と、該ロータリージョイント2の他端(繋結回転軸管の他端)に固着され側面に複数の通水孔4を穿設して外側他端の通水孔以外封水されてなる分水器3と、該分水器3の通水孔4に放射状に接続された複数の噴霧水導管5と、該噴霧水導管5の先端に取り付けられたノズル6とからなり、かつ、前記噴霧水導管5が、分水器3との接続部付近で浅い角度αで下方に折り曲げられ、またノズル装着部近傍で前記ノズル6の回転軌道円の接線方向、もしくは前記接線方向から外側に離れる向きの角度θで折り曲げられ、前記ノズル6からの噴霧水の反力により前記噴霧機構1が回転するよう構成されている。
また、前記噴霧水導管(5)の先端に取り付けられた複数のノズル(6)が、前記ロータリージョイント(2)の回転によって所定位置に達したとき、何れのノズル(6)も同一方向に水を噴霧するよう構成されている。
そして、必要な噴霧水量に応じて前記分水器3の側面に接続する噴霧水導管5の数を調節できるよう、前記噴霧水導管5を分水器3に着脱可能にしてなり、前記噴霧水導管5が接続されない通水孔4は、ねじなどの閉鎖具7によって塞ぐようにされている。
図1及び図2では、噴霧水導管5を4本として図示したが、2又は3本であってよく、さらにもっと多数でもよく、そのため図2では通水孔4を30度間隔で穿設した場合を示したが、この形状に限られるものではない。
【0013】
また、噴霧量を一定にして噴霧機構1の回転速度を調節するため、図3に示すように、噴霧水導管5を通水孔4に回動可能でどの位置でも締結可能に接続できる管継ぎ手8を介して分水器3の側面に穿設された通水孔4に接続し、前記ノズル6の噴射角度βを水平から俯角方向に調節可能にしておくことも好ましい。
さらに、図4に示すように、噴霧導水管5の途中に下方に向けて噴霧する1又は複数のノズル6’を装着し前記噴霧機構1の直下にも噴霧可能にして冷房効果を高めることも好ましい。
【実施例2】
【0014】
本発明の回転式噴霧機構を備えた冷房装置の第2の実施例は、図5に示すように、前記実施例1で説明した噴霧機構1に、周辺の空気を上方又は下方へ流れる気流を発生させるためのファン用羽根9を設け、周囲の気温に応じて気流の向きを変え、噴霧による冷房をより効果的に行おうとするものである。
ファン用羽根9は図5(a)に示すように、分水器3の下部に複数枚、あるいは図5(b)に示すように、前記噴霧水導管5の下部にそれぞれ1枚ずつ取り付けられている。
そして、分水器3の下部に取り付けられる複数枚のファン用羽根9については、前記分水器3の下方に延設される軸下端のボス部分側面にファン用羽根9の根元部分が差し込める複数の溝が、例えば中央から放射状に5方向に切ってあり、その溝にファン用羽根9の根元を差込んで装着するよう構成されている。なおこの溝は、ファン用羽根9を反転しても差し込めるよう形成されていることが好ましい。
また、前記噴霧水導管5の下部には、例えばその根元位置と先端位置にそれぞれ2本のボルト状に雄ネジを施されたツノを下方に突出させてなり、またファン用羽根9には前記噴霧水導管5のツノの位置に相当する位置に前記ツノを挿通する貫通孔を設け、表裏どちら側からでも前記ツノを差し込め、前記ツノの先端にナットで固定ができる構造としておくことが好ましい。
このように、いずれのファン用羽根9もそのひねり角度を反転させられるように反転機構を介して取り付けられ、前記ファン用羽根9の回転によって生じる気流を上下に反転させられるようにしておくことが好ましい。併せて前記噴霧機構1の上方に傘11を設けて、上方への気流を前記傘11によって下方に反射させるようにしている。
このことによって、図6(a)に示すように、上層の空気が暑く淀んでいる場合には上方への気流を起こして淀んだ空気を擾乱させてノズルから吹き出す噴霧水と積極的に混合させて噴霧水の気化熱によって冷却して、冷却した気流を冷房対象空間に導き、また一方、図6(b)に示すように、上層の温度がさほど高くない場合は、下方への気流とし、冷却された空気の流れを直接当てることによって、より涼風感を与えることができ、いずれの場合にも快適な冷房空間を提供できる。
なお、前記ファン用羽根9の回転は、噴霧機構1のノズル6から噴射される噴霧水の反力で行われるので、ファン用の羽根9の回転に他の動力源を必要とせず、省エネの効果も期待できる。
【符号の説明】
【0015】
1:噴霧機構
2:ロータリージョイント
3:分水器
4:通水孔
5:噴霧水導管
6、6’:ノズル
7:閉鎖具
8:管継ぎ手
9:羽根
10:送水管
α:噴霧水導管の分水器接続部付近での下方への折り曲げ角度
β:ノズルの噴射角度
θ:噴霧水導管のノズル装着部近傍での折り曲げ角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細な水滴を空気中に噴射し、その空気中への蒸発による気化熱で屋外や半屋外のオープンスペース、あるいは工場構内等の大規模スペースを冷却する冷房装置において、
ポンプで加圧され送水管(10)を介して供給された水を微細な水滴として空気中に噴射する噴霧機構(1)が、垂設された送水管(10)と、その下端部に水平方向に回動可能に外側他端の通水孔以外封水されて接続されるロータリージョイント(2)と、該ロータリージョイント(2)の他端に固着され側面に複数の通水孔(4)を穿設してなる分水器(3)と、該分水器(3)の通水孔(4)に放射状に突出して接続された複数の噴霧水導管(5)と、該噴霧水導管(5)の先端に取り付けられたノズル(6)とからなり、かつ、前記噴霧水導管(5)が、分水器(3)との接続部付近で浅い角度(α)で下方に折り曲げられ、またノズル装着部近傍で前記ノズルの回転軌道円の接線方向、もしくは前記接線方向から外側に離れる向きの角度(θ)で折り曲げられ、前記ノズル(6)からの噴霧水の反力により前記噴霧機構(1)が回転するよう構成されてなることを特徴とする回転式噴霧機構を備えた冷房装置。
【請求項2】
前記噴霧水導管(5)の先端に取り付けられた複数のノズル(6)が、前記ロータリージョイント(2)の回転によって所定位置に達したとき、何れのノズル(6)も同一方向に水を噴霧するよう構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の回転式噴霧機構を備えた冷房装置。
【請求項3】
噴霧水量に応じて前記分水器(3)の側面に接続する噴霧水導管(5)の数を調節できるよう、前記噴霧水導管(5)を分水器(3)に着脱可能にしてなり、前記噴霧水導管(5)が接続されない通水孔(4)は、ねじなどの閉鎖具(7)によって塞ぐよう構成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転式噴霧機構を備えた冷房装置。
【請求項4】
噴霧水導管(5)が、分水器(3)の側面に穿設された通水孔(4)に回動可能に接続できる管継ぎ手(8)を備え、前記ノズル(6)の噴射角度(β)を水平から俯角方向に調節して、噴霧機構(1)の回転速度を調整可能にしてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の回転式噴霧機構を備えた冷房装置。
【請求項5】
噴霧導水管の途中に下方に向けて噴霧する1又は複数のノズル(6’)を装着してなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の回転式噴霧機構を備えた冷房装置。
【請求項6】
噴霧水導管(5)に沿わせてファン用羽根(9)を装着し、又は分水器(3)の下部にファン用羽根(9)を複数枚装着してなり、噴霧機構(1)が回転することによってファン用羽根(9)が一体となって回転することで下方又は上方への気流を起こし、噴出した微小水滴の拡散効果が促進されるよう構成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の回転式噴霧機構を備えた冷房装置。
【請求項7】
前記ファン用羽根(9)が、そのひねり角度を反転する反転機構を介して取り付けられ、前記気流の向きを上方又は下方に切り替え可能にしてなることを特徴とする請求項6に記載の回転式噴霧機構を備えた冷房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−220644(P2011−220644A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92659(P2010−92659)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】